なりたい私 眩しい貴女【非募】

（/こんばんは此処ですかね？）

お待ちしてました。ここで大丈夫ですよー

（/良かったです、早速始めますか？）

（/その前に時系列はいつ頃にしましょう？）

（/そうですね…ラブライブ優勝後というのはどうでしょう？ちょうど卒業式も近いですし映画の舞台も行けるかなと）

…本当に終わっちゃったんだ…
（スクールアイドルμ'ｓとしての正真正銘最後のライブが大盛況のうちに終わりを告げ、最後まで名残惜しそうにしていたメンバーたちも一人、また一人と帰って行き最後に己一人が残されて、ライブ後の余韻に浸りながらポツリとそう小さく呟くと終わってしまった、そのことが確かな実感として感じられ、寂しさが一気に胸の内に押し寄せてきてしまい、瞳から涙が零れ落ちそうになってしまっていて

（/あっちで話した通りいきましょう）

穂乃果…まだ残ってたのね
（最後のライブも成功し、これでμ'sとしての活動が楽しかった日常がなくなった寂しさは曲の終わると同時にひしひしと感じてしまっていて、最後にステージ越しの景色だけを眺めたいと思い相手の元へ現れると小さな声で話しかけた後、告白するという覚悟を今日のライブ終了後にするという決心があった為、相手の背後からゆっくりと歩いてきては小さく首をかしげ）


（/了解です）

え、絵里ちゃん！？どうしたの？もう帰ったんじゃ…
（感傷的になり、今にも泣いてしまいそうになっていたが、背後から自身の名前を呼ぶ声が聞こえればビクッと肩を跳ねさせ、慌てて瞳の端に浮かんだ涙を指で拭って後ろを振り返ると、そこには先ほど別れたばかりの相手の姿があり、戸惑いながらも見慣れた相手の姿に安心感のようなものも同時に感じ、問いかけて

それはね？でも、やり残したことと…このステージ越しから見る景色を見てみたくて
（予想はしてたけどやはり一人で泣こうとしていたのかと目の端が少しばかり潤っているのを見て判断し、相手とは先程別れたはずなのだがそれは演技の一つで本当は最後まで残るであろう相手に告白するそれだけの理由で帰った振りをしてたので、それを今いうわけにも行かずやり残した事として来たのだと相手に説明をしては、一度深呼吸してフラれるのは勿論引かれる事も理解した上で告白の準備をしておこうと考えていて）

やり残したことって、それはμ'ｓとして…？
（少なからず未練はあっても、それでもμ'ｓとして最後までやりきった、そう自信を持って言い切れるだけの達成感も同時に感じていて、だからこそやり残したことなんて言われてしまうともしもμ'ｓのことを言っているのなら自分がリーダーとして何か至らないことがあったせいなのだろうかと少し不安になってしまい、それでも出来る限り不安そうな気持ちを表に出さないように静かに緩く首を傾げて相手の真意を尋ねて

それもあるけど区切りはついてるの…やり切ったって思ってる
（μ'sに関してはちゃんとやり残した事はしたつもりだが、もし相手と会える日が今日だけだとしたらそれはμ'sとしてではなく一人の恋する少女としての悔いは残してしまうために、当然相手が悪いのではなく恋した自分なのだと思い相手に近づくと「伝えたいこと…があるの、μ'sのリーダーとしての穂乃果と普通の穂乃果に」ともう伝えるとしたら今しかないと思うし、どうせならフラれて悔いを無くそうとの覚悟で相手を見つめ）

わかった…絵里ちゃんの気持ち聞かせて
（思い残したこと、それはμ'ｓではなく自分が関係しているのだとわかり、卒業して去りゆく相手が気持ちを告げることが出来るのはきっとこれが最後で、ちゃんと未練なく気持ちよく送り出してやりたいし自分自身抱えている想いを知らないまま終わってしまっては絶対に後悔をする、そんな確信を胸に抱き、覚悟を決めた様子で小さく首を縦に振り、ゆっくり顔を上げて相手を真っ直ぐ見つめては言葉を促して

私が今言うのはラブライブ優勝後に言おうとしてたけど決心がつかなかったからなの。それに、今の関係が崩れる可能性も大いにあるってこと
（ちゃんと聞いてくれるというのは相手らしいと言うところなのか、自分に後悔なんかさせずに送り出してやりたいという優しい対応に、自分の気持ちを伝える前に自分が言おうとしていた時間帯ともしかしたらではなく、確実に友達から崩れていく可能性があると忠告して「私は…貴女の事が好きです。同性なのに恋心を抱いて気持ち悪がられてしまうのは分かってる、貴女にフラれる事だって…だから、もう会えないかもしれない貴女に告白したわ」と１年間相手を想って来たのを相手に発言してみた後、覚悟の上で同性である相手に告白したのだと告げては少しばかり声は震えており）

…ごめんなさいっ…
（聞かなければ良かったかもしれない、相手の気持ちの全容を知った瞬間に激しい後悔に苛まれてしまい、今の自分では彼女の望む答えを持ち合わせておらず、ずっと仲間としてやってきた自分にとって頼りになる姉のような存在、そんな彼女に残酷な宣告を下さなければならないという現実に心はまるで針に刺されたかのように酷く痛んで、それでもこれが最後だからキチンと逃げずに向き合わなければならないんだと自分自身に言い聞かせながら拳を痛いほどにギュッと握りながら相手の顔を直視出来ないまま俯きがちにそれだけを強く言い放ち｢絵里ちゃんの気持ち、すごく嬉しいよ。こんな風に想われるって凄く幸せなことなんだと思う。でも、穂乃果はそういう好きって気持ちがわからないから…絵里ちゃんの本気には穂乃果じゃ答えられない…だからごめんなさい…！｣今にも泣き出しそうな表情を浮かべながら決して相手のことが嫌いだとか同性愛が気持ち悪いとかではなく、相手の想いが本気なんだと伝わってくるからこそ嘘はつけなくて、未だ本気で恋をしたことのない己が仮に彼女を傷つけないために上辺だけの言葉で愛していると告げてみてもきっと自分自身罪の意識に押しつぶされてしまうだろう、そして何より仲間であり友人である彼女に対する最大の裏切りになると考えれば無責任な言葉は口に出来ず苦しげに相手の想いを切り捨てて

ん、そうね…分かってたものこの恋は叶わないことくらい
（第一声の言葉は凡そ考えていたフラれる場面で、最も相手らしい言葉の返し方は悲しいけれど何処かやり抜いたそんな気がして、相手のことは妹を見るかのように接してきたし一番の信頼抱き生徒会長を任せたりと、幾つの場面も相手が目の前に立っているからこそ変われたかもしれない運命を実現できたのかもしれないし、今こうやってスクールアイドルとしての自分と学生としての自分の後悔はなくなり、苦し紛れの笑みを浮かべ相手の髪をぽんと撫でたあと「やり残したことはこれで全部…後は自分の道を進むだけ。穂乃果、最後に笑顔を見たいの…見ておかないと熱が残るかもしれないから」とライブも相手に対する告白もやり残したことは何もなく、叶わないこと恋を終わらせるために相手の笑顔を見せてくれと要求して、相手の笑顔を見ないと何かと相手に対する熱が残るからと眉を下げ）

絵里ちゃん…うんっ、わかったよ…
（やり残したことは何もない、その言葉はつまり相手との別れを意味しており、こんな形で終わってしまうことが悔しくて寂しくて、それでもこの場で一番辛いのは想いが届かなかった相手の方だということもちゃんと知っており、それでも泣いたりすることなく表向きだけでもいつものように年上らしい余裕のある振る舞いを見せるのは後輩にカッコ悪いところは見せられないと、先輩として最後まで自分らしくいようという相手なりの精一杯の強がりみたいなものが感じられて、それなら自分も最後まで自分らしくあろうと相手から望まれている今の自分に出来る最大限の笑顔を浮かべて

ん、ありがとう…これで私はちゃんと前に進める
（察する事が簡単な程今の自分は泣いてしまいそうな程辛く相、手へ届かない理解していた筈なのに寂しいとか悔しいとか思ってしまい最後に見ることが出来た相手の笑顔を見て満足とは言い難いが、後悔も何もない自分はこれから前を見て進めると呟いた後最後に相手の髪を撫でた後最後まで寂しい姿は見せないように強がって、相手に背中を向けてゆっくりと歩き出し「これで、お別れなんて…本当は嫌なのに」と相手に聞こえぬよう小さく呟いた後角を曲がり、後悔なんてないはずなのにと自分を悔やみ出して）

穂乃果はどうしたら良かったのかな…こんなの嫌だよ…
（後ろ姿が完全に見えなくなってからそれでもなお、己を優しく撫でる相手の手の感触がまだ頭に残っているような気がして、こうして撫でてもらえるのも甘えることが出来るのも本当に最後なんだとそう考えた途端に涙が頬を伝ってポロポロと流れ落ちてしまい、またいつか会おうとそんな風に誓い合って笑顔で別れる、そんな優しい未来を壊してしまったのは他でもない自分であり、例え嘘であっても相手の気持ちを受け入れてつなぎ止めておけばお互いこんなに辛い思いもしなくて済んだのだろうかと今となっては無意味な自問自答を一人繰り返していて

これで…穂乃果とは…まだ感覚が残ってるのに
（相手と別れ少しした後希と合流してこれで良かったのかという事を聞かれると小さく頷いて、帰り道を途中まで歩いて一人になると相手の髪を撫でた後の感触が未だに残るような気がして、掌を見て相手と会うこともなければ撫でることも相手が甘えてくる姿を見るのも、あれが最後だったなんてと考えたら後悔してしまい告白なんてしなければ、また会えたはずなのにと堪えていた涙を流しながら瞳を擦りだし）

…よいしょっと
（μ'ｓのラストライブ、そして相手との別れから2年後、自身もまた音乃木坂を卒業したその後も他の一部メンバーとは相変わらず連絡を取り合ったりもしていたものの相手にだけは連絡をする決心がつかないまま2年の月日は流れ、後悔がやがて思い出へと変わりつつあったそんなある日。休日の街中、人通りのある道から一本ほどズレた小さな裏通りに電子ピアノとマイクを設置して、その様子に何事かと興味を示した人がまばらにだが足を止め、お世辞にも観客が多いとは言えないがそれでも電子ピアノを使っての弾き語りを始めて