( 速度松 / BL / 長男募集 )

…っく、はははは！(落ちていく視線を追っていけば、ひたりと畳の目から動かない。なにやら動揺を通り越して顔色が悪くなってきたような気もする。気が向いたらという曖昧なものではあるものの、言質もとったことだし今日のところはここが引き時か。心の中で呟くと肩から手を離し、まるで先程のやりとりはほんの冗談だったかのような大声で笑ってみせる。
そんな顔すんなよ、取って食おうってわけじゃねーんだからさぁ。(先程から緊張の連続だったろうからとりあえずは安心させてやろう。と、肩から下ろされたばかりの手を柔らかい髪の上に乗せ、軽い手つきでわしわしと撫でる。

(どうしよう、頭の中はグールグル。解決策が見つからない。もうダメだ、ぎゅっと目を瞑り諦めた時、突然室内に響くほどの大きな笑い声に素直に驚く。体跳ねちゃったわ。笑ってる奴は1人しかいない。後、状況が掴めずに数度瞬いてしまう。)イヤ、まあ食われても困るけど…って、辞めてよ子供じゃないのに！(何て、冷静に答えてしまうけど撫でられていると実感した瞬間の安心感は他ない。強張ってた体が解れていく様な。つい目を瞑り身を委ねそうになる、が。イヤイヤイヤ、20歳超えた大人がおかしい。上記の台詞。でも先ほどの事があるので振り払うことはしない。っていう言い分。)

いいのいいの、弟たちもいないだろ。(僅かに見せた食われる直前のうさぎにも似た表情。吊り橋効果もなかなかに悪くないのだけども、それと同時にやはり甘やかしたいのも兄としての性分である。髪を梳くように撫でるうちにどうやら緊張も抜けたようで、時折眠そうなゆっくりとした瞬きをするあたりリラックスした様子。口では反抗しつつも全く逆らわないのがいい証拠だ。
はーねみぃ。(触り心地の良い髪を梳く内に現れた睡魔が三角座りでこちらを伺っているようで。ふぁ、と欠伸をこぼしてそのへんの座布団を畳んで簡易枕にすればごろんと今度は自らの意思で横になり、ついでに ん、と隣をポンポン叩き

いないけど、そういうことじゃないんだって。(恥ずかしい、それだけ。なんかもっと他に理由がある気がするけど、自分にはそれが何なのかわからない。しかし、心地よいのは事実でさっきまでの心の乱れが嘘の様。偶に兄といところを見せてくるのがずるい。拒まない、それが自分にできる限界の甘え方。瞳細め、完全にリラックスなう。)寝るの？(ぱたりと無くなった心地よさ、目をしっかり開くと横になる兄の姿。自分の隣を叩いているところから、来いということなんだろうけど。何より、眠くないし、なんかこう、そんな気分じゃない。ってことで。本心は内緒。寝転ぶ兄の隣にちょこんと、座るだけ。)

なになに？チョロちゃん膝枕でもしてくれんの？(昼寝の気分ではないのか、はたまたまだ少し警戒しているのか、寝転がろうとはしないようで。ちょこんと座ってこちらを見下ろしている様子も愛らしい。それより撫でるのをやめたときちょっと残念そうに見えたのは、自分のフィルタがかかった目のせいだろうか…今のところは気のせいということにしておこう。そんなことを思いつつ、下から見上げる形で首をゆるく傾け、からかうように問いかける。しかし、ガンガン行き過ぎるのはよろしくない。困ったような笑い顔とツッコミでも見られればそれで十分だ。

…ハァ？するわけないじゃん絵面が寂しいよそれ。(どうせなら可愛い女の子にされたいくせに。そんなこと言わないけど。少しの間、迷ったのは迷った様で。さっきのこともあるし、優しくしようかと思ったけどそんなの自分には無理だった。パチリと目と目が合う、それから逃げる様に此方から視線を外す。なんかこう、モヤモヤする、どう言葉にしたらいいかわからないけど。外した視線は兄の頭、そこにそっと手を伸ばしポンポン、軽く触れてみた。多分、さっきぶつけたとこ。実際、痛かったのかそうでないかはわからないけど。ただのちょっとした罪悪感ですよ。)

ですよねー。(もちろん期待を裏切ることなくこぼれ落ちた呆れに呆れ返った返事に 分かってる、と言うようににかりと笑う。何が悲しくて兄弟、しかも兄に膝枕などしてやることがあるだろう。当たり前だ、しかし自分でそう思っておいて複雑な気分になるのだからタチが悪い。なんとも言えず、寝たフリでもして置こうかと考えていた矢先、頭に軽い何かが乗っかった。そしてそのままポンポンと髪の上を弾んでいる。なにこれ撫でられてんの？ぶつけたお詫び？撫でられたお返し？とにかく予想外の行動に目を閉じ寝たフリをするしかなく。

(自分と同じ髪型、髪質、だけど人のってだけで何か違う気がした。先程自分がされたように髪に指を通したりしてみる、なるほど。これはこれで心地いいかもしれない。人の頭を触るなんて、それも兄弟のだ。珍しいことで少し楽しんでる自分がいる。が、妙に静かすぎやしないか。)え、本当に寝たの？早くない？(ピタリ、撫でる手を止める。そういえばこんなに触ってるのに静かだなんておかしい。ウーーン、小さく唸って考えた結果、寝てるということに結論付けた。ならば今のうちに普段できないことでもしようかと。髪でもなく、そっと触れることでもなく、優しく頭を撫でてみた。甘やかしてる気分、悪くはない。)

…。(急に黙り込んで寝たフリを決め込んでしまったこともあり、内心バレないかと心配だしなにやらそのまま頭を撫でられ続けているしで色々な意味で心臓も早鐘を打っており。そもそもの話、兄という立場上人に撫でられるということ自体が無いのだから、緊張も嬉しさもひとしおというもの。クスクスと笑い出したいような面映ゆい気持ちで目を閉じている。しかしそれもそろそろ限界だ。目を閉じていて、心地よい手の温もりがあるのなら起きていろという方が無理な話。そのままゆっくりゆっくりと夢の世界へ沈んでいき

(返事がない。本当に寝てしまったのか。その速さに素直に驚くが此方としてはちょうどいい。兄が帰宅してから色々あった、あんな短時間なのに。やっと心が安らぐ。小さく息を吐き出し、兄の顔を見てみる。なんと心地よさそうな。何も考えてなさそうで羨ましい。就活しろクソ長男。言っても聞かないだろうけど。)本当、バカで羨ましいよ。(ゴチャゴチャ考えずにいれる、そこが唯一憧れる。頭を撫でていた手で頬を突く。ぷに、と沈む感覚に柔らかさを覚える。2人でいれることも珍しいし。気分は悪くない、寧ろ、嫌ううん、なんでもない。思ったことをギュっと閉じ込めて、首を数度横に振った。)


(今日の夜ちょっとバタついちゃうから、返せるか微妙だからこんな時間に返しちゃった。そっちのペースでいいからね、)

んー…。(少し寒いような気がして意識がうっすらと浮上した。なんとなくほんわかした温かい夢を見ていたような気がするが、あれからどのくらい時間が経っただろうか。一度寝るとすぐに起きはしないから少なくとも10分やそこらではないはずである。とはいえまだゴロゴロしていたい気分で、その辺に毛布などの被れる物がないかと手を床に這わせて。半分無意識の行動であるから全く見当違いの方向に手を伸ばしているが、本人は全く気が付かないで何か探すように手をふらふらとさまよわせて。

(了解です。あ、寝てたら喋れないんで一時間ばかりすっとばしちゃいました。)

(兄が寝てしまえばすることもないわけで。また求人誌にパラパラと目を通していた、妥協してこの会社かなあ。なんて考えていたら突如バタつく兄の手、頭の中は？？？？でいっぱい。)？どうしたいんだろ。(求人誌を机に放ってウーン、首を傾げて考える。もしかして寒い？冬だし。室内見渡すとダレノガレわからない膝掛け的なのが転がってる。これでいいかと手を伸ばし兄に掛けてやる。何て優しい弟だろうか。しかしバタついた手は気になるようで、その手を暫く見た後に握ってみた。)


(なるほど、ありがたいくらいです。アザーっす！)

…はー。(寒さに完全に目を覚ましかけた頃、どこからかふわふわしたものがかけられる。成人男性の体には少しばかり面積が足りないため、くるんと丸まってようやく落ち着いた雰囲気に。小さく溜息をつくと、毛布を探して放り投げられていた左手だけが温もりに包まれた。薄く目を開けると自分の手を持っている、いや握っている三男の姿。まだ夢の中のようだ、いつもと変わらない顔してなんで俺の手を握ってるのか。
へへ、チョロ松ー…(でも夢とはいえ、嬉しい。きゅ、と手を握り返せばより手がくっついて温かい。締まりのない顔で笑いなが確かめるようにら手をにぎにぎしている。

(寝ている人の手は暖かい、この暖かいとは言えない部屋でこの小さな温もりは確かに自分の身を温めるもので。まあ、顔には出ないけど出さないけど。こんなこと、兄が起きてる時にはできないし。今日だけ、ちょっとした出来心だから。なんて思ってたら、呼ばれる名前。)なに、どうしたの兄さん。(驚きで目が見開く、どうしようどう言い訳しよう。なんてまた逃げ道考えようとしたけれど、兄の緩みきった笑顔から寝ぼけていることを察する。ホッと、胸を撫で下ろす。そして上記の台詞、心なしかいつもより柔らかい声色。握られ返された手を振り払うことはできず、そのまま。)

おれぁだめなにいちゃんだなー…(いつもなら驚いて手を離してしまうだろうに。あろうことか穏やかな声で自分を兄と呼ぶ、この子のことをどう思っているか知られたらどうなることか。そんな思いに手を握る手をふっと緩める。自他ともに認めるクズなのは承知しているものの、可能性のまるでない事柄に軽々しく手を出すほど馬鹿ではないのだ。パチンコは別として。微笑みながら上記呟く。
しゃーないよなー(とはいえ諦めきることもしないし、出来ない。もともと本能に忠実な兄弟だ、うっかりすれば何を起こすとも分からない。また目を閉じながら別の意味で諦めきった言葉を零す

何言ってんの、そんなの今更だろ。(自分がダメな奴だという自覚があって安心した。でもそれだけの意味じゃなさそう、本意は自分にはわからない。なので肯定することだけ。それと同時に緩んだ手、さっきのはやっぱ寝惚けてただけか。スルリとその手から抜け出す、握ったのは自分だけれど。先程の発言で微笑む姿には純粋に疑問、何処に笑う要素があるのか。まだちゃんと頭が起きてないだけだろうけど。)しゃーない？ん？うん、(ほら、やっぱ頭が起ききってないだけ。だって訳わかんないもん。再び目を閉じる兄を見るなり、困ったように笑う。相変わらず自由奔放だ。先程まで握られていた手でまた、ポンポンと軽く頭に触れた。だけ)

(結局また寝落ちてしまい、うとうととした状態が続く。今日は優しい夢ばかり見る気がする。これが現実になればいい、いやむしろ現実にすればいいのか？眠った脳みそではそんな難しいことは分かりゃしない。)

あー寝た寝た。死ぬほど寝た。(ようやく起きたのはそれからまた少ししてからで、あくびと共に伸びをした拍子に誰のものとも分からないひざ掛けが落ちた。特に何か被って寝た覚えはなく、畳に転がっている自分を見かねた誰かが掛けてくれたのだろうと察する。十中八九そばにいた三男だろうと見当をつけて

(兄は寝てしまった。何をしようかと考えた時、求人誌わ見るのも嫌だったのでスマホでも。カチカチ、寝ている兄の横で見ているのはニャーちゃんのブログ。やっぱかわいいなあ、頬が緩む。次のライブいつだろう、次のCDの発売は…緩んだ表情のままスマホを弄る。___どれくらい時間が経ったかわからない、自分はずっとニャーちゃんの情報漁ってたし。兄の声で漸く現実に戻る。)爆睡してたもんね、笑ってたよおそ松兄さん。いい夢でも見たの？(スマホに視線は向けたまま、声色だけで今回はちゃんと起きていることがわかるから。なので、気になったことを問うてみた。笑いながら寝るなんて滅多に見ないだろうし。好奇心。)

ん？おーめっちゃいい夢見たわー。(やはりひざ掛けは三男がかけてくれたらしい。携帯に没頭する様子から好きなアイドルの画像でも見ているのだろうが、液晶越しとはいえあんなに熱心な視線を向けてもらえる女の子が羨ましい。もしも仕掛けてもいい立場だったなら、容赦なく目の前の男を絡めとって手元に置いてしまうのに。そこまで考えてあまりぼんやりしていてもおかしいかと我に返る。
あ、チョロ松。ひざ掛けサンキュー(さっきまで自分の背を包んでいたひざ掛けをちょんと摘んで見せて笑う

そりゃ、あそこまでグッスリできるはずだわ。(どうせ女の子とイチャイチャする夢見たんだろうけど。だから手を握り返したのか、そう思うとなんか悔しい。悔しいって思ってしまう自分にも呆れる。お馴染みの困った笑み、馬鹿馬鹿しい。)別にお礼なんていいよ、風邪引かれても困るし。(礼を言われる程のことではないし、そもそも礼を言われたことに驚く。後、その膝掛け指差し一言「貸して。」特別寒いわけじゃいけど、その膝掛けに温もりが残ってそうな気がして。何の、とは言わないけど。そして自分の膝トントン、数度叩いた。)