主 2015-12-05 22:37:41 |
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うるさい、いいから一度帰れ。
(掴まれた胸元にはひとまず頓着せずに放置して、己の胸元で揺れる十字架を鎖ごと引きちぎる。十字架に自身の腕の血をべったりと塗り付けると、小声で聖書の一節を囁きそのまま相手の燕尾服のポケットに捻じ込んでやる。古くから伝わるおまじないの真似事だが、長年伝わってきただけに効力は絶大な、悪魔からすれば呪いの様なものだ。くらくらする頭を苛立たしげに振って間近に迫る相手の顔を見返しながら)
お前をこの教会に縛り付けた。
どのみちお前はここから長い時間は逃れられん、傷を癒してから出直して来い。
俺は俺でどうにかする。
(/こんばんは、本日もお願い致します。今朝の時間からお察し頂けるかと思いますが当方夜型ですので、寝落ちする際はいつでもお声掛け下さい!聖職者らしからぬキャラですが背後共々精一杯務めさせて頂きます)
(ポケットに捻じ込まれた十字架を見て、構わずにとっとと逃げておくべきだったかとポケットの上から十字架に触れ。この呪いをかけられたことは今までなかったものの知識としてはよく知っている、これをポケットから取り出して捨ててしまったところでどうにかなるような代物ではないことを。悔しげに表情を歪めてはせめてもの仕返しと床に叩きつけるような勢いで相手の胸元から手を放し、立ち上がればそのまま振り返ることなく窓に駆け寄り。侵入したときと同じように黒い靄となって隙間から出て行って)
(/了解です。私もどちらかというと夜は遅くまで起きている方なので、長く御話しすることができそうで嬉しいです。既に小物臭の漂いだした悪魔ですが、今後もよろしくお願いします)
あーあー派手に燃やしてしまって……修繕代は誰が出すと思っている。
(口だけでも平静を装って溜息を吐くものの、既に満身創痍なのはたった今出て行った悪魔が指摘した通りだ。ほとんど這うようにして礼拝堂の入り口まで辿り着くと、体重を掛けてぐいと戸を開く。古い教会だからいい加減火災の対策など整えに整えられている。廊下に積まれた水のたまるバケツを蹴飛ばし広がりかけた炎を燻らせるまでにはどうにか留めて。開いた戸から煙が勢いよく外へ流れ出るのをぼんやり見つめながら、徐々に意識を手放し)
そうだ、あいつに直させれば、良いじゃ……ない、か。
……まったく、こんな醜態を晒すことになろうとは。
(表に出ればひとまず人の姿に戻り。背の翼を軽く動かせばなんとか飛ぶだけの体力は残っていそうだと安堵し。そのまま翼を羽ばたかせ夜空に紛れてはふと振り返り教会に視線を向け。扉からあふれ出る煙、窓には炎の影が見受けられず、しぶとい神父だと眉を顰めて。またここに戻ることになるのだと思うと気が重く、しかし戻らなければ苦しい思いをするのは自分である。何にせよ今はとにかくここから離れた場所で休息をとろうと、視線を教会から逸らせば飛び去って行き)
(/ここで一度区切り、次の日の晩、みたいな感じで再開しようと思うのですがどうでしょう?)
んん……。
(手放した意識は一向に戻ることも無く、気を失う直前に出会ったのが悪魔であった為か、はたまた腕の傷の痛みゆえか昔の夢を見る。お世辞にも楽しいとは言えない出来事が夢の中とはいえ蘇って脳内で再生されるのに、苦しげに唸っては身を捩り)
(/それで大丈夫です。アテネがやせ我慢張って意識飛ばしたのでそうでもしないと話が繋がらないんで……)
(教会を去り村の外れにある森の中で身を休めていたは良いものの、それから日が昇り、その日が暮れる頃には既に体は不調を訴え始めていて。聖水などによるダメージは既に癒えていたが、このままでは今度は呪いで動けなくなってしまう。飛ぶことさえままならなくなる前にと渋々教会へ向かい、再び月の昇る頃に、また黒い霧となって窓から侵入し、人の姿をとって。辺りを見回し相手の姿を探し)
来たな、待っていたぞ。
(丁度前日の出会いをやり直す様にそっくり同じ場所にひざまずいたままで、来訪者の気配にそう告げる。違う点といえば己の着るスータンが黒から紫になったこと、その服の下にはあちこち火傷やら傷やらが増えたこと位か。ふぁ、と欠伸一つして痛みに呻きながらも身を捻って相手を視界に収めると)
傷の具合はもう良いのか?
えぇ、お陰様で。
(相手の姿を視界に入れてはそちらに歩み寄って行きつつ、相手の問いかけに眉を顰めつつ皮肉っぽく返して。それからある程度距離を詰めたところで腕組みをしては相手の血に塗れた十字架をポケットから取り出して相手に見せつつ「そんなことよりもこれ。この呪いどうにかしてくれません?」と、あからさまに不機嫌な様子で相手に詰め寄って)
どうにかして欲しければまずは俺の言うことを聞け。
(見せられた十字架にふんと鼻を鳴らし、大仰に手を広げて礼拝堂の惨状を示してみせる。「この修繕、俺一人でやるには割に合わないだろう?」と自身はお前に絡まれた被害者なのに何故後始末までしなくてはならないのだと問い。当然壊したものを直してはいおしまい、と済ますわけにも行かないと更に言葉を足して)
ここの修復、及びその完了までの間俺の雑務の手伝いをすること。
それが済めば開放してやる。
この私に、貴方のために働けと?
(相手に見せるように軽く上げていた十字架を持つ手を下ろしては、不本意な流れで人間のために働くことが受け入れがたいのか軽く片眉を上げつつ問い返して。だが、この呪いが解かれぬままというのも不便である。もとより選択肢などあってないようなもので、結局はその条件を呑むしかなく。素直に頷くのは癪なので相手に聞こえるように舌打ちしてはふいと顔を逸らし、自身の燕尾服のポケットに十字架を捻じ込み)
雑務とは、具体的に何をすれば良いのです?
とにかくうちは人がいない割に来る者ばかりは多いからな……信者の相手、敷地内の掃除、俺の身辺の世話、
(反抗的な態度を示しながらもすべきことを問うてきた相手に存外素直ではないかと目を少しだけ見開く。具体的には、と問われて思い付く雑務を指折り数えて適当に上げていく。さりげなく教会とは直接関係の無い己の世話も含めてしまったが、怪我をして動くのが億劫になった原因は悪魔自身にあるのだからそれ位許容してもらわなくては困る。他に何かあったかと暫し悩めば、ふっともう一つ頼めることを思い付き悪戯っぽく笑い)
……それから同士討ち、だな。
(顔を逸らしたまま相手の言葉に静かに耳を傾けて。三つめに挙げられた仕事は果たして必要なのだろうかと疑問に思い相手に文句を言いたげな視線を向けて。程ほどに嫌がらせを仕込んでおいてやろうと固く心に誓い、相手が悩んでいる間に深い溜息をついて、その後相手の笑みを見て怪訝な表情浮かべれば次に聞こえてきた言葉に耳を疑い、暫く黙り込んだ後に)
……私に、魔界へ反逆しろと仰るのですか?
いや、別にそこまで大層なことは求めん。
単にこっちに手を出してきたら返り討ちにしてやれというだけだ。
(「魔界に反逆」との言に、ああそういう風にも取れてしまうのか、随分と壮大な話になるものだと呆れ顔を作り。まさかと手を振りながら出来うる限り簡単な言葉で言い直してやる。ついでにどうにも先程から文句を言いたげな視線が五月蝿いので、「お前が俺に追い返されたのと同じ様にな」とささやかに意趣返しをして)
しかし……
(それでも一応、同族を敵に回すことに変わりは無い。渋い表情を浮かべ自らの顎に片手を添えつつ考えるような仕草を見せ。だが、その次に聞こえてきた言葉に更に機嫌を悪くすれば睨むような視線を相手に向け。相手に対し敗北した昨夜のことを思い出し、態度が大きいだけの碌な力も無い悪魔だと思われてはかなわないと、歯をぎりと噛みしめては)
……分かりました、引き受けますよ。
……お前、
(単純だな。と続けようとしてしかしこれ以上機嫌を損ねさせる必要もあるまいと言葉を飲み込む。考えていることが分かりやすいのは嫌いではないのだが、それで世を渡る上で大丈夫なのかと余計な心配をしつつ返ってきた了承にはひとまず満足気に頷き。それからふと肝心の名を聞いていなかったと思い至り)
おい悪魔、お前名は何と言う?
相手に名前を聞くときには、まず自分から名乗るべきなのでは?
(自分が相手の立場にあれば、同じように先に相手の名を聞くであろうにもかかわらず、鼻で笑いながら上から目線に言葉を述べつつ首を傾げて。相変わらず眉は顰められたまま口元にはようやく弧が描かれて、横目で相手をじっと見つめつつ相手の言葉を待ち)
悪魔に人間の常識を説かれてもな……。
(悪魔らしからぬまともな言い分に反論の余地も無く、苦し紛れにそれらしいことを言い返しておく。だが言われたことは明らかに正論で、加えてこちらが名乗らなければ絶対にこの悪魔は引かないだろう。無駄に反抗すればそれは興味を惹く材料にしかならないのだと昨日学んだばかり。渋々ながら口を開き、かろうじて聞き取れる程の小声で)
……アテネ、という。
聞こえません。
(名を口にする相手の声が小声であったことと、聞き取れたその名が女性的なものであったことから相手はその名にコンプレックスでもあるのだろうかと考え。先程前の仕返しのつもりなのか、白々しいほどに爽やかな笑みを顔に貼り付けてはきっぱりと上記を述べ。少しは相手に恥をかかせることができるだろうかと内心期待しており)
っだから、アテネという!
(尋ね返してくる悪魔の白々しい笑みにからかわれる気配を察知。ええいままよとやけくそ気味に半ば怒鳴るに近い調子で名乗り直して、口をぐっとへの字に曲げる。不貞腐れた様な調子なままに「ほら名乗ったろう、貴様も名乗れ!」と常以上に粗暴な口調になって)
おや、これはまた随分と可愛らしい名前ではありませんか。よく御似合いですよ。
(相手の反応を見て、ようやく相手の調子を乱すことができたと口元を手で覆いつつ上機嫌でクスクスと笑い。三日月形に目を細めたまま相手に視線を戻すと、あぁ、とまるで今思い出したとでもいうようにぽんと手を打って。それから自身の胸に手を当て、わざとらしい演技をする余裕がでてきたのか恭しく会釈をしつつ)
私の名はオルキス、以後お見知りおきを。
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