主 2015-12-05 22:37:41 |
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……心配? 何がだ。
(好都合、との言葉にいやだから付け込むのも面倒ではないのかお前、と呆れ顔になるも次の言葉は理解すら出来ず眉が寄り。ずっと上げていて疲れてきた左腕に視線をやったまま己の性分のどこに不安要素があるのだと聞き返して)
悪魔を傍に置いておきながら、面倒なんて理由で警戒を解くなんて信じられません。呪いがある以上殺すことは出来ないとしても、いつ後ろから襲われるとも分からないでしょうに。
(包帯を巻き終えると最後に結んで固定し。軽く引っ張って簡単に解けてしまわないか確認してから顔を上げて。その表情は相手の言動に対する困惑が浮かんでおり。確かに一々相手の隙を虎視眈々と狙うのも疲れはするが、だからといってちょっかいをかけるのを止めるとも限らない。少し呑気すぎるのではないかと戸惑っている様子で)
ありがとう、なかなかに上手いな。
(相手の言葉を一旦意図的に無視して、巻き終えた包帯を撫でては口元に薄く笑みを浮かべて感謝の意を示し。かなりの間腕の包帯を無言で撫で続け、やがて顔を上げると表情を薄い笑みから一切変えずに、声だけを感情を隠した固いものにして)
相手が悪魔だろうと、他者を危険視するのは苦手なのでな。襲われたときのことはそのときまた考えれば良いし……なあ?
……当然でしょう。
(相手の言葉に対し冗談を返すがその表情は笑っておらず。なかなか返ってこない先程の言葉への返答を待つうちに視線は床へと下がっており。次に相手の声が耳に届いた瞬間少し驚いた様子で相手に視線を戻しては黙って話に耳を傾けた後納得できない様子で眉を顰め)
随分……随分とお人好しですね、知っていましたが。いつか不意を突かれて大怪我しても知りませんよ。
大怪我しようが、不覚をとって死のうがそれはそこまでだったということだろう。
(お人好しはどっちだか、と丁寧に巻かれた包帯とわざわざ気に掛けてくる相手を交互に見やり。長い間寄せられたことの無かった心配がどこかくすぐったく、ついくすくすと笑いをこぼしてしまいながらひらひらと気にするなとばかりに手を振り)
それに異を唱えられる立場に俺は無いし、死ぬ覚悟程度ならいつだって出来ているんだ、気にするな。
……貴方がそれで良いのならばこれ以上は言いません。ただ私が心配なのは、私の呪いを解く前に貴方が死んでしまわないかということだけですから。
(何を笑っているのかと不満げな表情を浮かべるも、最後まで言葉を聞けば諦めたように深い溜息を吐いてから顔を逸らし。その場で腕組みをしてはあくまで自分の為の心配なのだと主張し、視線のみを相手に移して)
誰も俺が死んでは呪いは解けないとははっきり言っていないんだがなぁ……。
(なんてな、とふと湧いた悪戯心にそもそもの前提条件をひっくり返す様な思わせぶりな言葉を呟いてはにやりと笑い。小箱を閉じると包帯の為に捲くっていた袖を戻しながら、そっと横目で相手の反応を窺い)
……呪いをかけた者がいなくて、どうやって呪いを解くというのですか。
(相手の言葉に一瞬僅かに目を見開き、明らかな動揺を目に浮かべては平静を装おうと努め。馬鹿馬鹿しいとでも言うように相手に背を向ければ、視線を伏せつつ探りを入れる意図も含めて上記のように述べて)
呪いをかけた者がいなくて、どうやって呪いが継続すると言うんだ。
(相手の言い回しを真似て答え、背を向けられているのを良いことににやにやとする顔を隠し立てもせず。あまりやりすぎては痛い目を見るのは自分の方かもしれぬと頭の片隅では分かっていたが、それよりは露骨な動揺が見られた楽しさが勝って)
やっぱり貴方がいないと解けないんじゃないですか!
(相手の答えを聞くと振り返って相手を睨みつつ思わず大きな声を出してしまい。その際見えた相手の表情が更に癪に障り聞こえるように舌打ちをしては「全く、期待して損しました」と腹立たし気に文句を口にして)
……んん? うん、まあそうだな?
(自分が居なくなれば呪いは継続しない、という旨を述べたつもりだったのだが上手く伝わらなかったのに言葉は難しい、ネタバラシが早まってしまったみたいだと息を吐き。しかし相手の文句に再び口角を上げると、「期待した? 俺を殺す気にでもなったのか」と楽しげに尋ねて)
当たり前ではありませんか、それで終わるのであれば勿論そうしますよ。
(相手の反応を見ても自身のずれた解釈には気が付くことが無く。相手の問いかけに対し眉を顰めたまま視線を逸らしては躊躇いなく肯定し。何故相手がそんなに楽しげなのか理解できずに首を傾げて)
無理だから諦めておけ。
(清々しいまでににっこりきっぱり言い切ってやり、服に多少まとわりついた埃を払いながら立ち上がる。よしこれでやっと街に向かえる、と相変わらず相手の返答を待たないままに次の行動の開始として廊下に戻ろうと歩みを向けて)
……えぇ、そうします。
(相手の笑顔とは対照的にじとりと相手を睨んでは目を伏せ、小さく息を吐いて肩を竦めつつ頷いて。相手が立ち上がると一歩後ろへと下がって距離を取り、その後廊下へと向かうのを見てからその後ろをついていこうと自らも歩き出して)
用事は終わったし次は街だな、街。
(くるくると鍵を指に引っかけて回しながら玄関へ真っ直ぐ後戻り、歩く度に立つ埃に近々掃除に来ようと実行するかはともかく内心決意だけはしておいて。「セメント、ペンキ、それから……」と必要なものを声に出しながら指折り数えて)
ようやくですか。
(街と聞けば先程までのやや苛立っていたような態度とは一変し、上記のような生意気な口を叩きつつも声色に喜色を滲ませて。相手の後ろを歩く足取りも先程と比べて軽く。「買うものは沢山ありそうですね」と相手の言葉を聞き肩を竦めつつ)
はしゃぐのは勝手だが、こうなったのは全部お前の所為だからな。
(数える指を止めてじとりと相手を振り返り、とてもではないが支給される金で賄いきれぬ必要物資に眉間を押さえて。自腹を切るのも腑に落ちない、と少しの間唸りちらりと半ば諦めた目で相手を見て「……悪魔は金なんぞ持っていないものな」と)
貴方が抵抗するからではありませんか。
(心外な、とでも言うように肩を竦めるが、口角は上がっており。相手が悩むのも気にせずに、自分には関係ないとばかりに辺りに視線を向けていて。此方へと向けられた視線に気が付くと相手を見、その言葉が聞こえては「偽の金で良いならば今すぐにでも用意しますが?」と、にやりと笑みを浮かべつつ首を傾げて)
偽の……ああ、駄目だ。貨幣偽造は先月に法律違反に定められた。
(神父の割にかなり悪事に抵抗のない性質ゆえか、興味を持った様に一瞬食い付くもすぐに法で禁じられていると思い出せば首を横に振って。聖書にも人を欺いてはならぬとあるしこれはアウトだな、と内心結論付ければ「元々期待していなかったから構わん、どうにかする」と玄関口から外へ出て)
聖職者ならば嘘でもそれは駄目だと即答するべきではないのですか……って、貴方には言うだけ無駄でしょうね。
(一瞬喰いつく様子を見せた相手に対し若干引いたような表情を浮かべるが、最終的には呆れた様子で溜息を吐き眉間を押さえて。相手に次いで玄関を出れば後ろ手に扉を閉め、また相手の後ろを歩きつつ「どうにかって、自腹を切るんですか?」と問いかけて)
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