悪魔との暮らし（BL）

え、何だそれ……まあ今はいいか。
(新たに知った悪魔の持つ力にぱっと目が輝くものの今は急いだ方が良いかと詳しく聞くのは諦める。中にまで声が聞こえるのだ、軍の者達が付近にいるのは明白で長々と問答している時間など無い。ならば論より証拠とばかりにびっと相手を指差し)
ちょっと試しに何かになってみてくれ。

では、そうですね……
（何かに、と言われ咄嗟に思いついたのは小動物だが、鼠や虫に姿を変えるのは無駄に高いプライドが許さず。少し迷った後姿を変えたのはやや小さいサイズの真っ黒な蛇。これで問題はないかと問うように鎌首を擡げては相手をじっと見上げて）

おおお……!?
(聞いて想像がついていても、目の前で姿が変わるのにはやはり声が上がるのを止められず。おまけに今の今まで見上げていた相手が小さな蛇になったのだから尚更である。恐る恐る首と尻尾を掴んで噛まれぬ様に持ち上げると、おおだのああだの意味の無い声を何度か上げて)

(/背後から失礼します。これ軍の人が来ると当方の壮絶な一人芝居が始まってしまうのですが……如何しましょう？)

（持ち上げられるとは思わなかったのか、身体が地面から離れた瞬間慌てた様子で暴れだし。紅いままの瞳で相手を見ながらチロチロと細い舌を出しシューシューとうるさく鳴く様は文句を言っているようで。軍の人間がすぐそこに迫ってさえいなければ狼にでも姿を変え押しつぶしてやっていたものをと物騒なことを考えて）

（/こちらで軍の人間をやっても問題無いようでしたら、どんなイメージかだけ教えていただければ……）

ふふ、なかなか楽しいものだな、この状態。
(蛇の姿故か常以上に怒りを分かりやすく顕にする相手に、くすくすと笑って。「噛むなよ」と呟いてからその鼻先をつんつんとつつき、一時だけ今の状況を忘れて純粋に楽しんでしまう。あまりいじると後が面倒か、とだけ考えるがつつく指は止めないで)

(/あああ、ありがとうございます！「どうせ一人でやってる教会なんだからそろそろ潰れろよ」→「だけど粗出てこないな」→「もういいや武力でごり押しして屈服させよう」みたいな思考の方々です。細かいところはお任せします、主様のトピなのに好き勝手話を進めてしまって申し訳ないです)

（何が楽しいものか、と相手の言葉に苛立ち、尻尾で相手の腕をぺしぺしと叩く。噛むなよと言われて素直に従うはずもなく、その指先に傷をつけてやろうと口を開けたところで教会の入り口の方から乱暴に扉を開く音が聞こえ、思わず口を閉じ）

【軍人】おい、神父！ いないのか！？（教会の中に足を踏み入れたのは数人の軍人。扉を開けたは良いものの礼拝堂に相手の姿が見当たらず、軍人たちのうちの一人が中を見回しながら怒鳴るように相手を呼び。散々表で邪な存在の気配を探したのだろう、その収穫が一つとして無かったことに憤りを感じているらしくやや八つ当たりのような振る舞いで）

（/いえいえ、ストーリーを進めるのが得意ではない当方としてはとてもありがたいです。イメージと異なってしまいましたら申し訳ありません！）

……もう来たか。
(礼拝堂の方から聞こえた声に手を止め、今から始まる面倒を思い疲れた様に息を吐く。ちらりと手元の蛇に目線をやると「まあ、とにかく先程言った通りで頼むぞ」と声を掛け、状況判断には近い方が良いだろうとポケットに蛇を滑り込ませる。まだ少し残っている朝食に、無駄には出来ないのだがと未練がましく視線を送ってから部屋から出て)
皆様どうもおはようございます。
大声を出さずとも聞こえますから、神聖な場で叫ばないで頂けませんか？

【軍人】……ふん、なんだ、居るんじゃあないか。（姿を見せた相手に対し高慢な態度で鼻を鳴らす。背後では一人の男が礼拝堂内を舐めるように見回しており、どうやら悪魔の姿がないかどうか探しているようで。「そんな奥に引っ込んでいて……信者が来た時も同じように待たせるつもりか？ やはり一人で教会の管理を行うのは無理があるだろうに」暗に、とっとと教会を潰す決心をしろと告げるその口元にはにやにやと嫌な笑みが浮かんでいて）

おや、ご存じないのですか？
今日は軍の皆様がいらっしゃいますから、村の方々は来られないのですよ。
(今日一日で耐性が付いたからだろうか、笑みにも動じることなく受け答えして。皮肉の一つでも返そうかと思ったものの、さして得意でもない言い回しは出来ずに直接的な物言いで邪魔扱いをする。見回す相手には「表には何一つ悪いものなど無かったでしょう？」と、微弱な悪魔は曖昧にしか感じられない自分以上に的確に祓ってくれたであろう男を脳裏に浮かべながら問い掛けて)

【軍人】……ほう？（あからさまに邪魔者扱いをされこめかみに青筋が立ち。悪魔の姿を探していた軍人は問いかけに答えることもせずに、青筋を立て怒りを露わにする軍人の傍に寄ると教会内にも悪魔の影が見当たらないことを耳打ちし。それを聞くと「……どうやら神父としての職務はまともに果たしているらしいな」と悔しそうに表情をゆがめつつ）

ご納得頂けたようで何よりです。
(にこりと笑って答えながらも頭の中は半分ほど別のことを考え出している。例えば半壊した礼拝堂の修復だったり、軍の者に怯えているであろう信者達へのフォローだったり、今ポケットに居る蛇をもう少し構い倒すことであったり。思えば思うほどやることは山積みなのに気付き、げんなりとした顔で)
その職務で俺も忙しいので、とっととお帰り願えませんか？

【軍人】そうは言われてもだな……我々もこのまま帰るわけにいかん（いい加減この小さな教会一つ潰すだけのことに手間取っているわけにはいかないと、周りの軍人に目配せすれば彼らは腰から下げていた剣を抜いて。「こんなにボロボロなんだ、折角だからもう壊してしまっても良いと思わないか？」自らも剣を抜いては刃先を脅すように相手に向けつつ、まるで提案するかのように）

殺生も出来ない、既に怪我を負っている無害な国民に刃を向けますか。
(向けられた刃に両手を上げ、乾いた笑い声を上げて尋ね。所詮田舎町の誰も見ていない場所で保たれる体裁など幻に近いほど一瞬で崩れ去るものか、とあまりに早い抜刀に呆れてしまう。だが逆に言えばこちらが何をしようと今更になった訳で、ポケットに手を突っ込むと中身を思い切り放り投げて)
案外早かったが頼んだぞ、オルキス！

（空に放り出されれば咄嗟に人型に姿を変え、背に生やした翼を広げ体勢を整えて。「もう少し丁寧に扱ってもらいたいものですね」と軽口を叩きつつ両手に炎を宿しては教会の入り口を塞ぐ様に立ち。呆気にとられている軍人達越しに相手を一瞥してはすぐに軍人のうち一番近い距離にいる一人に狙いを定めつつ）
私が姿を見せた以上、生かして帰すわけにはいきませんよねぇ？

【軍人】き……貴様っ！ 悪魔を匿っていたのか！（突然の悪魔の登場に、視える一人がそう声を荒げながらオルキスの立つ方向に視線を向け剣を構える。しかし悪魔を視ることのできない残りの軍人はそれにつられ教会の入り口方向に視線を向けるも何も見えず困惑にざわついて）

匿う？
とんでもない事です、彼は私の為に働いてくれているだけなのですから。
(軽口にべ、と舌を出して応じながら視える者からの糾弾を否定してさりげなく下仕え扱いをする。正直悪魔相手の様に弱点を攻める切り札を持っていないという点で、人間相手は毎度毎度あまりに不利。だが今回ばかりは楽に済みそうだと傍観の姿勢を見せ、ただ告げられたオルキスの言葉に目を細め)
命だけは取るなよ、それ以外なら任せるが。

渋々、ですが。
（相手の言葉に対しそう付け加えつつ軍人の一人を火だるまにしてやろうとしたところで命だけは取るなという指示に面倒くさそうに舌打ちし。仕方なく炎の勢いを弱めつつ近くの軍人の腕を捻り上げれば、炎の熱さで思わず落とされた剣を足で蹴り上げて右手で掴み。これならばうっかり焼き殺してしまうことも無いだろうと剣を握りなおしては両腕に大火傷を負い地に伏した軍人を足蹴にしつつ、次は比較的厄介な視える男を狙おうとして）

【軍人】悪魔と手を組んでいることに違いはあるまい！ このことが外に知れてみろ、ただでは済まないぞ！（視える男がオルキスに対し剣を構え警戒の色を見せている間に、先程まで相手と言葉を交わしていた軍人が相手を睨みながらそう怒鳴りつけて）

恐れながら皆様は聖書を読んだことがおありで？
「悪魔の力を借りてはならぬ」とはどこにも書かれていないのですよ。
(「悪魔の誘いに乗ってはならぬ」とはあるが、と心中でそっと付け足し。だが現状は誘いに乗るどころかこちらが手綱を握っている状態。書かれていることには反していないと、それこそ神に誓って言えるとばかりに主張する。炎の狙いが動いたのを見ると眉を上げ)
結局要の人間が倒れれば全体は散るからな……効率的に頼む。

はいはい……
（効率的に、と聞くと適当な返事を返しつつ視える男に対し斬りかかり。真正面からの攻撃は当然防がれるが、剣と剣とがぶつかり合ったその隙に炎の勢いを強くしては熱風で怯んだ男の脚の腱を断ち。次に狙うべきは先程から相手と言葉を交わしている、この中で一番地位が高いと見える軍人。短時間に二名も倒れたことに教会の表へ逃げ出そうとする数名の軍人を横目で見）
……逃がして良いのですか？

口止めは……まあ、しておくに越したことはないか。
(問われ、逃げ出す者の姿に戦意は失っても密告されては面倒かと頷く。屁理屈に近い暴論が世の中に受け入れられないのは重々承知だ。ちょっと貸せ、と逃げる背中から目を離さないままに手をオルキスの持つ剣に向かって差し出して)

（差し出されたその手に剣を渡しつつ、その腕で振るえるのだろうかと疑問に思い。しかし振るえないとしても何か策がなければ渡すように指示はしないだろうと考えては逃げる者たちのことは相手に任せ、まだ留まっている者、特に、先程まで神父と言葉を交わし今も逃げる者たちに向け怒鳴り散らしている男をどうにかしてしまおうと再び炎を現し）