記憶を失った刀（非募集）

大倶利伽羅、ひょうひょうとはしていますけど、いまいちばんふあんなのは鶴丸のはずですから。
たすけてあげないとだめですよ？
(先程までのもやもやした感覚は不思議と薄れていて、それどころか目の前の素直でない刀に託す様な言葉さえ出てくる。自分の立ち位置が鶴丸の側にちゃんとあると認識したが故の余裕だろうか、と己の単純さに内心首を傾げて)

確かにな、迷惑をかけるだろうけどよろしくな（今剣の言葉に頷くとそう言って微笑み）


【大倶利伽羅】

…ふん、気が向いたら助けてやる（そう言いながらも助ける気はあるのか｢困ったら何か聞け｣と言い）

ふふふ……あ、
(話し込んでいて、自分も含め互いに箸が止まっているのに気付いて声を上げ。「のこしたら燭台切におこられますよ！」と慌てて手付かずの皿に箸を向けて)

えっ、本当かよ。そりゃ大変だ（そういえば手付かずだった皿を取り食べ始め）

んぐ……、
(いとも簡単に温まった己の心にへにゃりと表情を崩して食事を再開する。膳の中に見受けられたほうれん草の煮びたしはそっと鶴丸の皿に乗せて)

む…？（食べているとそっとほうれん草の煮びたしを置かれ何だ、子供らしいところもあるのかと思い）

いま、なにかしつれいなことをかんがえましたね。
(じろりと鶴丸を見上げると、問題なく食べている三条の席の方は向かないようにしつつ「へいあんに『しょうゆ』はなかったからくちにあわないんですよう」と言い訳して)

へぇ、俺は食えるけどなぁ（そう言いながらひょいっと煮びたしを口に入れ）

それはきおくがないからでしょう！
(無論以前から普通に食べていたはずなのだが、それには触れずに堂々と出鱈目を言って)

えー…（苦笑気味にそう言えば今剣の置いた煮びたしも食べ）

このあとはどうしますか？
(夕餉の後は比較的各々で好きに過ごすのが本丸の常だが、鶴丸には何かあてはあるのだろうかと尋ねて)

んー…何するかなんて考えてなかったな…（そう問われれば箸を咥えながらそう言って）

こら、ぎょうぎがわるいですよ。
(咥えた箸を指して言い、それから特に考えていないとの言葉に笑って厨を指し)
ぼくとつきみざけでもしましょうか？

酒？…月見って？（何度かしているだろうが記憶がなく首を傾げて）

そのまんまですよ、つきをみながらさけをたしなむんです。
(「つきはわかりますか？ほら、もうみえはじめています」と窓の外で夕闇の中上り始めている月を示す。酒については覚えていないのなら説明するより口にした方が早いからと説明を省いて)

あれが月…綺麗だな。あれを見ながら酒を飲む…楽しそうだ（そう言えば｢さ、早くその月見酒をしよう！｣と言って食事を再開して）

ほんとうはいつも三日月があいてをしているんですけどねえ……。
(独りごちると、心中で三日月に詫びて今日ばかりは鶴丸を貸してくれと願い)
はい、たのしみですね！

へぇ、三日月がいつも相手をしてたのか（そう言うと｢じゃあ今度三日月とも飲もうぜ｣と楽しそうに笑って）

(鶴丸の言葉に苦い顔をして、ううんと渋い声になり)
あのかたなはほんとうにざるですから……あんまりさけのせきはともにしたくありません……。
まあ、きかいがあれば……ですね。

ざる？俺はどうなんだろうなぁ…（ざるという言葉に首を傾げながら自分はどうなのかと思いそう呟き）