子宮の中は暖かくて暗い。ごろごろと音が聴こえて心地よかった。ずっと此処に居たかったけど、それよりもずっとずっと外へ出たいと願った。心地良いと感じる反面、吐き気がする程気持ちが悪い。
だってそれは当たり前なのだ。
七つの命が一度に宿った空間は酷く窮屈で非現実的なのだから、狂気に満ちていると言っても過言ではない。
誰よりも外の世界を望んでしまったからなのだろうか、僕は取り残された。酷い、酷い酷い、とても酷い吐き気が襲って来る。音のない世界を一度思い出してしまえば、もうそれは記憶として脳裏に焼きついて離れない。どうしよう、とても怖くて妬ましい。
そうだ、僕は子宮で眠っている時から兄を羨み妬んでいた。こうなる事が分かっていたのかもしれない。羨ましい、羨ましい、羨ましい、妬ましい、妬ましい、妬ましい。
──でも僕は今日も産まれない。
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