Master 2015-11-29 19:30:42 |
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……、(扉を閉めるなり元ルームメイトに電話をかけるが繋がらず、いつも直ぐ電話に出る彼が約束の時間が迫っているにも関わらず二三度かけ直しても出ないことに違和感を覚え訝しげに眉を寄せるとスマホをポケットに突っ込み、事前に知らされた部屋へ急ぎ足で向かって行って)
…よし、終わり。(それから数分後には大方荷物の整頓を終え、軽く手を合わせながら一人達成感による笑みと共に立ち上がり。軽く伸びをしながら自然と込み上げてくる欠伸をだらしなく実行し、着替えを片手に風呂へと向かい)
――…っ、信じられねぇ、横取りとか冗談にも程があんだろうが…クソッ!(目的の部屋に辿り着き数十分も経たずに足音荒く部屋から出てきた姿は苛立ちと怒りから冷静さを失っているようで。到着した部屋にはルームメイトの姿はまだ無く、電気も点けず真っ暗なままベッドに仰向けに寝転がり怒りを収めようと一つ深呼吸すれば腕で目許を覆って「…あのクソ野郎。また計画立てねぇといけねぇじゃねぇか」と悪態混じりに独り言ち)
__うわっ!?あ…びっくりした。(ちょうど人の少ない時間帯だったこともあり、満足感から軽い足取りで寮室へと戻り。すっかり暗くなっていた部屋の電気を付けると既に戻っていたらしい相手の姿が視界に入り驚きの声を上げるも、眠いのだろうと再び電気を消すと起こさぬよう配慮しながら二段目のベッドへ続く階段を上り)
(腕で光を完全に遮断したまま浅い眠りついてしまえば相手が戻って来たことに気付かず小さな寝息を立てていて。しかし階段を上る際の軋む音が静かな部屋に大きく響けば反射的に目許を覆っていた手を伸ばし相手の足を鷲掴んで)
わっ…ごめん。起こした?(思わぬ出来事に目を見開き、一瞬少しだけ身体のバランスを崩し掛け。しかしベッド柵を掴んでいたこともあってすぐに持ち直すと足を掴まれた姿勢のまま、「もう帰って来てると思わなくてさ、煩くしてごめん」ともう一度申し訳無さそうに謝罪し)
…いや、煩くねぇから。いきなり悪ィ。(相手の声が耳に届き漸く完全に目覚め状況を理解すれば掴んでいた足を離し、気怠げに上体を起こして目覚め独特の掠れ気味の声で謝罪し。風呂に入っていないことを思い出せばベッドから下り何も言わずに扉へ向かって)
それは別に構わないけど…何かあった?(別段眠いというわけでもなく、自由になった足で下まで下りると部屋の電気をつけ。そのまま何をするでもなく壁に寄りかかり、ボーッとした様子で相手の後ろ姿へと問いかけてみて)
……飯を横取りされた。その所為で次の飯にありつけるのがいつになるか分からねぇ。(部屋の明かりが突如として灯り一瞬目が眩みながらも相手の問い掛けにドアノブに触れようとしていた手を止め一旦下ろし、暫しの沈黙の後にゆっくりと口を開いて)
…飯?(相手の発言の意味を掴むことができず、曖昧な笑みで僅かに首を横に傾け。しかしすぐに何かの比喩と判断すると寄り掛かっていた壁から体を離し、「ないときは俺の分けるしそんな気にすんなって」と元気づけるようにと背後から相手の肩に手を置き)
…最初っから特定の相手を作りゃ悩まずにすむのかもな。(自らに語りかけるように小さな声で呟けば肩に置かれた手を掴み同時に身体を半回転させ相手と対面し、もう片方の手を腰に回しぎゅっと此方へ引き寄せ「その言葉、信じていいのか?」と相手の瞳を見詰めながらどこか真剣な面持ちで問い掛け)
…?うん。だからそんな思い詰めるなって。(想像していた以上の表情を浮かべる相手に驚いて僅かに眉を上げ。しかしすぐに安心させるよう微笑を浮かべながら肯定を示すようゆっくりと一度瞬きして見詰め返し)
…ゆーたんは優しいな。そういうとこ好きだぜ。(此方を見詰める瞳に警戒の色が一切見えなければ相手の善意を蔑ろにしようとしている自分自身に罪悪感が僅かながらに湧き、しかし他に良い案が浮かばなければ相手の耳許に唇を寄せ囁きそのまま首筋に顔を埋め肌に柔く口付け)
…え、なに。(首筋に感じられる柔らかい感触にギョッと目を見開き。驚きで一瞬体が硬直したものの、すぐに正気を取り戻すと空いている方の手で相手の肩を掴み「キリちゃん…?」と心配の色を濃くした声色で声を掛け)
…、ン……はぁ…、(逃がさないよう引き寄せる手に力を込めると口付けを施した箇所に噛み付いて。鋭く尖った牙は柔らかな肌を容易く突き破り、そこから滲み出す血液を舌で丁寧に舐めとれば赤い舌はより赤く染まり口内に広がる甘美な味わいに熱く吐息を漏らして)
いっ、つ__ッ!(これまで感じたこともない鋭い痛みに無意識に体が大きく跳ね上がり、それと同時に相手の肩を掴んでいた手の指先が食い込むほどに力が入り。痛みによる反射で流れ落ちる涙が相手の服の肩口を濡らすのも気にならず浅く荒い呼吸を繰り返し)
…、…泣かせる気はなかったんだがな。(血の味に酔っているのか肩の痛みすら感じていないようで、傷口に唇を触れさせ強く吸い口内に溜まった鮮血を舌で転がし味わえば喉仏を上下させ飲み込み。もっと貪りたい衝動に駆られるも僅かながら残っていた理性が制止をかけ、顔を離せば涙で濡れた相手の表情が視界に飛び込み。赤く妖しく光る瞳を細めると頬を伝う涙を血で濡れた舌で優しく舐めとり困ったように笑み)
キリちゃん…人間じゃ、ねぇの?(人間離れした相手の瞳の色に魅せられたように先程までの痛みすら忘れて目を奪われ。無意識のうちに息を飲みながらも恐る恐るといった口調で問い掛けてみて)
ああ、って言ったらゆーたんはどうする?悲鳴上げて、俺を突き飛ばして逃げんのか?(握り締めていた手を離しその手で血がこびりついてしまった相手の頬をするりと撫で、互いの吐息を感じられる距離まで顔を寄せると口端を上げながら質問を返し)
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