イーゴ 2015-11-27 01:45:08 ID:16fa57fe9 |
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っ…
(忘れるな。その言葉がぐるぐると身体中を縛るように回って消えていった。頭に触れた手、それすらも鎖のように重たくて、リライトが消えた後もただ包帯を持って立ちすくむ。もしかして、もしかしてだけれど、何か危ないものに手を出してしまったのではないか。そう思い至るのに時間はかからない。首に包帯を巻くべく、鏡のある部屋に行こうとそっと廊下に面した扉を開ける。できる限り気配を消して、暗い道を早足で進んだ)
……彼奴、まさか執事に手を出したか。
(もう消えない傷を白い手袋で隠し、玩具も砂の用な形にし『片付けている』と口付けの音と弱いが自分の名前が聞こえる。そして今、壁を通った能力。扉を開ければ目を閉じ集中を初め回りの気配、そして再生の能力者に気付こうとして)
…消えない
(自室、というには暗くじめじめとした部屋の中、割れた鏡に写した首筋にはくっきりと二点の痕が付いていた。グチグチと嬲られたそこは青紫に小さく変色していて目を細める。包帯を巻いて暫く過ごすか、それよりもあのピンクに光った目は…知らないことはまだ多いらしい。ふと、片付け途中だったあの汚れた部屋が気になった)
…美味しいわねこれ。
(人間がよくいる場所、公園のベンチに座ってる。冷えきった所ではあるが己は何も感じない。公園に来る前、コンビニに寄ってあんまんを買ってそれを頬張っている。口の中で広がる甘いあんこ、ほかほかしていて気に入った様子。思わず初めて食べた物に感動しぽつりと独り言を呟いて。)
…静かだ
(異様に静かな屋敷の中はなんだか寂しい気がしたが、私が外出できるのは何かしらの命令があった時だけだ。中庭なら許されるだろうか、ふとそんなことを思い包帯を巻いた首を撫でながら屋敷の外、中庭に出た。白薔薇が咲いている。綺麗だが不気味だった)
>グラッシュ
…さーて、いきますか。
(自室に戻ると真っ先にソファへとダイブして。上記を呟きニタリと嫌らしい笑みを浮かべて、右手をくるくると回すと先ほど砂の様なものになったはずのグラッシュが持っていた純銀のナイフが握られており。何を思ったかいきなりそれを左手の親指にプスリと突き刺すと、親指からは血とは思えないほど黒々と濁った液体が流れ落ちて。するとなんとも言えない禍々しい雰囲気がどろり、どろりと徐々に溢れるように立ち込めてきて)
(ジョーカー様は初見でしょうか?)
っ?
(血の匂いに反応して顔を上げる。中庭に吹き抜けた風が冷たい気がした。目の前の白バラが散る。散って、消えて、なくなった)
………お前か。
(リライトの部屋に気配…そう感じると体を蝙蝠に変化させ外に出て窓から相手の後ろへと飛べば人間に戻りボソリ呟いて。煙たい程辺りに立ち込めた禍々しい雰囲気を破壊しながら『再生』の能力を使い壊したナイフを持つ相手が転がるソファーへと寄りかかって)
…ここには勿体ないくらいに綺麗ですね
(そう呟いて白薔薇をつつく。こんな黒く暗い屋敷よりもっといい場所があっただろうに、植えられて育っている彼らはある意味捕まったのかもしれない。その白薔薇の並を片手で撫でるように歩きながら中庭を進めば大きな門の前で立ち止まった。ここから先は外だ、出ることはない、餌を獲る以外は)
(手を伸ばして門に触れる。鍵はかかっていないからか、揺れて開いた。久しぶりの外は落ち葉が落ちていてすっかり冬のようだが、屋敷の中で生活を繰り返す私には関係がなかった。手を伸ばして落ち葉を拾うと手に持ったまましばらく眺めてみた)
>グラッシュ
俺以外にいるとでも?
(バサバサッ…と唸るコウモリの羽音と共に新たな気配が入り込み、己の気配を消していって。呟きを茶化すように返すと、人型になった彼のタキシードの背を左手でクイと引っ張ると同時に親指の液体を擦り付けて)
……あまり執事には手を出すな。色々面倒だ。
(擦られた液体を疎ましそうに手袋で拭えば手袋を能力で消し去りながら先程聞こえた音と廊下の気配を思い出し短く言って。お前はいつから人間に手を出す奴に成り下がったんだ、そう訪ねて庭にいるイーゴを指差して)
…あれは
(ふと視線を感じその方向を向いてみればなにやらこちらに指を指しているらしいグラッシュ様。頭を軽く下げて後ろ手に門を閉める。紅茶でも飲みたいのだろうか、だとしたらいれなくては。屋敷に戻る道を歩きながらありもしない明るい世界を求めた)
>グラッシュ
つまみ食いくらいでそう嫌そうな顔で見るなよ〜
(そう言うとニタリと笑い首を傾げて。不機嫌そうな彼にぐっと上半身を上げ近づくと、手を伸ばし相手の胸倉を掴んで己の馬鹿力でこちらへと引いて、己の先ほどのイーゴの血で赤黒くなった口と彼の口とを合わさるようにしようとして)
…寒いですね
(小さく呟いて広間に踏み入ると薪をくべる。そして火を起こしてから次の部屋に回った。リライト様の部屋も、オリヴィア様の部屋も、グラッシュ様の部屋も桜様も皆、皆…何部屋回ったことだろう。あまりの多さに右腕が筋肉痛になった)
オェッ……いつからそんな趣味になった。
(先程イーゴがつけてくれた暖炉の火で横顔が赤く照らされる。相手を突き放し避けきれなかった部分を左手で拭いながら右手で【自室の掃除の中止と休養を許可する】この用な手紙を書く。書いた手紙を蝙蝠に渡しイーゴの元へ届けさせながら気持ち悪そうにリライトを見て上記をポツリ呟く。)
…私は
(受け取った紙。大丈夫です、と言おうとした。けれど、それは嘘だ、そんなことはすぐにバレる。目を伏せて「ありがとうございます」と呟いて誰もいない厨房で頭を下げた。人間であるから、駄目なのか。あの程度のことで、と主人は思うのだろうか。本当に優しいのは再生の吸血鬼か破壊の吸血鬼か。痛む頭に苦笑してそっと厨房の古い椅子に腰掛けた)
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