主 2015-11-24 21:00:28 |
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…あぁ、私はただの傘、だからな。
(笑い声にきょとん、とすれば使い方を間違っていたのだろうと思い眉を寄せるが、あまり気にする訳でもなくすぐに素の表情に戻って。人間じゃないという言葉に同意するように首を上下に振っては、相手の視線から逃げるように自身の持っている番傘に視線を上げれば目を細めて)
ただの傘、って――、つまり、あんまり信じられないけど傘が長い年月をかけて妖怪になったって事?
(半ば半信半疑で問うたそれにまさかの返事が返ってくれば、同じようにして相手の持つ番傘へと視線移動させ。そうして視界いっぱいに赤を映しながら考えた結果、にわかには信じられぬし、信じてはいない一つの結論へと導かれ。ぽつり、確認するように言葉落とし視線また相手へと向けて)
私にもよくわからないが、付喪神というやつなのだろう。
(自身の瞳にはこの傘と同じく赤く映る空を見上げれば、昔名前も忘れた誰かに言われた付喪神という言葉を思い出し相手のその言葉に答えるように感情が見えないような声で呟いて。自分は神と言われる程の者でもないというのに、なんて心の中で吐き捨てれば視界に映る赤色を隠すように目を閉じて)
あ、妖怪じゃなくて神様なんだ。へぇ…。何か、本当に居るんだね。僕霊感とかそうのないんだけど、何か嬉しいな。
(神と名のつくそれに大袈裟なまでに肩を竦めると、とりあえずは妖怪と間違えた事への謝罪を口にし。されど後はそれまで。まるで新しい玩具でも見付けた子供のように瞳にありありとした好奇心の色宿しては、ずぃ、と顔を近付けつつ、にんまりと口元笑みを浮かべてみせて)
私も久々に人間に会えて嬉しい…ぞ?
(目は閉じているが相手が近づくのがわかって。少し嬉しそうな色を含んだ声で言葉を零しながら目を開きつつ相手の方へ顔を向けると、思ったよりも近くにおり驚いて初めて大きく目を開いては反射的に体を相手から離して。戸惑いながらもその笑顔を見て悪い気はせず)
―でも、何で僕にあなたが見えたのかな?もしかして僕意外にも見えてる人居る?
(相手が身を引いた事によって近付いていた距離が僅か離れれば、それがおかしかったのかクスクスと笑みを溢し。されどだからと言ってそれ以上近付く事はせず。久々、との言葉に緩く首を傾けては、何故今、このタイミングで自分に見えたのだろうかと考えを巡らせて)
ああ、私は人間に見えているらしい。
(離れてしまったことを少し悪かったと思うも、笑顔を見ればほっとして。相手の質問に此方も思い出すように緩く首を傾けては、確信したように頷いて。瞳に悲しそうな色を混ぜれば街があるであろう方向を見つめてはため息混じりにぽつりと呟き)
…だが、来てはくれない。
ふぅん…。…じゃあさ、僕ここに居ようかな。どうせ家に戻ったって誰か居る訳でもないし
(その言葉でけして自分だけが特別に見えている訳ではない事を知れば、無意識に出たつまらなさそうな声色に乗せてぽつりと言葉落とし。次いで一瞬見えたような陰の映る瞳。その横顔をぼんやりと見つめながらの返答は、何故だか少しばかりトーンの低いもので)
…1人、なのか?
(此処にいる、という言葉に反応すれば先程の瞳とは一変して期待に満ちたような表情で相手の方を向くもその声を聞き、何故か自分が悲しくなれば唇を軽く噛んだ後目を伏せて。長い前髪の隙間から覗き込むように相手を見れば、心配しているのか小さな声で問い)
家にはね。学校とか行けばもちろん友達は居るけど。…ま、僕の話しなんてどうでもいいよ。ね、いいでしょ?どうせ暇だし僕此処に居るよ。迷惑?
(何故自らよりも相手の方が悲しそうなのか。本当に理解できぬと言うように首を傾けては、とりあえずその小さな問いに答えるべく頷き。そうした後は相手と同じようにして瞳を覗きこみつつ、再度確認するようにそう問い掛けて)
迷惑じゃない。
(その答えになにか言いたげに口を開くも、話を中断されてしまい複雑そうな顔で口を閉じて。その問いに食いつくように返事をすればこくりと頷いて。暫し言うか悩んだ後、決心したように頷けば僅かな変化ではあるが薄く笑みを浮かべ)
…居てほしい。
うん。じゃあ決まりね。もうこの際学校も何もかも辞めて、仕事だけしながらここで細々と暮らそうかな。
(居てほしい、それは紛れもなく相手の本心だろう。ほんの僅かではあるが表情変わったの見れば、それ以上に嬉しそうな表情浮かべ。徐に立ち上がってはうーんと伸びを。相手が赤いと言った空を仰ぐと、どことなく嬉しげな、それでいて清々しくも感じられるような音色で以てそう言葉紡ぎ、ちらりと視線相手にやって)
本当に、居てくれるのか?
(少し下がってきていた傘を持ち直せば、立ち上がりはしないが体制を動かしつつ相手を見上げて。話しかけに来てくれた人は居るが、本当に居てくれる人は初めてなので冗談じゃないか確かめるように首を傾げては不安と期待とが混じったような声色で音を紡いで)
(/お返事遅くなって申し訳ございません!)
うん。――あなたの家はこの辺にあるの?どうせなら一緒に住んじゃう?
(様々な感情の入り交じりを音色の中に感じるが、返す返答はなんともあっさりとしたもので。再度相手の横に腰を下ろしては、辺りをキョロキョロと見回した後、まさかずっとここに座り込んでいる訳ではないのだろうと問い掛け、緩く首を傾けて)
(/ 全然ですよ!まったりいきましょう!)
家?私の家は此処だ。
(その自分の心境とは温度差の激しい返答に、まだ少し信じられないものも肯定された事に安堵して。相手からの問いに一瞬きょとん、とすれば後ろにある古めかしい社をゆっくりとした動作で指差し。住むと言う言葉を受ければ人間は自分とは違い生活をしなければならない為、自分の家では暮らせないな、なんて考え)
(/有難うございます!)
――ここが家ねぇ、
(指差されたその方向に顔を向ければあるのは社。神である相手が普通の家に住んでいる訳はないだろうと思っていたが、案の定のそれに若干苦笑いを浮かべ。されどそれを否定するつもりもさらさらないと、至極ゆっくりとした足取りで以て相手のその家へと近付き、目前で軽くしゃがみこんでは、にぃ、と口元吊り上げて)
布団敷けば寝れそうだね。さすがにトイレとかは問題になるから僕の本来の家は手放せないかもだけど。
そんな事したら、風邪をひいてしまう。
(此処に住もうとしている相手に慌てて体を近づければ、知識だけにある人間の脆さを語って。しかし一緒に居てほしいという気持ちも強く体制を戻すと腕を組んで暫し考えるような仕草をした後、思いついたように顔を上げては顔を相手の方に向けて。いい考えだろうと言わんばかりに無表情ではあるが満足気な雰囲気を出し)
…私がお前の家に行く。
風邪くらい、って…本気?神様ってその場所から動けるの?
(社の中をまじまじと眺めながら勝手に寝る場所の模索をしていたそこに、神様からとは思えぬ提案くれば驚いたように振り返り。己の知る知識の中、神様やその分類に値するものは勝手に場所を変えるなどあってはならぬ事ではないのかと緩く首を傾け、また石段へと腰を下ろしなおして)
此処に居たらいつの間にか祭り上げられていただけだ、構わないだろう。
(驚いている相手を見ては面白そうに目を細めて。決められた神という立場に興味もないし、この場所に特に思い入れがある訳でもない為、その問いにそんな事よりもまだ見ぬ今のこの街の姿を考えて気分が上がっているのか先程までよりも多く言葉を紡ぎつつ答え。)
そんな適当な感じなんだね、神様って。まぁいいや。僕ん家ちゃんとプライベートで使える部屋あるし。引っ越しはいつでも歓迎するよ。
(自らの知る知識はどうやらあまり意味を成さないのだろう事をその言葉で知れば、どことなく楽しげな音色で以てそう言葉紡ぎ。そうして己の家があるだろう方角にちらと視線やっては、いつから来る?という意をこめて緩く首を傾けてみせて)
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