匿名さん 2015-11-23 11:32:49 |
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遅いぞ。俺を待たせるな。
(漸く追いついた様子の相手に、この立場を利用してしか言えないような上から目線の仕返しをしてふんと鼻で笑っては相手が開けた扉から中に入り。目を欺くためのただの”ごっこ”だというのにこう丁重に扱われていると何だか自分が高貴な身分の者だったように思えてくるから不思議だ。会場の中は意外にも多くの客で賑わっており、未だオークション自体は開始されていないようであるが、目玉商品であるのだろう、恐らく盗品の大きなダイヤがステージ上に展示されており。再びメモを取るふりをして辺りの景色を撮影し、こそりと隣の相手に耳打ちして)
オークションが始まれば観衆の目線はステージの上に行く。その時にステージ裏へ回り込んで襲撃して資料を取り返すのが一番手っ取り早いと思うんだが、どうだ?
(そんな相手の様子を見て、渋々言っていたのに案外素行の悪い坊ちゃん役をノリノリでしているなぁと微笑み。仕事の関係上、何度か潜入捜査をしたことがあったので今回が初めてのごっこではないが、やはり自分とは真逆の役になりきるのは楽しい。執事役を演じながら辺りを見回す。ステージ上には大きなダイヤ。見覚えがあると思ったら、かのイギリス王室が所有しているはずの世界で二番目に大きなダイヤ、カリナンI世ではないか。確か530カラットぐらいあったようなと考えつつも、今回の目的はそのダイヤではないのですぐに思考を切り替える。周囲を再び見渡せば成金風情や有名な政治家の顔が移る。近くにはボディーガードもおり、徹底している。ふと、横の坊ちゃんから耳打ちをされ内容を理解すると)
はい、了解しました。余談ですが保管場所の目安は付いていらっしゃるのですか?
…いや、わからない。俺もこの船の構造を図面上では見たが実際に其処に入った事はねぇから。
だけど、恐らくオークションに出品する品を保管するための金庫が舞台裏の奥に設置されてるって情報があったから、其処に入ってるんじゃねぇかと思うんだけど。
(オークション会場に入ると相手がじっとダイヤを見ているため、彼も宝石類に興味があるのだろうかと的外れなことを考えており。更には貧乏人らしくあんな大きな、所詮石を買って何になるのだろうと考えたりして。保管場所に関しては若干不安要素こそあれど、そう遠く外れていないだろうと思いながらそう話し。そんな商品を扱う様な金庫の警備が甘いはずもないと思うが兎にも角にもその書類を取り返さないと首が飛ぶ、物理的に。そんな事を考えていれば不意に会場の電気が消え、ステージに灯りがつき。司会者がステージ上に立ち、饒舌にオークション開幕の挨拶をするところをすかさずペンカメラで撮影する。そして、隣の彼に目配せし、再び耳打ちして)
そろそろ移動するぞ、今なら暗いから目立たなくて良い。
なるほど、大体の位置は掴めているのですね。
それなら私も坊ちゃんのサポートがしやすそうです。
(それにしても金庫か。パスワードが簡単に分かるか、既に鍵が開いていればいいけど。取り敢えず自身は宣言通りサポートに徹しよう。ふと、舞台裏までの経路を確認していると会場の電気が消え、ステージにスポットライトが当てられる。タキシードを着た司会者がステージの真ん中に立ち、盛り上げようとしているのか、大袈裟に開幕の挨拶をする。隣の彼の目配せに気付き、少し屈んで聞いて)
承知致しました、坊ちゃん。
(そう呟いて闇に乗じて動き出し)
(耳打ちする為に屈んでもらうというのが何とも言えず頭に来るものの今は喧嘩等している場合ではない。暗闇に乗じてステージ裏へ通じる扉の所まで足を運び、照明が点く一瞬を逃さず扉の中に体を滑り込ませ。上手くステージ裏へ侵入は成功したものの、いつ人が来るかわからず、壁に身を寄せてそっと通りを見て、ステージ上の司会者以外には今は誰もいないことを確認し手早く金庫があるとされる方向へと移動すると奇妙なことに通路は段々と暗くなっていき。金庫が見えた頃、その違和感は増した。金庫の傍に誰も居ないのだ。金庫に手を掛けると予想外に簡単に扉が開き、中には宝石類や絵画、そして目的の書類が入っていた。ペン型のカメラでそれを撮影すると書類を手に取り相手を振り返り)
あっさりと取り返せたな。怖いくらいだ。
(タイミング良くステージ裏へと侵入し、誰もいないことを確認して先へと進む。何人かの見張りはいるかと予想していたものの誰もおらず、おかしいと感じる。ここは豪華客船、しかも闇オークションなので当然警備に金を掛けているはずだ。金庫から書類を取り出そうとしている彼を横目に、取り敢えず辺りを警戒しているが誰も来ない。嫌な予感がする、これは何か決定的な証拠があるわけではなく己の長年の勘だ。こういう状況と言うのは大体嵐前の静けさでーー)
狼君、これはコソ泥を炙り出す為の罠かもよ?
とにかくこの場から早く立ち去ろう。
ああ、何だか妙だ。早く…っ!?
(相手の言う通りこんなに簡単に機密資料を取り返せるはずがあるのだろうかと考え込むように眉を顰めた瞬間、閃光弾が炸裂し。一瞬彼の仕業かと疑ったが、今ここでそれをすることで彼にメリットがあるとは思えず。咄嗟に目を瞑るものの直ぐに若干開き、ナイフを取り出し襲いかかる気配を避け、恐らく相手が居るであろう方向に回し蹴りを食らわすと案の定鈍い感触が。漸く晴れてきた視界で辺りを見渡すと、複数人の男達に取り囲まれており。やはり罠だったかと軽く舌打ちをして銃に変えたい所ではあるが、ここで発砲等すれば大きな騒ぎになってしまう。少し躊躇っていればまた襲ってくる相手の手の中のナイフを自分のナイフで弾き、ぐいと手首を掴めばそのまま背負い投げを決め、相方である彼の方にチラリと視線を遣り)
おい、どうすんだ、コイツら…!人数的に完全に不利だぞ!
突然の眩い光に、やっぱりハメられたかと冷静に考えつつ咄嗟に目と耳を守る。ここは狭い部屋だ。跳弾を恐れて銃を積極的に使ってくる可能性は低いはず。そうなれば相手の武器は近距離系の獲物だろう。そう思っていれば、背後から何者かの気配が近付いてくる。ホルダーのナイフを素早く投げれば「ぎゃっ!?」と短い悲鳴が一つ聞こえ。数秒おいて呻き声が発せられる。やがて視界が良好になるものの周りは数人の男達によって囲まれており。思わずこの楽しい状況にニヤリと笑ってしまいそうになる。潔く飛びかかってきた相手を軽く避け足を引っ掛けて転ばし、その首にナイフを突き立てる。頸動脈を切ったのか無駄に血が出る。けれども血が服や顔に付いたのもお構いなしに、さて次は誰を殺せば良いのかと視線を上げるが何やら相方が焦っていたのでへらりと笑い)
一人ずつ確実に殺していけば何とかなるよ。
あっ、狼君には厳しい?
(相変わらず軽い動作で敵を始末していく相手に若干感心し見入りそうになり。しかし、そんな悠長なことをしている暇もなく敵は次々と襲い掛かってくる。背後から来た敵の攻撃を避け、脇腹を狙って蹴り上げると後頭部に踵を落とし、ナイフで止めを刺し。向こうは全く問題なさそうだ。むしろ問題はこっちか。彼と違ってナイフになれているわけでも近接戦が得意なわけでもない。唯一人より秀でている射撃の腕は此処では発揮されない。しかしながら、より強い敵を目指すのであれば射撃の腕だけでは戦えないことも十分にわかっていた。だから、今日は軽い練習だ。耳に入った相手のいつも通りの毒舌に舌内打ちのみを返すと斬撃を避ける様に軽く後方へ飛び、素早い動きでカウンター攻撃に出て。相手が怯んだ隙に脇腹に肘を叩き込み、そのまま壁まで蹴り飛ばし心臓を一突き。ナイフを抜いてその血液を軽く払うと飛びかかってきた相手の刃を自分の刃でいなし、後ろに回り込み喉を掻っ切って。大分少なくなった敵陣営を眺めながら頬についた血を拭い)
うるせえ、こんだけ人数が居ると間違えてお前も殺しちまうかもなぁ?
(軽く背中を押すようにすれば、更に相手は次々と敵を倒していき。慣れないナイフと昨日負傷した左手で案外やるもんだなぁと思いつつも、手首を捻って床に押し付けた敵の首の骨を踏み付けるように足で折る。隙をつこうと背後に回って来た相手を一瞥することなくナイフを投げて。バランスを崩した敵の懐に入れば眼下からその腹を掻っ切る。やはり銃よりもきちんと殺したと分かるナイフと肉弾戦の方が好きだ。血が付くのはどうでもいい。それに殺しとなれば、敵の血を撒き散らさずに出来る性分ではないことはとうに自覚済みだ。一応、自制をすれば出来るが血を流させないように始末する暗殺は楽しくない。別に自身が血を見るのが好きとと言うわけではなく、どちらかと言えばそれを見て怖気づいたり怒ったりする他の敵の表情を見る方がメインで。血は負の感情を煽るのに便利なだけだ。そんなことを胸にしまい、雑魚狩りをしていること屢々。後ろで戦っているであろう相手からの挑発を一瞥して)
へぇ、面白いこと言うね。
(ニヤリと不吉な笑みを零す。うっかり声も威圧的なものになってしまったことに気付くが、何にせよこちらが交戦中に煽りだとしても自身に敵意を示した相手がいけない。しかし、素早く切り替えて彼ににこりとした笑みを返せば前へと向き直り、最後の一人を倒していき)
…はー、これは随分派手にやっちまったな。
(何時もより威圧的な相手の声に、彼の本性を見た気がして思わず口角を上げ目の前の敵の喉笛を掻っ切れば、振り向きざまもう一人の顎を蹴り上げ、脳震盪を起こしているところに躊躇いなく心臓を一突き。相手が最後の一人を倒したのを見て漸く終わったと辺りを見渡せば其処ら中血塗れになっており。見れば自分も相手も返り血をかなり浴びて真っ赤になっており、困ったように頭を掻き。さらに困った事には何の配慮もなく咄嗟にスーツの内側に閉まった書類にも血が飛んでしまっており、これにはさすがに何も言えず若干青白い顔で口を噤み。仕方なかったと自分に言い訳をしつつ床に転がっている死体のひとつを軽く蹴ると功績の証拠の為にカメラで写真を撮り。しかし、この状態の自分達が人の目に止まってしまえば間違いなく何をして来たのか素人目にもバレてしまう。スーツの上着を脱いでみたもののやはりシャツにも返り血が飛んでいる上、真っ赤なズボンは脱ぐことすら出来ず、さらに困ったように腕を組み)
しまったな…どうやって部屋まで戻るか…。
うーん、ちょっと派手にやりすぎちゃったね。
(死体の山と血の海。おまけにセットした髪は乱れて、血で洗い流されたかのように銀髪も落ちかかっている。スーツも返り血でべったりだったので上着を脱ぐ。そう言えばここには防犯カメラは無いのか。まあ、警察に調査された時に証拠として押収されたら言い訳は出来ないしねと思いつつ脱出経路を探ろうとするが。何やらバタバタと駆け付けてくる足音が聞こえ)
マズイな……一旦隠れてやり過ごそう。来るのが会場にいる要人だったら殺せないし。
(騒ぎを聞き付けた闇オークションの参加者だったら殺すに殺せない為、一時的にこの場で隠れることにする。けれどどこに隠れようかと考えていると目に映ったのは、部屋の隅で眠らされている白ライオンが入った檻で。鍵は掛かっているが檻が大きいため隙間から入れそうだ。足音を立てずにライオンまで近付いて、スタンガンを当ててやれば「ぎゃん!?」と一鳴きして動かなくなる。きちんと気絶したことを確認して、白いライオンの背後に隠れ)
……狼君もこっちに隠れなよ。気絶させたからこのライオンは起きないし。早くしないと見つかるよ?
あー…こりゃ困ったな…
ライオンの後ろに隠れる日が来るとは思ってなかったが…仕方ねぇな、手段は選んでられなそうだ。
(此処を抜け出す方法を考えていなかったのは痛かった。そもそも何かあれば銃で殺す積もりだった為にこのような事態は想定しておらず。だから近距離戦などするものではないと大きなため息を吐いていれば遠くから足音が聞こえ。相手がライオンにスタンガンを当てているのを見た時には流石に唖然としたものの、今はそこに隠れる他無さそうだ。咄嗟に白いライオンの背後へ移動して屈み身を隠し少し顔を出して外の様子を伺っており、何かあった際の為に拳銃を音もなく取り出し安全装置を外し右手に握り締め)
そうそう、利用出来るものは何でも利用しないと生き残れないからね。
(そこまで言うと、バタバタとした足音は大きくなり。それが近くで一斉止まると「きゃあああああぁぁッ!!」「おい!ひとが倒れているぞ!?」「ひいいいぃ!ちち違う!ここここれは死体だ!!」「うわああああああぁぁ!!」地獄絵図を見て阿鼻叫喚。慌てふためく光景を直接見たいが顔を出したらバレてしまうので音声だけで楽しむ。今来たのは反応からするに戦闘能力の無い要人達だろうと見通して。やがて蜘蛛の子を散らすように再びバタバタとした足音が遠ざかり、この部屋が静寂を取り戻すと檻から出て。一緒に隠れていた彼を見遣り)
じゃあ、早いとこ脱出用経路を見つけようか。逃げて行った要人達が助っ人を呼んで来ない内にね。
(さっとペン型のカメラでその光景を撮影してはすっと再びライオンの後ろに隠れ。恐らくこんな死体を見たことの無いお綺麗な格好をした金持ち達だろうと想像すれば少しばかり笑えてきて。人の気配が無くなり檻から出た相手を見て自分もライオンの後ろからそろりと抜け出し外に出ればぐるりと辺りを見渡し。来てきた通路から帰るというのは駄目だ。オークション会場は今ごろパニックになっているだろう。そうすれば来た道を更に進んでいくしかないが。ゆっくりと通路に人が居ないか確認しながら歩いていくと、少し考え込むように歩みを止め。裏オークションの会場であれば、恐らく警察に包囲された時に要人を逃がすための通路がいくつかある筈だ。そして、そういう物は大抵普段隠されている。おもむろに辺りを見渡すと先程のライオンの檻の後ろの壁の色が若干だけ周りと違うことに気付く。成程、常人であればライオンのそばになど近づくまい。再びライオンに近づき檻の後ろへと回り込むと壁に手を当て少し押してみるもののびくともせず。少し困ったように振り返り)
隠し扉みたいなのは発見したんだが、どうやったら開くのかわかんねぇな…くそ…、早くしねぇと人がまた来ちまう…
あっ、そっちにあったんだ。
……それで、隠し扉の開け方か。
(密輸してきたであろう白いライオンを隠し扉の番人のように置いているなど、ここのオーナーも用心深いなと思い、別の場所を見ていた為そちらの壁へと近付いていく。途中、無造作に置かれている高そうなバレエ人形の置物や道化師の人形やルビーが嵌め込まれたカラスの銅像や細かい模様が描かれた壺を押し退けて進み、彼の元に辿り着く。確かに他の壁と若干色合いが違う。しかし開かずに困ってる相手を見遣り、たぶんどこかにボタンがあるだろうと探っていると。不意にその隠し扉の前の足元の床には何やら意味深な文字列が書かれていて)
『3.12.15.23.14 αβ』
なるほど、暗号か。きっとこれの下にでも開くボタンがあるんだろうね。
暗号?何だ、これ…
(彼が示した足元の床の文字列に目を落とし。こんなに時間がない時に一体どうしてわざわざこんなまどろっこしいことをするのだという理不尽な感情を誰にもぶつけられず顰めっ面で暗号を睨み。そもそも頭の切れない自分が幾ら暗号と格闘しても解けるはずがないのではないだろうか。意味のわからない数字を眺めながら首を捻っていたが途中で期待の眼差しを込めて隣の相手を見て)
お前なら解けるか?
うん?もちろん解けたよ。
ーーじゃあ、時間も無いことだし、僕はスイッチを押してくるからその間にでも暇潰しに狼君も解いてみなよ。ヒントはそこにも書いてある通りαβだよ。
(そう言って、そこに書かれていた例の物を探して行き。闇オークションの出品とガラクタを押し退けて例の物を見つけて退かせばその下にはスイッチがあって。彼は暗号が解けたかな?と思いながら、スイッチを押して隠し扉を開けて戻って行き)
スイッチを押して来たよ。
それで、それが何を指しているか分かったかな?
…え、本当に解けたのか?
(期待してたとはいえそこまで直ぐに解けているとは思わず驚き相手を見て。さっさとどこかへ行ってしまう相手を見てもう一度暗号に目を落とすも数字が踊っているようにしか見えず。うんうんと首を捻りながら唸っていれば相手が戻ってきた為顔を上げ、わかったかと聞かれればまた馬鹿にされると思いながらも首を横に振り立ち上がり)
わかんねぇよ、何だよ、この数字は。
あれ?分かんなかった?
一から説明すると、この数字から少し離れた所に書いてある、α(あるふぁ)β(べーた)って言うのはギリシャ語で、実はアルファベットの語源なんだよ。それで横の数字『3.12.15.23.14』は意味深に区切られているでしょ?アルファベットと数字。つまりは数字をアルファベット(A〜Z)の順番と照らし合わせていけば『c.l.o.w.n』になる。英語で道化師と言う意味だね。そういうわけで、さっき来る途中にあった道化師の人形を退かして下にあったスイッチを入れて来たよ。
(矢継ぎ早にそう言ってにこりと微笑む。暗号と言うには大袈裟で、どちらかと言えばなぞなぞのような問題だった。よくある手法だなぁと思いながら開いた扉に視線を向けて)
それじゃあ、隠し扉の中に入ろうか。
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