匿名さん 2015-11-23 11:32:49 |
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ああ。兎に角俺らは目立たないように。ただそれだけだ。
(相手の言葉にうなずき、最後に一つ忠告をして部屋を出て。既に出航しているというのに船は流石に豪華客船だけあって波の揺れや不快感を感じず。中央ホールに入ると、成程確かにテレビで見かけたことのある顔がチラホラとあり情報は本当だったのだと改めて実感しつつ、やはり自分はこのような場は似合わない人間であると自覚し。キョロキョロと辺りを見回してしまいそうなのをじっと押さえ部屋の番号の印字された紙のあるテーブルまで向かい)
(テーブルの上には、まるで絵画に描かれているかのような豪華な食事が並べられていて。カルパッチョにタンドリーチキン、その他色々色とりどり。側にはウェイターがワインを持って待機している。立食パーティーかな?と思いつつ坊ちゃんこと彼を見ると落ち着かなさそうにしていて。まあ、何だかんだで大丈夫だと考えて出航を祝うパーティーの開始を待ち)
(席に着いて間もなく、主催者の挨拶と共にパーティが始まる。皿を持ち適当に食材を取りつつ量を取りすぎないように注意する。並べられている食材はどれもいつも自分が食べている安物の食事とは異なり美味しそうでうっかり量を忘れてしまいそうになるがマナーの観点上は制止しなければ行けないのが心苦しいところであり。乾杯の際ウェイターに注いでもらったワインには未だ口をつけず。そこまで酒には強くないため程々にしないと仕事が出来なくなるなと思いつつ食事を取りながら辺りを見渡して観客達をさり気なく観察しており)
おぼ…銀。お前も酒は程々にしろよ。
ご心配無く、私はお酒に強いですので。
坊ちゃんこそ酒に飲まれぬよう気を付けて下さいね。
(にこにこと微笑んで、ウェイターに入れて貰った上質な白ワインの香りを楽しむ。一口飲めば上品な味が広がり、思わず舌鼓を打ちそうになった。赤ワインも飲みたいところだが、いくらワインが好きでお酒に強くとも今は仕事中なのでそれを頼むのは止めにしておく。彼に釘を刺されてもいるし、ここは素直に言うことを聞いておくのが吉だ。周囲の様子を伺いながらもロブスターやローストビーフなどの食事をマナーを守りつつも楽しみ。パーティーの開始からそれなりの時間が経ち)
…善処する。
(ワイングラスに口を付け少しずつワインを飲んでいくのだが、美味しいしそれなりに値段がするのだろうとは思うものの正直普段飲んでいる物と違いがわからない。これだから貧乏な舌は嫌だと内心自嘲してグラスをテーブルに置くと再び料理に口を付け。暫く経ち、パーティからパラパラと人が帰り始めた頃を見計らい一言隣の相手に声を掛けて部屋に帰ることにして。現在の時刻は21:00。若干アルコールのせいで頭がクラクラするが後三時間あれば直るだろうか。取り敢えず出るときにボトルの水を一本貰い部屋へと戻ると張り詰めていた気を解き一度深呼吸をし、設置されているふかふかのソファに腰をかけ先程貰った水を呷りつつ)
にしてもマナーやら何やらと疲れる物だな。適当に日本の大富豪でバカンスで船に乗ったと言ったらそれを信じて媚を売ってくる奴は居るわ、あの島はどうだ、あの国はどうだと金持ちをひけらかして来る奴は居るわ、本当にどうなってんだ。お前がまともに見えてきたぞ…。
お疲れ様。ははっ、媚を売られている君を見ているのは実に楽しかったよ。笑いを堪えるのに体力的使っちゃった。まあ、お金持ちはみんなプライドが高いからね。自慢も娯楽の一つなんだよ。
(先程のパーティーの社交時間で、彼が大企業の社長や大物俳優、資産家などの会話に辟易していた様子が面白く、偶に助けはするものの基本自分は見ているだけだった。ある意味であまり助けを出さずとも彼一人で何とか会話が成立していたと言うことでもある。しかしながら、すっかり相手は疲れている。ふと、そう言えばとリボンの付いた細長い茶色の箱を取り出して彼に差し出し)
酔いが酷そうだけどトリュフチョコでもいる?
さっき社長令嬢の人に貰った物だけど、糖分はアルコールの分解に必要なものだから摂取しておくとそこそこ楽になるよ?この後の仕事で倒れられても困るしね。
あのなあ…お前は良いだろうな、後ろに立ってりゃいいだけだから。
自慢が娯楽だなんて聴かされる方にとっちゃいい迷惑だぜ、ほんと。
(変に金持ちの坊ちゃんだと名乗ったのが悪かったと内心後悔しつつ、人間というのは本当に地位や身分等のステータスに弱い生き物だと実感させられ。極希に手助けをしてくれたとは言え基本後ろに立ってにこにこしていただけの相手はさぞ良かっただろうと恨めしそうな声を出しつつ。しかし、相手が差し出した箱を見ると少し顔を上げてそれを見ると無造作に手を伸ばして受け取り箱を開け。一体いつの間に貰ったのかやら執事の分際で社長令嬢に物を貰えるとは所詮人間は地位ではなく顔だったかと先程思ったことを改めて上書きしつつ言いたい事も沢山あったが正直ここで言い合いをしていては疲労で体が保たない為珍しく反発せず受け取り。箱から一粒チョコを指で摘むと口に入れてじわじわと広がる甘味に美味だと思いながらゆっくりと咀嚼して)
あー…そうなのか、じゃあ貰っとくわ。ったく、必ず一杯は最初にワイン注がれるなんて聞いてないぜ…。
ちゃんとフォローはしてあげたよ?だって、僕が坊ちゃん役をしたら身長的に変だしさ。
それと、初めは乾杯とかするから入れたんだろうね。にしても本当に弱いんだ。
(そうクスクスと笑って、自身も一つトリュフチョコを手に取って口に運ぶ。程よい苦さと甘味。さすが社長令嬢、執事への贈り物ですらかなり良い所の物だ。箱を裏返して見れば納得の店名で、世界に名の通るチョコレートの会社。こんなに美味しい物ばかりを食べていたら舌が肥えそうだと思いつつ、相変わらず気怠そうな相手に視線を戻し)
船のデッキにでも行く?夜風に当たればマシになるかもよ?それにせっかくだから豪華客船の探索もしたいし。
時々思い出したようにな。って身長は関係ねえだろ!背の高い坊ちゃん居たらどうすんだよ、失礼だろ!
だからって全員ワイン強制は良くないぜ…そりゃ烏龍茶とか入れても雰囲気でねぇけどさ…
悪かったな、弱くて!アルコールはモロに頭に来るから良くない。
(おかしな所にツッコミを入れては口ではあの場では言えなかった不平不満を垂れ。チョコを飲み込み甘ったるくなってしまった口を水で戻せばふと相手をぼんやりと眺め。敵からチョコを貰って食べるだなんて二日前の朝には想像もつかなかったことだ。更には重要な任務に其奴を呼ぶだなんて通常では考えられないし、今考えても実に奇妙である。重要機密文書を扱う事案であるからこそ、敵、特に『Apatheia』には気を使わなくてはいけないのに、よりによってその幹部に協力を要請するとは、仲間にバレたら大バッシングどころでは済まない。いつ裏切られるかもわからない、そんな相手をどうしてこんなに近くに置いているのか。何処かであの時取られる筈だった命を相手に預けている部分がある事に気づいて少し表情を険しくする。もっと慎重にならなくてはいけないはずなのに、いつの間にか相手のペースに飲まれてしまっているではないか。大きくため息を吐くも、しかし実際命のやり取りを通じて相手の技術には信頼を置いているのも事実であり。やれやれと思いながら相手の言葉に遠くへ飛ばしていた意識を引き戻し立ち上がり)
ああ、そうするか。まだ時間もあるし、万が一のために逃走経路も見ておきたいな。
大丈夫だって、あまり見掛けた事ないから。あっ、そこでスパークリングジュースとかじゃなくて烏龍茶が出てくるんだ。庶民らしいね。
うんうん、確かに只でさえ回らない頭がこれ以上回らなくなったら良くないもんね。
(毒舌かつ饒舌。少し酒が入っているせいか、普段よりもやや上機嫌そうに言い。けれども変わらずにへらへらとした雰囲気で。そして、彼が外に出ることに同意したのを見れば、座っていたベッドから立ち上がり。扉を開け)
じゃあ、行こうか。
(小さなシャンデリアがいくつも飾られた船内の長い廊下を歩き、やがて固く閉ざされた通用口から外のデッキに出る。少しベタついた潮風が吹き、塩気を帯びた匂いが漂ってくる。目の前には静かに波を立てている真っ暗な海が広がっていた。辺りには明かりなど一切無く、暗く吸い込まれるような景色を仄かに照らすのは、船内から溢れる僅かな室内の明かりのみ。海外映画の如くムーディーな雰囲気に、ついここには仕事で来ていることを忘れそうになる。そう言えば二階のデッキにはプールもあると説明してしていたようなと案内係の言葉を思い出し、贅沢な船だなと改めて感じる。運の良いことに自分達以外には人っ子ひとりいないデッキの右端まで行き)
万が一の逃走経路だけど、ここから見えるあの救命ボートが使えそうだね。
そういう問題じゃねえ!
うっせ!どうせ庶民だよ!
それに余計なお世話だ!
(いつにも増して饒舌に毒を吐く相手に突っかかる様に怒鳴りつけると扉を開き外へ出ていく相手を追って部屋を出て。ふかふかとした絨毯を噛み締めるように歩き廊下を進み、先にあるデッキへの扉からデッキを開くと当然の事だが外は既に真っ暗で。波の音と潮風に少し確かに酔いが覚めるような気がして大きく一度深呼吸をすると相手の後に続いてデッキの端へと歩いて行き、その救命ボートを確認し。出来れば船からちゃんと港に降りたいが最悪の場合はあの船でこの隣の男と2人脱出することになりそうだ。若干だがスッキリとした為手摺にもたれ掛かりながら星空を見上げ、時間を確認すると23:00。仕事でなければ優雅なクルーズを楽しめるのにと思いつつ)
あぁ、俺としてはなるべく避けたいがな。
勿論、僕もそれは避けたいね。
ーーにしても、君も随分と警戒心を解いちゃっているね。今夜は良いとして、あまりこっちを信用しない方が良いよ?……いつか寝首を掻かれるかもよ?
(ナイフを一本取り出して、それを手の中で遊ばせるように回し、悪戯っぽく笑う。相手を煽ると言うわけではなく、彼の首を心配してのこと。この裏社会、仲良くなってから裏切られるなんてザラだし。借りを返すことと面白そうだからと言うことで、のこのこと付いてきた自身が言うのもどうかと思うが、それでもそれなりに相手のことは警戒している。一応気を許されるのは悪くない。でもやはりその爪と牙は研いでおいてくれた方が好みだ。とは言っても、相手もそのことは自覚済みだろう。だからこれは釘を刺しただけで、彼の反応を伺い)
俺の命を心配する前に自分の命を心配した方がいいぜ。
お前を信用してるわけじゃない、利用してるだけだ。
確かにお前の戦闘技術には充分の信頼を置いてるが、お前の人格に関しては1度も信頼を置いたことなんてねぇよ。
(ナイフを取り出した相手に一瞬警戒するように瞳を細めるものの相手の目的が自分の命を奪うことに無いことはわかっていたのですぐに表情を元に戻すとひらりと軽く手を振りつつ半ば呆れたように声を出し。確かに何度か共に戦闘をする中で、本当に相手が仲間で完全な共闘関係にあったならと思う事はあったが、事実は事実、敵である以上は完全な共闘関係等有り得ないとわかっていて。しかし、何処か無意識に彼を頼ったりペースに飲まれたりとしている側面があることも否めず、彼の警告は最もであるどころか敵がするにしては親切すぎるほどであり。すっと音もなく銃をジャケットのポケットから取り出し相手に向けると疑うような眼差しを向け)
使える迄はお前を使う。だが一切の貸し借りが無くなって利用価値がなくなったら俺だってお前をどうするかわかったことじゃないぜ。
(最初に会った時と同じ鋭い眼差し。射殺すような視線に吊られて自身も口角を上げてしまいそうになるが、このタイミングで本性が滲み出た不吉な笑みを見せたりしたら益々警戒されるだろう。ここは我慢我慢。それにしても、やはり関わっていて楽しいし叩きがいがあって彼は良い遊び相手だ。初めは部下にしたかったけど、今考えるとこうした敵意を向けられるのは相手が敵ならではのことだろう。そう考えるとこの方が良いのかもしれない。……あまり入れ込み過ぎない為にも。利用価値と彼はそう言っているものの自身は相手に利用価値は求めていない。ただ気に入っているだけ。だから彼がこちらに利用価値が無いと判断しても程よい距離で追いかけ回そう。勿論、程よいとは言っても逃がす気など無い。それにどうするか分からないと脅されても退く気は無いしやられる気もない。そう思いながら、ゆるりとした笑みに変えて)
うんうん、その意気だよ。そうして貰ったほうが僕も有り難い。君がうっかりヘマをして死んでしまわない為にもね。それに、獣は牙と爪を研いてこそ価値が発揮されるものだしさ。
ったく、何でお前はいつもいつもそう上から目線なんだ?
(ふ、と緊迫していた空気を緩め呆れた眼差しで相手を眺めつつくるりと指で銃を回し。三回転程させて元の通りの位置で持ち直すと行く宛の無くなった銃口を隠すようにポケットにしまい直し。そうだ、間違えてはいけない。最終的な目的はこの眼前の男を撃ち殺し、敵方に損害を与える事だ。これは一時的な協定に過ぎず、口約束はいつでも裏切ることが出来る。だが、今はまだ駄目だ。一昨日、彼との力の差をありありと見せつけられたばかりだ。口では生意気を言いながらも戦闘的な技術では未だ彼の足元にも及ばないのはわかりすぎるほどわかっている。自分では未だ彼の寝首を掻く事は出来ない。煽られて焦ってはいけない。相手の力量を見極めなければ直ぐに死んでしまうと学んだばかりだ。つまり、それは長期戦を、そしてその間何らかの形で彼と接点を持ち続けなければいけないことを示していて。そこまで固執せず自分の能力に見合った敵を探せばいいと言われるかもしれないが、彼に固執するのは彼が幹部だからというだけではない。一昨日、彼と対峙したあの日感じた背筋の毛が逆立つような感覚。今までにない強敵に対して感じたそれをもう一度感じたい、そしてそれを越えたいのだ。拳を握りしめ静かな殺気を瞳に灯すとふと相手の双眸から視線を外しくるりと背中を向けて)
そろそろ時間だ、このまま行くか?部屋に戻るか?
さあ?癖かな?
(強いて言うなら、狼君より立場も身長も上だからかな?と言ってしまいたいのを抑えて。さっき空気を悪くしたばかりだから少し控えようと感じて、はぐらかすようにへらりと笑み。それにここからは共同戦線。借りを返す身なので大人しくしていよう。銃をしまった相手を見て、張り詰めていた空気が和らぎ、自身もナイフをくるくると回してベルトのナイフホルダーにしまう。背中を向けて問い掛けてきた彼を横目に時刻を確認して)
今は23:30か。そうだね、このまま行った方が楽だけど忘れ物はしてない?僕は全部武器は隠し持っているから寄らなくても平気だよ。
悪癖だな。直した方が良いぞ。
(大真面目な表情で相手に忠告するように言って。夕食パーティの前に武器は全て上着の中に隠したので忘れ物はしていない、筈だ。もう一度それぞれの武器の位置を確認すると忘れ物が無いことを確認して歩き出し。デッキをあとにして扉から船内へと戻り長い廊下を歩いて裏オークションの会場へと向かうとその最中にも参加者と見られる人間たちが同じ方向へ向かっているのを見てさっと自然な動作でペン型のカメラでその姿を撮影し。その中にはどこかの成金の様な身なりの者やテレビで見かけたことのある様な顔などもあり。いよいよホールの前まで来ると振り返り相手を見て。)
銀、合言葉は覚えているだろうな?
勿論です、坊ちゃん。
合言葉は”時雨色、朱鷺色、硝子色”ですよね。
(今朝がた電話で聞いた特徴的な色を三つ言い、執事っぽいポーズをしながらサラリと答えてみせる。その合言葉を言えば、一人一本薔薇を配られ、それを胸ポケットに挿すことで正式な参加者であることが証明されるとも言っていたっけな。洒落ているなと思いつつも闇オークションだから中は警戒態勢は厳重なのだろう。やりごたえがありそうだ。鼻歌を歌いたい気分で、早く入ろうと無言で目の前の坊ちゃんの背中を軽く押して促し)
ああ。間違えるなよ、客は歓迎されるがそれ以外ならば取られる処置は一つだ。
(過去には合言葉を間違え、その場で抹殺された者も居るという。合言葉と言えども注意が必要だ。小声で相手に注意喚起しては尚もワクワクとした様子の相手の表情に少しため息を吐きつつ扉を押し部屋の中へと入り。指定された 壁、その横にいる警備員2人がいっせいに視線を投げかける中をなるべく悠々と、毅然とした態度で1歩ずつそちらへ向かっては相手の耳元で小声で合言葉を囁き。頷きを一つして返事の代わりに無言で薔薇を差し出されれば何とか笑みを作り礼を述べて薔薇を無胸ポケットに挿して後ろの執事の準備が整うのを待っており)
準備は整ったか?早く入るぞ。
(見た目は只の警備員。しかし、ピリピリとした雰囲気から察するに裏社会の出身だろうなぁと呑気に見遣って。その二人に先程の合言葉を伝えればスッと手慣れた動作で薔薇を渡されたので会釈をして受け取り。電話で聞いた通りに胸ポケットに挿して、参加する資格を持っていることを示せば、律儀に待っていてくれていた彼の元まで歩いて)
お待たせ致しました。
ええ、ではさっそく中へと入りましょうか。
(目の前の扉を開けて坊ちゃん故に彼を先に中へと通して、自身も闇オークションの舞台に足を踏み入れ)
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