匿名さん 2015-11-23 11:32:49 |
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なぁにが“偶々”だ!そんな偶々あるか!
(店内の視線が全てこちらに集まっているのに気付き大きく溜息を吐くとこめかみを押さえ今度は小声で怒鳴りつけ。御構い無しに席に座りメニューをめくっている相手の姿をもう一度確認すれば優雅なランチが何故こうなったのだろうかと深い絶望に陥り。確かに同じ町の中にいればすれ違うこともあるかもしれない。だが、だが、何故今日。しかも店の中で相席まで。しかしもう追い払うわけにも行かず現状を渋々受け入れ再びメニューを捲り)
だって、僕が狼君を追いかけ回すメリットなんて無いでしょ?その首を取っても無駄骨だしさ。だから偶々だよ偶々。
(店内に気を使っているのか小声で怒鳴る相手とメニューを交互に見ながら念を押すようにそう告げ。それにしても初めて入った店な上にネットで調べたのも勿論嘘なのでどれが良いのか見当が付かず。しかもイタリアンは無駄にメニューが豊富な為、ここは常連客に聞こうと顔を上げ)
まあ、そんなことよりもさ。せっかくのお昼なんだから気分良く昼食を終えようよ。
それで一つ狼君に聞きたいことがあるのだけど、ここのメニューでオススメの料理って何だか分かる?
お前なぁ…無駄骨って…
(相手から見れば確かに自分は一介の構成員。確かにそうかもしれないが。ここで会ったのがわざとでないなら今日は余りにもツいていないとげっそりとした表情で思い。そんな訳でメニューを聞いてきた相手に少しばかり意地悪を返してやろうと思い激辛で有名なアラビアータを勧め。断らせる隙を与えず店員を呼ぶとそれと、自分用に蟹クリームのトマトリゾットを頼み)
あー…それならアラビアータとか凄く美味いからお薦めだ、頼んどいてやるよ。
すみません、アラビアータ一つ。それから蟹クリームのトマトリゾット一つ。
へぇ、この店はアラビアータがオススメなんだ。唐辛子を効かせたトマトソースのパスタだよね。
ちなみに狼君。一応、言っておくけど僕はこの店のオススメのイタリアンを知らないだけで、名前を聞けばそのイタリアンがどんな物なのかぐらいは分かるからね。
(最後を強調するように告げて、これから辛い料理が来るのはお見通しだという風に微笑みかけ。もう使わないだろう相手のメニューを取り、まとめて横に立て掛ける。暫く相手をからかって待ち時間を潰していると、思ったよりそれほど待たずにアラビアータと蟹クリームのトマトリゾットが一つずつテーブルに置かれ、フォークを手に取り)
辛そうだけど美味しそうだね。
いただきます。
……
(相手はどんな反応を示すだろうかとニヤニヤとしながら見ていたが相手の言葉にあえなく撃沈。料理を待っている間もからかわれ続けそろそろうんざりした頃に料理がやってきて。リゾットをスプーンですくって食べながらこんなはずではなかったと思いつつ。しかしもしかしたら彼の想定より辛いかもしれないと淡い期待を込め相手の様子を見遣り)
頂きます…どうだ?美味いか?
うん、辛いけど美味しい。アレンジして振り掛けられたパルメザンチーズやパセリともよく合ってる。仕事中じゃなかったらワインが欲しいところだよ。
(相手の期待とは裏腹に美味しいものを食べて気分良く饒舌に言い。隠し味には何を使っているのかと気になって、コンソメやケチャップとかかなと思いながらフォークを進め。そう言えば彼にまだ言ってなかったとにこにこしながら、しかし少し意地悪く皮肉を込めて)
これを頼んでくれてありがとね、狼君。
…ッ、ドウイタシマシテ。
(僅かな期待はやはり呆気なく打ち砕かれ。美味しそうにパスタを食べていく相手はいつにも増して饒舌であり本当にパスタの味を楽しんでおり。一方自分も大好きな蟹クリームのトマトリゾットを食べている筈なのに味があまりせず、若干不機嫌なところに追い打ちをかけるような相手の皮肉。こめかみに青筋が見えるような笑顔で片言に相手に返し)
嫌だなぁ、そんな怖い顔しちゃってさ。
(相手の無理矢理な笑顔を見て、お手本だと言うようにへらりと緩やかに笑いかけて。またもや上機嫌そうにフォークを進めていく。じっくりと煮込まれた真っ赤なトマトソースを更に引き立てるかのような鷹の爪のピリ辛さ。しかし、その辛味だけが主張するのではなく振り掛けられたパルメザンチーズとパセリの風味がパスタと絡み合って丁度いい。擬似食レポが出来てしまうほどに美味しかった。綺麗に食事を終えて少し休み。テーブルの端に置かれていた会計表を手に取ってそのままレジに向かうと、二人分をカードで払おうとして)
お昼代だけど僕の方で一括で払っちゃうね。オススメしてくれた料理が美味しかったお礼だよ。
…美味しく食べてもらえたみたいで良かったデス
(完全にからかわれていると思いとってつけたような敬語で言うと溜息を吐き。いつの間にかトマトリゾットはなくなっており、腹も満たされたが味がわからなかった事が心残りである。先に食べ終えて休憩している相手を見ながら水を飲みつつ奇妙な偶然もあるものなのだと思い。と、いつの間にか会計票を手に取りレジへと向かう相手に少し目を丸くして自分の分くらい払うと言おうとしたものの相手の手にカードがあるのを見て変に現金を出すと面倒なのだろうかなどと考え、僅かながら恩を売られるのは相手が相手だけに嫌だったが取り敢えず礼を言ってそうしてもらうことにして)
そうか、…どーも、じゃあ頼んだぞ。
会計はカードお願いします。
(先程のウェイトレスにカードを渡して手早く会計を済まして外に出れば、気持ちの良い穏やかな日差しが差しており時間帯も相まって眠気を感じさせる。スマホを見れば着信履歴やメールは無く、まだ少しは外を歩けるかなと思い後ろの彼に振り返って)
狼君はこの後の予定は何かある?仕事とかさ。
…いや、ねぇけど…
(外で相手が会計を済ませるのを待っていれば、出てきた相手にこの後の予定を聞かれたため素直に答えてしまってから素直に言わない方が良かったかもしれないと後悔し。しかし、昨日の任務でボスからは3日の休暇を用意してもらっているので少しくらいならば相手に付き合っても構わないかと思い)
へぇ、じゃあさちょっと本屋まで付き合ーー。
(言い終わらない内に突然の悲鳴。急いで振り返れば、お洒落な並木道を慌ただしくバイクで駆けて来る覆面を被った人間と後ろで転んでいる女性が目に映り。「泥棒よッッ!!誰か捕まえて!!!!」覆面の男が持つバックの持ち主だろうか、その女性は顔を上げて周りの人に助けを求めるかのように叫んでいて)
…あ?
(不意に聞こえた劈くような悲鳴に神経を瞬時に研ぎ澄ませて見ると、恐らく引ったくりか何かだろう、女物のバッグを手に持った覆面の男がバイクで女性を振り切り走っており。丁度いい。内心で思わずほくそ笑んでしまった。丁度今、ストレスがたまっていた所だったのだ。人助けをする主義ではないが今日ばかりは引ったくりは運が悪い、しかしストレスの発散相手になってもらおう。バイクで走る相手が横を通過する瞬間、その腕をぐいと掴み。バランスを失ったバイクは横転し、事態が把握できない様子の男をそのまま蹴り上げると首筋を手刀でとんと叩き気絶させ、一連の動作で道路に転がった鞄を手に取り転んでいる女性の所まで行くとぐいと腕を差し出し)
おい、ちゃんと鞄くらい持っとけよ。
(「あ……ありがとうございます!」と女性は感謝の言葉を述べて鞄を抱きしめるように受け取り。怖さで微かに震えていたが「後のことは自分が処理します」と言い、自ら警察に電話を掛けていて。けれど「もし良ければお礼をしたいので貴方も一緒に来て頂けませんか?」と彼に言っており、思わず見えない所で苦笑してしまう。仮にも知らないとは言え、マフィアの一員に警察への同行をお願いするなんて、相手に自殺行為を促しているものだと考え。取り敢えず、面白そうなので黙ったまま彼と彼女のやり取りを少し離れた所から見ておき)
お…おー、俺は用事あるから、じゃあな!
(相手が警察を呼ぶのを横目で見ていたが同行を求められるとギョッとして視線を泳がせしどろもどろになりながら断ると逃げるようにその場から小走りで去り。やはり女は苦手だと思いながら朧の姿を探すと離れたところでこちらを見て笑っており。相変わらずな奴だと思いつつむすっとした表情で相手の元へ戻り大きくため息を吐き。ストレス解消にはなったが一瞬心臓に悪かったので滅多なことはするものではないなと思いつつ)
お前はそこで何笑ってんだよ…
いや、恩を仇で返されそうになっていたから面白くてね。
(くつくつと笑みを抑えるように笑いながら相手を見遣って「お疲れ様」と労いの言葉を掛け。警察が来る前に移動しようと思い、少し歩き始めるように促し。ふと、ここは裏社会の中でも綺麗な建物が並ぶ地区なのにと思いながら整然とした並木道とレンガ通りを一瞥し)
それにしても、どこでも治安は悪いんだね。Ataraxiaが管轄する地域でもこの地区は高給取りが住んでいるところなのに。
ありがた迷惑って奴だな
(この場合相手の言葉は最もで肯定するように言葉を重ねて。あの女性は全く悪意なく、純粋に礼をしようとしたのだろうから何とも言えず奇妙な気分になる。そして、彼の指摘通り、この地区はまだ治安が良い筈であるが、あんなこそ泥紛いの引ったくりが出るとは。最近少し自分達の権威が落ちていることを何となく察しており。今まではマフィアの牽制により軽犯罪は少ない傾向にあったが最近はマフィアの目を気にせず蔓延る輩が増えている。そろそろ睨みを利かせなければそんな輩の集団に潰されないとも限らないと思い)
確かにそうなっちゃうね。
(ありがた迷惑と言う言葉はしっくり来る。女性に悪気は無いのだけれど、無知と言うのは恐ろしい。ーーしかしながら最近はどうにもここら一帯を纏めるApatheiaとAtaraxiaの二強のマフィア以外の下位組織や第三者組織の活発化が目立ってきている気がする。一昨日の薬物バイザーのバックもまだ掴めていないもののどうにもきな臭い。嫌な前触れではないと思いたいものだ。そう考えつつさっきの話の続きをしようとし)
それで、先ほど言いかけたことだけど、このあと暇なら本屋とかに付きーーーー……もしもし?
(再びの妨害。今度は突然の事件などでは無く本部にいる新人の部下からの電話で。自分でも驚くほどそれを煩わしく思いつつも声色自体は変えずに出て対応し。電話の向こうからは慌ただしい声と足音が聞こえてきて。混乱している新人の部下をどうにか宥めながら内容を聞き出せば、どうやら彼がヘマをやらかしたようであり。つまりは新人の部下の尻拭いの為に、今すぐ帰らなければならなくなってしまったと言うことだ。正直面倒だなと考えつつも、それをわざわざ口に出すのもどうかと思い相変わらずの笑みで隣を見遣り)
ごめん、急用が入っちゃった。仕事に戻らないと。この埋め合わせは近い内にするよ。
じゃあ、またね狼君。
埋め合わせは要らねぇよ、ほら、さっさと行け。
(ボスの耳にこの事は届いているのだろうかと若干心配になるものの一概の下級構成員の自分がボスに謁見など特別な用事がない限りは出来ず、さらに言えば進言など尚出来ず。あのボスの事だから何も知らないというはずはない、と信じているが。やれやれとため息を吐き本屋くらいなら付き合ってやるかと思った瞬間今度は相手のスマホに電話がかかってきたようで。直後、彼が帰ると言う話になったので何か仕事の連絡だったのだろうと容易に想像すれば埋め合わせなどされた暁にはまた会わなければいけなくなると思い煩わしそうにしっしっと手で追い払うような仕草をしては手をひらりと振り組織の方向へ向かい歩いていくもののどうも面白くなく)
ありがとう、バイバイ。
(彼がAtaraxiaの組織へと戻って行く姿を横目に、自身もApatheiaの本部へと戻って行く。どうにも消化不良だなと考えて、何故か少しモヤモヤとした気持ちを抱えたまま先程の新人の部下へとメールを一通。『帰ったらお説教三時間コースだよ』と滅多に使わない音符マークを添えて送信。まあいい明日があると前向きに思って、厳重な警備がされた門を警備員に自身の通行証を見せて通り過ぎる。そうして、本部の中へと入って行き、仕事が再開され)
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