YUKI 2015-11-22 03:41:28 |
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第一話_出会い
昔、誰かが言っていた。
『ねぇ、優斗は知っているかい?』
『何故、花は、雪は、命はそして**はあんなにも綺麗に見えるのか』
『それは、必ず始まり、必ず終わるから・・』
僕、鵜川優斗(ウカワユウト)はその先の言葉と、その言葉を述べた人物を思い出すことができない。
大切な言葉、大切な人のはずなのに夢の中で手を伸ばそうとしたその時、『ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピ』というこうるさい目覚ましの音に優斗は目を覚ました。
いまだにうるさく鳴り続ける目覚ましのアラームを寝ぼけ眼でOFFにし、一度欠伸をしてから優斗はベッドからゆっくりと降りた。
時計の時間を見てみると、朝の七時一分と表示されている。
「なんだよ、今日から冬休みなのに何でこんなに早く鳴るんだよ」
休みの日に目覚ましのアラームで早く起こされ、不満げに優斗は眼を擦りながら呟く。
しかし、冷静に考えれば昨日アラームを解除しないで床に就いたのは優斗自身であると自覚するのに、それほど時間はかからなかった。
ため息を一つ吐き、クローゼットからグレーのパーカーを引っ張りだして、部屋着の上から着ると、優斗は一階のリビングへと向かう。
優斗の家は庭付きの二階立てである。
家族は父親と母親と兄と優斗の四人だ。
とはいえ、現在は父親の単身赴任先に母親がついて行っているので、実質、兄と二人暮らしということになるだろう。
父親も母親も、兄は大学生だし、弟は高校生ということを考えると、『もう年齢的に個々で判断出来るだろう』と判断したのだろう。
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