T 2015-11-21 21:53:02 |
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(ぎゅっと唇を噛み締め悲痛な表情をする彼女に気がついた。心配そうに彼女の様子を伺う。この手を離せば床に叩きつけられた硝子細工のようにバラバラになってしまいそうで。ほんの少し彼女の手を握る力を強めた。)
ん? なんだ?
(訝しげにこちらを見つめる両の目。心の中の全てを見透かしてしまいそうな瞳にたじろいでしまう。自分の名前を彼女が呼ぶのは何年ぶりだろう?)
…此処だ。好きな花を摘んだらいい。
(しばらく歩いてたどり着いたのはひらけたところだった。暗い森とは対照的に、明るい光が野草や草花を照らしている。男は昔の事を思い出していた。不意に彼女の手を離して口を開いた。)
昔、俺には友達がいた。あんたみたいな赤髪の女の子だった。
こういう花の沢山咲いたところでも遊んだ記憶がある。
リトリーといるとそういう昔の事を思いだすよ。決して良い思い出じゃないけどな。
(こんな事話すつもりは全く無かったのに。彼女の前では自分の何かが変わる。サフィラスにとってあの記憶は人間に拒絶された記憶だった。リトリーの両親はサフィラスを殺しかねない剣幕で追い払った。もう少し去るのが遅れていれば本当に殺されたかもしれない。完全な狼でなければ完全な人間でもない男は孤独を痛感していた。)
此処…、やっぱり貴方は、
(開けた土地に溢れんばかりの花々。美しく陽に向かって花開く其れは神々しくも有り。そして此の場所を知っている人はそう多くは居ない。先程迄考えて居た、問い質して仕舞いたい感情を揺さぶる彼の質問は答えが自ずと導き出され。間違いでは無い、彼は昔己と遊んでいた。紐が解ける様に、今迄心の奥深くに仕舞い込んで居た記憶が頭を駆け巡り。もう一度、確かめる様に彼の名前を反芻し、不謹慎な場で有る事も理解した上で、再び出会えた嬉しさに口許を緩め。__離れていく掌を寂しく思ったのも束の間、戻ってきた記憶頼りに駆け出して、昔彼の頭に被せた花冠を作る為に花を幾つか抜き出して。白詰草を土台に、紅色の花を幾つか入れ込んで。其の場に座り込んでは、慣れた手付きで編み出して)
…出来た…!…サフィラス、サフィラス!
(僅か数分、直様作り上げられた花冠は多少の不恰好さは有る物の、昔よりも美しく。綺麗な輪を保った侭の其れを腕に掛けて、出来上がったことを喜んで。彼の頭に乗せる為に作ったもの故に、早く渡したいと言う気持ちに急かされる様に彼の名を読んで。彼は喜んでくれるだろうか、其れとも__嫌な記憶を、思い出させてしまうだろうか。そう考えると、先程迄の浮かれて居た気持ちは何処へやら、手に有る花冠を何処かに隠して仕舞いたい衝動に駆られ)
(彼女は何か呟いたようだったが、その言葉の断片を繋ぎ合わせ意味を考える前にリトリーは花々の中にしゃがみ込んで花を集めはじめた。どうやら花輪を作っているようだ。辺りに気を配りながらそんな彼女を見守っていた。その一挙手一投足が心を掻き乱す。)
どうしてまた出逢ってしまったのだろう。
(うわ言のように小さく呟いた言葉。出逢わなければ、心穏やかに暮らせただろうに。)
……!
(自分の名を呼ばれて自分が物思いに耽っていた事に気がついた。光の中で赤いワンピースがふわりと踊る。美しい花輪が見えた。なんだか妖精か何かを見ているような気持ちだ。それくらい彼女は儚げに見えたのだ。しかし次の瞬間、彼女の表情がさっと曇る。見覚えのある花輪に注意がいったのはほぼ同時の事だ。遠いあの日より幾分濁ってしまった青い目は今初めて真っ直ぐにリトリーを捉えた。彼女が1度瞬きした刹那、男は消えてそこには黒い狼だけがいた。成熟した大人の雄狼の体長は少女の身長を優に超える。音もなく近づくと少女の前で腰を下ろした。)
(それから狼が消え、片足をついて跪いた男が現れたのも彼女が1度瞬きをした一瞬の出来事だった。)
久しぶりだな、リトリー。……本当はもう二度と君の前に現れまいと思っていた。その方が君は幸せだろうから。
(不意に立ち上がりそっと彼女の真っ白な頬に手を触れる。)
でもどうやらもう遅いらしい。
(ぱちり、一つ瞬きをした瞬間に彼は消えた。__否、彼で有り彼では無い者へ変化して居た。然し其れは、過去に見たことの有る様な。小さい子供が成長した姿を急に見た様な感情が心を支配して。先程迄考えて居た負の感情など何処へやら。頬に触れる暖かい指先は彼の存在を確と教えて居て。此の指先が離れてしまえば、もう二度と。そんな事を考えるも刹那、何かに感情を支配される前に、思ったままに地面を蹴り出して。大きく息を吸い込んで、腕を広げて。其の侭勢い良く彼に抱きついては、落ちた花冠等知ったことでは無く。唯々腕の中に彼が居る事実、其れだけが本物で。彼の頬に擦り寄って、耳元で名を零して。冷え切った体がじわじわと芯から温まって行く様な感覚に、嬉しさが抑えきれず。ずっと良い記憶ではなかった筈の思い出も、出会うと此処迄変わるのか、と驚くほど。強く強く抱き締めては、縋る様な声で)
何処にも、行かないで。…お願い、
(唯、側に。其れは切実なる願いでも有り、我儘でも有った。人は幼い侭では居られない。成長して行けば、思考も変わる。だから、分かってしまうのだ。彼を此処に縛り付けることは、再びあの日の様な惨劇を起こすのだと。親が、強い力が私達を引き離すのだと分かって居ても。頭で理解為ることは簡単だが、其れでもいつ迄も解く事の出来ない彼の首に絡めた腕は、理性の糸などとっくに切れて居る様で)
(/サフィラス様の書き込みより3日経ちましたので、上げさせていただきます。明後日にはリセットになってしまいますので、何か一言でも書き込んで頂けると幸いです。 お待ちしております)
(/当トピのルールに則り、キャラリセをさせて頂きます。僅かながら素敵なお相手様とお話し出来ましたこと、心より感謝申し上げます。
お相手様が別の所で良縁に恵まれます様、微力ながら願って居ります。
また、キャラリセに際しまして、再募集をさせて頂きます。
>1 をご覧頂ければどの様な物か分かりますので、其方をご覧の上で参加希望を出していただければ、と思います。
其れでは、良縁を願いまして)
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