従者 2015-11-17 11:56:22 |
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(クライドの目に映ったのは、既に液体となったスライムとそれを観察している主のカレン。血がつかないように仕留めたウルフを二匹持って、彼女の元に戻ろうと振り返る。矢継ぎ早に、彼が足を進めようと一歩踏み出したーーその時。パチパチと乾いた拍手と、「姉ちゃんと兄ちゃん、アンタら意外と強いな!」と感心した言葉が複数聞こえてきた。音の正体は、他の旅人達に雇われている傭兵達。二人が戦っている間は、邪魔にならない所から固唾を呑んで見守ってくれていた。どうやら今の言葉から察するに、カレンとクライドが勝つことを期待していなかったようだが、無傷ですぐに魔物を倒した二人を見て、認識を改めた屈強な男達はやるじゃねぇかと快活に笑って褒めていた。どうだ!主様はお強いだろう!と誇らし気に言いたいのを我慢して、クライドは小さく会釈を返す。周りのキャラバンは「さぁて、それじゃあ再出発だ」と動き始め、二人に挨拶をすると王都の方面に向かって馬を走らせていく。それを横目に、クライドはカレンの元へと戻って来て跪き、ウルフの亡骸を横に差し出すと)
主様、ご無事で何よりです。
それとどうぞこちらをお納め下さい。
(/やっぱり手間がかかるからですかね?;/ 二人とも敵には容赦ない部分がありますからね笑/ あっ、魔物を倒した後ですが、黒霧のように消えて金と道具が落ちる(ゲームドロップ式)か丸ごと死体はそのまま(リアル式)か、どちらが良いですかね?本編進行状況の都合上お相手様にお任せします…!ウルフとスライムの描写?的な意味で)
……魔力反応が残っていれば効果あり、と。最悪全身返り血まみれになっても何とかなるな。
(周囲の反応や賞賛などどこ吹く風でスライムの死体を見分し終えると、先ほどの浄火の魔術の小規模版を指先に展開する。ポッと白い小さな火が灯り、次の瞬間には火傷一つ残さずスライムだった液体のみが消え去ったのを見て、カレンは己の編み出した魔術の完成度に満足げな笑みを浮かべれば背後からかかった従者の声に立ち上がってそちらを振り返り)
ん、ご苦労。
(短い労いの言葉と共に一体のウルフの亡骸を受け取り、光の無い瞳と視線を合わせて魔力の波長を探る。すると先ほどのスライムと同じ波長ではあるが若干反応が強く、魔王から供給される魔力量は魔物の知能に比例するのではないかという仮説が思い浮かんだ。――考察する価値はあるかもしれない。そんな事を考えながら亡骸を地面に横たえれば「そっちは頼んだ」と一言告げておもむろに聖剣を抜き放って、ざっくざくと豪快にウルフから牙と爪を剥ぎ取り始める。本当ならこのまま研究室に取って返したいが、如何せん旅立ったばかりの身だ。街道を抜けるにはもう暫くかかり、宿場では落ち着いて調合に励めるような環境はないだろう。元々高給取りであった上に支度金をたんまりせしめて来たので別段金に困っているという事も無く、また荷物が増えるのも遠慮したいため、回収と持ち運びが楽でそれなりの値段で売れる爪と牙だけを持って行こうという算段だ。見る人が見ればとんだ聖剣の使い方に目を剥いただろうが、生憎とここ王国において一般人にはその姿形は知れ渡っていない。――それと言うのも、一般に適合者を募る前に王宮の関係者であるカレンが選ばれてしまったからなのだが。やがてパーツを回収し終えれば付近の葉で軽く拭ってから腰の革袋に放り込み、真っ赤に染まった片手を先ほどと同じ要領で綺麗にすればつと視線を上げて従者を見遣り)
手を出せ、燃やす。
(/どうしても長くなりますから、多人数トトピには向きませんしね…orz お互い以外に好戦的なんですよね、ガチギレすると手に負えなさそう(笑) 最終目標が魔王をバラすことなのでリアル式でお願いしたいです!少々面倒ですが牙とか爪とか売っぱらってお金に変える感じで、内臓とか血はそのうち研究に使うと勇者が後ろで申しております←)
(カレンがウルフの魔力を探り終えるまで、クライドは膝をついたまま周囲に気を配る。主が望むことを他人に妨害させないのもまた従者の務め。念には念を入れて、武器である片手剣は抜刀したままだ。ーー暫く待機をしていると魔力の探りは済んだのか、そっちは頼んだと一声かけられる。クライドは聖剣でウルフを解体し始めるカレンを見てその意味をすぐに理解すると、彼女が視線を向けていない二匹いる内の一匹のウルフを見遣り)
お任せあれ。
手早く解体して差し上げましょう。
(跪いたまま、相変わらず堅っ苦しく承諾をする。しかしながら外面では平常心を保っているもののどうやら主に頼られるのは嬉しいようで、クライドは待ってましたと言わんばかりに意気揚々と与えられた指示へと行動を移す。首の無いウルフの胴体と頭を持って、邪魔にならないよう砂利道の端に移動をする。刃が傷むといけないので愛用の片手剣は使わずに、代わりに旅用にと買った小型のナイフで解体を始める。料理に剣術と刃物の扱いには慣れているものの、元々不器用であるクライドは捌き方の勝手が分からず地味に苦戦する。但し、こんなことで音を上げては従者としての立つ瀬が無い。幸いにもあちらの様子を見れば手のかかる毛皮は剥ぎ取っておらず、牙と爪だけを取り出している。持ち運びを重視しているのだろうか?とにかくそれだけなら早く済みそうだと解体に集中し、不器用ゆえに血まみれになってしまったが何とか彼女よりも先に牙と爪を取り終える。すっかり手と服が汚れてしまったと思いつつ、この先にある旅人ご用達の宿屋か教会で洗えばいいと返り血のことは後回しにした。布で拭いた牙と爪は道具袋にしまい、残りの残骸は手に持って主の元へと帰る。カレンは戻って来たクライドの顔と手にある残骸を交互に見て、燃やすといった処分の方法を提示する。彼女の魔術の腕を信頼している彼はその言葉に一切躊躇うことなど無く、了解致しましたと一言伝え、両手を差し出し)
(/向かないですよねー……なので多人数には参加したことないです。/勇者様ほどのスペックだとオーバーキルが出来そうです!笑 /リアル形式で了解しましたー! /と、背後会話の有無は如何致します?自分はお相手様に合わせますので遠慮せずに仰って下さい!)
(足元に残った残骸を軽くつついて燃やしてから立ち上がり、以前騎士である兄がそうしていたように聖剣を軽く振って血を振り落そうとするがどうにも上手くいかない。2・3回試すも成功する気配が無いと見れば、生粋の魔術師は何事もなかったかのように炎で浄化して聖剣を慣れない手つきで鞘に納めた。勇者の剣、とは使い古された言葉であるが、ならば何故素直に剣士を選んでくれないのか。3国を試すようなやり方と言い、正直信じてもいない神への不満を地味に募らせつつ、残骸をこちらに差し出している従者に視線を戻せばその手に下から軽く触れて)
……丁度いい、少し試そう。
(独り言のように呟くや否や、クライドの手の中の残骸と両手を染める血が温度の無い白い炎によって消滅する。彼の袖口以外の返り血はそのままだが、それは想定通りの結果なのか手を離してから「"燃えろ"」と先ほどよりも更に短い詠唱を紡ぐとそちらも綺麗さっぱり消え失せた。魔術と言うのは基本的にかけた手間が威力や効果に比例するもので、先ほどの戦闘も含めた一連のカレンの動作はその確認作業である。欲を言えばもう少し検証したいところだが、生憎と材料となる魔物の第二群は来そうにない。まあこんなもんかと眼鏡を軽く押し上げれば、クライドを促して歩き出し)
行こうか。……この先の教会に用事があってね、今日の宿はそこにしよう。
(/多人数は以前、終止ロルではなく終止形禁止と言われて?!となった記憶が… でも何だかんだで一番怒らせちゃいけないのは従者さんだと思うんです(笑) トリ忘れはお気になさらず!本体会話はどちらでも大丈夫ですよー!ただご相談したい事があるので問い合えず今はお願いしたいです(笑) でですね、道具袋という言葉にピンときたのですが、かさ張りがちな旅道具(勇者は主に研究道具ですが…)を入れられる四次元ポケットまたはゲームのアイテムボックス的なものが欲しいなぁ、と。魔術で空間拡張した鞄とかってアリですかね?)
(相手の魔術によって現れた白い炎が、魔を払うかのように残骸と返り血を消していく。まるでその光景は穢れを浄化するかのような神聖さで、魔術は神様と大精霊様からの贈り物だと伝えられているのも腑に落ちる。確か火の大精霊はサラマンダーだったなと、クライドは昔に読んだ教科書の一文を思い出していた。ーーとにもかくにも、せっかくのご厚意を余所に感動をしている場合ではない。不浄なものを取り除いて頂いた主に彼は一言「お心遣いに感謝します」とこうべを垂れる。気にするなと言った風に行こうかとカレンは先へと進むことを促して、急いで顔を上げたクライドもその後を追って横に並んで歩き始め)
それにしても主様が教会にご用事ですか。
ーー分かりました、到着時の宿泊手続きなどはこちらにお任せ下さい。
(相手の信仰心が薄いことを知っている為、教会にはどのようなご用件かと聞きたくなるものの詮索をするのは野暮になる。無理に聞かずとも着けば分かること、仮に分からなくても主様が目的を果たせられたらそれでいい。そう思いながらクライドはカレンと共に穏やかなハーメリア街道を歩いて行く。ーー数時間後。まっさらだった青空は次第に赤みを帯びていき、時計を見なくても夕刻が迫っていることが分かる。今や緑の絨毯は夕日に照らされて、黄金の稲のように輝いている。遠くでカラスが不気味な鳴き声を発し、生暖かい風が顔を撫でた。周囲に建物が無いためハーメリア街道は王都よりも暗くなるのが早い。夜にならなければいいがと心配を胸に秘めつつ二人は砂利道を歩いていく。やがて、何とか日が暮れてしまう前に明かりが灯った教会を前方に見つけ)
主様、本日の寝床が見えて参りましたよ。
あともう一息です。
(/何と!確定ロル対策ですかね?/ 暴れる時は大いに暴れます笑、なのでその時は主様が一喝して下さればと/ 了解しましたー!背後は私も話し合いたいことがあるので今は続けたいなと思っております/ 凄くありです!むしろ便利なのにその発想は無かったのですぐさま採用させて頂きたい…!色々なダンジョンアイテムを出しても無駄にならないですし!)
お前に一任する。
(奇跡を行使する魔術師でありながら己が信仰とは対極に位置していると自覚しているカレンは、クライドの反応も想定済みなのか薄く笑うだけで振り向きもしない。しかしこれは別に気分を害している訳ではなく、己の従者が問いかけて来ないことを分かっているからこそ、必要以上の言葉を重ねないだけだった。人間関係においては怠慢も甚だしいが、この二人に関して言うならいつも通りであり、これを信を置いていると見るかどうかは人それぞれだろう。クライドの申し出に一つ頷けば街道を進んで行き、やがて日が陰り始めて斜陽が道を照らす頃になると、途端に周囲を行きかう人々の足も忙しなくなる。いつでもどこでもおやすみ3秒なカレンは野宿だろうと何だろうと気にはしないのだが、少し歩く速度が速まったクライドの心配を察してか遅れないよう並んで歩いた。やがて前方に教会の明かりが見えてくれば頭の中で悪戯に弄んでいた魔術式を霧散させ、そして意識を現実に戻した瞬間。一瞬だけ教会の裏手の森の方から魔力の気配を感じ、眼鏡の奥の瞳を細めたところで声がかかり)
ん?あぁ…そうだな。――どうやら間に合ったみたいだ。
(どこか心ここにあらずと言った様子でクライドの声に反応して、魔力の気配が完全に途切れた事を確認してから返事を返す。そして独り言のようにぽつりと呟きを落とせば、もうそれ以上は何も言わずに教会の門の前に向かい)
(/なるほど、終止形への熱い風評被害が… たまには主らしい所を見せなきゃですもんね、頑張らせます!(笑) ありがとうございます、お話しながら世界観を練っていくのがすごい楽しいです! 勇者のステータスは恐らくMPと魔攻魔防に偏っているので、着替えとか寝袋とか諸々背負って徒歩の旅とか魔王城着く前に死ぬんじゃないかと思って考えました(笑))
(教会を見つけて横を見れば、どうやら考え事の邪魔をしてしまったようだ。カレンの意識の先がこちらでないことを察したクライドは性急に返事を求めるかのような素振りは見せず、ただ数秒の静寂に身を任せる。主に対して気まずいなど思うわけが無く、むしろ幼い頃から慣れ親しんだ相手のペースは居心地が良い部類に入る。ーー暫し待てば、彼女は返事と共に何か意味あり気な表情で上記の言葉を呟くが、けれど悲しいことにクライドは魔力の感知に鈍く、微かなモノであれば一般人と同じように気付くことなど出来ない。故に、その呟きが何かを示唆しているとは夢にも思わず、日が暮れる前に教会へと辿り着けたことの言葉だと認識し「ええ、一安心しました」と返した。果たしてそれが、吉と出るのか凶と出るのかは今の時点では誰にも分からないだろう。ーーそうして、教会の門へと共に進めば、有り難いことにまだ鍵は開いていた。クライドは片手で右の門を開き、押さえながら先にカレンを中へと通す。薄暗くてはっきりとは見えないが、庭先の芝生の上には教会まで導くように丸い石のタイルが点在している。門を閉じて明かりのついた教会の扉の前まで行くとベルが見当たらず、仕方なしにトントンとノックを一つ。ものの数秒で白く長い髭を携えた高齢の神父が顔を出してきたので声をかけ)
このような時間帯に済まない。
俺達は旅をしている者だが、教会に一晩泊めて頂きたいと思いこちらを訪ねた。
おお、それはご苦労なことだ。しかし生憎と部屋が一杯でね。悪いが泊めることはーーーー。
……おっと神父様、言い忘れていたがこれはほんの気持ちだ。なに、宿代ではなく歴とした神様への献金。貴方が受け取っても誰もお咎めにならない。
(布に包んだ金貨を差し出せば顎髭を撫でていた神父の手がピタリと止まる。その中身が金貨であることを確認すれば、先程の断る雰囲気は何処へやら。「そう言えばまだ部屋は空いていた気がするのう。儂の勘違いじゃった」とホラを吹き、礼拝堂が待ち構える教会の扉を開ける。ーーちなみにクライドは、主のカレンと同じく神など信仰していない。路地裏にいた頃、どれだけ神に助けを乞うても慈悲など得られなかった。そんな地獄の底に、手を差し伸べてくれたのは主様のみ。だからもしもカレンが神に背を向けたとしても、クライドは必ず彼女に着いて行く。そこには依存も恋慕も使命感も無く、ただ彼を突き動かしているのは言葉に出来ないほどの感謝と恩返しの心。まあ、神に背くとは例え話だが。ーーそんなわけで献金と言うのは嘘で、賄賂の隠語のようなモノだ。中には良い神父もいるのだが、今回はどうやらハズレのよう。何はともあれ寝床は確保できたので、主を先に教会の中へと通そうとクライドは片手で扉を押さえながら)
お待たせしました。
どうぞ、中へとお入り下さい。
(/終止形スキーとしては切なくなります… おお!楽しみにしてます!/ 同じく練るのが楽し過ぎてなりチャしてて良かったと感動してます…っっ! /従者は半面HPと物理の攻防に偏っているので、荷物持ち要因ですが人間故に限度があったので助かります(笑)/ 何やら本編で不穏な空気が漂いましたが、果たして従者が気付かないのが正解だったのかどうか…!展開に震えてます。/そして試しにシリアス?成分と連続会話なるものをしてしまいましたが……駄目でしたら遠慮なく御指摘下さいませ!)
――お見事。
(二人によるある種定型文のような会話が終わり、神父の華麗な手のひら返しに笑いを噛み殺していると扉を抑えたクライドに中に入るよう促される。追い抜きざまに短い賞賛と共に軽く従者の肩を叩き足を踏み入れれば、ニコニコ顔の神父が揉み手をしながらこちらを見ていた。善意100%で迎え入れられるよりは利害関係がはっきりしていた方が落ち着くが、終始この調子というのもそれはそれで面倒臭い。……さて、どうしたものか。対応を決めかねて片手で髪をくしゃりと掻き回していれば、話し声を聞きつけて来たのか奥の扉から一人のシスターが姿を現す。美しい腰までのブロンドに翡翠の瞳、聖母という表現が似つかわしい見た目二十代後半のそのシスターは、カレンの姿を認めるや否や驚いたように目を丸め、ふんわりと慈愛に満ちた表情で微笑み――)
遅い!先月には来る約束じゃなかった?!
(――叫んだ。神父が耳を抑えて目を白黒させる中、カレンはと言えばそれ想定していたのか己の耳を塞いでいた手をそっと降ろして腕を組む。目の前のシスターこそこの教会への用事であり、学院時代の同級生、クレアだ。遅い、保たない、手遅れになる。そんな事を捲し立てている彼女に「……君ね、私だって忙しいんだ」勇者になってからは特に、と心の中で付け足しながらぞんざいな返事を返せば、納得していないながらも部屋には案内してくれるらしい。状況が呑み込めていない神父を完全に置いてけぼりにしたまま目線で従者に着いてくるよう促してその背中を追えば、来客者を泊めるための部屋がある一角に辿り着き)
――細かい説明は省いていいわよね。この並びは全部空室だから好きに使ってちょうだい、食事とかはアンタの部屋に持ってく。どうせ礼拝も出ないんでしょ?……じゃ、消灯したらいつもの場所ね。寝たら怒るから!
(怒涛のように言いたい事を言い終えたシスターは最後にカレンに向かって釘を刺すようにびしっと指先を突きつけてから、クライドに向かって最初の聖女じみた笑顔で会釈をすると声を掛ける間もなく身を翻して去って行く。残されたカレンはやれやれとでも言うように苦笑しているが決して不快そうではなく、どちらかと言えば楽しげだ。足音が離れていくのを聞きながら並ぶ扉の中から裏の森に面している角部屋の扉を選んで開けば、中に消える直前にクライドに視線を向け)
――旅装を解いて少し休んだら私の部屋に来るといい。流石に少し説明しよう。
(/終止形が一体何をしたと言うんだ…! ね、年に2・3回ぐらいは(小声) もうトピ主様に出会えたことに感謝感謝です…! いざという時咄嗟に動けないと困りますしね(笑) 見切り発車で伏線を放り投げたので、どちらが正解かは実は背後にも分からないです← いえいえ、どちらも大丈夫ですよ!NPCとの会話も不可欠ですし、神父さん良いキャラしてます!こちらこそシリアス吹っ飛ばす系シスターを投入してしまいましたがだ、大丈夫でしょうか…?)
(お見事と、賞賛の言葉を受け取ったクライドは思わず綻んでしまいそうになる口元を、気付かれる前に慌てて籠手を付けたままの手で抑える。別にやましいことをしているわけではないのだが、従者が一々喜びを体現していたらさすがに鬱陶しいだろう。だから喜び方は最小限に、謝意は気持ちを込めつつもスマートに述べる。そうクライドが思っているとカレンに入る様に促されたので、彼も続いて教会の中へと入る。ーーと、何やら奥の方から妙齢の女性が出て来た。格好からするにこの教会のシスターだろう。どこかで見たことがあるような無いような、そう一瞬悩み掛けたが、すぐにその思考は主に向けられた相手の「遅い!」との叫び声で吹き飛んでしまう。完全に耳をやられてしまった。考え事に気を取られて、耳を塞ぐ動作が遅れた。キーンとする耳と頭に意識が持って行かれていること数分。何やら話は進んでいたようで、シスターは来客者を泊める為の部屋まで案内してくれるようだ。ーーそして、付いていけば全部空室だと言う場所に案内されて、主とシスターのやり取りを見守る。立ち去る際にシスターに会釈をされたのでクライドも軽く返していく。ーーふとそこで彼は、確か今の彼女は主様の学院時代の同級生だったかと急に思い出した。昔、魔術学院に忘れ物を届けた際に何度か顔を見ていたことがあったが、一度も話していない上にまさか聖職者とは知らなかったので、現れた時には気付かなかったのである。どこかで見たことがあるような無いようなと既視感を覚えていたが、なるほどそれはこう言うことか。晴れた疑問に納得しつつ級友との会話をどこか楽しんでいた主を、クライドはほっこりとした気持ちで見た。ーーそれからカレンが角部屋を選んで中へと入る前に、クライドは彼女から『説明する』と言った主旨の言葉を貰い)
分かりました。
では、十分後に主様のお部屋に伺います。
(そう言って無事にその扉が閉まるのを見届ける。廊下にあった窓からすっかり暗くなってしまった庭先と森を見て、気休めだが何の気配も無いことを察するとクライドも選んだ部屋の中へと入る。一応、何かあってもすぐに駆けつけられるよう主の隣の部屋を選んでいた。パッと電灯を点ければ、木製のベッドと机とロッキングチェアが目に入って来る。実に無駄の無い簡素な部屋模様だ。些か宿屋よりは質素だが一日泊まる分には問題無い。一先ず机に荷物を置いて、防具である籠手や鉄靴を脱ごうとするが油断は出来ないと考えて、付けたままにする。とは言え、砂利道を歩いてきたのだから当然汚れているため布で丁寧に拭いていく。ーーそうこうしている内に約束の時間はあっという間に迫り、ピカピカとまではいかないが大分綺麗に磨かれた防具を装備して、主であるカレンの部屋の扉をノックし声かけを一つ)
お休みのところ申し訳ありません。
従者のクライドです。先ほど申し上げた時間になりましたのでこちらに伺わせて頂きました。
(/やはり確定ロルの風評被害…!/ その位が丁度いいですのでご安心を(小声)/ いえ!それはこちらの言葉です…!絶対に失踪はしませんので、むしろ失踪したら本体が死んだと言うレベルにお相手様とのなりチャを楽しんでますので、今後も長くお付き合い出来ればと…!/ 何と…!伏線回収される時のお楽しみですね!/ ありがとうございます…!むしろ神父の下衆さを吹き飛ばして下さるシスターさんにほっこりとしてますので!)
(脱いだローブをベッドの脇に放り、鞄の中から取り出したティーセット一式を机の上に並べる。割れ物をそのまましまっていた事もさることながら明らかに取り出した物と鞄の容積が合っていないが、それもそのはず。一見してただの使い込まれた革鞄に見えるこれは魔法鞄と呼ばれるものだ。特殊な繊維で中地に織り込んだ魔法陣を使って内部の空間を拡張――より正確には一種の亜空間へと変容させ、その上で収納物を管理する。発明当初は物流の革命だと持て囃され、今では学生から旅人まで幅広く普及しており逆に持っていない人を探す方が難しいかもしれない。しかし便利なものには何かと制約が付きまとうもので、保温や保冷などの特殊効果を付与したり、空間を拡張して収納力を上げれば上げるほど値段と消費魔力量が跳ね上がるという特性がある。大抵は空気中の魔素を動力として変換する術式が備わっているが、それだけでは精々大きめのスーツケース程度の空間を持つ魔法鞄しか維持できないだろう。なので大抵は不足分を持ち主の魔力で補うような設計になっているため、人によって扱えるものに差が出てしまうのだ。因みにカレンの魔法鞄はと言えば、数年前に魔法陣の設計と織り込みは自分で行い、鞄への整形だけを業者に頼んだお手製である。研究者らしい膨大な蔵書を鞄に入れた状態でも旅道具を楽々収納、保冷保温で食材も安心、不要な機能は魔力の流れを切り替えることによって省エネモードにできる優れもの。当時クライドに渡したのもデザイン違いの同じもので、相違点と言えば彼の持つ鞄の魔力供給源は持ち主本人ではなくカレンであることぐらいだろうか。そう言えばこの話はしたんだったか、と昔を思い出しながらも慣れた手つきでハーブティーを淹れていれば、ノックの音と共にクライドの声が響き)
呼んだのは私だがな。……開いてるから入ってくれ。
(相変わらず堅苦しい様子にくつりと笑って返事を返せば、ソーサーごと己のカップをサイドボードに置いてベッドに腰かける。魔法薬の調合に通じるものがあるからか、基本周りの事は従者に投げっぱなしなカレンだが昔からこれだけは面倒くさがらずに行っていた。部屋を漂うハーブの爽やかな香りに口元を綻ばせれば、ふと先ほど放り投げたローブが手に触れて吊るすか、と衣装掛けに視線を向け)
(/ぐぬぬ…許すまじ…! ハードル低くて背後が助かります(小声) うわわ、勿体ないお言葉をありがとうございます!こちらこそレス頻度にムラが出る事はあれど失踪は致しませんので、どうぞ末永く宜しくお願い致します…! 実は何パターンか考えていて決めかねている所だったり… 文字通り嵐のような子にしてみました。多分今後もカレンの知り合いは一癖も二癖もある奴らばっかりなはずです(笑) そして魔法鞄への夢と妄想が爆発して無駄に長くなってしまった事をお詫び申し上げますorz)
ーー失礼します。
(ガチャリと扉を開けて、一礼してから部屋の中へと入る。部屋模様は隣のと同じ造りであり、質素で落ち着いた雰囲気だ。ーー不意に、鼻をくすぐったのはハーブの上品な香り。サイドボードに置かれた淹れたてのハーブティーと、その横のベッドに座っている主が目に映る。そして、部屋の傍には魔法鞄が置かれていた。空気中の魔素や持ち主の魔力を消費してある種の亜空間を作り出し、文字通り何でも収容することが出来る魔法の鞄。昔に主様から頂いた時は、初めの頃は勿体無さ過ぎて中々使えなかったなと、クライドは当時のことを懐かしんだ。ーーふと、意識が他に散漫していたと思考を振り払い、クライドは注意を主のカレンへと戻し)
主様、それでご説明とは何でしょうか?
(/むしろあのようにクールな感じの主様なので従者とはある種相性が良い気がします(笑) / ありがとうございます…!;; / おお!楽しみです…!あ、他勇者初登場のタイミングですが、一人目の大精霊と契約直後orその遺跡を出た直後辺りにぶつけようかなと考えてます、お相手様のご意見もお聞きしたいのでどのタイミングで出したいなどありますか? / 楽しみにしてます!魅力的なNPCと話すのも冒険ファンタジーの醍醐味ですので! / いえいえ!魔法系は愚息があんな感じ故にノータッチですので、むしろ助かりますし夢が広がってワクワクしてます(*´`) / と、今回は間でしたのでロルがそこそこになっちゃいました;)
(クライドの入室を確認してからローブを手繰り寄せて立ち上がり、ハンガーを通すのが面倒だったのか襟の部分をそのまま衣装掛けに引っかける。それと同時に問いかけて来る彼が入り口の辺りで直立不動なのはいつものことで、ロッキングチェアとその正面の机上にあるハーブティーの入ったカップを指差し)
まぁ座れ。茶が冷める。
(そうは言うものの立っていたいならそれはそれでいいし、お茶が手を付けられないまま冷めたところで別段気にしないのがカレン・スノーデンという人間である。故にクライドの反応を待つことなくハーブティーで唇を湿らせれば、足を組んでヘッドボードに体重を預け、思案するように視線を伏せてから講義でもするような調子でもって話し始め)
そうさな…魔王が出現してから数年経ったが、神の領域である教会や神殿は魔物の被害が極端に少ないことは知っているだろう?だが今、その均衡が少しずつ崩れ始めていてな。発端は三本の聖剣なんだが――今は置いておこう。
まぁ兎に角、一般に聖域と呼ばれる場所の神による自然の結界が弱まっている訳だ。……で、異変を察知した王家が私たち宮廷魔術師に調査を命じた結果、結界の弱体化には場所によって差がある事が分かった。その原因と言うのが、聖域の管理者――あるいは責任者と言い換えてもいいが…その人物の信仰心の強さ、だ。
……さて、ここでさっきの神父を思い出して欲しい。――――この教会の結界は、今どうなっていると思う?
(/く、クールなんてそんな格好いいものでは…でも従者さんと相性が良いようなら嬉しいです! ご期待に沿えるよう頑張らせて頂きます!おおお、他国勇者は全く同じ場面を考えていました…!加護寄越せやー!的な感じで出て来るイメージが(笑) 小説ロルだとNPCの描写もしやすくて助かってます…! ありがとうございます!でも細かすぎ!と思ったら遠慮なく指摘してくださいね! 元々場面に合わせて調節なのでお気になさらず!こちらも今回は説明回なので台詞マシマシですorz)
はい、失礼します。
……こちらはハーブティーですか、良い香りですね。有難く頂きます。
(クライドは自身に用意されたロッキングチェアとその正面の机上にあるハーブティーの入りのカップを確認すると一礼して座り、緩やかに微笑みながら香りを楽しんだ後、その喉を潤す。渋くもなく薄くもない丁度いいハーブティーの味わいに、思わず舌鼓を打つ。己が従者の立場であることは重々承知しているが、しかしここで用意されたものを断るのは逆に無礼だと考えている。過度の遠慮や謙遜は時に人を不快にさせる。それを分かっているからこそ、クライドは主であるカレンのご厚意を一切無駄にはしない。まあ、主様はそう言った些細なことで気を悪くするような心の狭い人間などではないのだが。ーーそして、クライドがハーブティーを飲み終えると、タイミングを見計らっていたカレンが本題を話し始め)
ええ、存じております。一部の人々は聖域のことを神の加護とも言っておりますが……。
ーーそれらに異変ですか。なるほど、前に宮廷内が慌ただしかったのは聖域の調査を裏で行っていたからなのですね。
それで、結界の弱体化の原因は聖域の管理者の信仰心の強さですか。
……そうですね、あのように私欲に塗れていれば信仰心など無いも同然でしょう。それを先ほど利用した自身が言うのも憚られますが、とにもかくにもこの場所の聖域は弱まっていると解釈しております。
(/毎回カッコイイと思っておりますので…!ほんとバランスが取れてて理想の主従です…!/こちらを潰す為に待ち伏せしていたと言うのでも良いですね!まだイメージ無いですが他国勇者もバディ制だと美味しいかなと(小声)/いえいえ!分かりやすいですし情景や心情描写が読むの大好きなのでお相手様の負担でなければ長文大歓迎ですので!)
そう、その通りだ。今この地の結界は非常に危うい状態にある。小型ならともかく、中型の魔物に襲撃を受けたら持たんだろうな。
(カップを両手で包むように持ったまま、視線を天上、そしてその先にある結界へと向ける。聖域の結界――あるいは神の加護は、厳密に言えば魔術とは似て非なるものだ。どちらも根源を同じくし、奇跡であることに変わりはない。しかし術式として体系化する事によって魔力や魔素を効率よく運用するすべが魔術であるのに対し、神の加護は信仰とそれに伴う祈りによってのみ引き起こされる限定的な現象だ。前者は再現性があり安定的に奇跡を行使できるが、後者はひどく不安定。しかし祈りは時に全ての理論や過程をも超越する事がある。狭義の「奇跡」はそのことだけを指し、魔術よりも個人差が大きくなることがその手の力を持った人物が神子や聖女と呼ばれ、敬われる所以だ。――もっとも、あの神父は信仰の担い手としては失格も甚だしいが。その象徴である結界の揺らぎを感じつつクライドに視線を戻せば、理解が追いついている事を確認してから再び口を開き)
実を言うと、その調査の直後に各地の結界の弱体化については既に対策が成されている。教皇を始めとした枢機院と一悶着あったが…そちらは興味があるなら後で話そう。――ちなみにこの教会だが、元々要対策のリストには挙がっていなかった。まさについ先日、前任の神父が病で床に伏せってこの有様という訳だ。私にその連絡が来たのは昨晩。……本当に急な話だったな。
――とまあ、前置きはここまでにして話を戻そう。この教会の裏手の森は、何故か魔物が発生しやすい環境にあってな。私は先ほどのシスターから依頼を受けてその調査をしていたんだが、どこかに魔道具か魔法陣が仕込まれている可能性が高いと見て、大規模な探知魔術で探る予定だった。それが先月の話だ。
……が、私がうっかり勇者に選ばれたものだから先延ばしになってしまってな…。その実行がこの教会への用事であり、責任者の交代で結界が揺らぎ始めているというのに魔物の発生源がそのままだということが、先ほどの彼女の剣幕に繋がる訳だ。
(軽く肩を竦めてみせてから、乾いた喉を潤すように少し冷めたハーブティを一気に飲み干す。元来無口な方ではないと思うが、勇者になってからは宮廷魔術師として派遣されていた学院での講義が無くなったので久々に長台詞を喋ったような気がする。旅に出てからは言葉を省いても意思の疎通が図れる従者と二人だったので余計にそう思うのだろう。空になったカップを手に立ち上がって机の所まで歩いて行き、ティーポットからハーブティーを注ぐ。ついでとばかりに手にしたポットを軽く掲げてクライドにおかわりが要るかを無言で問いつつ、壁にかかった時計に視線を向け)
――私は結界の強化をしたら仮眠を取って消灯後に出かける。森に行くから、その時はクレアの護衛として同行してくれないか。
(/なんて勿体ないお言葉…! 確かに!格好良く誰何とかしてみたいですね(笑)バディ制大賛成です!いっそ神のお告げで(供を…信頼する供を一人選び……加護を得る旅に出るのです…)的なお告げがあった事にしてもいいかもしれませんね! そう言って頂けると有難いです!もうお相手様とだとロル回すのも読むのも楽しすぎて…!)
……一悶着、ですか。こちらが入れておくべき知識でしたら後でご教授願いたいと思います。主様との見解の差が広がり過ぎるのは、逆にご迷惑を掛けてしまいますので。
(追求をしないとは言え、さすがに有する情報量に差があり過ぎると意思の疎通は難しい。いざという時に話が分からず動けない従者などお笑い種だ。一々説明を求めるのはマナーに反するが、必要な情報は耳に入れなければ話にならない。そう思いつつその話の説明の有無とタイミングは相手に委ね、クライドは再び本題を聞いて暫し考え込むと顔を上げ)
ーーなるほど、つまり時間軸通りに纏めていきますと、元々この教会の裏の森は何らかの原因で魔物が発生しやすい環境だった。主様は宮廷魔術師であるが故に、先程の御友人でもあるシスター様からその調査を頼まれて行ったところ、それが何者かによって仕込まれた魔道具か魔法陣によるものだと判断した。改めて大規模な調査を行おうとしたものの、主様が勇者に選ばれてしまった為に先延ばしとなり二度目の調査は行うことが出来なかった。……ここまでが先月の話ですね。
ーーそして、そのような問題を抱えていてもこの教会が耐えてこられたのは、前任の神父の立派な信仰心による強化された結界のお陰だった。しかし、つい先日にその神父が床に伏し先程の神父に変わったことで途端に結界が弱り、一気にその均衡が崩れた。今までは平気だったものの遂に要対策リストに入ってしまったと。魔物の発生源が分からぬまま、けれど結界は弱っていく。時間の問題と感じた御友人のシスター様は急いで主様に連絡を入れた。……それが昨晩のこと。
ーーそして、運の良いことにその教会は旅の進行方向の先にあり急遽本日立ち寄った。
……聞けば聞く程これは由々しき事態ですね。
(勇者の旅は大事だ。しかし優先順位と言うものは臨機応変に行うもの。そして、何よりもこちらを優先させることが主様のご意志。ならばそれに従い、力を尽くすまでのこと。勿論、この教会に貢献できればとも考えている。ーーふと、クライドはお茶のお替りをする為に立ち上がったカレンを見て、代わりに自身が行おうと立ち上がるものの彼女に手で制され大人しく座り直す。次いで、ポットを掲げて無言で問い掛けてくるカレンにクライドは再び立ち上がって「頂きます」と軽く礼をして告げる。恐縮ながら淹れて貰い、相手が元の席に座ったのを確認するとクライドも席に座った。ーーそして間を空けて、今後の予定を話してきた主を見て頷き)
はい、主様の御命令とあらば御友人であるクレア様の護衛はお任せ下さい。
ーーでは、こちらも支度をしましたら少し仮眠を取らせて頂きます。
(そう言い終えると「ご馳走様でした」と会釈して壁時計を横目に見遣る。ティーカップを机の上に置いて、相手の用件が済んだのを雰囲気で察するとクライドは立ち上がって一礼する。そのまま退室しようとし、ドアノブを手にかけ)
また、何か用件がありましたらいつでもお呼び下さい。
それでは一旦失礼します。
(/ですね!また連続戦闘や乱入は燃えます…! / それ良いですね!何で二人旅なのかと理由付けに迷っていたとこでしたので…! / わー!こちらこそ勿体無いお言葉を…!ほ、本編は愚息の解釈や話を進めるために勝手に退出してますので、それがあっているのかどうか不安ですが…汗)
(知っておくべき情報かと言われれば、そこまで重要度は高くない。要は教会が旧態依然とした組織であり、内部の腐敗が思った以上に進んでいると言うだけの話だ。聖剣の話と同様、今は置いておいてもいいだろうと判断して、彼なりの解釈を聞けばおもむろに人差し指を立て)
……一つ訂正、教会の現状について私に連絡を入れたのは宮廷だ。まぁ元々調査の件で寄るつもりではあったからな、結界補強は二つ返事で引き受けた。
(上げていた片手を下ろし、再びベッドに腰かけハーブティーを楽しむ。やがてお茶を一杯飲むだけの時間を空けて退出する旨を告げるクライドを見れば、ドアノブに手をかけている姿にふと何かを思い出したような表情をして)
待った。……持っていろ、遠距離で魔術を作動させるための媒介…まぁ、お前にとっては受信機のようなものだな。
(ポケットから取り出した小さな手鏡を彼に向かって放り投げる。裏に王家の紋章が刻まれルビーが嵌め込んであるそれは、支度金の一部として賜った王家に伝わる対の手鏡の片割れだ。鏡に限らず対の品は魔術師同士の交信や遠距離で式を組むことによく使われるもので、古いものほど大きな効果を発揮する。現金よりよっぽど有意義だと感じたのは記憶に新しいが、旅に出る時に渡そうと思っていたのを今の今まですっかり忘れていた。呼び止めて悪かったな、と今度こそクライドを見送って、カップに残ったハーブティーを飲み干せばティーセットを片づける。代わりに鞄の中からチョークと水銀、粉末状にした水晶と聖書、それから小型のナイフを取り出せば部屋を出て建物の外へ向かい、途中すれ違ったシスターが夕食の入ったバスケットを持っていたので己と従者それぞれの部屋に届けてくれるよう頼み)
(/シリアスもほのぼのも好きですが、熱いバトルも大好物です! 加護を得る過程でどちらかが捕まるなど、バディならではの展開があっても面白そうですね!犬猿である他勇者達との共闘とかも場合によってはありかと…! いえいえ、場面を進めてもらえると助かりますし、あんなグダグダな説明で理解して頂けて恐縮です…!)
(ふと、まだ残っている用事ゆえに呼び止められ、自身の読みは外れてしまったかと反省しつつ投げて寄越された物を上手くキャッチする。それは小さいながらも立派な手鏡で、どうやら遠距離にいても魔術を発動する為の媒介らしい。昔に見た書物にそのような記述があったことを思い出しつつ魔術が使えない自身のことを気遣って頂けたのだと考え、深々と「大切に致使わせて頂きます」と一礼をする。そして「呼び止めて悪かったな」と言う相手を見て)
いえ、とんでも御座いません。
ーーでは改めて失礼します。
(もう一度、一礼をしてクライドはカレンの部屋を去る。自室に戻って来るや否、先程の手鏡を魔法鞄には入れず、自身の腰に付け入る道具袋の方へと入れた。いつでもすぐに使えるようにと探す手間の省ける道具袋に入れたわけである。それにしても手鏡と言い魔法鞄と言いこの剣と言い、こちらは貰ってばかりだ。果たして自身はそれに応えられているのかどうかと少々不安に感じるものの、この命を掛けて守る覚悟はとうに出来ている。それに『信頼する供を一人選び、加護を得る旅に出る』と言った神のお告げを受けた際に、その勇者のお供として自身は主様に選んで頂いたのだ。ならば裏切らぬよう邁進すれば良い。そう思っていると不意にトントンとノックが鳴る。ドアを開ければシスターが夕食の入ったバスケットを持っていて、クライドはそれを会釈して受け取った。掛けてある布を取れば中にメニューが書かれた紙と料理と瓶が入っており『本日はかぼちゃシチューのパイ包み焼きとガーリックトースト、飲み物は葡萄ジュースです』と女性特有の丸っこい字で綴られていた。それを席について食すと、深夜の大規模調査に向けて武器や防具を砥石や油で手入れし直す。ーーそれが終わった頃には結構な時間が経っており、そろそろ仮眠を取らなければと、クラウドはベッドを使わずに剣を持ったまま壁に寄りかかって浅い眠りに付いた)
………………………。
××××。×××××××。
(雨の日、路地裏、子供の声)
×××××××××。×××××××。
(濁った目、映るのは黒とアイスブルー)
××××××××××××××××。
(伸ばされた手、蜘蛛の糸は、続いていき)
××××××。×××××××××××。
(己の生まれた意味を知った)
…………………………。
(随分と奇妙で懐かしい夢を見たものだと、クライドは目を開ける。断片的だが主と出会った時のことの夢だとはっきり分かる。何故このタイミングでと考えたが、先ほど少し自身が気弱になったからだろう。初心に帰れと言うことかとフッと笑って、まさか自分で自分を励ますなど嗤えてしまうと呟きを一つ。クライドは気を入れ直して立ち上がると部屋の壁時計を見遣る。現在の時刻は、事前に聞いていた消灯の数分前だ。丁度いいタイミングだったと思いクライドは必要な物を持つと教会全体が暗くなってから廊下に出て、静かに隣の扉をノックし「主様、起きていらっしゃいますか?」と小声で声をかけ)
(/燃え展開いいですよね!バランス良く燃えるのとシリアスのを入れていきたいものです!/バディならでは良いですね…!またゲーム的なギミックで言うAが部屋の装置を動かしたらBの部屋で変化があり先に進めるようになり、そしてその逆もあるみたいなのも遺跡でやりたいですね! 共闘は自分も考えてました(笑) ほんの一時的に互いの勇者と従者が入れ替わって離れ離れになり、元の勇者と従者を探すのも面白い…(小声) ほんと展開考えるの楽しいです…! / いえいえ分かりやすかったので大丈夫ですよ…!丁寧な説明のお陰で勘違いすることないので助かりますっ)
――――まぁ、こんなものかな。
(結界強化の魔術を作動させ、教会の裏手の石畳に描かれた魔法陣の上で額に浮かんだ汗を拭う。今回行ったのは責任者以外の祈りを神の加護の効果へと変換できるような式を組み込む作業。場に永続的に作用させる魔術はそれなりに消耗するため、効果を確認すべく天を仰いでいるカレンの表情にも若干疲れが伺える。しかしきちんと動作して結界が補強されていると見ると、その表情は心なしか嬉しそうなものへと変わった。――小休止を兼ねて魔法陣が石畳に溶けるように消えるのを見届けてから地面に置いていた道具を拾い上げ、部屋へと戻れば机の上に載せられているバスケットをひょいと覗く。中に入っていたメニューの紙の最後に"本来ならね!"と見覚えのある字で書き加えられているのに気付いて飲み物の入った瓶の蓋を開ければ、アルコール特有の芳醇な香りが立ち上り)
流石、分かってるじゃないか。
(口の端を上げて独り言ち、瓶の中身のワインを一気に呷る。上質な酒には魔力の回復を促す効果があるため、こちらの状態を見越しての準備だろう。自由奔放に見えて抜け目ない所は相変わらずか、と懐かしさに目を細め、行儀悪くもガーリックトーストを齧りながら机の上にこの周辺の地図と広げる。途中考え事に意識が向きすぎてパイ包みのシチューを服にこぼしたりしつつも夕食と最終確認を終えれば、どうせ行く前に着替えるのだからと先に黒の法衣に着替えて、立っているのすら面倒だとでも言うかのようにベッドにダイブし)
…………ぅ…。
(扉が叩かれるような音と誰かの声がした気がして、ほんの少しだけ意識が浮上する。どうやら失った魔力を回復するためなのか、仮眠どころか夢も見ずぐっすり眠っていたようだ。しかし一度もぞりと身じろぎをするだけで、カレンは一向に起き上がる気配が無い。……それもそのはず。寝つきは良いし二徹三徹はあたりまえにこなしてしまう彼女だが、一度横になってきちんと寝てしまうと、命の危機でもない限り再起動には時間が掛かるのだ。なお、これは両親譲りの特性のため、スノーデン家の朝食は毎日お通夜と化している。――そんな訳で一応意識はあるが従者への返答はなく、時計の針が動く音だけが部屋に響き)
(/せっかくの主従ですからね!熱い展開楽しみにしたいです! 協力プレイもいいですね…!ま、まさか同じことを考えていらっしゃったとは!他国勇者ペアへの妄想が捗ります(笑) 勇者はプロフ作成時から寝起きが悪い気がしてたのでこんなになってしまいました…!どうぞ遠慮なく叩き起こしてやってくださいorz)
……参ったな、主様の起きる音どころか部屋の物音すらしないぞ。
(既に消灯後から何分か経っているものの出てくるどころか部屋から返事すら無く、クライドはどうしたものかと悩む。いや、スノーデン家にいた頃の朝は常にお通夜状態であった為こうなることは粗方予想出来ていたのだが、いつも朝に寝つきの良い主の部屋に入って起こしに行っていたのはメイド達。しかしここにはメイド達などおらず、だからと言って恐らく今も寝ているであろう主の部屋に入るのなど言語道断。普段は気に掛からないものの性別が違うのはこういう時に弊害になる。いっそ自身が女であればいつでも素早く対応が出来るのにな……とまだ寝惚けているのか良く分からない考えに陥り)
……クレア様を探しに行ってくるか。
(そう呟いて、きっと信者達の礼拝をし終えた後片付けをしているだろうと考えて、そこに向かう。しかし、礼拝堂にいたのは神父だけだった為、彼に彼女の居場所を聞いて再び移動をする。シスターは部屋ではなくちょうど廊下に出ていたので色々と探す手間が省けた。詳しく説明をすればすぐに了承を得ることが出来、彼女は荷物を持って主の部屋前へと付いてきてくれノックを二・三回する。だが、それでも起きる気配は無くシスターは中に入っても良いのかと言った風にこちらを見て来た為、それを察したクライドは真剣な眼差しで一言)
お願い致します。
(/いつか物語の終盤にトピ題名を主人公の主様に言って欲しいなとも思ってます…王道の熱い展開(小声) そして遺跡のギミックに思いを馳せてます…! / !早い話ですが他国勇者は帝国と海国どちらを先に出しましょうか? / 叩き起こすか悩んでいたら時間が空いてしまって済みません…!しかも今回は従者がクレアさんに任せてしまいました、果たして愚息は堅実なのかヘタレなのか…!?でもいつか執事?従者?っぽく起こしたいものです(笑))
(シスターはクライドの言葉に頷きゆっくりとドアを開く。手にしたカンテラの光が室内をぼんやり照らし、それを頼りに目を凝らせばベッドの上で黒い塊がもぞりと動いた。約束相手が約束を違えている事をしっかり確認し、おもむろに片手をかざして短い祈りを発し)
――――"主よ、憐みたまえ"
(瞬間、音もなく生じた閃光がカレンに向かって迸る。どう見ても触れたら火傷程度では済まないそれは室内に風を起こし、カーテンや髪をぶわりと揺らす。そして言葉を発する間もなくカレンの元に到達し――しかしその身に触れる前に文字通り掻き消えた。突然の凶行に走ったシスターはその結果を予想していたのか、つかつかとカレンに歩み寄って「寝たら怒るって言った!」と腰に手を当ててご立腹な様子。対するカレンはサイドボードに置いてあった眼鏡をかけ直して、苛立たしげにわしゃわしゃと髪をかき混ぜ)
全く…その起こし方は止めろと何回言えば分かるんだ……。
(強制的に覚醒させられて不機嫌なのを隠しもせず身体を起こせば、口元に手を当て大きな欠伸を一つ。確かに寝起きが悪いのは自覚しているし危機的状況に陥れば嫌でも目を醒ますのは事実だが、流石に少し乱暴すぎやしないだろうか。万が一防げなかったらどうするんだとは学院時代から延々言っている台詞だが、毎回"まさか!億が一にもありえないわ"と笑いながら言われるのは一体どういう事だ。軽い足取りで部屋を出て「これでよかったかしら?」と廊下に立つクライドに悪戯っぽく確認をとるシスターに深々と溜息を吐き、二度寝の誘惑を振り切って鞄を掴んで部屋を出れば後ろ手に扉を閉め)
……行こう、さっさと終わらせて寝る。
(おおお、タイトル回収!ロマンですね…!何の因果か口調も違和感ないですし、魔王との決戦あたりでバッチリ決めたいです! 最早リアルでマップを作る事すら辞さない勢いです(笑) そうですね…三国の位置関係が分からないのでトピ主様的に王国と近い方の勇者でお願いします…! いえいえ、こちらこそ返し辛い振りをしてしまったようで申し訳ないですorz 従者さんの意外な一面!でも勇者本人はとっくに女捨ててるので全く気にしないんですよね、これが(笑))
(突然生じた閃光に驚き、何があったのかと慌てて主の無事を確認しようと中を見る。一瞬、任せた人を間違えたかと思ったものの無傷の主とシスターの軽いやり取りを見て、学院時代では日常茶飯事のことだったのかと冷や汗をかきながらも納得する。そして悪戯っぽく笑うシスターを見てある意味で逞しいと思い、自身も見習わねばなと密かに感じた。やがて、眠そうに部屋から出て来た主の言葉を聞いて)
ええ、主様の睡眠時間を確保する為にも手早く済ませるようお手伝い致します。
(そう言って武器を持ち直す。ーー教会の外は先ほどの比ではないぐらいに暗かった。草木が揺れる音、遠くから聞こえる魔物の遠吠え、暗がりの中で目を光らす蝙蝠達。まるで不吉さを表すかのように月や星も雲に隠れてしまっている。一寸先は闇とは正にこのことで、手元のカンテラの明かりだけでは心許なく感じる。クライドは先ほど言われた通りクレアの護衛を優先させつつも前を歩くカレンから目を離さずに進んで行く。程なくして教会の裏手の森に辿り着き)
主様、ここからは更に暗くなりますので足元にはお気を付けて下さい。
(初めの頃、主様の口調を聞いた瞬間ガタッとなっていたので!魔王戦まで楽しみにしてます!/ ぜひ拝見させて頂きt(( / 三国はサラッとですが……王国(建国歴が1番長い故にプライドが高い・魔術研究が発達、特に人々の生活品寄り・目立たないが農業も盛ん・本当にRPGの王国と言う感じ)、帝国(王国と犬猿の仲・魔術研究が発達、特に戦闘系の・武器製造が盛ん・幼い頃からの思想教育が凄い・魔物捕まえて実験や未だに奴隷がいるなどのきな臭い噂が多い・ブラック)、海国(王国と帝国より規模は小さい・外交が上手いことと海を抑えているのが強み・最初に船を作ったのはここ・王国と帝国に対して日和見主義・漁夫の利・水産物の貿易黒字で金儲けしている)です。下地ゆえに設定を付け足しても構いませんので!これだと帝国ですかね…?ライバルポジは。 / 返し辛いなんてとんでもない!ただこちらが迷っていただけでしたので…!; 主様が逞しくてほんとカッコいいとしか言えません…!感涙)
問題ない。……これでも夜目は利く方だからな。
(知っているだろう?とでも言うように肩越しにクライドを振り返って薄く笑い、次いでその隣で森に漂う空気に眉を顰めているシスターに視線を向ければ、無言で頷き合って近くに落ちていた枝で地面に大きな魔法陣を描いていく。やがて陣が完成すればその中央に鞄から取り出した特別製の羅針盤と先ほど確認していた地図を置き、それらに片手を翳してすぅっと息を吸い込み)
――――"示せ"
(宵闇に溶けるように呟いた瞬間、羅針盤がくるくる回り、足元の魔法陣が起動してカレンの魔力色である青白い光を放つ。魔力の奔流で起きた風が法衣の裾や周囲の木々を揺らし、どこか遠くで魔物の遠吠えが響いた。これだけ派手に魔術を使えば森中の魔物に居場所を知らせているようなものだが、無駄に術式を大きくしたので逆に小型の魔物は巣に籠って出て来ないだろう。そして大型中型ここにが引き寄せられるならば逆に好都合。何せ目的はこんな森の入り口などではなく、どこかに隠されているであろう魔道具なのだから。光と風が収まって森が本来の静けさを取り戻すと、カレンは足元の羅針盤と一ヶ所に焼け焦げたような跡がついた地図を拾い上げ、二人の元に歩み寄りその一点を指し示し)
――ここだな。分散型ではなく一点集中とは、術者はよほど自信家と見える。
(くつりと喉の奥で笑うカレンの表情は愉しげで、研究対象を目の当たりにした時のそれである。先ほどまでベッドの上で黒い塊と化していたとは思えない機敏さで法衣の裾を翻し、一切の迷いなく颯爽と森の中を進んで行く。やがて森の北のはずれにある一本の大木の前に辿り着けば、魔道具無効化のための準備をしつつふと森の暗がりに視線を向け)
一つ大きな反応が近いな……さしずめ門番といったところか。――クライド、迎撃しろ。こちらの作業が終わるまで持たせれば、別に倒さなくても構わん。
(/じ、実は何も考えていなかっただなんて……ハッ!もしや無意識に取り入れていた可能性…? 年に2・3回は格好良く決めると宣言したので頑張ります! ほうほう…なんか勇者が帝国と相性良さそう(主に実験)だなんてお、思ってませんよ?← ですかね。国同士が犬猿なだけあって帝国勇者は突っかかって来そうです(笑) そんな…!両親もきっと諦め顔な勇者に着いて来て下さっている従者さんには本当、頭の下がる思いですよ!)
(一連の見事な魔術の手さばきで、魔道具の在り処をあっという間に突き止めてしまったカレンを見て、クライドは主様以上に魔術で右に出る者はいないと考え、差し出されていた地図をもう一度見た。分散させてない分、逆に強固な物になっているのか?と思うが、何せよそれを壊すのみ。チラリと彼は生き生きとしている主を一瞥して、どんな物が出てきても解体してしまうだろうと不安には思わなかった。それから暫く歩き、恐らく北の方にある一本の大木の前に来れば背後の闇から蠢くものが。主のカレンもどうやら気付いたようでクライドは主命を一つ貰って)
了解しました。主様の邪魔はさせません。
(鋭い眼差しで剣を構え、影が蠢く森の中へと入って行く。敵の進行方向はあの一本の大木のようで、その進みを妨げるかのようにクライドは思いっきり横合いから影を蹴り飛ばした。先制攻撃は決まった。しかし、相手は何事も無かったかのようにむくりと起き上がる。その時少しだけ月が雲から出てきた。月光に照らされたのは巨大な屍肉の塊で)
……アンデッド系の魔物。しかもグールの複数体が融合したタイプか。厄介だな。
(剣での物理攻撃を得意とするクライドに取って、アンデッド系の魔物は相性が最悪だ。思わず眉を顰めたくなるほどに。奴らは夜の内であれば何度斬りつけても再生する特徴を持っている。弱点は太陽の光と肉塊の最奥にある心臓。とにかく倒すことは後回しだ。クライドは剣をしまい、カンテラの火種として持っていたライターの火を点け)
こっちに来い!化け物!!
(大木から遠ざけるようにライターの火で注意を引き、誘い込むように反対の方向に走り出す。グールは通常一体なら二足歩行でノロマなのだが、今クライドを追っているグールは複数体が融合し大きな屍肉の塊と化したモノ。それゆえ二足歩行ではなく四足歩行な為、まるで熊のように突進してくる。こちらは木々の間を縫うようにして走り続けているが、相手は御構い無しに木々を薙ぎ倒して迫って来る。木々にぶつかる度に失速はしているものの追いつかれるのも時間の問題。何か策を講じなければ。ーー不意に、確か教会の裏手から少し歩いた所の森の入り口付近に使われていない古井戸があったことを思い出し、己の足に発破を掛ける。幸いにも古井戸の場所は覚えている。今はとにかく走るのみで。ーー森の中でも開けた所に出る。急いで近くにあるはずの古井戸を探すが、すぐ背後で気配を感じて前へと跳び出し、刹那後ろの地面に衝撃が走る。振り返れば前足を地面に叩きつけていて、あと数秒遅かったら潰されていただろう。ジリジリと後退していき、不意に何か硬いものに当たる。敵からは視線を外さず、手で探れば古井戸のようで灯台下暗しだったかとほくそ笑む。避けた時に消えていたライターの火をもう一度付け直し、敵を呼び寄せーー突進して来たところをスレスレで躱せば敵は古井戸に落ちかけ)
ーーーーっ!!
(背中に向かってその中へと押し込むように体当たりをすればグラリと大きくバランスを崩し古井戸に吸い込まれていく。空を切る音、ついで床にトマトを落としたかのような衝撃音が聞こえてくる。微かにグールのか細い声が発せられたが、それもすぐに止んで辺りは再び静寂に包まれる。古井戸に閉じ込めたので、陽が昇れば自然と浄化されるだろう。そんなことを考えてクライドはライターをしまい裏手の森を再び見直すと)
……思ったよりも離れてしまったな。早く主様の戻らなければ。
(何と!?運命を感じます…! / ww笑っちゃっいましたよ!帝国と確かに実験的な面では相性が良さそうだなとは自分も感じてました(笑) / 帝国勇者はポケモンで言うライバルポジになりそうですほんと(笑) / いえもうカレンさんが主様でほんとに思ってます…!そして本編の敵ふりありがとうございます!教会と言えば墓地墓地と言えば屍!と連鎖して趣味全開の魔物を出さしてもらいました!)
(森の中へ姿を消したクライドを見送り、シスターと手分けして魔道具摘出の準備をしていると風に乗って微かな腐臭が漂って来る。それによってこちらに向かって来ていたのがアンデット系のモンスターだと悟ると、魔法陣に水銀を垂らしていたシスターが「ねぇ。従者の彼、剣士でしょう?アンデット系ならわたしが行った方が良かったんじゃ…」と心配そうな声を上げる。しかしカレンはと言えば全く気にする素振りを見せずに木の幹にナイフで刻印を施しており、焦れたシスターがもう一度声をかけた所でやっと顔を上げ)
――私の従者だぞ?相性が悪いからといって後れを取っているようでは務まらんよ。……そもそも、倒せとまでは言ってないしな。
(自信に満ちた笑みを浮かべるカレンは小指の爪ほども従者の無事を疑っておらず、それを見たシスターもひとまず納得したようで作業を続ける。やがて木々が倒れていく音と地響きの混ざった戦闘音をバックに準備を終えれば、シスターには周囲の警戒を頼んで少し下がらせ)
――"闇の誘い 幽世の鍵 彼我を繋ぎし夜の門"
――――"今宵その役目を終え、現世の理においてその姿を現せ"――!
(いつもと違う言語、そしていつもより長めの詠唱を一息に紡ぐと、先ほどの探知魔術の比ではない風が吹き荒れ昼間と見紛うほどの眩い光が周囲を照らす。――時間にして数秒。それらが収まった頃に木の幹から毒々しい瘴気を纏った黒い短剣がずるりと姿を現し、思わず眉を顰めたカレンは下手に持ち帰って呪いを振り撒く事を恐れてその場で処理する事を決める。研究者としては残念極まりないが今は勇者でもあり、問われる責任は段違いなのだ。踵で二回足元の魔法陣を叩いて再起動させれば、短剣に片手を翳して「"道閉ざす幽の扉"」と先ほどの詠唱とはまた違った古代語による呪文を紡ぎ、短剣は徐々にひび割れて行って最終的には目に見えない粒子となって消滅し)
魔王の魔力とは少し違う……?いや、かといって人間の魔力…ではないな。人類に裏切り者が居る可能性はなさそうだが、しかしこれは……。
(/これはもうやるしかないと言う神のお告げですね! 勧誘とか受けてそうだなって(笑)いっそ帝国勇者ペアの一人が学者系で、そっちとは滅茶苦茶気が合うとかでも面白いですね! 突然のバイオ(笑)勇者がさっさと倒せとか言わなくて良かった…! そして回収するかも分からない四天王?魔人?の伏線をとりあえず放り投げておきますね!)
(暗かったが来た道を戻るのは意外と楽だった。あのグールの肉塊達が木々をなぎ倒してくれたお陰で、不自然な道が出来上がっていたからだ。自然を愛する者が見たら卒倒しそうなほど悲惨な状態である。しかし、ある意味で木々が敵の進路を邪魔してくれたお陰でクライドは助かったのだ。故に、少し複雑な気持ちで彼は薙ぎ倒された木々の間を走っていた。ーー暫く走っていると真っ暗な森の中で突然、眩い光が前方に見えた。主様の魔術だろうか?とにかく早く戻らねば。そう思いながら更に足を速めてあの大木の元へと戻って来る。目に映ったのは毒々しい瘴気を纏った黒い短剣が魔術によって消滅していく姿。どうやら元凶を絶ったようだ。しかし、スッキリとしない様子で訝しげに考え込むカレンを見て、クライドは邪魔をしてはいけないと思いつつも報告をしなければと声をかけ)
主様、只今戻りました。敵はアンデッドの魔物でしたので仕留めることは出来ませんでしたが、森にあった古井戸に落としましたので明日の朝には浄化されているでしょう。
考え事の最中にご報告を失礼いたしました。
(軽くお辞儀をして、そう言うと相手を見遣り)
(/是非ともです! / それで互いのペアがツッコミを入れるのですね(笑) / Σ!?!?なな何故バイオだと分かったのですか…!?教会=墓地=屍は完全にバイオの影響ですバイオ大好きです…!(小声) / 勇者様のご厚意で工夫?して倒すと言うのをマンネリ化防止の為にやってみました! / この伏線いいですね!四天王…魔人…!元は大精霊で堕ちた奴とかでも面白そうでs(( )
……古井戸か、考えたな。
(戻って来たクライドの言葉に思考の海から引き戻されれば、その撃退方法に口の端を上げてシスターを見遣る。言った通りだろ、とでも言いたげな視線に「そうね、いらない心配だったみたい」と肩を竦めるシスターを見てどこか満足げに笑みを深め、木に刻んだ刻印をナイフで削ぎ落し地面の魔法陣を足で掻き消せば幹に背中を預けるようにしてその場に座り込み)
にしても、こんな辺鄙な森からあんな代物が出て来るとはねぇ……結界強化の後にこれは、流石に私もしんどいぞ。
(がしがしと跳ねた黒髪を掻いて、立てた片膝に肘を置いて頬杖をつく。奇跡に干渉する永続魔術と超級の解除魔術、ついでに浄化。魔力量は多い方だと自負しているカレンだが、流石にガス欠状態のようだ。そもそも結界の強化は本来複数人の魔術師でやる事を鑑みれば当たり前と言えるだろう。「せめて君がまともに結界を扱えればな……この攻撃馬鹿め」と水を向けられたシスターが下手な口笛と共に明後日の方向を向くのを半眼で見つめ、溜息を吐いてから鞄を漁り取り出したスキットルの中身を一気に呷り)
……しかしまぁ、仕掛け人には興味が沸いたな。そのうち何処かでかち合うだろうから、旅の楽しみが一つ増えた。
(/振り回される者同士謎の連帯感が生まれる事請け合いです!← ひえぇ…アンデット=バイオという安直な思考回路ですみませんんんん!バイオは怖くてプレイを横で見てるしかできませんでした(小声) 作戦勝ちって燃えますよね!相手が格上だと更にテンション上がります…! 良いですね堕精霊!魔王・人間以外ならなんでもござれなのでありかと…!)
(何やら二人のやり取りを見るに、敵がアンデッド系だった故にシスターには心配をさせてしまったようである。しかしながら主様には信頼されていたようで、その場で倒せずとも結果的には倒せる形となって期待を裏切らずに済んで良かったとクライドは密かに思う。次いで、負担が掛かっている主を見て魔術に関しては何も手伝うことの出来ない己の不甲斐なさを感じる。次の街に着いたら魔力を回復させる飲み物を補充しなければとも思いつつクライドはまだ見ぬ敵に興味を示すカレンを見遣り)
厄介な敵でなければ良いのですが。
けれど、主様の旅の楽しみが増えたのならば何よりです。
(そう言ってクライドは微笑む。最後に一度、二・三回辺りを見回して魔物がもう潜んでいないことを確認する。そして、夜も益々更けてきたので)
そろそろ教会へとお戻りになられますか?
(/苦労人同士故に生まれる絆ですね!(( / いえいえ…!ゾンビ=バイオなのは自分もそうですので! / そういうのほんと好きで…!無い頭でいつも考えてます(笑) / 立場的には中ボスみたいな感じですかね? / それにしても遅レス済みませんでした…!実はsoturonnと言う魔王がいまして……ムラレスになってしまって本当に済みません……!)
んー……そうだな、戻るか。
(帰宅を促すクライドの言葉に頷き、魔力不足による貧血のような症状が大分収まってきたのを見計らって立ち上がる。気分的にはこのままここで眠ってしまいたいが、徒歩圏内に屋根とベッドが確保できているのに魔物の住処で夜を明かすのは流石に馬鹿げているだろう。法衣に着いた砂や葉っぱを軽く払って、来た道を真っ直ぐに戻っていく。途中先ほどの大型種の移動によってなぎ倒された木々が目に入るが、そのうち教会側が何とかするだろうと見なかった事にして黙々と歩き続け)
……明日は昼過ぎに出発しよう。
(客室のある一画まで戻ってきて一度立ち止まれば、ハーメリア街道の地図を思い浮かべながら明日の予定を告げる。日が昇るのと同時に出発して日没ギリギリまで歩き続ければ二つ先の宿場に辿り着く事も不可能ではないが、正直今のコンディションではそこまで頑張る気にはなれなかった。よって先を急ぐのを諦めて惰眠を貪る事に決め、欠伸を一つ零せばあてがわれた部屋に向かって、まるで吸い込まれているかのようにふらふらと歩きながら振り返らずに手を振り)
私は朝の礼拝も朝食もパス、とにかく午前中は起こすな。クライド、お前は好きにしていい。――それじゃあ、おやすみ。
(/もしかしたら帝国との和解の第一歩になる可能性も…?!← 魔族に襲われて住民総ゾンビな村とか…ありそうですよね?(小声) いつかそんな胸熱展開もやってみたいものです…! ですかね、魔王に挑む前に中ボスで経験値稼いでレベルアップしましょう(笑) どうかお気になさらず!レスにムラが出来てしまうのは当方も一緒ですし…と言うかsoturonと言う名の魔王と戦闘中なのも実は一緒だったり(笑)今月末から来月にかけて反応が鈍くなったり無くなったりしたら、あの、追い込みで死んでるんだなぁと思って頂ければと思いますorz)
了解しました。
では主様、本日もお疲れ様でした。ゆっくりおやすみ下さい。
(そう一礼して、きちんと相手が部屋の中まで入ったのを確認するとクライドも自室に戻る。あのようなコンディションだったため帰り道の途中は少しばかり足取りが不安定であった。主様がいつ倒れても良いように終始身構えていたものの大事には至らず、無事に帰って来れたので一安心だ。しかしながら魔術と言うものは奇跡を行使するが故に、やはりその分負担が掛かってしまうのかと先の主を思いクライドは目を細める。ーーすると突然、コココッと窓ガラスを何者かが突く。腰の剣に手を掛けつつも電気の点いていない部屋の中で息を殺し、窓際に近付くがそこにいたのは一匹の白い鳩で)
……何だ、情報屋の伝書鳩か。こんなに深夜に文を寄越すとはアイツは一体何を考えているんだ。
(そう情報屋への愚痴を零しつつ伝書鳩を招き入れ、足に括り付けられた文を取る。それにしてもよくここにいることが分かったなと訝しむが、そのところは情報屋の情報網を駆使したのだろうとクライドは考え直す。文を開けば『今晩は〜、二人旅頑張ってる? クライド君が前に頼んできたこの先の情報が手に入ったからさっそく教えてあげるね〜、深夜だけど。確か君達の目的地は峠の先だよね? ハーメリア街道を抜ければ【ディル峠を登る直線の道】と【胞子の森を突っ切る右の道】と【ル・ジェ第一水門を通り過ぎる左の道】の三つに分かれているのは知ってるよね? で、そこの情報が手に入ったんだけど現在【ディル峠には山賊が出没】【胞子の森は例年と比べて繭や菌糸が大量発生】【ル・ジェ第一水門は何故か枯れ果てて魔物巣窟状態】とどれもヤバイよ。それに最近は各地で悪いことが起きまくってるから困ったものだね。じゃ、またご贔屓に〜。お金は僕の伝書鳩の相棒に持たせてね』と言った内容が書かれていた。まさか、火の大精霊の神殿に行く前にこんな厄介事が舞い込んで来るとは。頭を抱えたい思いで代金を入れた小さな麻袋を伝書鳩に括り付け、外へと飛ばさせる。先ほど戦ったせいなのか今の凶報のせいなのか、どうにも寝る気にはなれずに、そのまま朝まで地図を見て目的地までのルートを各地細かくチェックしていく。朝方。言われた通り午前の間は主様を起こさないでおき、朝の礼拝や朝食を済ませ、同じようにこの教会に宿泊していた旅人達に峠付近の情報を聞いて真偽のほどを確かめる。そうすれば「峠の手前で立ち往生をしている者が大半」や「ただ盗賊に馬鹿高い通行料を払えば通して貰える」。または「峠を逸れて、胞子の森やル・ジェ第一水門に行けば今度は命が危ない」などの声が聞けた。これは主様に要相談だなと思いつつ、そろそろ昼食の時間なので起こしに扉の前まで行きノックを二・三回して)
主様、時間になりましたのでお声を掛けさせて頂きました。
(/そのまま同盟に持ち込めばめでたしめでt(( 昼は普通だったのに夜起きたら主人公達以外変貌していたとかも良いですね(小声) レベルアップは大切ですね(笑) 何と…!? まさか同じ状況でしたか…! 魔王討伐頑張りましょう;; 私もその期間は死んでますので大丈夫です…! 提出して卒業することがお互い大事ですので…(震え声))
(正午を少し回った頃に目を覚まし、朝方ほどではないが終始ぼうっとしたまま汲み置きの水を使って身支度を整える。相変わらず寝癖だか癖毛だか分からない収まりの悪い髪を適当に撫でつけ、頭頂部で跳ねている一房を何とか押さえつけたところでようやく意識が覚醒。交信用のイヤリングがほんのり熱を持っている事に気が付き、残留している魔力から発信元を特定すればやる気なさげに欠伸を零し)
…………本国、か。
(もそもそと寝巻から着替えながら折り返すかどうか決めあぐねていると、ノックの音とクライドの声が響く。今開ける、と短く返事をして眼鏡を掛ければ扉へと近づき、そこで昨夜鍵を閉め忘れていたことに気付けばやってしまったとばかりに髪を掻きながら扉を開け)
――確かに好きにしていいと言ったのは私だがなぁ…程々にしておけよ。
(クライドの顔を見るや否や、朝昼の挨拶すらすっ飛ばしてそんな事を言えば眼鏡の奥の瞳を僅かに細める。しかしそれ以上言及する事も無ければ説明を加える事もせずに軽い動作で中に入るように促し、昨夜と同じようにベッドに腰かけて足を組み)
それで、何があった?
(/ふむふむ、つまり魔王討伐後の第二部「三国同盟編」へ続く訳ですね!← 優しかった宿屋のおかみさんも、気のいい武器屋の青年も、皆…あわわ(gkbr) 元々チート気味ではありますが(笑) お、お互い卒業目指して頑張りましょう…!)
(開口一番、まるで夜通ししたことがバレてしまっているかのような言葉を言われてしまい、見透かされてしまったかとやや申し訳ない気持ちになる。続いて中へと招き入れて貰えたので、クライドは部屋に入って、次に汲み取って貰えた昨日の晩と今日の午前に聞いた情報を話し始めようとし)
ーーはい。実は昨晩、前日に頼んでおいた情報屋から返信がありました。ですので、これから向かうハーメリア街道を抜けた峠付近の情報を今からお伝えします。
現在【ディル峠には山賊が出没】しており【胞子の森は例年と比べて繭や菌糸が大量発生】していて【ル・ジェ第一水門は何故か枯れ果てて魔物巣窟状態】と言う状況です。ご存知かとは思いますが、我々の目的地は峠の先にある火の大精霊の神殿です。峠を越えるには、ディル峠を登る直線の道か胞子の森を突っ切る右の道かル・ジェ第一水門を通り過ぎる左の道の、どれか三つのルートを進まなければなりません。
一応、先程ディル峠の方面から来た宿泊客に様子を伺ったのですが、峠の手前で立ち往生をしている者が大半や盗賊に馬鹿高い通行料を払えば通して貰えるなどのことは聞き出せました。
しかし、どの方も一般の人だった為、峠を逸れて胞子の森やル・ジェ第一水門に行けば今度は命が危ないなど、胞子の森とル・ジェ第一水門に関することは詳しく聞けませんでした。
ですが、主様がお決めになったルートであればこちらはどのような場所にでも付いて行く覚悟は出来ておりますので、これから進む道をお選び下さい。
(そう言ってクライドは昨日の晩に細かくルートの確認をしていた地図を相手に手渡し、一歩下がって急かさず素振りは全く見せずに大人しく主の返答を待ち)
(/わっ!それ楽しそうです…!!三国同盟は目から鱗でしたっっ! / こちらの背後は割とエゲツないのが好きなので…(( それだからこそボスなどで苦戦する時は映えますね…! / ですね!無事に卒業しましょう;; / あっ、済みません。質問なのですがいずれ使わせて頂きたいと思っていますので、あの魔術の手鏡の使い方を教えて頂ければと…!)
ふむ……となると朝方の連絡もこれか?
(地図を受け取るとそれを膝の上に広げて、視線を落としたたまま片手でピアスを弄ぶ。実際今の話だけでも進む道は殆ど決まったようなものだが、一応確認はしておこうと考えて軽くピアスを指ではじくと残留魔力の主に向かってパスを開いた。思念でやり取りしているため暫く無言の状態が続き、やがて短く息を吐き出すと軽く眼鏡のブリッジを押し上げて相手に視線を移し)
――峠一択だな。個人的には昨夜の一件と同一人物の仕業だろう水門が気になるが、国王は神殿に急げと仰せのようだ。どうも帝国の勇者が既に秘密裏に出立していたらしいから、先を越されるなと言う事だろうさ。
(ベッドから立ち上がってクライドに地図を返し、本国からの指示を伝えて大仰に肩を竦めてみせる。魔王討伐の過程で勇者同士が競うなど非効率も甚だしく、政治ゲームに巻き込まれている感じも正直気に入らない。とは言え帝国に後れを取ろうものなら余計に面倒な事になるのは目に見えているので、宮仕えの身としては結局仕事を果たすしかなくやれやれと首を振り)
……ちなみに、胞子の森の異常は人為的に引き起こされた可能性が濃厚らしいぞ。地脈の魔力反応も気温も例年と何ら変わりない上に、水門が枯れ始めた直後に怪しげな集団の出入りが目撃されていたそうだ。山賊が現れ出したのもほぼ同時期だと言う事を鑑みると、水門の異常に便乗した帝国側の妨害工作と言うのも頷ける話だよなぁ。
(火の大精霊の神殿へは三国のうち王国の首都からが一番近く、故にカレンたちが最初の目的地とした訳だが、無論王国と犬猿である帝国はそれを快く思わない。王都から神殿に向かうには必ず峠を越えるか迂回しなくてはならないため、人為的と言われれば下手人など推測するまでもなく帝国だろう。旅だけでも面倒なのにやってくれる、と考えていると昼食の時間を告げる鐘が鳴り、吊るしてあったローブを手に取って羽織れば肩越しに相手を振り返り)
……ひとまず腹ごしらえが先だな、行こうか。
(/トリップ忘れはお気になさらず!これだけレスが進むと、成りすましの方が逆にハードル高そうで(笑) 魔王が居なくなった世界で勇者という存在の価値を考え迷走した結果です(笑) お相手様とは良い酒が飲めそうです(握手)← どん底に叩き落としてからの!逆転劇!くぅ~、痺れますね!← soturonもロルぐらい筆が乗ると嬉しいんですけどね、ホント…orz 手鏡ですね、かしこまりです!使い方と言うほど大仰なものではありませんが、脳内設定をどぱーっと垂れ流しまs( 文字に起こしてみるとご都合主義アイテム感半端ない…。訳分かんねぇよ!と思ったら遠慮なく突っ込んで下さいませ…!
イメージとしてはGPSの機能を備えた糸電話みたいなもので、この二人の場合は従者さんがなんとなーく魔力を込めればそれを読み取った勇者が交信用の魔術を使って回線を開く、といった形で使用できます。ので、離れていて連絡を取りたい時なんかに呼びかけていただければと…!勇者のデフォルトは念話ですが、言えば音声や鏡を画面代わりに使ったテレビ電話()もご利用いただけます←
また魔術師である勇者にとってはアンカーやレーダーみたいなものでもあり、離れていても従者さん側の手鏡がある場所に魔術の効果を及ぼせます。(上記の通信も厳密に言えばこれです。個人的には従者さんが翳した手鏡から火の玉とか飛ばしてみたいです←)魔術師同士ではないので勇者が寝てたり気絶していると魔力の伝達以上は機能しませんが、はぐれた時なんかはドラ○もんばりに頼ると良いのではないでしょうか!←)
(主様が魔術で交信しているのを大人しく待ち、やがて短く息をついて終わったことを察すると上記の言葉を耳に入れていく。勇者の敵は魔王やその配下である魔物だけではなく、他国や他国の勇者も含まれている。建国当時から険悪だった三カ国は世界の危機とあれど協力する気など全くなく、むしろ競わせているのだからこのように勇者は勇者同士で敵である。そんな下らないことに主様を巻き込んで欲しくは無いのだがと王国に不満を持つものの、しかし現状を変える力など己には無いので心中で母国に悪態をつくだけで終わる。地図を返して貰って再び相手の意見を聞けば、クライドは考え込むように顎に手を当て)
……帝国側の妨害ですか。確かに筋が通っていますね。
(こそこそと卑怯な輩だと考えつつも、妨害作戦としては上出来であり厄介である。火の大精霊の神殿が一番近いのが王国だからだろうが、ここまでするとは。ーーそう思っていると昼食の時間を告げる鐘が鳴り、相手の言葉を聞いて)
はい、お伴致します。
(そう柔く微笑んで、その後をついて行く。目的の場所に着けば既に昼食の準備がされており、クライドは主が席に座ったのを確認すれば自身も座り、黙々と食事をしていき)
(/ありがとうございます…!確かにそうですね!(笑) けれど目から鱗でしたよ…! こちらこそ(ぎゅっ(( ) そう言うのがほんと大好きで…!(( 全然進まないですよね;; 詳しくありがとうございます!これは戦闘のバリエーションが増えて色々と楽しめそうです! 今度使いたいと思います!)
(食堂には同じように午後から出立する旅人たちの姿が見受けられ、いくつかのグループが交流しているのを尻目にテーブルの端の方に陣取って食前の祈りを形だけ済ませてから、パンをちぎって口に運ぶ。カレンもクライドも用件が無ければ互いに口数が多い方ではないので、出されたシチューとサラダを黙々と咀嚼していると聞こえてくるのはディル峠に関する話題。唯一先に進めそうなのが峠を行く直線の道というのは共通の見解のようで、もっぱら山賊に支払う金貨が足りるかどうかを心配する声が殆どだった。しかし中には山賊退治の算段を立てている集団も居るようで、屈強な男たちが口々に武勇伝を語り、戦闘への意気込みを述べている。それを聞いたカレンは倒してくれるなら有難いな、と期待する訳でもなければ無謀だと嘲笑する訳でもない率直かつ平坦な感想を抱き、何故か「嬢ちゃん達も峠に行くんだろ?俺たちに任せとけって!」と唐突に絡んで来た男に向かって一つ頷き)
――そうか、それは頼もしいな。
(まるで興味が無いとでも言うように心の籠らない返事を返すも、どうやらそれは伝わらなかったらしい。体の良い勘違いをそのままに気を良くした様子の男から視線を外し、紙ナプキンで口元を拭えば席を立つ。それに気付いて歩み寄って来た旧知のシスターと二三言葉を交わし、壁にかかっている時計を見てからクライドに視線を向ければ)
……三十分後に出発、門前で落ち合おう。
(そう今後の予定を言い残し、ひらりと手を振って食堂を後にする。教会を覆う結界が安定している事を確認しつつ一旦部屋へと戻れば、鞄を回収して後を追って来ていたシスターと合流。旅をしている以上暫くここに来ることもなく、たっぷり睡眠をとった上に今日は直近の宿場に向かうぐらいしかやることが無いため、小規模な術の行使なら問題ないだろうと判断して教会の要所要所に結界を補強するための術式を仕込んでいく。やがて目的の場所を全て回り終えれば丁度先ほど告げた時間となっており、シスターとは軽い挨拶を交わしてその場で別れれば門へと向かい)
(/むしろお互いに気付かれないレベルで成りすませてたら尊敬します(笑) せっかくの世界設定ですし、魔王討伐で旅が終わちゃうのは寂しいなぁ…なんて← ガンガンえげつない設定を取り入れていきましょう(ガシッ カタルシスですね、素晴らしいです! 途端に文章が思い浮かばなくなる不思議… いやもう何か妄想垂れ流し状態で申し訳ない…orzあわよくば例の遺跡ギミックで役に立つかな、と淡い期待を抱いております←)
(相変わらずこの雑踏の中聞こえてくるのはディル峠のことばかりである。山賊やら胞子の森やらル・ジェ第一水門やら凶報しか耳に入ってこない。飯が不味くなるなと思いつつも食事の場は情報の場でもある為、口に出すことはしない。それにそれで騒ぎを起こしてしまっては元も子もないからな。そう黙々と食べていれば屈強な男達が山賊を倒すだのをわざわざ告げて来て、全く期待していないが適当に会釈をする。主様の方も声色から察するにあまり興味が無さそうであるが、男達は気付いていないのでこれは駄目だなと確信する。ーーそれから食事を終えれば席を立った主様に)
了解しました。
また三十分後にお会い致しましょう。
(そう答えて自身も立ち上がり、ついでに食器を片付けているシスターを少し手伝ってから部屋に戻る。テキパキと支度を終えて武器の最終確認をしていれば、あっという間に待ち合わせの時間になったのでお世話になった神父とシスターに礼を言ってから門へと向かう。主様が来るのを待ち、やがて合流すれば教会を出る。ーー今日は午前中は快晴だったが、午後はやや曇りのハーメリア街道を歩いていく。本日目指すのは一つ先の宿場。運が良ければ途中で馬車を拾って二つ先の宿場に行けるのだが、分厚い雲のせいかハーメリア街道の人通りは少ない。雨が降らなければ良いが……。そんな懸念を抱えつつも曇天の空を歩いて行き)
(/実は偽物だった…!なんてことでしたら舌を巻きます(笑) / ふふ、魔王討伐の旅は長いのでまだまだ大丈夫ですよ!(( / 勿論です!(ぎゅっ) / 終わらせたいのに終わらない悪循環ですよ…。/ いえいえ!むしろ従者が受け身気味になってて展開を提供出来ず申し訳ないです…! / 遺跡ギミックで活かしたいですね!火の大精霊の神殿ゆえに火魔術でしか開かない扉が出てきた時とか大活躍です!)
(空を流れる雲によってハーメリア街道に降り注いでいた日差しはすっかり遮られており、風上である方向の空を見るとここよりも随分暗くなっている。雲の移動速度からすると上空の風が強くなっており、嵐を予感させるような重たい色の雲が街道に差し掛かるのも時間の問題のようだ。湿度の高い風が吹いているせいか跳ねとボリュームが心なしか増したような気がする髪を両手で真っ直ぐ伸ばすように引っ張りつつ、天上から地表に視線を戻せば)
通り雨なら良いが……明日も続くようだと少し面倒だな。やはり早朝に出発するべきだったか…?
(言っても詮無いことだとは分かっているのでほとんど独り言のように呟きながら手を離せば、いつにも増してミディアムの黒髪が波打ち毛先が重力に逆らってくるんと跳ねる。これは確実に降るなぁ、と大分投げやりだがそれなりに高性能な降雨予測をしていると、不意に後方から蹄鉄が土を蹴る音と木製の車輪が回る音、それから断続的な剣戟と怒号が聞こえてきたため足を止めて)
ふむ…………なあクライド。これを利用しない手は無いと思うんだが、どうだろうか。
(振り返って目を凝らしていると、見えてきたのは大きめの荷馬車とそれを襲っている騎馬に乗った盗賊らしき集団。荷馬車の護衛らしき人物達が応戦しているが、人数と機動力の差でやや押され気味である。それらを眺めつつ腕を組むカレンの表情はさながら物語に出て来る悪役魔法使いのようなにんまりとした笑顔であり、問いかけの形こそ取ってはいるが返答は聞くまでもないので確実に殺る気だ。また、魔物がそれなりに出没し周囲を草原に囲まれたハーメリア街道は、盗賊が待ち伏せて積み荷を襲うには向かない。現に最後に聞いた盗賊出没の報は半年以上前だったとカレンは記憶しているし、それも結局個人的な怨恨による夜襲だったはずで、白昼堂々大立ち回りを演じている盗賊に興味が沸いたようだ。知的好奇心を満たすという趣味と足の確保という実益を兼ねた行動を起こすべく、どこかあくどい笑顔のまま眼鏡のブリッジを押し上げ)
(/もはや偽物の定義とは一体…って感じですよね(笑) 確かに、遺跡に他国勇者に四天王(?)とイベント盛り沢山ですね!主従コンビからしてみればいい迷惑なのでしょうが(笑) どちらかが瀕死の重傷なんてシチュも楽しそうです(ゲス顔) 書いても書いても進んでいる気がしないんですよね… そんなことはありません!峠の話しかり天気の話しかり、適度な話題の提供と場面を進めてくださるのにはとても助かっておりますゆえ…! いいですね!天井が降ってくる部屋で、埋め込まれた宝玉に火属性の魔法を撃たないと出られないとか思い浮かびました(笑))
そうですね……。ただ早朝に出発したとしても同じく道の途中でしたと思いますし、それにここら辺には宿泊出来る宿が沢山ありますので主様のペースで問題ありません。
仮にこの後、雨が降ったとしても自身が傘をお差し致しますので。
(聞こえてきた呟きにクライドはそう微笑んで返していく。しかしながら、だいぶ湿気を帯びた風になって来たと思いつつ鈍く重い色をした頭上を見上げる。ハーメリア街道は砂利道ゆえに、もし雨が降ってきたらぬかるんだ地面に足を取られないようにしなければ。そんなことを頭に入れながら歩いていれば後方からは良からぬ喧騒が聞こえてきて、主様につられて振り返る。段々と視界に見えてきたのは、何やら盗賊らしき者達に襲われている商人の荷馬車で。こんな広く目立つ所で愚行を働いているなど一体どういう了見だ?と思いながらも、やはりその部分には主様も気になったようだ。いつも通り眼鏡のブリッジを上げている姿を見ては、こちらも標的を見定めて薄い笑みを浮かべていき)
ええ、是非とも主様のお力添えをさせて頂きます。
(そう言うや否、腰に携えていた剣を鞘から抜刀し。勢い良く駆け抜ければ迫って来る荷馬車に真正面から飛び移る。いきなり乗って来たこちらに目を丸くする商人と傭兵を見ては「主様の命で加勢をしに来た!」と喧騒の中でも聞こえるよう声を響かせる。剣を構え直し騎馬に乗った盗賊をざっと見回せば、馬車を攻撃しようと近付いて来た者を武器ごと斬り捨てる。踏み込み過ぎれば荷馬車から落ちてしまうなと間合いを計算しながら乗り込んで来た盗賊を斬り付けていき。だが、生け捕りにした方が情報を聞き出せるかと考えながら、敵の鳩尾に剣先の反対側を叩き込んで横に蹴飛ばす。ーーそろそろ主様の魔術の援護が入る頃だろうと考えて、視線をこの荷馬車が通って行くハーメリア街道の先へと向け)
(/既に影武者の域ですよね(笑) / その他にも世界観が広がるようなイベも入れていきたいですね!ファンタジーですし! / 良いですね.大好きです(ゲス顔)!ファンタジーらしく呪いに掛かるイベとかでも良いですね(グヘヘ) / そう言って貰えて有り難いです…!負担掛けさせてしまって申し訳ないと思っておりましたので…! / 時間制限付きのギミック!ダンジョン系にはお約束ですよね!焦りますが大好きです! / それにしてもまた返信遅くて済みません…!卒論ぇ…orz)
……はは、思ったより上手くいったようだ。
(荷馬車に向かって一直線に駆けて行ったクライドの台詞を聞いて「主様」の姿を探す商人と目が合い、それに応えて軽く手を振ってやれば心底安堵したような表情を向けられて目論見が上手くいった事を悟る。あまりのチョロさに失笑を禁じ得ずぽつりとそんなことを呟けば、既に何人かの盗賊を沈めたクライドの視線に一つ頷き)
ダメ押しで派手にやる必要もなくなったしなぁ。――さっさと済ませるか。
(使うつもりでいた魔術をキャンセルして無造作にパチンと指を鳴らせば、突然地面から生えた蔦が盗賊たちと彼らの操る馬を絡めとっていく。そして盗賊が足止めを食らっている隙に荷馬車が蔦の間を通り抜け、目の前まで駆けてきて停止した。中から勢いよく顔を出した商人が感謝の言葉を捲し立てるのを何とか宥め、襲撃者に心当たりはないかと聞くも思い当る節は無いらしい。ならば本人たちに聞くのが一番手っ取り早いと考えてクライドの元に歩み寄れば、手傷を負って地面に伏した状態で子供に聞かせるのが憚られる様な言葉を喚き散らしている男の首を蔦で絞めて気絶させる。吐かせるのならもう少し頭が回って事情を知っていそうな人物が良い。そんな風に考えてクライドに視線を向ければ、良さげなのを見繕ってくれと言わんばかりに口を開き)
もう少し話の通じそうなのがいいな。――他に息があるのは?
(/なりきり専門の影武者…文章力凄そうです(笑) ファンタジーらしいイベント…遺跡の在処を示す地図が景品の武闘会とか、無人島に漂流とか、立ち寄った村が魔物に襲われててクエスト受諾とか…テンプレしか思い浮かびませんorz 解呪の為に奔走する感じですね!呪いで記憶喪失なんかも捨てがたいですグヘヘ← いえいえ、こちらこそお世話になりっぱなしで申し訳ないぐらいです…! はい!部屋が水で満たされていくとかの、精神がじわじわ削られていく系ギミック大好物です(笑) こちらこそお返事が遅くなってしまって申し訳ないです…orz)
(視線を合わせた後、数秒遅れで地面が蠢めくのを視界の端に捕らえーー瞬間、あっという間に数本もの蔦が残っていた盗賊達と馬に巻き付いて動きを封じ込める。馬車が止まったのを察すれば、クライドはすぐに主人の見遣り「お疲れ様でした」と一礼して労いの言葉を掛ける。続いて足元で負け犬の遠吠えをする盗賊の罵声に、懲りていないようだと睨みつつも主様に手を出さないよう、剣には手を掛けたままで側で待機をし。ーーやがてこちらへと顔を向けた主人の言葉を聞くや否、クライドは周囲に視線をやり)
では、あの輩は如何でしょうか? 気絶させただけなので息はあります。
それに、他の盗賊とは違いやや身に付けている物が豪華そうなので、もしかしたら賊の中でも位が高いのかもしれません。
(そう言って、クライドはこれくらいのことで主様の手を煩わせるわけにもいかないと言ったように馬車の端に倒れていた盗賊の男を片手で引き摺って、主人の近くまで持って来るとその男を叩き起こしていき)
(/様々な文体で文が書けるなど文章力凄そうですよね(笑) / 武闘会とか、無人島とか、お使いイベ!良いですね!王道大好きです! / クライドのHPが一瞬にして0になりそうなイベですね(笑)!← 来るなと言われない限りはそれでも尽くすのが愚息ですが! / しかしながら今回はカレンさんの攻撃の出番を奪ってしまってほんと申し訳ないしか…。主様のことになると張り切り過ぎてカラ回る愚息(遠い目) / 水責め!ぜひ水の神殿で取り入れたい次第です! 早く神殿に行けるよう頑張ります…!/ いえいえ!大丈夫ですよ!私も年末&卒論で死んでますので…(震え声) / そして実は17日でこのトピが1ヶ月を迎えたんですよ!当方なりチャ歴が浅いこともあってここまで長く続いたのはこのトピが初めてで…。是非これからも宜しくお願いします!)
……ふむ、統領か。
(あの輩と呼ばれた人物に目を向ければ、なるほど確かに他の賊よりも若干裕福そうである。クライドが男を引っ張って来るのを腕を組んだまま当たり前のように待ち、馬車の中から恐る恐るといった様子でこちらを伺っている商人を一瞥する。知らないという意思表示なのだろう、首を横に振ったのを見れば統領(仮)に視線を戻し、気付けを施されてうっすらと目を開けたのを見て取ればおもむろに鞄から取り出した霧吹きの中身を男の顔に向かって噴射し)
確か――"彼方より狭間へ、狭間より此方へ。通り抜けるは真なる事象。汝騙ること能うべからず"――だったか?
(今しがた噴霧した魔法薬はいわゆる自白剤に分類されるもので、制作者によると独自の催眠魔法を併用する事で真実しか話せないようになる――らしい。どこか人工的な甘い香りが立ち込める中、半信半疑で呪文を唱えて教わった魔術を展開すると男の瞳から光が消える。魔術倫理委員会がすっ飛んできそうな代物だと感じるが、「合法だから」という同僚の言葉をひとまずは信じることにして口を開き)
お前が統領か?白昼堂々、こんな場所で襲撃を行った理由は?
(駆け引きも揺さぶりも無く単刀直入に疑問をぶつければ、ゆっくりと顔を上げた男が「ああ、そうさ……依頼で、時間と場所、を……指定され、たんだ……」と虚ろな瞳で問われるがままに語り出す。あまりにスムーズに進み過ぎる尋問に本当に合法なのか怪しくなってきたが、一応依頼人を問えば「知ら、ない……」との事。十中八九失敗するであろうその依頼に引っ掛かりを感じてあの手この手で問いを重ねるもそれ以上有用な情報は引き出せず、魔法の効果が切れて男が再び気絶したところで聖剣の柄に手をかけて)
――さて、次は確認も兼ねて真っ当な方法で尋問といこうか。これを寄越した奴の説明によれば、魔術にかかっていた時の記憶は無くなるらしいからな。
(/きっと影武者の文章力は53万…私では足元にも及びません(笑) カレンが記憶喪失になると「誰だお前」と言われたクライドさんのHPが0に、逆にクライドさんが記憶喪失になっても解決した後に事の顛末を聞かされて自己嫌悪でHPが0に…?← 基本的に面倒臭がりの主なので、従者さんが張り切っているぐらいがむしろ丁度いいかと(震え声)甘えっぱなしで背後としては非常に申し訳ないのですが、如何せん勇者が…勇者が……orz では火の次は水の神殿でしょうか!そのあたりで漁夫の利上等な海国勇者に出し抜かれるのも面白そうです(笑) 1ヶ月…もうそんなに経っていたんですね!こちらこそこれからも宜しくお願いします。2ヶ月も半年も一年もこうしてお祝いできると嬉しいです!)
(「おい、起きろ」とクライドが古典的かつ物理的にその輩を叩き起こしていきーーやがて、起きた所で主人の邪魔にならないよう一本下がるが、相変わらず警戒心は研ぎ澄ませている。彼女が何か水を霧吹きのような物で噴出したのを確認すると、確かある種の自白剤だったようなとクライドは頭の中で魔術に関する辞書を引いていく。合法か違法かと問われればグレーゾーンだが、どちらにせよ主様のやることを彼が止めるはずもなくーーむしろ、賛成してしまう従者なので口出しなどせずに一歩身を引いたままで待機を続けている。主人が魔術を展開し質問を投げ掛けると、賊の男はどこか虚ろな目のまま口を割っていく。その内容の真意は測れないが、"依頼"と言う言葉に裏で糸を引いている者がいるのか?とクライドは眉を顰めた。残念なことに賊の男はその依頼人の名前を知らないようだ。魔法の効果が切れのか再度気絶した賊の男を横目に、何やら聖剣の柄に手を掛け真っ当な方法で尋問を行おうとする主人を見遣り)
ーー主様、自分に何か手伝えることは御座いませんでしょうか?
(あまり自身がしゃしゃり出るのもどうかと感じたが、己の性分上ただ見ていることは出来ず、上記を尋ねてみて)
(/ いやいや!何を仰るんですか!?毎回、貴方様の文章を見る度に私は舌を巻いていますよ!(( / 自分が忘れていた場合は自己嫌悪でHPが0になりつつも土下座していますねアイツは(笑)主様馬鹿なんで! / ありがとうございます…!(感涙)いえいえ!主様カッコ良くて頼れるお方ですので、むしろクライドの方がもっと働けと思っていますので(笑) / 漁夫の利上等の語呂が良過ぎてぜひ海国勇者に本編で言わせたくなります! /勿論です!私は本当に絶対にいなくならないので、長く続けていけたらなと思います! / ちなみに今後の本編ですが、盗賊から情報を聞き出した後は荷馬車に乗って雨の降る中先の宿屋に到着する感じでしょうか?)
うん?……ならそこに転がってる奴等を片づけてきてくれ。このままだと通行の邪魔だからな。
(すらりと剣を引き抜いたところでクライドから声がかかり、一旦聖剣を地面に突き立てて彼に視線を向ける。こうして仕事を求められると何かないかと考えてしまうのはもう長年の癖のようなもので、カレンが周囲に視線を彷徨わせれば丁度道を塞ぐように倒れている盗賊たちが目に入った。幸い街道の脇は草原になっているから遺棄する場所にも困らないだろう。そう考えて盗賊を指差して指示を出し、ふと思い出したように「ああ。息がある奴はそのままでいいが、助からなさそうな奴は楽にしてやれ」と付け足し聖剣を引き抜く。そして周囲の野次馬が増えてきている事に気付けば小さく溜息をつき、カレンは人目につかないよう男を引きずって近くの木陰に引っ込み)
――おい、死にたく無ければさっさと起きろ。
(男の肩に剣を突き立てて覚醒を促せば、一秒と経たずに絶叫と共に跳ね起きる。しかし周囲に張られている音の拡散を防ぐ魔術結界のおかげでそれが外まで聞こえる事は無く、ダメージを受けたのは結界内に居るせいでまともに聞いてしまったカレンだけだった。眉を寄せて片手で耳を覆い、先ほどと同じ蔦の魔術で男を拘束。そして一度聖剣を引き抜けば底冷えするような眼差しで男を見下ろし――――数分後、赤く染まった剣を片手に街道へと一人戻って来る。血を振り落そうとしてやはり失敗し、魔物の血液と違って燃やせないため水の魔術で洗い流す。魔物の解体に賊の拷問とまともな使い方をされていないが腐っても聖剣。素人が雑に扱ってろくに手入れもしていないのに刃こぼれ一つなく、水をはじく鏡面のような刀身を暫し見つめてから鞘に戻し)
(/そんな…むしろお相手様こそこんな素敵な文章を書かれるのに、なりチャ歴が浅いと聞いて私が戦慄しておりますよΣ(ロ゚ ノ)ノ! 流石クライドさん、従者の鑑だ…これは珍しく勇者が空気を読む回になりそうですね(笑) ロルに出てこないだけで、カレンは日常の細かい所で滅茶苦茶世話焼かれてるんだろうなと勝手に想像してます(笑) じ、実はちょっと気に入っていたのでそう言っていただけて嬉しいです…!← 私も決して無言失踪だけは致しませんので、末永くお付き合いいただければと…! はい、そのような流れをイメージしております!宿に着いたら朝まで飛ばして、翌日は峠に着いた所からでも良いかもしれませんね。そして拷問描写は何処まで詳しくやっていいか分からなかったので、すっぱりカットさせていただきました…)
はい、お任せ下さい。手早く済ませて来ます。
(胸に軽く右手を当てて仕事を委ねて下さった主人に答礼のポーズを一度していき、鞘から剣を引き抜く。相手が近くの木陰に入ったことを確認すれば、頂いた仕事を済ませようと動き出そうとしたものの近くには荷馬車に乗っていた母親や子供達もいたので、なるべく怖がらせないように、クライドは人当たりの良い会釈を浮かべて「出来ればこちらを見ないように」と暗に示して伝えていった。剣を持ちながら、半ば街道を通り抜けるのを邪魔するように倒れている盗賊達を一瞥して、声を掛けたり足で払ったりして生きているかどうかを確かめていく。"息がある奴はそのまま。助からなさそうな奴は楽に"と脳裏で反芻しつつ、事務的に首を刎ねたり手に掛けずにしていってーーようやく、片付け終えれば布で顔や剣に付着した血を拭って鞘に戻す。盗賊達を退かしたことで、再び荷馬車は街道を走り抜けることが出来るようになっていた。主人の命を全う出来たことに独りで満足していると、キャラバンの人から「何も殺さなくても」と言った呟きを向けられたので"法を破った輩など法に破られて当然だろう"と言う風な目で周囲を見遣るが、ここで口論をしてもメリットが無い上に後少しで主様も帰って来る頃だろうと考えて反論は言わず「雲の陰りようからもう少しで雨が降るぞ」と、話しをはぐらかす為に半分真実で半分嘘を言えばキャラバンの人達は慌てて荷馬車を立て直していって、クライドはそれには目もくれず近くの木陰に視線をやれば)
そろそろ主様が戻って来る頃合いか。
(/いえいえ!毎回、試行錯誤を繰り返しております(笑) / 忠誠心が服を着て歩いているような者ですからね!() / 家事全般秘書業務もお任せあれ!な奴なのでほんと日常でも生き生きとしてそうです(笑() / では本編採用で!() / そうですね!他で細かくやったので宿に着いたら次で朝にしてすぐに峠入口にしましょうか! カット了解です!こちらもサクッとやりました(笑) / そして、明けましておめでとうございます! 今回は長くお待たせしてしまって申し訳ないです…やっと今日、魔王を倒せました!! こちらこそ末長く今年もよろしくお願いします!)
(澄んだ音を立てて聖剣が鞘に収まり、カレンは軽く肩を回しながらやはり剣を振るうのは性に合わないと考える。もう少し小振りならばまだ扱いやすいものを…いっそ研磨でもするか?そんな国の重鎮が聞いたら気絶しそうなことを思いつつ街道へと戻れば、既に仕事を終えたクライドが待機している。「ご苦労」と短く労って彼の後ろのキャラバンに視線を向けると、慌ただしく出立の準備を整えている中で指示を飛ばしている商人と目が合った。駆け寄って来た商人曰く、雨が降るらしいのですぐに出立する。ついては助けてもらった礼をしたいので是非同乗していって欲しいとの事。元々そのつもりで手助けをしたため頷きを返し、従者を伴って準備が終わった馬車へと乗り込んだところで丁度雨が降り始め)
――雨の中を歩かずに済んだ。これ以上の礼はいらん。
(道中、商人による拝み倒す勢いのお礼の言葉が終わり謝礼の話となると、カレンは興味無さそうに首を横に振る。そうはいかないと取り縋るのもきっぱりと拒絶すると、何やら勘違いを起こしたようでいたく感激した表情を浮かべられてしまう。弁解も面倒になって会話する事を諦めれば一人納得した様子の商人から窓の外に視線を移し、やがて峠の手前の宿屋に到着すればキャラバンと別れて宿泊手続きのためにフロントへと向かい)
(/いつも素敵な返信をありがとうございます…! そんなクライドさんには主様検定一級を進てi← 一人で十人分ぐらいの仕事をしてくれそうです(笑) わーい!(←)海国勇者登場が楽しみです(笑) そんな訳でひとまず宿まで飛ばしました…! 明けましておめでとうございます!今日でお相手様とお会いしてから二ヶ月ですね…!今年もどうぞ宜しくお願い致します! そしてこちらこそかなり空けてしまって申し訳ないです…orzようやく先日魔王を討伐し、ギルド窓口に証拠を提出してきました…!)
(無傷で帰って来たカレンを見ては、クライドは甚く安堵の息をつく。主人との間に固い信頼感があったとしても、やはり己の性分上は万が一と言うこともあって気に掛かるものだ。お前は心配性だと昔に同僚から言われたことを思い出していれば、不意に相手から掛けられた労いの言葉に内側がじんわりと温かくなるのを感じつつ、表では至って冷静に穏やかな笑みを浮かべて一礼をする。それだけでつい浮つき掛ける心を制しては主人と商人のやり取りを側で見守りーーそして、カレンの後に続いてクライドも馬車に乗り込んでいく。タイミング良く降り出した雨に視線をやって、この中を主様が歩く羽目にならずに済んで良かったと一安心をする。また、やや揺れる馬車の中で商人から感謝をされる主人を見れば、やはり主様が褒められているのは嬉しいと心の中で素直に思いつつも、もしその商人がしつこいようであったら追い払おうと、微かに目尻を尖らせて待機をしていく。そうこうしている内に、目的地の宿に到着したのでキャラバンへと礼を言って別れれば、存外長い道程だったので主様もお疲れのところだろうと考えて、自身がフロントで宿屋の手続きを済ませる。その後は、店主にこの宿屋のことについて軽く説明をされて各部屋へと案内をされれば、明日の旅路の為の準備をしていってーー。次の日の朝、早々に宿屋で朝食を取ればクライドはカレンと共にマール峠に向けて出発をしていき)
(/いえ!いつもマイペース更新で申し訳ないです…! / そんな素敵な物をクライドに与えたら、有り難く頂戴しちゃいますよ…!(笑) / はい!こちらも予告通りに宿屋を飛ばさせて頂きました!次で峠に到着していて大丈夫ですよ!これからは何もない時は場面を飛ばした方が便利かもしれませんね…! / わっ!2ヶ月目突破ですね!めでたいかつありがとうございます! / いえいえ!自分もかなり魔王に手こずって時間を開けてしまったのでお気になさらず!それよりも討伐おめでとうございます!!)
……事前情報通り、だな。
(早朝に宿屋を出発してからは目立ったトラブルもなく街道を抜け、カレンとクライドは峠の麓にある水門と森、そして峠へと続く道の岐路に到着する。ちょっとした広場になっているそこは普段なら馬車が十数台停留していても広さに余裕があるのだが、今は進退を決めかねて立ち往生している人々と現状を好機と見た露天商の屋台でひしめき合っていた。峠に陣取っている盗賊への通行料が馬鹿高いと言う事もあり中には怪しげな高利貸しらしき姿も見え、歩いていると商談の内容や怒声が聞こえて来る。他にも魔物を倒して水門を突っ切るための協力者を募る冒険者らしきパーティーや、直接の戦闘が無い分森を抜けるのが最善ではないかと議論しているキャラバン。山賊を倒そうと息巻く荒くれ者の中には先日教会の食堂で声を掛けて来た男の姿もあり、まさに混沌ここに極まれりといった状況だ。しかしカレンはと言えばその全てにまったく関心が無い様子で、むしろこの状況で声をかけて来る人間に碌なのは居ないと言わんばかりに呼びかけの悉くを無視していく。そしてようやく人混みを抜けて峠へ続く山道の前まで来れば、立ち止まって片手で髪を掻きまわしながら溜息を吐き)
――人の多い場所は嫌いだ。頭の中に要らん情報ばかり流れ込んでくる。
(/いえいえ、個人的にはそれこそが長く続く秘訣だと思っているので、これからもご自身のペースを大切になさって下さい…! 従者さん以外に需要無いので是非貰ってやってください(笑) 了解しました…という訳で峠入り口です! そうですね。それはそれで楽しそうですが、細かくやっていくと毎朝クライドさんがカレンを起こすために悪戦苦闘する羽目に…(笑) こちらこそありがとうございます!もう感謝の言葉しかありません…! ありがとうございます、お相手様もお疲れ様で御座いました…!当方、残すは口頭試問なのでもうひと頑張りしたいと思います!)
(程なくして二人は宿屋から峠の麓にある分かれ道の広場に到着するものの、そこはまるで王都のバザールのような状況であった。詰まるところは芋洗い場で、一種のお祭り騒ぎのようになっている。このような広場の騒々しさを鬱陶しげに思いつつも、クライドは主人のカレンに声を掛けて来たり掛けようとして来た人間へと睨みを利かせて追い払っていく。己の心情的には今すぐにでも抜刀して切り捨てたかったが、それは野蛮であるし何より自分勝手な行動で主様の品位を下げる真似はしたくない。フラストレーションを胸の内に焦がしながらも、手は出さずに人払いをしていく。それにしても兵士崩れや無法者共が多いなと、クライドは周囲にいる見て呉れからして柄の良くない人達を一瞥して進む。もしも粗相をする者がいたらその時は叩き切ってやろうと、自身の主人に危害を加えて来た最悪の事態を想定して、剣の柄に手を掛けたまま歩いて行く。ーーそれから何事も無く広場を抜けられたので、クライドは杞憂で済んだかと思いながらワザと尖らせていた雰囲気を、窮屈の無いように少し和らげる。不意に隣にいる主人の重たい溜め息が聞こえて来て)
全く以ってその通りです。自分もああ言った場所は苦手です。
(深く頷いて同意をする。今まで人混みの中にいて良いことなど無かった上に、逆に悪い目にあったことしかない。実に失礼な言い方だが、烏合の衆と言う言葉を脳裏に浮かべる。ーーふと、近くの山道の脇に『この先マール峠』と書かれた木の看板が視界に入る。この場所が峠の入り口だと言うのは明白で、更に気を引き締めなければと思いつつ口を開き)
ーーここから先は件のマール峠ですね。
盗賊や魔物が出ても必ずや主様をお守り致します。
(そう伝え終えれば、様々な思惑が集うマール峠へと視線を向けて行き)
(/ありがとうございます…!そちら様も無理の無いペースでの返信で大丈夫ですので! / 有り難く頂戴致しました!(( 主様至上主義のクライドにとっては表彰状並みのものです(笑(( / それもそれで面白いのですけどね! あっ、盗賊は帝国の妨害工作と言うことですので事が片付いた後に帝国の影と帝国勇者をちらつかせますか? / おおっ口頭試問ですか!緊張するとは思いますが頑張って下さい…!)
それは頼もしいが、出来るだけ戦闘は避けたい。万が一帝国関係者に目を付けられてもやっかいだしな。
(峠の看板を見つつ紡がれた相変わらず生真面目な言葉にふっと笑みを零せば、カレンは一言補足した上で首を横に振る。今回の妨害工作が九分九厘帝国の仕業である以上、峠に監視を配置していても何ら不思議はなく、帝国勇者も先回りすべく同じ神殿を目指していることだろう。故に相手側に勇者一行だと感付かれると更なる妨害に遭う可能性があり、神殿で事を終えるまでは目立たない方が無難だ。勇者本人と鉢合わせる可能性も考慮し、腰に佩いている聖剣をベルトごと外しながら思案するように視線を伏せ)
そうだな……私はどの国にも与しない、流れの古代魔術研究者という設定で行こう。目的地は神殿の少し先にあるカシュラ遺跡。研究のためならば盗賊の危険に曝されることも多額の金を払うことも厭わない、変人研究者…………殆ど通常運転か。
(波風を立てないようなそれらしい峠を越える理由と立場をでっち上げたものの、それがほぼそのまま周囲の自分に対する評価を伝え聞いたものと重なっていて、思わずくつりと喉の奥で笑えば緩く首を振る。そしてクライドに視線を向ければ、魔法鞄を開けようとしていた手を止めてふと何かを思いついたように聖剣と彼とを交互に見遣り)
…………言い逃れ出来ないレベルで勇者一行だと露見したら、お前を勇者にするのも有りだな。その後一度だけでも騙せるならいざという時の切り札になる。……聖剣に選ばれし勇者とお供の宮廷魔術師。物語的には実に自然じゃないか。
(咄嗟の思い付きを口にして考えを深めていけばそれなりに実用に耐えうる策だということに気付き、にやりと完全に企み事をする時の笑みを浮かべる。他国勇者の実情を知らないので何とも言えないが、剣の使えない聖剣使いよりは少なくとも説得力はあるはずだ。頭の中で聖剣のレプリカを作る算段をしつつひとまず魔法鞄に放り込めば、軽い調子で行くか、と言って看板を越えて峠に足を踏み入れ)
(/お返事が遅くなってしまい大変申し訳ありません…!そして重ね重ね申し訳ないのですが、2月は返信速度が安定しそうにないです、すみませんorz
表彰(笑)ではトロフィー作ってカレンに持って行かせますね! ですね!とりあえず本編でそれとなーく臭わせておきました(笑)名付けて勇者交代大作戦!← ありがとうございます、頑張ります!今から教授につつかれるであろう箇所の言い訳を考えておきます(笑))
(主人の言葉に、確かに派手な立ち回りをしてしまえば帝国の者の思う壺かとクライドは思い直して、出来るだけ戦闘を避けると言うことに対してしっかりと頷く。それにこれはもしかしたら只の妨害工作だけではなく、王国勇者が誰なのかを炙り出す為の罠かもしれない。旅立ってから早々に正体が露見するのは不利な状況に立たされるので、なるべく目立たないように峠を越そうと心に決めていれば。――ふと、考え事をしていた主人から続いて告げられた言葉を聞いていき、その内容にカモフラージュかと、主様の徹底した作戦に感嘆の息を零していく。しかも全てが嘘ではなく所々本当に近いことを織り交ぜているので、これなら益々バレる確率は低くなるだろうと見越して"その作戦でいきましょう"という風に再び力強く頷く。山賊へと金銭を払うのは少々癪だが、背に腹は変えられない。むしろそれで帝国の目を盗むことが出来るのなら安いものかと考えてしまうほどで。それにしても、主様は別に変人研究者などではなく知的好奇心の強い聡明な方なのだが、と素直に思ったものの、ここで訂正しようとしても主人自身が言うのだから口には出さずに心中で留めておく。――そして不意に、また何かお閃きになったのか。主人から向けられた視線にクライドは少し首を捻ったが、その話は最悪な事態を想定した時のものであった。こちらを勇者にすると言う、何とも畏れ多いことであった為に少し動揺し掛けたが、思い直してみれば影武者と言うことかと独りでに納得して、しかも実践すれば主様が狙われるリスクが下がるかもしれないと思えば一度首を下に振り)
ええ、その際はこのクライド。全身全霊をかけて勇者のフリをしてみせます。
(それに上手く言えば騙し討ちも出来るかもしれない。そんなことを考えていれば、主人に釣られて口角が上がっていたので悪巧みをしているような気分だと、くすりと笑みを零していく。――そうして看板を通り過ぎれば、いよいよ本題のマール峠へと足を踏み入れて行く。急斜面と言うほどではないが上り坂の山道を二人で進んで行くものの、山賊が暴れ回っているせいか魔物達は出て来ない。そのまま嫌に静かなマール峠を登って行き、山頂付近に差し掛かったところでガサリと物音がすれば脇道から獲物を持った山賊達が現れる。絵に描いたような極悪人面だと思っていれば「ここを通りたかったら200,000Gを払うんだな」と情報通り莫大な通行料を請求され、本当なら叩き斬ってやりたかったが騒ぎを起こせば帝国側に勘付かれる可能性が高いと、先程の主様との会話を思い出すと堪えて要望の金額を入れた小さな皮袋を山賊達に手渡す。その勘定を終えれば「よし、通っていいぞ」と道を開けられたので案外上手く事が運んだなと考えていると、その直前で「……いや、待て。そう言えばお前らは二人組だからキャラバンの者じゃねぇよな。この先に何の用だ?」と唐突に呼び止められれば探りを入れてくるように聞かれたので、事前の打ち合わせ通りに)
ああ、我々は流浪の者でそこにいるお方は古代魔術研究者だ。俺はその助手で、研究の為にこの先のカシュラ遺跡に用がある。
(何食わぬ顔でサラリと嘘をついていく。これで素直に通してくれるか、更に質問をされるかは運次第だが前者の方になれば良いとクライドは胸の内で思っていき)
(/いえいえ!むしろお忙しい中でのご返信ありがとうございます…! 従者はいつでも待ってますのでお時間がある時の返信で全然大丈夫ですよ! / カレンさんが持って来てくれるなんてクライドにとってはご褒美じゃないですか…!(歓喜) / 勇者交代大作戦!いつ使えるか楽しみです! あっ、本編での山賊の件ですが、そのまま通して貰うのも良し、更に怪しまれるのも良しですので、お好みの展開で大丈夫ですよ! / おお…頑張って下さい…!!)
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