加州清光 2015-11-15 21:35:33 |
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?……あ、うん。その、前に住んでたところは桜が無くて。
(縋るような動作に思わずきょとんとした表情を浮かべて惚けてしまうも、すぐに先程の自分の失言に気づけば咄嗟に取り繕うような嘘をついて。視線を逃がすように公園の方をちらりと横目で見ればわらわらと桜の木の下に移動する人々が目に入り、慌てて「やばい、いい場所とられちゃう」と相手を急かすと慣れたような自然な素振りでその手を解き、手首のあたりを掴み直して軽く引っ張りつつリードして。)
お、おぉっ…!
(掴まれた手首に驚いたのも束の間、そのまま手を引かれてはわたわたしながらもついて行き。掴まれたその手首から相手の温もりがじんわりと伝わってくれば、そのなんとも言えない心地良さに思わず表情を和らげるも、丁度よさそうな場所が目に入ればそちらへ駆けていき「よっ、と…。なかなかいい場所がとれて良かったな!」と、そっと手を解いて持ってきたレジャーシートを広げ、平らになるよう手で整えつつ相手を見上げては笑みを浮かべ)
ほんとほんと。すごく綺麗に見えるね。
(小さく礼を言ってからシートの上に荷物を置き腰を下ろすと、上に広がる枝を見上げながら無邪気に笑みを浮かべ相槌を打ち。手作りの弁当を早く相手に見せたい一心でトートバッグから弁当箱を取り出すと、「約束通り、作ってきたよ」と手際良く包みの上に広げて並べていきながら相手にウェットティッシュを差し出して。)
ポテトフライにハンバーグ……。俺の好きな物ばかりだ!
(ウェットティッシュで手を拭いてから開かれたお弁当箱の中を覗くように身を乗り出せば、まずは自分の好きな物が詰め込まれたおかずの数々にキラキラと目を輝かせ、興奮気味に相手とお弁当を交互に見やり。まさか会って間もない相手が自分の好みを知っているとは思わず「すごいなぁっ、これを1人で作ったのか!加州もこういうおかずが好きなのか? あぁ、それとも…いつもこんな感じなのか?」と子どものような笑みを零して)
ううん、俺はあんまり食べない。安定……同居人がこういうの好きなんだよねー。
(無論本当は相手のために用意した御菜であるため、喜ぶ姿を見れば内心小さくガッツポーズを決めてしまいそうになりつつも、初対面で食の好みを把握しているのは不自然極まりないため無難な言葉を返して。それから自分もウェットティッシュで手を拭けば、「早速食べよっか。たくさん作ってきたから遠慮せずにどーぞ」と笑いかけながらおにぎりを一つ手にとって。)
では早速…―いただきます!
(同居人と自分の好みが同じようなものだったのだと聞けばあっさりと納得し頷いては、かつて本丸に響かせていたはきはきとした声で食前の挨拶をして。いそいそと箸を取り大好物のフライドポテトに手を伸ばせば、「んんっ…加州は料理が上手いんだなぁ…」と美味しそうに表情を緩ませて、ほかの御菜やおにぎりにも手を伸ばし、もぐもぐと食べ進めて)
家事は分担しててさ。ごはん作るのは俺の方がよくやるから、慣れてるには慣れてるかも。
(刀剣男士時代に幾度と無く聞いた相手の褒め言葉も久しぶりだからか新鮮に感じられれば、擽ったそうに笑みを零して不自然に思われないよう理由をつけておき。こうして再び相手と共に花見をしていることが夢のように思われて、時折ぼんやりと物思いに耽りつつもこちらもぱくぱくと弁当を食べ進めていき。)
そうか…しっかりしているんだなぁ…。
(年の割に大人びて見えるその様子を見ては、思わず感心したように呟き落とし。その後も美味しいと幸せそうに零しながら食べ進めていけばあっという間に出されたお弁当を食べてしまい、満足そうに己の腹を擦りながら「ごちそうさまでした!」と満面の笑みを浮かべ、「きっと、俺とその…安定くんは、好みの味も似ているんだな。味付けも俺の好みどんぴしゃだったぞ」と心底驚いたように付け足して)
うそ、俺守沢さんの胃袋掴んじゃった?
(その表情や言葉から余程気に入ったのだということが伝われば、素直に嬉しくもありくすくすと笑いながら茶化してみせて。そのまま弁当箱を片付けつつ雑談を続けようとした時、こちらへと近寄ってきた少女たちに'あれ、加州もお花見?''そのイケメン誰?'と口々に声をかけられれば、彼女たちに相手を見せたくない一心で慌てて立ち上がり「親戚のお兄さん。……皆も花見?あっちならまだスペースあったよ」と自然な笑みを浮かべたままさりげなく追い払おうとし。)
―なんだなんだ、“清光”のお友達か?
(相手の後ろ姿の向こうに少女らの姿が見えれば、沢山の友達がいるのだなと温かい気持ちになると共に微かにもやもやとした感情も湧いてしまい。数秒考え込んだ後すっと立ち上がれば、隠そうとしてくれた相手の気も知らずにその肩に手を置いては背後からひょっこりと顔を出し、彼女らに人当たりの良い笑みを向けて。小さく声があがる彼女らの1人に、相手に好意があるのかそわそわとした様子で相手を見た女の子が “じゃぁさ、加州も一緒にお花見しない?” と声をかけるのを聞けば、「すまない、俺達もそろそろ移動しようとしていてな…? 皆さえよければ、此処を使ってくれ!」とやんわり割り込み、ちらりと相手を見やって)
そういうことだから。ごめんね。
(自分に合わせて演じてくれているとはいえ不意打ちの名前呼びにうっかりときめいてしまえば、少女の誘いを相手が丁寧に断る間もぼんやりとそのやり取りを眺めるだけで。こちらに視線を寄越されてようやく意識を引き戻されると、すぐに愛想笑いを浮かべて彼女たちに優しく謝り、広げていたシートを畳んでから「はい、どーぞ」と空いたスペースを譲って。)
それじゃぁ、俺達はこれで! これからも清光をよろしくな。
(彼女達が空いたスペースにシートを敷き始めるのを見届けては、きゃぁきゃぁとはしゃぐその子らに片手をひらひらと振り。再び相手へ視線をやれば、軽く手首を掴んで「行くぞ、清光」と告げるなり桜並木のある方へと向かって足を進め)
…話、合わせてくれてありがとう。
(手を引かれるがままにその場を離れて歩きながら先程の礼を述べるも、内心上手く切り抜けられたことに安堵しており、また相手自ら二人きりで居ることを選んでくれたという事実に対する喜びがこみ上げてきて。桜並木の下まで来たところでゆっくりと歩みを止めれば、少し眉尻を下げて「なんかごめんね、ゆっくり座って見れなくて」と謝りつつ相手を見上げ。)
気にするな! こうして色んな桜を眺められるのは、歩きながらの特権だぞ。
(咄嗟に清光と呼んだことや手首を掴んでここまで連れてきた事に気づけば我に返るなり慌ててその手を離し、わたわたとしながらも笑ってみせて。相手の友達に嫉妬していたのだと自覚しておらず普段ならしない自分の行動に微かに困惑してしまうも、先程の行動を振り返っては「それより……俺の方こそすまない、急に割り込んで図々しい真似を……。友達だったんだろう?」と申し訳なさそうに呟き)
うん、クラスの子達だよ。
(自分としてはむしろ嬉しかった先程の行動について謝られてしまえば、意外そうに目を丸くしつつもまずは問いに答えて。離れてしまった距離が少し寂しく、思い切って今度はこちらから相手の片手をとれば両手で優しく握りながら「気にしなくていいの、俺は守沢さんと約束してたんだから。…それに一緒に桜見たかったし」と照れくさそうにはにかみ答えて。)
な、えっ……―そ、そうか? それなら良かったんだが!
(相手の手のひらの温かさにこの上ない安心感を覚えると同時に、鼓動が早まればじわりと頬を染め上げ、明らかに動揺した様子で手を解いてしまい。意識とは関係なくどうしようもなく熱くなった顔を方手の甲で隠せば、くるりと相手に背を向け「ここの並木道は長いな! もう少し歩こう!」と歩き出してしまい)
あ、…うん。
(恋仲であった時ならばひと目で照れ隠しと見抜ける相手の反応も、それほど心に余裕が無い今では拒絶としか思えず、大胆な行動に出てしまった自分を恥じながら黙って相手の後をついていき。しかし'早いうちに謝らなければ今日限りで会ってもらえなくなってしまうかもしれない'という不安に駆られれば、今度は手を掴まずに先を行く相手を「ねえ!」と呼び止め、気にしていない風を装いつつ「知り合ったばっかなのに手握ってごめん、不快だったよね」と謝って。)
そうじゃなくて!全然不快じゃなかったし、なんならその……少しドキドキしてしまってな?!
(何やら誤解させているようだと分かれば弾かれたように振り向いて、手振り身振りを加えつつ感じたことをそのまま口に出してしまい。未だ薄らと赤みの残る頬をそのままに、ちらりと視線を向けては「お前の手が温かくて、とても心地よくて……なんて、俺の方こそ会ったばかりなのに変だよな」と軽く笑い飛ばし、気を取り直して隣に並ぶと改めて歩き直そうとして)
っ……あのさ、名前で呼んでもいい?
(自分の不安は杞憂だったのだとわかれば嬉しそうに頬を緩めるも、赤面する様を見れば無理やり押し殺そうとしていた相手への想いが堰を切ったように溢れてきて。駆け出して数メートルほど進んだところで相手を振り返るとほんのりと頬を染めながら提案し、それから「守沢さんって他人行儀だし……千秋くん。だめ?」と様子を窺うように小さく首を傾げてみせて。)
―もちろんいいぞ!
(こちらもてっきり気持ち悪がられると思っていたため、その申し出を聞けば途端に目を輝かせてこの上ない満面の笑みを浮かべて。それからすぐにハッと閃いたような表情を浮かべては、ずいずいと相手へ歩み寄って「では、俺も親しみを込めて“清光”と呼ぼう! といっても、さっきも呼んでしまったが……」と、そわそわした様子で相手の答えを待ち)
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