加州清光 2015-11-15 21:35:33 |
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わっ、返信早い。……?お前のこと聞かれたんだけど。
(すぐに通知音を響かせたスマホにびくりと反応して身体を起こすと、嬉しそうに頬を緩めて端末のロックを解除して。もはや隠しもせずに面白がっている安定に'主は何だって?'と問われれば早速文面に目を通すも、二言目の質問が目に入れば少々怪訝そうに眉根を寄せつつ答えて。兄弟でも親戚でもないが一緒に住んでいる以上友達とも言い難い、そんな微妙な関係性をどう表して良いものかわからず、'同居人。ルームシェアしてる'と正直にそのまま打ち送信して。)
ルームシェア…。高校生なのに、大変だな……。
(髪の毛をタオルで拭いつつ返された文面に目を通せば、理由の分からない安堵と共に思わず独り言を零して。早速返そうと再び画面を操作しては、“楽しそうだな! だが、高校生二人で家事とかは大変じゃないか? ” “俺も料理が苦手でな” と思ったことをそのまま送り。送信した直後、なんだか他愛無いそのやり取りが酷く大切な物に思えては堪らず頬が緩んでしまい)
んー…いってら。
(一年前の別れを思えば記憶が無いとはいえ今こうして相手とやり取りできることがかけがえのないものに思えて、返信が来るや否やいとおしげにその文字を辿り、すぐに文面を打ち始めて。飽きてきたのか安定が欠伸混じりに'僕お風呂入ってくるよ'と脱衣所へと消えるも、相手とのやり取りに夢中になる余り聞き流すようにそれに答えて、'家事は元々好きなの'と返信をすると、少し間を置いてから迷った末に'今度 ごはん作ってあげようか?'と付け足して。)
い、いいのか?!…っじゃなくて、返信…!
(思いもよらない相手の返事に数秒固まっては、その文に思わず文字を打つ前に声が出てしまい、これは早く返さねばとわたわたと忙しなく手を動かして。“ぜひ頼む!” と送った数秒後には “いつにする?” と続けて送ってしまい、自身の送った文を見返して我に返ってはさすがにがっつきすぎたかと1人で慌てふためき、思わず携帯を枕の下にずぼっと滑り込ませ、そのまま寝転がってはその枕に顔を埋めればじっと返事を待って)
どうしよう、さすがに引かれた…?
(既読がついたものの先程までのような早さで返信が来ることはなく、勘違い故にあっという間に不安と後悔の念が湧き起これば'冗談だよ'という一文を作成して。しかし送信ボタンを押そうとしたタイミングで相手からの返信が来れば、ほっと小さく息をつき先の文を削除してから'急だけど、明日って時間ある?''お花見行かない?お弁当作るよ'と打ち直したメッセージを送信して。)
お花見…!
(返事が来るまで先程の体勢のままじっとしていたものの不意に鳴った電子音にビクリと半身を起こしては、ひったくるように携帯を取ってその返事を読み。重なる相手からの誘いに目を輝かせては、いそいそと指を滑らせて“大丈夫だ、空いているぞ!” と食い気味に送っては、何故こんなにも嬉しくなるのか不思議に思いつつも自然と頬が緩んでいき)
やば、のんびりしてられないじゃん。
(早くも再び相手と会う予定ができればどうしようもなく浮かれてしまい、今度は躊躇い無く'じゃあ11時に駅前ね'と一方的に決めて送り付けるとスマホをテーブルに放置して自室に移動し。クローゼットを開けてトップスからボトムスまでいくつか候補を挙げ、「ちゃんと可愛くしていかなきゃね」と零しつつ明日用にコーディネートを考え始め。)
これでよし、と……。
(相手から返事が来ると寝転がったまま了解の旨とスタンプを送り返し、それからすぐにベッドから飛び起きては明日の準備を始めて。それもすぐに終わってしまえば寝る準備も整えて再びベッドに横になり、ふと気になったかつて撮った桜の木の写真を見返しては「お花見…か」と呟き落とし。相手が写っていたはずの部分をゆったりとなぞれば、そのまま深い眠りに落ちて)
俺明日千秋とお花見行ってくるから。お前の弁当箱借りるよ。
(悩んだ末にコーディネートを決めて自室から出ると、ちょうどそのタイミングで風呂から上がった安定と鉢合わせて、明日の予定を告げそれに対する興味無さげな彼の相槌を背に受けながら脱衣所に向かって。入浴を済ませて癖が付かないように念入りに髪を乾かすと、明日の支度を整え早朝に起きられるようアラームをセットしてから寝床に入り。)
―ん、ん……んんん゛~…。
(相変わらずの寝起きの悪さ故に目覚ましが鳴り響く中でもなかなか起きることができず、目覚まし時計を止めようと布団の中から手だけを伸ばして辺りを探り。しかしその途中でベッドからずり落ち、ごつんと鈍い音をたてて額を床にぶつけてしまえば、ようやく目が覚めたようで「……お花見!」と飛び起きてはバタバタと身支度を始めて)
──これで良し、と。
(もとより早起きを習慣づけてはいるもののアラームが鳴るよりも先に目が覚めれば、早速キッチンに立ち弁当作りに取り掛かって。フライドポテトやらミニハンバーグやら相手の好きそうな御菜を作りつつも、同時に彩りとバランスが良くなるよう野菜も多く使えば、完成した弁当を誇らしげに眺めてぽつりと呟き。起きてきた安定と共にシリアルなどの軽い朝食を食べなから「お弁当のおかず、多めに作っておいたからお昼に食べて」と彼に説明すれば、それからすぐに身支度を整え時間に余裕を持って家を出て。)
忘れ物なし! いってきます!
(慌ただしく朝の準備を済ませては、荷物を取るなり勢いよく外へ飛び出して。起きた時間が遅くなってしまったために出る時間も押してしまい、走りながら腕時計を見ればぴったりか少し遅れるかの瀬戸際だったため全力で駅まで駆けていき。駅前に着けば呼吸を整えつつ相手の姿を探して辺りを見回して)
ちゃんと可愛い、かな…。
(オーバーサイズの黒いカーディガンに紅色のストール、少しヒールのあるブーツに刀剣男士時代と同じイヤリング、そして両手にはクラッチバッグと弁当の入ったトートバック、といった気合が入っているのかちぐはぐなのかよくわからない出で立ちで相手を待っていたものの、窓に写る自分の姿をチェックしたり腕時計で時間を確認したりとどうにも落ち着きなく。)
かーしゅー…う!
(窓の方を向いて身なりをチェックしている相手の姿が見えれば、その瞬間微かな懐かしさを感じて数メートル手前で足が止まってしまい。しかしそれも数秒にも満たないほどで、すぐさま我に返っては相手の名を呼ぶと共に肩へポンと手を置いて「すまない、少し遅れてしまった!」と、急いできた故に軽く乱れた髪の毛をそのままに、へらりと苦笑を浮かべて)
わ。……おはよ。
(背後から声をかけられれば驚いた様子で振り返るも、相手の顔を見るや否や嬉しそうに顔を綻ばせて。それからごく自然な仕草で乱れたその髪に手を伸ばすと、指で梳くように丁寧に整えてやりながら「全然待ってないよ。…これで良し。じゃ、行こっか」と目を細め優しく答えて、桜の名所と名高い近くの公園を目指してのんびりと歩き始め。)
ありがと、な…。
(相手の手が伸びてくれば思わずきょとんとしてしまい、友人ですら口頭の指摘で済ませるところを丁寧に直されれば驚き半分、そしてどこか心地良さ半分に感じており。それから相手の隣に並んで歩き始めては、改めてその服装をまじまじと見つめ「…加州。私服はいつもそんな感じなのか?」と、無意識に過去と照らし合わせているのか酷く気になってしまい)
私服…?うん、だいたいこういう感じだけど。
(唐突に問われれば不思議そうに繰り返し、今身につけているものを確認するように自らの服に視線を落としつつ答えて。突然の質問にその意図がわからず小さく首を傾げながら相手を見上げるも、不意に一つの可能性に思い至ればはっとした様子で「もしかして可愛くない…?」とひどく不安げに尋ねて。)
そんなことはない! とても可愛いぞ!
(誤解していると分かれば慌てて首を横に振り、両手拳にぐっと力を込めて見せつつきっぱりと言い切って。公園に近づくにつれて辺りが賑やかになっていく中、無意識にもかつての自分が愛しげに相手を見るような視線を注ぎつつ「ただ、俺の好きな雰囲気の服だと思って……」と零し、最後に小さく笑って見せて)
ほ、ほんと…?
(記憶を失っているはずの相手がまさかここまで自分のことを好意的に取ってくれるとは思わず、目を丸くして聞き返すとひどく幸せそうにはにかんでみせて。そのまま私服の話題で更に言葉を重ねようとしたものの、角を曲がったところで満開の桜が目に入れば思わず駆け出してから興奮気味に相手を振り返り「すごい、桜だよ守沢さん。俺、桜見るの今年で2回目なんだー」と普通ならば不可解に思われかねない言葉を口にし。)
―……。
(桜を背に振り返った相手を捉えては、その瞬間、かつて相手と花見をした記憶が脳内を掠め思わず息を呑んで。ぼやけた視界には相手そっくりの人物がおり、その彼に“千秋”と優しげな声で呼びかけられれば反射的に手を伸ばすも、ハッと我に返ったときには相手の手首を掴んでおり。自分でも訳が分からず暫くぽかんとしていたものの、ぱかっと口を開けては「あ、ははは……。すまんすまん!置いていかれてしまうと思ってな!というか、2回目…なのか?」と、誤魔化すようにぎこちなく笑い飛ばし)
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