加州清光 2015-11-15 21:35:33 |
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来年も再来年も、また絶対来ような。
(相手と同じくその温もりを堪能してから少しだけ身体を離すと、にっと笑みを浮かべつつ相手の片頬をゆったりと撫でて。それから数回程撫でていたかと思えば、徐手を止めどこか真剣な眼差しを向けつつ「清光……」と柔らかな声色で呟き落とし。そのまま口付けを交わそうと顔を近づけるも、茂みがガサガサと音を立てれば反射的に中断してそちらへ顔を向けてしまい)
待って、ここ外だから…!
(雰囲気に流され口付けを受け入れようとしたのも束の間、少し後方に他の刀たちがいることを思い出せば、慌てて相手の胸元を押し返して制し。その直後茂みが奇妙な揺れ方をすれば、目を丸くしつつそちらを凝視し「…鹿?猪?熊、じゃないよね…?」と丸腰故かひどく不安そうな面持ちで零しながらも相手を庇うように一歩前に出て。)
そんなに深くまで入っていないはずなんだが…―
(不安であるはずなのに何の迷いもなく庇う姿勢になった相手を見れば、こんな時でも愛しさが込み上げてくるもので。しかしすぐに気持ちを切り替え、いざとなったら自分も相手を守れるようにと身を構えたところ、一層茂みが揺れたかと思えばそこから出てきたのは五虎退の虎の内の一匹で。途端に気が抜けると、思わずそちらへと駆けていき「なんっ、だぁぁぁ…。五虎退の虎か!どうした!迷子になったのか~!」と虎を抱き上げ、安堵故にテンションが高まりつつわしゃわしゃと頭を撫で回し。)
びっくりさせないでよ、もう…。
(茂みの中で遊んでいたためか体のあちこちに葉をくっつけたまま相手に撫でられ喉を鳴らしている虎を見ては、苦笑混じりに手を伸ばしてその葉をとってやり。愛くるしい眼差しでこちらを見上げてくる虎に思わずきゅんと胸をときめかせると、頬のあたりを指で優しく撫でてやりつつ「あんまり五虎退から離れるなよー」と笑いながら言い聞かせて。)
よし……五虎退に知らせに行くか!
(相手同様虎の可愛さに癒されていたものの、それと同時に相手に撫でられている虎が羨ましくてしょうがなく、うずうずとしながらも一先ずその衝動は抑え込んで一つの提案をして。改めて虎を抱き直すと、ちらりと相手を見やり「もうそろそろ昼だし、丁度いいだろう?」と笑いかけ、そのままもと来た道を引き返して)
きっと探してるだろうしねー、早くつれていってあげよう。
(不安げな表情を浮かべて虎を探す五虎退の姿が容易に想像でき、相手の提案に同調して頷き答えては、その後について先ほど敷物を敷いた辺りまで元来た道を引き返し。案の定心配そうな面持ちで虎を探していた五虎退を見つければ、駆け寄りつつ声をかけてから、彼に「五虎退の虎、向こうの方まで迷い込んでたよ。ほら」と告げながら相手を振り返り腕の中の虎を指し示して。)
広い場所に来れて嬉しかったんだろうな。
(お礼やら謝罪やらを忙しなく繰り返す五虎退の様子を見ては、小さく笑みを零しながら彼に虎を預けて。とりあえずは一段落したと己の腰に手を当てては、「さて、と……まだ戻ってきていない奴には声をかけてきてくれ!お昼にするぞ~!」と近くにいた何人かに声をかけ。それからすぐに相手の方へ向き直ると「俺達は準備をしよう。お前が作ってくれたおにぎりも早く食べたいしな!」と告げてから、いそいそと敷物の上へ向かい)
了解。主のリクエストのおかかのおにぎりもあるよ。
(頷いて敷物の上の荷物に手を伸ばしては、小さなタオルで作ったお搾りを取り出して一つを相手に渡しつつ自分も手を拭いて。風呂敷を解いて重箱の蓋を開けていくと、味ごとに色の違う重箱に分けたおにぎりをわかりやすく並べていき、相手に指し示しながら「こっちは鮭、こっちが昆布、これがおかかで…」と得意げに説明して。)
沢山作ったんだなぁ…。ありがとう、清光。
(相手の話を聞きながら手を拭いたり相槌を打ったりしていたものの、そんな相手の得意げな様子が可愛らしく、説明が終わるなり表情を緩めながらそっと頭を撫で回し。その間にも仲間達も全員戻ってきたのか辺りは先程より賑やかになっており、重箱の中を覗いたりと全員お腹を空かせているようで。視線で相手を促すと、いつものように手のひらを合わせ「―いただきます!」と合図を出して)
いただきまーす。
(両手を合わせて挨拶を済ませると、早速適当な一つを手に取り一口頬張って。簡単な握り飯といえど美しい紅葉を見ながら食べると不思議といつもより美味しく感じられるもので、随分と機嫌よく食事を進めては「やっぱ食欲の秋だよなー。帰ったら焼き芋でしょ、たくさん食べて太っちゃったらやだな」と言葉のわりに楽しげな様子で声を弾ませて。)
んんっ……美味い!
(早速おかかを手に取り大きく開けた口でかぶりつくと、途端に表情を綻ばせながら声を上げて。2つ3つと次々に口に運んで行く最中、相手の呟きが聞こえてれば1度手を止めて「太ったら嫌なのか…?だが、よく食べるのは良いことだし……どんな清光でも可愛いぞ?」と口周りに米粒が付いているのも気付かず、心底不思議そうに首を傾げ)
そういう問題じゃないの。俺が自分で納得いかないだけ。
(口元に米粒をつけたまま無邪気に問う相手が可愛らしく、笑いながら返しては手を伸ばしてその米粒を取ってやり。そのままそれを食べてしまうと再び自分の握り飯を食べ進めていき、焼き芋のことも考えて少し物足りない程度で止めると「ごちそうさまでした」と両手を合わせて。最後の一つをかけた争奪戦に参加しようとしている安定を見れば、自分とは正反対な彼の食べっぷりに思わず呆れ気味に「帰ったら焼き芋もあるんだから、食べ過ぎないでよ」と窘めて。)
―ふはははっ! 勝利!
(なんとなく納得したように小さく頷くも争奪戦が始まれば慌ててそちらへ体を向けて参加をし、何度か繰り返したじゃんけんの末見事勝ち残れば、その拳を高々と掲げて最後の一つを手に取り。それをしっかりと味わうように食べては、満足気にお腹を擦ってから「ごちそうさまでした!」と食後の挨拶も済ませて)
主も、あんまり食べ過ぎると口の中にぷつぷつできちゃうよ。
(満足そうな相手を横目に至極大真面目な口調で注意をすれば、自分で言っておきながら何かが引っかかったかのような怪訝な表情を浮かべてしきりに首を傾げ。それからようやく口を開くと相手の腕をつついて気を引いてから「食べ過ぎた時に口の中にできるあれ、なんなの?病気?」と少し不安そうな面持ちで問いかけて。)
口の中……―口内炎のことか?
(相手から注意されつつもその言い方が可愛らしく密かにときめいており、腕をつつかれたところでやっと我に返ると考えつくものを一つあげてみて。自分の世界では極一般的なものであるものの、相手にしてみれば未知のものなのだと一人納得しては「病気といえば病気だが、特に心配するようなものでもないと思うぞ? ちゃんと規則正しい生活を心掛ければ治るからな」と小さく笑いながら、安心させるように相手の頭をぽふぽふと撫でて)
こうないえん。…口内炎ね、覚えた。
(相手の反応から大したものではないのだと分かれば安堵しつつも名前を覚えるために繰り返し、改めて向き直り相手を見上げると新しく仕入れた言葉を早速使ってみたいのか少し得意げな様子で「口内炎できるまで食べちゃだめだよ」と注意をし直して。一連のやり取りを隣で見てきた安定に少々幼くもとれるその言動を指摘されれば、じわりと頬を染めて「べつにいいじゃん、使わないと言葉って覚えないし」と言い訳がましく反論し。)
っ、…ん…―あぁ、気をつけるぞ!
(先程の事に加え更に可愛らしい言動を目の当たりにすればときめきは増すばかりで、それを堪えるように顔を背けて己の口元に手を当て小さく声を零すも、すぐに向き直りどこか緩んだ表情のまま再び撫で回しつつ頷き。その様子を見ていた安定が、呆れたようにしながらも帰りはどうするのか聞いてくれば、数秒考え込んだ後「では、帰りは別の道を通って帰るぞ!全員準備はできているか?」と自身の準備をしつつ声をかけ)
はーい、帰りも足元気をつけてね。
(相手の様子に小首を傾げつつも大人しく撫でられたまま、その後その相手から声がかかれば話しながらまとめていた荷物を手に自分も全体に注意を促しながら下山を始めて。余力がある上に中身が無くなった分行きよりも荷物が軽く、それだけ足元に気を配る余裕もあるためか幾分軽い足取りで麓まで下りていき。)
―よしっ、全員いるな!帰ったら焼き芋を作る予定だから、手伝ってくれる奴は庭に集まってくれ!
(下りる前に地面に落ちていた特に綺麗な紅葉を数枚拾えばぐしゃぐしゃにならないように荷物の中に入れ、それからすぐに下山を始めると行きの事もあってか麓までは十分に気をつけて下りていき、本丸までの道を歩きながら全体に声をかけて。相手の隣を歩きながらも、周りの賑やかな様子に目を向けると「いい気分転換になったなぁ」と顔を綻ばせ)
たまには山もいいねー。空気が美味しかった。
(深く頷いて相手の言葉に同意すると、山の中で見た豊かな自然を思い出しつつ本丸へと足を進めて。今日のハイキングで気分転換ができたのはどうやら自分たちだけではないようで、いつもよりも生き生きとした表情を見せる仲間たちをちらりと盗み見ては「みんなも疲れを癒せたっぽいし」と満足げに付け足して、本丸に着いた後も逸る気持ちを抑えつつ一先ず片付けをしようと厨に向かい。)
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