青年 2015-11-13 07:32:24 |
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…っあ、へ、いやあの!(無意識に物思いに耽っていると目の前でチラつく小さな手に気付き間抜けな声を上げながら立ち上がればズボンの砂を払うべくパンパンと子気味良い音を立て同時に"まさかな…"と小さく呟き。落ち着きを取り戻し始めると今度は自分より低くなった少女を見下ろすように眺めるも、高い所からの説教は威圧的だろうと再びしゃがみ込んで目線を合わせながら微笑んで見せ)あービックリした。転んだのが俺だったから良かったものの、友達やお年寄り相手にやっちゃダメだぞ?
(/了解です。ではひとまずこれにて。)
あー、はいはい…子供の目線に立って頭ごなしに叱る訳でもなくあくまでも優しくわかりやすい言葉を選んで言い聞かせる…正に絵に描いたようなおこさまに対する理想的なお説教だね。満点満点
(悪戯を仕掛けた自分のことを外見から子供と判断するや、強い口調で叱るのではなく優しげな態度で此方の良心へと訴えかけていく方向へとシフトして、それでもキチンと反省をするように促すことも忘れないという、これまで長い時間を過ごしてきた中で嫌というほどに見てきた教科書通りとも言えるお説教のパターンに対して手をヒラヒラと靡かせながら軽く肩を竦めて首を横に振り、面白みがないとまるでダメ出しをするかのように皮肉たっぷりに可愛げもなく上記のような態度とって相手を煽り
なっ…(一言でも子供らしい謝罪が聞こえたら頭でも撫でてそれで終わりだと思っていたが現状にそんな空気は皆無。相手の外見からは一切想像していなかった言葉の羅列と態度に口をぽかんと開けたまま呆気に取られるとすぐにカクンと首を項垂れて額を片手で隠すように支えながら"最近のガキは…"と力なく零し苦笑混じりに顔を上げ)じゃなくて、ごめんなさいだろう?ていうかお前みたいなちんちくりんがどこでそんな言葉覚えるんだよ。テレビか?
ち、ちんちくりん!?…全く、人はそうやってすぐに見た目で他者のことを判断しようとする…私は人のそういうとこが気に入らないんだ
(相手の物言いにカチンと来て思わず感情的になってしまえば真っ直ぐに顔を見上げて睨みつけたが、すぐにこんなことで感情的になってしまっていては負けだとでも言わんばかりに冷静さを取り戻した様子で小さく咳払いをして、腰に手を当てて相手をビシッと指差したかと思えば口うるさく言いたい放題言い出して、気がつけば逆に此方から相手へと説教をするような形になっていてすっかり立場逆転したような気になって得意気な様子でいて
なのなぁ、人は人はってお前もおんなじ人間だろってちょ、待て聞い…(己が下手に出れば幾らか反省するだろうと宥めに徹する事も虚しく期待とは裏腹に次第に勢いを増す相手の愚痴とも取れる言葉の応酬が理解する間もなく左右の耳を通り抜け。此方を指さす少女のしたり感に徐々に眉間の皺を寄せ始めると"わかったわかった!"とやや声を大きくしてゆるゆる立ち上がり誰に言うでもなくぽつりと呟きながら溜息を吐き)ったく…久々にこっちに来てみれば、変なのに捕まっちまったな…。
大体…って、え?久々ということは前にもこっちへ来たことがあるんだ!?
(一度熱くなるとなかなかその熱は下がらず止まれなくなってしまうようで、相手へと立て続けに殆ど一方的とも言える言葉責めを展開していたが、その途中でポツリと何気なく相手が零した言葉に耳ざとく反応を示せば急に表情をぱあっと見た目の年齢相応の子供らしい無邪気な表情へと変えて相手へと強い興味を示して問いかけ「言われてみれば…なんかどっかで見たような顔…」もしかしたらかつてここで会ったことがあるのだろうか、そんなことを考えて相手の顔を改めてまじまじと見つめてみると、なんとなく面影が自分の知る誰かと重なるような気がして暫しの間考えるような表情を浮かべ
え?ああ…まぁ。何だよ急に嬉しそうな顔して。お前なんか生まれる前かせいぜいオムツ履いて泣きわめいてた頃の話だよ(耳を劈くような少女の説教大会が何かの拍子にぴたりと閉幕を迎えると先程までの勢いはどこへやら、今度は一瞬にして自分の呟きにその興味が移るのを見ればコロコロ変わるあどけない表情につられて俄に眉をハの時に下げて笑い。ふと見渡した視界に古ぼけた母の実家の屋根が見えればクルッと相手の体を家の方へと回転させて躊躇いもなくその両脇を抱いて宙に浮かせ)見えるか?あの家、母さんが俺の妹を産むために里帰りした時ついて来てたんだ。こんな田舎町見るのも来るのも初めてだったから、よくひとりで走り回ってた。この公園もその時の遊び場だ。
ちょっ…、こらっ、急に何を…
(軽々と抱き上げられ、地面から足が離れてしまうと急なことに驚くあまり手足を軽くバタつかせて抵抗を試みるも、相手の方はそんなことなどお構いなしといった様子で遠目に見える一軒家を指差し、相手がその家に住んでいた時期があったということ、そしてこの公園も遊び場の一つであったこと、その全てを聞かされればようやく自分の記憶の中の相手の姿と今の相手の姿が重なり「よっ、と…ふぅん、そっか…あれからもうそんなに経つんだ…大きくなったね"かける"」自身の感じていた相手への既視感についてようやく合点がいき、まるで相手の腕をすり抜けるようにして地面へと降り立つとクルッと相手の方を振り返り、後ろ手を組みながらクスっと悪戯に小さく笑えば、当時自分にとって弟分のように思っていた相手の名前を呼び
ほーら高いたかーい(ジタバタと身動きする衝撃で相手を落とさないよう少し強めに体を支えればやっと本来の子供らしさが出てきたかと揶揄いに転じて楽しげに笑い「ま、お前相手に昔話したってどうなる事でも…」と少女を持ち上げていた腕を降ろし掛けた瞬間、何かに合点がいった様子でぶつぶつ言いながらあっさり自分の腕から地面に滑り降りた相手の口から"かける"と己の名前が聞こえれば、先程ここで"初めて"彼女に出会った時の違和感が再び蘇って此方を見上げる大きな瞳をただ呆然と見下ろし)なんで…名前……ー。
…真夜中の公園での花火、絶対カブトムシを採るんだって意気込んで登った木から降りられなくなって泣いたり、一緒に近所の畑からスイカを盗んでスイカ割りなんかもしたっけ
(あの頃から自分の姿はずっと変わっておらず、よもやあの時一緒に遊んだのが今、目の前にいる自分だなんて夢にも思わないであろうことはわかっており、これが初対面だと思い込んでいる以上相手の今のようなリアクションも当然かと一人納得して、自身の唇に指を当てたまま青く澄んだ空を仰ぎ見て、一歩一歩踏みしめるように歩きながらあの頃の相手との思い出の中でも強く記憶に残っているものを一つ一つ羅列していき、これだけ言っても気づかないだろうかと横目で相手の反応を盗み見て
………物凄い勢いで噴射してる手持ち花火持って追いかけられた………大人を呼んできてくれって頼んだのに夕方近くまで太い幹の上に放置された………あのスイカ、俺のTシャツにだけ真っ赤な汁が飛んでて後でじぃちゃんと泣きながら畑の持ち主のおっちゃんの所に謝りに行ったんだ………(少女の口からぽつぽつと語られる記憶の欠片を少しずつ幼かった自分の記憶と組み合わせていけば最前まで何か違和感がありながらそれが何かわからなかった感情の靄がすっと消えていくのを感じ横目で此方を窺う相手の顔を驚愕の瞳で見つめると確信を持った声音で、あの頃己をいろんな場所へと引き連れていった少女の呼び名を発し)その浴衣、お前………隊長か!?
あははっ、そんなこともあったね~、それにその呼び名も…ようやく思い出してくれたみたいだね
(相手にとっては苦い思い出としても残っているのであろう一つ一つの思い出について事細かに語られると、よくそんな細かいことまで覚えているなと思うのと同時に我ながら滅茶苦茶なことばかりしてきたものだと声をあげて笑い、自分のことをそんな風に呼ぶのは後にも先にもきっと相手の他に居ないだろうと、そんな印象が根強くあり、相手と過ごした日々は短かったが様々な出会いや別れを繰り返してきた己の記憶にも特にしっかりと残っていて、そんな相手とこうして再会出来たことを嬉しく思い「…それにしても、私にお説教なんて偉くなったもんだよねぇ、かけるも」昔は自分の後について回ってばかりいた相手に久しぶりに再会して最初にされたことといえばお説教であり、瞳細めてはそのことについてたっぷりと皮肉を込めて追求し
で、でも何でおまっ…じゃなくて隊長、そんなガキのままなんだよ!…やっぱりこれは夢なのか?(相手の存在を認知した上で尚受け入れられない光景が目の前にあり混乱しながら思考を整理していくもなぜ相手は昔の姿のままなのかは全くわからず口をぱくぱくさせて頭を掻き。その間にも相手は間髪入れず公園に足を踏み入れてすぐの出来事を掘り返しては含みを帯びた上から口調と物言いたげな視線を此方に向けており、己はまるで幼少期の子分の頃に戻ったような気持ちになりながらバツが悪そうに視線を空にさまよわせ)え、だ、だってあれは…急に後ろから声掛けられたら誰だってびっくりするし、だから…その…。
あー…、そのこと?だって私はもう死んじゃってるからね
(混乱していることが相手の表情や口調から伝わってくると、そう言われてみればあの頃は相手も幼かったし話しても多分ハッキリと理解をすることなんて出来ないだろうと思い、自分のことについては何も話しをしていなかったなと考えて、こうして昔からずっと変わらぬこの姿について疑問を投げかけられてしまった以上は誤魔化しも効かないだろうし、別に隠す必要もないだろうと、とんでもない事実をまるで世間話でもするかのような気軽さで話して相手の方を真っ直ぐに向き直り「なーんてね、何今更慌ててんの」さっきまでのような子供に対するそれのような態度から急にあの頃に戻ったかのような態度へと変わったことをからかうように笑いながら腰の辺りをベシッと叩き
いてっ(狼狽える己が面白かったのか平手で腰を叩かれる衝撃に口からは咄嗟の反応で痛いと出るもたかだか小学生くらいの少女の力でぶたれた程度では痛くも何ともない。それより己の問に対して素っ頓狂な事を平気で答える相手に片唇を引きつらせながら"…はい?"と聞き返すと嘘を吐いている様子でもない表情をしばらく眺めてはどう返答しようかと独り考えあぐね)冗談…じゃないんだよな?実際ちんちくりんのまんまだし。てことは今俺と喋ってる隊長は……ゆ、ゆう…いやいやいやいや…
その言い方は引っ掛かるけど…そうだね、私は幽霊だよ
(ちんちくりんという表現には多少の不快感を示して不満げにジトッと軽く相手を睨みつけたが、すぐに気を取り直し、未だに自分の正体について頭では既にわかっていても非現実的な今の状況に気持ちの整理がつかないのか認めかねているような相手に対して改めて自分が幽霊であることをあっさりとした口調でハッキリと告げ、その現実を教えるように相手の手を握るようにして手を伸ばし、手を握ろうとしたがその手は彼の手を握ることはなくすり抜けて空を掴んでいて「ほらね?」目の前でここまでやれば流石に認めざるを得ないだろうと緩く首を傾げ、今度はすり抜けることなく相手の手を握ったかと思えばいたずらっ子のような笑顔を見せて
っ………そう、なのか(相手の一言によっていとも簡単に確定した事実に一瞬言葉を詰まらせるも、そうなるまでの過程は相手にとって不運ではなかったのかと疑問を持ってしまう程あっけらかんと振る舞う少女を前に戸惑いがちに目を伏せ。何を言おうかまだ現実に追いついていない頭でぐるぐる考えを巡らせていれば伏せ気味に開いていた僅かな視界の先で小さな手が伸びてくるのがわかり無意識に掴もうと此方からも手を伸ばすとまるで幻覚だったかのようにすり抜けていく相手の手に思わず"あっ"と声を上げ。次の瞬間にはまたもや此方に伸びた手が今度はしっかりと己の手を掴んだ感触にビクッと肩を強ばらせると幼い目つきで笑う少女の手をゆっくりゆっくり握り返し)他の人には…見えてないの?
…いい質問だね、結論から先に言わせてもらうと、見える人には見えるし見えない人には見えないってとこかな
(手を掴もうとしてスカしてみたり実際に掴んでみたり、そういった此方の悪戯心に満ちた動作の一つ一つに対する相手のリアクションは全く己の期待を裏切らず、それがなんとも可笑しく思えてしまい、握り返されたその手を一瞥してから相手の顔へと相変わらず笑みを湛えたまま視線戻して軽く肩を竦め、投げかけられた問いに対する答えを返し「ただ、まあその気になれば見えないという人にも存在を認知させることは出来なくもないし、その逆も出来る訳だし最終的には私次第かもね」基本的には見る人の素質によるものが大きいと言えるかもしれないとは前置きをしたが、結局その辺の機微は自分の匙加減一つで決まるといった話しを冗談とも本気ともどちらとも捉えること出来るような口振で述べ
私次第、ねぇ(生まれてこの方心霊体験などした事の無い自分になぜ相手の姿が見えるのか疑問だったがそういう事かとぼそり納得すれば、少女の口振り振る舞いに似つかわしくない幼い手をそっと離して両腕を上空に上げながら大きく伸びをし。ふあっと欠伸をひとつ零したあと何か思いついたように瞬きを数回繰り返すと相手を見下ろしては"なぁ"と声を掛けつつニヤっと笑い)じゃあさ、隊長っていつからその姿なんだ?俺と初めて会った時既にこの世にいなかったんなら、中身はもう結構オバサンだったりしてー。
(/遅くなりすみません!)
…かける、レディに年を聞くなんて非常識だと思わない?
(自分がいつからこの姿でここにいるのか、一緒にこうしている以上は必ずどこかで聞かれることになるだろうと思っていたその質問に対し、さもその返答を最初から用意してあったかのように目に見えて呆れたような表情を浮かべながらオーバーなアクションでやれやれと言わんばかりに深い溜め息を吐いて頭を振り、残念なものを見るかのような、そんな目つきで相手を見つめたまま尤もらしくそう述べて「なんてね、さっきのは冗談で…オバサンなんて年なら可愛く思えちゃうぐらい私の過ごしてきた時間は途方もなさすぎて年のことなんてとっくに吹っ切れちゃってるよ」敢えて自身の素性につい論点をズラすことで煙に巻こうと試みた己に対し相手はどのような反応を示すのか、単純に興味深そうにしばらくの間観察していたが、やがて自身の唇に人差し指当てて小悪魔的な笑みを湛えて年齢を気にするような年はとうに越えているとすんなりと話し
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