炬 2015-11-03 16:39:28 |
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えっ、何....?
__やだ、犬かな?
(リビングで出かける支度をしていたところ、庭で植木が倒れる音が聞こえてきたため慌ててカーテンを開け。庭を見ると何やら大きな影が見え、何か動物かと思い静かに窓を開け。サンダルに足を入れ影に近付くと、それが人のように見えてきたため、小さく悲鳴をあげ後ずさり。しかしながらまだ少年であるとわかると、悪戯か何かかと思い「あの、どうしたの?」っと恐る恐る声をかけて。開けっ放しの窓から聞こえるニュースが、研究施設から脱走した少年の事を伝えているのが耳に入ると、凶暴性があるというので恐ろしくなってしまい「今のニュース、貴方じゃないよね?」っと少年の首についた青い首輪を血の気の引いた顔で見下ろし)
(/大丈夫ですよ。 私も忙しくなるとお返事が2日か3日に1回になってしまうことがあるかもしれません...。もちろんなるべく顔を出すようにしますね!)
今の俺に御前を襲う体力があるように見えるのか?
(思わず「は、」と声が出てしまい。察する、ということが相手には出来ないのか、こんな人間もいるのかと相手の顔をまるで侮蔑するかのように睨み上げれば向こうから発砲音が近づいてくるのを感じて途端に弱々しく「…すまない、匿…匿ってください…」と今までの態度は何処に行ったのか「おねがい、だ」と頼るように相手を見、)
(/いえいえ、ありがとうございます!)
あら、態度がコロリと変わった。
...怪我してたの、ほらこっちおいで。
(相手が自分のことを見る視線で、見下されているなとすぐにわかったので、意地悪してやろうかと思ったものの、あちこち怪我をしていて言葉の通り弱り切っている少年を見て、そんな考えをすぐにやめて相手に肩を貸し。明らかに何かに怯えている様子で助けを求める相手に「やっぱり脱走したのね」と溜息をつきながらも、家に相手を入れテレビを消すと、部屋のカーテンを閉め。「いい?匿って欲しかったら、静かにしててよ」っと追ってくるであろう研究員達を予想しながら相手にそう声をかけると、何を考えたか相手を風呂場へ行くよう促し)
(/では、本体はこの辺りで一旦失礼しますね。また何かありましたらお声掛けします。)
おい、待…っ
(何故か風呂場に促されれば腑に落ちず一言文句でも言ってやろうかと思ったのだが、一言発するだけで傷口がじんわりと痛むようで顔を顰め。静かにしててよ、それを守ろうと大人しく風呂場でしゃがみこみ。感謝の言葉を知らないのか、まだ相手には言いたくないのか、じっと静かに相手を見ていたのも束の間、玄関の方からノックされる音がして咄嗟に身を潜め)
...いい? シャワー出して、ここで大人しくしてて。
もし連れ戻されたくなかったら、いいって言うまで出てきちゃダメだからね。
(玄関から音が聞こえると、やっぱり来たかと言わんばかりの顔をして。服を着たままの少年をお湯をはってない浴槽に入るよう指示すると、シャワーをひねり。出てこないよう念を押すと、意を決したように浴室を出て玄関へと向かい。玄関を開くと予想どうりの男達がいたが、驚いた表情をしてみせ「何かご用でしょうか?」と恐る恐る聞くと、ニュースで流れていたことを一通り話され。ここの家の庭に逃げ込んだのが見えたと言われれば「うちへ? まさか、それは怖いですね...今彼がシャワーしてて、私1人じゃ不安ですので、一緒に庭を見てもらえますか?」と不安げな表情をしながら研究員達を招き入れ。カーテンを開け庭を見せるも、あたりまえのように何もおらず。「...逃げたんでしょうか? 植木が倒れてるし、入っては来たみたいですね...。うちの庭は隣の家の庭へも繋がってますから、もしかしたら..」と呟くと、研究員達は納得した様子で、気をつけるよう言いながら部屋から出て行き。ドアの鍵を閉めると安心した様子で溜息をつき「出てきていいよー」と浴室のドアを開けて相手に告げ)
…うわっ!?
(研究員の声がするたびにどくんっ、どくんっ、と心臓の血液が波打つように脈打っているのを感じて。情けないとはこういうことなのかもしれないと実感すれば、出てきていいよ、と相手の一言に思わず安心してしまい一瞬警戒心が解けたのかシャワーに気づかず思い切り濡れてしまい。上から水が降ってくるとは雨意外知らなかったので声を上げた後不思議そうに濡れながらシャワーを見、傷の痛さを忘れているのかどんどん傷口が洗われて)
えっ何?...なんかあった?
___怪我、そんな酷かったの。
(出てきていいと声をかけるも、浴室から間の抜けた声が聞こえ。ふざけているのかなと思いながらも「入るよー?」と声をかけ、浴室へ入るとピチャリと踏んだシャワーから出るお湯がなぜか赤いことに気づき。驚きながらもシャワーで濡れている相手の身体を見ると、服も血だらけで「どこ怪我してるの? 1番深いのはどこ?」とパニックになりながらもシャワーの蛇口をひねり止め。バスタオルをとると、濡れた相手の頭から汚れることなど全く気にしない様子でタオルをかけ)
…そっ、そんな白いもので汚れるッ
(ぼっーとしていたところに綺麗なバスタオルが目に入り、そんな綺麗なモノで拭くな、汚れるとタオルをかけてくれた相手の手を払おうと手を伸ばしたつもりだが弱っているためか型程度しか上がらず、
一番深い傷は、と聞かれてもこれくらいの傷痛い程度で研究所に居た頃は大概普通だったため、「え、いや、べつに」とどことなく焦っているようで相手を見)
はいはい、いいからさっさと服脱いで。
風邪ひくでしょう。怪我もしてるのに...。
(タオルが汚れると気にする相手を軽くあしらい、弱々しくあげられた手とは反対方向の腕をあげるときている服をスルリと脱がせ。水を吸い重たくなった服を絞ると「捨ててもいい?」と言いいと相手に尋ね。上半身裸の相手の身体を何の悪びれもなく、観察するように近くでじっくりと眺め「身体中傷だらけじゃない」と少し驚きながら言うと、痛くなさそうにする相手に「キミ何かおかしな子だね」となんだかやるせないなといった感じで口にし。実験室から逃げたというニュースから想像するに、あまり良い生活はしてなかったのかもしれないと考えると、よしよしと相手の頭を撫で。「痛くないなら、シャワーしちゃいな。着替えは用意しておくから。」と言い残し浴室を後にし)
あ、あぁ…
(今までこんな接し方はされたことがなく、これが俗に言う「丁寧」なのかと思って。
服を棄てていいかと聞かれれば生返事で返し、おかしな子だね、と言われればさほど気にせずそれどころかなぜか少し誇らし気に鼻で笑い。実験室に居た頃を思い出せば研究員はほぼほぼ全員「丁寧」とは
かけ離れた人ばかりでまるで化物のようだったなあ、と相手と研究員を比べ。突然頭を撫でられたこととその温かさに驚いて何も言えず。一人浴室で相手がしていたように蛇口をひねってシャワー浴びながら逃げられなかった仲間はどうしているだろうと目を伏せ)
あ、名前...聞くの忘れてたなぁ。
__というか、私どうするんだろう...。
あの人たちに嘘ついたのバレバレかな?
国を敵に回しちゃった?
...うーん。大丈夫かな、
(傷だらけになりながらも逃げ込んできた少年をなんとなく見捨てることもできずに匿ったが、少年がシャワーには入り部屋に一人きりになるとだんだん冷静になってきたのか、血のついたの服やタオルを手に握りしめたまましばし呆然とし。しかし、先ほど声をかければ幼い顔にあった、表情が出来ていた子だななんて考え、やはり今更見捨てるなんて無理だと思い。台所のシンクに血のついたタオルと服を放り込むと、サラダ油を染み込ませて火を放ち。「こうしなきゃダメだよね?...悪いことしてるみたい」なんてつぶやきながら換気扇を回し、タオルと服が燃えてゆくのを眺めながら盛大にため息をつき。黒こげになったのを確認すると水をかけ、新聞に残骸を包むとゴミ箱に捨て。「やばいよなぁ....見つかりませんように」などとブツブツ呟きながらも、元彼の服がまだクローゼットにあるよななんてぼんやり考えて、それを引っ張り出すと脱衣所にポンっと置き「着替え置いとくからー」なんて、なるべく動揺を悟られぬようドア越しに相手に普通に声をかけると、すぐに脱衣所を出て、またキッチンへと向かい余り物で料理を始め)
…みんなどうしてるかな
(柄にもなくぐす、と少し涙ぐんでしまい。今まであの生活は言葉で言えば「汚」く「酷」い生活
だったのだろうとこの状態を知ってそれを知り。それが普通だと思っているみんなは大丈夫かと、
もしかしたら一人で逃げた俺を、自分を責めているのではないかと思ってやり場のない憤怒を感じ
て3回程床を殴り)
....大丈夫?
ご飯できたけど、食べるよね?
(ご飯を作り終えると、少し冷静になったのか、確か怪我してたよなぁなんて思いだし奥の部屋の救急箱を取りに行き。風呂場からドンドンっという何かを叩くような音が聞こえると、どうしたものかとドア越しに声をかけ。研究所にずっといたのだろうし、外に逃げてきて情緒不安定になってしまうのも仕方ないんだろうなと考えながらも心配そうにして。「もう着替えたなら、出ておいでよ」っと言うと、大丈夫だよ...っと諭すように呟き)
‥…ご飯? あぁ、食べる
(相手の声がすればはっとして。慌ててそう答えればもう出なければいけないなと思い。甚割痛む手に違和感を感じ、床を殴っていたことに気づかずに少し赤くなった自分の手を見てこれが「女々しい」というものなのかな、と感じて。こんなんでよく逃げてこれたな、と自嘲的に笑えば相手に届くよう大きめの声で「…かんしゃ、の言葉をお前に言いたい」とシャワーから出て着替えながら)
___感謝ね。
そういう時は、ありがとうっていうんだよ。
(ドア越しに聞こえてきた言葉に、一瞬言葉を詰まらせるも、きちんと相手の質問に答え。「ねぇ、名前はなんていうの? 私は雅」と、気分を変えるために先ほど聞こうと思っていたことを口にし。「名前は、あるんでしょう?」と先ほどの質問からも、あまり良い待遇は受けていなかった事が容易に想像できたために、不安げに相手にそう尋ね)
…あ、ありがとう
(なるほど、そういう時、感謝の言葉は「ありがとう」というのかと一つ学んで。
名前は何かと聞かれれば自分自身本名を知らず、取り敢えず呼ばれていた名前でも伝えておこうかと
「炬だ」と名乗り。数秒置いて「…本名は、さあ、知らんな」とここはひとつ冗談、というもののように言ってみようと。相手の不安気な声に対して少しでも笑ってくれればいいと相手の返事を待ち)
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