ハナミズキ 2015-10-30 16:57:47 |
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ユーリが寝てしまい、時間も良い時間になっていたので、モリトはユーリを背負って宿に戻る事にした。
宿に戻りユーリをベッドに寝かせると、不意にユーリが目を覚まし「お風呂に入る」と言いだして、フラフラと歩いてシャワールームに入って行ってしまった。
この時モリトはまだ気が付いてはいなかったのだが、実はこの宿屋のシャワールームは、子供が泊まる事を想定しておらず、シャワーのコックの付いている場所が少し高い所にあるのだった。
普通の身長の大人であれば十分に手が届く高さの為に、モリトはその事に気が付いていなかったのである。身長が153㎝しかないユーリには、背伸びをしてやっと届くと言う場所だ。
シンとした室内にシャワーの音が聞こえてくる。
どのくらい時間が経ったのだろうか。シャワーの音が消え、風呂場のドアが開く音がした。
『無事にシャワーが終わったようだな。
中で倒れてるんじゃないかと心配したけど、俺の取り越し苦労だったみたいだ。
まったく…、これだからユーリを1人にしておけないんだよな…。』
そんな事を考えながら安堵していると、脱衣所のドアから出て来たのは!!
バスタオルを全身に巻いたままの、アサシン(盗賊)にリメイクしたユーリの姿だった。
一息つこうとコーヒーをいれて飲んでいたモリトは、思いっきりコーヒーを吹き出してしまった。
― ぶっっっふぁっ ―
ゲホゲホと咳き込むモリト。
『なんで?!
なんでアサシンになんかリメイクしてるんだ?!
まさか、俺を誘ってるとかそう言うんじゃないよな?!
こう言う場合、どうすればいい?
据え膳食わぬは男の恥 って言葉はこう言う場合をいうんだよな?!
いやいやいや、待つんだ、俺!
ユーリの顔をよく見て見ろ。顔がまだ赤い‥。
それに、目だって虚ろだ。
ユーリはまだ正気じゃない証拠だ。
ああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・、
一体どうすればいいんだよぉ~・・・・・。』
物凄い心の格闘がモリトの中で起こっていた。
「あのぉ~・・・・、ユーリさん? なぜアサシンなんです?」
モリトは精一杯の自制心と理性で平常心を装った。
「ん~っとねぇ、シャワーのコックがとどかないからぁ~
おっきくなってみましたぁ~!」
それを聞いたモリトは、思わず納得をした。
良く考えれば、シャワーに付いているコックの位置が高い。
モリト自身は何の問題も無く普通に使っていたが、背の小さなユーリには微妙な位置だった。
「もしかして、毎回リメイクしてた?」
「してたぁ~!」
元気いっぱいに右手を大きく上に振り上げ、挙手をするような形で返事をする。
あまりにも勢いよく右手を振り上げたものだから、体に巻き付けていたバスタオルが外れそうになった。
「あわぁわぁわああぁぁ!!!」
慌てたのはモリトの方であった。
とっさにユーリの側に駆け寄り、はがれ落ちそうになるバスタオルを掴んで、しっかりと躰に結びつけたのだった。
普段ユーリは、四キャラの倉庫とも言える四天王の加護を持つキャラでいる。
そのキャラでいる時は、現実世界とリンクして本来の姿に戻っていた。
これは、このゲームにログインしていた時のキャラが、そのまま本体と同化してしまったからなのだろう。
しかし、倉庫の中にいたキャラにはその同化現象が見られなかったのだ。
この四天王の加護を持たない者は、ゲーム内では一旦ログアウトをしてから新たにログインをし直さないと他のキャラには替えられない。
現実世界と切り離されてログアウトが出来ないいまの現状では、キャラの変更は無理なのだ。
ユーリの様に四天王の加護を持ち、リメイクというスキルがあるからこそ出来る、チートにも匹敵する荒業ともいえよう。
昔作ったアバターがそのままに残っている。
誰が見てもユーリだとは決してわからないだろうその姿は。
アサシン:見た目年齢(23歳)身長163㎝、色気が漂う黒髪美人(ロングヘア)。
アーチャー:見た目年齢(18歳)身長168㎝、栗色の髪で活発な少女風(セミロング)。
魔法使い:見た目年齢(21歳)身長160㎝、ピンク色をしたクセ毛で美少女風(ロング)。
剣士:見た目年齢(24歳)身長175㎝、金髪ポニーテールで凛としたお姉さま風。
この四キャラがそのままの姿で倉庫内に残っていたのである。
どのキャラも、モリトは以前一緒に狩りをした時に見ていたので、それがユーリだと言う事はすぐに分かった。
しかし、15歳前後の幼さが残るユーリならまだしも、このキャラたちはダメだ。
微かに残っている理性と自制心が吹っ飛んでしまう。
モリトは一生懸命に己自信と闘っていた。
『耐えろ俺!
あれはユーリだけど、ユーリじゃないんだ!
それにユーリは酔っ払ってる
正気じゃないんだぞ
正気じゃないやつを襲うほど俺は獣だったのか?!
違うだろ?
いくらあんなに色っぽい目で見つめられても、誘いに乗っちゃダメだ!
もし誘いになんかのったりしたら、
・・・・・・・・・・・・確実に殺されるな。。。。』
何とか理性を取り戻したモリトだったが、その夜は一睡もできずに夜を明かす事になったのであった。
朝、目を覚ましたユーリは、何事も無かったかのようにベッドから起きあがり
「おはよう、モリト。今日は早起きなのね」
「ああ…。」
「ん?どうかしたの?顔色が悪いみたいだけど・・・・。」
「いや・・・。何でもないよ…。大丈夫だから心配しないで…。」
モリトは何度も眠ろうと瞼を閉じてみたが、その度に、瞼に映るのはアサシン姿のユーリだ。透き通るような白い肌と均整の取れた躰が瞼に焼き付いて離れない。
効果音を付けるとすれば、
― わぁ~ぉ♡ ―
― うっふぅ~ん♡ ―
― いやぁ~ん♡ ―
などと言う言葉が聞こえてきそうな映像が脳裏の中を駆け巡ったのだった。そのおかげで、一晩でげっそりと顔がこけてしまい、目の下には大きなクマも作っていたモリトであった・・・・。
哀れモリト。
頑張れモリト!
― 7話完
次回は【 ローレライ大陸に向かって出港せよ! 】です。
ローレライに行くためにマレイの港までやって来た2人は、そこで吟遊詩人と出会う。
吟遊詩人の唄を聞いたユーリが、唄と似たような出来事を思い出す。
唄の謎を解明する為にも、二人は新たな気持ちで旅立つのであった。
◆ ローレライ大陸に向けて出港せよ! ◆
新しく加わったハロルドのギルドの名前は、《 HOPE 》という。
メンバーは、ギルマスのハロルド、20歳。身長180㎝、剣士。レベル50代(水色の腕輪)を付ける真面目そうな好青年だ。
ケント:19歳。身長178㎝、アーチャー。レベル50代(水色の腕輪)言動は超軽いが女性には優しい。
リズ:18歳。身長163㎝、魔法使い。レベル50代(水色の腕輪)ギルド一のしっかり者だ。
アンズ:16歳。身長158㎝、剣士。レベル30代(オレンジの腕輪)世界で一番かわいい女の子は自分だと思っている。
モリト:18歳。身長178㎝、剣士。レベル20未満の銅赤色の腕輪を付けている。
(本来のレベルは71である)本人曰く、ヘタレの優男(らしい)。
ユーリ:21歳。身長153㎝、何でもござれの倉庫持ち。全職種のスキルを自在に操れるチートな職業(?)永遠のレベル1。(又はレベル100)超童顔で、15歳前後にしか見えない。(性格は不明)
そんな六人が今居る場所は、グリーン大陸の南に位置する港町、マレイだ。
この港にはローレライ大陸からの船や、近隣諸島の小さな島から運ばれてくる輸入品と人で賑わう街である。
商人は勿論だが、冒険者や旅行者なども大勢いる。そのため、宿屋や酒場などといった物が数多くあり、泊まる所には不自由しなさそうだ。
早速、宿の手配をし、部屋割りをしようとすると、ユーリが一言こう言った。
「私とお兄ちゃんは同じ部屋がいいな~」
すると、すかさずアンズが喰いついてきた。
「あっれぇ~?ユーリって、ブラコンなんだぁ~?」
銅褐色の腕輪と童顔のため、アンズはユーリの事を自分より年下だと思っているらしい。そのため、ユーリに対してはつい、上から目線で話すのである。
返答に困っているユーリを見たモリトは、助け舟を出すかのように説明をしはじめた。
「ユーリはチョット人見知りなんだ。良く知らない人が一緒だと寝られないみたいでさ」
そう言ったのだが、
「そう言うのをブラコンって言うんじゃないのぉ~?」
もう、何を言っても無駄なようである。この際だからブラコン設定も付け加えようかと思うユーリであった。
その時に、本当の意味で助け舟を出してくれたのがハロルドだ。
「はいはい、アンズ。そこまでだよ。この間も言ったろ?
俺達は一緒に行動しても、基本的には別行動だって。
モリト達はモリト達。俺達は俺達なんだよ。
あんまり突っかかるなよ、アンズ」
「はぁ~い・・・・。」
何とか事が収まったようで安心をするが、この先の事も考えると不安も残る。
アンズは相変わらずハロルドにまとわりついて甘えているのだが、その光景とユーリのブラコン(?)とどう違うのか謎だ。
同じようにいつも側に居るのだが、ユーリ達はベタベタしてはいない。モリトが勝手に過保護になっているだけに見える。ハッキリ言えば、ブラコン=× シスコン=○ と言う風に、第三者には見えている。
一方アンズの方は、「お兄ちゃん遊んで遊んで~」とまとわりつく子供のようだ。こちらの方がブラコンに見える。だが、こちらに被害が及ばなければそんな事はどうでもいい。あの手のタイプの女の子は、「はいはい」と言う事を聞いて、言いたいだけ言わせておけば、後は勝手にどこかに行ってくれるだろう。
早い話しが、触らぬ神に祟りなし。と言う事だ。
どこの国でも、どこの世界でも、冒険や旅行となるとそれなりの荷物が必要となる。バックパッカーでさえ大きなリュックを背負って旅をするのが基本だ。だが、モリトとユーリは他の4人と比べると明らかに荷物が少ない。
基本的に冒険者という者は、いつ、どんな災難が降りかかってくるか分からないので、準備は万全に整えている。薬草・回復薬・野宿をする時の為のテントなどを持ち歩いていた。細々とした物まであげればキリがないが、その荷物を運ぶために馬や召喚獣などといった動物を使う者が多い。
モリト達の場合は、以前ゲーム内でやったクエストの報酬として貰ったショルダーを愛用しているため、荷物らしい荷物を持っていない。
カバンの中に物を入れるとコマンドの中に納まり、取りだす時もコマンドを開いて操作をするだけでカバンの中から出てくる。という物だ。どんなに大きな物でも出し入れは自由なのだ。分かり易く説明をするなら、ドラえもんの四次元ポケットと同じような物だと思って欲しい。
そんな姿を不審に思ったのか、モリト達と別れてから4人で部屋に集まった時に、愚痴を言うかのようにアンズが話し出した。
「あの人達って、あんな軽装で本当に旅に行くつもりなの?あのレベルじゃお金だってそんなに持ってなさそうだしぃ。もしかして、私達にたかろうとか考えてたりしてぇ~」
「「「 それは無いな(わね)。」」」
三人が声をそろえて言った。
「なんでそう思うのよ!? 」
「・・・・・・、何となく・・・・、かな?」
「・・・・、だな。」
「・・・、そうね・・・・。」
「何よ!なによ!みんなして!! 私にも分かるように説明してよ!」
説明をしろと言われても、詮索はしない約束をしている。それに、物腰や言動からみて、とても初心者には見えない。スワンでの事もあるので、信用をしても良い人物という認識しか今は無いのである。
1人だけ蚊帳の外の様な気分を味わったアンズは、「ちょっと出かけてくる!」と言って部屋から出て行ってしまったのだった。
アンズが居なくなった事によって話しやすくなった三人は、ハロルドにモリト達の事を聞いてみた。
「なぁ、ハロルドはどう思ってるんだ?モリトの事」
「実は、まだよく分からないんだ。悪い奴じゃないって事は分かるんだけど、どこの出身でローレライに何をしに行くのかは俺も聞いてない」
「聞いたらダメなのかな」
「詮索をしないって約束だからな…。」
「そっか…。」
その時リズが小さな声で呟いた。女の感とでも言うのだろうか。
「モリトって、ユーリちゃんの事を守ってるように見えるけど、実は守られてるのってモリトの方じゃないかな…。」
その発言にケントはゲラゲラと笑いながら「まさかー」と言い、ハロルドはどうしてそう思うのかをリズに聞いた。
「確信はないんだけどね、ここに来るまでに何匹かの魔物に遭遇したじゃない?
モリトの腕輪の色だったら1人で魔物と闘えるわけがないじゃない?
そりゃあモリトは強いわよ?それは知ってる。でも、ユーリちゃんは魔物が怖くなかったのかしら。怯えてる様子が全然なかった」
「そう言えばそうだな」
「それにね。キロルの谷間で落石があったじゃない。」
「そうそう!あれは危機一髪で助かったよな!」
ケントが思い出したかのようにそう言った。
「あれ…、偶然じゃないと思う。」
「どう言う事だ?」
「あの時私見たの。ユーリちゃんが何か呟いてるところを・・・。」
「呟くって何を」
「小さな声で一瞬だったけど、破壊の呪文だったような気がするのよ…。」
「まさかー?! 銅褐色で破壊の呪文なんか使えるかよ!リズの気のせいじゃね?」
ケントはそう言って疑っているが、ハロルドは黙ったまま何かを考えていた。
「ハロルドはどう思う?」
「俺も確信は無いんだけど、ユーリちゃんてさ、本当は俺達より年上なのかもしれない。
なんて言うか、時々ユーリちゃんの纏うオーラで身が引き締まる様な気がするんだ。」
「そっか?俺は何も感じないけどな~」
「ケントが鈍感なだけじゃないの?」
そう言ってリズはクスクスと笑った。
モリトとユーリは一体どこから来て、何者なのか。そして彼らはこれから何をしようとしているのか。ハロルド達には全く分からなかったが、今は信用をし、仲間として行動する事に異存はなかったのであった。
一方こちらはモリト&ユーリ組。旅に必要な物は全て王都にて揃えてきてはいたが、これから行くローレライに向けてユーリの服を買いに街に出てきていた。
スワンで女将さんから貰ったゴスロリの服も捨てがたいが、いささかこの服装では目立ちすぎる。王都の様な大きな街ではそれほど気にしなくても良かったのだが、これから行く所はローレライと言う辺境の地だ。そこにこの服で行くと言う事は、金持ちの娘だから誘拐をしてくれと言っているのも同じ事になる。
ユーリにとって誘拐犯や山賊・盗賊の類は怖くもないが、面倒くさい事に巻き込まれるのだけは嫌だった。できれば、目立たず、ひっそりと旅をしたかったのだ。
ユーリが町の中を歩けば、やはり大勢の人の視線を浴びた。こんな港町でフリフリの洋服など着ている者など居ないからだ。
何件か見て歩いたうちの一件で、ユーリは新しい服を選んで買った。今度の服はごく普通の洋服である。動きやすさも考慮して七分丈のパンツとショートパンツを二着ずつ。Tシャツ4枚にベスト2着とマントを買う。かなりボーイッシュな格好である。
ユーリが洋服を選んでいる間、モリトは小物を見ていた。
『この紐、可愛いな…、ユーリが付けたらきっと似合うな。
でも、あいつはこういうの買わないんだろうな
自分の容姿に無頓着だもんな…。
おっ!?
このイヤリングもユーリに似合いそうじゃないか
こういうのを付けて、少しは自分が女の子なんだって事を自覚して貰わないとな…。』
モリトはコッソリとそれらの小物を買った。後でユーリに渡そうと思っていたのだ。
買い物も終わり、ブラブラと街を眺めて歩いていると、広場の方から賑やかな声が聞こえてきた。やはりここにも大道芸の人達が大勢きているようだ。
ピエロの格好をして曲芸をする者やジャグリングをしている者。紙芝居をしている者もいれば歌を唄っている者もいる。そしてその中に、吟遊詩人もいたのだった。
―― 遥か昔
昼が夜になりし時
天から女神が舞い降りる
ときの魔王オリジンが
ローレライの民を喰い殺す
土地は痩せ
民も逃げ出すローレライ
戦は絶えず
村は焼かれ川も枯れたローレライ
天から来たれし女神の名は
その名も美しき『アリア』様
女神は魔王を討ち果たし
天よりマナを降り注ぐ ――
と言う歌であった。
その歌を聞いていたユーリは、
「これって…、もしかしてアレの事かな?」
ユーリは何かを思い出したのか呟くように言った。
「あれって?」
モリトには何の事だかさっぱりわからない。しかしまだ結論を言おうとしないユーリである。
吟遊詩人が歌い終わった時、ユーリが吟遊詩人の側に行き、お金を払った後に尋ねた。
「今の歌って、ローレライの歌ですか?」
「そうだよ。お嬢さん」
「どう言う意味なのか聞いても良いですか?」
吟遊詩人の話しによると、遥か昔、ローレライ大陸にはオリジンと言う王様がいたそうだ。その王は、祭り事などは全て臣下にやらせて贅沢三昧の毎日を過ごしていた。
お金がなくなると税金を上げて民から巻き上げる。税のきつさを訴える者がいれば処刑をしたと言う。
食べる事にも困った国民たちは、故郷を捨ててグリーン大陸へと移住し始めた。民が居なくなった領地は荒れ果て税金も取れなくなり、その領地を任されていた貴族達は、まだ人の残っている領地を我が物にしようと戦を仕掛けたのだ。
あちこちの領地で戦が行われ、その巻き添えで民家や田畑が焼き払われてしまった。
そこに天から女神が現れて、王や臣下達を一網打尽に討伐をしたのだった。女神は大地の復活を約束し、天から無数のマナが大地に降り注いできて、そのマナは今、鉱山の中に眠っていると言う。それを掘り出すためには鉱山の中に入らなければならないが、中には無数の魔物が潜んでおり簡単には取りに行けないと言う。
焼き払われた村や町は、今は遺跡として残っているが、とてもじゃないけど人が住める状態ではないらしい。なぜなら、そこにも魔物が出るからだ。
話しを聞き終わったユーリは、復活を約束したはずなのに未だ復活されていないのは何故なのだろうかと聞いてみた。
「真の復活は千年後だと言う話しですよ。その千年後と言うのがいつの事なのかは分かりませんが…。」
「・・・・で、その女神さまの名前が「アリア」様?」
「私はそう聞いています」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「そう言えば…、この歌にはまだ続きがあるんですが、その続きを私は知らないんですよ。すみません。」
ユーリは吟遊詩人にお礼を言ってからその場を離れた。
「ユーリは何か知ってるの?」モリトが尋ねた。
「あのね、前に千年クエストって言うのがあったじゃない?モリトはアレやった?」
「そう言えばそんなのあったな。俺はまだ出来るようなレベルじゃなかったからやってないよ」
「そっか…。」
「それがどうかしたのか?」
「たぶん、そのクエストじゃないかな…。と、思う。」
「どう言う事だ?」
「女神の名前が「アリア」だって言ってたでしょ?その時使ったキャラが魔法使いで「アリア」って名前でやったのよ。」
「じゃあ、天から舞い降りて来たって言うのは?」
「召喚獣の雷鳥に乗って行ったのよね…。」
「昼が夜になった時って言うのは?」
「あぁ、ちょうど日食のイベントと重なっちゃってたのよ」
「天からマナが降り注ぐって言うのはどういう事なんだ?」
「あれは運営側のサプライズ…かな?」
「なるほどねぇ~」
「納得した?」
「理解した。 で?これからどうするつもりなんだ?」
「どうするもこうするも・・・、成り行きに任せるしかないじゃないw」
こう言う時のユーリは本当に何もする気が無いらしい。予定を立てて行動すると言う事が苦手のようだ。
しばらく街中をブラついた後に宿屋に戻り、ゆったりとお風呂に浸かった後、先ほど買った洋服に着替えて夕食を食べに食堂に下りて行くと、既にハロルド達4人が食事をしている最中であった。
ケントが一緒に食べようぜと言ってくれたが、モリトはその言葉を辞退して別のテーブルで食事をする事にした。
食事をしながらユーリが話す。
「さっきの吟遊詩人の話しだと、あの歌の後にはまだ続きがあるって言ってたわよね?」
「言ってたな」
「どんな続きなのか気にならない?」
「気になるけど…、ユーリは何か思い出した事ってないのか?」
「うん。私がやったクエストと吟遊詩人が言ってた話しって、ちょっと違うのよね…。」
ユーリはクエストの内容をモリトに話した。
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