梅子 2015-10-26 05:57:00 |
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紫野 × あい ¦ NL * 多め
紫野:あいの高校の養護教諭。29歳。保健室のおにいさん、で女子人気高め。入学式の日に遅刻してきたあいを裏口からこっそり入れたことで懐かれるようになり、重すぎる愛を受け続けて3年目。何だかんだいってあいのことは気に入っており、二人きりの時は甘い。
あい:高校3年生。1年生のときに紫野に惚れ込み、それ以来猛アタックし続けている。名字は不明、本人曰く「今は知らなくてもいずれは紫野になるので問題ない」。進路希望に紫野の嫁、と書いて担任に怒られたが本人は本気らしい。
犬飼 × 猫瀬 ¦ BL
犬飼:しがないサラリーマン。26歳。家出中だという、出会った少年・猫瀬を保護。しかし何故か家に住み着くようになり、何故か毎晩キスをして寝るのがお決まりに。最初は嫌がっていたいたものの、段々と慣れてくると変に猫瀬を意識してしまうようになっていく。
猫瀬:とある事情から犬飼の家に住み着く。元より同性愛者だと自覚のあった猫瀬は、面白半分で犬飼にキスを強請るようになる。出張で犬飼が家を空けた日に、口寂しく思ったのをきっかけに恋心を自覚してしまう。飄々としていて、どこか猫のような雰囲気がある。
* 強がりな君へ。( 1 )/宗凛
鮫柄を卒業して二年が経った。季節は夏を迎え、じめじめと蒸し暑い日が続いていた頃。世界大会のロゴが刻まれた金色のメダルを首に下げ、インタビューで嬉しそうに尖った歯を見せながら微笑む凛を、テレビ越しで祝福した。
「おめでとう、凛」
◇
「別れよう」
そう切り出したのは、俺の方からだった。その日は鮫柄の卒業式を終え、寮を出る日だった。荷造りを済ませ、ベッドに横たわる凛に近寄って一言告げると凛は驚いて紅い瞳を丸くさせた。直後に飛び起きると何か言いたげに口を動かしたけれど、声は出てこなかったみたいだ。
俺達が付き合い始めたのは地方大会が終わったすぐ後で、告白をしたのも俺の方からだった。この時もまた、驚いたように瞳を丸くした後、頬を微かに紅潮させながら頷いてくれた。かといって恋人らしいこともせず、相変わらずバカばかりやっていた。……さすがにキスはしたが。
「な、……なんでだ宗介」
ようやく絞り出した声は泣きそうで、思わず髪を撫でようと伸ばしそうになった手を引っ込めた。
「これからあっちのチームに戻って、世界へ向かって頑張るおまえを応援したいからだ」
「っ、それだけじゃ理由になんねえよ!」
胸倉を掴んできた凛の瞳は、涙が溜まっていて今にも零れ落ちてきそうだった。そんな顔を見て、嗚呼、自分は愛されているのだとこんな時に実感させられる。
(──おまえの足枷にはなりたくない)
言葉を飲み込んで、沈黙を続けた。何かを察したのか、凛は乱暴に手を離すと顔を背けて小さく声を漏らしながら泣いていた。
「……もう俺のこと、好きじゃねえのかよ」
「ああ」
「──!!」
そう答えるしか、なかった。そう答えなければ離れられない気がした。わかった、と小さく呟いて返答した凛は荷物を持ってそのまま部屋から出て行った。俺達の会話は、それが最後だった。
凛のことは好きだった。……今でも。向日葵のように微笑む凛を、太陽のように温かい心の凛を、これ以上俺の為に涙を流してほしくはなかった。俺が隣に居られることが出来れば良かったけれど、その笑顔が見られるなら俺でなくても良い。
一週間後、「今日の昼旅立つから」と短く入ったメールを読んだ。届いていたのは三時間前で、時計はすでに十二時を回っていた。最後くらい見送りにいけば良かったと今更思うが、きっとあの時行っていたらまた俺の為に泣いてしまうのであろう凛を抱き締めて離すことが出来なかったかもしれない。
だからこれで良かった、それで俺達の関係が終わると思っていたから。
*飴が溶けるまでのキス/宗凛
「そういえば、もうすぐハロウィンだよな」
練習を終え、食堂で飯を食いながら呟いた。
宗介が「ああ」と短く相槌を返してきて、カレンダーを見る。あっちの国はこちらほど盛んなイベントではなく、ホームステイ先では平日のように過ごすことが多かった。
部屋に戻ってから、モモに先程プレゼントされた飴をカバンから取り出して眺めていると、宗介が隣に並んだ。
「なんだよ宗介、食いてえのか?」
「……トリックオアトリート、って言うべきなのか」
「!」
何処か照れ臭そうにつたない英語を放った宗介に、悪戯気な笑みを零すと飴の包装を解くと自分の口の中に放り込んだ。甘ったるいイチゴの味がしたけれど、構わない。
「飴より甘いお仕置きしてくれよ」
ぺろ、と舌を出して転がる飴を見せると困ったように眉を下げて笑う宗介に、首に腕を回すと身体を抱き寄せられた。飴ごと絡め取られた舌に肩が震えると、熱く光る綺麗なエメラルドグリーンの瞳と視線が合う。
「飴が溶けるまで、な」
聞き心地の良い低い声が囁いた。
(:ちょっと早いハロウィン。当日もなんか書きます多分。わたしの書く宗凛はすぐいちゃいちゃしたがってすみません…。)
* 強がりな君へ。( 2 )/宗凛
高校を卒業してから実家の手伝いをするようになった俺は、十九歳を迎える年に一人アパートに移り住んだ。それはどうしてかというと、凛がいつ実家に訪ねて来るか分からないからだ。自分から突き放しておいて、きっと凛がまだ俺と居たいなんて言い出したら返事もせずに唇を塞いでしまうから。
そして当然の如く両親がケチってくる給料だけでは間に合わず、夜は居酒屋でバイトをするようになった。大変そう、だとかよく言われるが家に居ても特別することがないのでそう感じたことはない。
「店長、再来週一週間休んで良いですか?」
バイト終わり、そう口を開いた俺を見た店長は嬉しそうに口元をつり上げた。
「なあんだ山崎、お前が休みを取るなんて珍しいな? 普段からしっかり働いてもらってるし、全然構わないよ。彼女と旅行でもするのか?」
「──いえ、一人で海外に行って来ようかと」
「ほおほお、まあ楽しめ! ……。……ん? 海外?」
驚いて言葉を反芻している店長に一言お礼を述べて店を後にした。
そう、世界大会で優勝した凛を祝うファンイベントが、今あいつが所属しているチームの活動地で再来週行われることになった。内容的には、凛もそのイベントに参加して皆で撮影会やら握手会やらを行うみたいだ。その程度なら長く話す時間もないだろうし、最後に会える良い機会だと思った。
明くる日、バイトも仕事も休みだった俺は東京の国際空港へ向かった。昔住んでいただけあって、いくら方向音痴の俺でも迷うことはなかった。
「すみません、再来週始めのオーストラリア行きを往復で一枚」
「あっれー? 宗介じゃん!」
「! ……貴澄」
チケット売り場でスタッフと会話している俺の背後から、聞き慣れた高い声が飛んで振り返った。ピンク色の髪を跳ねさせ、子供のように笑う顔に覚えがあって名前を呼んだ。
「へえ、じゃあ宗介もあの試合見てたんだね」
「当たり前だろ。決勝だったしな」
「ふーん。ふんふんふん、再来週は凛に会いに行くって感じ?」
空港内にあるカフェで、オレンジ色の甘ったれた匂いのするデザートをスプーンで掬いながら楽しげに貴澄は首を傾げた。
「色々あったの? その様子じゃ、あまり連絡も頻繁に取ってるみたいじゃないね」
なんで、と言い掛けたところで更に質問を重ねられ、俺はただ小さく頷いた。
岩鳶の奴らと、鮫柄の水泳部員、貴澄にだけは結ばれたときに俺達の関係を伝えた。こいつらはドン引くどころか、その報告を待ってましたと言わんばかりに祝福してくれた。──随分と恵まれた環境だったと思う。実はこの関係が崩れたのを知っているのは、ハルと真琴だけだった。
「……宗介」
「……。ん?」
「安心してよ、何かあれば僕の所に来て? 慰めくらいならしてあげるから」
「──いらねえ」
「ふふ。そういうと思った! ……まあ、宗介と凛なら大丈夫だよ。僕たちが思ってるより強く結ばれてるからね」
──どういう意味なのだろう。貴澄はそう言い残すと、食べていたデザートと飲んでいたジュースの代金を置いて去っていった。そういえば、何故あいつは此処に居たのだろうか。この歳になれば海外旅行のひとつやふたつしていても不思議ではないので、あまり気に留めなかった。
そして旅立つ日がくるまで、ただ呆然とした日々を送った。
(:短編でさささ、と書いていきたいのですが特に書きたいネタもCPもあるわけでないので拙い文章ですが何かリクエストくださいな。といっても、本文にちゃんとしたジャンルを書いたわけでもなかったので(←)下記に記載しておきますね。地雷もあるので、リクエストの場合は避けて頂けると嬉しいです…すいません…!地雷以外は何でも好きなので、どうぞお気軽に。
*Free!/あんさんぶるスターズ!/GANGSTA./進撃の巨人/刀剣乱舞/ぷよぷよ!!/弱虫ペダル/ポケットモンスターシリーズ(スペ除く)/イナズマイレブン(無印)¦地雷*遙凛/アルミカ/つるいち/シェアル/巻坂 )
ふ、free!の、短編小説っ…!
楽しくドキドキしながら読ませていただきました!
梅子様の小説は一文一文がとても綺麗で読んでいると凄く幸せな気分になります!
特に一話のラスト…、切なくも素敵な終わり方で大好きです!
そしてそして、リクエスト…したいのですが宜しいでしょうか?
まこはる / ライアル のどちらかをお願いしたいです!
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