イケメン女子と干物女 。

もう、…こんなのどこで覚えてくるんだか。
( 呼吸を整えながら身体を起こしその場に座り込む相手の様子にくす、と小さく笑みを零し、濡れた口元を指先で確かめ甘い時間を思い出すと悪態つきながらも頬は熱く )

そりゃあ……経験？
（その問いに対してこちらはどうしてなのか分からないので適当ながらあながち間違っていないような解答をすると相手の耳元に顔を寄せて「でもさっきの宣言通り、唯をいただいちゃったね」と吐息交じりで囁き)

っ、…わたしじゃなくてご飯食べなさいってば。
( 囁かれると先程の余韻なのかゾクゾクしつつ、照れ隠しのように相手の頬をぷにっと摘んで「…穂乃果だってわたしに食べられたんだからね？」と悔し紛れに言い放ちながらぬるくなったビールを口に運んで )

……っ。今日ベッドの上では覚悟しててね
(悔しいながらも相手の言うこともあながち間違ってはいないので少しの間とはいえ相手に一歩リードされてしまったのでどうにかして相手に仕返しをしたい彼女はぼそっととんでもないことを言いながら料理を口にし始め)

な、…なに言ってんの。穂乃果ちゃんにそんなことできるかしら。
( ぼそりと呟かれた言葉に思わず先程の行為が頭をよぎるものの何ともない風を装うとすれば口をついて出たのは挑発するような言葉で。しまったと思いつつもビールを飲み干すとテレビの電源を付けてから「もうひとつ取ってくるね」と相手を残して台所へ向かい頭を冷やす意味でも煙草に火を付けて )

ふーん……今からでも楽しみだな
(余裕そうに口にしていても実際してしまえば自信があるのか若干口元がにやけてしまいクスクス一人で笑っていて。そんな時携帯電話から着信があり誰だろうと思いながらも画面を確認し友達だと分かると電話に出て話し込んでしまい)

…ふぅ。何か疲れた気がする、
( 脱力感を感じつつ深く吸い込んだ煙を吐き出し、ふと自分が汗をかいていたことに気付き風呂を沸かそうかと風呂場に向かう途中誰かと話す相手の声が聞こえ。その声が楽しげに聞こえたのが気になりつつも湯を沸かすようにセットすると再び台所へ向かいまだ電話しているだろうと冷えた缶ビールを取り出し何口か飲み少し時間を置いてから相手の元へ戻り )

そうそう。あ、それであの時の事なんだけどさー
(余程話に花がさいているのか戻ってきた相手に気づくこと楽しげに会話をしていて心なしか彼女の顔つきもいつも以上に笑顔となっていて)

……、先にお風呂入っちゃうからね、
( 未だ楽しげに話す相手の表情を盗み見れば自分の見たことないような楽しげな笑顔でおや、と気に留めるものの電話の邪魔をしないように小声で囁くと風呂場へ向かい。湯船に浸かりながら先程の相手の表情を思い出すとモヤモヤと心が霧に包まれるようで「…わたしの前ではそんな顔しないのに、」と呟くと面白くないのか顔の半分までお湯に入りながらぶくぶくと息を吐いて。身体が温まるとのぼせる前に風呂を終えて )

じゃ、また明日学校ね
（しばらくしてようやく会話が終わり電話を切って通話時間を見てみると予想以上に喋ってしまったためまったく相手にしていなかったため「唯ー」と名前を呼ぶのだがまだ部屋には戻っていないので探そうと部屋を出ていき)

ん、…こっちよー。お風呂。
( 脱衣所で水気を取っていると自分を探す声が聞こえ、先程のもやもやした気持ちを悟られないよういつもの調子で返事し下着を履き替えながら「ちょっと待ってね」と )

はーい
(場所が分かったので気が抜けたような返事を返すと当然ながら相手の今の心情など分かるはずもなく出てきた瞬間抱き着いてやろうと扉の前で待機していて)

…お、お待たせ、穂乃果も入っちゃいな。
( いつも通りの返事に先程の笑顔が頭をよぎりふぅと短くため息を吐き、着替えを終えると扉の向こうで待つであろう相手に普段と変わらない口調を意識しつつ言いながらドアを開けて )

ぎゅー
(相手が扉を開けたのとほぼ同時にその隙間から相手へ抱きついて「やっぱり唯って抱き心地があるなー」と言うと頬を緩ませて)

…はいはい。
( 抱き着かれると一瞬硬直するものの相手の仕業だと分かればふぅ、とため息共に表情ゆるめ、相手の温もりに思わず抱き返して腕にやや力を込めながら「…さっきの誰」とむっとした表情で問い掛けるも顔を見られないように肩口に埋めて )

さっき？さっきー……あぁ、友達だけど？
（不意打ちであったにも関わらず相手の反応はやけに冷静なものでありどうしたのだろうかと疑問に思った矢先相手から突然の問いにしばらく考えると一つだけ心当たりがあったのでただの友達であることを説明し)

ふぅん……。
( "友達"という言葉を聞いてもモヤモヤしたものはなかなか晴れずに居て、何となく素っ気ない態度となってしまい。頭を冷やしてこようかと抱き返していた手を降ろし変わりにぽんぽんと背中を撫でると「分かった、…お風呂入っておいで？」と離れようとして )

……唯。どうしたの？何だかおかしいよ
(好きな相手だからなのか普段とは違う行動や態度の一つ一つに違和感を覚えてしまい今もこうして自分から離れようとするので何が相手をそこまで変えているのか分かるまでは離すつもりはなく離れようとする相手をこちらへ抱き寄せ)

……ヤキモチっていうか…
( 抱き寄せられるとばつが悪そうに視線を逸らしながらぼそぼそと白状して。ヤキモチを妬くのも初めての経験で戸惑いつつも恥ずかしそうに「穂乃果があんなに楽しそうに笑ってるからいけないんだからね…」と続けると顔を見られないように肩口に押し付けて )

それって……私と友達が楽しそうにしているのを見て嫉妬してたってこと？
(相手からの言葉が自分の予想とは違ったものであったため驚いたような顔をするのだが、自分が思ったのより小さな物であったためそれが分かった途端急におかしくなってしまい「…‥プッ」と笑い出してしまい)