語り部 2015-10-17 20:48:43 |
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ある男は鬼に飼われる。
内に潜んだ鬼の魂によって人を惹き付け、己を愛でるその心を拠り所として生きる。接吻以上に好む至上の物は生き血。鋭い犬歯で肉を突き破り溢れだす鮮血を、提供する人間に至高の快楽をもたらしながら摂取する。
また、ある男は美貌を飼い慣らす。
妙な程の色香を伴う端正な顔もしなやかな肉体も、全てが全てまるで男を飾り立てる為だけにそこに存在するような、圧倒的な美を持って男に華を匂わせる。
二人の男は出会うべくして出会う。
美貌の男は非現実を求め、鬼は美貌を求めた。
利害の一致から始まった関係は、いつしか互いを狂わせ闇の深淵へ突き落とす。
男の美貌に魅せられ全てを欲する鬼と、快楽に魅せられ男の中の鬼を欲する男。
絡み合う思惑、交わらない恋慕、狂気の閑話。
終幕の訪れない荒唐無稽を紡ぐお伽噺。
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