かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(既に螺子が外れて白痴と化したか、夥しい薬のツケが此処に来て都合の良い知的障害に姿を変えたのかもしれない。胸を高鳴らせ、その衝撃に頭がポーと高揚し浮足立つとは。隔離された浮世にて刹那を誇り煌びやかな賛美憧憬を暖簾の消えた眼で見つめるばかり、モノクロキネマ、色など枯れ果て晩秋に死した日常が桜花爛漫と色に溢れる。腐りかけの脳みそだって目先の幸せにゾクリと五臓六腑を奮い立たせるのだ、頬に受ける唇は浮かれて踊り逸る己を好奇と指さし嗤う陰に囲まれているようだと幸せを幸せと受けれない捻くれた自己に嫌悪して。もういっそ、時間なんて概念が消えてしまえば、なんてポッカリと離れた熱を追い求める様に麗しき微笑みに見惚れ。現実に戻る衝撃は強くなくていい、些細な刺激で疾しい頭はパっと電球に明かりが点り悪しきことに手を染めていると深みに嵌る罪悪の感情からずるると這いずり出るのだ。小さな動きで頭を縦に揺らし「食べれそうなら、坊ちゃんの好きなやつを好きなだけ食ってくれ」体調は良くなったと言っていた、それならばと先の購入品を示すようにこれ以上離れるのが名残惜しくならないうちにと茹だる欲深さを見て見ぬふり、におい立つ醜悪は鼻をつまむ思いで消し去ってからリビングルームには寄らず、狭苦しくも一番居心地のいい己の城へ。インクのにおいと古びた紙の匂いが充満し、この家一の宝を囲う他ならぬ檻へ歩みを進め。書斎に入ると雨あられと降り注いだ非日常にあれよあれよと気づけば己の限界を超えていたとばかり壁に背を当てざりざり、と床をすべる様に座り込み。肩を落としダラリと両腕を垂らせば長い長い溜息をハーと落として頭を抱え、現実味など欠片も無い、爛々と色めく己の全て、壁の向こうに生涯の理想がいるなどと。怠惰に溺れて狂い切れば常識を少しも考えなくなるのだろうか、今一度ため息を落としてから体を引き摺る様に机の前へ書きかけの原稿へ目を向けたって、昨日は遠き過去である。気持ちが天か獄かほどに違うのだから昨日までの世界には戻れないと綴るべく文字が浮かばずに時間ばかりが過ぎていき)
(書斎に向かう彼の姿が瞳に映らなくなるまで見送る視線はフィルム内に行き場を失い煮え立った熱の篭ったもの。体格に不釣り合いな肉付きはお世辞でも褒められるものでは無い何とも貧弱な背中だが、男性特有の広い肩幅でありながら垂れる肩に押し出された肩甲骨が作る独特な溝が情欲を掻き立て色香に惑う。未だに腕に残る平たい肉体の感覚が消え失せないようにと触れ合った表面が疼き末端に血液が集中し妙に痛い。散々時間を奪い己の存在を塗り重ねたにも関わらず盃は満たされる事を知ろうとせず枯渇した皿を舐め回すばかり。所詮はまだ青臭い青年、抑揚する胸の内を安定させる術など習った事も無い。巫山戯合う若者達の様にもっとラフなスラングで想いを綴れたら、彼を楽しませる何かを出来たかもしれない。遣る瀬無い色を灯した横目で箱を見遣り、箱を開けば何処までも甘ったるい香りが待っていたと香り漂い色取り取りな洋菓子を生えらせた。ちんまりとした何とも可愛らしく煌びやかなそれぞれは箱の中で静かに踊る娘の様、厳選された娘達を彼が長蛇の列に収まり手にしたと想像すると何故だか微笑ましくクスリと小さな笑みを零し。二つ用意された林檎のショートケーキは後に二人で感動を分かち合う為に箱の中へと戻し、バターケーキに紅茶を添えて一口「______甘い。」舌の上でゆっくり溶けてゆく甘美な味わいはこれ迄口にしたもので一番上等な洋菓子に感じられた。彼が選んだこその価値だけあると一人で納得し、黙々と口に運んでは一口毎に感動を噛み締め。時はあっという間に黒く空には無数の星を飾り街に明かりが灯る頃、そろそろ原稿も黒く染まった頃だろうかと様子見に行動を起こすがもし集中に浸かり没頭している最中邪魔をしてしまったらと書斎のドアノブを捻る事は出来ず一旦台所にて夕食を作り。また暫くして明かりがぽつぽつと消えていく頃、温め直した味噌汁と煮魚、そしてお惣菜をトレーに乗せて書斎の前に訪れれば「夕飯、置いておきますよ。」と小さく一言。冷たい廊下の冷気は静けさを増しているよう、来た道を見返すも扉一つ向こう側にいる彼を思うとリビングルームに一人戻るのも落ち着かない。ならば自然と彼が現れるまで待とうと扉の横にもたれ掛かりゆっくりと腰を下ろし)
(チックタック、チックタック、秒針が狂いも無く時間を刻むのにペンは硬直したかのように文字を一つと産むことが出来ない。過去に文字を一字綴るのに頭の中身が全て溶け落ちたように伽藍の露呈をした事など一度も無い、平仮名も片仮名も単語も一つと形を成すことが無く物書きが物を書けないなんて存在証明の否定でしか無い。息が詰まる、時計の針が止まらない事が一層と焦心に駆られるだけ。皮肉な事、満たされた幸せとは唯一の存在意義を奪い去ると言うのか。ツーと背を汗が一筋垂れると暑い訳じゃない為に寒気が襲い来る、文字を綴れない恐怖が得体の知れない化物として幻覚になる。確かに楽しみ嬉々として物を書いたことは無い、それでも、それにしても、今のようにポッカリと一字一句浮上せず何も考えられない浮かれ頭とは。今、頭を叩けばカランコロンと軽い音がするに違いない、チャカポカと何も入っていない頭蓋の中では委縮し凝固した角砂糖程の脳みそがぶつかるだけだ。気分が悪い、口内はカラカラと乾ききり、いつしや文章を綴れない情けなさに、時間を刻む秒針に、追い詰められ責め立てられている。背後には論う鴉が一羽二羽ピョンピョコと飛び回りガラガラの声で莫迦にするのが現実か幻覚かもう訳が分からない。ヒュウ…ヒュウ…、気が付くと肺に穴が開いたように情けない酸素が口をつく、彼と会えなくなった期間ですらこんな事は無かったぞと焦燥感にアル中の如く指先がカタカタと細やかな震えに変わり、いつしか部屋は暗くなっていることにすら気づいていなかった。原稿は依然真白なまま、___幸せとはこうも恐ろしいとは、知らなかった。無駄に生きたこの生涯にも無知たることが有ったのだ。「……!」孤独に入り浸りイかれた頭は切っ掛け一つ、彼の言葉によりうつつに戻される。背後をバッと振り返るも、そこに鴉など一羽も存在しない、質の悪い幻覚だと生唾をゴクリと呑み込んで、机の引き出しにしまい込む少し強い錠剤が入るガラス瓶を取り出してザラザラとそれを飲み込み指先の震えが少しでも収まるのを目視して「坊ちゃん、一緒に食おうか」結局一度も走ることの無かった筆を立ててから立ち上がり扉の先へ声だけ送り、現実を直視しては眩む眼を誤魔化し背を向けまた幸せに逃げるのだ。幸せを得てはまた悪循環に至るとも気づいておりながら甘い蜜を啜らずにはいられない、弱い理性。震えの収まる手を扉に掛けて、彼が同じ空間にいるという細やかで他のきかない幸せに浸り)
(素人としては安易に万年筆とインクにより文字となった物語が原稿用紙上に引き詰め合っているのだと想像を膨らませるばかりで実際に何が扉の向こうで起きている等想像も付かない。きっと眼前に現れた彼に残酷非道な言葉を投げ掛けるだろうが知るまでは食い止める術も無い、少し先の己は現在の己に制裁を与えたくて堪らなくなるのはこの少し後の事。天井からぶらりぶら下がるアンティーク調のランプどもが均等な位置で薄暗いオレンジ色の明かりを放ち漆喰壁をぼんやり照らしては、形ある物全ての影を落として無機質模様を廊下一面に広げ己の存在でさえこの空間に調和させる。変わらない漫ろ心で動かない影を眺めている横で夕飯の一つである汁物の蓋の淵を蒸気が濡らし確実に熱を放出しているのが良く分かる。あまり冷めすぎては食材の新鮮度や旨味、品格が剥がれてしまうとそろそろ台所に戻ろうかと脳裏を過ぎったその束の間、扉の置くから己に向かって投げれた言葉をこの耳は逃す事無く鼓膜を震わし。芒とした脳から我に返って始めて現実の輪から片足を踏み出した沈黙者と化しいた事に気付き、慌ててトレーを抱えて立ち上がると今まで塞き止められていた血液がどっと下肢に向かって流れ落ちる感覚と共にぐらつく視界、もたつく足元は絡み合い脳の片隅で起立性低血圧を引き起こしたと理解するも既に遅すぎた。「______あっ!」体幹を支える二本の足は何の役にも立たずに膝は曲がり扉に向かって重心は倒れる一瞬の間スローモーションの様にトレーからは夕飯どもが水面から飛び上がる魚の如く宙に浮かびランプのオレンジ色が水滴に反射しギラギラと輝きを放って目と鼻先で踊り狂う。まるで自由を謳歌する舞のよう。彼が扉に手を掛けている事すら考える間も無く身体を支える為だけに瞬時に手に掛けたドアノブは本来の機能を果たして書斎への入口を容赦無く開け放ち、余計な形で再び対面する事となり。舞い上がった夕食達は被さるように身体へと落ちてゆく。彼にまで被害を広めたか確認もままなら無いまま唯一の支えを失った身体は開け放たれた扉の向こう側へと倒れる他無く、無慈悲にも星の重力には逆らう事が出来無い事を改めて知る事となり)
――ッ(さして重たい訳じゃない扉に手を掛けると大方其処にいるだろう坊ちゃんの姿を目で探し、とは言え。探すことなんて必要なかったとばかりに扉を開くや否や飛び込んでくる賑やかなその情景に驚愕と眼を開き、唐突の驚きとは時間間隔を狂わせると初めて知る。まるで全てがカチリと音を立てて静止したかの如く動きを止めて見えると筋肉のさしてついていない腕は反射的に彼の身体を受け止めようと前に伸び。息を飲む思いで動いた身体は何とか彼が地に体を付けるより先に役立ったらしい、ホと撫でおろすように息を落としては腕の中に迎え入れた彼を見やり「__矢張り、体調が優れないんだろ。」良くなったとは言ったが今の様子を見てはその言葉をハイ良かったと受け入れる程阿呆ではない。長時間口をきいて居なかったせいで詰まるような掠れを持つ声色で指摘を一つ、別に咎めるつもりは無いのだ。広々と綺麗な生活が一転し、この幽霊屋敷と名が高いオンボロに来たと言うだけでその気持ちは滅入ることだと理解ならいくらでも出来る。いくら貧弱な肉体と言え、男で良かったと女のようにナヨナヨと倒れこむことが無かったことに眉間にしわを寄せた表情の裏で安堵を抱き、転がる食器や食べる事が叶わない食品を一瞥してから「此処は片付ける。……坊ちゃんは着替えを」可哀そうに、汚れてしまったその身を見れば少しだけ目元を細めてから伺う様な控え目の眼差しで支えるその顔を覗き込み、足は捻っていないか、火傷は負っていないか、重なり抱く心配とは留まる事を知らず。宛ら浴槽の中に潜り込み肺にため込んだ空気を少しずつブクブクと吐き出すのと同じか、終わりの見えない心配は幾つも有るのにそれが音になることは叶わず。恐る恐ると躊躇いながら目元に触れる前髪を救う様に触れると"坊ちゃん"と浮かび上がるすべての疑問を表現するように一度だけ呼びかけて、ハラリと指先をすり抜けさせるように触れていた手を離し「一人で大丈夫か」今はタイミングが良かったのだ、もしもあと少しでも遅ければ支える事は出来ずにいただろう。もしも着替え先で、汚れを落とす為の風呂場で、彼がまた倒れこんでしまっては?眉尻を落とした困り面で元来の不安症が発揮するように多くは語らずとも短く言葉を掛ける事となり)
(今にもポキリと軽い音を立てて折れてしまいそうな腕の中、それでもしっかりと己の身を支える芯のある身体、添い寝をしただけでは分かる事の無い感触に不本意にも感動してしまう。自分では無い他の誰かが支えとなっているのだ、何とも不思議な感覚。衝突の驚きなど二の次で新たなる発見より今に浸るため時間と呼吸を忘れ一時的に動作が停止。酸素欲しさに咽頭がくっと引き攣るのを合図に弾けるように肩を震わせて肺全体に酸素を取り込めば「ああ、先生すみません…!不意に立ち上がったのがいけなかったのです!」自分自身何用こんな羽目に合ったのか、思い返せば今朝の傲慢たる行動の自業自得極まりない原因が上げられるがそれにしても不調、矢張り恋故の心が雀躍し過ぎているのかもしれない。幸い汁物の熱は逃げ出し皮膚表面に触れるのは外気によって少々生温くなったもの、夕飯は書斎の中まで飛び散り床を汚している。周章狼狽は止まらず彼の身に被害が飛んでいないか憂懼、名を呼ばれるまでは頭部から爪先まで安否確認をじろじろと。慌てふためく己と違い随分と落ち着いた様子の彼の顔を見遣ればそれは落ち着きからくるものというよりも酷く沈痛している様な面持ち、見てしまえば必然的に動揺は静まり主観から客観に嘘のように塗り替えられてゆく。人が一得るものを彼は十得るのかも知れない、心配事も叱り小説家とは感受性豊かな生き物だと認識している、それが彼の本質である優しさなのだと己は受け止めている。改めてその心情を見遣れば心は解け気の抜けた表情となり「____……一人ではダメかもしれません。手伝ってくれませんか?」つい先程体調は平気だと言ったそばから起こしたアクシデントの後に、大丈夫だと断言しても不安は抜け切らない事を既に把握ししている、この際思い切り頼る選択を。安否を伝えるように彼の肩口を優しく掌で撫で下ろし手の甲まで辿り着けば少し強めに握り締め)
(/お返事遅れてて申し訳ないです!背後事情なのですが体調を崩してしまい、折角の物語なので確りと考えてお返事がしたく、もう少しばかりお時間を頂いてしまいますが一週間以内には必ず返しますので…!素敵な文章を頂いているのに本当にすみません!)
(/お早う御座います、体調の方大丈夫でしょうか?気温の急激な変化や流行りものによって体調を崩しやすい時期ですよね、返信の方はいつでも構いませんので、どうか無理をせずにゆっくりと治して下さいませ!元気になられた背後様と夢前先生を楽しみにお待ちしております!)
(危なかったのは自分にも拘らず、まるで取り留めのない失敗でもしたと言うのかジロジロと向けられる眼差しを感じつつ、まるで叱られる事を待つ反省の浮かぶ反応に幼さを重ねてしまったのは翳むには未だ早く記憶の中に色強い己にとっての彼が未だ変化なく、あれがしたいこれがいいと年相応のあどけなさを持った大人とも子供とも言えぬ彼であるからか。今の様に何処へ出しても恥の無い淑女がこぞって隣に並びたがる、絵に描いたような色男、引いては内面とて紳士的な男らしい彼では無いと気づかせるようでもあり。握られる力強い手を辿る様に視線の先を少しずつ動かしていくと到着する端正なその面構えを数秒だけ見詰め、頼られるとより一層と記憶と現実が掻き乱される様にぐちゃりぐちゃりと境目が無くなるようで、二重に見える様な錯覚に瞬きを数回。握られる腕を手繰り寄せる様に今一度腕の中に彼を閉じ込めたくなる欲に正直な下劣な思考を抑え込み、現実に戻る為に頭を一度だけ揺らしてから「―――着替えは何処に、今タオルを持って来よう。坊ちゃんは、……書斎で待っていろ」今度は握られる手を引いて廊下と比べ汚れの少ない室内へ誘導してから荷物の場所を問い、何よりも彼が己を頼ってくれたと言う事実が己にも庇護欲と呼べるものが有ったのだと気づかせてくれる。それが純粋足る感情だけじゃない事は重々に承知しているが、離した腕を使い彼の頬を親指の腹でそっと触れる様に撫でて。心配に固めていた表情を少し緩め不慣れながら笑みを。恋と呼ぶには淡すぎて上手に嵌らないこの感情が不毛な愛であるとストンと脳味噌に形を成した事に気づきつつトランクケースの置かれる居間へ足を進ませ。__そう時間を取らずに着替えと多めのタオルを持ち戻り、「坊ちゃん。濡れた場所を、__自分で出来るか」最初こそ拭うつもりで掛けた言葉を飲み込む様に訂正を含んで再度送り、贈答品として頂いた新品のタオルを差し出して)
(/お待たせしてしまい申し訳無いです……!温かな対応とお言葉を有難うございます!お陰で体調も良くなりました、御心配をお掛けしてしまい重ねて申し訳ないです。どうぞ浪花津くんの背後さまも季節の変わり目ですので体調にはお気を付け下さい!)
(/気付くのに遅くなってしまい申し訳御座いません!体調が良くなったようで私も安心致しました、そして素敵な文章を再び有難うございます!今すぐお返ししたいのですがここ暫く予定が立て込んでおりまして、あと2日3日お待ちして頂けますでしょうか?身勝手な報告となってしまい申し訳御座いません!)
(彼を頼るとしたのは決して彼だけの為では無い、少しでも縋ろうとする子供じみた甘えが発揮されている理由も勿論、順当な行いだけで全てが収まるなど有り得無い。己の身を案じ、己の為を考察する姿からその頭蓋骨に守られた柔らかな脳味噌には"浪花津千"がしっかりと刻まれて今はいっぱいに占めているのであろう。そしてそれは、とても耐え難い程に愛おしいのだ。口にせずとも理解ができる、理解しているつもりだが果たしてそれが正しいかどうかは千人に聞いても分からない。無論本人の口からであろうと心情を限り無く正確に近い言葉にするのは苦悩の技だ。だからこそ確信は見てなくとも恐らくを信じて今は目に見えた糸から手繰り寄せてどろどろに溶けた欲望を少しずつ露わにさせて行く。これこそ唯一の甘えなのだ。気が付けば其処は書斎で眼前にはタオルと着替えを持つ彼の姿があり、ぼんやりと考えている間にたかがこれしきの事にこんなにも動いてくれたのかと少々苦い笑みが零れ。小さく礼を告げてタオルを一枚と着替えを受け取り、まずはタオルを両手で広げて一番汚してしまった顔を覆ってゆっくりと首まで拭い。幸い髪に付着せずに済んだがシャツにはべっとりと夕飯であったものが汚れとなってシミを作っておりそこから漂う匂いに改めて随分味噌汁臭くなってしまったと気にとめて。「_____先生こそ、そのタオルで拭って下さい。折角の着物にこんな匂いが染み付いてしまったら大変です。」同じの違う面で首の後ろを拭い。一旦タオルを近くの机に掛けて、羽織っていたベストを脱ぎ丁寧に折り畳み同じく机と掛けてふと彼に再び視線を向け。普段から己の知り得ない未知の知識を多く持つ故に彼を尊敬し敬意を込めて"先生"と命名しているが十近く年が離れているとまでは常に意識しているわけでは無かった。決められた歩数で年月を越している筈だが彼は不思議とずっと歳が離れている感覚があまり無く存在までも近しいく感じてしまう。恋心故なのだろうか、それとも隔てる年齢の差をも超えた対象と認識してしまっているのであろうか、どちらにせよ特別以外の何物でもない。不意に二枚目のタオルを受け取るが正確には掴んだだけで、彼の目の前で手の腹を見せるように腕を捻り「先生。」それは寧ろタオルを彼に差し出した形となり、一言で連ねた呼び名には再びの頼みと称した甘えを含ませて。もう片手でワイシャツのボタンを三つ程外し今一度名を呼び)
(/遅くなりました、漸く落ち着いたのでお返事を返す事が出来ました。長らくお待たせ致しました!大変申し訳御座いません!どうぞ今後も宜しくお願い致します!)
(渡したタオルを彼が受け取るとそんな些細な繋がりすらもが安心に至り、誰かの為に動くことと言う経験が人と比べて極端なまでに薄いせいで何が正解で、何処までが図々しい、此処までは人でなし、とその境界線すら分かり兼ねて頭を悩ましてしまうのだ。ホ、と胸を撫で下ろしたのは彼の動きの一つ一つに火傷を初めと怪我がしいていないと言うのが見えたからで、その安心が有れば部屋が汚れた事など二の次である。部屋を漂う空腹を煽る匂いとて、薬が効いた高揚する浮かれた頭の前では大きな事でなく。寧ろ書斎を掃除する良い切っ掛けが出来たかもしれないと思うまでで、ボーと彼の様子を眺めて動きが止まっていたことを指摘するように自身を気遣う声が聞こえるとハタと何処かへ向いていた意識は戻り、"ああ、ああ、"とシドロモドロに意識が飛んでいたことを濁す為の曖昧な返事を口にして一つのタオルを手に、とは言え少し掛かっただけの着物に押し当てて。俯くように下を向き白いタオルが色付くように布を押し当てて、その中でもう一度、繰り返すように呼びかけの声が届けられると顎を上げるように落としていた頭を上げて。その先に見えたのは品無くはしたなく、ゴクリと喉を上下させ生唾を飲み込んで。ただ、呼ばれただけ、それも名前ではなく呼称である物なのにだ。ゾクと背筋が震えるのに反して熱が燻ぶるように暑さを覚える、するりと目元を細めて、それでも逸らすことなく真直ぐに見詰め。「……何だよ」甘えを含んだ声をもう一度聞きたい、そんな欲のままに期待を持ち片方の口角を僅かに持ち上げて)
(/此方こそお返事が遅れてしまい申し訳ないです…!多くなるのはお互い様ですので本当にお気になさらないで下さいませ!此方こそどうぞ今後とも宜しくお願い致します…!)
(/申し訳御座いません、予定がかなり立て込んでおりまして今月いっぱい不定期になってしまいそうです;/土下座/本日深夜にお返事が返せると思いますのでそれまで今暫くお待ち下さい!)
(/ご連絡有難うございます…!いつも素敵な文章を頂いて本当に有難う御座います!お返事は私生活に余裕が有るときで全然大丈夫ですので無理だけなさらないで下さい…!私も夢前もいつまででも待っておりますので、背後様のお身体だけ忙しさに崩してしまわないようご自愛して下さいませ!)
(湿り気を含んだ部分が外気に触れて少しひんやりと肌寒いが内側からの発熱のせいか震える程では無く、それは襟元に掛かったものが背筋を通って濡らしたもので必ずしも拭う程の大差なものではない。そして誰かに頼るまでも無く、目に見えて安易に処理の出来るものにかわり無いが彼に触れて欲しいという艶かしい欲求が掻き立てられる末に差し出したタオルを受け取るよう、催促のアイコンタクトを。決して咎める事の無い純然そのものを含めた柔らかな笑みを一つ、やがて相手に背を向ける形となり、濡れてシミの出来た部位を露わにさせて。「拭いて下さい、先生の手でしっかりと。」雲に覆われては時折姿を見せる月が窓の縁を照り付けて金属製の部分がキラリと美しく光らせる様を細めた瞳で眺めてはこの長い一時を堪能し。異様な空間、静寂の中にたった二人の呼吸音だけが響き渡るのがとても心地が良くじんわりと胸の辺りから温かいものが滲み出る感覚が生まれて、「_____先生は、こうやって誰かに触れる事は勿論あるでしょう。けれど俺は、貴方以外に触れては欲しくないです。」秒針が時を刻むと同時に夜は更けて落ちた影が伸びて行くのを一瞥し、再びシャツに手を掛けて再びボタンを取り外して肩からするりと落とすように濡れた服を着脱。着替えの服を両手で抱えてちらりと後ろを見やりもう一度催促のアイコンタクトを、今度は直ぐに前方へと視線を向けてゆっくり頭を垂れて)
(/大変お待たせ致しました!そしてお優しいお返事に感謝感激で御座います…!どうしてもここ最近やらなくてはならない事が増える一方で追われる形になってしまいました、今暫くこういった状態が続きそうです。それでも必ずお返事は致しますので背後様も気長にお待ち下さいませ!)
(砂で出来た城ほどに脆い自制とは彼の口より綴られる言葉で簡単にも海に呑まれ消えてしまう、跡形もなく。端から常識とは備わっていなかったとでも言う様に、本能ばかりが浅ましく色を持ち姿を出してしまう。女の裸体とはまた違う、誰がどう見ても男の物とわかる柔らかさも丸みも持っていないその身体を見て、引き締まった筋肉の付いた若く張り締めた四肢を見て、欲情した脳味噌は糸で動かされる操り人形の如く従順で。「もしも、そうだとしたなら。――此処が幽霊屋敷と名を馳せる日は来なかっただろうな」手の内に有るタオルを一瞥、伏せた睫毛の隙間から伺う様に眼球の動きは見落とすのが勿体ないと彼の姿を垣間見て、死ぬまでに殺し文句を受ける日が来るとは、今のワンフレーズを頭に刻み込めばそれだけで高揚した気分のまま夜に疼き日を繰り返せるほど。伺い盗み見る様な目線の先を自嘲に姿を変えてから喉を鳴らし鼻で笑い、「誰かに触りたいと、そう思ったのは坊ちゃんが初めてだ」触れる口実である布きれなど必要じゃないと床へ落とせば形の良い顎から頬へのラインを撫でる様に触れて、見れば見る度に都合の良い夢の中で生きているような非現実的状況に感覚は鈍り行くようで__「だから。頼むから、これ以上煽るのは……」自己分析は出来ている筈だ、己と言う人間が人から思われて居る程にプラトニックでもなければ機械的でも無い、むしろ、他の誰よりも簡単に欲に呑まれて抑えきれない気持ちを安いアルコールで抑え込むことで何とか堪えこんでいるだけ。目の前にぶら下がる餌を堪え待てができる利口な犬なんかじゃない、触れる手の平がカタカタと酒を切らした時と同じく震えを帯びる。触れていた指先を拳を作る様に丸めて「でないと、坊ちゃんを潔白のまま元に帰せる自信が無い」眉間に深く皺を刻みつつ顔を渋くくしゃりと歪め、口を一の字の如く口角に力を込めつつ僅かに持ち上げ訴える様に伝え)
(/お忙しい中お返事をいただいて嬉しい限りなんです…!ご負担になっていないかが心配で!勿論、ゆっくりとしたペースでも話が続けられれば嬉しいので本当に無理だけは為さらずに…!私もお返事を必ず返しますので!)
(恐らく彼を制するものと同じものを己も持っている。もっとも、己の持つものは一度は欲を閉じ込め鍵は掛けたは良いものの、中で育つ艶かしい感情が小さな器には収まりきらず溢れして来そうなものだから焦りや不安とほんの少しの期待からもう開けてしまっては良いのではないかと新たな欲情が生まれてきているもの。考えてみれば今まで頑なにも耐え凌ぐ経験をした事が無いのかもしれない、敷かれた道は常に一つ、抗う事なく進めば手に入れないものなど何も無い、開けてしまってもいいのでは。何処かの遊女の様に血反吐吐いて股を開き心を手に入れるよりも容易く目の前で酷く怯えた様な面持ちの彼を手に入れられるそんな気がしてしまう。その振戦し丸まった指先を握り締める様に頬から剥がし、前より目線が近くなった彼との距離を縮めるよう腕を引き寄せ「先生は今夜を夢で終わらせようとしているのでしょうか?明日になれば何事も無かったように、今夜の爪痕を残さないように、と?」孤独と寄り添い生きた彼に己の存在は全てにおいて相当の責任と負担が日々背に積まれている事だろう、一度犯してしまえば彼は後戻りが出来ないのは重々承知してはいるが重荷を軽減させる程己でさえも抑えきれないのだ。細い身体を腕の中へと収めて、繋ぎ止める様にしっかりと肌を密着させ互いの体温を奪い「_______先生が望むものを俺は望みます。…同じように先生が嫌うものであれば俺もまたそれを嫌うでしょう。夢じゃない結末が良い、先生の爪痕を何度も何度も刻みつけて欲しい。」少々腕に力が入り過ぎているせいかそれとも無意識の内に返答に対する緊張からなのか指先が冷たく痺れて感覚が薄まっているよう、それでも構わず抱く形は変わらずに彼の肩口へと額を押し付けて。我ながら浅はかな願いを乞いるようでみっともないとも感じるが、そこにある温かさに甘んじてしまう事だけは止められず)
(/毎度お優しいお言葉に救われております…、背後様とのやり取りに何も負担は御座いませんよ!寧ろ長期に渡ってお待たせしてしまっている事が申し訳無くて仕方がありません。じっくり考えれば考えるほど凝ってしまうものでして…。漸く私生活も落ち着きを取り戻して来ましたので未だにゆっくりとしたペースではありますがぽつぽつとやり取りして頂ければと思います!毎度の事ながら寛容な背後様には感謝でいっぱいで御座います、どうぞこれからも宜しくお願い致します!)
(抱え込んだ欲情とは正に重力、火に掛けた鍋の中で水が煮立ちグツグツと沸騰するのと同然、産まれて消える人並の常識で。頼りない背中をポン、と少しだけ押してしまえば後は雪崩れるのと同じ。簡単に欲に引き摺られてズルリズルリと済し崩しに落ちる他無いのだ。強いアルコールを躍起になって胃袋に詰め込んだように何も考えられずドロリと脳味噌が溶けてしまった錯覚に至る、密着した箇所が淫らにはしたなく、もっとと強請る。押された背は重力に従いぼちゃりと欲情の海に沈んでしまった、呆気なく、簡単に。肩口に置かれる彼の顔へ自身の頬を寄せてから「折角逃がしてやろうと思ったのに、……坊ちゃんは怖いもの知らずだな」怯えは既に消えた腕が彼の背を抱き締めて、右手は這う様に上へと上がりサラサラと指通りの良い髪に触れ、左手は引き締まる背の肉に、爪先で引っ掻くようにカリと刺激を与えると「直ぐに余計なことを考えちまう。だから、考える間を与えないでくれ」承諾と言うには図々しい、ただ目の前の餌に堪え性が無い浅ましい畜生の表れでしかなく。熱に揺れる眼に愛しい愛しいと長い恋心を蕩けんばかりに閉じ込めて、年甲斐もない口付けを彼の首元に。赤くこれが確かだと証拠を残す年甲斐の無い執着心が己にも有ったのだと冷静になって羞恥に悶える感情は既に留守、この時間を無駄にしたくないとばかりタガの外れた思いは幾つもの口付け痕として彼の首元に刻まれて)
(/私も二人の事が愛しすぎてつい考え込みお返事が遅くなってしまい申し訳ないです!勿論です!ゆっくりとお相手して頂ければ本当に嬉しいです…!この後の展開で裏に入ってしまいそうなので、日常に戻るでも暗転し次の日に飛ばすでも大丈夫ですので合わせます…!)
(こんなにも熟睡したのはいつぶりか、短時間目を瞑っていただけで頭は冴え、一番の鳥の声で眠気は吹き飛んだように感じられる平日の朝。ポツポツと窓を叩く梅雨の知らせは心地が良く、相変わらずリビングルームで就寝した身体には癒しにも変わる。少々湿り気のある空気だが嫌いでは無い、瞳にかかる前髪をたくし上げて寝転んだ状態で窓の外を見遣り。此処に来てから数日、現実とは程遠い場所で暮らしていたかのような感覚、彼とこうした距離を保つ理由は多々あるが大半は気持ちの整理を付けるため。同じ屋根の下で過ごしている事すら貴重だというのにこれ以上の贅沢を望んではならない、帰省の時期は刻刻とせまっている。水滴の音はまるでら急かしているよう、咳払いをして天井へと目を背ければ「_____……、いやいやこのまま黙っておこう。先生が知ってしまったらきっと罪悪感で首をつってしまう」ここに来てから隠し事が一つ、確実に彼を困らせる内容であり勿論黙っているつもりだが曖昧な帰省日については常にいつにしようかと迷いどころで。兎にも角にも依然として楽しい夢のような日々は続くわけで、それ以上の考え事にするのは時間の浪費だと切り替えて、日課となりつつある行事の一つを済ませる為に立ち上がり、珈琲と朝食を用意して)
(/大丈夫ですよ、お互い間隔が空いてしまいますとその分考え込んでしまうのかもしれまんせんね…!それでも私は全く構いませんので、背後様がもしなにか不安に思われましたら遠慮なさらず仰って下さいませ!そして、後日に場面を変えさせて頂きました、今後の展開についてなのですが、何がご希望はありますか?私としては先生様をどこかに連れ回したいのですが…!)
(夜になれば何処からとも無く姿を現しヒタヒタと背後を奪い足を引っ掛ける、嫌らしいまでの焦燥感と自己嫌悪に眠ろうと意識を傾ける事すら無意味とばかり。薬を頼る事で漸く眠りに付ける明け方、当然目が開くのは一日の折り返し辺りの真昼間ばかり。そんな生活リズムが体内に時間を作っているのに人間とは現金なもの、人間と言わず己と言う存在が感情に素直で欲深い事を証明するべく、ずっと欲しかった傍に置いていたかった彼が傍にいると言うだけで心は満たされ眠りについた。寝入りが早ければ自然と太陽が上るのに合わせ重たい瞼が開き、"嗚呼、世を働き歩く父親とはこんな早くから歩き回るのか"と時間を教える掛け時計を一瞥し吐息を一つ。リビングルームより人の生活する音が聞こえれば、たったそれだけで満ちる想いを自覚して泡沫の生活から抜けられぬと根を張ってしまう、ずるずると横たわる体を起こしてから朝特有の露めいた香りを久しぶりに肺に溜め込んで立ち上がり、朝起きて着替えを行う当たり前の人間らしい行動すら新鮮で「おはよう、坊ちゃん」リビングへ足を運ぶとそこにいるだろう他ならぬ彼へ挨拶を)
(/お返事とても遅くなり申し訳ないです…!以後気を付けますので!
場面展開有難う御座います!連れ回しとはなんと楽しそうな…!坊ちゃんの見た目を少しばかり変装させて町を歩く和製ローマの休日のような展開に今から楽しみでなりません!ぜひとも其方で進めたいです…!)
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