ベルセルク

ベルセルク

ショコラ  2015-10-06 16:09:50 
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小説。

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  • No.41 by ショコラ  2015-10-17 17:15:35 

ベルは時間内にドラゴンを倒せなかった時の事を考えて、目を潰しておけば動きが鈍くなり、応援が来るまでの間の被害を最小限にとどめようと考えていた。
ベルたちの狙いは足。
足を一本でも切り落とせればドラゴンの動きも確実に悪くなる。
バランスを崩して倒れたところを一斉に呪文を放てばなんとかなるかも知れないと考えていたのだった。

足を狙っての接近戦。
ドラゴンに近付けば容赦なく尾の餌食になってしまう。
1人、また一人とドラゴンの尾に弾き飛ばされ怪我を負うものが出始めた。
即座に待機していた魔術師が回復魔法とヒーリングをかけて、復活した戦士たちは再びドラゴンへと向かう。

  • No.42 by ショコラ  2015-10-17 17:24:46 

様々な訓練はこれまでしてきたが、実戦はこれが初めてだ。
初めての割には中々連携が取れていた。
弓使い達も通常攻撃に加え、覚えたてのスキルを使い何本かの矢がドラゴンの目に命中している。

先ほどまでドラゴンに傷を負わせても、自己回復能力のせいで傷口が直ぐに塞がってしまっていたが、闇の精霊王の力で自己回復をする事ができなくなっているようであった。

これならいける!と、思った時だった。
シルビーがかけた魔法の効果が時間切れになった。
下の層の魔法陣が消えて行き、最後に一つだけ大きな魔法陣だけが残り、その魔法陣もだんだんと小さくなっていく。

  • No.43 by ショコラ  2015-10-18 07:38:44 

「くっそ…時間切れか!」

誰もがそう思い絶望を感じた時、小さくなっていく魔法陣に反応するかのように、ドラゴンを囲んでいた光の檻が、大地から天へと向かって伸びていった。
その光は中に入っているドラゴンを圧縮するように狭まり、最後には一本の細い光となって天へと消えていったのである。

光が消えた後には、そこには既にドラゴンの姿は無く、ドラゴンが居たであろうと思われる場所に無数のオーブが漂っていた。
このオーブが魔物を形とっていたのだろう。

  • No.44 by ショコラ  2015-10-18 08:01:53 

気が付けば先ほどまでの騒がしさは聞こえなくなり、辺りは静けさに包まれかえっている。

「・・・・・終わった…のか?」

その場に居た生徒達に、やっと安堵の表情が現れた。

ドラゴンを退けた喜びは勿論あるが、シルビーが来る前にドラゴンの餌食になってしまった仲間たちの事を思うと、喜んでばかりはいられず悲しみが込み上げてきた。
それぞれが友や教官の側へ行き、その悲しみに泣き崩れた。

すると再び空に大きな魔法陣が浮かび上がり、魔法陣からは光のシャワーが降り注いできたのである。
その光が体に当たり吸収されると、怪我を負っていた者達は全回復をし、死んだ者達も息を吹き返したのである。
その不思議な光景に視線を空に向けてみると、そこには天の精霊王の姿があった。
死んだ者をも生き返らせる事ができる力を持っているのは天の精霊王だけだ。
だが、その強大な力ゆえに、いまだかつて人間に、使役できる者は居ない。
それを目の前でやってのけたのがシルビーだったと言う訳だ。

  • No.45 by ショコラ  2015-10-18 08:19:56 

あまりにも現実離れをしたこの状況に、初めから一部始終を見ていた者達は思考が追い付いてこない。
一体何が起こったのか分からなくなってきた。

死んだと思って居た人達は、いま目の前で元気に居る。
自分達は目を開けて夢でも見ていたのか?と錯覚してしまう者もいた。
しかし現実は、人間は生き返っても壊された建物はそのままに残っており、凄まじい戦闘の爪痕が禍々しく感じられている。

この事態の一部始終を見て居た人間は生徒だけではなかった。
管理等の防犯カメラにより、その光景も記録として一部始終残されていたのである。
数か所のカメラに映っていた人物。
ほぼ同時刻に映り込む人物はみな同じ人物だ。
人間業ではできない様な瞬時の移動。
四大精霊王の召還。
そのどれもが目を疑う映像ばかりであった。

  • No.46 by ショコラ  2015-10-18 08:34:05 

後日、管理制御等のコンピューターが直り、再試験を行われたが、前回の試験で合格していた者とドラゴン退治に参加した者だけが無条件で合格となった。

冒険者に必要な【心の強さ】【諦めない心】【仲間を思いやる心】この【三心の心】に相応しい人物だと判断されたからである。

ただ一つだけ疑問が残った。
カメラに映っていた人物。あれはいったい誰だったのだろうか。と言う事である。
生徒達に聞いてみても、みな「知らない」と言うばかりで手掛かりがつかめなかった。
しかし、その記憶は次第に人々の脳裏から薄れ、今ではその事を気にする者は誰も居ない。
これもシルビーがかけた魔法の一種なのだろうか。
そう思っていたベルであった。
なぜなら、ベルだけがその記憶が鮮明に残っているからだ。

  • No.47 by ショコラ  2015-10-18 09:06:23 

その後、生徒達にはいつも通りの生活が戻り、卒業までの数カ月を切磋琢磨し精を出していた。
あと数ヶ月で夢と希望に満ち溢れた冒険者となるべく、これからも頑張っていく事であろう。



*** 余談 ***

「なぁ、シルビー」
「うん?」

「あの時助けてくれたのってさ・・・・本当はシルビーだろ」
「し…知らないわよ!」(;゚Д゚)

「俺さ…前にもシルビーに会ってるよな?10年前にもさ…」
「さぁ~、な…何の事かしら?」(-。-;)

「ありがと。シルビー」
『バレてたのか・・・・』|||(-_-;)||||||

  • No.48 by ショコラ  2015-10-18 09:10:00 

読み切り作品の為これにて完結といたします。

読んでくださった方々に御礼申し上げます。

ありがとうございました。

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