匿名さん 2015-10-02 14:03:20 |
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一時間後?…分かったわ。
(一瞬不思議そうに眉を潜めるものの此処じゃ駄目な理由があるのかと思い直すと頷いて。自分の食器も流しに置きながら洗い物を手伝いながら)
……鴉さん、シャワーが浴びたいのだけれど場所を教えてもらえるかしら?
(先日からそのままだったのが気になったのか、おずおずとそう申し出ると洗い物を済ませた鴉に案内してもらい、シャワーを済ませ。そうこうしているうちに約束の時間になり、支度を整えると指定されたナンシアの部屋へと向かいノックして)
……ニーナか。入れ。
(窓際のテーブル、その席に座るナンシア。煙管を蒸している。テーブルの上にはチェスボード、しかし最初の状態から動いていない。ナンシアと向かい合うように椅子がもう一脚置いてあり)
ニーナ、チェスはできるか?相手がいないと……つまらぬのだ
(ルークでコンコンと盤を叩く。間接的に「鴉は相手にならない」というのを告げて)
ええ、少しだけなら…わたしも相手になるかはわからないけれど。
(こっそりと呼び出された為何か話があるのではないかと踏んでいたのか目を丸くしながらチェス盤と相手を交互に見遣り。何度かやったことはあるものの然程得意なわけでもなく肩を竦めつつも向かい合って座り、そっと駒に触れて)
…ーーねえ、ナンシア?やりながらでもいいから聞いてもいいかしら?
私も強い方ではないからな。お母様には一度も勝てなかった。
ニーナからでいいぞ。
(昔を思い出したのか、くすくすと笑って。煙管を灰皿に置くと盤に向き直る。人差し指で黒のナイトを弄んで。)
……構わないぞ。何だ?
(わざわざ断ってから聞くような事……薄々何かは分かって、ナイトを弄ぶ手が一瞬止まる。心臓の鼓動が僅かに速くなり)
…お母様はお強いのね?
(相手の家族の話を聞くのは初めてのことであり、興味を持った瞳で相手を見やりながら細い指先で白のポーンのカーブをなぞり。手始めに真ん中の一つを指先でつまむと動かし、相手への質問を焦らすようにゆっくりと置いて。聞いて仕舞えば今の心地良い関係が崩れるかもしれない、との気持ちからかやや口の中は乾いており)
ふふ、有難う。……あのね、いつ、食べるつもりなの?
ああ、それはもうな……
(相手の動き…ポーンの動き、そしてニーナの動き。どちらにも気を配る。自分の番、ポーンを手に取って………)
…………
(固まった。0.5センチ程浮かび上がったポーンは元の位置に戻る。再び持ち上げられたポーンは2マス先に降り立つ。その手は僅かに震えていて……)
………いつ、か………………
……ナンシア、?
(相手の手の動きをじっと見ていたがそれは明らかに動揺を示しており。ちらりと相手の顔色を伺いながら膝に置いた手をぎゅっ、と握り、思っていたよりも自分も緊張していたのか駒に触れる手は中途半端にうろうろするばかりで。質問したことをやや後悔させるような空気に堪らず視線を落とすといつの間にか彼女との生活に心地良さを感じていたことといずれ来る死と別れに寂しさを覚え始めていることを実感して次ぐ言葉は歯切れの悪いものとなり)
…………いつでもいいの。いいんだけれど…
……それに関しては、私も一晩悩んだ…いや、悩んでいる、か。
(その手はルーク、ナイト、ビショップ、そしてクイーン…盤面の駒を順になぞっていく。次の言葉と次の手、両方を考えるのは無理な事。既にチェス盤は見ていなかった。)
…今結論を出すとすれば………
(重々しく、口を開き…)
…「些か勿体無い」
……そう、勿体無い、
(予想外の言葉に思わず顔を上げると触れていた駒を倒してしまい。その答えはすっきりとするものではなかったが、少なくとも今すぐと言うわけでもないようで安心からか蒼い瞳に薄っすらと涙を浮かべ)
ふふ、…まだナンシアと一緒にいれるのね?
…そうだな。勿論味を確かめたいという気持ちはあるが……
(テーブルに身を乗り出し優しい笑顔でそっとニーナの涙を拭う。クスッと笑うとその指を舌の先で舐めて)
今のこの生活の方が、余程満たされるだろうて。
私はこうと決めたら変えない性格だからな。安心していいだろう
(肩の荷が下りたというようにふうとため息。席に座り直す)
ナンシア、…退屈させないし絶対に貴女を一人にはしないわ。
(指先を舐める仕草を見るとやや恥じらうように頬を赤らめるも隠すこともせず、相手の赤い瞳を見つめると相手の優しい表情にこちらも落ち着いた様できっぱりと言い放ち。倒れたままのポーンを立て直しながらゲームを再開させるか迷いつつも席を立ち椅子に座る相手の横に来ると自分は床に座り込む状態で相手の腰辺りに腕を回し抱き付いて)
……ナンシアに食べられるのは嫌じゃないわ、でも本当はもっと一緒に居れたらいいなって思ってたの。
(今までぼんやりと願っていたことも口にしてしまえばはっきりとした意思になり、ぎゅう、と腕の力をやや強めて俯きながら呟いて)
ーーありがとう
(ニーナの頭を優しく撫で、抱き返す。今までになく、ぎゅっと。白い頰に一筋涙が溢れた。何年ぶりかに言う「ありがとう」がこれで良かったと心底思った。)
…ニーナ。人間と吸血鬼で生きる時間が違うのは分かるな…?
(ドレスが汚れるのも構わず床に座り込み、ニーナの耳元で問う。何を伝えたいかはまだ言わず。)
そう、ね。わたしは…長くてもあと80年もすれば死んでしまうわね。
(頭を撫でられると心地好さそうに瞳を細め腕の力をそっと抜いて。一人にはしないと言った手前、相手の問い掛けにはやや眉を下げながら)
……貴女と同じくらい長く生きられればいいのに。
……ニーナ、お前が良ければだが……
…私の眷属としたいのだ。その契約をすれば…眷属は契約主がが生きている限り老いが急速に遅くなる…そう、吸血鬼と同等になる程に
その代償としてだが…吸血鬼と同様日光に弱くなる。時折血を吸いたくもなるだろう。…味も、変容する場合がある。
その身体はニーナの物だ。ニーナ自身で決めてほしい
(柔らかく抱き合う形になると、背中をゆっくり撫でる。「焦らなくていい」と付け足し囁いて)
……なりたい。貴女と一緒に居れるなら構わないわ。わたしにはナンシア以外居ないんだもの。
(そんなものがあるのかと驚いた様に顔を上げ相手の話を聞くと、相手のドレスの一部をそっと掴んで。覚悟を決めた様にはっきりと言い放てば薄く微笑み)
……そうか。ならば今晩にも契約をしよう…
(ニーナの手に手を重ねる。頬を撫ぜればそのまま引き寄せて…すぐ近くで見つめ合う。薄く微笑めばふっと離れて。)
床で話す事でもなかろう。さあ、こっちへ来なさい
(手を握りベッドに引き寄せる。そのまま抱きとめるように寝転び)
でも、私が血を欲しくなるなんて…考えられないわ。ーーそしたらナンシアが吸わせてくれるの?
(相手に身を任せそのまま寝転ぶと自分も優しく抱き付いて。まだ実感こそないのか他人事に言い放ち)
ああ、そうだな…「吸われる側」がどんな物か知るいい機会でもあるだろうて
…今はゆっくり休みたい…
(ニーナをぎゅっと抱きしめ、そのまま瞳を閉じる。まだ眠らないもののふうと息を吐き)
ええ、ゆっくり休みましょう。わたしも早起きだったから少しこのままで…
(相手をちらりと見ると背中をゆっくりと撫でて、安心しきった様子で自分も瞳を閉じ。此れからの契約のこと、生活のこと、自分の身体の変化などぼんやりと想像しながらも今はナンシアを休ませてやろうとしばらくの間背中を撫でており)
……おやすみ、ニーナ
(抱き合ったままそれだけ呟くと、意識を手放す……その前にそっとニーナの額にキスをする。笑みを浮かべながら眠りにつく…またこれも久方ぶりの事。)
(1時頃、鴉が扉をノックする。昼食ができたので起こしに来た)
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