YUKI 2015-10-01 21:11:39 |
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「ねぇ、知っているかしら?アダムとイブと禁断の果実の話」
琥珀色の長い髪の女性は楽しそうに笑いながら問う。
薄暗い部屋の中のもう一人の男性は立ち尽くし彼女の言葉を黙って聞く。
「一説によると、神は始めにアダムを生み出し、アダムの肋骨の一つを使いイブを生み出した」
彼女は窓のない部屋の中で、ソファに座ったままさらに続けた。
「そして神はアダムとイブと天界で過ごし、いずれイブに恋をした」
足を組み直し、その足に美しい琥珀の髪が揺れる。
「神はこのまま永遠に幸せになれると信じていた。しかし、幸せは長くは続かなかった」
彼女はソファからすっと立ち上がり、暗闇の向こうの男性に近づいていった。
「蛇に唆されて、イブは禁断の果実を食べてしまった。そして、アダムに恋をした」
男性はビクリと肩を震わせ、一歩後ろに下がってしまう。
「イブはアダムにも果実を食べるよう促し、自分たちは神とは違う生き物で男と女であることを知る」
下がる男性に彼女はゆっくりと近づき、楽しそうに微笑む。
「神は勝手に禁断の果実を食べた事を激怒し、アダムとイブを追放し蛇にも罰を与えた」
彼女はゆっくりと男性に手を伸ばし、抱きついた。
そして、そのまま男性の耳元で囁いた。
「でも、本当に悪いのは誰だったのかしら?」
男性の瞳には彼女の背中に輝くような白い、汚れのない真っ白な翼が鮮やかに映っていた。
そう、真っ白なドレスを紅い染みで汚し、微笑む彼女の翼が。
第一章 血塗られた研究所
某国の所有しているとある小島の中心部には、巨大な研究施設があった。
そこは地図はもちろん特殊なスキルス機能を用いて人工衛生からも隠されている特殊な小島である。
なぜそんなにも必死に隠しているのかというと、その研究施設の中では、非人道的な実験が日々繰り返されていたからであった。
その実験はもうすでに八十年以上続けられていた。
実験の名は『人工的新種族開発計画』
人の手によって新たな種族を作り出すという、以上とも呼べるものだ。
さらに実験に使われる実験体はその種族を作るのに使えそうな生物と、科学者たちと同じ人間であった。
この国では法律上人体実験や、人身売買は禁止されているが、この極秘施設のみは国も目を瞑り流している。
国は国で新たな新種族を生み出すことでそれなりに利益を得る算出をしており、研究員達も各々の欲望を胸に自ら研究に参加したがる。
ここの施設長に至っては他国出身者でありながら14歳で飛び級し、この国の有名大学を一年もかからず卒業して、この研究施設に一研究員として招き入れられたのだった。
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