主 2015-09-26 19:35:02 |
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あ、りがと・・・ございま、す。・・・あの、今日は、どんな撮影を・・・?というか、スタッフは・・・?
(きょろきょろと見回すがカメラマンさえ居ない状況に、頭の奥で何かが警鐘を鳴らして、しかもこのスタジオ、何故照明が切ってあるのだろうとライトを見るが照明さんも居ない様子。ふと視線を感じて見れば“ヒナちゃん・・・俺の、ひな・・・。今日は俺が撮影するからね、二人だけの世界を作ろう”と熱い、そしてねっとりとした視線に顔を引きつらせるもすぐに笑顔に変え、「・・・俺で良ければ、宜しくお願いします、」これは仕事、これは仕事と自分に言い聞かせる。
……テメーのじゃねェよ俺ンだよ俺の…!
(流石の己でも吐き気すらするプロデューサーの言葉に、これを実際に言われている日向はどんなに怖いだろうか、二人きりの世界とか許さない。と憤りや焦りを感じて。ついにその感情をを押さえられずに、建物内に入れば受け付けらしき人に適当に「忘れ物をしていたから」という理由を付け入って。相手のいるスタジオに向かって。
えっと、まずはどんな感じで・・・っ、あ・・・?
(撮影スペースへ移動し、くるりと振り向けば至近距離におじ様の顔。危機感を感じるが、此処で引いてはコネが命のこの仕事ではやっていけなくなる、と引かず、じっと相手を睨む様に見詰め。“まずは・・・こう、しようか”とジャケットやシャツを脱がされて上半身は裸に。無関心でいる事を決めたのか相手から顔を背けたまま動きそうにないが、ぽつりと「・・・悠、ごめん・・・、愛してる、」とだけ小さく呟けばプロデューサーに聞こえたのか気が狂った様に、“恋人が、いたのか・・・?俺の、俺のひなにっ!!”と取り乱した様子の相手に首を絞められて、ぐっ・・・!と声を漏らし。
……日向…。忘れ物だよ。……あぁこの人がプロデューサーさん?でも見たところ変なことしようとしてる様にしか見えないんだよなぁ…。これも雰囲気作り的なアレな訳?大変だねぇ日向…?
(笑みを浮かべながらスタジオに入り、日向の事が目に入ると一瞬プロデューサーを睨み付けて。笑顔でゆっくりと二人に近づくと「…記念撮影と録音しといたよ。金輪際、俺の日向に近づかないで欲しいなぁ。余計な事したり近づいたら警察に届けっから。覚悟しとけよオッサン。」とプロデューサーの目の前に先程の写真を突き付け低い声でそう言って
悠っ・・・!?違うっ!こんなのっ、雰囲気作りじゃな・・・!
(まさかの相手の出現に心がふわりと軽くなって、怯えていた表情は安堵に変わり、相手の傍に駆け寄れば涙が瞳に滲んで。「悠、悠っ・・・!助けに来てくれて、有難う・・・」ふわりと微笑んで、しかし自分の不甲斐なさが申し訳無さそうに視線を合わせられず。ふと視線ずらせば男は座り込んでぶつぶつと気が狂った様に何かを呟きながらぼうっとしていて、少し心配になって傍に行くべきか迷い。
…これ……あのね日向…日向は酷い事をされたんだよ。加害者に情けは必要ないしまた調子に乗られたら困る。くれぐれもふざけた真似はしないでよね…?俺、流石に怒っちゃうよ。
(ふぅ、と溜め息をつき、丁度自分の足元に落ちていた日向の服を拾うと先程付けた盗聴機器を取ると相手に渡して。ふと、日向の視線が男に向いている事に気づくと、相手の考えを悟ったのか少し不機嫌な表情になって、そう忠告すれば相手の手を強く握り。
っ・・・!・・・ごめん。
(手を握られれば痛そうに片目瞑り、見るからに怒っている相手に、自分の様な考えの甘い人間が、迷惑を掛けてばかりの人間が、彼の恋人で良いのだろうかなんて考えれば口を噤んで。「・・・悠、俺・・・、悠には、ふさわしく無い、と思う・・・。」と表情を見られたくないのか俯き、ぽつり呟いて。
………日向、とりあえず此処から出よう。
(相手の発言に一瞬目を丸くするもすぐに何時も通りの表情に戻って。ふぅ、と一つ溜息をつくと手を離し、相手から顔をそらすと真剣な口調でそう言えば相手は恐らく混乱しているだけなんだ、此処から出れば何時も通りに戻る。そう言い聞かせながらスタジオの出口へ向かい
・・・悠・・・。あの・・・。
(あ、と口を開けば相手は背を向けてしまった為、仕方無く相手の後ろを付いて行きつつ、衣服を正して。こんな事がこの先起こるのならば、相手と居ても迷惑や心配を掛けるだけだ・・・やはり自分がしっかりと意志を持って言わなければ、と考えてきゅっと唇を結べば相手の背中にそっと寄り添い、「悠・・・別れよう・・・?」とぽつり呟き。
………なにを馬鹿な事言ってるの
日向…キミが何を思ったかは分からないけど…そんなの、俺が絶対に許さない…
(相手の言葉を聞くも何も言わずにただ相手の前を歩き。受付の人に軽く会釈をし、ようやく建物から出るや否や、ようやく振り向いたと思えば冷たい口調で呟くようにそう言うと口元に軽く笑みを浮かべて「ねえ……許さないからね…?そうだよ。日向は急に怖い事があったから混乱してるだけなんだ」と何時も通りの優しい口調ながらもどこか不安定な雰囲気も持ったそんな言葉を相手に投げかけ
え……?あ、……そ、そうなの、かな…。
(相手の雰囲気に呑まれたせいか混乱した様子で、そういえばそうなのかもしれない、なんて思ってしまって。自分の考えが間違っているのか、と思えば何が正しいのか分からなくなり、相手に縋り付く様にきゅっと服を掴んで、「……ね、ねぇ…ゆー、もう、帰ろ…?俺、疲れた…」と弱々しく微笑んで、“また明日、考えよう”と決めて。
……うん。それでいいんだ。あんまり余計な事は考えずに俺を……いや…
…俺だけを頼って、他のやつなんて信用しなくていい。
(頷き、相手の頭を優しく撫でると優しい微笑みを浮かべて。相手に言い聞かせるように上記を述べた後、「あぁ日向。此方から行った方が人目が少ないし安全だよ。」相手の手を優しくとると、普段とは違う別の道を選択し、歩き始めて。
・・・うん・・・。でも、それじゃあ悠がいないと、生きていけなくなるよ・・・?
(迷う気持ちを表す様に視線がゆらゆらと彷徨い、相手に頼りきりなのは良くない事なのに、と溜息を吐き。「・・・?ん・・・。ゆー、家に帰るんだよ、ね?」ぐったりと疲れた身体を引きずり、相手に一生懸命付いて行くも相手の様子に恐る恐る尋ねてしまうのは、先程の事もあって人目の少ない場所を怖く思っているからで。
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