御狐様 2015-09-18 18:30:57 |
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(/初めまして、興味を持ったので質問させていただきます。萌萎要素、容姿中身含めどんなニンゲンが良いか等主様のご希望はございますか?またレス関係寛大とありますが、当方仕事が忙しく週に1,2回程度しかお返事できないかと思われるので、キャラリセの目安などを教えていただけるとありがたいです。長々と失礼いたしました。)
名前:橘 貢/タチバナ ミツギ
年齢:24歳
身長:173cm
性格:普段は物静かでクールな印象を与えやすく見た目も重なり怖いと思われることが多いが喋れば普通。普通だがそこに表情が少し遅れを取る形になってしまうのと結構思ったことを素直に言う癖がありある意味誤解を生みやすいのがたまに傷。それでもそれなりの優しさを持っていて面倒見も良かったりするがその辺に関してはちょっと上手く表現できない不器用君。少し天然なのか言動が斜め上を走る事もあるが真面目な性格ゆえそれは通常運転。しかし意外と根っこは子供っぽいところもあり一度気になると気が済むまでそれの解明などをやりたがるような好奇心を持っている。
容姿:猫っ毛の黒髪は襟足が肩につかない程度で前髪は少し目にかかる長さで適当に左右に分けている。アーモンド形をした目はちょっと垂れ目の黒色、睫毛は下はちょっと長いが上は短い。笑うと目尻に皺が寄る。ツン、とした鼻と薄い唇、全体的に体は骨ばっていて脱ぐと無駄な筋肉のない細マッチョ体型。色はまあまあ白い方。紺色のVネック長Tにスキニーデニム、スニーカーというようなシンプルな服装と暗めの落ち着いた色合いをよく好む。
備考:一人称「俺」二人称「呼び捨て、貴方」
不思議な張り紙に興味をそそられてバケモノの世界に迷い込んでしまうが恐怖と不安の中にも好奇心があり、色々知りたいと思っている様子。
ロルテ:
…貴方は…誰、だ---?
(特に宛もなくプラプラと街の中を散歩していてふと目に止まった変な言葉の並んだ注意書きに何故だか知らないがすごく興味をそそられて、もしかしたらこの奥に何かあるのかもしれない。何もないかもしれないがもしかしたらという子供のような出来心から一本奥の通路に入り進んでいくと行き止まりもないのに気が付きだんだん不安が募ったが出口だと思われる小さな明かりが見えてくると安心して、路地裏の店だろうかなんて思っていれば全然そんな予想は外れ。何だかよく分からないモノが歩いているのを見れば仮装か何かかなんて思うがどうも違くて、ゆっくりゆっくりと歩き出し気付かれないようにそっと離れていこうとするが不意に誰かとぶつかり、目の前の相手を見上げては上記、素直な疑問をぶつけてみて)
(/素敵なトピに参加希望です!へんちくりんな息子とロルですがご検討の方よろしくお願いします!)
匿名さん 様
( /初めまして。御質問、興味を持って頂き感謝申し上げます。ニンゲンの指定は>3に記載した様に、鸚鵡返し、過度の無口、受け受けしい、女々しい、此の四つの属性は冷遇とさせて頂いております。只此方の息子が無駄に濃い為に、其れに劣らない性格であると良いかなと思います。容姿中身については極度の美化でなければある程度自由に設定して頂いて構いません。又、2週間無言でリセットです。こんなトピックですが条件が合えば是非参加して頂きたく存じます...! )
橘 貢PL 様
( /迅速な参加希望、素敵なプロフィール提出両者について感謝申し上げます。匿名さん様からの御返事が有るまで御待ち頂ければと思います…! )
>主様
(/ご丁寧にお答えいただきありがとうございます。了解いたしました、それではpfとロルテを練って参りますのでよろしければしばらくお待ちくださいませ…!生憎予定が入ってるため提出は本日の夕方以降になると思いますが、日付が明日にかわるまでには必ず間に合わせます。)
名前/浅利 憂汰(Asari Uita)
年齢/23y
身長/178㎝
容姿/幼い頃から白髪体質で、現在やや灰色がかったストレートの白髪。前髪は下睫毛まで届きサイドは耳にかかって特に伸びた襟足はうなじを覆ってしまうほどの長さ。全体的に外ハネ気味にボリュームを持たせやや後ろの方へ流し、前髪は邪魔にならないよう斜めに分けている。対して真っ黒い瞳は狭い二重瞼で切れ長。鼻筋が通っていて唇は薄い。生まれ持った髪色のせいか儚い印象を与える。サイズに余裕のあるだぼっとした服装を好み、色合いは薄いほうが好き。半袖や半ズボンなど露出は苦手。スニーカーより革靴、革靴よりブーツが好きで小洒落たハットなどをよく被っている。
性格/基本的には穏やかだが気分屋で実は我儘。何を考えているのかわからないタイプで周囲からの評価は”変わり者”といったところ。追求し出すと止まれない研究者気質だが、思い込みが激しいところが玉にきず。趣味など好きな物の話になると饒舌。生きることに対する執着が凄まじく、身の危険を感じると不安因子を排除しようと周りが見えなくなる。ゆったりとした人柄に見せかけて、思想はたまに常軌を逸脱する。運動が苦手で頭の回転が速い完全頭脳派。貞操概念が薄く手が早いため女性関係は割とだらしないし、人のものにも平気で手を出すのでよく揉める。ふらふら生きているように見せかけて、好きな人には独占欲と嫉妬心が非常に強く束縛されるのが好き。
備考/一人称は僕。電子機器に強い現代人。買い物はネット通販が多いインドア派だが、写真や花が好きなのでたまに外に出る。他にも好きなものはたくさんあり本当に多趣味なためオタク気質と言っても間違いではない。オカルト系も好きで呪狐などの存在も人より詳しく知っている。偏食家で小食。大学の臨床心理科を卒業し現在臨床心理士になるべく一年間の研修期間中だった。その他に海外ブランドの服などを取り寄せて販売し生計を立てている。
ロルテ/
....うわあ。
( 夏も終わったこんな時期に、近所で開催された乗り遅れの宵宮。少し季節外れのイベントに、心なしか夏真っ盛りの宵宮のときより浮き足立って見える人々の間を一人で歩く己はきっと異質。それでも毎年色濃い印象を残していく夏を終えたこの時期は、どこか節目の様で柄にもなくやり残した事は無いだろうかなんて考えてしまい。ともかく、生ぬるい風に背中を押されながらこんな賑やかな場所へとわざわざ足を運んだ理由はというと、趣味である”写真”を撮るためであり。首にカメラをひっ下げ時たまレンズを構えながらぶらりと歩き回っている内に、所狭しと並んだ出店は途切れそれでもまっすぐ進んでいくと薄暗い森へ辿り着いて。入り口らしき一本道の前には古ぼけた鳥居と対になってそびえるお稲荷様の象、そして右方に怪しげな看板がぽつり。こんな場所あったのかなんて思いながら看板へ近づくと、そこには何やら物騒な文章が紡がれており。こてりと首を傾げながらもオカルト好きの自分はどこか魅力を感じてしまい、好奇心だけで鳥居をくぐり森へと足を踏み入れて。すると、歩いて数秒経たないうちに巻き起こったつむじ風。反射的に目を瞑り、風が収まった後ゆっくり瞼を持ち上げる。と、眼前に立っていたのは妖艶な雰囲気を纏う一人の男で。__瞳を逸らせない。森の中であることに変わりはないのだが、何故だか空気そのものが変わってしまったような気がする。そんな状態に身を置いた自分の口から零れたのは、たった三文字の感動詞。いつも通り何でもないような顔はしていても、身体はまるで捕らえられてしまったかのように動けやしない。__嗚呼、僕は一体どこに来てしまったのだろう。)
(/質問をさせていただいた匿名ですPf、ロルテともに完成いたしましたので投稿させていただきます。なんだか濃い子になってしまいました…ロルに関してはここから±400字程度の範囲で調節可能です。こんなのでよろしければご検討いただけると嬉しいです!)
お二方 様
( /此の度は参加希望有難う御座います。主の無い頭を絞りに絞って考えた結果をお伝え致します。
選定結果 → 浅利 憂汰 様
橘 貢PL様、参加希望有難う御座いました…!又のご縁を願っております。 )
浅利 憂汰PL 様
( /プロフィール、ロルテの提出感謝申し上げます。構いませんよ、寧ろうぇるかむと云う奴です笑 ロルですが主も調節可能です。が、気分や時間によって長さが極端に変わる事も御座います。御了承下さい。其れでは遅くなりましたが、此れから宜しく御願い致しますね!絡み文は此方からロルテに絡むと云う形で提出させて頂きますので少々…かとてもか分かりませんが御待ち下さいませ…! )
__ン嗚ァ?…匂うのオ…懐かしい、ニンゲンの匂いやねェ。
( 果てさて今日と云う日は繋がる路が開く貴重な日である。…とは云うものの其の路を通る事が出来るのはニンゲンのみ_故、結論を出して仕舞うのならばバケモノとして生きている己に対しては全くと云って良い程に関係は無いのだ_云い切れないのは己がニンゲンを喰らう呪狐である為_。然しながら誰が考えたのか、此の五年に一度の日にどんちゃん騒ぎをするのが伝統となっているらしいバケモノの世界では、雅な音楽や唄、愉快そうな笑い声等がひっきりなしに響いているのであった。祭りが嫌いな訳ではないが、毎回毎回何の為に開催しているのか分からない此の祭りは今一乗り気になれず。こふりこふりと紫煙を燻らせつつ、赤提灯の光が照らす、薄暗いが閑静とは云えぬ通りを歩んで往けば辿り着くのは繋がる路。此処はどちらかと云えばニンゲンの世界の影響の方が強い場所であり、ゆっくりと休むには持ってこいの場所だと勝手に決め付けており。背後に位置する巨木の幹に背中を預けては煙管を口に運び、其の侭星空を見上げると共に煙を吹き出しては微笑を漏らし。本来ニンゲンの世界とバケモノの世界は正反対と云われているのだが、不思議な事に此の星空だけは変わらないのだ。其れが何だか、何故だか可笑しいのであった。_暫くすると何か違和感を感じ取り、ニンゲンの世界へと繋がる路の奥を凝視しては徐によっこらしょ、なんて声を上げながらふらりふらりと歩みだし。其処でフと脚を止めてじっとりと舐め回す様な声音で上記。違和感は此の香りか、と納得していれば身を襲う強烈なニンゲンの気配。其れはニンゲンが己の背後に立っている事を意味しているのであろう。推理を正解だとでも云う様に聞こえてきた短い感動詞に笑みを深くしてはくるりと振り向き、其処に突っ立っているニンゲンに試す様に告げる__ )
__やァや、ニンゲンの子ォよ。どうした?迷い子かイ?
( /絡ませて頂きました。基本は此れくらいになる…と思われます。 其れと、妹が御狐のイメ画なる物を(勝手に)描いてくれたので載せて置きますね!もし気が向きましたら見てやって下さい。色々(勝手に)付け足された設定等もありますが気にせず流して下さいね笑 )
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__そうみたいだね、迷い込むつもりなんてなかったんだけど。
( 煙管を携え真意の読めない笑みを浮かべる目の前の男。感じた事の無い居心地の悪さを少し覚えるも、とりあえずは”意思疎通”を計れたことに安堵し上記の台詞述べ。一度言葉を交わしてしまえば自分が思っていた以上に緊張していたらしい肩の力が抜け、此方もにこりと愛想の良い笑みを浮かべて見せれば冷静に相手を観察し始めて。__それにしてもこの男、見れば見る程自分と同じニンゲンだとは思えない。先程までは「なんとなく纏う雰囲気が」、なんて抽象的にしか言い表せなかったものの、毛深く尖った耳がただの人間ではない事を主張していて。そして、柄にもなく緊張していたのもしょうがないななんて誰に言い訳するでもなく一人で考えながら、体中を嘗め回すよう不躾に這わせていた視線を浮世離れした彼の端正な顔へと戻して。)
__君は妖狐の類か何か?....ああ、僕はお察しの通りただのニンゲンなんだけど..なんていうか、”そういう系”が大好きで。この質問は単純な好奇心だよ
( 思えば、あのつむじ風に巻き込まれてから全てが始まったような気がする。自分はどこか別の世界へ足を踏み入れてしまったのだろうか?__そんなのファンタジーすぎる、夢でも見ているんじゃないだろうか。と、そこまで考えたところで自分が案外普通に状況を見れている事に気が付き、瞳を細め先程までとは打って変わって余裕めいた笑みを湛えると少しだけ嬉々とした声色で上記の台詞を述べ。饒舌になっている自覚は十分ある。だってこんな不思議な体験そうそうできるものじゃない。聞きたい事は聞いておこう、なんて楽観的に考えては、自分が立たされている状況そっちのけで彼の存在を探りだし。__煙草の煙が鼻につく、頬を撫でる夜風の感覚もある。やっぱり、これは夢なんかじゃなさそうだ。)
(/素敵ロル…!お相手するのが私みたいなので良いのか…笑 また此方も状況次第でロルの長さが大きく前後するときがあるので、そこら辺はお互い様、ということであまり気を使いすぎずやりやすいようにやっていけたらなと思っております。
うわあ自分が画力皆無なので絵を描ける人がうらやましいです…なりきりや創作キャラに理解のある人が身近にいるなんて羨ましい限りです。とってもわかりやすい美麗イラスト、有難うございました!すべてきちんと拝見させていただきました…!)
…ほオ?偶然ッちゅう言の葉で片付けンのを些か戸惑う程の偶然じゃの。…御前さん、注意書見ンかったんかイ?
( 例年、何人か好奇心を燻られたニンゲンがこうして迷い込む事はあったが、誰も彼もが状況に飲み込まれて会話とした会話が図れなかった。其の様な輩が此のバケモノの世界に居続けるのは無理があるし、抑其れを望まないだろう。だから、そう云ったニンゲンはこっそりと喰って仕舞っていたのだが__どうやら目の前に存在する彼は少しばかり他のとは違っている様だ。_恐れる事なく、逃げ出す事なく、只只冷静に己の立つ状況を分析する 他の奴等とは一味違うニンゲンが、五年に一度の此の瞬間に迷い込んで来た、そんな偶然が重なり出来ている今の状態を些か皮肉る様に上記を。又、迷い込むつもりは無かったらしい_当たり前であろうが…_彼のそんな言葉に片眉をヒョイと上げては此処に来るまでには目に付くであろう注意書を見たのか否かを問い掛けては。 )
__"そういうけい"ッちゅうのはよォ解らんが、俺がコン助なのは正解じゃ。どーじゃ?可愛えじゃろ?
( ずばり言い当てられて仕舞った事に少々驚くも、別に此れと云って隠すつもりは無い故ににっこりと笑いながら煙管の先をぴしりと彼に突き付けて。"そういうけい"と云うのは所謂ニンゲンとは正反対の存在のバケモノと云うことだろうか?つまり彼はニンゲンの間では存在を夢幻のお伽噺とされている我等が大好きだ、と。_我等バケモノと同様に、やはりニンゲンにも様々なニンゲンが居るらしい。_其れにしても先程から強烈な違和感を放つ彼の髪色。今まで目にしてきたニンゲンの其れとは明らかに違っている。少々気になるものの今は彼がバケモノの世界で生かしておくに足る人物かを見極めるのが先だ。先ずは、と、からかいを口にしながら空いている方の手でコン、と狐印を作ってみては彼の反応を待つのだろう。 )
( /そんな事は全くないですが(←)お褒め頂き有難う御座います!貴方様だからこそ良いのですよ。正直今愉しくてとても舞い上がっております。口許ユルユルです笑。/そうですね、お互いに仕事に就いている忙しい身ですから、気にせずいきましょう。
本当に上手ですよね…私も画力無いのです。ですが妹に羨ましいと云うのは私のなけなしのプライドが許さないので云いません笑。いえいえ、此方こそ勝手に申し訳御座いませんでした。御閲覧有難う御座いました!
では、此方はこの辺で御狐の術によって(痛い)どろん致しますね!何か御座いましたら遠慮せずに何時でも呼び出し·お申し付け下さい。では失礼致します。 )
....あの看板?見た上で、というかあんなものを見てしまったから来たんだけど。
( 注意書、そのワードを聞くと何のことだとでも言いたげに一瞬口を噤み、数分前の自分の行動を辿ってみる。そしてそうかからずに鳥居の右側に控えめに立っていた胡散臭い看板の事を思い出しては、あぁ、なんて息を吐いて前置きを置いてから上記の台詞述べ。あんなの見てしまっては入るしかないじゃないか、なんて口には出さずともそれが当たり前であるかのように肩をすくめると、可愛えじゃろなんて冗談めかす彼にやはり動揺を見せず余裕そうに微笑んで。__僕は黒髪ロングの女の子がタイプなんだよねぇ、なんて心の中でぽつり。)
..うん、好きになれそうなくらいだ。とってもね。
( 彼がニンゲンの命を脅かさない類の妖狐である保証はどこにもない。生に執着する自分はわけのわからない状況で客観的に場の分析ができた分取り乱すことはなくとも、警戒を解いたわけでは決してない。し、そうすることは自分のために絶対できなかった。だけどニンゲンの中でもとりわけ非力な自分が殺気立ってみせたところで敵うはずはなかったし、それでもここで死ぬわけにはいかない。そんな事を考えながら狐印を作った武骨な手へと視線をやると、なんでもないような極めて落ち着いた表情であからさまにお世辞っぽく上記を述べて。次いでふと一息いれ糸目の彼に視線を戻すと、「__まあ死神じゃないなら安心だ、僕は死にたくないからね」なんてここにきて一番真剣なトーンで、眉間にやや皺をよせ語って。緊張感は緩やかに降下。殺されては困るという思いはきっとずっと消えないけれど、意思疎通をはかれる化け物との出会いはやはり刺激的で、自分が思っている以上に僕は浮かれているらしかった。)
(/わわ、たのしんでいただけているなら本望です…(←) そうですね、シルバーウィークも普通に仕事があるので…。
はい、展開についての話し合いなど何かございましたら仰ってくださいね。それではこちらもどろんです。)
…ッはは、どうやら御前さんは変わり者で_随分な阿呆でもあるらしい。アレ見て尚来たッちゅうんは御前が初めてじゃのオ。
( 肩を竦める彼を見詰めては、少しだけ力が抜けたような笑い声を溢し、阿呆、なんて挑発的な言葉を口にして。自分が云える様な事では無いかも知れないが、彼が考えている事は解りにくい。頭が切れる様に見えて実は何も考えていないのか、はたまた計算式をずらりと並べて片っ端から解いて行くように情報を処理している最中なのか…。まあ、どちらにせよ今の彼の_余裕そうな其の表情を保てている時点で面白いニンゲンだとは云えるのだが。今までは注意書を見ないままに迷い込んで来るか、見て恐れ去っていくのかのどちらかであり、注意書を見ても尚来たと云うのは前例の無い事だ。彼の肝はきっと座るには収まらず寝そべっているに違いない。_恐怖を感じてはいないのだろうか?…其れは其れで此方が怖くなってくると云うものだ。そうぐるぐると考えては見たものの、此方のからかいに動揺せず、反応すら見せない彼を相手にしていると、何が正解なのだか解らなくなってくる。ふぅ、__紫煙と共に溜め息漏らせば狐印を作っていた其の手で後頭部をぽりぽりと。 )
そーかイ、気に入って貰えたンなら嬉しいねェ。…其れに、御前程にニンゲンの子ォに興味を持ったのも初めてじゃア。
( 後頭部を掻いていた手を止め、又其の手を煙管に添えてはにっこりと笑いながら嬉々とした声音で明るく告げるものの、次の瞬間には声を潜め低く低く。いやなに、何も脅かそうとそうした訳ではない。只只己の本音を口にする際には何故だか声が低く、小さくなって仕舞う質なのであった。_さて、此のまま彼を逃がすには勿体無いし、何より繋がる路は既に閉じて仕舞ったであろう。故に彼はどう足掻こうともバケモノの世界で息をすることになる。其れを告げれば彼は驚くだろうか?_いや々、今までの会話の流れから考えて、どちらかと云うと嬉しそうな反応を見せるに違いない。どうしたものかと煙を吸い込んでいたがフと聴こえた言葉に彼に視線を合わせれば、何やら真剣味を帯びた表情。に、と怪しげに口許を歪めて「_安心するのはまだ早えじゃろ。死神でなくても、例えコン助でも、…御前の死体を拝みたい思うちょるやも知れんのやぞ?」…彼がどこまでバケモノの知識を持っているのかは定かではないが、実際に死神と位置付けられていないバケモノもニンゲンの命を狙う事もある_己も其の一員だが_。糸目を少々開いては自分でも何色と定義するのが難しい色の瞳を向けて。 )
普通じゃない自覚はあるよ。
( 変わり者、阿呆。とうに言われなれた言葉とあまり言われたことのない言葉を耳にすると、ふふ、と何が可笑しいのか息を吐きだしながら笑い上記の台詞を述べ。普通とは何か、全く持ってチープな議題だと思う。”普通”の定義を議論し始めてはきりがない、それでも己はそれこそ”普通の人”からするととても普通には値しない部類のニンゲンらしい。聞き飽きたことだし嫌な気分もすでにしない。呆れ返ったのかため息を吐き出した彼を尻目に、うーんと呑気に天を仰いで。その後何やら真剣味を帯びた声音で語る彼にまた視線をやると、顎を引いて所謂上目使い__可愛らしいものでは決してないのだが、品定めするよう少々不躾に見上げては何も言わず黙って聞いて。己のどこら辺に興味を持ったのかは全く理解しかねるが、低くぼそりと呟かれたそのトーンに今までの飄々とした雰囲気とは違ったものを感じていて。)
あぁ__呪狐とか?
( 糸目を開いて怪しげに語る彼の姿、視界の端に映るのは毛深く尖った”普通じゃない”耳。__ニンゲンの命を脅かす妖怪かぁなんてぼんやり考えては、そういえばこちらに来る前見つけた看板に「呪狐」の文字が書かれていたことを思いだし上記の台詞を述べ。まさかとは思うが__自分が狐の妖怪であると明かした彼を見据える瞳をすっと細め、先程までにはなかった鋭い空気を醸しながら「困るなぁ、そうだとしたら殺られる前に手を打たないと」なんて物騒な台詞で釘を刺して。きっと今の自分は敵意を隠しきれていない、だって誰よりも生きたいから。それにしたって見知らぬ土地で人外とやり合うなんて分が悪すぎる。もし数秒後、この距離でいきなり飛びかかってこられたら非力な自分どう対抗しえるだろう?こればっかりはそうならない未来を願うしかないのだが可能性がゼロではない限り頭を回転させなければならなかった、誰より生きたい僕のために。そうして難しい色を湛えた彼の細い瞳を窺うように覗き込んでは、考える事ばかりに気を取られ自分の行動に気が付いていないのか首にかけたカメラのレンズを無意識にガリガリとひっかき出し。)
嗚呼、御前は普通じゃない。"普通"ッちゅうトコに閉じ込めちゃアならんニンゲンじゃ。
( 云われ慣れているのか動じる様子を全く見せない彼に愉しげに口角を上げては、何処か自分に再確認するかの様に上記述べ。閉じ込めてはいけないニンゲンだと感じる故に_"普通"ではないバケモノの世界に閉じ込めれば良いとでも云いたいのだろうか。恐ろしい思考の持ち主だと自分で自分に呆れ返り愉しげな笑みは知らぬ内に嘲笑へと変化していた__気に入った旨を伝えながらフと彼を見ては少々不躾な_他人の家にずかずかと上がって来そうな視線を此方に送っているではないか。何を考えているのかは知らないが、まぁ大方俺の事を観察·情報処理しているんだろう、なんて自己簡潔し静かに口をつぐむも彼が云う"呪狐"の単語に何を思ったのか煙管を吸いながら。 )
__そう。注意書にもおどろおどろしく書いてあった様に、呪狐ちゅうんはちと面倒なバケモノでのォ。
( 全てを見抜かれる様な瞳__彼のその目を見つめ筒、己が今までに無い高揚感に包まれているのを感じ、思わずカ、カンと高下駄のハを二度鳴らし_どうやら最高潮に嬉しくなった時の癖らしい_。彼は気付いているだろうか?此方から自分が呪狐だと疑わせる様な言葉を投げ掛けておいて、の話だが、まあ云って仕舞えば今の状況は今まで無いほどに面白い。もし彼が、俺が呪狐だと云う事を感じ取り、命の危機も感じ逃げ出そうとしたとしても_果てさて何処へ逃げようか。此処は出口の無いバケモノの世界。そして自分は此の世界の住人。自分が此処に立っている間、ニンゲンの世界に生きる彼よりも一枚も二枚も上の立場に居られる事は間違いない。「やァめとき止めとき。呪狐は面倒じゃ。今考えちゅう事止めんと御前さんの身体も__其のけったいな奴も手に負えんくなるけェの」何処か、殺意にも近い様な鋭い敵意が全身をびりびりと突き刺さる様に包んでいるのを感じながらも、飽くまで冷静を装い、手の代わりに煙管をゆらゆら揺らしていたが、先程からガリガリと音を立てている_見た事が無いので、用途も名称すらも解らない、彼が首から提げている其れを指さしにっこりと微笑んで。_と、唐突に何を思ったのかくるりと方向転換をしては、まだまだどんちゃん騒ぎの途中であろうバケモノの世界に向かってゆっくりと歩き出し__小さく告げ。 )
__行くぞ。
....嫌だなぁキツネさん。呪狐なんて、それこそ死神と一緒じゃないか。
( 本当に、眼前の男は何がそんなに楽しいのだろう。幼子みたいに下駄を鳴らすのを黙って観察していては、愛想の欠片もない無表情__というか、いつも浮かべている作り笑いを忘れた素の表情でぐるぐると”不利な状況での生き延び方”を考えて。やけに間延びしたような口調と余裕そうな態度で忠告されると、彼がその気になればすぐにでも自分は死んでしまうということを再確認された気分になり少し苛立ちながらわかってるよなんて内心ぼそりと呟いて。しかしそれを表に出す事はせず、冷静にならなくちゃと言い聞かせては指摘されてやっと気づいたカメラをひっかく手をぴたりとと止め。溢れた警戒心を抑え込み、またへらりと人の良い笑みを浮かべると上記の台詞を述べる。死にたくないなぁ、ぼんやり思うことはただそれだけ。交わる視線にぐらりと眩暈がしそうになるのは、人ならざるものに出会えた興奮のせいだろうか、はたまた危機的状況に立たされた不運のせいだろうか。__わからない。ここがどこなのかも、彼が何者なのかも全部。)
__ハハッ、何で僕こんなに気に入られたのかな。ニンゲンだから?
( くるりと背を向け歩き出した彼。会話もひと段落したしお別れか、なんて呑気に考えていると聞こえてきたのは簡潔な三文字。一瞬ぽかんと呆けるも、数秒後には自分にしては珍しく噴き出すような笑いを零し上記の台詞述べ。__だって「行くぞ」なんて、連れて行ってくれるんだ。先程から妙に上機嫌だとは思っていたがまさかここまで気に入られたなんて。自分は変わり者と言われることはあっても面白味は持ち合わせていない人間だと思っていたので、尚更不思議でしょうがない。こちらも先程まで醸し出していた敵意なんて嘘だったかのように、”バケモノ”との交流に高揚を取り戻しにこにこと笑って。__そうだ、僕はそもそも”こういうの”が大好きなんだ、どうせなら楽しもうなんて、そう思えるくらいの余裕が生まれてきた。そして少し先を歩き始めた彼の後を追っては、煙管を持っていない方の斜め後ろに立ち彼の手に自分の片手を絡めあろうことかぎゅっと繋いで。これは先程彼に受けた忠告にいらっとしたお返し__状況にふさわしくないこの行為は自分が今表現できる最大限の嫌味であり”何もしないから其方も手を出すな”という無言の主張。普通の人間であれば痛いと感じるくらい力を込めた手も、彼にしてみればきっとどうってことないんだろう。僕を変わり者と評価した彼だってずいぶん変わっているようだから、嫌味も伝わったかわからない。それでも無理やり繋いだこの手は彼に振り払われるまで離す気はなく、「とって食べたりしないでよ?美味しくないと思うし..気に入ってるついでに守ってくれると嬉しいんだけど」なんて余裕そうに軽口をたたいて見せ。)
呪狐は質が悪い。御前さんの云う死神よりもよっぽど、なァ。_そんで、御前もおんなじ様に質が悪い。じゃから気に入ったンかも知れんのォ、ククッ。
( 簡単な三文字を伝えただけでも、彼は此方に興味を抱き 付いてきてくれるらしい。其れが気に入ったのか愉快そうにクツクツと笑いながら、呪狐と死神は同じ様なものだと云う趣旨の彼の言葉に軽く天を仰ぎ筒告げ。_此方の世界に居る死神は他人を死に誘う存在である。己含め呪狐も纏めて仕舞えば結局は同じ類いなのだが、死に至らせる迄の過程がまるで違ってくる。其処は狐らしく、騙すのだから_。何故気に入ったのかと自分でも考えてはみたものの、結局は良く解らない。只只彼が面白いニンゲンであったから。其れだけに過ぎない。面白く、謎に満ち、_故に質が悪い。チラリと後ろを見てみると、首から提げた_ソレ、を引っ掻く手は止めた様だ。一応人並みには未知の物に興味はあるらしく、視線を戻してからソレは何か、と問おうとした瞬間に__繋がれた手。 )
_っは、大層な事を云いなさる。善処はしちゃるけンど、約束は出来ンなア。
( 余裕そうに軽口を叩く彼と、少し力加減が強めに握られた手を順に見ては 眉を上げながらはふりと思わせ振りな笑みを溢し、再度目線を前に戻しては又々思わせ振りな言葉を返し。善処はするが約束は出来ない_其れを"取って食べたりする事を"と取るか"守る事を"と取るかで試しているのだ。別に其の返答次第で己のやる事は変わりはしないが、彼の人柄を知りたいが故の心理テストの様なものだった。_彼の行動に隠された嫌味に気付けなかったのは、今の状況が自分を舞い上がらせている為だろう。尤も、全く通常の気分であったとしても気付くかどうかは怪しいが。__今までニンゲンに触れる事は有っても大体は襲い掛かる一瞬、そして喰う時だけであり、こうして息をしているニンゲンを冷静に触れるのは初めてであった。故に些か不思議そうに繋がれた手を彼の手の感触を確かめるかの様に動かして見たり、其の手の指で相手の指をツツとなぞってみたり、まあ勝手な事をやらかしていると思いきや、「__嗚呼、そうじゃ」不意に何かを思い出したらしくそう声を上げれば、目線は動かす事ないままに告げ。「其の首から引っ提げているモンは一体全体何じゃ?まさかさっきの様に、爪でガリガリとやるモンじゃねェんじゃろうが」 )
何でも良い、生きるが勝ちだ。
( 大層なことを言ったつもりはなかった。僕は我儘なニンゲンだから、それを貫いて押し付けたまで。善処してくれる分ありがたい。これでも臨床心理士の端くれ、彼がかけた鎌に気付いたような気付かないような口ぶりで上記の台詞を述べ。逃げるが勝ち、とはよく言うがよくこんな台詞出てきたなぁと自分自身に感心したのかくすりと笑うと、「僕にはね、貴方しかいないんだよ」なんて軽口にしては重過ぎる事をのうのうと言ってのけ。__言葉は弾丸だ、一度言ってしまったら取り返しがつかないとどこかで聞いたことがある。本で読んだのだったろうか、この際そんな事はどうでもよかった。未知の世界で僕にはあなただけ、きっとすぐには元の場所に帰れない事も何となくわかる。だからこそ言葉で縫い付けることしかできないのだ、非力な僕には。そんな事を考えながら揺らり、繋いだ手を弄繰り回す彼の半歩後ろを無抵抗で歩いて。)
__カメラの用途か....今をずっと残しておける機械、ってとこでどうかな?
( 写真という概念がない世界で、随分と難しい質問を投げかけられてしまった。勿論爪を研ぐものではないから、うーんと暫く空を仰いではすぐに目線を下げカメラを見やって。そうして数秒後に口を開いては、問いかけに対し問いかけで返すような上記の台詞を述べ。そして返事を待たず付け加えるように、「__だけど残せるのは一瞬分だけだから、もっといい今が来るんじゃないかって欲張ってしまうと最高の瞬間を逃してしまうんだ。そうやって、一枚の四角に音も動きもない映像を写し込む」なんて饒舌に語って。抽象的だったかもしれない、だけど自分が尽くせるだけの言葉は尽くしたつもりでどことなくすっきりしたような笑みを浮かべて。空いた手で愛おしそうにカメラを撫でつけると、ふと思い出したように顔を上げ言い放った。)
__僕としたことが。そういえば自己紹介がまだだったね。
__どうだか。御前サンなら俺以外のモンでもバケモノじゃったら誰でも構いやせんようじゃけンど。
( "僕には貴方しか居ない"__其の言葉を聞いた途端に機嫌を悪くしたのか顔から笑みを消しては、馬鹿にする様に鼻を鳴らしながら上記を告げ。実を云えば先程から、折角此方が興味を持っているのに、彼は自分よりも興味の対象になるバケモノを見付けたのならそちらに躊躇いもせずに飛び込むのでは無いか、なんて少々自己中心的な事を考えていた。_もしそんな事が実際に起こったなら、有無を云わせずに喰い殺.して仕舞おう、と。もう何年も生きているのだから、自分の感情·思考のコントロールなぞ赤子の手を捻る様なものだと悦に入っていたものの、飽くまで己はバケモノ、そう易々とバケモノの本能を完全に隠す事は出来ないらしい。今迄一方的に握られていたような状態の手を、此処で初めて此方からも握り返す。尤も、其の力加減は彼にとって痛いものなのか否かは判断出来なかったが。 )
…我らバケモノは御前等よりも寿命が遥かに長い。じゃけェ御前の云う"今、もっといい今"を見る機会·時間も長うなってくる。_ニンゲンは息をしよる時間が短い故に、そう一瞬を必死に追い掛けるのかも知れんのォ。…全くニンゲンとは儚き者よ。
( ニンゲンは、どうして其処迄して生にすがるのだろうか、と云う自分の中の長年の問いの回答が、今出された気分だった。_ニンゲンは寿命が短い。故に一瞬一瞬を丁寧に記録するのだろう。そうしてこうごった返したような世界の中に生き甲斐を見つけ、又見つけ_繰り返す内に其の沢山の生き甲斐がある今が大切になり、死を忌み嫌い怖れ、生にすがるのだろう。…と考えては見たものの何百年もバケモノとして生きてきた自分にとっては、やはり理解に欠くものであった。_と、彼の口から”自己紹介”との言葉を聞けば「_”かめら”ッちゅうモン、中々おもろい答えじゃッた。…故に、俺は御相手サンが名乗るまで名乗らん質じゃが、御前サンには特別に教えちゃる。」顔を彼の方へと向け悪戯をする子供が浮かべる様な笑みを溢せば__云う。 )
__御狐様、とでも呼んでくれや。
__!
( 出逢った当初から何が面白いのかニタニタと笑みを浮かべ続けていた相手。それが一変、気分を害したのか無表情へ変わるのを隣で眺め驚いたような顔をして。何を考えているのかここまで読み辛い相手は初めてだ。その理由を「バケモノだから」と片付けてしまってもよいものかどうかもわからない。と、そこまで考える事数秒。面食らったような顔から一転這い上がってくる言い知れぬ興奮を隠せず口角を吊り上げてはふふふ、なんて笑い声を上げ。バケモノってみんなこうなのだろうか、なんて純粋な期待と疑問。つかみどころのない男の表情を自分の言葉一つで変えてしまった征服感。どんな感情を刺激されてそこまで喜んでいるのかと問われればうまく答えられない。だけど表現するならゾクゾクと、背中を這う様な興奮は確かなものだった。....ほら、面白くないような顔をしてどうしたの?僕は今すごく面白いよ、なんて心の中でポツリ。__遥かに寿命が長い、その言葉は自分にとって何より甘美に響いた。ニンゲンは息をしている時間が短いなんて言ってのける程度には眼前の男は長生きらしかったし、きっと彼の生きてきた時間に比べたら僕が生きてきた23年は赤子以下なのだろう。嗚呼、うらやましい。思う事は生きたいなぁってただそれだけ。彼が静かに紡いだ言葉を聞きつつ、どんどんと俯き気味になっていく自分は何の言葉も返せずにいて。次いで、特別だと前置きして名__恐らく呼び名なのだろうが、を名乗った彼の方へ視線をやると笑みを取り戻したその糸目を覗きこんでぱちくりと瞬きをして。__僕みたいなのが彼の特別を貰ってしまってもいいのだろうか。握り返された手に視線を落として数秒後、また彼の顔へと向き直り、「....御狐様。」と確認するように、ゆっくりとなぞるように一文字一文字丁寧に発音してみる。そして一息ついては挨拶と共に自分の名前を名乗って。)
__はじめまして、アサリウイタです。
__ウイタか。…良き名じゃ。
( 彼は何かに興奮する様な素振りを見せていたものの、自分は思考を読み取れる能力がある訳ではないし、何より些か不機嫌になっていた今では普段読み取れる程度のものも読み取れやしなかった。_然し、その苛々は彼の名前を聞いた途端に吸い込まれる様に消えていった。流石ニンゲンと云うべきか、我等バケモノとは構造がまるで違う其の名を反芻し、確かめる様に伏し目がちで微笑んではぽつりと小さく誉め。…どうやら彼はバケモノに詳しい様であったし、其れへの興味も好奇心も強い様であった。故に何時かは_此方が話さずとも俺の本名を知るかも知れない。考えすぎと云って仕舞えば其の通りなのだが、有り得ない話でもないのだ。バケモノに詳しい彼なら呪狐しか持たない特徴的な名前も知っていても可笑しくない。_本名が解ると同時に、呪狐だとも解る訳だ。又伏し目がちに微笑んでは、空いている手で煙管を吸った。 )
__こっから先はまるっきりバケモノの世界じゃア。下手に騒げば取って喰われるやも知れんけェ勝手な行動はせんように。…嗚呼、まあ喰われたいんじゃったら構いやせんけンど。
( 其の煙管を口にくわえ直しては、眼前に存在する巨大な鳥居の前で立ち止まり、些か真面目な口振りで注意事項を述べ。其から嗚呼、なんて思い出した様に付け足し、ニヤニヤと質の悪い笑みを浮かべ。恐らく彼が生に執着しているであろう事は解っていた。まだまだどんちゃん騒ぎの続くバケモノの世界への入り口__鳥居の前で、微かに聴こえてくる祭り囃に耳を傾けながら。 )
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