フランシス・ボヌフォワ 2015-08-26 01:08:10 |
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…来たか、遅かったな。今開けるから待て
(ドア越しに聞こえる相手の声に違和感を感じながらも気のせいだろうと特に気にも止めずに椅子から立ち上がればドアへと近付いてドアを開ければ笑みを浮べる相手を見やり「遅いように思ったんだが、大丈夫だったのか?」と何時もならもう少し早く来ている筈、と記憶を辿りながら問いかければやはり今日は何処か調子が悪いのではないか、と思えばジロジロと相手の頭から足の先まで見て仮にもし何かあったとして何故そこまで自分に内緒にするのだろうか、信用はされているみたいだが、と考えるうちに眉を下げて行きつつ相手に入るように伝え)
ありがと。待たせて悪いな……って坊っちゃんプチフール全然食べて無いじゃない。(例え餓えていても普通の人間として相手の前で振る舞って生きていられるなら幸せだ、とそれを噛み締め青い顔を覆い隠すように相手に笑顔を向けながらそういつものような声色でテーブルの上のケーキスタンドを見ては待ってたの?なんて続けながら首をふるりと左右に揺り動かしてから促されるままに一礼してから部屋に再度入ると「ああ、大丈夫だよ。ちょっと焼き上がりが遅かったみたい…で、」と言い掛けた所で自分を見る相手の視線に気付き視線を合わすようにそちらを見ればいつものようになんだよ、見とれてんのかよ?なんておちゃらけて笑うことはなく力を抜かしたようにふらりとした様子で一歩相手に近付くもそのせいか床にがちゃんと音を立ててナイフを落としてしまいすぐに我に戻り「…っ!悪い!」と声を発して)
お前が戻ってきたら食うつもりだったんだよ、
(プチフールのことを言われれば上記を述べて、笑顔を浮かべる相手の表情から気持ちは読み取れずに目を細めて、部屋に入るなりこちらの視線に気付き視線を交わらせるもいつもならおちゃらけてくる筈が今回はそれが無く首を傾げればナイフを落とす相手に驚き「おいフランシス、やっぱ今日可笑しいぞ」とナイフを拾い上げながら真っ直ぐ見つめるなりそっと近寄り「もう今日は安め」と相手に告げれば相手の額に手を当てて熱があるかどうかを調べては離し熱はないのか、と呟き)
はは、お前のために作ったんだから食べてても良かったのに。(律儀に自分が戻ってくるのを待っていたと知るとそれでもどこか嬉しいような気もしてくすくすと眉を下げて笑みを溢せば主人の前で銀食器を床に落としてしまうなんて使用人としてあるまじき失態を幼い頃からここに居る自分がそうする程に飢えに自我を奪われて居ること、そして他でもない相手に吸血鬼故の体調の異変を悟られているばかりか不安にさせてしまっているかもしれないと胸を痛めては己に寄る相手に目線移し額に触れられ離れていく相手の手のひらの感触にああ、温かい。と瞳を揺らすと「熱、は……」と会話を続けようとするも言葉を途切れさせれば手を伸ばして相手の腕を追うような形で手首を緩く掴み)
いいだろ、別に。俺がお前が帰ってくるまで待ってたんだから。お前の為なんかじゃねえからな!
(頬を赤らめながらふい、と顔を逸らしながらもどうにか素直になれないものかと考えるも無駄な気がしてそのまま息を吐いて普段ならしゃきっとしている相手が頼りなく見えれば一体どうしたのだろうかと首を捻るがやはり解らず拾い上げたナイフは机の上に置いて心做しか顔色の青い相手に手首を掴まれれば「どう、した?」と首を傾げながら問いかけ。その腕は振り払わずにつかまれたままにして)
………っ……。(普段ならば顔を赤く染めて照れ隠す相手なんて何よりも可愛くて何よりも愛おしいはずのそれを放っておくことなんてもっての他と言うに虚ろげな瞳のままぼんやりと相手の手首を掴んだまま自分の顔のすぐ前まで持ち上げ、少し返すようにして手首に浮き出ている血管を見つめては浅い呼吸を二、三度繰り返し手首を離さぬまま再度強く掴み直しより近くに引寄せるように腕に力を込めては当然もう片方の手にあった相手のために丹精込めて焼いたクグロフの皿は余りにもけたたましい音と共に床へと無惨に落ち、それでも尚そんなことにも頓着せぬ様で自我を失った目で相手の瞳へと視線を向け空いた片手でそのまま襟を掴み)
…っ、おい、フランシス!(手首を先程よりも強く掴まれればびくりと肩を跳ねさせ一体何が、と思う間もなく相手の顔を見ればその虚ろさに目を見開いて先程までは虚ろではなかった瞳に動揺を隠せずこれはマズイ…!と脳が危険信号を出せば掴まれている腕に力を入れ手から離れようとするも力の差は有り眉間に皺を寄せながらどうにかして相手から離れなければ、と思いながら相手の手から落ちたクグロフが無残な姿になるも相手は気にした様子もないどうしたんだ、と内心不安になりながら片方の手で襟を掴まれれば驚いて掴まれていない方の手で相手の胸元を押して抵抗して)
……!……うっ…くっ……アー…サー…っ…、…ナイフで…俺を、刺し……ッ…!(相手の声に反応したようにはっと目の色の焦点を合わせるも咄嗟の反応らしくこのまま理性で本能を押さえつけることは出来ないだろうと察しでもそれではこのまま相手を、と最悪の事態しか予測出来ずにそうだナイフ。あれには自分達の種族の嫌う銀が入ってると相手を護るために自分を止めさせようとするもだんだんに呼吸は荒くなりそのまま俯くようにして表情を隠せば胸を押して抵抗する相手を押さえ付けるように手首を握る手にぎり、とより力を入れ再度強く引き寄せたかと思うとそのまま相手の首へと顔を埋めればその首筋へと食らい付くように噛み付いて)
お前、何言って……っい…!(ナイフで刺せ、と自分に言う相手に訳が分からないまま目を見開き見つめてナイフ、と思って振り向くも自分の机の上にある為取ろうにも再度強く引き寄せられてしまえば伸ばした手は届かず空を切り息が荒くなってくる相手に怯えるような眼差しを向け強い力で握られれば痛みに顔を歪めなんで、どうして、と思う間もなく首筋に鋭い痛みが襲ってくればビクッと肩を跳ねさせ何が起こっているのか分からない恐怖から身体を硬直させれば「フラッ…シス……や、め、…ッ!」と相手の服を力無く握り締めながらぎゅ、と目を閉じて目尻に僅かに涙を溜めて)
…………。(首筋に噛み付くことに成功した為か理性を飛ばし本能のみで動く体はまるで獲物を逃すまいと襟と相手の手首から手を離すとそのまま相手の背へと両腕を絡ませたまま強く抱き込んでしまうもそれは到底愛している人間にそうするそれとは呼べぬ拘束の手段でしかなくずっと求めていた筈の抱擁でさえも本能に侵された脳髄は上手く理解出来ずにそれどころか怯えた瞳にも痛みに歪められた顔にも背に触れているのに優しく撫でてやる事さえもままならず人間のそれにしては鋭すぎる歯を晒してはより相手の首筋へと深く深く食い込ませながら吸い付き、そのまま小さく…っく…、こく……と喉を鳴らし始めて)
…あっ、や、め…っいや、だ…、!(強く抱き込まれれば抵抗する事さえ出来ずに震え乍相手の服を力無握り締めたまま吸われる度にピクピクと体を震わせ混乱している頭では“フランシスはいったい、…?”と上手く考える事すら出来ず。嫌々と首を横に振り「フランッ…や、めてくれ…ッ」とそう言いながら血が吸われていけば目の前がチカチカしてくるなり相手の肩口に額を預ける様な格好になりながら痛みと良くわからない感覚に怯えながら短い息を繰り返して足元もおぼつかず次第に相手に身体を預けてしまい)
………、……。………っ…………!(相手からの抵抗も無くなり己へと相手が体を預けたことに強く抱き込んでいる力を僅かに緩めては吸血に集中するとどれくらいぶりに血にありつけたのだろうか、乾ききった砂が水を取り込むが如く他でもない彼が自分に怯え、痛みを負って居ると言うに全くの無反応で暫く我を忘れて相手の首筋からその温かい血液を嚥下することを繰返してから相手の首筋へ突き立てた歯を離し流れ出た少量の血すらも舌先で舐めとっては荒かった呼吸を少しずつ落ち着かせ、取り込んだ栄養に体の処理が追い付いていないのかただぼうっとした様子で相手を抱き締めているもしばらくするにつれ首を僅かに上げては目に少しずつ光を戻すも飲み込みたくなくても飲み込んでしまう今の状況、口内に残る血の香りに茫然とした様子で頭を上げようにも相手を確認してしまうのが怖くて上げられず硬直したように自分のした事を頭で理解していけば相手から腕をするりと解放し)
……っ、(はあはあ、と短く息をしながら貧血にはなっていないがフラフラする頭で“おわ、った?”と吸われる感覚が無くなればぼんやりと考え相手の腕から解放されるも動く気力が無いのかそのまま身を預けたままで相手の服を掴む手を離せば目を伏せて。だいぶ頭がはっきりしてくれば相手から離れて顔を俯かせ乍「なあ、」と一言相手に問い掛けるように声を掛ければ自分のベッドに座るも顔は未だ上げずに足元に視線をやり)
…ぉ………俺…っ、…お前、…を…。…お前、の………!…悪い…!俺…っ。(力なく自分へと体を預ける相手に手を差し伸べることは愚か触れることすら許されることではないと阻まれてどうすることもできずただその首筋に残る赤い痕から目を反らせず相手が自分の側から離れベッドへと移動しても体を動かせず事の重大さに戦慄いて思わず己の口を手で覆うとどう説明する?どれ程相手は怖い思いをしたか、これだけしといて今更自分も何を言うんだ、と頭をぐるぐると巡らせては相手の声に恐る恐るその主に視線向けて)
フランシス、落ち着けよ(顔を上げ眉毛を頼りなさげに下げながら相手を見つめてからゆっくり息を吐きながら首筋にあるであろう噛み跡に指を這わせつつ「お前、は…一体何者なんだ?」と真っ直ぐ見つめながら問い掛けるも“あんま嫌じゃなかったな、”と無意識のうちにぼんやりと考えてしまいハッとしたように頭を振れば何考えてんだ!と己の頬をぺしりと叩いてから再び息を整え足元に無様に落ちているクグロフを見つめれば勿体無い、と小さく呟いて。先程までのあれはまるで捕食者に捕食されているようだったと思い出し己は相手の獲物なのだろうかとも考えては視線を落とし)
……っ、……悪、い。……。……本や怪談で聞いたことあるだろ。銀を嫌い、血を吸って生きる……それだけじゃない。翼も隠し持ってるし…霧や蝙蝠になる奴もいる。吸血鬼…って言えば良いの、かな。俺はそれに生まれたんだ。(はっ、と我に帰り自分より相手の方が動揺していて当たり前なのに自分がこうも取り乱してどうするんだと言葉を飲み込むもそれでも相手にだけは見せたくなかった化け物としての末端どころか全貌を晒し襲い傷付けた事実が酷く悔やましくて首に手を伸ばす相手にまだ痛むのか…それとも恐ろしかったのだろうか、なんて的外れかもしれぬ不安を抱いては相手の呟きに視線を落ちた焼き菓子に移しては俺、落としてたんだ…折角焼いたのに相手に食べさせてやれなかったとまたちり、と心を痛ませてから哀しげに表情歪ませては「隠していて…悪い。人間として生きたかったんだ…、…お前の…前でだけは…。」と項垂れるように続けて)
―…吸血鬼、か。本当に居たんだな、吸血鬼なんて。お伽噺だと思ってた、そんな奴が俺の幼馴染で使用人って驚きだな。(相手が予想以上に動揺しているのを見つめてはそれが可笑しくてくすりと笑って本人が動揺してどうすんだよ、なんて小言でも言えば傷口に触れ夢ではなかったのかと実感する様に目を細めて。項垂れる相手に眉を下げて見つめれば「俺の前だけでは…?、何故俺に隠していたのかは気になるが…そうか、気付かなくて悪かったな」静かにそう言えばずっと立っている相手に「取り敢えずこっち来いよ」と自分の隣をぽすぽすと叩けば催促してその菓子は後で責任をもってお前に片付けさせるからな、と釘を打ちながら早く、と。)
俺自身でもそんなに同じ種族の奴と余り会ったことも無いしな……って、…もっと言っても良いんだぞ。その吸血鬼が目の前に居て……それも、襲い掛かられて…。(くすりと笑む相手にそうだけど、と返すものの人間から見れば化け物であろう自分達の存在を驚く様子はあれど怯えたり拒絶したりする反応のなさが予想外だったらしく調子を崩したように言うと「…それは…まあ…、…吸血鬼云々とはまた別の事情が……とにかくお前にだけは人間として見てもらいたかったんだ」と僅かに濁したように答え自分を隣へと誘う手にえっ、と思わず声を漏らせば怖くないのかな、なんて思案しつつ恐る恐るそちらへと寄ってベッドへと自分も腰掛けると続く台詞にそりゃ勿論、と返しつつ内心では寧ろ食べてくれるなら新しいのお持ちして満足そうなその顔を見ていたいよと告げれば相手の様子を伺って)
―…何を言うんだ?別に、驚きはしたが……、な。(眉を下げて見ればお前は吸血鬼以前に俺の幼馴染だろ、と付け加えればこわくもなんともねーよ、と笑えば言葉を濁す相手に首をかしげたまま「ずっと人間だと思ってたさ」と見やりながら姿は人間と同じなのに、と相手の体を見ながら姿だけではわかんねえもんなのか、なんて小さく呟きながら。隣に座る相手に目を細めてそのままベッドへ背中を預ければクグロフ食べたかった、と小さく呟くも動きたく無くないのかそのまま目を伏せてふう、と息を吐いて)
……そっか。…ぷ、…っはは!隠してたのが馬鹿みたいだ。(吸血鬼以前に、という言葉が余りにも嬉しくて頬を緩ませてはまた襲われるかもしれないとか考えないのかこいつは、なんてあっさり受け入れてしまう相手に思いつつもずっと恐れていた発覚する事で拒まれるような事も無く限界まで堪えて襲い掛かる方がよっぽどだと感じればつい可笑しくて笑みを溢し、「それっぽいと狩りが出来ないし弱点だらけなのばれてる今じゃ吸血鬼も案外簡単に倒されちゃうんだよ」と濁した続きも見せてた理由も言わず答えては自分もそのままベッドに寝転ぶと…また後で焼いてくるよ、なんて嬉しそうに笑うと相手の髪をくしゃと撫で)
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