Russian Blue 2015-08-18 22:00:45 |
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…、!_お兄ちゃんお兄ちゃん、…ってさ、だから俺はあんたの事そうは思ってないんだってば。…何が好きな女の子なの、…_意味無いって_何。
( 突飛な此方の行動に困惑しているのだろう、拒絶の言動ないそんな相手に湧いてはイケない淡い期待が湧き上がったのか、出来る事なら此の儘己を苦しめる恋心を吐き出して仕舞いたい衝動に駆られるも、現実はそう甘くも無く。押し返される反動に少しばかり体勢を崩せば項垂れたように俯き。先程の行為は己の欲をぶつけられる反面、心苦しめる行為で有るなど分かっていた事、それを理解していた上で踏み出してしまった自分自身に'自業自得'等そんな言葉で貶せば、何時もは飄々としている表情も歪みを隠せず。そんな葛藤も苦しみも相手にしては計り知れない事なのだろう、妙な間こそ合ったものの、直ぐに綺麗な笑みを浮かべながら再度"お兄ちゃん"などと繰り返し口にし手を差し出す様子に、本当に相手は自分の事など"弟"とでしか思っていないのだと何度目か分からない程残酷な現状を突き付けられれば、視線を落としたまま弱々しくその服の袖を掴み。相手ほど器用に表情を作る事も出来ず、感情を抑えると言った面倒事を好む筈も無く、気付けばぼろぼろと相手を咎める様な口調のまま己の心情が口から溢れてしまい。こんな事を言っても唯相手を困らせるだけ、相手から見れば言う通り世話のかかる我が儘な弟。どう頑張っても変わらないその結末を思えば自然と目奥が熱くなってしまい、泣き顔云々、そんな弱い姿こそ見せれば兄弟例え以前に"2人"としての関係が崩れてしまう事を恐れてか。慣れない作り笑みを浮かべて見せれば刺すような心にも無い台詞を口にしていき、)
_…なぁーんて、驚いた?悪戯好きの弟ってのも中々可愛いでしょ。…ごめんねぇ、おにーちゃん、_…、
――…なんでくまくんがそんな顔するの。
(相手は自分のことなど同じユニットのメンバーとしか、よくて世話を焼いてくれる友人程度にしか思っていないはずなのに、相手らしくない作り笑顔に悲しげな色を浮かべたその表情に胸がぎゅっと締め付けられるような感覚を抱いて。まるで相手も恋の苦しみを感じているような、そんな恋心からの欲が出てしまったような勘違いさえしてしまいそうになる中そっと相手の方に片手を伸ばすと似合わない作り笑顔を浮かべるその頬に手を添え、その表情の意味を問うように静かな声を漏らすと僅かに表情を歪め。同性の相手が自分に気などあるはずないのに、こんな風に期待してしまうような表情を見せないでほしい。そんな身勝手な願いから出た言葉は次第にそれが皮切りとなったようにひた隠しにしようと決めた恋心を引き摺りだしていき、頬に触れた手をゆっくりと下ろしていけばそのまま相手の胸板に手を当て。次第に表情すら取り作れなくなっていき漏れ出しそうになる恋心を押し留めようとするような、切なさを堪えるようないびつな笑顔で相手を見つめ。)
…くまくんにそういう顔されると、俺お兄ちゃんで居られなくなっちゃうよ。俺は、くまくんの"お兄ちゃん"でいたいの。"お兄ちゃん"でいなきゃいけないの。…だから、お願いだからそんな顔しないで。
…そんな顔、って__あれ、ごめん。…っ、セっちゃんが何で"お兄ちゃん"で居なきゃ何て分かんないけどさ、そのお願いは聞けそうもない、…や、
( 何故そんな顔をするのか、そんな物口が裂けても言えない事柄。理不尽にもそんな事を問う相手に勝手に痛みを感じて仕舞えば作り笑みも不自然に歪み始め。そんな中何を思ったのか、突如頬に触れたのは相手の手。恋人でも家族でも、何でも無い相手からのそんな突飛した行為に止めて欲しいと願う気持ちからか、もはや崩壊寸前となっていた笑みは崩れ、共に目奥に押し込んでいた涙が己の頬と共に相手の手の甲を伝い。咄嗟に謝り出る言葉も涙に震える中、元々自分を覆う皮など脆くあった為か涙も抑える事が出来ず。今更何を取り繕えば良いのか、涙でぼやけるた視界に相手の顔など一々確認する事等出来ず、唯々目の前の彼から伝う何処か悲痛染みた声色の願いに首を横へと振り。何故相手はそんな願いを乞うのか、まるで己と同じ様に抱く恋心を抑える為に"兄"を繕ってきたとも言えるその台詞に、まともでは無い今の脳内では相手も此方を好きなのではと一方的に考えてしまうばかりで。頬から滑り胸へと当てられた手に伝わる心音は乱れた物、そんな一つ一つ暴きだされて行くこの状況に如何にか反抗する様相手のその手を弱く掴めば、未だ震える声で言葉を続け、)
_俺、気持ち悪いよね。本…当、何言ってるんだろうね、こんなん…っ、苦しい、…
…今くまくんを苦しめてるのは、"お兄ちゃん"の俺?
(似合わない作り笑顔で悲しい色を隠してなんて欲しくなくて、いつものように笑って欲しくて相手に添えた手に触れた感触は温かい涙の温度で、その涙の理由も服越しにも分かる乱れた心音の意味もきっと自分にあることくらい気付かされていて。どんな理由で合っても大切な、愛しい相手を悲しませているのは自分。その事実が頭を殴られたような衝撃となり抑え込んでいた思いを揺らがせて、僅かに視線を落としながらそっと唇を噛み締めて。もし先程相手が口走ったように自分が"お兄ちゃん"であることが相手を苦しめているのなら、そうは思っても"お兄ちゃん"で居続けることで相手への恋情を押し留めてきた以上そんな言い訳じみた関係でいなければきっと相手を穢してしまう。どちらにしても相手を傷つけてしまうなら自分はどうすればいいのかそれすらもう分からなくて、重ねられた相手の手ごと相手の胸板に添えていた手を自分の方に引き寄せ、両手で包み握った相手の手を祈る様に自らの額に押し当て。届かない想いを隠すこと、そのための行為が相手を傷つけてしまう不条理な状況に感じる悲しみからか、じわじわと瞳に涙を溜めながら普段なら考えられない様な、酷く細い揺れた声で言葉を続けて。)
…俺は、"お兄ちゃん"でいなくちゃ、くまくんに軽蔑されちゃうの。"お兄ちゃん"の俺じゃなきゃ…くまくんに、嫌われちゃうから。…でも、お兄ちゃんの俺がくまくんを泣かせてるなら。俺は…ッ、どうしたらいいか、分かんないよぉ…っ
…軽蔑される、とか嫌われるとか…"お兄ちゃん"、とかお兄ちゃんじゃない、とか訳分かんない…ッ。どうしたら良いか、何てそんなの…_っ
( 今までずっと抱え込んできたこの恋、普段から欲望に身を任せ得て来た己としては耐え難い物だったのだろう。相手を想うからこそ伝えたくとも伝えられなかった、それに加え報われる兆しも一向に断たれていたこの状況に苦しんで居なかった訳が無く。苦しめているか、そんな問いに頷いて仕舞えば今度は相手を傷つける、想いを寄せる彼だからこそ素直に頷く訳にもいかず唯首を横に振っては相手の言葉に喚きに似た感情をぶつけ。そっと額に当てられた己の手とそれを包む相手の両手の上から空いていた片手を添えれば歪む視界のまま視線をそろりと上げ、何故か同じ様に俯き微かに震え掠れた声で嘆く相手を見れば尚心苦しさが増してしまい。そんな様子を見ていて感じたのは、苦しさを感じて居るのは己だけでは無かったと言う事実。どうして良いか分からないと悲痛な言葉にそんな確信を持つも、時既に遅く。これ以上気持ちを溢れさせては更に相手を傷つける事になる、そんな事分かりきった事では有るも今の自分には抑える事など出来ず。流れ任せに溢れたのは直向きに隠して来た切ない恋心、受け止められなくても良い、唯思い隠すのはもう嫌だ、そんな我が儘な思いが溢れれば、俯いたまま追い討ちを掛けるように涙が流れ、)
そんなの…、。_ッ、…嫌われたって、軽蔑されたって…、好きで居させて、としか言えないじゃん…、
――…ッくま、くん…。くまくんの言う"好き"は、どういう意味の好き…?…俺の"好き"は、汚くてどろどろして、お兄ちゃんなんてものに収まらないような…そういう、重たい好きなんだよ。ちゃんと…っちゃんと言ってくれなきゃ、都合のいい勘違いしちゃうよ…ッ?
(どうしてかお互いに酷く不自由な思考に陥った中相手の口から零れた"好き"の言葉、思わずばっと顔を上げると瞳に溜まった涙を隠すことも忘れ暫し驚いたような表情で相手を見つめて。嫌われることも軽蔑されることももしそんな事態が起こるならその対象は自分のはず、僅かにずれた相手との会話で感じた違和感はそのひとつの言葉と共に急速に自分の中で都合のいい妄想を膨らませていって。もし相手が自分と同じ"相手に隠した想い"を持っているのなら、もしそれが自分が抱えるものと全く同じ感情なら。確信に至っていないというのに勝手に展開していく思考はどう考えても自分の恋心からきた身勝手な妄想にしか思えず、それでも八方塞がりに陥った思考に落とされた一抹の期待に縋らないほど己は出来た人間ではなくて。涙に濡れる相手の頬を両手で包み視線を合わせる様に顔を僅かに近づけると自らの中に閉じ込めた穢れた愛情の存在を曝け出すと共に相手の言葉に確信を見出したい一心で震える声を紡ぎ。次第に早くなる鼓動、それなのに指先は緊張からかどんどん冷え切っていって、もはや感情の高ぶりすら抑えられないのか瞳に溜めていた涙の雫をぼろりと頬に落としながら顔を歪めると懇願するような言葉を囁いて。)
…おねがい、聞かせて…。我儘、言わせてよ…勘違いも、独りよがりも、もうやだよぉ…ッ!
__…な、に…言ってんの?、セっちゃんが…好き?…っ、何で。何で__、?…ちょ、無理、なんだけど…急過ぎんじゃん。何それ…ッ、我儘だよ___セっちゃん、…、。
( "好き"、そんな短くも深い意味を持つ一言が己へと重くのしかかれば項垂れた様に表情を落とし。伝えてはいけなかった、押しかかるように己を責め立てる後悔の念に押し潰されそうになった時、聞こえてきたのは耳を疑う事柄で。_相手も自分と同じ苦しみを抱えていた、そんな都合の良い夢物語を今まで散々と語ってきた為か、混乱した脳内や心情では相手の確信を求める台詞もごちゃごちゃと絡みついてしまい。それでも頬を包む相手の冷たい手、視線を合わす先に見えるぐしゃりと歪んだ顔、紛れも無い相手の恋心に嘘では無いのだと確信がつき。と次の瞬間_"我が儘"と嬉しさの込み上げる声色を隠す様に空いた片手を相手の後頭部へと回せば一気にと距離を縮め、触れるだけの口付けを交わし。言葉でとやかく示すより、行動に移してしまうのが己と言うもの、そっとその唇を離せばこつりと相手の額と此方の額を合わせ。頬を流れる涙は先程はまた違う、温かなものへと変わって行けば相手に認めてもらう様言葉を紡いでいき、)
…俺は、ちゃんとセっちゃんが好きだよ?こんな事、普通出来る事じゃないじゃん…、"お兄ちゃん"でも何でもない、唯___好き。…コレでもまだ納得しないとか、洒落にもなんないからね、
ッ、やだ…まだ、だめ…っ!もっと、もっともっと言って…好きって、もっと言って…ッ!
(絶対にありえないと何度も自分の中で否定してきた願いに確証を求めること、そこに僅かな希望が見えたからこその行動ではあったもののやはり怖いものは怖くて、相手の発する一言一言が次には自分を否定するのではないかという恐怖に呼吸を浅くしていき。もうこの場から逃げ出してしまいたいと思うほどの緊張感の中ふっと温かな響きを持つ言葉が聞こえたかと思えば次の瞬間目前に迫った相手の顔、そして唇に触れる柔らかな感触にその行為が口づけであることを知り。程なくして離れた唇に残る体温の熱さを確認するように自らの唇に指先を触れさせながら鼻先が触れ合いそうなほど間近にある相手の瞳を見つめると、何度も自己否定の中で抱いてきた甘美な夢が現実となったことを実感し。途端ぼろぼろと勢いを増すように瞳から零れた涙が濡らす歓喜で赤く染まる自らの頬を拭いながら、それでもまだ足りないと欲張りにも訴える想いを包み隠す事もなく素直に訴えると甘えた様に触れ合った額を擦り寄せるようにして。相手の言葉が嬉しくて、けれどまだ夢なんじゃないかと疑ってしまう自分がいて、今まで愛情への飢えを堪えてきた本当の自分が相手を求めていて。お兄ちゃんなどといって相手を甘やかそうとしていた姿はもう欠片もなく、自分の想いのままに相手を欲する言葉を繰り返しながらひくりと嗚咽を漏らすと、それでも湧き上がる幸福感に泣き顔に緩い笑みを滲ませて。)
…ッ、ふふ、…嘘つき。誰が"お兄ちゃん"かって感じだよねぇ、…っ、良いよ、沢山甘やかしたげる…__好き、大好き…、本当に、好き。俺は、セっちゃんが__好き。
( 未だ唇や頬に熱が残る中、じわじわと湧く現実感と幸福感に思わず笑みが溢れてはもう互いにぐしゃぐしゃの顔の儘泣き笑い。余程我慢してきたのだろう、どんな形でも誰かの愛情を受ける事自体が少なく見える相手には、己が抱いていた以上に苦しさや恐怖を抱えていたようで。まるで子供の様に欲のままを曝け出す姿、そんな姿を見せてくれるのもきっと恋心繋がった己だけだろう、気持ちの高揚と共に己の欲も素直に滲み出れば、"好き"と感情が次から次えと溢れ出し、何度も、何度も、しつこいと思われる程その感情をぶつけていき。相手を甘やかそう等口にはしたものの、結局こうして己の気持ちを止める事なく伝える行為は"甘え"そのもので。後頭部へと添えていた手を背へと回し嗚咽を繰り返す相手を宥める様にとんとんと叩けば、未だ歓喜に濡れる頬をくいりと拭い。昼間から夕方にかけての気持ちのズレによる喧嘩も、泊まり等とこじ付け色々と葛藤してきた出来事も今となれば大事な過去であり、またそんな事を思える程己の脳内は幸福に満ちている物で。未だ嬉しさから心音は乱れてはいるも、今この時が何より幸せなのか、噛みしめるようにそっと瞼を閉じれば再度この気持ちを伝える様に深く口付けを交わし、)
__…っは、もう、…俺、我慢とか嫌いなの、セっちゃんも知ってるでしょ?…制御してくれる人がこんなんじゃ、どうなっても文句言えないからねぇ、…?
ッ、ん…俺だって我慢苦手だよ、普段の状態見れば分かるでしょお?…だから、もう逃がしてあげないから。どうなっても文句なんて言わない代わり、途中で嫌になって逃げようとしたって絶対離してなんてやらないから…――もしそんなことしたら、許さないからねぇ?
(ずっとずっと望んでいた言葉を囁き続けてくれる相手、その唇を重ね合わせ互いの温度を確認できる距離に相手と居られる幸福感に次第に悲しみから零れていた涙も止まっていき。深く口づけられた唇がほんのりと吸い付くようにして離れた後、そのまま相手の肩に額を乗せ夢にまで見たこの幸せな情景を噛み締める様に熱い息を落とすと僅かに相手の肩に頭をすり寄せながら視線だけ相手の顔の方に上げて。汚く醜く、穢れた自分の恋心を受け止めた以上もう堪えることなど止めてしまったのか、普段遊木に固執するときなど不意にちらつかせていた人よりも聊か強い執着心を窺わせる言葉を相手の耳元に囁くと、アイドルの"瀬名泉"としては絶対に露呈させない様な、年相応の幼さが見える柔らかな笑みを浮かべて。それから漸く相手と体を離すと少しだけ頬に残った涙の跡を拭い取り、それからちらりと辺りを見渡して小さく吹き出すと大分気持ちの高ぶりも落ち着いたのか徐々に平常の自己を取り戻し始めて。)
…ふふ、くまくんってばムードないなぁ。散々悩んで苦しんだ恋の告白が自分ちの洗面所で、しかも二人そろって号泣しながらなんて、ほんとありえなぁい。…でも、このくらい惨めな方が俺らにはお似合いなのかもねぇ?
っ、…いーよー、俺が望んだ事だし。居なくならなければ、…それで。__…あー、誰かさんが意味深な行動かましてきたからねぇ、俺だって告白場所位考えてたんだけど。…ま、惨めでも何でもさ、_俺たちが幸せなら何でも良いじゃん、
( 深い口付けから伝わってきた相手の熱。その熱に火照る頬も、離れた後の短い吐息も何もが幸福に満ちる様に頬を緩ませては肩に擦り寄る相手の頭頂を優しく撫で。_そんな時.耳元へと囁かれたのは、何処か重く、お世辞にも綺麗とは言えないその執着心。普段その意思が向いているであろう遊木と言う人物を咄嗟に頭に思い描けば、気持ちが通じあったとは言え不安な思いが全くと湧かない訳でも無く。と言うもの過去、引きずっているのは最愛していた兄の留学と言う名の去残しで。"置いてかないで、"そんな幼少期の高い声が脳内に響くと共に、背へと回した手で相手の服を掴めば不安定な心を表向きに出すように小さく呟き。それでも今その思いが向けられているのは自分、この事実だけが安定剤となったのか、緩く目を細めては離れていく相手の様子を目で追い。気持ちもぶつけ何処か爽快となる心持ち、何時もの様子を取り戻しただろう相手の言い分に否定と肯定を混ぜた言葉を返せば、涙跡の残る赤く腫れた目の下を柔く突き。モデルである上好みと言っても良い程綺麗な顔にそんな言葉は似合わないだろう、そう分かっていても流石に惚れた理由がソレと思われては何処か良い気もせず、心に無い暴言を吐いては次の行動を促す様にくいくいと相手の袖を引っ張り、)
…セっちゃん、今本当ぶさいくな顔してる。そんなんじゃアイドルとしてやってけないよ、?…ね、ほら、疲労は肌に良くないんじゃ無かったっけ、
はぁ~?何それ、そんなのくまくんも同じようなもんでしょお。人のこと心配してる暇あるなら、自分の顔鏡で見るなりしなよねぇ。…まあいいや、くまくんの言うことも確かだし、何より一日に何回も泣かされて疲れたし…ほら、もういい加減寝よ。
(目の下などという普段触ろうと思って触られることも少ないような部分に触れた指に思わずぴくりと肩を僅かに跳ねさせるものの、続いた相手の言葉に少々表情を曇らせるとむっと唇を尖らせて。綺麗なものに執着する分勿論自分自身も綺麗に整えていたい自分にとって指摘されたくない"不細工"という言葉が、嫌悪から発せられたものではないと分かっていても想いを寄せる相手に言われるのは少々堪えるものがあり、自分も自らの目元に触れ熱を持った状態にあるそれに小さく舌打ちをすると皮肉めいた台詞を相手に返して。発せられた言葉にこそ聊かショックを受けたものの相手が言わんとしていることは何となく察せているようで、棘のある言葉を返しはしたものの相手の気遣いに乗らせてもらうことにして、自分の袖を掴んでいた相手の手をまだ不慣れな様子でそっと掴むとその手を引いて自室へと歩みを進めて。)
俺はほら、見た目より中身が大切だから、…あ、まさか本気にしたの?…ふふ、セっちゃんかぁーわいい〜、嘘々好きだよー。…ってねぇ、俺も何億年かってぶりに泣いたし…疲れた、
( モデルという過去の職上、容姿云々に気を第一と巡らせてきた相手としては己が思っている以上に刺さるものが有ったのか、明らかに態度を悪くするその様子に申し訳無さこそ感じるのものの、それと同時に今惚気る程舞い上がった脳内ではその態度すら愛らしく見えてしまい。何よりつまらぬ意地を張る気力も湧いて来ず、となればぎこちなく握られ引かれる手を柔く握り返し。同時に未だヘコみ気味の相手の背へとぴたりとくっついては"好き"等、言えるようになった状況下を最大に使ってか、機嫌取りとも言わんばかりに口にし。久々に泣いた上、疲労事も多かった互いの気力も削がれつつあるのか、疲れたと愚痴紛いに言葉を零せばそのまま相手に体重をかけていき。そんなこんなで寝室へと辿り着けば、そっと身を離し一番乗りとその部屋へと入り。態々己の為にと敷かれた布団を無視した上問答無用と言わんばかりに相手のベッドへとぽすりと倒れば、仰向けの体制のまま両手を広げ、)
_ほーら、そんな突っ立ってないでさ。遠慮せずに俺んとこおーいで、
ッお、もいってば!ていうか、別に気にしてないっての!…大体俺は可愛いじゃなくて綺麗なの、そこんとこ間違えないでよねぇ。
(此方の背中にくっついたままぐっと体重を掛けてくる相手は普段から寝ぼけた相手を引き摺ってレッスンに連れていくことも間々あるため重いことは重いが苦ではなく、それよりも想いが通じ合ったからこそ服越しにも伝わる相手の体温が気恥ずかしさを感じさせてしまい。ご機嫌取りなのだろうと分かっているものの分かっていてやっているのか妙に可愛らしい相手の声に振り向くことも出来ないまま気恥ずかしさからやや強い言葉と、やや自己愛じみているもののモデルとして活躍した過去への誇りからか確かな自信が窺える台詞を続け。そうこうしているうちに自室に着けば軽くなる背中に小さく息をついたもの束の間、何食わぬ顔で自分のベッドで此方を誘う相手に流石に表情を殺せなかったのか一気に頬の赤みを強めると閉めたばかりの部屋の扉にどんと背中をくっつけるように後ずさり。相手と違い想いが通じ合ったからといってすぐにこれまで溜めていた欲求を出せるほど素直な性格ではなくて、戸惑いやら恥ずかしさやら、色んな想いがない交ぜになったような複雑な表情のままわなわなと唇を震わせると暫くして漸く言葉を発することが出来て。)
――…~ッほんと馬鹿じゃないのぉ!?っそんな、早速一緒の布団とか…ッもうちょっと段階踏むとかあるでしょお!?くまくんデリカシーなさすぎぃ!
んー…、?えー…、俺がそんな事一々考える奴だと思うの?段階とか面倒…。急に襲ったりとかしないんだし良いじゃん、…俺はセっちゃんと一緒がいーなぁ、?
( 相手を抱擁する気でいたその両手も既に痺れをきたしたのか、ものの数秒でその腕を力無く布団へと打ち付ければ.ごろりと体制を変え相手と視線が合う様とし。好きも嫌いも欲のまま表へと出していく己とは裏腹、何事も慎重、かつ素直さの欠ける相手には"二人で寝る"と言った行為には考え深いものが有ってか、暫く空く間に疑問符を浮かべ。漸くして出てきたのは恥じらいを全面的に込めた意思、細かい事を一々と気にする相手に呆れ気味に言葉を返しては、眉を顰めつつ両膝を立て己の顔を支え。それでも真っ赤に染め上がるその表情に己の悪戯心が働いたのか、想い通じ合った今だからこそ使える手法が脳内へと囁かれ。己が散々と惚れる相手、それは相手にも同じ事が言えるだろう。そんな自惚れ気味な考えが浮かべば気持ち雰囲気を変え、偶に機嫌良く兄に頼み事をする際抜群と効く猫な声で態と言葉をぼやかしては、上目で甘えるような視線を送って見せ、)
ッそうやって甘えれば俺が折れると思ってんの?くまくんのそういうとこチョ~うざぁい!
(気に入った年下には積極的に世話を焼きに行きあまつさえお兄ちゃんなどと呼ばせてしまう気質からどうにも可愛らしいものに弱い節があり、勿論想いを寄せる相手もそれに該当するどころかむしろその中でも最上級に位置する愛らしさだと心に留めており。普段からどことなく庇護欲をそそるような相手が明らかに故意に此方を落とそうと甘えた声を出しているのは流石に気づいている、けれど気付いていることとそれに抗えるかという話は全く別で。先程からきゅんと高鳴りを覚える胸を押さえながら口でこそ相手の行為に不満を漏らせど正しく誘われるように酷くゆっくりな足取りながら相手の方に近づいて行けば思わずにやけそうになる表情を取り繕ったような硬い表情のままベッドのへりに腰を下ろして。「…仕方ないから一緒に…ね、寝て、あげるけど、変なことしたらベッドから蹴り落とすからねぇ?」長い時間想いを募らせてきた相手との同衾が楽しみでないと言えば嘘になるが、まだまだ素直にそれを表に出せるほど実直にはなれず、ベッドに腰掛けたまま強張った表情でちらりと相手を見るとぶっきらぼうながら相手の要求に折れ、位置的にどうしても上目遣いになる相手の愛らしさに唾を飲み下すともう少しスペースを空けろとばかりに相手を手で払って。)
はい、確保ー。…セっちゃんチョロくない?、まぁアレに引っかからない輩は居ないと思うけど。
( 実兄もとい普段から兄を名乗らせる相手からして見れば、これも年下なりの甘え行為、所謂"萌え行為"等と言うものなのだろうと思い。何時ぞやに聞いた妹溺愛の王さまの惚気内に発したそんな言葉がこの行為と一致すれば、複雑感情に首を捻り。それでも完全に射止めたで有ろう相手の近寄る姿が目に写れば、なんやかんや妥協するその心優しさや可愛らしさに隠す事なく口角が上がってしまい。それに共い相手の事を"チョロい"等と称するも.相手が折れるだろうと完全に確信があった為か、今更ながら己の策略に自信を込めた言葉を返し。空きスペースを作るよう払われた手に素直に従う様ごろんと一度回転しては、隣に相手が横になれる程の空間を作り、口では全くと素直さの無い台詞を吐きつつも心何処かでは高揚を隠せないと言った相手の雰囲気を感じ取れば、相手らしいと思う反面その化皮を剥がしてやりたいと言った悪戯心が再度燃え。普段の一行動も素直さの無い中、稀に垣間見得る相手の幼さや愛らしさを思えば、それ見たいの欲が湧いてしまい。散々と蹴り落とす等言われていたにも関わらず、先程の甘えた様子と一変赤くある瞳奥を小さく揺らせば、相手が隣へと横にとなった瞬間を狙い腰辺りへと手を回し抱き寄せ、)
…ん、セっちゃんが無駄に誘ったりしなきゃ、俺も酷い事はしないから。…安眠安眠、
さ、そうって…そんなの今までもした覚えないんだけど。
(仮にもファンの間ではモデル界のシニカル王子などと呼ばれた身として"チョロい"などと言われれば反論もしたくなったのだが、実際自分の行動は相手への好意に浮かされた安易なもので、認めたくなくとも実際相手の言う通りの状況のためぐっと悔し気に唇を噛み締める程度の反抗しか出来ず。何にせよそろそろ本格的に眠気が勢いを増し気力も削がれてきていて、相手がベッドのスペースを空けたところでもそもそと緩慢な動きで相手に背を向けるよう体を横たえれば気が抜けていたタイミングを図られたのか不意に自分を抱き寄せた腕に思わず驚いたように息を飲み。その一瞬こそ心臓が止まりそうになったものの、相手の腕に抱かれていると頭が理解した途端触れ合う相手に伝わってしまうのではないかと思うほどばくばくと鼓動が早まれば腰に回されたその手に自分の手を添えながら僅かに身を縮め。辛うじて羞恥心から相手に背を向けて寝そべったのが幸いし羞恥の中にも明らかに喜びの色も浮かぶ表情を見られずに済んだことだけが救いで、聊か刺激の強い状況にどうにか気持ちを落ち着けながら相手の言葉に小さく異論を吐くと自分のこれまでの相手への対応やらを思い出すように僅かに視線を彷徨わせて。)
え、無意識…?、それ大分タチ悪いんだけどー…、ふぁ…、何かセっちゃん暖ったかいし…眠くなってきた…、
( 腰へと回す手に沿い抱き寄せた姿勢のまま、この密着した空間に己から仕掛けた事柄とは言え全く恥じらいが無いわけでも無く。密かに高鳴る心音が相手の心音と重なればその心地良さをもっと、と求める様に首筋辺りに顔を埋め。相手には背を向けられている為に表情こそ伺えないものの、伝わる心音や火照り気味の熱を感じればその温さにゆるやかに頬を緩め。己の欲望から起こる行動の数々に態々従う程の労力が残っている事に少しばかり驚きを持つも、伝わる温みに瞼も徐々に重たくなっていき。散々思わせぶり、と言うより良いムードなる物を勝手に作り出しておきながら、また第一に愛する欲、睡魔に押し潰されそうになってしまい、誘う誘わない会話以前の状態になって仕舞えば[…ん、セっちゃんも早く寝なよねぇ、]等明らかに理不尽な台詞を呟けば、相手の温度を確かめる様に腰に回していた手を腹回りへと滑らせ、安定した位置へと着けば意識は有るもののそっと瞼を閉じ、)
ッ、ん…はいはい、おやすみぃ…――。
(首筋に感じた感触は恐らく相手の吐息だろうか、少しだけくすぐったい相手の体温とその感触に息を漏らせどわざわざ抵抗することもなく。そろそろ漸く落ち着いてきたのか大分相手の行為にも慣れてきて、まだ確かに羞恥心こそあれど気持ちを沈めるくらいは対処できるようになり、お腹に当てられた相手の手の温度で温められていることもあってか此方もとろとろと緩やかに眠気に侵され始め。他者に対しての警戒心が聊か強い自分ではあるものの触れ合う相手が彼だからか照れさえ落ち着けば何だか穏やかな気持ちでいることが出来て、愛する人と抱き合っていられる多幸感に緩く口元を綻ばせれば僅かに頭を動かすことで自分の首元に寄せられた相手の頭にすり寄って。相手の声を聞く限りそろそろ本格的に眠たくなってきているのだろう、片手を背後に伸ばし相手の髪を軽く撫でながら言葉を掛けるとベッド傍に置いていたリモコンで部屋の明かりを落とし、そのまま微睡へ身を任せ静かに眠りにつき。)
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