Russian Blue 2015-08-18 22:00:45 |
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'、俺からしてみれば有難い話なんだけど'。と…任せて、今宵も我が肉体を司る供物に感謝の意を__…ふふ、'いただきます"、
( こちらが準備を進めている最中、此方のからかいとも一つに言えない事柄を間に受けてしまったのか、重々しく呟く相手の言い様に黙って耳を傾けて居れば一瞬ばかり相手へと視線を移し。相手の執着深さ等、普段から彼を見つめ通してきた己にとっては分かりきっていた事柄である上、恋い焦がれる此方の気持ちとしては多少重いその行動さえも羨むものが有り、特に異様だとは思わなくなっていた節があるも相手にとっては悩むべき事だった.との本音を知り得れば思わず否定する様口を開くも直ぐと閉じ。相手の性格上そんな心の弱い内など触れて欲しく無いだろうと己なりに判断した為だろう、まるで聞こえなかったと言う風に視線をまた食事へと移せば心中で密かに思うその気持ちを吐き。そんな事も一変、こちらの手招きに誘われ席へと付く相手の口から可愛らしい願いを聞き受ければ思わずにこりと怪しげな笑みを浮かべ。また訳の分からない台詞を吐けば両手を合わせ、最後にゆるやかに微笑みと共に挨拶を済ませれば真っ先にと何処かお高そうなフォークとナイフを手に持ち、未だに異様なオーラを放つハンバーグへと延ばせば程よい大きさに刻み口へと運び。毎度の事見た目はアレとして味はまた良いその食事に頬を緩ませれば、自慢と共に何を躊躇っているのかとも言いたげに未だ手を付けない相手に口にする様促してみて、)
__ん、やっぱ俺さ、料理の爆発的センスが有ると思うんだよねぇ…、ほらほら、セっちゃんも食べてみなよ、
…ふ、何それ変なのぉ。はい、頂きまぁす。
(我ながら考えが卑屈過ぎると思いつつも沈んでしまった気持ちは中々元通りにはならず、食事を前にしてもどうにも浮かない表情で相手の挨拶を待つことしかできず。そんな自分に気を遣ってくれたのか、はたまたいつもの吸血鬼キャラの延長線のつもりなのか、奇妙な前説を交えての挨拶に思わず笑みを漏らし、ただの食事のはずなのに相手の言葉一つで急に儀式めいてしまったこの状況に少しだけ救われて。相手に習うように両手を合わせながら続いて挨拶を口にすると先程までの暗く沈んでいた気持ちがほんのりと温かなものに変わっていて、相手の微笑みにつられるように薄く笑みを浮かべながら此方も食事に手を伸ばして。しかしながら相手の言葉に元気づけられはしたもののやはりおどろおどろしい雰囲気を醸し出すハンバーグには中々手が出せず他の食事ばかり口に運んでいれば、案の定相手に見咎められてしまったようで気まずそうに眉尻を下げて。相手に促されようともやはり見た目が見た目、どうにも手を出すことをためらってしまいぐぐ、と小さく唸るとふと何かを思いついたように顔を上げ、何だか悪戯ぽくにやりと笑みを浮かべるとテーブルに頬杖を突きながら相手の方に軽く身を乗り出して。)
…じゃあくまくんが食べさせてよ。やっぱり手出すの怖いしぃ、いいでしょ?
はーやくしないと食べちゃ….え、あー…、別に良いけど。じゃあ、口開けて、うん、…はい、あーん、
( 相手に食べる事を促す過程で相手の顔をまじりと見つめていれば、ふと相手に浮かんでいた卑屈笑みは何処か柔らかいものへと変わっている事に気がつき。己が何かしたかは.はて不明であるも、何時もの調子で咎める様子に何処か安堵の息を零しこちらも柔らかな笑みで見据え返し。と共に相手とは裏腹、次々とハンバーグを口へと運びもぐもぐと口を動かしている中、如何しても食べようとはしない相手にこちらが食べてしまう等と脅しを掛けると同時に先手を打たれ。聞けば食べさせろ、との事。幾ら年老いと自分自身を評しているとは言え.食べさせる等の行為は幾度か華やかな漫画で見た事があり。相手としては単なる悪戯に過ぎないに有るにしろ変に意識せざるを追えないその状況に流石の己も動揺の意を隠せずと言った風であるも、やはりやってみたい行為の一つである為か事を受け入れ。食べやすいサイズにと具材を整えフォークへと纏めれば身を乗り出す相手の口中へと入れ。相手がこんな悪戯紛いな事をしてくるとは思っていなかった為か、恥じらいこそ表に出さないもののこの状況に沸く緊張感を抑えるように口を開けば[俺が食べさせてあげたんだからさ、美味しい以外は認めないからねぇ、]等と不満口調で問いかけ。そのままゆっくりとフォークを抜けば、まだ手を付けていなかった野菜類を食べ始めるも.よくよく考えれば"間接キス"等してしまっているその食器を見つめつつ己の脳内の阿呆さを感じればその思いを否定する様もくもくと具材を口に運び、)
――…ん。何も考えず、何も見ず食べれば普通に美味しいのにねぇ。…ていうかそもそもくまくん焼いただけだし、俺の用意したハンバーグが美味しいのとか当たり前だし。
(少しだけ、少しだけ相手から見た自分との距離感を信じることで口にした普段なら絶対言わない様な要求は多少の動揺を招きつつも相手に受け入れてもらえたようで、内心かなり不安だったためにほっとしたように小さく息をつくとにこにこと笑みを湛えたままハンバーグを一口サイズにする相手の手元を見ていて。とは言えいくら好意を寄せる相手からの所謂あーんであっても食べにくい見た目には変わらない、そのためか一口大になったそれを相手が寄せてきたところでぎゅっと目を瞑り口を開けると、そのまま相手がハンバーグを放り込むのを待って。舌先に肉の感触が触れたことにより口を閉じ咀嚼すれば味は勿論普通に美味なもので、見た目という観点の大切さにため息交じりの言葉を漏らすとそれからは目を瞑りながらではあるもののハンバーグを食べ進めることが出来。そんな時ふと目に入ってしまったのは先程まで自分の口に含まれていた相手のフォーク、当たり前だがそれを使って食事を続ける相手の様に丁度気が抜けてしまっていたのだろうか、ぼんやりとそちらを見つめながらうっかり「…間接。」などと漏らしてしまい。言葉を零してから漸くはたと気が付いたのか数度瞬きをした後じわじわと頬に赤みを点していくと勢いよく相手から目を逸らし。)
ッごめん、なんかぼーっとしてたら、ちょっと変なこと言っちゃったっていうかぁ!何だろう、深い意味とかないんだけど、なんか…あ、あんまりこういうことしないから、かなぁ…。
まぁまぁ、細かい事は水に流してよ。て_…、っな、何そんな赤くなってんの…良いって別に。寧ろそんな取り乱す位苦手なら早く言ってよねぇ、。…まぁ、もう"間接キス"しちゃってるけど?
( 味の評価に加え'焼いただけと'何とも言えない正論を述べられれば、曖昧な表情を浮かべつつ手に持つフォークをひらひらとさせながら相手の意見を飲み。そんなこんなで無駄に言葉を交わさず黙々と食べていた為に.残り味噌汁だけとなった自分用の食事に目を向けて居れば、突如悶々と考えていた事柄と相手のふとした呟きが重り。流石にこちらの考えている事を悟られた訳では無いと分かっているも、やはり唐突過ぎるその発言には驚きを隠す事が出来ずに思わず視線を上げれば頬を紅潮させ必死に誤解を解こうとする相手の姿が目に入り。問題ある発言だったとは言え、ボトルの回し飲みなど日常的にもごくごくあるその行為の何がそんなに相手を乱すのか、困惑と共に此方まで調子が狂えば滅多にと感じない羞恥からこちらまで微かに頬が紅潮してしまい。そんな慣れない感覚に行動が伴ってしまうのが己と言うもので、徐に己の唇へと人差し指を当てればその直後に相手の唇へとその人差し指を当て、あくまで普通の事と言いたいのかにやりともにこりとも言えない笑みでそう告げ。_そんな行動の後、互いにたじたじとした空気にこれ以上何を発言しても爆弾発言になってしまうと考えた為か、残る味噌汁を一気にと飲み干せば目の前に広がる食器を重ね合わせ足早に台所へと向かえばシンクへと諸々を置き、まだ熱のある頬のままこの場を去れる唯一の行動を思いつけば半ば強引に提案をし、)
_あ、ねぇ、俺先にお風呂入っても良いよね?、ほら、セっちゃんまだ食べてるし。着替えだけ置いといてくれれば良いからさ、
そんな、苦手って訳じゃない、けど…――ッな、はあぁああ!?ば、何してんのさぁ!?
(蒸し返そうとしなければきっと相手も流してくれただろう事実をわざわざ口にしてしまったのは自分、目の前の相手まで照れからだろうか珍しく頬を染めている様子にどうしたらいいか分からなくなってしまい、熱を持った頬に手を当てながら僅かに顔を俯かせ相手の言葉にぼそぼそと聞き取りにくい返事を漏らすことしかできず。そんな中不意に唇に触れた柔らかな感触、その指はつい一瞬前まで相手の唇に触れていたもので、先程のフォークよりもよっぽど露骨な状況にもう恥ずかしさを抑えるも何もなくて。堰を切ったように口から洩れた叫び声と共に先ほどとは比較にならないほど、それこそ耳まで真っ赤に染め上げると自分の唇をごしごしと手の甲で拭いながらほどんど意味を持つ言葉になれていない反論のような何かを叫んで。しかし混乱する自分に対してそれを招いた行動をした相手も少なからず何か感じていたのだろう、この場を逃れるような提案をしてきた相手に未だ口元を片手で覆ったまま視線を彷徨わせると漸く少しは落ち着いてきたのか小さく頷きながら風呂のある方を指さして。)
……風呂、廊下に出てすぐ右側のドアだから。湯船は勝手に溜めて…あと、出来れば結構ゆっくり入ってきて…。
おいーっす、じゃあお先ー……、ふふ、これで俺も間接キっス–––…とか、舞い上がりすぎでしょ––…、っ
( 動揺から沸く叫び声と真っ赤に染まる相手の顔、己は何か取り返しの付かない事をしでかしたのでは無いか、冷静で有ればそんな事を考える余裕が沸くものの生憎今の自分にはそんな余裕は無く。取り敢えずこの場をやりくりするにはこの場を離れるが勝ち、そんな思いから出た提案が案外あっさりと通れば.素直に廊下へと足を進め。勿論相手の言葉など耳に入っているはずも無く、お気楽な返事と共に廊下右にある風呂場へと着けば保っていた何かが崩れ。押し寄せる後悔の波と予想外の相手の愛らしい反応を思う気持ちに思わず洗面台へと手を着けば.それに伴った複雑な表情の自分が鏡へと映り。その様な自分を見るのが嫌なのか、ふと視線を逸らした先に有る先程まで相手の唇へと触れていたその指が目に入れば、完全に出来心なのだろう己の口元へと持っていけば羞恥に顔の赤らみが強くなり。_そんな馬鹿げた行動も恋心故なのだろう、咎める様に上記後半を吐けば振り払う様に入浴の準備を進め。.栓のされた湯船に注がれるお湯と共に衣服を脱ぎ揃えればがらりとその扉を開け、普段から風呂自体億劫がる己としては少し丁寧な位に頭髪や身体を洗って行けば、その様子がまるで夜の営み前のソレと被ってしまう様な気がして。そんな事を考える時点で.もう相当相手に惚れ込んでしまって居るのだろう、叶わない事を目の先にそんな事を思うのもどうかと思うも気持ちなど制御出来ず。短い溜息と共に湯船へと入ればぶくぶくと泡を立てて、)
~ッほんと、くまくんが何考えてるか、分かんないよぉ…。
(相手があっさり風呂に向かってくれたことに此方も大分助けられ、ばくばくと激しく鼓動を繰り返す胸を抑えながら行儀が悪いと思いつつぐたりと座ったまま背後に倒れ込み、ラグの敷かれた床に寝転がりながら一人小さく呟きを漏らして。普段からからかいやちょっとしたチョッカイをかけてくることのある相手、だが今回に関しては自分をからかうだけとは言い切れないような相手の照れた反応を見てしまったせいでどうにも恋心からいい方へ解釈してしまいそうになっていて。そんなはずないのに、もしかしたら相手も少しくらい自分のことを良く思ってくれているのではないか、なんて妄想を即急に振り払い体を起こすと半ば自棄になったように残りの食事を口に詰め込んで。自分の皿と先にキッチンに置かれていた相手の皿を軽く水で流してから食洗器にセットすると一先ず気持ちも落ち着いたようでふう、と息をついてから自分の部屋へと向かい。先ほどから脱いでいたブレザーを部屋のハンガーにきちんとかけてからタンスを開け、相手用の灰色の上下スウェットを引っ張り出すと風呂場へと歩いていき。脱衣所の相手の服や中から聞こえる水音に妙にそわそわした気持ちになりながらも着替えを置き、一緒にバスタオルも置くと少しだけ躊躇うような間を置いてから風呂場の擦りガラス状になった扉を軽くノックして。)
――…くまくん、着替えここに置いたからねぇ。ていうかシャンプーとかコンディショナーとか、ちゃんと分かったぁ?
んー…?あー…ありがとーう。大丈夫、…大丈夫だけどちょっと逆上せたっぽい、
( 周りに翻弄されるのを余り好まない相手の事、普段で有ればこちらの揶揄い事には文句ばかりのくせ.ここに来てからの相手の反応はまるで此方に気があるかの様に思わせる物ばかりであり。先程否定に落ち着いた考えもそんな事をじわじわと思い返す内にどうしても揺らいでしまえば、いつか己の欲を無理にでも許容させてしまう様な気がして。それでなくても"我慢"等と言った言葉が似合わない己の事、気付かぬ内に欲を押し付け愛想尽かされるのも目に見えている訳で。そんなこんなを己らしくも無く考え込んで居れば長く浸かり過ぎたのだろう、視界がぼやぼやと霞んで行き。流石に不味いと直感で思うも、相手に助けを求めるだけ声を張るのも厳しく居れば突如衣服の準備の完了や此方を気遣う言葉を投げかけられ。また曖昧な返事を残せば、そろそろ出ようかと身を起こそうとするも言葉通り逆上せた状態ではふらついた足取りとなってしまい。流石に今ドアを開けては相手に迷惑だろう、ぼやつく脳内でもその位の配慮が出来れば全体重を預ける様ドアノブへと手を乗せ深い息を吐き、)
ッはあ!?何やってんの、ちょっと長めに入ってこいって言ったって逆上せるまでなんて意味じゃないの分かるでしょ!あー、もう…無理しなくていいから、ここ開けるよぉ?
(曇りガラス越しには相手の様子はあまり鮮明に見えないものの普段より少しぼんやりとしたような声に不信感を抱いていれば案の定その不安は的中し。先ほど自分が自身を落ち着かせるために少しだけゆっくりと、等と促したせいだろうか、そんな罪悪感と心配がない交ぜになり渋い表情を浮かべながらドア越しに声を掛けると今更言っても仕方のないことにやるせなさを感じ項を掻いて。とは言え相手が今現在進行形で逆上せた体を引き摺る相手をこのままになど出来るはずもなく、先程置いたばかりのバスタオルを掴み両手で広げるとどうやら不明瞭なガラス越しにもこちら側に寄りかかっている様子が何となく見て取れる相手に一度声を掛けてからゆっくりと扉を押し開いて。)
___どーぞー、__っと…うわ、…何…?あー…ナイスキャッチー…、。てか、良いよ…着替えくらい出来るから、
( 湯船から立ち昇る熱い湯気に室内の温度がじわじわと上がってきた頃、流石に相手のお咎めに反論できる余裕等ないのか、小さく唸る様に返答を返していればいよいよ身体の力が抜けていき。体重をかけていたドアノブから手がするりと落ちればそれと同時に扉が開く音が耳に入り、開けた景色に向かい倒れ込む形でその方へと身を投げた為.てっきり床へと激突されるかと思われるも然りと受け止められた感覚に見舞われ。何故自分は倒れて居ないのか、ぼやりとする視界に現れたのは相手の顔、思わず疑問符を頭に浮かべながら逆上せ眼で相手を見つめつつ.ゆるりと首を傾げて居れば漸くこの状況が読め。微かに香る柔軟剤からするに今自分はタオル越しに受け止められたのだろう、それだけの事が分かれば苦しさ半分嬉しさ半分の緩んだ表情でナイスキャッチ等とおちゃらけた事を述べ。_そんな状況でも自分が今何も身に纏っていない何とも危ない絵図が気になったのか、相手に倒れこんだ形のまま未だ惚気た視線だけを送れば.間接的に一旦この部屋から出る様に仕向け、)
なぁに言ってんの、ろくに立ってもいられない癖に着替えるなんてむりでしょ?今くらいお兄ちゃんに甘えてなって…まあ、くまくんは弟って感じじゃないけどさぁ。
(案の定もう大分限界近かったのだろう、扉を開いた瞬間そのまま此方に倒れ込んできた陰に少々驚きつつもしっかりとその体を受け止めると広げて用意していたタオルで包み込むように背中を抱きながらゆっくりと床に腰を下ろして。風呂上りを意識させるシャンプーの残り香が抱き寄せたことで直接的に感じられ少しだけ理性が揺らぎそうになるものの今はそれどころではないときちんと割り切っているようで、相手を自分に寄りかからせながら体に残った水滴をぽんぽんとタオルで拭っていけばこんな状況にも関わらず一人で支度をしようとする相手に呆れたような、困ったような声を漏らして。此方とて恋情を抱く相手のこんな無防備な姿は視覚的にもくるものがあるがそれでも今は苦しんでいる相手を早く楽にしてやりたいという想いが強く、ふと優しく微笑みながらいつも決まって執着する彼やそんな彼の代わりと称して一時仲良くしていた一年生の彼に言うように"お兄ちゃん"などと口にすると、とはいえ学年こそ違えど本来は同い年の相手には不釣合いか、などとひとり苦笑して。全体の水滴をある程度拭き取ったところで恐らく本人も気まずがっている原因のひとつだろう同性とはいえ開けっ広げにするのは少し躊躇われる下半身にバスタオルを緩く巻いてやってから相手用の着替えを引っ掴むとそのまま相手の頭に被せて、頭が出てからやはりいつもより体温の高い手を取り袖口まで導き腕を通させ。)
…はぁいくまくん、次下着せるから俺の肩にでも掴まって膝立ちになってねぇ。まあ、その…一応タオル巻いたし、なるべく見ないようにはするからさぁ。
ちょ、…はぁ…ここまでされるとは思わなかったけどさ…。大人しく従ってあげるよ、…" おにーちゃん " 、
( まだ視界も朦朧とする中、確かに自分は部屋を去るよう促したにも関わらず相手は一向にさる様子が無く、そればかりか手際良く着替えさせられるこの状況に困惑すら覚えるも、相手なりの心配なのだろう解釈し。未だ髪から垂れる水滴を見つめつつ大人しく相手の肩へと捕まり膝立ちになれば"お兄ちゃん"に甘えろとの言葉が聞こえ。所詮相手にとっては年同じと言えど自分は弟の様な存在で有り、恐れ多くも恋人対象等入って居ないのだと言う事実を突き付けられれば、相手の続く言葉も耳に入らず項垂れた様に視線を落とし。_それでも振り切れ無いと言うのが恋と言うものなのか、例え弟とでしか見られて居なくとも好かれたい等気持ちは変わらず、何処か切なげな色を瞳に写せば.実の兄でさえ散々と呼ぶのを嫌がって居た"兄"を称する呼び名を口にしてみて。そんな気持ちがあってからか、相手の配慮も余り気にせずされるがままにされれば下半身までの着替えも程々終わっており、最後に腰に巻かれたタオルを解いては[ありがとーう、]等間延びした声で感謝の意を伝え。冷えた外気に触れていた為か多少熱は残っているものの大分意識もはっきりして来れば、そっと立ち上がり.色々と有り疲労しているだろう相手を思えば次に入浴を勧めるよう.ぽむぽむと背中を叩き、)
__ふぅ、…俺はもう大丈夫だからさ、ちゃんと疲れ取ってくるんだよー、
俺のことはいいから、自分のこと気にしなよぉ…リビング戻ったら水飲んで、暫くソファで大人しくしてなよねぇ。冷凍庫にある凍らせたブドウとかも食べていいから。
(自分の気持ちを落ち着け、いつもの状態に戻るため自身に言い聞かせる様に自然と口から零れた"お兄ちゃん"の一言が相手にどんな想いを抱かせてしまったかも知らずに元々弟であるということもあってか何だか馴染む様な自然さのある相手の呼び声にふと笑みを零すと頭上の相手の瞳が映す切なげな色に気付くことも出来ず目先の相手の着替えに取り掛かってしまい。暫くして案外すんなりと終わった着衣の手伝いに息をつきながら相手を見上げれば先程よりは幾分か顔色の良くなった様に見える相手に安心しながら一応この後も暫くは安静にするように幾らかの指示を口にすると、これ以上世話を焼くのも鬱陶しがられるだろうと相手の促しに従い風呂に入る準備に取り掛かり。相手がきちんと廊下を歩いていることを確認してから一度自室に戻り渡したものと同じデザインのカーキ色のスウェットを取り出すと改めて風呂に入り始めて。)
…はぁーあー、…何で好きになっちゃったんだろうねぇ…、ん、美味しい、
( 相手の指示通り.廊下を歩いた先に曲がる台所へと足を踏み入れれば、冷蔵庫の中の水の入ったボトルを取り出し。風呂上がりに加え逆上せた事による顔の熱を冷ますようにそのボトルを頬に添えれば、その心地良さに思わず目を細め。暫し堪能した後にはとなればそのボトルを頬から離し、戸棚から勝手にとガラスコップを一つ取り出せば中身を移し一気にと喉を通らせ。喉奥から全身にへと広がる軟い爽快感を感じつつ同時に脱力した様な大きな溜息を着けば、再度気怠げに相手の言っていた果物をタッパーごと探し取り出せばソファへと持って行き。一人となったその小綺麗な空間を見渡しつつ己もとソファに腰かければタッパー内に納められたブドウを一つ掴み、そんな中.皮を剥いている最中脳内を駆け巡るのは今日の出来事であり。口論より関係が裂けるかまで互いの気持ちをぶつけ合った事、こうして今"泊まる"一つのイベントでの彼是、恋する相手と言え此処まで接触を多くしてきた1日に幸福と共に虚しさも湧いてしまえば、そんな虚しさから溢れる言葉に苦笑を浮かべつつ手に取ったブドウを一つ口の中へと放り込めば、相手の風呂上がりを待つ様そっと廊下に視線を送り、)
――お待たせ、くまくんもう具合良くなったぁ?
(本来なら風呂に入れば半身浴やらミストシャワーやらと美容のために様々な手を風呂場で尽くすところだが今日は相手がきており、しかもその相手が先程体調を悪くしたばかり、流石にそこまで風呂に時間を掛けている気にもならずいつもよりは大分色々なものを省きつつもしっかりと体の汚れも疲れも落としてから早急に上がると手早く用意していたバスタオルで体を拭いて。そんな最中はた、と先程までの相手との状況が脱衣所に充満した蒸気やらしっとりと濡れたタオルやらのせいで何だか生々しく思い起こされ、相手が体の熱さに苦しんでいたからこその行為だったにも関わらず今更ながら御着替えなどという一見すればどこか艶めかしさすら感じる事態を平気で行っていた過去の自分を疑いながら風呂上がりのそれとは違う意味で頬を染めて。暫しそんな思春期らしい葛藤に苦しんでから湯上りの火照りを廊下の涼しさで程よく冷ましながら相手の待つリビングへと戻るとまだ少し水滴の垂れる髪をタオルでぽんぽんと叩くように拭きつつ声を掛けて。)
__ん、早かったねセっちゃ…ん。あー…、ちょっと…悪化した、今悪化したから、
( 普段から口煩く美容だの何だの口にする相手の事を思えばまた風呂場での手入れは時間がかかるものだと思われ、廊下へと張っていた視線を再度目の前の果実へと移せば.ぽすんとソファへと寝転び。これが昼間で有れば速攻で寝落ちしていた所、今は夜中である上に恋先に有る相手の家と有っては寝付けるはずも無く、今更ながらこの"泊まり"と言う好機を得られた事に幸福感を感じていれば.ふと相手の声が降り注ぎ。反射的に緩やかと身を起こしながら素直に感想を述べていた所、相手の方へと改めて向き直った際に瞳に写ったのはなんとも言えぬ相手の姿であり。濡れている為か何時もとは少し違う髪型や緩やかな服装、風呂上がりの為か気持ち火照った頬等に己の理性が刺激されない筈もなく、見ているのも居た堪れなくなったのか視線をそと外せば相手を見ぬ様にとソファに備えたクッションへと顔を伏せつつ何とも理不尽な感想を零し、)
…ちょっと、今完全に俺の顔見てから言ったでしょ。流石に傷つくんだけどぉ。
(相手の容体を気遣って早く風呂を切り上げてきたというのに此方と目が合うなり視線を逸らし悪化したなどと漏らす相手に流石に不満感が募ったのか唇を尖らせながら低い声で不満を漏らすと大股で其方に歩み寄っていき。相手が取り出して来ていたらしいやや解凍しかかったブドウを一粒頬張りながらクッションに顔を伏せる相手の前まで進み出ればすぐ隣の空いたスペースに腰を下ろし。顔こそ見えずとも緩いスウェットの襟元から覗く白い首筋に思わずどきりとしながらもそっと手を伸ばし相手のその首元に手を当てるとどうやら体温を測っているのか暫しそのままじっと判断するための間をおいて。悪化しなたなどと零してはいたもののどうやら大分平温に戻ったように感じられる体温にほっと安堵の息を漏らしてから静かに手を離していくとソファの背もたれにゆったりと寄りかかりながら髪の水気をタオルで拭き取り始めて。そのまま頭からタオルを被ることでこれから相手に持ちかける相談で表情が多少可笑しくても分からないように顔を隠しながら髪を拭けば、静かに口を開き。)
…ご飯もお風呂も終わったし、後はもう寝るだけなんだけど…くまくんどうする、リビングで寝る?それとも俺の部屋で寝る?どっちにしろ布団敷いてあげるし、どうせ親も帰ってこないからどっちでも気にしなくていいんだけどぉ…。
…っ、何。、…ええー、まさかセっちゃんは俺を一人で此処に寝かせる気?夜とか俺の本領発揮出来る時間なんだけど…朝起きてリビング中が魔界に転じてても文句言わないでね、
( 未だ脳内に焼き付いた相手の姿にそわそわとした気持ちが隠せずに居ればクッションへとうつ伏したままの姿勢で相手の不満を聞き。今更ながらこの恋心から湧く下心の都合の悪さを恨みつつ気持ちを落ち着かせようとしていた所、ふと普段触れることも少ない首筋辺りへの温もりと手の感触を感じれば思わず小さく身を揺らし。ただ妙な緊張に声を低く言葉を返すも、先程のやり取りを思えば単純に体温を測っていただけなのだと察し。心臓に悪いと脳内で悪態をつくも流石に落ち着いたのだろう相手と同じ様にソファの背凭れにと体重を預けながらちらりと其方を見やれば、丁度と疑問を投げかけられ。今先程起こった些細な事でさえ理性を抑え難くなっていた自分としては一緒の部屋で寝る、等もはや.自.殺.行為だろうと思うも、やはり己の煩悩には打ち勝つ事は出来ず。かと言え率直に"一緒に寝たい"等言えば幾ら同性とは言え不信感を抱かれてしまうと考えてか、大分面倒な言い回しでその意思を伝えれば怪しげな笑みを浮かべて見せ、)
――なぁに、もしかしてひとりで寝るの寂しいわけぇ?…ふふ、かぁわいい。
(ただ相手を泊める家主として寝床の話をしているだけなのだが、どうにも自分からこんな話を切り出すと相手を寝室に誘おうとしているように感じられてどうにも居心地が悪く、僅かに歪みそうになる表情を唇を引き締めることで留めていれば相手からの何だか遠まわしな言葉に顔を上げて。頭を拭くために被っていたタオルを首まで落とし濡れているためにいつもより少しばかりぺたんとしていて、目に掛かる前髪を指で流しながら怪しげな笑みを浮かべる相手を見るとじわじわと喜び、というより庇護欲からくるような嬉々とした表情に変化していき。先ほど自分を落ち着かせるために相手に"お兄ちゃん"などと口にしたことが余韻を引いているからなのだろうか、相手の回りくどい言い方は何だか遠まわしに自室での共寝を希望しているようで、相手に自分への"そういう意味"での好意がないと割り切ってしまっている今その言葉はまるで照れ隠しをしながらお願いしてくる弟分のように見えてしまっていて。可愛らしいそんな様子についからかうような台詞を掛けながら艶やかな黒髪に手を伸ばすと緩くその頭を撫でて。)
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