Russian Blue 2015-08-18 22:00:45 |
通報 |
何でさ、折角人が謝ーー、…っ良いよ、…知ってるってば、こんな俺なんかより'ゆうくん'の所に行きたいんでしょ。…でも、…
( 先程までのやり取り、相手がどれだけ自分の気持ちを飲み込み何時もと変わらない声色で返答していたか等当然感を巡らす事も出来て居ない。嫌な感は直感として心中端と心止めて居ただけに相手らしくも無い荒げられた声に思わず小さく肩を揺らし、とは言え未だ背を向けられている為表情も知れず思わず不釣り合いな己を嫌悪する思いがそのまま口を滑り相手へとぶつけると同時に勢い良く身を翻し己の真横に影が過ぎろうとし。先程までのレッスンで流していた汗とは全くと言うほど違う冷ややかな汗が己の首元を這えばどうにも反射的に真横を通る彼の腕をやや強めに掴み、ユニット活動以外に運動をこなす彼の力は流石に強いものではあるもこちらの焦る心情と夜暗くとの本調子の己の前では呆気なくも思えるもので動きを辛うじて止め。
何でさ、折角人が謝ーー、…っ良いよ、…知ってるってば、こんな俺なんかより'ゆうくん'の所に行きたいんでしょ。…でも、…
( 先程までのやり取り、相手がどれだけ自分の気持ちを飲み込み何時もと変わらない声色で返答していたか等当然感を巡らす事も出来て居ない。嫌な感は直感として心中端と心止めて居ただけに相手らしくも無い荒げられた声に思わず小さく肩を揺らし、とは言え未だ背を向けられている為表情も知れず思わず不釣り合いな己を嫌悪する思いがそのまま口を滑り相手へとぶつけけてしまえばそれと同時に勢い良く身を翻した相手の影が己の真横を通ろうとしており。先程までのレッスンで流していた汗とは全くと言うほど違う冷ややかな汗が己の首元を這えば、どうにも反射的に真横を通る彼の腕をやや強めに掴み。ユニット活動以外に運動をこなす彼の力は流石に強いものではあるもこちらの焦る心情と夜暗くとの本調子の己の前では呆気なくも思えるもので動きを辛うじて止め、一瞬ばかり伺えた彼の表情に動揺を見せるも不安にそちらへ顔を向ける事等できず互いに背合わせになる形で引き止めれば一つ息を整え、[…ごめん、]とどうにも飾りの無い率直な言葉を零し伝え、
( 途中確認もせず送ってしまいました..!;何度もご迷惑おかけしてしまい申し訳ありません;; )
ッ、…それ、何に対してのごめん…?悪口言った俺を責めたことに対して?根に持ってるとか言ったから、そのこと気にして?どれにしたって、くまくん悪くないじゃん。ッ、ほんと、さ…くまくんは、どれだけ俺のこと惨めにすれば気が済む訳ぇ…っ?
(逃げ出すことさえできず相手に引き留められた今、このままやっと約束を取り付けて誰に咎められることもなく大切な彼に会いに行くことも出来ず相手がどれだけ衣更を大切にしているかを思い知らされながら謝罪の強要でもさせられるのか、そんな状況を覚悟して唇を噛み締めた時続けられたのは短くも率直な言葉で。本来ならば自分が言わなければいけないはずの言葉、それを相手が口にしたということは、冷静になれない頭で考え着いた理由は"相手が妥協した"というたったひとつだけで。相手は衣更を貶した自分に謝罪を求めたいが、面倒事が嫌いな相手がいつまでも謝罪を口にしようとしない自分に痺れを切らしまるで喧嘩両成敗とばかりに"妥協"すれば自分も謝るのではないか、そんな考えに至ったのならこの謝罪にも説明がつき。そこまで想像するころにはもう取り繕っていた瀬名泉という存在を保つのも限界がきていて、相手にとって自分は長々と喧嘩をするだけの執着を抱くほどの存在ですらないと思ってしまえばもはや瞳から零れる涙をせき止めるものなどなくて。ぼろぼろとみっともなく頬を伝う涙を拭うことも出来ないまま時折上ずりそうになる声で言葉を零すと劣等感や羞恥心、どこにぶつけることも出来ない想いにくしゃくしゃと自分の前髪を掻き乱しながらその場にしゃがみ込んでしまい。)
(/大丈夫ですよ、ミスは誰しも犯してしまうものですから!お互い様精神で行きましょう^^)
…、!、…ッ違うってば。…確かにまーくんの悪口にはムカついたよ、本当に。けど、俺がそれに何時までも無駄に執着する様な奴だと思う?…あんたの頭の容量なら直ぐバレると思ってたけどさ…態と、だったの。態と怒る振りするとか大分面倒な手間掛けてまであんたを引き止めたかったんだけど。思った以上に傷付けた、…からさ、
( 短くも重い言葉が響いた後聞こえるのは己の鼓動音のみ、普段の心拍数とは違った緊張から沸き起こるのだろう余りにも慣れない感覚に口元を歪めて居れば次に聞こえてきた音、正確には目の前の相手が発しているのだろう叫びにも似た声であり。見た事等勿論今までとない崩れた表情や喚く姿に唖然と言うよりその様な姿と仕向けて仕舞った事への恐怖に顔の血の気が引いていくのを感じ。それでも相手から発される悲痛な言葉が心へと刺されば今この場で此方までもが崩れては元も子もないと直感が叫び、説得と言えば厚かましい唯の己の心の内を零し伝え。"惨め"相手はそう自分自身を卑屈したがそこまでとさせたのは完全にこちらだと自負しつつ普段思った事を遠慮なく口にするのとは全く別の言葉を慎重にと選び、慎重にと言っても動揺や混乱に脳内がぐらぐらと歪んでいる今では真面な事を言えているのか己には想像もつかず。唯引き止めたかった、など安易に恋心を推測されてもおかしくは無い理由にもならない理由にを口にしていく内訳が分からなくと心中なってくれば、相手の目線に合わすようしゃがみ込み。こんな状況で有りながらもその小さく情けなくも感じる相手の姿に触れたい等場違いな感覚が湧き起こればそっと手を伸ばしていくも、やはり抱き締めるなど恐れ多い事は出来ないのかその両手を相手の肩へと乗せ、
( 何度も有難う御座います..!;以後気をつけよう心掛け致します..!)
…はぁ…?なにそれ、意味わかんない…お、れは、それだけ衣更くんが大事だから怒ってるとか、いろいろ考えて…ッ!
(一度プライドで固めていた心の柔らかいところが決壊を始めてしまえば留めていることなんて出来ず、堰を切ったようにぼろぼろとみっともなく零れてくる涙をせめて出来るだけ相手の目に触れさせないように零れるたびにごしごしと拭っていた中優しい響きと共に胸に落ちてきた相手の言葉は自分が卑屈に考えていた結末とは全く異なることで。しゃがみ込む相手の顔が傍に寄った気配を感じぐしゃぐしゃになった不細工な泣き顔を見せるのを拒むように腕で顔を隠しながら時折上ずりそうになる声で今感じるままのことを口にすれば、そうして声に出したことでどれだけ自分が相手に嫌われることを恐れていたか自分自身再確認させられて。相手にとって衣更が自分より大事なのだと理解していた反面、そのくせ嫌われることを恐れてこんな無様な泣き顔を晒してしまう程相手に惚れ込んでしまっていることは事実、そんな相手からの悪戯なんて言葉では済まされない様な"わざと"という告白に余計混乱が収まらず比例するように泣き方まで徐々に激しいものになってしまい。嗚咽を堪える様に丸めた背を時折震わせながらそっと顔を隠していた腕の片方を自分の肩に添えられた相手の手を弱く握ることに使い、片腕のみになってしまった目隠しから普段のすました顔など想像出来ない様な情けなく不安に満ちた表情を覗かせると赤くなった目で相手を僅かに見上げながらか細い声を漏らして。)
――じゃ、あ…くまくんは、もう怒ってない、の…?
…大事、とか。そりゃまーくんの事は大事だけど幼馴染としてだし、…分かってると思うけど。って、…はぁ、逆にセっちゃんは俺がまだ怒ってる様に見える訳?
( 今、目の前で泣き崩れる相手の姿を真近で見やりつつ慰めを掛けているこの状況に徐々にと慣れつつ有れば何処か緊張がましかったこちらの声色も何時もと変わらぬ様に柔んで行き、そんな自分とは対照的に先程の"何で?"などと問い返されて仕舞えば答えようも無くなる発言に対する様泣き声をと大きくする様子に此方まで疑問符を浮かべ。まるで自分が衣更を大事にして居るのがどうしても気になっていたと取れるその言葉に動揺する様に言葉を反復させれば少しばかり間を空け、何を考えよう相手が己に好意を寄せてる様に都合よく切り替えようとする甘えた思いを振り切るよう小さく首を横にと振り。冷静となりつつある頭で先ず思うのは一定人物にしか興味、果たしては恋愛意味での好意を示さないとされた相手が何故ここまで己を曝け出してまで尚こちらの気を伺うのかと言う事で有り、どうしても良い方向へと尚考えてしまう中ふと視界に飛び込んできたのは赤く腫らした目で此方を見つめる相手の姿。その情けなくも己としてみればどうしても可愛らしく等と見えてしまう様子に動揺や高揚を抑えきれず視線をゆらりと逸らし。そんな状態で気持ちの制御等効いている訳も無く、握り返された弱き手をそっと振り払えば弱々しく有る相手のその身体を両手で優しくと包んでおり。遅れて思考が追いつけばこの状況に流石に不味いと思ったのか[とりあえず落ち着く様子無いし、黙ってこうされててよねぇ]等誤魔化すようにいかにも当たり前と言わんばかりの台詞を述べれば、対照的に好意寄せる相手への密着具合の為か不釣り合いにも程があるほど心拍数が上がり、
…ふふ、何それ。くまくんのくせに生意気ぃ。…でも、そう言うなら…ちょっとだけ、肩借りてあげる。
(涙に歪んだ視界に映る相手は自分から見てももう怒っているようには見えないけれど、それでも相手の言葉による確証が今は欲しかったのか相手の返答に少し安心したように目じりを下げると小さく息をついて。その言葉により少しだけ落ち着いたのか嗚咽に苦しむほど止まらなかった涙も随分と落ち着いてきて、アイドルとしてもモデルとしてもみっともないことは承知で時折鼻を啜っていると握っていた相手の手の体温がそっと自分から離れていき、そのことに一瞬だけ不安がぶり返し顔を上げればそんな不安を打ち消すように抱かれた体に思わずびくりと小さく肩を跳ねさせて。漸く気持ちが落ち着いてきたというのにそれを無意味にするかのような突然の抱擁にどうしたらいいか分からず身動きを止めていると、そこに掛かった相手の気遣いの言葉に高まっていた緊張を僅かに和らげて。自分からしてみれば愛しい人からの抱擁、けれど相手からしてみれば同じユニットのメンバーが泣きわめくのを収めてやりたいという優しさだけの行動だったのだろう。それが窺える相手の言葉に小さく笑みながらぽつぽつと言葉を漏らすと、相手がどんな思いで起こした行動であれ自分にとっては貴重な時間であることは変わらず、少しだけその優しさに甘えてしまおうと相手の肩に額を寄せてからそっと相手のジャージの胸元を握ると服越しに微かに伝わる体温を感じながらゆっくりと心を静めていき。)
…へぇ、セっちゃんにしては大分素直じゃん。普段からそうだったら可愛いのにねぇ、…んわ?
( 夜故の脳の活性の良さからか己の行動力と言うのは自分自身も驚く程大胆な事も有るようで、半ば強引に抱き締めると言った行為をしてしまった訳だが相手は意外にも素直に受け止めている様子で有り。馴れ合い自体も余り好まないと言った普段の彼で有ればとっくに" 気持ち悪い "や" うざい " 等の一言で一喝されてしまいそうな所だが、先程の乱れ様から見るに混乱で脳内も上手く機能しなかったのだろう渋々と受け止めているとしか思えず。だがこちらとしては好き相手と触れ合えるというだけで嬉しさが込み上げくる物で、思わず心良くしたのか笑みを浮かべつつ揶揄い口調で可愛いなどと安易に述べてみればさて相手はどんな反応をするかと返答を待ち。…と、そんな此方にとっては幸せと言える時間もそう長く続くはずも無く。突如帰宅を急かす大きな鐘の音が耳を劈き、そんなにと時間は経っていたかちらりと更衣室に掛けられる時計を見れば既に夜分と言える時間となっていて。余り長居して仕舞うと目の冴えを良い事に校内を闊歩し始めているだろう己の毛嫌いする兄に捕まりかね無い、そう思えば相手に行動を促す様背中を数度軽く叩き[ほら、あんま時間かけると俺が兄者に捕まっちゃうから。…お詫びと思って俺を逃げ切らせてよ]相手と追いかけ対象にある彼との約束など掻き消したい気持ちが勝ったか、まるでこちらの都合の方がさも大事だろうと言い聞かせるように述べれば少し我儘が過ぎただろうか等とふとした不安に瞳奥を揺らし、
…仕方ないから送ってってあげる、ゆうくんの約束守れないのは申し訳ないけど…まあ、俺が悪口言ったのが全部の原因なんだし?はぁいほらほら、分かったらちゃっちゃと支度しちゃってよねぇ。
(時刻を知らせる鐘が響いたことでもうこんな時間だったのかと自覚するのと同時に、折角約束を取り付けてくれた彼を待たせてしまっているだろうことを今更ながら再認識し。しかしどうにも離れがたい相手のぬくもりに思わず一瞬そんな鐘の音など無視してしまえば、なんて身勝手な考えを過らせたものの相手の呼びかけもありそんな願いはやはり叶うことはなく。肩を叩かれたことでもぞりと小さく身じろいでから泣いたせいで真っ赤になってしまった目元を気にするように顔に手を翳しながら相手から身体を離し、すんと鼻を啜ってから下向きだった視線を相手に移して。お詫びと相手は言うけれど、恋する目の曇りがそう錯覚させてしまうのだろう、相手も自分と一緒にいたいと思ってくれているのではなんて自惚れ過ぎていると自覚できるような考えが浮かんではすぐに沈むと少しだけ考え込む様な沈黙を挟んでから小さく頷いて。大事な彼を待たせるどころか、約束を取り付けさせた側のくせにそれを白紙に、なんて自分でなくとも誰しも躊躇いを覚える選択。けれど散々泣いて弱ったところに相手との時間の延長が叶う誘いと来ればどうしてもそれに甘えてしまいたくなって、ふと薄く笑みながら言葉を続けると早速ポケットから出した携帯で約束した彼に断りのメールをいれて。そうしている間に荷物を纏めろということなのだろう、少しだけいつものような調子が戻ったように見える仕方なしとばかりに眉尻を下げた表情を浮かべると手で相手を払ようにしながら支度を促して。)
ん、意外過ぎてちょっと驚いてる。まぁ…良いや、やったねー…って、これでも急いでんだけど、セっちゃん手伝ってー
( 離れる事を促した身で有るもやはり相手の体温が離れて行くことには寂しさを感じてしまい、未だ泣き後か目元の赤い相手と視線が合えばその色を隠す様細く目を細め。散々と相手にとっては恥ずかしいだろう姿を見せつけられた後にも関わらず、なおその表情を隠そうとする仕草に思わず笑みが溢れれば相手の返答を待ち。-答え結果は渋々ながらも良いと言うものであったも、相手にとって1番であろう別ユニットである彼の約束を断るなど今思えば驚きを通り越したもので、気付くと素直な心言葉が溢れており。自分の為にと態々時間を優先させてくれた相手に動揺と共に嬉しさが込み上げるも、"これはあくまで詫び"等と咎める様にこの事柄の真相が突き付けられれば小さく息を吐き。何時もの調子を取り戻したか面倒事の様にこちらの準備を促す相手に不満そうに口元を尖らせるも、これが普段と変わらぬ様子だと実感すれば苦味含んだ笑みを浮かべながら着替えにと衣服を脱ぎ始め。間も無く制服のズボンを履き終えた後に制汗剤を忘れた事に気付けば上にと何も身につけて居ない状態のまま相手の方へと向き直り、手伝って等と甘え事を口にすればそのまま両手を広げ[それ、かけて]と相手にしては珍しいぐしゃりとしたバッグの中身から垣間見える制汗剤を指差し、
かけて、って言ったって…まあいいや、じゃあ動かないでよねぇ。
(相手の言う通り普段の自分を知る者なら約束の彼より他人を優先するなど驚くべき行動ととられるだろう、しかしそんな違和感を放つような行動だとしてもやはり想っている以上相手と一緒に居たいと思う部分があり。流石に不自然に思われただろうかなどという不安も過ったが相手の言葉を聞く限りそこまで意識されてもいなかったようで、ほっとしたようなそれはそれで複雑なような、何とも言えない感情を抱きながらゆっくりと立ち上がると相手の準備が終わるのを待ち。そんな中不意に掛けられた言葉に少しだけ気まずそうに視線を逸らしながら言いよどむと、かばんに突っ込んでいた手に取って塗り込むタイプの制汗剤を手にして。流石にこれを塗ってやるというのは大胆過ぎるというか、此方の理性的な問題で戸惑いを覚えてしまうものの世話焼きな幼馴染に身の回りのことを手助けしてもらっている相手ならもしかするとこの行為も慣れたものなのかもしれないと思い直すと小さく溜息をついてからそちらに歩み寄っていき。そもそも自分の恋心さえなければあくまで同性の身体を触るだけの行為、そう考えれば少しだけ気が楽になり自分の手に制汗剤を適量取るとそれでもやはり完全に割り切ることは出来ないのか僅かに頬に赤みをともし唇をきゅっと結びながら、遠慮がちに相手の首筋から鎖骨、胸の辺りまでするりと撫でる様に塗りつけて。)
んー、…うん、?んっ、っ、ふふ…セっちゃん手つきえろーい。…'ゆうくん'にでも置き換えてたでしょ、
( 日々物事に対し面倒理論の為か普段から身の支度等はどうも自分から進み行う事も無く、朝や午前中の体育等の着替え諸々も世話焼きな幼馴染や大変不本意だが溺愛されている兄に手伝ってもらう事が多く、ましてや制汗剤などスプレー式で一気にとかけてもらう事がしばしばとあった為己からしてみればそう変な行動だとは思っておらず。両手を広げた儘相手の気などはた知れず急かすように小さく上下に手をひらひらさせれば相手の動くなとの命に生返事を返し、_と余裕も束の間、完全に此方と思っていた感覚とは違う相手の指の這う感覚に思わずびくりと身体を小さく揺らせば驚いた様に相手を見据え。相手の何処か恥じらいの有る頬や視線から徐々にこの状況を察知すれば距離を置こうと一歩足を後方へと移動させようとするも、つい先程動くなと言われたばかりである上に下手に今動いては変な意識をしている事を勘繰られて仕舞うのではと踏みとどまり。思えば意中相手に思わぬ所を触れられているこの状況に高揚の気持など抑えられる訳が無く、妙な感覚が背筋を走れば溢れそうになる声を抑えつつ頬を紅潮させ。.とそんな葛藤の中何故相手まで恥じらう必要が有るのかと如何にか誤魔化す様意識を注げば、それに便乗しいかにも何も感じずも言った風に口元を上げ冗談めかした言葉を投げかけ、
っば、馬鹿じゃないの!?ゆうくんにこんな…ッもういい、そういうこと言うならくまくんが自分で塗ってよ!
(先程までレッスンに臨んでいたからか少しだけしっとりと汗が滲んだ肌は仄かに温かな体温を掌へと伝えてきて、それだけのことがどくどくと自分の鼓動を速めていき。撫でつけた自分の手の感覚に驚いたのだろうか、相手の身体が僅かに揺れたことに思わず不安になって視線を上げるとそこにあったのは自分と同じように僅かに紅潮した相手の顔で。てっきり世話を焼かれ慣れている相手にしたら何でもないことだと思っていたのにその予想外の反応に言葉を失いぽかんと呆けていればその癖からかうような冗談の言葉を吐く相手、遊木はあくまで"弟"として可愛がっているために強い否定を見せれば制汗剤のボトルを相手の胸板に押し付ける様にして。手つきがえろい、などと言われるということはもしかしたら自分のちょっとした邪念が相手に伝わってしまったのだろうか、そんな心配に駆られる反面相手の素肌に、それも中々普段では触れない様な所を撫でたことに今更ながら強い羞恥心を感じてしまいボトルを押し付けたままじわじわと頬の赤みを強めると何か我慢しているようなやや顰めたような表情になりながら僅かに顔を俯かせ。)
…、へえ、違うんだ。てっきりそっちもイケる口かと思ってたんだけど、…ん、意外と苦手だったりすんの?
( 紅潮顔の儘相手と視線が合えば一瞬と焦る気持ちが沸くも流石動揺に強い己で有るか下手に動かず寧ろ堂々と相手を見つめ、それに反し何処か間の抜けた表情を見せられれば何か変な事でもしたかと言いたげににへらと口元緩め。同時に先程の感情の誤魔化しの為の冗談にやはりあっさりと反応を示す相手が目に入ればなんやかんやで一番反応の良く示す彼に少しばかりの不満を抱いてしまうも、妙にその否定の大きい相手に何処か違和感を感じ。てっきり目の前の彼の追う人物は恋愛としての感情の為と認めたくは無くも思い込んでいた為か、"イケる口なのか"等と曖昧な表現で心の内の思い事を零し、それで否定をされても肯定をされても己にとっては複雑で有るのには変わりは無いのだがどうも唐突に心奥で思っていた問いをさりげなく問いてみたくなり。もし否定、つまりは先程の様な接触を苦手な物だとしていたので有れば大分と無理をさせてしまったのではと一抹の不安が芽生え、それが表に出るのか心持ち眉尻が下がり何時もとは少し空気の違った声色となれば押し付けられたボトルを柔く掴み、そのまま軽く距離を詰め相手の俯く顔を覗き込み、
…ちょっとぉ、まさか俺がゆうくんと"そういう"ふうになりたがってるとか思ってた訳ぇ?弟に手出すとか、普通に考えて犯罪でしょ。
(交友関係やユニットメンバーにそんな俗っぽい会話を好むものがいなかったこともあってか正直下世話な話や性的なものを感じさせるからかいにはあまり慣れておらず、そもそもそういった話題を嫌う潔癖気味な所が若干あり。だからこそ相手の質問に一瞬言葉をなくしぱくぱくと口を開閉させながら驚いた顔をしてしまったが、その言葉の意味をきちんと理解してから漸く口を開くといたく不満げな様子で声を漏らして。確かに男でもいけるのか、ということであれば相手に好意を寄せる以上否定できないのだろうが恐らくこの場で相手が指しているのはそれだけに留まる意味ではなく"遊木でもいけるのか"という旨が含まれているだろうことが予想され。あくまで弟として可愛がっている綺麗な彼を自分のような存在で穢すなど以ての外で、深く溜息をつきながら言葉を続けるとまだ若干赤みの残る頬を冷やそうとするように片手の甲を押し当てて。「…ていうかぁ、そういうくまくんこそどうなのさ。傍から見たらくまくんこそ衣更くんとデキてそうに見えると思うんだけど?」珍しい会話の流れに任せて少しだけ欲を出してしまったのか、相手が押し付けたボトルを受け取ったのを確認してからそっと手を離しやれやれとばかりに片手を掲げると、あくまで自然な流れを装い相手と衣更との関係に若干の探りを入れてみようかと言葉を続けて。)
弟、ねぇ…、何.兄って生き物はそう弟に執着するもんなの?…鬱陶し。…はぁ、偶に聞かれるんだけどさ、まーくんは幼馴染って立場だから好きなの、それ以上彼是したいとか思えないから、
( 恋愛含む欲云々と言った話を毛嫌いしそうな相手の事、驚き様からして叱りを受けるかなどと身構えて居れば存外普通に返答を返され。普通、と言えども己の問いの答えをはぐらかした様な曖昧な回答である事に気が付けば色々とまた思考が歪み、だがそんか曖昧な回答でも相手の本心だろう悠木については恋心を抱いていなかった事実だけが耳にと残り。己の抱く恋感情がまた都合の良い方向へと考えているだけなのか、本当に相手が見る彼は'弟のような存在'としているならば此方としては嬉しいばかりで、嘘だと思う反面やはり事実として受け止めたいという心情が大きく出れば思わず緩む口元を隠す様に己の服の裾を柔く握り、それに加え意味ありげな小言を零すもその言葉には何処か安堵や嬉しさの篭る声色となっていて。そんな事を悟られない様手に渡された制汗剤の中身を取り出し気怠さ丸出しに身体へとぺたぺたと塗り付けて居ればこの様な流れとは言え相手からは想像もつかない突如思いもしなかった事柄を問われ、多少の驚きと共に相手はそんな事を思っていたのかと過れば誤解を解こうと言う思いと変に沸く期待を抑え無ければと言った思いからか、力の有る言葉口調で相手の瞳をじっと見据え乍否定の意を述べ。
…くまくんのお兄ちゃんがどうかは知らないけど、俺は弟だからとかじゃなくゆうくんだから執着してるの。そうじゃなきゃ、血も繋がってないのにお兄ちゃんだの弟だの構ってないしぃ。
(相手の零した言葉の真意は恐らく彼を付きまとう兄と名乗る者を指しているのだろう、その兄と大した繋がりはないにしても同じユニットとして以上に好意を寄せる相手としてひっそりと視線で追うくらいのことをしていた自分からすれば察するのは容易いことで。それを理解していても相手の言葉は一見すれば血も繋がっていない遊木を付きまとう自身にも向けられているようで、いくら真意を何となく汲み取ったとしてもやはり別問題として少しだけむかついてしまう部分も確かにあり、さりげない探りに返ってきた相手と衣更の関係について思わず緩んでしまいそうになる口元を誤魔化すのと同時にその不満な想いを僅かに表情に滲ませると唇を尖らせながら言葉を続け。何はともあれ相手と衣更の間に恋愛的な感情がないことを確認できたことは自分にとってはかなりの収穫で、いつものような少しだけ不機嫌そうな態度を繕うことで浮つきそうになる内情を押さえつけながら視線を相手に戻すと中々進まない相手の着替えに痺れを切らしたように溜息をつき。「くまくん、ほんとに急いでる?早くしないとくまくんの嫌いな"兄者"が来ちゃうんじゃなかったのぉ?」もう随分といつも通りの調子を取り戻せてきたのか常と変わらぬどこか嫌味を感じさせる言葉を吐きながら相手に近づいていくと相手の鞄からはみ出ていたシャツを引っ張り出しそのままばさりと相手の肩に掛けてやることで先程から目の毒と言って語弊のない目の前に晒された白い上体を隠して。)
あー、うん分かってる分かってる、あんな特殊なのは兄者位だし。セっちゃんは昔のモデルどうこうで執着してんでしょ、まーくんから聞いてる、…って、嫌な事思い出させないでよ…、
( 誤魔化しの為に使った表現が相手の気に障ったか、何時もとはまた違う不機嫌さで言葉を返す相手に思うところも所々有り。確かに己の兄といえば"三奇人"とも言われている上に周りに人が居らずとも愛をぶつけている等といった言えば奇怪行為が目立つ為、相手も関わりが無くともその存在を頭には入れているのだろう、そんな奇怪人間と同じとされれば誰もが否定したくなる等想像も容易いばかりで。こくこくと同情する様に態とらしく頷いてみれば違う理由で執着しているだろう理由を口にし、幾ら過去出来事に執着している為にその彼を追っ掛けしているとは言え、此方からしてみれば羨ましいとすら思う訳で、そんな思いからか何処か投げやり気味に上記述べれば妬ける気持ちが出るのか眉を潜め。それにしても相手は此方の関係を聞いて何がしたかったのだろうか、相手の様子を見る限り特に変わら無い様に見えるのか首を捻っていれば今現在の状況を突き付けられ。気付いて居なかった訳では無いのだが、やはり相手と二人きりと言った空間が余程貴重で大切にしようとして居たのかを身にしみ、目の前へと掲げられる己のシャツをさらりと受け止めれば昼間とは大違いとも言える程のスピードで心持ちてきぱきと着替えを進め。_ある程度着替えも終わり緩んだネクタイをそのままにと何時もの格好へと身を変えれば小さく吐いた息と共に服の裾を払い、[で、何処に行けば良いの。万が一遭遇したら逃げ切らんないと思うんだけど]いくら本調子とは言え、それは忌み嫌う人物も同じ。嫌な予感にうえ、と小さく舌をちらつかせれば何か案が有るのかと完全に相手任せと今後の行動の意見を委ね、
なぁに、くまくんのお兄ちゃんはバイクの速度に追いつけるほど足早い超人な訳ぇ?…ああ、超人って言うか吸血鬼?にしたって流石にバイクには追いつけないでしょ、ちゃんとそのくらい考えてるんだからくまくんは余計な心配しなくていいの。
(こちらから急かしたお蔭か昼間の緩慢な動きはどこへやら、てきぱきと準備を進める相手の姿に思わず初めからそうしていればいいのに、なんて感想が浮かんでしまい。とにもかくにも着々と準備が終わっていく相手を横目に見ながらもう用済みとなったであろう制汗剤を鞄にしまい、その流れでちらりと視線を窓の外に移すと既に人気もすっかり失せた景色に僅かに目を細めて。そんな中相手から聞こえてきた何とも嫌悪感の溢れた声にふと息をつくとどこか得意げににっと笑って見せて、自分のスラックスのポケットから鍵を引っ張り出しそれを掲げながらその鍵が暗に何か伝わるような台詞で返事をすると戯れに鍵を放っては片手でキャッチを繰り返して。言葉のあやで超人、などと口にしたがよくよく考えてみれば相手と相手の兄は一応吸血鬼を名乗るもので、そう考えるともしかすると走行中のバイクにも追いつくのか、などという少しだけ馬鹿っぽい思考が頭を過ぎるも自分はあくまで相手方兄弟が名乗る吸血鬼などという身分をアイドルとしてのキャラ付けとしてとらえており、すぐにそんな思考を振り払うと相手の鞄を掴みそちらへと渡しながら更衣室の扉の方へと足を向けて。)
逃げるの自体は俺に任せてもらっていいけど、それにしたってあんまり遅くなるのは一応アイドルなんだし危ないでしょ。ほら、準備出来たならさっさと家帰るよ。早く家帰って寝ないと、肌の調子悪くなっちゃうんだから。
ん、何、徒歩じゃ無いんだ。それは流石に無理かもねぇ、吸血鬼って言ってもそんなん不可能…って…、セっちゃんそれ何処の家を言ってんの?
( 特に良い案も浮かばず相手に案を任せたのは良いものの一体如何するのかと答えを待ちつつ其の儘見つめて居れば、帰ってきたのはごく単純な方法で。目の前で放り投げられるバイクの鍵を猫のように目で追って仕舞うも相手が運転の出来ることを思い出せば悪戯を考えついた子供のように口元に笑みを描き。流石に兄であれ、はてはキャラ付けとも言えよう"吸血鬼"で有るとは言えバイクに追いつくなど何処ぞの少年漫画ではあるまい、己自身でも理解はしているが一度根の奥に出来た一つの表現を振り払えずに居れば"吸血鬼"等である事を程に無理だろうと相手の承諾を飲み込むように頷き。扉へと足を向けた所、何を言う相手から何処か突っかかる言葉を耳にすれば思わず隣へと距離を詰め顔を覗き込み、言えば家に帰るとのこと。考えれば己の家の前まで送ってくれるのだろうと考えるのが普通では有る、がやはり恋へと溺れている脳内ではその様な回路には至ることが無く。てっきり相手は'自分の家へと招き入れたい'のだという風に解釈をしてしまえば疑問口調ではあるのもも何処か確信したように質問を投げかけ、それでも万が一己の思考が間違っていれば相当に馬鹿にされてしまうだろう、そう思えば手早に扉を開き先程詰めた距離を開かせればすっかり冷えた空気の通る廊下へと足を進め、[まぁ、正直家には今帰りたく無いんだよねぇ、ほら]心配性で済むかは分からないが兎も角己の帰宅が遅い事を案じているのだろう、携帯端末へと表示される沢山の着信履歴を相手に突きつけるように見せれば後付けを口にして、
トピック検索 |