死神娘 2015-08-06 20:36:31 |
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桜の病室
桜の病室は一人部屋で小さめの部屋だった。そこにベッドで座っている桜と、正座している俺。多分俺らの周りの空気は重いと思う。
「……。」
「ごめんってば。」
「許しません。」
「ごめんなさい、すみませんでした。」
「……フン。」
「公衆の面前で抱きついてしまい誠に申し訳ありませんでした。」
「…………ぷっ、クスクス。」
「んなっ! 何で笑うんだよ!」
さっきまで気まずい空気が流れていたが桜が笑ったことで和やかになった。でも何で笑うんだよ!
「……ほんと面白いね雷斗君は。さて私に恥をかかせておいてお詫び無しは無いわよね?」
「うぐっ……」
「やっぱり。……なら毎日私の病室に来て?」
「え?」
「毎日暇だから勉強か読書しか出来ないし……だからね? 雷斗君が来たら楽しいし、それに雷斗君の成績も上がるし!」
「おいおいちょっと待て。俺の成績が上がるということは?」
「勉強するってことだよ。雷斗君学年最下位だし、学年一位の私が教えてあげるのよ? 当然成績もあがるわよ!」
「うわ~」
「何か文句ある?」
「イエアリマセン。」
「ならよし! 明日から勉強一式を持って来てね!」
「はいはい……やべっそろそろ体育始まるし一旦戻るわ。んじゃあな!」
「うん、バイバイ。」
桜の病室を出て小走りで病院を出る。後は全力疾走で学校に戻るのみ!
俺は全くの馬鹿だけど体育と理科だけは良い。いやそれ以外は1でその二つは5だ。
今の俺は心が弾んだ。勉強会は嫌だけど毎日桜の所に行ける。
それだけでも嬉しかった。
幼い彼は走り始める。
大人びた彼女に追い付く為に
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