主 2015-08-05 23:19:49 |
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……い、嫌だ。俺も戦う。万が一のことがあっても──この距離なら、俺がいなくても自力で帰れるはずだ。
(トラブルを招いた本人が真っ先に逃げ出すなんて真似が出来るはずもなく。震える体を叱咤して、魔物の正面に立ち)
無謀と勇気は違うってこともわかんねぇぐらい頭空っぽなんですか!?それにお前がこんなとこでくたばったら蓮様にお前を任された葉月の面目がたたねぇんですよ!
(聞き分けの悪い相手にいよいよ痺れをきらし、思い切り鳩尾辺りに肘打ちを叩き込んでから竜巻を巻き起こしては正面の魔物を吹き飛ばし
がっ……!──かはっ……はぁ……っざけんなよ。なら俺は全部、お前におんぶに抱っこで任せて隅で震えてろと!?俺は観光をしたくて旅に出たんじゃねぇ、強くなるために家を出たんだ!それぐらい分かれ、バカ!
(聞き分けの悪い子供のように食い下がるが、しかしその瞳は真剣そのもので)
…志だけは立派ですねお前は…。物語の主人公気取りでかっこつけて暑苦しいったらねぇですよ…。そこまで言うならお前がこの窮地をどう切り抜けるか見守らせてもらいますよ。…ただし、それだけの大口を叩いた以上はこんなとこで犬死にをするなんて許さねぇですよ
(折れない心と強い意志を感じさせる瞳を向けられるとフイッと顔を背け、生き残りの魔物へと再び向き直り
──いや、ちょっと待て。さっきから言ってるだろ、俺も戦うって。それはつまり一緒に戦うって意味で言ったんであって、各個撃破という意味じゃない。
(首根っこ掴み、離れようとする貴女を引き止め)
もう一度言うが、不本意ながら俺とお前は契約関係にある。自分のケツぐらい自分で拭きたいところだが、お前の言う通り俺は落ちこぼれの弱虫野郎だ。だからこの場は──手を貸してくれ。
何言ってんですか、当然じゃないですか。犬死には許さないということはむざむざ死なせてやらねぇってことなんですよっ
(首根っこ掴まれれば心外だといった表情向け、会話しているあいだにも襲いかかる魔物を風の刃で切り刻み
あっそ、それは有難いことで。──じゃあ、手を貸してもらうぞ。
(悪ガキのような意地の悪い笑みを浮かべるが、その表情は先ほどとは打って変わって晴れやかで。しかしすぐに真剣な表情へと切り替え)
あの魔物は多分、火に弱いんだろう。でなけりゃ、見るからに弱そうな魔術師相手に集団で襲ったりしない。火を恐れているからこそ、仲間を呼んだんだ。で、ここにさっき買った油があります。そして使い魔、お前の魔法は見る限り風魔法だろう?
火、油、それから風…。なる程、落ちこぼれの癖に頭はそれなりにキレやがるんですね
(相手の洞察力には内心驚くと同時に感心しながら、相手の狙いがわかると相変わらずひねくれたような物言いだがとりあえず作戦に対しては否定的な意見は言わず)
…なら油をあいつらに引っかけるのはお前に任せます。葉月が気を引いてる隙に派手にやっちまうといいです
危険な役目を任せちまうが、頼む。俺は俺の仕事を完璧にこなすから。
(油が入ったビンを取り出し、いつでも走り出せるように臨戦態勢で)
葉月の心配より自分の心配をしてください。ビビって震えて手元狂ったりなんてしたらたまったもんじゃないんですよ
(この期に及んで自分の心配をしてくる相手に皮肉っぽく返し、軽い身のこなしで魔物の群れを飛び越し注意を引き)
魔物どもっ、葉月が相手になってやります!命の惜しくない奴から前へ出て来やがるといいです
ったく……流石、兄さんの使い魔だな。無鉄砲なところがそっくりだ。
(戦いを長引かせればそれだけ貴女を疲弊させてしまうと考え、即座に行動に移し。魔物の集団に次々と油ビンを投げ込み)
──ッ!?
(最中、油に不快感を覚えたらしき魔物が凛に詰め寄り吹き飛ばされるが、受身を取ってすぐさま仕事に戻り)
……はぁっ……!もうちょっと、あと少しで終わる……っ!
ちっ、何をやってやがんですかあいつは…
(魔物の群れを風魔法を巧みに使っていなしながら、魔物から攻撃を受ける相手を見れば小さく舌打ちをして、いつでも守れるよう位置どりを相手に近づけ)
っ、よそ見してんじゃねぇですよ!鈍臭っ…うぐっ……
(油を撒き散らすことに夢中になっている相手の死角から迫る魔物に気がつき、咄嗟に間に身体を滑り込ませば肩を魔物の爪が貫き)
──テメェ……離れろぉっ!!
(ブチンッと凛の中で何かが弾けるとともに、怒りの表情を露わにさせ。貴女に危害を加える魔物を素手で殴り飛ばして)
これで最後っ!──おい、大丈夫か!?
(すかさず油ビンを投げ込み、あらかた油まみれにさせた事を確認すると貴女に向き直り。「後は俺の魔法とお前の魔法の共同作業だが……出来るか?」と)
…はぁ、はぁ…葉月を見くびるんじゃ、ねぇ…ですよ…。
(大量の血が滴る肩口を抑えながら激痛に震える手を前方へと突き出し強がりながら風を纏わせて)
やるなら早く、やっちまいますよ…もう怠くてこれ以上付き合っちゃいられねぇんですよ…
この傷の分、お前らにはキッチリ清算してもらいますよ…!…灰にしてやります
(傷を庇いながらも空気を大量に含ませた風魔法で炎を煽れば油に引火して瞬く間に激しく燃え上がり、魔物は炎の海に呑まれていき)
ざまぁみやがれ、です…
ふぅ……やれやれ。何とか片付いたが、お互い満身創痍だな。こりゃ一旦街に戻った方がいいか。
(お互いの体を見ては、傷だらけな状況に嘆息し。普通にしてても辛そうな貴女の姿を見れば仕方ないといった様子で体を抱き抱えて)
嫌だろうが、動くなよ。ジッとしてろ。
…気に食わないですが、もう抵抗する気力もねぇですよ…
(腕の中に収まり、ふてくされたようすで、相手を直視することなく呟いて)
変なとこ触ったら極刑だから覚悟しとくといいです
触んねぇよ。俺、ぺったんこに興味ないし。
(憎まれ口を叩けるぐらいには余裕がありそうな貴女の様子に、ホッと安堵して。すぐさま真剣な表情に切り替えると「なぁ……使い魔」と口にして)
よほどお前は死にてぇようですね…
(体型のことについて突っ込まれると途端に機嫌悪くなり相手を睨みつけ)
…それから、その呼び方は気に入らねぇです。葉月には葉月という名前があるんですから
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