翼 2015-08-04 20:53:30 |
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父は元から癇癪を起こしやすい人。頑固。几帳面。
そんな性格が仇を成したのか定かではないけど、私が生まれた時には既に重たい心の病気を持っていた。
最近はだいぶ落ち着いてきたらしいけど、今も毎朝毎晩大量の錠剤を割材の炭酸水で流し込んでいる。ビールじゃないだけマシだと思う。
煙草も毎朝毎晩吸っている。
家の壁には何箇所か、殴ったり物を投げたりして空いた穴がある。
今は、絵を掛けて隠してある。
すごく優しい。
ただ、少しでも気に障ることがあれば場所を選ばず怒鳴り散らす。
小さい頃から兄弟揃ってよく怒鳴られた。
一緒に遊んではしゃいでいるだけで怒鳴られた。
なんで怒鳴られるのか分からなかった。
下らない口答えをするだけで、額に青筋を立てヤクザよろしく汚い言葉で責め立ててくる父に胸ぐらを掴まれて家から放り出されそうになった。
でも言ってることがまるで的外れなことはなかった。
立派に仕事をして家族を養ってくれた。
だから父だった。
ただ、もう家の中では極力口を利かない方が良いのだろうなとは思った。
母はとても真面目な人。いいとこ育ちで、礼儀や作法に長けている教養のある人。
妥協は許さない。
そして誰よりも勉強熱心。勉強が楽しい。勉強第一。
どれくらい勤勉かと言えば、一日の家事を終えて皆が寝静まった後、毎晩辞書を片手に独りで夕飯を食べながら寝る間も惜しんで長時間に渡って新聞を読み漁り、気に入った記事を切り抜くのが日課だという例を挙げれば分かりやすい。
加えてとんでもない本の虫。
新書みたいなタイトルの堅苦しい本ばかり読んでいる。
冗談は言わない。
言っても面白くない。
楽しい話をした試しがない。
決して悪い人ではないのだけれど、親子のはずがどうも昔から馬が合わない。
むしろ悪いのは私の方なのかもしれない。
母は過保護だ。
子供だけで遊びに行くのを嫌う。
SNSを嫌う。
ネットを嫌う。
マンガやゲームを嫌う。
子供にとって害のありそうなものから私を気の狂ったように引き離そうとする。
危ない橋を渡らせまいと、いくつかの選択肢があればその中から選ぶのは必ず安全な道。
無茶な冒険はしない。させてくれない。
無茶をしてでも死ぬ気で自分だけの目標を追いかけようとすれば、必ず無謀だと言って目隠しを食らわせる。
代わりに絶対安心安全な道を押しつけてくる。
堕落する悲しみがない代わりに、達成する喜びも同時に奪われる。
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