主 2015-07-25 10:28:40 |
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えっ。……なんだ、もう帰ったのかと思ったわ。(教室に入って開口一番、いるとは思わなかった相手を視界に入れては驚きの声を上げて。懇親会での態度とは打って変わった様子を見て、半ば呆れたように「滝城部長こそお疲れ様」と真似て返答し。)
上手く打ち解けられていたじゃないか、茶道部の部長と。(懇親会での楽しそうに二人が会話している様子を思い出して笑えば、「それに、華道部の紹介も悪くはなかったよ」と少し捻くれた言い方で相手を誉め)
彼が親しみやすい人で良かったわ。滝城くんも弓道部の部長さんと仲が良さげだったわね。(懇親会へ行く前の不安はどこへやら。安心したように微笑んで、相手にも同じことが言えると言わんばかりに指摘して。「ありがとう。剣道部の紹介も滝城くんらしかったわ」いつもの上から目線に苦笑しつつ、相手の紹介を率直に賛して。)
彼女とは面識があったからだろうね。今日みたいに話し込んだのは初めてだったけど。(今までは部活の内容以外のことしか話さなかった、と相手に説明し。「そうかい、それならよかったよ」と嬉しそうな表情をする訳でもなく、あくまでいつも通り涼しげな笑顔で返し)
そうだと思ったわ。滝城くん、随分楽しそうに見えたから。(懇親会では席順上”話し込んだ”様子の相手を目にする機会が多かったので、話の内容は分からずとも楽しげな雰囲気は伝わっていて。「少なくとも、此処で見る笑顔じゃなかったわね」と少しばかり不満げにそう言って。毎回華道部の教室でよく見るのは皮肉ったような笑い方や、今見せたような涼しげな笑みであったと思い出し。)
へぇ、君もそんなこと言うんだ。(不満そうな相手を見て、しばし不思議そうに相手を見つめたがやがて少し可笑しそうに笑って言い。「少し驚いたよ、不満げな君は今まで見たことないから」とまるで珍しいものを見るように相手を見て)
…さっきの言葉、聞かなかったことにして。(相手が可笑しそうにしている様を見て、自分が随分子供じみた発言をしてしまったことに気付き。自分への呆れと気恥ずかしさから、額に片手を当て視線を反らして、ぴしゃりと言い放ち。)
そう都合良く忘れることができるほど、便利じゃないよ。(相手の気恥ずかしそうな態度がやはり可笑しくて笑ってしまうが、「良いと思うけどね。いくら華道部の母と讃えられる人間だって、たまには不満の一つや二つは言いたくなるよ」と落ち着いた笑みを浮かべて言い。)
不満というか……ちょっとばかり大人げなかったわね。(失言をしてから暫くは相手の方を向けなかったが、落ち着きを取り戻しては小さく咳払いをし相手に向き直ってそう言って。「私は教室の見回りをしたら帰るつもりだったんだけど…、滝城くんは?」話題を替えるついでに、自身の予定を告げ相手の今後について尋ねて。)
君の意外な一面が見られたから、僕は満足だけど。(クスクスと小さく笑いながらそう言い、華道部部員がこれを見たら驚くのだろうか、と頭の片隅で考えればまた笑って。「僕も今日はもう部活がないから、君に付き合うよ」と相手に問いに答え)
もう、笑いすぎよ。(確かに見たかった笑顔ではあるが、自分には分が悪い話題である。不貞腐れたように一言、ふい、と顔を背けては相手より先に教室を出て。「…そういえば、夕方から雨が降るかもって藤宮くんが言ってたわ」続いて出てくるであろう相手の方へ向き直り、懇親会での雑談の最中に聞いたことを思い出して。)
もう笑わないよ。(不貞腐れた様子の相手の背にそう声を掛けるが、あまり見ることのない表情に相手にばれぬよう一人笑みを零し。「雨か。その茶道部の部長の言葉を信じるのであれば僕は少し校舎に残るよ」とあえて名前で呼ばず、窓に目をやれば雲行きが怪しいことを確認しながらそう言い)
でも、今のうちに帰れば…。(廊下の窓から空模様を確認し、まだ間に合うだろうとの旨を伝えようとしたときに、タイミングを見計らったように雨が降り始め。教室の入り口まで戻り「待っているのが賢明だと思うけれど、すぐに止むかしら」と心配そうに言って。)
君は傘を持って来てはいないのかい?(降り出して来てしまった雨にため息を吐き、心配そうに尋ねてくる相手に『傘はないのか』と相手に尋ね返して。 「この降りだと恐らくしばらく止まないだろうね」と外を見ながら呟き。)
懇親会の時に言われて気付いたから、残念だけど持ってきてないわ。(もう一度廊下側の窓へ視線を向け、諦めたように肩を落としては相手がいる方へと戻り。「学校に予備で置き傘があったら帰れるのに…」とぽつんと呟いて。)
剣道部の部室になら置き傘があるかもしれない。部員がよく置いて行ったりしていたから。(相手の呟きを耳にし、思い出したように顔を上げれば道場内に設けられた部室に以前部員が傘を置いて行ったことを相手に説明し。)
…それって部外者の私が借りてもいいの?(相手の説明を聞いては表情を明るくして。しかし剣道部の部室にあるという事は剣道部員の物だ、まだあるとは確認していないがそれを自分が使用してもいいのかと訊いて。)
大丈夫だよ。もし何か言われたら、僕が話を着けておくから。(安心させるように笑い、外の様子を見て「降りが強くなる前に帰ろうか」と相手に行って『付いてきて』と言いたげな態度で道場へと歩き出し)
ありがとう、そうしてもらえると助かるわ。(ほっとしたように微笑み返し、許可を出してくれたことに礼を言い。「そうね、これ以上酷くならないといいんだけれど」と前を歩く相手につられ、視線をそちらに移し返答して。)
……あった。(少し早足になりながら目的の道場の中へと入り、部室の中を覗けば幸い一本だけ傘が置いてあるのが見え、安堵の息を吐き。そして傘を持って「これで帰れるだろう?」と相手に笑いかけ)
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