【創作NL】剣と華【非募】

…知識と技能は別よ。(相手は発言に対して謝罪を述べてくれたが、指摘されては華道部としてややきまりが悪そうに視線を反らし応え。暫し眼前の花を見詰めてから「まぁ、これから滝城くんに意味を聞かれたら答えられるようにすればいいものね」と、挨拶を交わした時のような笑みをにっこりと貼り付けて言い放って。)
見ているだけじゃ、退屈しない？それに…ほら、もう完成したわ。(彼の今日何度目かの笑みを見てから、不思議そうに小首を傾けて。言った傍から出来上がったようで、少し茎を挿し直しては完成した作品を眺めて。)

それは楽しみだよ。(笑顔で言う相手にふふっ、とさぞ面白そうに笑い、次はどんな花言葉を覚えてこようか、などと頭の片隅で考え)
ほう、やはり部長だけあって他の部員とは違うね。(相手が作り上げた作品を見て、先ほど他の部員が作った作品と見比べて素直に感嘆の言葉を述べ。目の前の作品を眺めている相手に「今日の活動はこれで終わりかい？」と尋ね)

私なんてまだまだよ。…でも褒められて悪い気はしないかな。(相手に賞賛に似た言葉を貰い、謙遜の意味で小さくかぶりを振って。それと同時に照れくさそうにはにかんで。)
えぇ、皆も終わったようだし―今日の活動はおしまいね。(教室中を見渡せば、先程まで熱心に活けていた部員も荷物を持って教室を出るところであり。小さく胸元で手を振って見送れば、残ったのは部長である自分と相手だけとなった。立ち上がりながら部活の終了を伝え、後片付けに取り掛かろうと。)

なら、早く片付けを済ませてくれ。もうこんな時間だし、いくら君でも心配だからね、送って行ってあげるよ。(腕時計と日が暮れかけている外をしばし見つめてから恩着せがましくそう言うと、自分は片付けを手伝わずそのまま腕を組んだまま、相手を見下し)

心配だなんて大袈裟ね。部活終わりはいつもこんな感じなのよ。(やや見上げる形で相手の視線を真っ直ぐ受け止め、上から目線な彼に呆れの表情を浮かべて。言われなくともそうすると言わんばかりに手際よく花材やら花器やらを片してゆき。…片付けが終わり、活けた花材を花束のように纏め抱え、様子を見ながら待ってくれていたであろう相手に「お待たせしました。ご厚意に甘えて送ってもらおうかしら」と平淡な口調で言って。)

口だけとはいえ、随分素直になったじゃないか。(からかうようにくつくつと笑い、「以前は口すら利いてくれなかったのに」とまた笑い、帰り支度ができた相手を見て、「じゃあ、帰りましょうか。高槻部長？」と先に歩き出し)

だって無視したって諦めてくれないんだもの。(出会った当初の頃を思い出しては率直に言い、眉を困ったように下げて溜息を吐いて。そのあと「さすがに相手してあげないと可哀想かなって思ったのよ」と、忍び笑いを漏らして。)
えぇ、お願いするわ。滝城部長。(いつもながらの「部長」呼びには慣れた様子で、こちらもそれに合わせて相手の呼び名を使い分けて。先に歩く彼の背を追うようにして教室を後にし。)

それは迷惑を掛けたね。気遣い感謝するよ。(相手の言葉と笑みに小さく笑い、軽く感謝の言葉を口にし)
君の家ってどっち方面だっけ。(上履きを下駄箱にしまい、スニーカーを履きながら尋ね、同時に、そういえばあれだけ話しているのに互いに家の場所を知らないんだな、なんて思い、相手の準備が終わるのを黙って待ち)

市街地と逆方向。滝城くんの帰る方向と同じだったら迷惑掛けないんだろうけど…。(クラスが違うため、下駄箱の場所も違うところにある。ローファーに履き替え、待ってくれている相手の元に歩み寄り。お互いの住む場所の話はしたことがなかったっけ、と相手の質問で気付き、簡単に自分の家の方向を説明して、送ってくれる相手の家の方向をそれとなく尋ねて。)

そうか、残念だな。僕は市街地の外れに住んでいてね。(相手の準備が整い、玄関のドアを開けながら自分が何処に住んでいるか告げ、ふ、と笑うが「だけど、約束は果たさせてもらうよ。だから迷惑だなんて余計な事は考えないことだね。はっきり言ってそちらの方が僕が君に気を遣わせているようで癪に障る」と強めな口調で言い)

滝城くんって変なところで強情よね。…わかりました、しっかり送られてあげます。(相手に続きドアを抜け外へ出て。相手と逆方向だという事を知るも、強気な口調に折れざるを得なくなり苦笑いを零し。どうして自分にそこまで気を掛けてくれるのかは謎なところであるが、冗談めいた口振りで今は相手に甘えることにする旨を伝え。「ただお家の方に心配を掛けてしまうのはよくないわ、連絡を入れておいた方がいいんじゃない？」と相手の家族に対しての配慮を口にして。)

大丈夫だよ、僕は一人暮らしだから心配も何もないからね。(『家族』と云う単語に一瞬眉間に皺を寄せるが、すぐにいつものような笑顔で「さて、帰ろうか」と改めて口にし、校門を出れば相手の言った通り、市街地とは逆方向に歩き出し、「君がいつも通っている道を指示してくれれば、何なりと従うから。心置きなく言ってくれたまえ」と偉そうな口調で言い)

…へぇ、一人暮らしだったの。知らなかったわ。じゃあ、家事も自分でやってるの？(瞬間的に表情が曇ったのを見逃さず。静かに言葉を続けて、後ろを付いて行くのではなく横に並んで歩きつつ、しかし他人が突っ込むような話題ではなさそうであったので他愛もない話題を切り出して。「暫くは道なりに進んだので構わないわ」と帰路の指示をして。)

まあ、自分でやるしかないからね。出来ようが出来なかろうが。(家事の話題が出て、内心吃驚するが決して表には出さず、苦笑いを浮かべ。「高槻はそういう面は、しっかりしていそうだね」と意地悪く『は』の部分を強調して言い)

ふふ、なんだか急に親しみやすくなった気がする。(今までは相手の高圧的な態度ばかり目についたものの、彼が家庭仕事を熟す様子を想像してはなんだか可笑しくなって両手で口許を隠して笑い。「親が共働きなの。だから滝城くんに負けないくらいには出来るかな」にっこりと表情を作り、ちょっと自信ありげに応えて。)

……そうかい？(相手の嘘偽りのない笑顔にささやかな罪悪感を感じ、心の中でそっと舌打ちし気を紛らす。「まあ、華道部の母とも言われているしね、流石の僕でも適わないさ」と自信ありげに言う彼女に小さく笑い)

(/大変遅くなりました、本当に申し訳ありません……。)

えぇ。…それと、あともう少しだけ素直になってくれたらよりいいと思うのだけれど。(彼の心中を察することなくゆっくりと頷いてから、視線を宙に向けてそんな理想像を語って。「華道部の母だなんて、みんな大袈裟すぎよ」と、眉を下げ自身のあだ名を若干気恥ずかしそうに口にし。)

(/おかえりなさい、全然大丈夫ですよ～！無理だけはしないでくださいね！)

僕は十分素直だと思うけど？(相手の願望にそう返せば、涼しげに笑い。「大袈裟というか、今の部長の中に君以外に部員の利益まで考えている物好きな部長はいないからね」と各部の部長を思い浮かべながら、少し皮肉じみた口調で言い)

(ただいま。ありがとうございます。)

私から見るとかなり捻くれてると思うわ。(常日頃思っている相手に対する印象を、困ったような表情を浮かべた後きっぱりと告げて。「ただ部長としての役目を果たしているだけよ。滝城部長は部員の事を思いやってはいないのかしら？」”物好き”という単語に引っかかったけれども、ここは冷静に相手の部長ぶりを聞き返し。)

はっきり言ってくれるじゃないか。(『捻くれている』と断言する相手に少し呆れてため息を吐きながら言うが、志が強い彼女らしいと本人には気づかれないようにそっと笑い零し)
いや、そうではないよ。ただ、その『思いやり』を理由に自分を犠牲にするのは、ただの自己満足だと僕は思うけど。(堅い表情で淡々と自分の考えを口にすると、「決して君の考えを否定しているわけではないよ。その考え方に固執しすぎると君も部員も危ないって言いたいだけさ」といつものように笑い)