フェリシアーノ・ヴァルガス 2015-06-20 16:58:50 |
通報 |
(また相手を喪うのではないかという喪失への恐怖と突如訪れた寂しさから涙がこぼれ)
いやだよ、そんなの…っ
(最悪の未来を打ち消すように首を無理矢理振って、辺りを見渡してなにか助けになるようなものはないかと探すが、なにも見当たらず)
はぁ...
(目は閉じていたが指先だけはかろうじて動かせるようになり相手を呼びたいがまだ声は出ず唯一動く指先を懸命に動かして)
(とりあえず、熱中症ならば涼の確保だと思い当たり、相手のシャツをはだけさせ、手首や足首も解放して、自分の上着を脱いで枕がわりに使い)
……っ、ダニエル…?
(相手の指先がなにかを伝えるように動いているのを見つけて、そっとその指に自分の指を絡めて、相手の顔を覗きこみ)
ダニエル、俺はここにいるよ…?
俺のこと、わかる?
あ...あ...
(指先に感触があって落ち着いたのか呼吸は少し落ち着いたがまだ体を動かしたり声を出すことは出来ずに)
(こういうときには、何とかして水分をとらせたいが、水筒などを持ち合わせているわけではなく、幸い、自宅は近く、水を持ってくることを考え)
ダニエル…、今水を持ってくるから、ここで少し待ってて…
(相手が唯一動かせる指を撫でながら、耳元で話して)
(指先の感触が無くなったことに不安を覚えたが相手の言っていることは何となく分かったので指先を動かすのをやめておとなしく待っていることにして)
(とりあえず、周囲に散乱している手荷物をすべて回収しそれらを持った状態で自宅まで走って、水筒に氷水を入れてタオルを数枚、それから保冷剤などを数個掴んで袋に入れ、また走って戻り)
ダニエル、ただいま…っ、気分はどう…?
(相手へ話しかけながらも、持ってきた保冷剤を相手の脇の下、太股の付け根に置いて)
(体の一部に冷たい感触がしたのが分かり目を開くと視界の隅で相手が自分の体を冷やしてくれていることが分かり)
ごめん....
(かすれぎみの声で言って)
(微かに聞こえた声に安堵し、ふるふると首を横に振って)
いいんだよ…、ダニエル
(ごめんね、とか、動けそう? とか、色々言いたいことはあったが、どれも今の状況にそぐわない気がして、それだけを絞り出すように言って)
水、飲めそうかな…?
(暫くして思い出したようにこれだけ言って)
(相手が起き上がろうとするのを察して、慌てて背中を支えて抱え起こして、蓋を開けた水筒を差し出し)
起きてるの、辛くない…?
このまま飲めそう……?
だったら…良いけど……
(相手が手を伸ばしたので、水筒を持たせるも完全に手を離すことはなく、支えて)
ゆっくりでいいから…
(ゆっくりと水を一口、また一口と飲んで)
....少しゆっくりになるが、歩けるから帰ろうか
(いつまでも相手の世話になるのは申し訳ないので立ち上がろうと)
えっ、うん…
(周囲に散らばった保冷剤などをかき集め、相手を支えるように助けて立ち上がり、持ってきたタオルを相手の頭に被せて)
辛くなったら言ってね?
(と念を押すように目を覗きこんで)
ああ、ごめん...何から何まで
(立ち上がったのはいいが申し訳なさすぎて泣きそうになり顔を伏せ)
情けない...
情けなくなんかないよ…
(自分が無理させ過ぎたから、などと懺悔と自責の言葉を連ねて謝罪しようとしたが、今ここで自分がソレヲイイダスト更に相手に気を遣わせることになると考え、それ以上なにも言えず押し黙ってしまい)
帰ろう……、ゆっくり休んだ方がいいよ…
(それだけ絞り出すようにいって相手を気遣いつつ歩き始め)
ああ、帰ろう...
(体調を崩してネガティブになっているのだと思い早く帰って休もうと相手が気遣ってくれているのは分かっていたが、少し早足で歩き出して)
(思ったより速い彼の歩調に最初は戸惑ったが合わせて付き添い、無言のまま、長く感じる家までの道を歩くのが辛くて)
……今日は、楽しかった?
(などと口にしてしまい、体調を崩した相手に対してその言葉はないだろうと自分を恥じ入り、すぐに「ごめん、何でもない」と打ち消して)
え、ああ楽しかったよ...お前にとっては散々な日だっただろうけど
(相手の様子が少しおかしいことに気付いて、でも...と言葉を続け)
いつか笑ってはなせるようになったら...いいよな
(言っていて恥ずかしくなって顔を背けてしまい)
トピック検索 |