lily 2015-06-02 05:51:23 |
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混ぜて焼くだけだろ、誰だってできる。
(確かに此方から指定はしなかったものの、相手が提示してきた可愛らしい料理に少々小馬鹿にした様な口振りで。然し自分1人の時は作る事の無い物である上に、甘いスイーツの様な食べ物は相手によく似合っているように感じていて。相変わらず分かりやすい相手に小さく吹きだすと「それくらいでそんな顔するな。」と告げる頃には相手の表情は喜色に溢れていて、自分には無い天真爛漫さを改めて実感し。手を引かれる力を利用し立ち上がると、「ありがと。」と軽く礼を述べてはそのまま隣にある自室へと戻っていき。)
綺麗に焼くのは大変だし…!!
(相手から返ってきた言葉はあからさまにバカにされているような口振りで。でもそんな言葉にもめげず上記のように言い返して。実際自分は綺麗に焼くことはできないのだがその経験も踏まえてあたかも自分が綺麗に焼けるような風に相手に伝えたため目線は合わせられておらず。相手が何か言っているようだったが引っ張っている最中だったためか、その言葉に反応することはなく。ありがとうと伝えられると嬉しそうに満面の笑みを浮かべて、部屋に向かう相手を軽くスキップをしながら追いかけて。
…まあ、確かに。焼けんの?
(幼少期に幾度か作った事がある為、その頃の記憶を呼び起こし引っ繰り返す作業に四苦八苦していた事を思い描きながら納得した様で。何故か目線を逸らす相手に疑念が湧き上がり、覗き込み強引に目を合わせ様と試みながら問い掛けて。後ろから付いてくる軽い足音を聞きながら口端を少し上げ、自分の部屋に戻ると勝手に入るだろうと玄関のドアを開けておいて。此方は先に廊下の側にある狭いキッチンスペースに立ち寄り、パン屋の袋に入った侭の長いバケットを取り出せば「こんなんだけど、フレンチトーストにすりゃ食えるだろ。」と相手の方に見せてみて。)
…練習してるから!
(強引に目を合わせようとしてくる相手から此方も強引に目をあわせないようにと体をそらせつつ、自分もできていないが練習はしていると伝えて。部屋に戻る相手の背中を追いかけてはなにも言わずに部屋のなかに入っていって。袋に入っているままの長いバケットを見れば子供のように「おぉぉ!おっきー!」なんてなぜか嬉しそうに声をあげて。
…じゃあ、期待しとく。
(頑なに視線を合わせようとしない相手の様子から、嘘を吐いている事は丸解りで。其れを気付いていながらも敢えて指摘する事は無く、諦めたように姿勢を戻せばプレッシャーをかけるかの様に告げ。後ろで玄関の扉が閉まる音と相手の足音を聞いては特別気に掛ける事も無く。何故か興奮を見せる相手に疑問を抱くも其れを表に出す事はせず、「もらった。焼くから、あっち行ってな。」くい、と顎でしゃくるようにリビングの方を指し示し、パンを袋から取り出せば半分に切り片方は袋に戻して冷凍室に放り込み。)
たくさん練習しとく…
(相手から向けられたプレッシャーをかけるような一言に、少し慌てつつも上記を答えて。ホットケーキミックスたくさん買わなきゃな、お財布大丈夫かな…なんて頭のなかで考えていることはうまくできるか、なんてことではなく自分のお財布の中身の心配で。あっちいってな、顎でさされたリビングの方に行こうか、そばで相手の料理を見てようか、迷ったのか不審に廊下の辺りをぐるぐると回りはじめて
…ま、美味かったら何でもいいけど。
(相手の懐事情など知る由もないが先行き不安そうな相手の様子を見兼ねて、と言うよりは見た目よりも味を重視する"胃の中に入れば同じ"論を持っている為に、逃げ道を作るような言葉を掛けて。素直に此処を去るか、駄々をこねるか横目でさり気無く様子を見ていたものの、どちらでも無く落ち着き無い様子で狭い廊下をうろつく相手に溜息を漏らし。ボウルに2つ卵を割り入れ、「居るんなら手伝って。」と相手にそのボウルと泡だて器を押し付け。)
…!!うん
(どうしようかと悩んでいたときに聞こえてきたのは、逃げ道を告げる声で。味がよければいいのかとほっと息をついては、相手からかけられた珍しいといったらなんだが自分を気遣ってくれるようなことばに自然と笑みが溢れていて。駄々をこねてしまおうか。そう思って言葉を発そうとしたときにかけられたのは自分の意思と同じ方向のもので。相手から手伝ってくれとボウルを渡されればまたまた嬉しそうに数度頷けばゆっくりとかき回しはじめて。
お前混ぜる係な。
(喜んで仕事を任された相手を見ると、少しずつ混ざっていくボウルの中に目線を移動させて。丁度良い頃合いを見計らって目分量の牛乳と砂糖、少量の蜂蜜を入れては味を見る事も無く。先程仕舞わずに残しておいたバケットを数センチ幅に切り、棚の中からシルバーの角パッドを取り出して中に適当に敷いていき。「全部混ざったら、その液こん中に入れて。」続いて冷蔵庫からバターを一欠片、フライパンはIHコンロの上に置いて着々と準備を進めていき。)
うん、混ぜる係する
(嬉しそうに笑顔を相手に向ければ次々と目分量で入れられる調味料をじーっと見つめていては「目分量で、よくわかるね」なんて尊敬の眼差しを向けて。調味料を入れられたボウルをゆっくりかき混ぜ初めては、相手の隣に移動してボウルが重くなってしまったのだろうか台の上においてから混ぜる作業を再開して。作業をしているその姿は、子供が母親の手伝いをしているようで
…何となくでいいんだよ。あとで調整きくし。
(感心しているような言葉と目線に悪い気はしないのも当然の事で、嘘が吐けない相手だからこそ褒め言葉は嬉しく気恥ずかしいそうな擽ったさを感じ、敢えて何でも無いような涼しい顔で。戸棚から浅く大きい白い皿を一枚取り出しては、あとは相手の混ぜた液体をパンに沁み込ませて焼くだけの為、作業が終わるのを待つべく壁に凭れ掛かり相手の動作を眺め。)
そうなんだ、凄いねっ
(相手の言葉を聞いてはあとから調整もできるようにしているのだと解釈しては、瞳をキラキラとさせる様に相手をまた尊敬の眼差しを向けて。相手から自分の作業を見られていることに気づけば、ハッとして相手の表情を伺うようにちらりと見ては、先程よりも早くかき混ぜる用に手を動かしていて。「どう?はやいでしょ?」なんて相手に笑って見せて
…いいから、手動かしなよ。
(純粋無垢な眼差しと素直過ぎる尊敬の言葉はむず痒く、あまり慣れていない為に顔を逸らし後頭部を掻いては無愛想な対応をしてしまい。自分とは大きく異なる相手の白さに触れる度に、何故彼が自分を選び執着を見せるのか不思議で堪らなくなるが、それを直接的に尋ねる事も出来ず其の疑問を無理矢理に奥に押し込んで。ふと此方を見る相手に気付くと手元を覗き込み、「ん、それくらいでいいよ。パンの上に掛けて。」綺麗に混ざった液体を確認すれば、小さく首肯すると相手の方にパンが敷き詰められたパッドを寄せてやり。)
はーい
(相手の無愛想な自分にたいしての対応を見ては、フフ、と笑みをこぼして返事をして。今のは意地悪で無愛想なんじゃないよな、なんて。付き合っている自分だからこそわかることではないのだろうかと一人で優越感に浸っていて。「あ、ありがと」相手からもういいと声をかけられればパンのパッドに流し込もうとしたときパッドをこちらに寄せてくれる相手の優しさに嬉しくなってお礼をいいながら作業を進めて
…変な奴。
(冷たい対応をしてしまった事を少し後悔していたにも関わらず、何処か嬉しげな様子を見せる相手に疑問を抱くばかりで。怪訝そうに眉を寄せながら首を傾げるも、深く考える事は早々に止めてふっと表情を緩め。相手の御礼の言葉を一つの頷きのみで応じ、懸命に作業を行う姿を眺めながら不意に思い出すは自身の幼少期の事で、「なんつーか、…餓鬼の手伝いみたい。」と貶す訳でも無く感じた侭に呟き。)
…慎に言われたくないなぁ
(変な奴、そう呟いた相手に対して口から出ていた言葉は、素直過ぎるというより、聞き手の聞き取り方によっては嫌味に聞こえるようなセリフで。言い終わったあとにまたいつも通りにハッとして慌て始めてはごめんね?と謝り始めて。餓鬼の手伝いと言われれば頰をむっと膨らませては怒った仕草のつもりなのだろうか地団駄を踏んで。「同い年なんだけどー…」なんてむすっとしたまま作業を続けては、相手の作業スピードよりはだいぶ遅いものの、自分に任された作業を完成させて。
…俺?別に普通だろ。
(御互い様と言わんばかりの返答は意外で、周囲と異なる事に自覚が有るのか無いのか聊か目を瞠るばかり。かと思うと自身の発言を悔いるかの様に謝罪の言葉を重ねる相手に、再度僅かに眉を寄せ怪訝そうな面持ちで。不貞腐れた様な表情はまさに10代前半の様な幼さを感じさせるもの、迫力は無い為に其の膨らんだ頬を親指と人差し指で挟む様に摘んで。「あれ、そうだっけ。」何て冗談を真顔で。パンの様子を見つつ、頃合いを見て引っ繰り返すと十分液が浸った所でコンロの上に置いたフライパンを熱し始め。)
冗談はもっとわかりやすく言ってよ
(あれ、そうだっけ。なんて相手に真顔で言われてしまえば、ムッとした表情を再び作りながら上記を述べて。冗談はもっとわかりやすく言わないと誤解されるのに、なんて自分だからわかるとでも思っているのだろうかそんなことを考えていて。別に普通だという相手の言葉には何と返したらいいのかわからなかったのか、あえて触れなかったのか真相はわからないもののその発言についてはなにも言わずにいて。フライパンを熱し始める相手を観察すれば、「火って、綺麗だよね、怖いけど。」なんていきなり不思議な発言をして
これからリアルが多忙になり
今迄の頻度で返信が出来ないので
突然で本当に申し訳ありませんが、
打ち切りを御願いします。
短い間でしたが楽しかったです。
貴方の幸せを心から願っております。
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