土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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学がなくてよかったと思う。
あははっ!
あまり勉強しちゃうとね。あの人たちはリアリストで研究してると思ったら、全然私の方が地に足つけて生きてる。
バラエティ『ホンマでっか!?TV』明石家さんま マツコ・デラックス より
博士!! 筑波さんが意識を・・・・
!! 本当か!!
・・・・ここは
洋・・・・・・・
よく・・・・ 目を覚まして・・・・
志度博士・・・・・
酷い怪我だった それが6日間でここまで回復するとはな・・・・・
博士のおかげです
そうか 単身でネオショッカーの大首領に・・・・
ええ・・・・ 奴は断末魔にこう言っていました
大・・・・ 回・・・・転 スカァイキック!!
おのれ・・・・ 仮面ライダァァァ 覚えておくがいい ここでネオショッカーが潰えても・・・・
バダンは幾重にも策を構えて 大首領JUDOの復活を遂げてみせる・・・・・・
・・・・・・・JUDOの復活・・・・・か
洋・・・・・ この戦い勝てると思うか
そう考えた事は 一度や二度じゃないですから
病み上がりで悪いが お前には向かってもらいたい所がある
はい
日本中に展開されたバダンの作戦も各地に散らばったライダーとSPIRITS部隊によって4つの組織を鎮圧
残る組織は関東・東海・東北・北陸・九州・沖縄の6地区となった
現在関東地区では仮面ライダー1号が「ショッカー」と交戦中
九州・沖縄地区「ゲドン・ガランダー」をアマゾン
東海地区「ブラックサタン」をストロンガー
東北・北陸地区「ドグマ・ジンドグマ」をスーパー1が戦っている
当初は戦った経験のある組織に戦力を振り分けたらしいが ゲドンとガランダーの様に拠点を分けられることで アマゾンライダーを欠いた6分隊は沖縄地区で苦戦を強いられている
ドグマ・ジンドグマと戦う9分隊も同じだ
スーパー1は東北での戦いの半ば 北陸の支援をするべく奔走している
グレゴリー刑事は9分隊と共に東北に残った
・・・・・・・
そうか 頼むよ
ゼクロスと10分隊は沖縄に向かいました
俺は東北に行きます!!
洋・・・・
たとえ・・・・ 又 必ず私が治してやる
博士としてじゃない お前の亡き親代わりとしてだ・・・・・
解ってますよ 会長!!
漫画『仮面ライダーSPIRITS』15巻 第38話 影の切り札 筑波洋 志度敬太郎博士 ネオショッカー首領 より
「イエス、マイボス」
「マイボスはやめろ」
俺が顔をしかめると、島津はモニタの向こうで笑顔になる。
「行灯もダメ、マイボスもダメ、いちいち細かいヤツだなあ。それじゃあお前のこともなんて呼べばいいんだ?」
島津は捨て台詞を吐くと、白い輝点になって、モニタから姿を消した。
俺は、彫像のように動かなくなってしまった南雲に尋ねる。
「南雲さんは、この症例を解剖すべきだ、とおっしゃっていましたが、体表から見てモチによる窒息ではないと見抜いていたんですか」
南雲はうすら笑いを浮かべて、首を振る。
「私は、解剖するぞと遺族を脅してみろ、と言ってみただけだ。こうなった以上、今の質問に答えるのは野暮、というものだ」
俺は、半分は挑発する気持ちで、残り半分は純粋な好奇心から南雲に尋ねる。
「ちなみにこの症例、法医学者が解剖していれば真相はわかりましたか?」
南雲は振り返ると、俺を凝視した。それから、ふう、と笑うと、答える。
「私なら、解剖しなくてもわかった。大概の法医学者は、解剖すれば真相はわかる。だが一部の出来の悪い法医学者は見逃したかもしれない」
そして扉を押して外に出ようとして、振り返る。
「こんなゴマカシは極北市にごまんとあったが、私は解剖せずに見破っていた。だから極北市警の署長は私に頭が上がらなかったのさ。だが、検視の質が低下している今、Aiは必要悪かもしれんな」
そういうのは悪とは呼ばないでしょう、と言いかけたが、その時にはすでに南雲の姿は忽然と視界から消えていた。
桧山シオンが、風にそよぐ葦のような風情で、俺をひっそり見つめていた。一瞬目が合うと、シオンは目を伏せた。
その時、煌めくようなアルペジオの和音が清冽に響いた。
海堂尊『ケルベロスの肖像』21章 Aiセンター、始動 本文 田口公平 島津悟郎 南雲忠義 桧山シオン より
高階病院長が意気軒昂なのはわかったが、世の中はそんな風にきちんとしていないのでは、と俺は斜に構えてしまう。そこで別の角度から、つついてみる。
「でもこの前のように、刺客が送り込まれてきたら、大変でしょうね」
高階病院長はうなずいてうっすらと笑う。
「その点は考えがありますので、お任せくださいませんか、田口センター長」
上司に肩書きで持ち上げられて、俺の背筋に寒気っ痒みが同時に走る。
「何でも言うことを聞きます。ですからその慇懃無礼な嫌がらせはやめてください」
「慇懃無礼?嫌がらせ?何のことでしょうか?」
高階病院長の無邪気な表情を見て、俺は悟る。この人は天然なのだ。
海堂尊『ケルベロスの肖像』4章 東城大の阿修羅 本文 田口公平 高階権太 より
高階病院長は大きく伸びをした。
「田口先生に告解したら、気分が軽くなりました。若返った気分です。久しぶりに封印を解き、前線に参戦し、私の本当の姿をお見せしましょう。こう見えても私はかつて、帝華大の阿修羅と呼ばれていたこともあったんですよ」
東城大内部で、高階病院長ほど数多くの言葉で語られている人物は他にいない。
臓器統御外科の黒崎教授との確執、かつての恩師・佐伯前教授に掲げた反旗。そのために外科の名門、国手率いる総合外科学教室が分裂したというウワサ。穏やかな風貌とは裏腹に、この人はいざとなったらどんな手段を使ってでも、自分の思い通りに物事を敢行するという印象がつきまとっている。
その高階病院長が自ら最前線に立ち、東城大の最終防衛ラインを率いるという。
俺は、湧き上がってくる高揚感に身震いした。
海堂尊『ケルベロスの肖像』4章 東城大の阿修羅 本文 田口公平 高階権太 322の続き より
ケルベロスの塔という言葉が何を示すのかわからなくても、文面から明瞭に読み取れることがある。脅迫犯は「八月に東城大を破壊する」と宣言しているのだ。
「つまり白鳥さんは、脅迫状の送り主は碧翠院の生き残りだとお考えなのですね?ならば碧翠院の生き残りを固定することはあまり重要ではないのでは?どちらが生き残っても破壊工作を仕掛けてくることは同じなのでしょうから一緒なのでしょう?」
すると姫宮は、首をふるふると横に振る。
「全然違います。S1さんとS2さんでは攻撃方法ががらりと変わってしまうのです。ですので相手のタイプに合わせて防御策を練らなければなりません」
姫宮は俺の目を凝視した。
「どちらが生き残っていても、攻撃力は以前よりグレードアップしていることは必定です。でもふたりのアタッカーの性格は正反対で、S1さんは暗い情念を道連れにした冷徹な攻撃を、S2さんなら明るい絶望感を武器に、思い切り派手な仕掛けを炸裂させてくるでしょう。ですのでディフェンス・ラインが変わってしまうんです」
----どうせ同じ人生なんだから、せいぜいド派手にいかないと、ね。
女性の華やかな笑い声が、ひかりのかけらのように煌めいて、消えた。
海堂尊『ケルベロスの肖像』2章 亡霊狩り 本文 田口公平 姫宮香織 より
はあ はあ グ・・・・ まさか・・・・
まさか・・・・ 奴等が参戦してくるとは・・・・
!!・・・・・ しまっ・・・・
どうした本郷 お前が苦戦するなんてな
一文字
ま・・・・ しょうがねえか テメエらまで 出てきたんじゃな なあ
デルザー軍団!!
油断するな一文字!!
奴等には過去の記憶がある 俺達と戦った記憶が・・・・
ナニ・・・・
ククク・・・・ 我ら改造魔人は 大首領JUDO樣 ある限り 何度でも蘇る!!
下等な人間の魂など元より持ち合わせておらぬわ
ダブルライダー!!キサマらの伝説もこれで終わりだ!!
漫画『仮面ライダーSPIRITS』15巻 第38話 過去の切り札 仮面ライダー1号(本郷猛) 仮面ライダー2号 (一文字隼人)デルザー軍団 より
い、いよいよです……!
緊張するね……
うわぁ〜、心臓が飛び出しそうちゃいだよ
おわりましたかおわりましたか……
まだよ!
誰か答えてください!
それじゃ聞こえないでしょ
そそそそうよ。予備予選くらいでなにそんなに緊張してんのよ
そうやね。ウチのカードによると……
よると?あ〜ん!やっぱり聞きたくな〜い!!
キマシタッ!!最終予選進出1チーム目はA-RISE
2チーム目はeast heart
あとは?
3チーム目はミ…midnight cats
ああ〜!!
最後は!?
ん……!4チーム目は……
ミュー……
ミュー…〜〜!!
ん、ああ……?
ミュータント ガールズ!!
ああ……
そそそ、そ……そんなっ〜!!!
っていう夢を見たんだよ!……あれ?
夢なんか〜い!!!!!!!!
アニメ『ラブライブ!(二期)』第四話 宇宙No.1アイドル アバンタイトル 香坂穂乃果 園田海未 南ことり 小泉花陽 星空凛 西木野真姫 矢澤にこ 東條希 絢瀬絵里 より
看板をでかでかと掲げるほど、不定愁訴外来の実存と意義から掛け離れたことはない、というのが表向きの理由だったが、実は本音の理由もそのまんまだった。
不定愁訴外来は日陰の花。人に知られずひっそりと咲く。
それが俺のモットー、いや不定愁訴外来の理念、というヤツだ。
海堂尊『ケルベロスの肖像』5章 廊下トンビの墜落 本文 より
だから 怖いものじゃないって・・・・
なあ・・・・本当に覚えてないのかよ ラジオ・・・・
・・・・あ
チ・・・ チ
あのさ なんで ラジオなんです?
ウホン
マサヒコ それ・・・・貸せや
?・・・・ モグラがラジオ どーすんのさ?
これから俺も 社会で生きていくために 社会勉強しないとな
バッカみたい!!
そりゃ・・・・ ムリでしょ・・・・
え?
説明しましたよね バダンが再生した獣人は過去とは 全く無縁のものだって・・・・
そんな・・・・ ラジオの記憶なんて・・・・
ま・・・・ 臆病な性質は受け継いでいるみたいですがね
ほっといてくれません?
記憶なんかなくったって こいつは俺の「トモダチ」ですから
そいつはなぜ アマゾンに協力したんだ?
村雨・・・・さん
いや・・・・俺はまだ彼の事を知らなくて・・・・な
どうせ捕虜だろ ムリヤリ協力させただけだろ
食料として 取っておいた・・・・とか
愛よ!二匹は愛し合っていたのよ
あ・・・・あんたらなあ
く・・・・苦しいよお 体がひからびてゆく・・・・
!! 水・・・・!? 水だ・・・・
キサマ・・・・ アマゾン・・・・ やめろ・・・・ キサマの情けなど受けるか・・・・
黙れ!! 水・・・・飲む!!
・・・・そうか 会ってみたいな アマゾンという男・・・・
漫画『仮面ライダーSPIRITS』15巻 第40話 ガランダー 村雨良 アマゾン(山本大介) 岡村マサヒコ モグラ獣人(同回想)ウェイ・ペイ SPIRITS隊員 より
「また天馬のヤツが何かやらかしたんですか?」
どうやら東城大では、天馬大吉は札付きの問題児として一目置かれているようだ。
「いや、学習状況とかの話じゃありません。別件でちょっと話を聞きたくて」
俺は医学生の学習状況が悪いからといって、お説教をするようなタイプではない。自分にそんな資格がないことは、俺自身が一番よくわかっている。
学生課の男性事務員は過去の履修表をプリントアウトして手渡しながら言う。
「授業をサボっては留年を繰り返し、放校寸前でかろうじて踏み留まっている怠け者の劣等生ですよ。まあ、最近は少し心を入れ替えたようですが」
履修表を見て、その評価が妥当なことを確認する。だが俺は成績表を改めて詳細に見直して、言う。
「でも、ここ二年はきちんと履修しているようですね」
「どうでしょうねえ。人間の本性ってそんなに簡単に変わりませんですから」
肩をすくめる。学生時代にサボリ魔だった俺は、ひとつ間違えば天馬と同じ運命をたどった可能性もあった。そうならなかったのは高階病院長がいい加減で、かつ度量が大きかったからだ。ただし、そのツケは今も延々と払わされている、というオチがあるのだが。
海堂尊『ケルベロスの肖像』9章 碧翠院の忘れ形見 本文 田口公平 学生課の男性事務員 より
「私は責任なんて、取れません」
俺の言葉を聞いて、渡辺さんはくわっと目を開く。
怒濤の言葉が押し寄せてくる寸前に、ぽん、と蓋をする。
「お薬というのは、もともと毒なんです。ですから正常の人は絶対飲みません。どうして毒を飲むのか。それは毒の害以上に、病気の状態が悪いからです。薬は毒で身体には悪いんですが、病気に対する害の度合いが、身体に対する度合いより強いので、お薬を飲む意義があるのです」
「しかし、そのことで私の身体がダメージを受けたら……」
「ちょっと待ってください。私の言葉はまだ途中です」
俺は渡辺さんの話を途中で遮る。渡辺さんは開きかけた口を開けたまま言葉を止める。根は素直なタイプのようだ。
「渡辺さんのお身体を治すのはお薬ではありません。渡辺さん自身の身体が治すお手伝いをするだけです。今回、渡辺さんの身体を治す薬を見つけながら、副作用でその薬が使えなくなってしまいます。薬はこれまでな医学の叡智(えいち)の賜物で、ひとつがダメならすぐに次というわけにはいきません。ですから微量成分によるアレルギーの可能性が考えられる以上、まずそれを除外してみる必要があるんです」
渡辺さんは頑迷な表情を浮かべ、きっぱり言う。
「それはムダです。私の身体は、この薬が問題だと叫び続けていますから」
「でも、夜は眠れているようですから、掻痒感は我慢できないほどでもなさそうです。なので、新しいお薬は必ず飲み続けてください。二週間後、もう一度、診察します」
俺はさらさらと処方箋を書き上げ、渡辺さんに手渡した。
「これは私の勘ですが、今回のお薬では身体は痒くならないと思いますよ」
渡辺金之助さんは、釈然としないという表情でありありと浮かべながら俺を見つめていたが、結局はその処方箋をひっ掴んで出て行った。
兵藤クンは閉ざされた扉を見つめていたが、やがてため息を吐く。
「僕、田口先生が、患者さんにあんなにキツく物を言ったのを初めて聞きました」
「だろうな。俺もあそこまでキッパリ言ったのは、初めてだから」
俺が責任者を努めている不定愁訴外来では、相手の言葉に耳を傾けるのが大原則だ。俺は忍耐力がある方で、そうしたことは苦にならない。だがそんな俺も例外的な対応することも、ごく稀にある。それがさっきのような、他人の言葉に耳を貸さない患者が相手の場合だ。
海堂尊『ケルベロスの肖像』5章 廊下トンビの墜落 本文 田口公平 兵藤勉 渡辺金之助 より
桜宮岬に設置されたAiセンターに、我々の車が到着したのはそれから二時間後、陽が傾き、夕方の帳(とばり)が包み始めた頃だった。
夕闇の中、車から降りた高階病院長が、薄暗い空に浮かび上がった天空に屹立(きつりつ)するジャックナイフのような塔の輪郭を指して言った。
「あれがAiセンターです」
すると東堂が両手を広げて言う。
「ファンタスティックだな。ここがミーの職場になるのか?」
高階病院長はうなずく。
「ここも拠点ですが、東城大の画像診断ユニットに遠隔診断ネットを構築しますので、大学でも業務が可能になります」
「WOW(ワォ)、そいつはすごい。一発で気に入りはったどすえ」
なぜに京都弁?東堂の常人離れした独自の思考についていくので精一杯の俺だが、とりあえずノーベル賞候補最右翼の大物に気に入ってもらえてほっとする。
しみじみと塔を眺めていた東堂は、俺に向かって言う。
「このタワーはシャープにしてグロテスクなスネイル(かたつむり)だな」
俺は呆然とする。この塔が、かつてこの岬を睥睨した碧翠院のフォルムを踏襲したらしいことを、東堂は知る由もない。にもかかわらず、碧翠院が持っている秘められた怨念を嗅ぎ当てた東堂の嗅覚は恐るべし、だ。
車から降りる時、東堂ウルトラ・スーパーバイザーはとりあえず俺の頭に載せたカウボーイハットを取り上げ、自分の頭に載せた。その行動の真意を付度すれば、単なる帽子置き場から、マイボスという名の地位に実質的には多少なりとも近づけたようだ、とも思ったが、それは単なるうぬぼれかもしれない。
海堂尊『ケルベロスの肖像』7章 東堂サプライズ 田口公平 高階権太 東堂文昭 より
兵藤の院内における評価は、“お調子者の廊下トンビ”というものだ。だが兵藤が患者とトラブルを起こすことは滅多になかった。口先から生まれたようなヤツだからあることないことをぺらぺらと喋りまくるものの、気のいいヤツなので患者受けもよく地雷を踏むこともないのだ。
「お前が患者ともめれなんて珍しいな」
「実はこの患者、モンスターなんです」
「モンスター?クレイマーとは違うのか?」
「ちょっと違います。何というか、医学知識おたくで、自分の病気に調べ上げ、僕がちょっと違うことを言うと、途端に厳しく追及してくるんです」
「ほう、勉強家の患者なんだな」
「そうなんですけど、ちょっと度を超しているんです。ナースステーションや医局で盗み聞きしたり、カルテを覗き見したりと、とにかく情報収集欲がものすごいんです。何でも、昔は社会部の新聞記者だったらしくて……」
「なるほど、そいつは大変だ」
昨今、ネットの情報革命によって医療に対する社会の姿勢は大きく変わった。
そのひとつの原因に、これまで専門家しか知り得なかった専門知識がネットで労せずに獲得できてしまうという現状が挙げられる。だが検索で得る知識は実体験の裏打ちがないため、あまり有効に機能せず、結局は経験がものをいう専門職の必要性は損なわれていない。ただし、素人にはそのあたりの阿吽の呼吸がわからない。
つまり“生兵法は怪我の元”という格言を地で行く医療素人が増えているわけだ。
病気に罹ると、誰しも自己防衛本能に刺激されて知識欲が異常に高まる。それがきわめて稀で、かつ軽微な疾病だったりすると、専門職である医師の関心が低いため、意欲のある素人が知識量で凌駕しとしまうこともある。すると診療現場で、主治医が患者から病気についてレクチャーしてしまうという悲喜劇が起こる。
そこまでなら、まだ可愛いものだ。
そうした検索知識の中には、あまりに先鋭的すぎて、臨床現場ではとても使えないようなものも混じっている。そんな専門家の説明を無視し、検索知識に固執し、声高に治療方針に異議を唱え、自分の主張を押し通そうとする患者がいる。
そうした患者は、情報モンスターと呼ばれている。
海堂尊『ケルベロスの肖像』5章 廊下トンビの墜落 本文 田口公平 兵藤勉 より
三人のクレームが一斉に噴出した後、黒崎教授がコメントを取りまとめる。
「お前のように頼りないヤツに率いられるとは、東城大もとんだ災難だ。仕方がないからワシたちが、お前が転ばぬように、みっちりと監視してやる」
振り返ると、高階病院長は新たな煙草に火を点けながら、苦笑している。
部下が上司よりふんぞり返るであろう、そんな連中を引き連れて、一度は潰れた東城大学医学部付属病院の復興をしなければならないなんて、茨の道どころか、ガラスの破片があふれる瓦礫の山を裸足で歩くようなものだろう。
だが、それもいいではないか。所詮この世はそんなものだから。
俺は病院長室の窓に歩み寄ると、窓の外の景色を眺めた。
自分の姿をハーフミラーになった窓に映し見る。すと一瞬、俺の姿が三つ頭のケルベロスに見えた。これから俺は冥界と現世の間を行き来する番犬になるのだろう。
あるいは、大学病院と市民社会の境界線を綱渡りするピエロだろうか。
いずれにしても、長く険しい道になることは間違いない。
だが、俺は覚悟を決めた。
心配ない。いつでも俺は、そうやって綱渡りで生きてきたのだ。
振り返ると俺は、大勢の人々の温かい視線に包まれていた。
思わず照れてしまい、再び窓の外に視線を投げる。
ふと、この窓から見える桜宮の風景が大好きだったという古い記憶を思い出す。
院長代行になるということは、この窓からの景色を独り占めできるということだ、と気付いて呆然とする。それは長い間ずっと、叶わぬ望みだと思っていたからだ。
願いごとは叶う。ただし半分だけ。そして肝心の願いごとを忘れ果てた頃に。
どうやらそれが俺の宿命らしい。
桜宮湾の水平線がきらりと輝いた。
眼下では今、暑かった夏が終わろうとしていた。
海堂尊『ケルベロスの肖像』最終章 東城大よ、永遠に 本文 田口公平 黒崎誠一郎 より
1974◆中学。夏の間しか稼働しない水泳部に入部。
『刑事コロンボ』にハマる。ノベライズを全巻読破。連動して、エラリー・クィーンなど海外ミステリーにハマる。あと、筒井康隆にハマる。
生徒会役員に立候補(させられ)、性格に合わない、「会計」に当選する。生徒総会で、会計報告の数字が合わないことを指摘され、「計算機が間違っていました」という答弁で乗り切る。だって本当なんだもの。当時の電卓は四〇項目の足し算をすると、毎回数字が違っていた。これは言い訳でなく事実である。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』History 海堂尊物語 義務教育時代 本文 より
1995◆結婚をした。やがて私は論理ではどうにもならないことを思い知らされる。翌年、第一子が生まれる。人格として相手を認める気になる最低限の条件は、シモの世話を自分でできることだ、と心底実感する。
瀬名秀明さんの『パラサイト・イヴ』が大ベストセラーとなり、小説の舞台と同じ分子生物学教室で研究をしていたこともあって、これくらいなら自分にも書けると思い込み書き始める。「健康な男子がある日怪我をし、入院先の病院で真面目な看護婦が一生懸命ケアしてくれるのに、何故か怪我がどんどん病状が悪化していく」という物語を何も考えずに書き始め、五枚で挫折。この程度の思いつきで小説を書けると信じていた。あの頃の自分の能天気さが信じられない。だかふと、今も同じようにやっている自分に気づき愕然とする。
この時のプロットは十年後『螺鈿迷宮』として復活する。『螺鈿迷宮』は構想十年というホラを吹いたが、ウソではない。それにしても、どうしてある日突然書けるようになったのだろう。謎だ?
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』History 海堂尊物語 大学院生時代(外科医+病理医) より
2003◆某医療系雑誌で「治療効果判定病理学」なる連載を始める。
Aiについての世界初の英語論文が受理される。
筑波メディカルセンター病院でAiと類似概念であるPMCT(検死CT)を実施していることを知り、責任者のS先生に会いに行く。この時S先生が「十年後にAiの厚生労働省研究班でも立ち上がるといいですね」と言ったので、私は「五年以内に立ち上がりますよ」と予言した。後に私の予言は的中する(というか、強制的中させた?)。ただし、当たったのは半分だったが。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』History 海堂尊物語 病理医時代 より
11月『ブラックペアン1988』文庫化にあたり、映画「バチスタ」で桐生役の吉川晃司さんと対談。吉川さんにしみじみと「海堂さんってひょっとしてバカなんですかね」と言われた時は、その言葉、そっくりお返ししたい、と思ったが気の弱い私は口にだせなかった。やはり吉川晃司、『あばれはっちゃく』だ。
二度目の「たかじんのそこまで言って委員会」に出演。今度は声が出たので、ばきばき言いまくる。死因究明の議論なら、相手が誰でも負ける気がしねえ(by土屋アンナ@下妻物語)。講演七ヵ所。かなりへばる。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』History 海堂尊物語 2009◆海堂尊・4歳 より
ためらいながら、重い足取りで階段を上がり続けた俺は、ようやくその部屋にたどりついた。重い扉を押し開くと、薄暗い部屋に灯りが点る。人感センサーらしい。
灯りに照らし出された大講堂の内部を見て、息を呑む。
天井には青を基調としたフレスコ画が描かれている。天使と女神がたわむれるモチーフは、なだからな曲面で側壁に移行し、十二枚の扉には世界各地の神話の寓意が描かれている。つまりこの部屋は、十二の神話で支えられているわけだ。
よく見るとそれらはタイルを細かく貼り付けたモザイクでできている。
ステージ左側は三つ頭の犬、ケルベロスがモチーフになっていることに気がつく。“ケルベロスの塔を破壊する”という脅迫状の文言が浮かぶ。
その反対側、ステージ右側には美しい女性の半裸像が配置されていた。笑みを浮かべたふくよかな笑顔には笑窪(えくぼ)が浮かんでいる。その目は真っ直ぐに、身を低くしたら今にも飛びかかってきそうな猛犬に注がれている。愛の女神、プシュケだろうか。
碧翠院をなぞった構造のAiセンターだが、この部屋の内装だけはまったく違う。----この季節、この時間に、この窓から見える桜宮湾はきらきらしてとても綺麗なの。跳ね返りで俺に逆らってばかりいたその女性が、はにかんで告げた表情を、今でも、ありありと思い浮かべることができる。
海風の通り道だからとっても涼しいのよ、とも教えてくれたその部屋は確かに、真夏にもかかわらず今もひんやりしていた。
海堂尊『ケルベロスの肖像』19章 司法解剖が見落とした虐待 本文 より
ここがにこちゃんの家?
弟の虎太郎です
ばっくだんさー……。うん!
あはは、こんにちは……
お姉さまは普段は事務所が用意したウォーターフロントのマンションを使っているのですが、夜だけここに帰ってきます。
ウォーターフロントてどこよ?
もちろん秘密です。マスコミに嗅ぎ付けられたら大変ですから。
あはは……
どうしてこんなに信じちゃっているんだろう
u’sの写真や動画を見れば私たちがバックダンサーでないことくらいすぐわかるはずなのに
ねぇ、虎太郎くん。お姉ちゃんが歌ってるところとか見たことある?
あれ〜
ん?u’sのポスターだ!
いや、なんかおかしい!
え!?
合成っ!?
ああ……
ここがにこちゃんの部屋?
これ、私の顔と入れ替えてある
こっちもにゃあ!
わざわざこんなことまで……
涙ぐましいというか
アニメ『ラブライブ(二期)』第四話 宇宙No.1アイドル 高坂穂乃果 園田海未 南ことり 小泉花陽 星空凛 西木野真姫 矢澤にこ 東條希 絢瀬絵里 矢澤ココロ 矢澤虎太郎 より
季節はあの日と同じだが、この部屋に海風が吹き抜けることはもうない。
俺の中に保存されていた古い音源が、ところどころ雑音で途切れながら再生される。
----旧陸軍が設計したこの病院は、ある仕組みで簡単に崩れてしまいます。
どうしてあの時、あの女性はあんなに嬉しく笑ったのだろう。まるで破滅の闇をスキップしながら歩くのが楽しくて仕方がない、という様子で。
そう考えたその時、初めて俺は、記憶に保存されていた言葉がひとりのものではなく、ふたり分の女性の言葉が入り混じっていたものだったということに気がついた。
するとあの時、この部屋に俺は、ふたりの女性と一緒にいたのだろうか?
すっかりその事実を忘れ去ってしまっていた自分の記憶の曖昧さに愕然とする。
自分の記憶でさえ定かでないというのであれば、俺は一体この先何を信じていけばいいのだろう。
記憶の中の画像には、明るい瞳をした跳ね返りの女性の姿しか映っていない。かくの如く記憶というものは、いともたやすく捏造されるものなのだ。
封印されていた古い記憶が、建物の構造と共鳴して呼び起こされ、古傷のように苛む。これ一体、何の因果だろう。
遠のいていく記憶を追って深い淵に沈潜し、自分を見失いそうになる。
俺は静かに部屋を出た。胸にうずく、古傷の痛みに耐えながら。
海堂尊『ケルベロスの肖像』19章 司法解剖が見落とした虐待 本文 342の続き より
島津がライスケーキ症例で気道が確保されている事実を呈示すると、観客席から嘆息が漏れた。真っ先に反応したのは、医療事故被害者の会の飯沼さんだった。
「素晴らしいです。こうして死因が市民社会に呈示され、それに対し説明が加えられると、医療の質の向上に役立つでしょうね」
すると白いマスクを装着した医療ジャーナリスト、西園寺さやかが音声サポートシステムを稼働させ、電子音声で答えた。
「真実ガ、露呈スルノハ、素晴ラシイ、コトデス。デモ、望マヌ過去マデモ、露呈サレル、危険ガ、常ニ、ツキマトウ、デショウ」
それが一体、誰に向けられた発言なのか、誰にも理解できなかった。
海堂尊『ケルベロスの肖像』22章 サプリイメージ・コンバート(SIC) 本文 西園寺さやか 飯沼さん より
袋の鼠か・・・・
!!
10分隊だ 10分隊が 一方的に・・・・
あれは・・・・
まずい・・・・ ローターが・・・・
!?
ヌ・・・・ウ ウッ ウウ・・・ウ
行こうか 他のライダーも動き始めている
そして・・・・
10人目の仮面ライダーも
10人目・・・・ 「ゼクロス」
あちあち
!!
モグラ 急げ!!
モグラ・・・・ オレ・・・・「アマゾン」!!
ダメなんだよ・・そいつ バダンの再生怪人ってだけで・・・・
別人っていうか・・
俺達の知ってるモグラは・・・ 死んじまったまま・・
・・なんだ
チ・・チチ・・
・・・・・・・・そうか
あれが「アマゾン」・・・・
六番目の仮面ライダーか・・か
ゼクロス
守るぞ・・・・!!
漫画『仮面ライダーSPIRITS』15巻 第40話 ガランダー 仮面ライダーZX(村雨良) 仮面ライダーアマゾン(山本大介) 滝和也 岡村マサヒコ モグラ獣人 仮面ライダーX(神敬介・回想) SPIRITS6分隊 10分隊 より
「旧厚生省の名誉挽回やて?何や、それは?」
白鳥はうっすらと笑って、坂田局長の顔を覗き込んだ。
「二十年前、駆け出しの医系技官と体制護持に走った外科医がが共謀して、桜宮に花開こうとした桜の樹を無理やり引っこ抜いた、例の一件ですよ。今でも僕は、もしあの時に桜が植えられていたら、と夢見ることがあるんです」
坂田局長は目を固くつむって押し黙る。
海堂尊『ケルベロスの肖像』8章 霞が関のアリジコク 本文 白鳥圭輔 坂田寛平 より
上下巻には後日談がある。『バチスタ』が文庫化される際、宝島社は上下巻を提案してきた。さすがに論理的一貫性がないではないか、と編集Sさんに詰め寄ると、Sさんはあっさり答えた。「これは社の専権事項です」
なおも食い下がる私にぼそりと言う。
「文庫本のスタンダードサイズはこの厚さが一番美しいんです」
あう。世の中、私のロジックは通じない。
この物語で、『ハイパーマン・バッカス』なるウルトラマンのパクリ作品を登場させたところ、一部読者からかなり好評だった。当初はウルトラマン・バッカスとして円谷プロで映像化を目指した野心満々の企画だったが、「著作権上、問題なので絶対変えなさない」とI局長に言われ、泣く泣く変えた。私は編集さんのチェックも校正さんの指摘は九割は採用し、一割は我を通す。その一割は曲げたことがないが、唯一の例外がこのウルトラマン問題だ。ああ、円谷プロで見たかった。だが私にも意地がある。いつの日か書き下ろし作品を特撮ドラマにしよう、と一回り大きな野心を抱いて、挫折感に折り合いをつけた。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』自作解説 2『ナイチンゲールの沈黙』(宝島社)本文 より
ど真ん中の剛速球、あとは野となれ山となれ、という気持ちで一気に書き上げた。脱稿寸前の六月『ナイチンゲール』進行を止め、一気に『ジェネラル』を書いた。苦労はすべて『ナイチンゲール』が引き受けてくれた。糟糠(そうこう)の妻である。モチーフは「飛ばないドクター・ヘリ」だ。NPO法人・ヘムネットの國松理事長とお会いした後、「吊るし」にあっていたドクター・ヘリ法案が国会を通過した。
◆格言3 江戸の仇を長崎で討つ(ちょっと違うかも)
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』自作解説 3『ジェネラルの凱旋』(宝島社)本文 より
書いていて、いちばん楽しかった作品。昔の記憶だけで書き上げたため取材ゼロ。要は過去にそれくらい剣道に打ち込んだということだ。
(略)
単行本化の際に、速水の章を一人称から三人称に変更した。実に手の掛かる御仁である。
ブログ書評などでは、脇構えとか八相がなんてリアルじゃない、ファンタジーという感想があがったが、物語とはそういう荒唐無稽なものが、いけしゃあしゃあと展開するのが楽しいんだと思うんですけど、私。
ちなみに私は剣道三段である。だから脇構えや八相の構えが実戦では絶対に出現しないなんてことは、よーく知っているのである。そして日本剣道型にはきちんと保存されている、ということだって、よーく知っているのだ。
◆格言8 無念無想
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』自作解説 8『ひかりの剣』(文藝春秋) 本文 より
(略)
取材後、あまりに夕張を意識しすぎた作品はやめようと思った。夕張で起こった医療問題は実は日本中の地域で起こっている普遍的な事態なので、夕張に囚われすぎると一般性は消失する。そこで北海道の架空都市、極北市にに舞台設定し公立病院が潰れるというセンセーショナルな物語にしようと考えた。ところが私の物語の中ではよくあることだが、物語が直後に現実化した。千葉の銚子市立病院の閉鎖問題が起こった。『極北クレイマー』連載中で、このままでは銚子市立病院事件をひき写したとだけと思われてしまうと焦ったりしたが、何しろ連載は週一回、どうにもならない。目の前でフィクションが現実に追い抜かれていくのを指をくわえて見送るしかなかった。
◆格言13 兵は拙速を尊ぶ
週刊誌連載は楽しかった。深津千鶴さんのイラストが楽しみで、駅の売店でちら見をすると立ち読みしてしまう。自分が書いたはずなのに……。バカである。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』13『極北クレイマー』(朝日新聞出版)本文 より
(略)
それにしても『バチスタ』を書いた頃、私の物語は現実を一〜二年先行していると自負していたが、このあたりで現実の速度に創作スピードが追いつかなくなりつつあった。
物語と現実未来が融合してゆく感覚を何度か経験した。これが物語の予見性というものだろう。精微に現実を写し取ったフィクションは、時に未来を創造するものなのだ。なんちて。
帯には「厚生労働省をブッつぶせ」なる過激な惹句が踊ったが、この帯は編集Sさんの専権事項で、私の意思ではない。直後に厚労省元技官の連続殺傷事件が起こり、とばっちりが飛び火するんじゃないかとびくびくした。結局事件は単なる通り魔だったが、そもそも誤報に近い見込み報道が受用されたのは、社会の空気を反映しているからだ。ああいうテロ類似行為の暴力行為は絶対に許されるべきではない。どれほど厚労省が腐敗していたとしても、言論と論理で追いつめればいいだけのことだ。
「厚生労働省をブッつぶせ」は、実力行使ではなく言論と事実呈示で自然に導かれるゴールなのだ。現実のイノセント・ゲリラにとって、テロ類似行為は迷惑千万なのだ。
(略)
◆格言14 義を見てせざるは勇無きけり
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』14『イノセント・ゲリラの祝祭』(宝島社)より
海堂作品はミステリーじゃない、という声が聞こえ始めていた頃なので、一度きちんとミステリーを書いてみたかった。どうせ書くならオファーをいただいた中では東京創元社さんだ。何しろ『ミステリ・フロンティア』、これならさすがにミステリーと認知されるだろう。我ながら負けず嫌いである。
(略)
コンゲームを書いてみたかった。私の中でのコンゲーム最高傑作は初期ルパン三世テレビ版だ。まあ私の教養などはその程度である。そんな折、一億円の地域振興費の記事を読んだ。土佐高知の金のマグロ像が盗まれたという話が面白く、その時、黄金でできた地球儀のイメージがぽっかり浮かび、あっという間にストーリーが出来上がった。
(略)
よろよろと書き上げた時、自分はつじつま合わせの天才だと思った。でも残念ながら『このミス』にはかすりもしなかった(泣)。
◆格言9 捕らぬタヌキの皮算用
作品自体の評価は二分している。他の作品を読んできた人にはおおむね不評である。だが、この本から入った人にはかなり好評だったりする。そしてこの作品から他へ流れていった人は、逆に他の作品を読んでおったまげているらしい。
こうしたこともシリーズ物の功罪なんだろう、と思う。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』自作解説 9『夢見る黄金地球儀』(東京創元ミステリ・フロンティア) 本文 より
『ジーン・ワルツ』を出産、じゃなくて出版した後、続編依頼に生返事していたが、ある日とうとう逃げきれなくなってしまった。
(略)
最初はなかなか話が進まない。何しろ結末がわかっているから、推進する意欲が湧かないこと甚だしい。ところが連載ニ、三回を過ぎたあたりから、物語の主人公の母親が暴走し始めた。あっちこっちをうろうろして、物語世界を嗅ぎ回るのだ。一見地味な、老年に近いおばさんのパワーが物語の本筋を翻弄し始めて、最後にはどんな風に決着をつけるんだ、と他人事ながら心配になった。いや、もちろん結末は知っているのだが、このまま無事にたどりつくとは思えず、少々焦った。なのに、きわめてナチュラルな結末に着地したのには、筆者である私がいちばん驚いた。
(略)
代理母問題は繊細な問題を孕んでいる。社会の対応も一貫しないし、そもそも誰が責任もって考えているのかすらはっきりしない。最前線の問題が無責任状態におかれるのが日本社会のデフォルトであるなら、それに対し異議を唱えることは社会のためだ。根津先生のような方がいらっしゃることに市民社会は感謝すべきだろう。
だが、そんな私個人の感情とはうらはらに、物語は能天気に進んだ。小説とは、そのようなものである。医学に尊厳があるように、小説には小説の尊厳があり、両者は必ずしも一致しないのだ。
◆格言 はるのうみ ひねもすのたりのたりかな(蕪村)(読めばわかる)
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』自作解説 28『マドンナ・ヴェルデ』(新潮社)より
いいかげんなヤツばっかでも
くそまじめだけでも
世界は完璧にならない。
神様はえらい。
NHK Eテレ『ヨーコさんの“言葉”』第7話 「神様はえらい」より
病院長室の扉を開けると、そこにヤンチャ坊主が座っていた。
机に足を長々と投げ出している。私を見て、あわて居住まいを正そうとするが、今さら間に合うはずがない。
コイツときたら、どこにいても思い通りにふるまわないと気が済まない困り者だ。
だが、コイツには何を言っても無駄だ。何しろ、天上天下唯我独尊なのだから。
(略)
「いかがですか、北は?」
院内で不始末をしたコイツを、私は北の果てに飛ばした。
苦汁の決断だった。ヤツの行為は間違いなく独断専行であったが。たが、おかげで救われた命もあったのだから。
社会や組織では、正義が勝つとは限らない。
そんなことはわかっている。だが……。
暗くなる気持ちを忘れようと、軽口を叩いてみる。
「君は寒いのが苦手だというウワサでしたが、お元気で何よりですね」
半分は本音だ。コイツの悪友の機転で、関連病院への出向で済んだのは不幸中の幸いだった。コイツにとって最大の誤算だったようだが。
それにしても、これだけ存在感のある代物を前にしながら、何も言わないのはどういうつもりだろう。
ひょっとしてこれは、新手の嫌がらせだろうか。
私は机の上を見て、口を開きかけるが、黙り込む。
(略)
「あと少しだけ、お時間をいただけませんか?」
ちらりと時計を見る。時間に正確な娘だから、今頃は病院長室の前の廊下を歩いているに違いない。
そろそろ種明かしをしてもいい頃合いだろう。私は何としても、コイツがあわてふためく様を、この目で見てみたいのだ。
(略)
「今からお見えになるのは、君がおいてけぼりにしたあの娘です。今度、新師長に任命しました。君からも是非、お祝いを言ってあげてください」
ヤンチャ坊主が腰をぬかしそうになるのが手に取るようにわかる。
あわてふためいて、立ち上がろうとするヤツを見て、微笑する。命がけの修羅場では軽々と行動するクセに、それ以外では相変わらずからっきしなんだな、思う。
煙草に火をつけ、深々と吸い込む。
旨い。
ヤンチャ坊主がドアノブに手をかける。そこにノックの音が重なった。
ゆっくりと扉が開く。
固まってしまったヤツの後ろ姿を見つめながら、私は頬にひっそりと、会心の笑みを浮かべた。
海堂尊『ケルベロスの肖像』ボーナストラック Nonsmoker’s View 古巣への帰還 本文 高階権太 速水晃一 より
突然、病院長室の扉が開いた。
あわてて居住まいを正そうとするが、間に合わない。俺は、行儀悪くソファに沈み込み、足を長々と机に投げ出していた。
まったく、この人はいつも唐突に現れるから困るんだよ。
といってもここは病院長室だから病院長は自室に戻ってきただけ、それを突然だとか、いきなり失礼などと責めるわけにもいかない。
失礼なのは勝手に病院長室に入り込み、勝手にくつろいでたのは俺の方だ。この状況では、どんな風にとがめ立てされたとしても、文句は言えない。
病院長は俺を見て目を見開いたが、すぐに微笑し「ほう、千客万来ですな」と呟いて、机に歩み寄る。
千客万来って、客は俺しかいないのでは、思ったが黙っていた。
そんな自分は今や、行儀の悪さでは招かれざる客になってしまっているわけだし。
(略)
俺はこの病院でどでかい不始末をしでかし、最果ての病院に飛ばされた。
その処分に不満はない。飛ばされても仕方がないようなこてをしたのだからそのこと自体に文句はない。
だが……。
「君は寒いのが苦手だというウワサでしたが、お元気そうで何よりです」
やっぱり知っていやがったんだな、この人は。
俺はげんなりして病院長の顔を見る。
そう、俺は寒いのが大の苦手だ。
だから不祥事の責任を取って大学病院を辞職したら、南の方の病院でのんびり過ごそうと目論んでいた。なのに俺を大学に縛り付けておくために、病院長とつるんだ俺の悪友がしゃしゃり出てきて、北の果ての関連病院という、俺の希望と正反対の環境に飛ばしやがった、というわけだ。
病院長は机の上の代物を見て何か言いたげたったが、口を開きかけて途中で止める。
(略)
こういう時に限ってチュッパチャプスを切らしている。病院長も内ポケットから煙草を取り出すが、空箱だったらしく握りつぶしてゴミ箱に捨てる。
それからふと思いついたように、引き出しを開ける。
予備の煙草と一緒に取り出したのは二本のチュッパチャプスだ。
そのうち一本を俺に差し出す。
「どうも」
コーラ味は苦手なんだよな、と思いながらも、俺は礼を言って受け取る。そしてふたりして棒付きのアメを舐める。
(略)
しかし、男ふたりがアメ玉をしゃぶっている図はどうにも様にならない。
こういう時は、せめて煙草を吸えればよかったな、なんて思ってしまう。
(略)
「君がいてくれないと私が怒られてしまいます。今からお見えになるのは、君がおいてけぼりにしたあの娘です。今度、新師長に任命しました。君からもお祝いの言葉を言ってあげてください」
俺は腰を抜かしそうになる。
冗談じゃない。今の俺が、どんな顔してアイツに会えるというんだ。
俺はようやく、「千客万来ですね」という、最初の病院長の言葉の真意を理解した。
あわてふためく俺を見て、病院長は、いつのまにかくわえていた煙草から、紫煙をくゆらせる。
余裕しゃくしゃくで、実に旨そうに吸ってやがる。まったく、油断も隙もありゃしない。
急いでドアノブに手をかける。その時、扉の向こうでノックの音がした。
固まってしまった俺の目の前で、ゆっくりと扉が開いていく。
俺は背中に、いじわるな、だが楽しそうな病院長の視線を感じる。
海堂尊『ケルベロスの肖像』ボーナストラック それから…… Nosmoker’View 古巣への帰還(上のタイトルは突然の来訪者) 速水晃一 高階権太 より
一文字さん・・・・ た・・・・ 助けて・・・・!!
!?
千恵さんか!?
どうした!? 今どこにいる!?
私達・・・・ 情報のあった教会に潜入して・・・・
でも・・・・ その情報は 罠で・・・・・
バッ バカヤロウ!!
いやあああ
森丘さん 丸山さん 赤井さん・・・・
あと・・・・ 二人・・・・
む・・・・ 無力・・・・ なんて・・・・ 無力だ・・・・
やはり 人間の力では ショッカーを叩く事などできないのか
何故だ
何故 キサマらは平和に暮らそうとしている人々を殺すんだ
「何故」?愚問だ
我がショッカーが求めるは「力」 「力」あるものが「力」なきものを贄(にえ)とし 次なる理想を望むのだ
弱き者よ キサマらはなにをしにここにきた?
その脆弱な怒りと肉体で
哀れなり人間 親の 子の 友の そして己の血をも 塗り重ねて 我らが強さの足跡となれ
!!
誰だ!!
仮面ライダー
!! ・・・・じゃ ねえけどよ
一文字さん!!
!!
どうした・・・・ 一人で死ぬのが怖くて わざわざ処刑されにきたか・・・・
汚職・・・・ 公害 詐欺 エログロ 傷害 殺人
この世には救えねえ事が多すぎる
だったら 剣よりペン
真実を暴くやり方を選んだつもりだった
だがよ・・・・
んなこたあ どうでもよくなったぜ!!
キサマ
何者だ
俺か
俺は・・・・ 柔道六段 空手五段
人間
一文字隼人
「一文字隼人」・・・・か
ククク 面白い素材だ
こやつこそ あの「仮面ライダー」を抹殺するための「更なる男」に相応しい・・・・!!
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』一巻 第1話 孤独 一文字隼人 死神博士 ショッカー被害者 再生怪人軍団 より
----そういう新堀さんの地道な努力が『仮面ライダーアマゾン』の抜擢に繋がったんだと思いますが、あれはどのような形で決まったんですか?
あのときも師匠の高橋さんが推してくださったんです。「新堀も良くなってきたし、試しにやらせてみよう」と。それはそれで有り難かったんですけど、最初に聞いたイメージが「バッタではなくイモリのようなスタイル」「地べたをはいずるように動く」「殴る・蹴るのではなく、引っかく・噛みつく」といった感じでね。これまでの仮面ライダーとは全然イメージが違うわけですよ。だからと言ってそのまんまやるわけにもいきませんし、自分としてもかなり迷いながらポーズを作っていきました。
俺は身体が柔らかかったので、アマゾン独特の足を広げる構えはあまり苦になりませんでした。中屋敷さんからも「お前は低く構えても絵になる」って言われましたよました首と手が長くて、胴が長かったからなんでしょうけど(笑)。
(略)
----すでにその頃から後進の育成に当たってらっしゃったんですね。ちなみに2008年には仮面ライダーアーク役として-17年ぶりにスーツアクターに復帰されましたね。
いやぁ、本当はウチの矢部(敬三)がやる予定だったんですけど、舞台の都合でどうしても無理だということになってしまった。それで冗談半分に「何でしたら俺がやりましょうか?」って言ったら、「え、やってくれるんですか!?」という話になってしまって……。まさかこの歳でまた仮面ライダーに入るとは思ってもみませんでした。
(略)
ただ、アークの変身前を演じている堀内健くんがアマゾンの大ファンだったらしくて、撮影の合間にはその話で大盛り上がり。おかげでリラックスして演じることが出来ました。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』15巻 巻末特別インタビュー 仮面ライダーアマゾン スーツアクター役 新堀和男 より
村枝:たしかに『V3』の後半あたりから「マジンガーZ」が台頭してきましたよね。だからといってライダー人気が下がってきてるだなんて感じは、まったくありませんでしたよ。少なくとも俺的には『ストロンガー』まではイケイケの状態だった。
鈴木:うん、わたしもそうでした。次の『アマゾン』についてはちょっとダメでしたけど、特別、ライダー人気が落ちているという感覚はありませんでした。そもそもアニメと実写では比較対象が違いますしね。
内田:そうかあ・・・・やっぱり業界というのは過敏に反応しすぎるのかもなあ。
鈴木:2〜3年経って振り返ってみればわかることなんでしょうけど、現在進行形で観ているわたしたちには伝わってこない情報ですよね。当時は今みたいにネットがあるわけじゃないし、マジンガーが出てきたことでライダーが脅かされているだなんて夢にも思わないわけですよ。むしろ「いろいろ出てきて楽しいじゃん」くらいの感じで。
村枝:たとえば『V3』という番組にしたって、V3だけがヒーローじゃない。そこには1号と2号もいるわけです。『X』なら1号からライダーマンまで、プラス4人の仮面ライダーがいる。そういう足し算で成り立っている世界ですから、パワーアップこそすれ、人気が落ちてるだなんて感覚がないんですよ。
もっというと、ライダーってタテ社会じゃないですか。新しい仮面ライダーがどんなに強くたって、元祖であり先輩である1号の地位は決して揺るがない。それはそのまま2号、V3、ライダーマン・・・・と、絶対的な序列にも繋がっている。歴史的な厚みが違うだけなんです。それはウルトラも同じ。この2大シリーズだけは別格なんですよね。
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』2巻 「仮面ライダー」Time Slip 座談会 鈴木美潮 内田有作 村枝賢一 より
実は『SPIRITS』のファンには現平成ライダーのスタッフも多い。『劇場版 仮面ライダー電王』の長石多可男監督は、熱烈ファンを自認してやまないし、田崎竜太監督もその1人である。田崎監督の最新作『仮面ライダー THE NEXT』が10月27日より劇場公開されるが、その作品中にも『SPIRITS』の影響が色濃く出ているシーンがある。それは2号ライダーが仮面越しに吐血するという場面なのだが、今巻に収録されているV3でも描写されているような、仮面の口元から血を流すライダーからの発想である。こういったシーンは今までの映像では存在しない。村枝さんの描写がなかったらそんなシーンは撮影されなかったろう。『SPIRITS』が映像にまで影響を与えだしたのだ。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』13巻 あとがき 『永遠の仮面ライダー』早瀬マサト(石森プロ)より
穂乃果ちゃん達は野生のちんすこう探しに夢中でライブのことなんてすっかり忘れてるやろうから。にこっち達がしっかりしといてね♪
野生のちんすこうてなによ?
アニメ『ラブライブ(二期)』第5話 新しいあたし 東條希 矢澤にこ より
背を向けた宇佐見に、斑鳩が言う。
「ただ、お出かけになる前に、東城大内部の不穏な動静には充分目を光らせてください。あの方たちはしたたかで油断できない。一番与しやすそうな田口医師でさえ、雪月下殺人事件で目をみはる判断をしていますし、厚労省の火喰い鳥、白鳥技官には以前、省庁横断連絡会議設置の際に煮え湯を飲まされています。彦根先生に至っては先だって、我々の牙城・極北市監察医務院を徹底的に破壊されました。こう考えるっ東城大エーアイセンターはすさまじい潜在力を秘めた、医療界最強のディフェンス・ラインになり得る人材が集結している。このまま育てば司法の脅威となり、実に危険な兆候です。ゆめゆめ、決して舐めないように」
海堂尊『アリアドネの弾丸』23章 報道抑制 斑鳩芳正 より
お店に入っちゃったよ
なんで後つけるの?
だって怪しいだもん!まさか、ここでバイトしてるとか?
にこにこ♪に〜ん♪今日のお肉はにこでにこにこ♪2525円!!
ハマりすぎだにゃ〜!
待って!ちがうみたいよ
えっ!?
ふつうに買い物してるみたいですね
なんだ。ただの夕飯のお買い物か
でも、それだけで練習を休むでしょうか?
ラブライブ出場が決まって気合いも入ってるはずなのに……
よほど大切な人が来てるとか?
どうしても手料理を食べさせたい相手いるとか?
ま、まさか!
にこちゃんが!?
ダメです!それはアイドルしていちばんダメなパターンです!!
あっ!
なんの話?
u’sメンバー矢澤にこ!練習をすっぽかして足しげけく通うマンションとは!?
そんな!?スキャンダル!!
……
逃げた!?
なんでついてきてるのよ!
アニメ『ラブライブ!(二期)』第4話 宇宙No.1アイドル 高坂穂乃果 園田海未 南ことり 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 矢澤にこ より
家に帰ったらテレビを点けるんだ。そこにはきっとウルトラマンが映っている
特撮ドラマ『ウルトラマンガイア』第49話 天使降臨 高山我夢 より
高階病院長は首を振る。
「大学病院は独立行政法人ですから倒産はできません。ですが閉院はできるんです。このままでは診療をすればするほど赤字が膨らむばかり。勇気ある撤退を考えなければならない時が来てしまったのです」
「桜宮の医療を支えてきた東城大が撤退するとなると、影響は計りしれません。ここは三船事務長の改革案を採用して、もう少しだけ頑張ってみませんか」
言いながら、ああ、俺らしかぬ発言だな、と思う。
桜宮を長年支えてきた大学病院がなくなってしまうなど、想像もしなかった。
俺はずっと、こんな病院、いつか辞めてやるぞ、と思っていた。だが俺がやめても大学病院は存続し、たまに酒場で大学を辞めた仲間と古巣の悪口を言い合うくらいはできるだろうと思っていた。だが、そんな悪口すら言えなくなってしまうのだ。
デラシネ、根無し草という言葉が浮かぶ。
デラシネになるのは俺たち医療従事者だけではない。毎日病院に通ってくる患者もまた、デラシネになってしまう。
(略)
「何でしょうか」
俺は顔を上げた。高階病院長が口を開こうとする前に、俺は右手を挙げた。
「あ、ちょっと待ってください。」
目を閉じる。過去の出来事が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
目を開けた。深呼吸して、咳払いする。
俺を見つめる高階病院長のロマンスグレーの髪を見下ろしながら、ひと言告げた。
「その依頼、お引き受けします」
高階病院長は開きかけた口をぽかんて開けたまま、目を見開いた。
「田口先生、あなたって人は……」
そう言ったきり、高階病院長は俺を見つめ続けた。
実はこの部屋に呼び出された時から俺は、それがどれほど無茶な依頼であろうとも絶対に引き受けようと決めていた。これまで酷い目に遭わされ続けてきた、腐れ縁の上司のラスト・リクエストに対応できなくては、懐刀の名がすたる。
海堂尊『ケルベロスの肖像』最終章 東城大よ、永遠に 本文 田口公平 高階権太 より
はぁ〜、疲れるにゃ。やっぱり凛にリーダーにムリだよ
そんなことないよ。きっとだんだん慣れていくよ
そうよ。まだ初日でしょ
そんなこと言って。ふたりともリーダーになりたくないから凛に押しつけたんでしょ
え?
なに言ってるの。本当に向いてると思ったから凛を推薦したの
そうだよ。あたし穂乃果ちゃんたちが別の人を推薦しても凛ちゃんがいいって言ってたと思うよ
え〜!うそだ〜。凛なんて全然、リーダーに向いてないよ
どうして?
だって、凛…中心にいるようなタイプじゃないし……!
んっ!チョップ!
イテテテ……真姫ちゃん?
あなた、自分をそんな風に思っていたの!?
そうだよ!u’sに脇役も中心もないの!グループにいる限りみんないっしょだよ!
それはそうだけど……、でも、なんか……凛は別だよ……。ほら、全然アイドルぽくないし……
それ言ったらあたしの方がアイドルぽくないよ!
そんなことないよ。だって花陽ちんは可愛いし、女の子ぽいし……
え〜!?凛ちゃんの方が可愛いよ!!
そんなことない〜!!
ハァ、よほどうぬぼれ屋でもない限り自分より他人の方が可愛いて思ってるものでしょ
ちがうよ!凛はちがうの!!
凛……
引き受けちゃったし穂乃果ちゃんが帰ってくるまでだからリーダーでいるよ。でも…向いてるなんてことは絶対ない!
凛ちゃん!?
もしかしたらまだ昔のこと……
え?
凛ちゃん、小学校の頃ずっと男の子みたいて言われててて……スカートとか履いてゆくとからかわれたりして……。もう気にしてないのかなと思ってたけど……
そういえば私服でスカート履いてるの見たことないわね
はぁはぁはぁはぁ……んっ……
アニメ『ラブライブ(二期)』第5話 新しいあたし 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 より
「ティガの地の石造っていうのは最初5つという設定だったんですよ。だけど私が入った時は全体会議で第1・2話の決定稿が出た後だったんですが、『せっかく3(インドネシア語でティガは3という意味)という名前でやってるのに、5体って変じゃないか』って言ったのね。壊された2体分の力も彼は持ったのかな。3つの色のパターンを持つというようにも取れるよねって言ったら、松原監督が『それ、いいね』って」
小中千昭が『ティガ』の設定に関わった最初だった。
(略)
OVAの『アミテージ・ザ・サード』『魔法使いTai!』など、元来、小中は企画が出来上がった後のシリーズに参加して、いつしか中心軸となっていることが多いライターだった。
「もともとのコンセプトに関与していないのに、そこをどう解釈して、オチをつけていくか。ティガも、結局そういう役割になりましたね。『じゃあ、お仕事で』ってやってる内に、どんどんキャラクターがリアルになっていく」
(略)
「ずっと自分を悲観的な人間だと思っていたんですが、なぜかそういうところは楽観主義なんだなって気づきましたね。(略)第6話のホリイの科白『人間には知らないことがいっぱいある』というのが私のスタンスでしたから」
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
平成ウルトラマンはだんだん<人間ウルトラマン>になっていった。だがウルトラマンが喋るわけではなく、あくまで人間の側から感じ取れる以外は謎にしてある。「光の巨人」がもともと何処から来たのかは、『ティガ』の最後まで語られなかったし、地球発のウルトラマンである『ガイア』でも正義を目に見える秩序としては描いていない。その点はやはり、昭和の第二期ウルトラシリーズの際に作られた「ウルトラ兄弟」やその背景にある宇宙警備隊という前提とは明確に違う。
(略)
小中が書く作品は、ウルトラマンと戦う<人類の敵>側に関しても同じスタンスを取っている。人間の言葉を喋り、人間が理解し得る利害で侵略をしかける宇宙人という設定を持ち込まない。
「『GUTSよ宙へ』を書く時、セブンの『ウルトラ警備隊西へ』を見返したんですよ。あの話での宇宙人は、初めは地球の観測を怒って報復に来ていたのが、やがて侵略に転じたという、極めて人間的なロジックを持っている。でも自分で書く時には、相手には相手の論理があるんだけど、人間にはようわからんという風にしたかった。だから状況は不条理なんですよ。でもそれを「不条理だね」って言ってしまったら、神の視点になっちゃう。『自分より進んだ文明を許さないなんて、なんて身勝手な』というサワイ総監の科白はあくまで人間側の立場で、宇宙的視野から見ればロボットの方が正しいかもしれない」
得体の知れない機械人形ゴブニュが次々と襲ってくるという「GUTSよ宙へ」。その命令主はたどれない。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
うわ……
うそ……
ファッションショーだからセンターで歌う人にはこの衣装でって指定がきたの
ひっ!?
ウェディングドレスね!ス・テ・キ・!!
女の子の憧れて感じやね♪
これを着て…歌う…凛が……
穂乃果がいないとなるといまはあなたがリーダーでしょ
こ、これを……凛が!?あは…アハアハ…アハアハ!!
なに笑ってんのよ!?
シャーッ!!
凛がこわれたっ!?
もうっ!どうにかしなさいよ!!
アッ!野生のちんすこうが!!
どこ!?
凛ちゃん!?
んっ!んっ!鍵が!?なんでにゃ!?
なんでだとおもう?
さ、さあ……
それはいつもあなたに捕まえられてるからよ!!
うわぁ〜!!!
待ちなさい!!
アニメ『ラブライブ(二期)』第5話 新しいわたし 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 矢澤にこ 絢瀬絵里 東條希 より
「それは独立後のキャリアだ。最初は東城大学医学部佐伯学科に所属していたんだ」
東海地方にある東城大の佐伯外科は、外科の名門医局として勇名を馳せていた。世良がなぜ、地域医療再建請負人という変わり種の医師になった経緯(いきさつ)は、不明だ。
世良は遠い目で海原を見つめた。
「昔、僕の故郷に、さくらの樹を植えようとした人がいた。そして僕は、その樹の下で、花守をしていくんだと信じていた」
比喩なのだろうが、その中身はわからない。今中は世良の横顔を見つめる。
「そのさくらの樹が、花開くことはなかった。さくらを名前に冠する街なのに、皮肉なものだ。あれほど、さくらという言葉が似合わない街を、僕はしらない」
世良は黙り込む。今中は世良の横顔を見つめ続けたが、世良はその物語を、それ以上は語るつもりはなさそうだった。
海堂尊『極北ラプソディ』25章 神威島 本文 今中良夫 世良雅志 より
ドラマのなかでは、今中は山の中を走りながら、色々なことを考え、心の整理をするという設定だったため、瑛太さんは撮影開始の一週間以上も前から北海道入りし、ドラマ上、今中が走るあたりを毎日黙々と走りこみ、「走っているなかで、北海道が身体に入ってくるんです」とおっしゃっていました。
海堂尊『極北ラプソディ』解説 地域医療に立ちはだかる「雪の壁」佐野元彦 瑛太 より
いくら新しいシリーズを一から作るといっても、人間がウルトラマンを救世主として仰ぎ見ていた場所から進歩し、とめに光を掴む存在と見なすという、シリーズが踏みしてきた階段を外してしまうことを小中は潔しとしなかった。
「ウルトラマンの光が欲しいと思ったのならば、『それは自分で掴め!』というのが私の根底にあるんです。救ってもらうんじゃなくてね」
このように『ガイア』は、『ティガ』『ダイナ』よりも時代が現代に近づいているにも関わらず、主人公像に関しては、むしろ以前よりま新世代を感じさせる。
(略)
第2話冒頭で描かれる初陣において、ガイアは我夢の声で叫ぶ。
「僕がウルトラマンなんだ!」
もう小中は、ウルトラマンが心の声で喋ることに抵抗がなくなっていた。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
ずはりと切って捨てると、白鳥は続ける。
「真実は単純でね。気がついたら簡単すぎて涙が出た。でも気づかなければ永遠に気づかない。真実とは、空気のように無色透明なものなんだ」
海堂尊『アリアドネの弾丸』36章 透明な棺 本文 白鳥圭輔 より
量子力学の「平行世界概念」を、SFの作り手たちは一種の可能世界論として適用する。どんな未来もすべての可能性が並列して存在している。我々はそのひとつを生きているに過ぎない。だから我々に決められた運命なんかない。未来はひとつの可能性だけではないからだ。
(略)
いわば我夢は、平行世界がサイバースペースの枠を飛び越え、量子力学によって具現化することを何の先入観もなく生きる新世代といえる。
「我夢たちのような新しい世代の若者を産んだのは、地球の自己防衛本能だって考えです」
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
環境破壊の愚かさを自覚しない人類に対し、地下に眠る怪獣を呼び覚ます藤宮。だが怪獣に怯えた人類は地底貫通ミサイルで地下を先制攻撃する。これも破滅招来体の仕掛けた罠なのか。
自ら起こした事態にさいなまれる藤宮。
だがやがて「降臨」した根元的破滅招来体に立ち向かうため、それまで人類やウルトラマンと戦っていた地球の怪獣達が世界中で総決起する。
この<地球怪獣総決起>は、テレビの前の子どもたちを興奮させたという。
「母親の世代の方からメールを頂くんです。戦う相手としてだけじゃなくて、子どもたちが怪獣を愛してくれるシリーズになりましたね」
しかし画面で見た限りでは、世界各地に出現した地球怪獣のそれぞれが、他の個体や他の生物との「共闘」しているという意識を持っているかどうかはわからない。
「それはないんですよね。彼ら個体はね。私が思うにわかりませんけど(笑)」
彼らの姿を一つの線でつなげているのはテレビ中継である。
(略)
破滅天使ゾグの降臨で、コンピュータを含むすべての回線は使用不能になるが、なぜかテレビ回線だけは残されていた。それはウルトラマンの敗北を全世界に中継し、人々を絶望させるためだったのだ。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
村石 (略)それ以外は新人っていうか若手でいきたいなっていうことでオーディションになったんです。我夢役の吉岡毅志はね、「まったく色がついてないな」と思ったの。いかようも色がつけられる。オーディションでは全力で走らせたりしました。アクションセンスを見たかった。
(略)
村石 (略)あとはライバルのウルトラマン。アグルね。これば僕がやった『ティガ』のイーヴィル・ティガが原型でもあるんだけど。もっと遡ると、ピープロ作品『(怪傑)ライオン丸』(72〜73)の時のタイガージョーなんですね。『サイバーコップ』でもルシファーっていうライバル出したのは、その辺ってあるんですよね。
ダーティな面持ってるヒーローって、昔からそうですけど、そっちの方が引きつけるじゃないですか。なんか、もっと嘘偽りなく自分に素直に生きてるみたいなところがあって。それと、子どもの頃ってやっぱり、どっちかったら優等生よりはちょっと不良っぽいのに惹かれる。そういうキャラクターはウルトラマンの中になかったから、出して、ぶつけてみたいなって。
ただ今までの主人公のライバル役って、ルシファーもそうだけど、ハナッから<戦士>という感じでしょう。今度はそういうのとは変えたかった。
(略)
村石 ええ。高野八誠はこっちが考えていた藤宮にはピッタリだった。もう既にひとつの確立された個性が感じられましたね。ただそれがまた表に出てないなと。我夢にしてそうだけど、役柄の成長とともに成長していければと思っていた。
(略)
最終回まで撮って、我夢と藤宮はあの二人にして良かったと思いましたよ。二人で間違いなかったと。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 村石宏寛
説明してもらえるかしら?
え、え〜と……。なんでだっけ?
おぼえていないんですか。
うっ〜!?
理事長!ちがうんです、ふざけていたのではないんです!!
そうなの!ラブライブに出るためにはどうしたらいいかとおもってみんなで話し合って!
今までの枠にとらわれていては新しい何かは生み出せないと思ったのです
そうなんです!私たち本気だったんです!怒られるなんて心外です!
そうですそうです!
あっ!?とにかく怒られるのは納得できません!
わかったわ。最終予選はそれで出るということね
えっ!?
それならば今後その姿で活動することを許可するわ
あ〜……
え〜……
すみませんでした!!!!!!!!!
アニメ『ラブライブ!(二期)』第6話 ハッピーハロウィーン 高坂穂乃果 園田海未 南ことり 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 絢瀬絵里 東條希 矢澤にこ 理事長(ことりの母)より
その時、草原の果てにタクシーが停まり、男性がふたり乗り込んだ。目を凝らすと、背広姿の男性はどこかで見たことある風貌だったが。思い出す間もなくもう片方の銀縁眼鏡の男性に意識が集中した。遠くからタクシーが近づき、俺たちの側を土埃を舞い上げて走り抜ける。車を止めようと手を挙げたが間に合わず、タクシーは俺の目の前を走り去って行った。
俺は呆然としたが、隣に佇む高階病院長の衝撃の方が俺よりはるかに大きいようだった。
「あの人が……いや、まさか」
やがて気を取り直した高階病院長は、午後の日差しに鈍く輝く海原を見つめて言う。
「昔、この地に桜の木を植えようとした人がいました。だが私は、その苗木を引っこ抜いてしてまった。あの時の自分の行為を、私はいまだに責め続けています……」
振り返り、建設中の建物を見上げる。
「時は流れ、その私が因縁の地に、まさに桜の木を植えようとしている。果たしてこれは根付くのでしょうか。いずれにしても、時の流れが私を断罪することでしょう」
高階病院長の呟きが、草原のざわめきに溶けていく。
海堂尊『アリアドネの弾丸』6章 桜宮岬の邂逅 本文 田口公平 高階権太 より
右田 (略)山田洋次さんに「人は作家になろうと思ったらその時点で作家なんだ」というお言葉がるんですけど。
切通 自分が思った時が……。
右田 思った時がそうなんだっていう。最近ちょっと凝ってるのが「行動すること在り方の違い」っていう。何かをやることによって何かに近づけるというのは、確かに実際はそうみえるんでしょうけど、その前に「自分は何なのか」っていう在り方がしっかりしてると、何があっても逃げなくなるんですよ。行動することも大事かも知れないけど、その前に、自分の在り方を。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第一章 光を継ぐもの 右田昌方 切通理作 より
…奪う行為は
等しく悪だ
我々は
産まれ落ちたその瞬間から
なにかを奪い続ける
食物 かかわりあう人々
肉親ですら
生きる限り屠り 殺し奪い続ける
「命」とは 罪を犯し続けるものの事
「命」とは「悪そのもの」
私は自覚する
私は「悪」だ
…君達も
さあ 殺しに来なさい
私もそうしよう
by 芳村 功善
東京喰種13巻 #126[原罪]より
う〜ん、インパクトか
でも今回は大会じゃないよね。ユーレイで決めるものじゃないしそんなの気にしても
そうだよね
なに言ってるの。勝負はもう始まっているのよ!
にこちゃんの言うとおり。たしかに採点も順位もないけどお客さんの印象に残った方が多く取り上げられるだろうしみんなの記憶にも残る!
なるほど〜
フムフム♪
つまり!最終予選も有利に働くてことね!
そのとおりね
それにA-RISEは前回の優勝者。印象度で言えば圧倒的にむこうが上よ。こんな大事な話をしなきゃいけない時にいったいなにやってるのよ!
っ!?ちょっとハロウィン気分を……
トリック・オア・トリート♪♪
はぁ、たとえ同じことをしてもむこうは前回の優勝者だから有利。取材する側だってA-RISEにいくわ
じゃあ、あたしたちの方が不利ってこと?
そうなるわね。だからこそ最終予選の前に印象に残るパフォーマンスして差を縮めておきたい
つまり前哨戦てことね
カワイイわ
え!?
アニメ『ラブライブ!(二期)』第6話 ハッピーハロウィーン 高坂穂乃果(かぼちゃマスク) 南ことり(ユーレイ) 西木野真姫(ゴーレム人形) 矢澤にこ(ガイコツ人形) 絢瀬絵里 より
んっ!おはようございま〜す!あっ!ごきげんよう
海未、ハラショー
絵里早いですね
そして凛も!!
ううう……。あ〜、ムリです!
ダメですよ。海未、ちゃんと凛になりきってください
うっ……
あなたが言い出したのでしょう。空気を変えてみた方がいいと!さあ、凛!
ううう……、ううう〜、にゃあ〜!!
さあ!今日も練習いっくにゃあ〜!!
ナニソレ、イミワカンナイ
にゃあ〜!
真姫、そんな話し方はいけません
メンドーな人
ちょっと凛!それあたしの真似でしょう。やめて!
お断りします!
あっ!?
おはようございます希
あっ……
あ、しゃべらないつもりにゃあ〜♪ずるいにゃあ〜♪
そうよ。みんなで決めたでしょう
べ、別にそんなこと……
……言ったおぼえないやん……
おおっ!希、すごいです!
!?
にっこにーん!あなたのハートににっこにーん♪笑顔届ける矢澤にこにこ♪青空もにこっ♪
ハラショー
おっ〜
にこは思ったよりにこっぽいわね
にこっ♪♪
にこちゃん〜。にこちゃんはそんな感じじゃないよ?
ことり
いやぁ〜♪今日もパンがうまい♪
ん!?
穂乃果、また遅刻よ
あたして、こんな……?
うん!
たいへんです!
はっ!?
どうしたのです
んっ〜、スゥ……ハァ……み、みんなが……みんなが〜!!
ヘンよ
アニメ『ラブライブ!(二期)』第6話 ハッピーハロウィーン 高坂穂乃果(海未)園田海未(凛)南ことり(絵里)星空凛(真姫)小泉花陽(にこ)西木野真姫(希)矢澤にこ(ことり)東條希(穂乃果)絢瀬絵里(花陽) ()内は入れ換えたキャラ より
切通 怪獣とかウルトラマンを、成人しても好きだとか、そういうわけじゃなかったんですか。
右田 憧憬としてはずっとありましたが、やりたがっているものっていうのは、なれないですね。僕がブルース・リーになれなかったように。「欲しがる者は持てない」っていう言葉あるじゃないですか。あきらめた時に、それは初めて入ってくるっていう。「それはなくても俺は満たされる」って思った時に初めて手に入る。
これは異性にも置き換えられます。ウチのカミさんなんか、あきらめてから来てくれたんです。
(略)
なにも持たない者は、すべてを持てるっていう逆説です。ビデオ版『セブン』の「模造された男」は、かなりそれにインスパイアされたお話ですよ。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 右田昌方 切通理作 より
なんとか徳島と高知の県境に到着
峠からは幻想的な風景が広がっていた。
そんな景色をぼんやり眺める人が……。
お父さん、大阪ナンバーですよね
うん そう
手前の家が私の家。霧がかかってる
霧の手前ですか?
霧の手前の上の家
すごいところに住んでますね
中学時代まではいたけど
実家は林業を営んでいたけど、五十年前集落を出て引っ越したという……。
もう家には誰も住んでないけど、時々帰ってきてはぼんやり数日過ごすんだという……
まあいいのはいいは 静かで ふっふっふ……
だいたい好きやけどな だいたい私ら好きやから帰ってくる
田舎嫌いやったら帰ってこんわな
出たら
立ち込める木の香りに包まれると、どこかほっとするんだって……
NHK『ドキュメント72時間』ゆきゆきて酷道439 集落が故郷だったお父さん スタッフ 鈴木杏(ナレーション)より
切通 影丸さんは、平成セブンのカジ参謀役も影がありますね。
影丸 初の悪役ですから。まあ悪役とまでは言えないんですけど。
大滝 『セブン』最終六部作のテーマですからね。カジ参謀は。テーマそのものですよ。
影丸 これは『ティガ』に結びつけるとすれば…難しい。
大滝 シンジョウが成長したらああなるんだろうって、俺は思いましたけどね。
影丸 ええ!なんないでしょう?
大滝 俺はシンジョウって結構好戦的なやつかなって思って。どんどん回が進むにつれて、川崎監督のコミカルな部分に発展してソフトになっていったけど。
大滝 本来のシンジョウは、僕はああだと思いますよ。タカ派的な。
影丸 シンジョウよりも前に、テレビスペシャル版『セブン』でカジ隊員役をやったんですけど。それは、立場的に似てるかもしれないですね。若くて正義感があって、熱いっていう意味で。
ビデオの最終6部作に出るにあたって自分なりに考えたラインは、子どもを宇宙人に殺されて、手段を選ばない人間になった。防衛軍の中で自分の意見を通すためにのし上がって、どんどん孤独になっていく。その孤独さを出そうという。
シンジョウが年取ってカジになったっていうのは、言われて「なるほど」っ思いましたけど、それは結局、影丸茂樹という役者がやってるからだと思います。
『セブン』の後に映画版でまたシンジョウ演った時はあまり考えすぎないようにしました。演ってりゃシンジョウになるだろうと。カジ参謀の後にシンジョウを演るのって大変じゃないかと言われたんですけど、自分的にまた別の役なんで、切り替えるのは全然平気。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 大滝明利 影丸茂樹 切通理作 より
大滝 (略)影ちゃんがスーパーヒーロー役で川崎監督の『天才てれび君』のドラマに出た時、あれ実はシンジョウなんですよ。科白でね、困ってる人を「心情としてほっとけないもん」っていうのがあるんですけど、実は「心情」じゃなくて「シンジョウ」なの。
切通 そんなんですか?
大滝 と、川崎さんが言ってました。やっぱり『ティガ』に思い入れあるんですね。
影丸 僕はそれは知らなかった。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 大滝明利 影丸茂樹 切通理作 より
切通 眉村卓さん原作を小中さんが監督した『なぞの転校生』でも、「おぼえておいて。想像可能な世界は全部本当なんだよ」という次元シプシーの少女・真祐未の科白がありましたね。
(略)
切通 『超時空の大決戦』は、人々の思念を受けて願いを叶える魔法の玉そのものだったことがわかる少女リサが、ラストに転校生として戻ってきますが。
小中 あれも勉少年にとっての少女なんですよ。ラストで転校してくるリサが本当のリサで、赤い玉は勉がもうすぐ出会う少女の姿を借りていたんです。彼女は勉がこれから生きていく、守らなければならない世界の象徴なんですね。
(略)
切通 『超時空の大決戦』のラスト近くで勉少年が「ウルトラマンも好きだけど、お母さんも好きだよ」って言いますね。
小中 勉は一つの世界をファンタジーで過ごすことも知ったから、現実の人間関係も大切にしていける。そこが着地点で、ウルトラマンの映画を見せたら、子ども達を現実に返してあげたい。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第2章 新たなる光 小中和哉 切通理作 より
切通 最終回で、ヒビキ隊長から「人一倍目立ちたがり屋のお前が、なぜ(ダイナであることを)を隠してた?」って訊くと、アスカは「俺、人一倍目立ちたがり屋だけど、それ以上に照れ屋なんです」って言いますが、つるのさんはなぜ隠してたたんだと思いますか?
(略)
つるの 自分がなんでダイナに変身するのがわかってないんですよ。
切通 ゴンドウ参謀がアスカに言った「なぜお前なんだ」って科白は、まさに自分でも思っていたみたいな。
つるの そう。自覚がないんですよ。「何で俺なんだらう」って。
最終回になっても、リョウに「君だけを守りたい」と、「守るために戦うんだ」って言いますけど…。
山田 それで流れ的に…。つるの 科白的にはそうだけど、変身した意味は多分わかってないと思う。だからもう、何かのために何かをしたいっていう時に、自分が目一杯になったときにウルトラマンになるんで、自分じゃなんで変身したのかわかってないと思うんですね。自分がそのまま戦ってたんじゃないですか、アスカの中では。
(略)
俺がなんで、リーフラッシャーを出さなきゃいけないんだっていう。リーフラッシャーがなくても変身出来るでしょう、アスカは絶対。
だから最終回でやっと自覚して、リーフラッシャーを出して、誰かのためにウルトラマンになるっていう、そういう心がやっと最後、出たんじゃないかなっていう風に自分では思ってるんですけど。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第2章 新たなる光 つるの剛士 山田まりや 切通理作 より
切通 ダイナはテレパシーで呼びかける。「君の未来は、誰にも分からない。なぜだが解るかい?それは、君が、作っていくからなんだよ」。悟が飛び立っていくのを手助けもしない。それまでのシリーズのウルトラマンだったら「よいしょ」と背負って飛んでいくかもしれないけど(笑)。あそこでガーッと涙腺が緩んだんです。(略)
太田 子どもたちに何が言えるかと考えると、最終的には「自分で決めなさい」としか言えない。自分が選んだことだったら、自分が失敗しても自分が責任取るしかない。けれど、そう子ども達に言ってる自分がそれに恥じないで生きているかっていうことがあるんです。
(略)
太田 (略)大人になったって出来上がりはしないんです。
今、ウルトラマンを書いているということで自分が試されていると感じます。こういう架空の世界だからといって、架空の問題をウルトラマンが解決するものは書きたくないんです。ここにあるのは、私たちの現実にあるのと同じ現実でなければならないんです。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第2章 新たなる光 太田愛 切通理作 より
切通 二人のウルトラマンを最初目撃した時「この中のどちらかと戦うことになるのか」って梶尾が言うんですけど…。
中上 鋭いですね。何でそんなこと言ったんでしょうね。
切通 テンカイを洗濯機に喩えたのも梶尾だし、「悲しみの沼」の冒頭でも、怪獣の声を自分だけはちょっと違う風に聞いて…。
中上 あぁ〜。ロマンチストですよね。(略)何か傷を持っていますね。お父さん多分亡くなってますよ(笑)。それと裏腹にすごいプライド持って、我夢みたいなのが入ってくると、最初はもちろん気に喰わないだろうし。
でも、もうちょっと我夢を認めるの遅くてよかったよね。
吉岡 意外とアッサリ。
(略)
吉岡 (略)なんかむしろ、ウルトラマンっていうのは架空のもので、自分たちの信念の姿が、ああいう姿に表れている。もう怪獣も居ないもので、でもそんな見えないものと戦っているイメージがありましたね。
(略)
高野 いや、なれないだろうな。ウルトラマンだったら。無理でしょう。怪獣とかならあり得ますけど、何か変身するっていうのって、無理じゃないですか。
僕はいい加減な人間なんで。やっぱり責任感がある人がなった方がいいんじゃないスか。
中上 学級委員決めてんじゃねぇぞ(笑)。指名されても拒否してんじゃないなんだから。
吉岡 実際の話、僕がこの番組の主人公になって、ウルトラマンになって地球を守ってるのを見て、やっぱり周りは笑ってましたね。「お前がなんで地球を守ってんだよ」みたいな。「だったら僕が守るよ」とか(笑)。
(略)
ウルトラマンになってもやられちゃう時はやられちゃいますし、勝つ時は自分が信じてるものが正しい時て、相手に非があっても相手に非がない時は多分負けるでしょうし。
だから吉岡本人がウルトラマンになったところで、地球は守れないだろうとは思いますけどね(笑)。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第3章 命すむ星 吉岡毅志 高野八誠 中上雅巳 切通理作 より
今から十年以上前のある夜、満員電車に揺られていた大学生の私の耳に、新卒サラリーマンと思われる酔った二人組が「なつ漫」の話題に興じてるのが聞こえてきた。
ウルトラマンはなんでスペシウム光線をすぐ出さないのとか、まあ、そんな四方山話だったが、フト片割れが訊いた。「ウルトラマンはってのは宇宙人なんだろ?」相方が答える。「オレの考えじゃ、あれは形のない、光みたいなものなんだよ。人間の目には姿かたちとなって現れているんだ」
私の耳には、この名も知れぬ男の説がいたく清浄に響いた。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』〜ウルトラマン復活の道程 より
長谷川 ウルトラマンは光と闇の巨人なんです。光も闇も同じ力、おなじもんなんですよ。<愛>だってそうじゃないですか。愛するから殺すし、愛するから生かそうとし、人間の根源って<愛>じゃないですか。(略)
ウルトラマンというものは闇に心を支配されると闇の化身になる、といったことをこの映画で明確に言えるんじゃないかと。
(略)
ダイゴっていうのは一回ヒーローとして駆け抜けてしまったキャラですから、それをもう一回変身させるっていうのはちょっと疑問があった。それにその後の火星でのダイゴの生活を僕自身が書いちゃっている。
(略)
切通 ダイゴがもう一度向き合わなくてはいけないっていうのは?
長谷川 きれいはきれいのままで終われないなって気がしたんですよ。ウルトラマンは人間であるというなら、やっぱり闇もあるんだろうと。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第3章 命すむ星 長谷川圭一 切通理作 より
君の未来は誰にもわからない。君の未来は自分自身の手で作るものなんだ
特撮ドラマ『ウルトラマンダイナ』第20話 少年宇宙人 ウルトラマンダイナ(アスカ・シン)より
ああ、うう……、ああ、ごめんなさい……
おかしいと思うんだけど!なんであたし達が衣装作りやってんの!
みんなはライブの他の準備があるから
よく言うわ!くだらないことで時間つかったじゃない
そんなにムダじゃなかったんじゃないかな?
はあ?どこが
あたしは楽しかったよ。おかげで衣装のデザインのヒントもらえた
衣装係て言われてそんな役回りに慣れてるんじゃない
あたしにはあたしの役目がある
んっ……
いままでだってそうだよ。あたしはみんなが決めたことやりたいことにずっとついていきたい。道に迷いそうになる時もあるけれどそれがムダになるとは思わない。
ん……、この衣装はにこちゃんのだよ
ん……
みんなが集まってそれぞれの役割をめいっぱいやりきれば素敵な未来が待ってるんじゃないかな
……
アニメ『ラブライブ!(二期)』第6話 ハッピーハロウィーン 南ことり 小泉花陽 矢澤にこ 東條希 より
「決まってるさ。エーアイセンター潰しのためさ」
「何でもかんでも話をそこに持っていけば済むと思ったら、大間違いぜよ」
噛み付いた宇佐見警視に白鳥は言い返す。
「元警察庁の刑事局長が、寿命が短いことを知りながらわざわざこんな片田舎のエーアイセンターの副センター長に天下りした。会議ではエーアイセンター創設に疑義ばかり投げる。どう見ても、センター創設を食い止めるためでしょ」
「ひょっとしたら北山元局長は自分の病気を知らなかったかのかもしれんぜよ」
宇佐見の反論を、白鳥は一蹴する。
「助手が調べたらちゃんと病院に通ってた。そして担当医が告知した裏付けも取れてる」
「喋った医者は、個人情報保護法違反ぜよ」
「ウサちゃんなら知ってると思うけど、死者は個人情報保護法の適用外なのさ」
海堂尊『アリアドネの弾丸』33章 論理迷宮からの脱出 本文 白鳥圭輔 宇佐見壮一 より
上原 (略)僕のそうした気持ちってのは今でも変わらないですね。だから『ティガ』にしても、僕はああいう形でしかウルトラマンを書けなかったんですよ。
切通 「ウルトラの星」というサブタイトルにはそんな意味もあるんですね。彼らが彼らとして居た時代がまさに「ウルトラの星」だったんだと。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 上原正三 切通理作 より
夜のビル街にスックと立つウルトラマン街に手前には一人の男の背中が街に巨大なウルトラマンを指差し、宣告する。
「君は招かれざる者なのだ」
無言で見下すウルトラマン。
『ティガ』の名敵役であるキリエル人(びと)が初登場した第3話「悪魔の預言」は第1話で光へと拡散してしまうダイゴ隊員をあれよあれよと見ているしなかった者に感情移入の回路を与えてくれた作品だ。
(略)
預言者は人類よりも遥か昔に居た救世主・キリエル人を名乗り、ビル爆破の衝撃から一般市民とイルマを守るために現れたウルトラマンティガを見上げ、語りかける。
「君を待っていたのだよウルトラマンティガ。君はこの星の守護神となるつもりなのかね。おこがましいと思わないか。君がその巨大な姿を現わすずっと前から、この星の愚かな生きものたちはキリエル人の導きを待っていたのだよ。君は招かれざる者なのだ!見せてやろうキリエル人の力を、キリエル人の怒りの姿を!」
預言者は巨大な戦士キリエロイドに変身する。
「あれがキリエル人の正体なのか?」
「いや、多分、身体のサイズまでもウルトラマンティガに合わせて変身したんです」
「挑戦するために?」
というGUTS隊員どうしの会話が、キリエロイドの実体のなさ、得体の知れなさを際立だせる。
ウルトラマンとビル街で格闘し、圧倒するキリエロイド。
キリエロイドとウルトラマンが両方、昔からいた巨人だったら、本来はどちらが救世主かは判断できないはずだ。
(略)
苦戦するティガを目の当たりにしたイルマはティガに叫ぶ。
「私は信じているわ。あなたが私たちを守り導いてくれることを。お願い。立って!」
隊長はティガに「あなたの力を信じる」と決意を表明する。救世主といってもティガに依存しているのではない。ティガが救世主であることを主体的に選択しているのだ。
(略)
高樹澪の美貌が、気高い表情とともに決断していくのは、我々がウルトラマンの流麗な姿を見たらもう、わけもなく信じてしまうしかないことを納得させる。
ウルトラマンが人類の救世主であることに揺さぶりをかけるキリエロイドという<裏のウルトラマン>の登場は、『ティガ』とそれに続くシリーズを決定づけた瞬間であった。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』〜ウルトラマン復活の道程 より
「お帰りなさいませ」
服部がお茶を出してくれた。黛はそのお茶を飲み干すと、
「服部さん。すいませんが、窓を全部閉めてくださいますか?」とお願いした。
「御意」服部はすべての窓を閉め切った。
「ありがとうございます。今から少し大きな声を出します」
「どうぞ」
服部は耳をふさいだ。黛は大きく息を吸い込むと……。
「なんじゃそりゃあああああああーーーーーーー!」
と、街中に響き渡るほど声で絶叫した。
「お済みになられましたか?」
「はい、お騒がせしました」
黛は清々しい思いで、笑顔を見せた。
ノベライズ『リーガル・ハイ!』 chapter11 正義を勝ち取れ!「北風vs太陽」不当解雇裁判 本文黛真知子 服部さん より
幼なじみの瞳
小学校中学校と
ずっと同じクラスで 親友だった
なになに 今月のふたご座のラブ運は-----?
んん!?
「クラスの男子のあなたを見る目がかわって知らないうちにモテモテ」!?
「進路の話題がきっかけで親密になる男子が現れそう」……
ほっほう…… このクラスにそんな骨のある男子がいるかしら…?
いねェっす……
瞳…あんたなんで自分のではなく奈々の星座からチェックするかね…
奈々〜男はみなオオカミなのよ〜!?奈々を一番愛してるのは私なんだから〜
はいはい
な…なあ…
お前らってさあ…
やっぱ…
そうなわけ?
…… うふふ
下衆な男どもにはわからないでしょうけど…
奈々は私が大切に育てているバラのつぼみなのよ…
愛情という名の肥料で…
いつか奈々が花ひらくその日まで…
奈々につく虫は すべて私が焼き払う!
それが私の使命!!
このぐれんの炎で!!
藤森って美人なのに なんでああなのかな……
奈々…あんた
一生 彼氏できないわよ…このままじゃ
いいの… あきらめてるから
なんて言ってはいたけど
本当は誇らしかった
だって瞳は
かわいくて 背も高くて 頭もよくて
きっと男子にだってもてるはずなのに…
いくつになっても 子供の時と同じ
私にべったりで…
だから… あたり前みたいに そう思ってた
高校もきっと 瞳は私と同じところに行くんだろうって
…思ってたのに…
森永みるく『くちびる ためいき さくらいろ』ともだちじゃなくても 小林奈々 藤森瞳 中学時代のクラスメートたち より
どうする
どうするったって全治6ヶ月じゃなあ・・・
ここは潔く全く別の仮面ライダーシリーズにして別の役者に変更するしかないだろう
ああ・・・だったら
主役の本郷 猛が
ショッカーに捕まって
再手術で整形されてしまうってのは?
駄目だ 駄目だ!!
藤岡君を 切っちゃいけない!
英雄(ヒーロー)は絶対に 死にはしないんだ!
英雄(ヒーロー)は・・・・
死なない・・・・
・・・・・・・・言うじゃねえか 泣き虫プロデューサー
英雄(ヒーロー)はね・・・
風のように現れて・・・・ 嵐のように戦って・・・・朝日と共に帰ってくるんだ
この時の平山のこだわりが 1号ライダー本郷猛の命を繋ぎ 2号ライダー一文字隼人を 誕生させることになる
そして 第40話 1号ライダーの復活と共に
ダブルライダー共演と奇跡を生み 視聴率30%を突破する大人気となる
漫画『仮面ライダーをつくった男たち』平山亨 内田有作 廣瀬隆一 他 より
バカヤロウ
今の立ち回り合ってねえだろ!
ヘタクソと絡むと 剣友会(ウチ)の者まで ケガしちまうんだよ
テメェ それでもアクションスターか!!
クソ・・・・ なんスか あの殺陣師
まったく・・・・ あの貫禄で24だもんな
にじゅうよん〜〜!?
俺といくつも 変わんねえじゅねぇか つうか下!
フフフ
なんでも彼は
弱冠21で殺陣師になったらしい
いくら若くても
殺陣師になるという事は
剣友会の看板を背負って 歩くという事だ
あのくらいの迫力がないと務まらないよ
ちっ・・・・
シ・・・
もういっちょう!
シッ・・
もういっちょお!
へェ・・・ 稽古来てんだ 荒木
櫻木以来じゃないスかね
今に見てろよ
あっ・・・ 見てねえ!
岡田のヤロぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
仮面ライダーストロンガー
第14話 伊香保ロケ
ゲ 高え〜〜〜〜
ロープウエー上で 城茂と怪人が戦うという 危険なシーンの撮影が行われた
オラ 荒木
俺が手握っといてやるから
いいのかよ 信じて
スタート!!
ぐ ううぅ
!! い・・・て
はい OK!!
後に荒木茂は語る・・・
剣友会は撮影に 命をかけている
・・・ゆえに強面なのだ
あの掌の痛みがあれば・・・・
命綱などいらなかった・・・と
このストロンガーを最後に
仮面ライダー第一期は
幕を閉じる
漫画『仮面ライダーをつくった男たち』第四話 受け継がれる魂 岡田勝 大野幸太郎 山田稔監督 荒木茂 より
グ・・・・ グウウウ
もう・・・・ 一歩も・・・・
立てい 一也!!
弁慶 玄海老師
弁慶!!!!!!
老師――――・・・・!!!!!!
見つけたぞ 沖一也!!
こっちだ!! なにをしている一也ああ!!
チィ 追え!!
させるか 一也には指一本 触れはさせんぞ!!
またまた〜〜
ナリを潜めるために ワザワザ山伏みたいな 格好までしたのに
ウルサイ!! これが黙っていられるか!!
うひ・・・・
エネルギー装置 異常ナシ
変身装置異常ナシ
殺せえええ!!
ギギ・・・
な・・・ なにっ・・・
浄化完了
メンテナンス 50パーセント
サイボーグS-1(スーパー1)
強制起動!!
やったぜ兄貴!!
苦労してチェックマシンを運び込んだ甲斐があったもんだ
おのれ・・・・
死に損ないめ!!
赤心小林拳!!
諸手打ち
兄貴!!
一也あ!!
おやっさん・・・・
チョロ・・・・
・・・・だったのか
ああ・・・・
この格好・・・・
・・・・
まさかお前
俺達をあの二人と
勘違いして・・・・
一也・・・
しっかりしろ
わかってますよ おやっさん
今 俺の師は あなたであり 友は チョロ お前なのだから
兄貴
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』第14話 いづる獣 沖一也 谷源次郎 チョロ チェックマシン 他 より
新幹線の車窓の景色は流れるようだ。前夜の不行状が祟り、うとうととしてしまった。僕は、気がつくと隣の冷泉に寄りかかっていた。そのことに気がついたのは、耳元でぽつんとささやかれた言葉が聞こえたからだ。
「天馬先輩、ゆうべは本当に、私に何もしなかったですか」
僕は思わず身体を起こして冷泉を見る。
ツイン・シニョンの冷泉深雪は、生真面目な目で凝視していた。
何と答えればいいのだろう。ちょっと迷ったけれど、思い切って顔を上げた。
「正直に言う。実はちょっとだけ、した」
え?と目を丸くする冷泉深雪に、僕は一気に言う。
「酔い潰れたお前をベッドに運んだとき、はずみでキスした。でもそれだけだ」
冷泉深雪は目を見開いたまま、僕を見つめた。固まった空気が重く、息苦しい。
やがて冷泉深雪は、ぽつんと言った。
「はずみで、なんてひどいです」
それきり黙ってしまった冷泉の整った横顔を横目で見ながら、これなら悪し様に罵られた方がはるかにマシに思えた。しかも最悪なことに、その時僕は、心の中で冷泉に対し更なる裏切り、大いなる不実な行動を考えていた。
要するにその時の僕は最低のヤツだったわけだ。
それは今も、変わっていないんだけど。
海堂尊『輝天炎上』10章 浪速市監察医務院・鳥羽欽一院長 本文 天馬大吉 冷泉深雪 より
じゃあさ、作っちゃおうか 10号ライダー
ええっ!?
たとえテレビにならなくたっていいじゃない
ライダーは君たちの中にあるんだから
こうして漫画家の石ノ森章太郎によって
10号ライダーのデザイン画が作られた
この流れはその後も留まることもなく
講談社・徳間書店・秋田書店などによる特写(スチール)連載が決まり
着ぐるみが製作される
ネーミングも一般募集により「仮面ライダーZX」と命名
ライダーファンの根強い想いから誕生した
10号ライダーである
取れたよお!!
スペシャル一本だけど ついに取れたよ 菅田クン!
平山さん 泣き虫ッスね
俺まで 泣いちゃいますよ
そして・・・・
ついに3年後
1984年
「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」
毎日放送による正月特番が実現する
どした 城谷 元気ないな
中屋敷さん!!
だって・・・・
岡田さんが・・・・
俺に今日シン(主役)やれって・・・・
岡田め・・・・
ムリッスよ俺・・・・
だいたいミスター・仮面ライダーの中屋敷さんを差しおいて・・・・
ミスター・・・・って お前・・・・
あのなあ 城谷
仮面ライダーは俺だけの勲章じゃないよ
・・・・え?
いたんだぜ 今まで
スゲエ ヤツらが・・・さ
まずはライダー1号 2号なんて俺がやったわけじゃない 演ったのはちょこちょこさ
見得切り 色気 美学を追求した 文弥さんのライダー
剛に一番雰囲気近かったのは飯塚さん 水場の立ち回りは瀬島
強気で剣殺陣好きの岡田ライダー
新1なんて 色んなやつが演ったけど 極めたのは大杉だよな
あと南紀ロケの新2は千代田と佐藤巧
V3・ストロンガーは
俺が一番演ったけど
でもありゃあ頭の手柄だな 俺は言いなりだったし
ライダーマン・Xなんて入れ替わり立ち替わりだから 色んな個性があった
アマゾンは ダントツ新堀だな
トランポリンは 最初 J・A・C(ジャック)がやってたけど すぐにウチの甘利が跳んで佐藤・湯川・上田が受け継いだ
あとライダーといえばバイクスタント
初めのオープニングは室町 1号2号は大橋 あと熊沢・荻前・矢沢
あいつらははずせない
俺が胸はって言えんのは
スカイとスーパー1さ
ありゃあ 岡田とツーカーでバリバリだった
そうそう俺が怪我した時は橋本が代役やってくれた
ライダーだけじゃない
怪人といえば 滑川・河原崎・上田
それに
シンを生かしてくれるのは 戦闘員の連中
まあ 要するにだ
仮面ライダーは
みんなで創った
勲章は誰にでもあって
誰のもんでもない
あとな 上田の話 知ってるか?
え・・・・ いえ
あいつアマゾンの頃 後楽園やっててさ 戦闘員ばっかやってたわけ
したらさ
おい上田 お前 今日シンやってみろ
あん時まだ 親父さんは知らなかったんだけどさ
あいつ近いうち田舎帰って体育の教師やる予定だったんだよ
!!・・・・
・・・・で
演っちまったわけ
ワアアア アア
ゴメン・・・
ほんま ほんまにゴメン!!
このまま体育教師になっても生徒に教えるもも悪(わる)ないよ
悪うないけど
この仕事やったら
全国の・・・・ 日本中の子供たちに 何かを教えてやれる気がするんや!!
バカだろ あいつ
だからよ・・・・
お前もバカになっちまいな
知ってるぜ
悪かったな じいさんの葬式のゴタゴタの中
休まないで来てくれたんだろ
ホントあいつ不器用だから
城谷ーーーーっ!!おせーぞ バカヤローー!!
はい!! スンマセン!!
漫画『仮面ライダーをつくった男たち』第四話 受け継がれる魂 城谷光俊 中屋敷鉄也 大野幸太郎 上田弘司 菅田俊 平山亨 石ノ森章太郎 より
「もちろんその通りだし、世界は概ねそんな風になってるらしい。僕にとってサイアクの事態が今の、真実がふたつあるという状況だ。まあサイアクといってもその程度なんだけど」
こともなげに言う彦根先生の顔を、僕たちは黙って見つめるしかなかった。
やがて冷泉は、思い切った口調で尋ねる。
「どうして彦根先生は、そんな風に達観していられるんですか?」
すると彦根先生は、眼を細めて笑う。
「それが現実だからさ。現実に向かって物事を変えようとするよりも、現実に即して動いた方が効率がいい。これは学生時代に会得した、合気道の極意なんだけどね
すると冷泉は眼を見開いて尋ね返す。
「え?彦根先生も合気道部だったんですか?」
次の瞬間、怒濤のような冷泉深雪の言葉が飛び出してくるぞ、と僕は身構えた。ところが意外にも、冷泉は無言だった。ただ、彦根先生を凝視し続けていた。その時、僕は初めて、無言というのは最高の賛辞なのだということを思い知らされたのだった。
海堂尊『輝天炎上』11章 房総救命救急センター・彦根新吾医長 本文 天馬大吉 冷泉深雪 彦根新吾 より
帰りの電車の車中で、冷泉が言った。
「私、思い違いをしてました。麻雀みたいなギャンブルに嵌(はま)る人って、意思薄弱のロクデナシだと思っていたんですけど、そうじゃない人もいるんですね」
あ、いや、お前の最初の印象は結構正しいと思うんだけど……。
「何で急に心変わりしたんだ?」
僕が尋ね返すと冷泉はうつむいてもじもじしながら答える。
「だって、天馬先輩と清川教授がこの間言っていた『すずめ四天王』って、すごい先生たちばかりなんですもの」
正確に言えば、直接お目に掛かったのは、島津先生と彦根先生という、すずめ四天王の半分なんだけど、何だか自分が褒められたみたいな気がして、誇らしくなる。
海堂尊『輝天炎上』11章 房総救命救急センター・彦根新吾医長 本文 天馬大吉 冷泉深雪 より
「ねぇ、真魚ちゃん、もし過去を思い出して、おれが凶悪な犯罪者だったりしたらどうする?」
翔一は菜園で作業を続けながら真魚に尋ねた。もちろん本気ではない。なんとなくの冗談に近い質問だった。
ホウレンソウを眺めていた真魚は翔一を見上げた。
「意外と大金持ちのおぼっちゃまかもしれないよ。そしたら結婚してあげる」
「う〜〜ん、結婚はけっこんです」
『結構』とかけたダジャレだった。
ムッとして真魚は立ち上がった。
「つまらない……って、いつもつまらないけど、いちばんつまらない」
そう言い残して家の中に姿を消した。
けっこんいいダジャレだと思ったんだけどなぁ……。
翔一は懲りずに『結構』とかけて一人笑った。
岡村直宏『仮面ライダーアギト』第一章 本文 津上翔一 風谷真魚 より
悪かったな デッドライオン 無様だが まだ生きてるぜ
つうかよ まだまだ死ぬわけに いかねえだろ
ブラックサタンの害虫駆除は 俺専門の仕事なんだからよう
ぬかせえぇ
!!
あれは・・・・
電撃の中に・・・・
タックルが・・・・
変身
!! ・・・・スパーク・・・・・
STRONGERRR
・・・・残像・・・・か・・・・?
!! しまった 来るぞ!!
天が呼ぶ 地が呼ぶ・・・・ 人が呼ぶ
悪を倒せと 俺を呼ぶ
俺は正義の戦士
仮面ライダーストロンガー
チ・・・・チィ
調子に乗りやがって
オヤッさん ピラミッドへ回り込んでください
何をする気だ
そいつは茂に聞いてください
!! タイタンこっちだ!!
ヌウ・・・・まだまだ
なんだ・・・・ 真っすぐだと つまらん小細工を・・・・
タイタン ストロンガーを先にやれ
グ・・ ウウ・・
今だ
・・・・・・タイ・・・・タン
この力・・・ カブトローがいただくぜ
・・・・へっ
周りが止まって見えやがる
チ・・・チィ
う・・・・おおおお
いけえ 茂!!
おお 五郎!!
!!
STRONGERRRRR
う・・・・わあ
茂ー!!
あいつは病み上がりなんだぞ タイタンの火力に巻き込まれたら・・・・
!!!
無事か・・・・
? なんだ? まだ戦っとるのか?
大人しく 姿くらましてりゃいいものをよ・・・・
キサマ・・・・
ヒ・・・ヒイィ
まてコラぁ
バダン デルザー ブラックサタン なんでもこいや 一匹残らずぶっ潰してやる
回復しすぎだ まったく
いつまで続ける気だ
・・・さあ・・・
そけは茂(あいつ)のこだわりでしょう
こだわり?
ええ
天に召された女と・・・・ 大地に眠った男の分まで 悪を倒せと・・・・
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 第43話 正義の戦士 城茂 風見志郎 立花藤兵衛 岬ユリ子 沼田五郎 デッドライオン より
世界中に宣戦をつけ アメリカの主だった 空軍基地を襲撃した 未確認破壊組織 「BADAN(バダン)」
ノーラッド襲撃より 20時間経った今も ロシア 中国 NATO諸国 中東 中央アジア 各国の軍事拠点に猛威をふるい続けています
もはや被害の確認はおろか 救援すらできない状況です!!
おそらく世界中で 数千人におよぶ 死傷者が予想され・・・・
クゥ・・・・ クソォォ どうすりゃいいんだよ!!
バダン・・・・ なにもんだよ 奴らの目的は いったい・・・・
世界・・・・征服
滝和也・・・・
君が幾度も戦ってきた言葉だ
人ならば 決して屈してはならない言葉だ
だがな 結城さんよお!! けたがちがうぜ!!
奴らはたった20時間で世界中の軍隊をぶっつぶしちまったんだぞ!!
確かに人間には爪も牙もない 武器を奪われた今 弱者になるしかないのかもしれない
だが中には・・・・
その体に 爪を 牙を 与えられた者もいる
私たちのように
漫画『仮面ライダーSPIRITS』4巻 第三話 暗闇 滝和也 結城丈二 アナウンサー より
田口先生は僕を見つめいたが、静かに僕の肩に手を置いた。
「天馬君、君は正しい。私は医者としては失格かもしれない」
そう言い残し、田口先生は静かに部屋を出て行った。僕は机に突っ伏した。
(略)
看護師が近寄ってきた。美智の担当でベッドサイド・ラーニングの時にたいそう世話になった人、さっきも美智の傍らで、的確な指示を出し続けてくれた女性だ。僕と年齢はそんなに変わらないのに、病棟では中堅どころを狙っている。
「このカルテを読んでみてください。田口先生の、不定愁訴外来専用のカルテです」
彼女が手にしていたのは、さっきまで田口先生が書き綴っていたものだった。
カルテを開いた途端、紙面から文字があふれ出し、膨大な記述の中から美智が浮かび上がる。悪態が正確に書き留められている。僕のベッドサイド・ラーニングの様子も描写されていたが、思わず赤面したくなるくらいの忠実さと正確さだった。
そこに田口先生の姿はない。ただひたすら、美智の言葉が書き留められていた。
そこに美智がいた。
美智は僕の手の中で命を失った。だけどそのぬくもりは今も手の中に残ってる。同じように、美智はここにいて、今でもこのカルテの中で息づいていた。
罵倒の言葉が羅列されている中に、一粒の真珠が交じっていた。
-----天馬は必ず、立派な医者になろうもん。
医療はここまでできるものか。
海堂尊『輝天炎上』17章 医学のチカラ 本文 天馬大吉 田口公平 高原美智 看護師 より
「余計なお世話かもしれませんが、もし心配事や悩み事ができたらいつでも相談してください。力になります」
社交辞令ではなく本心からそう言っているように感じられて真魚はうれしかった。
事件当時はわからなかったが、こうして話してみて初めて氷川の真面目で誠実な人柄が窺えた。
翔一にはない頼り甲斐がある。
互いの飲み物がなくなったころ二人は喫茶店を出た。
店頭で別れようとすると、ちょうどそこに魚屋のビニール袋を提げた翔一が通りかかった。
「あれ?なんで真魚ちゃんが刑事さんと……?」
不思議そうな顔をして翔一が尋ねた。
「えっと、それは……」
真魚は言い淀んでしまう。
あかつき村事件のことも自分がその唯一の生き残りであることも知られたくなかった。
「なんでもいいでしょ。翔一君には関係ないの」
「まさか、補導ってやつ?そうだよなぁ、ヒコウしつるもんなぁ〜」
「非行っ!?」
氷川は思わず真魚に驚きの目を向ける。
真魚はあきれ顔で訂正する。
「気にしないでください……わかりづらいですけど、『下校』をかけたダジャレですから……」
ダジャレにしてもひどすぎると思い、氷川は頭を掻きながら笑う翔一をじっと見つめた。
岡村直宏『仮面ライダーアギト』第二章 本文 津上翔一 氷川誠 風谷真魚 より
おい 本当に
大丈夫なのか
いくらなんでも
今回のボアアップは完全に スペックオーバーだぜ
ライダーマンマシンの最高時速は 250キロ
しかし四国突入には
600オーバーは必要だって・・・・
だけど・・・・
エンジンもフレームも それに耐えられるかどうか
それに・・・・
結城さんの肉体も・・
そういう人だよ
一見 冷静そうに見えるけど
いつでも 命を投げ出す覚悟があるような・・・・
漫画『仮面ライダーSPIRITS』10巻 第10話 4号 技術者たち より
あ〜あ 本当に燃やしちゃうんですか もったいなぁ・・・・
こいつらは図体がデカいからアトラクにすら使ってもらえない
だからって あのまま
倉庫の中で腐って形が崩れてゆく姿なんぞ見たかねえだろ
なあ・・ポチ
こないだ文ちゃん 個人に仕事の依頼があってな
なんでも日本テレビでもヒーローものやるってんでな
しかも主役 変身前
変身前!!じゃあ顔出しじゃないですか
スゴイ!!
でも断った
え? なんで もったいない
まったくだ
いい男すぎるぜ
あいつは
?
今 剣友会(ウチ)は
バロム・1や変身忍者 嵐 などで忙しくなってるし それに新番組の時間枠 土曜の7時30分
それって ライダーの裏番でしょ
剣友会(なかま)は裏切れませんよ
なあ ポチよ
この番組の大ヒットは剣友会(あいつら)から 顔を奪っちまった
それが結果的に良かったのか 悪かったのか わからん
だがな
これだけは
言えるぜ
「仮面ライダー」の大ヒットは・・・・
大野剣友会(あいつら)がいなければ ありえなかった・・・・てな
漫画『仮面ライダーをつくった男たち』第三話 仮面の侍(サムライ)軍団 内田有作 ポチ 中村文弥 より
あなたの思いをリターンエース!高坂穂乃果です!!
誘惑リボンで狂わせるわ!西木野真姫!!
剥かないで!まだ青いあたしは小泉花陽です!!
スピリチュアル東洋の魔女!東條希!!
恋愛には化学式、園田海未です!!
あたしのシュートでハートマークをつけちゃうぞ♪南ことり!
シュートスプラッシュ!星空凛!!
必殺のピンクポンポン!絢瀬絵里よ!!
そしてあたし!不動のセンター矢澤にこにこ!!
私たち部活系アイドル u’s です!!!!!!!!!
ってあたし!顔みえない!!
いつもとちがって新鮮やね
うんうん♪
スクールアイドルていうことを考えたらいろいろな部活の服を着るというコンセプトは悪くないわね
だよねだよね♪
でもこれだとなんか……
ふざけてるみたいでしゃない!
そんなことないよ!
す〜い〜♪
ほら、もう一度!
す〜い〜♪
ひとついいですか
ふんふ〜ん♪
あたしのこの格好はいったいなんの部活なのでしょう?
科学部だよ!
では花陽のこれは?
たぶん絵日記部
ていうかそもそもこれでステージ上がるなんてありえないでしょ!
たしかに
アニメ『ラブライブ!(二期)』第6話 ハッピーハロウィーン 高坂穂乃果 園田海未 南ことり 小泉花陽 星空凛 西木野真姫 矢澤にこ 東條希 絢瀬絵里 より
グウ・・・・
おい!見ろよ!ヘビー級のゴードンが手玉だぜ
・・お前ら・・
改造手術を望んで受けようってのか
やめとけ やめとけ
仮面ライダーなんざ ロクな事ねえぞ
全身機械になんて なっちまった日にゃあ
ホレた女も愛せねえし
うかうかしてりゃ
やわや子どもの手なんか“グシャッ”・・・・だぜ
それによ あんな体じゃ
まともな老いもこねぇだろ?
どんな死に様を晒すんだか・・
それによ 争いのない平和ってやつが来ちまった日にゃあ
もう お払い箱だ
誰も必要としてくれなくなる
まったくワリに合わねぇったら やめときなって・・・・
あんな生き様 お前らみたいなふぬけに務まるかよ
ま・・・・
かくいう俺も お前らと同じふぬけなんだがな
・・・・・
そうよ・・・・
この体じゃあ ライダーの能力(ちから)には
遠く及ばねえ
だがな・・・・
魂くらい・・・・
魂くらいは・・・・
それでも・・
まだまだつりあわねえんだがよ
なあにを ウダウダぁ
「言言肺腑を衝く」
熱い想いの籠った言葉が 聞く人の心の底に 染み渡るという意味ですよ
ボクはあなたの魂に・・・・・ 参加します
魂・・・・ フム
魂が 群像となりましたか
漫画『仮面ライダーSPIRITS』10巻 第九話 魂の結成 滝和也 佐久間ケン ゴードン コンラッド ウェイ・ペイ より
麺太郎・・・・
ユーの気持ちワカります
ワリィ アレン 一人にしてくれ
麺太郎ーー!!
この・・・・クソ足
肝心な時にすくみやがってよ
いって・・・・
?
あいつ・・・・
ザ スケスケZカップ
やだもーー 麺太郎ーー
浸っているところ ソーリーね
ユー すっかり掛ノ助のこと忘れてないか
はっっっ
漫画『仮面ライダーSPIRITS』第十四話 光牙 麺太郎 小麦 アレン より
みんなが呆れ顔で凝視しているのに気がついて、姫宮はぺこりとお辞儀をする。
「私も自己紹介をさせていただきます。私の所属は……」
そう言うと、すうっと息を呑み込み、一気に放つ。
「厚生労働省大臣官房秘書課付医療技官兼政務局付医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室長ホサの姫宮香織、と申します」
無表情で言い終えた姫宮の顔を見ながら、僕はぽつんと考える。
なぜに、“ホサ”のところだけカタカナ口調なんだ?
その時、ぱたんと扉が開き、続いて入ってきた顔にはやはり見覚えがあった。冬休みに受けた特別講義が鮮やかに目に浮かぶ。銀縁眼鏡の彦根先生は、僕と冷泉深雪の顔を見つけると、片手をあげて、やあ、と声を掛ける。その声に白鳥が振り返る。
ふたりの視線がぶつかり合った瞬間、彦根先生が素っ頓狂な声を上げる。
「どうしたんですか白鳥さん、まだ会議開始のニ十五分も前なのに」
これでは彦根先生のクールなたたずまいが台無しだ。白鳥は顔をしかめて言い返す。
「相変わらず、いつでもどこでも誰にでも遠慮会釈のないヤツめ。遅くとも会議開始の十分前に会議場にいるのは、霞が関官僚の常識なんだよ」
「それは存じていますけど、白鳥さんは十分遅れが基本スタイルだという、霞が関では歩く非常識として有名な方ですから、つい質問してしまったんです」
すると姫宮が小声で訂正する。
「彦根先生、今の表現は、根本的な部分で大きく間違っていらっしゃいます。白鳥室長は歩く非常識、ではありません。動く非常識、です」
「それってどこが違うんですか」
「室長は歩いてる時だけでなく、椅子に座っている時でも非常識なんです」
白鳥と彦根先生が姫宮の指摘を聞いて、同時に同じように顔をしかめる。
海堂尊『輝天炎上』23章 落第王子の当惑 本文 天馬大吉 白鳥圭輔 姫宮香織 彦根新吾 より
我が進化とゼクロス(きさま)という器の完成 これが最終段階だ
スーパーーライダァーー
閃光キック
グ・・・ゥ
・・・・フ
!? ・・・・・・・
ホオ
赤心小林拳 梅花
・・・・・・ 何のつもりだ
どうした JUDO
この技を 知らないのか
フ・・・・ そんな腐れ花 引き千切ってくれるわ!!
!!
ク・・・・ どうしたJUDO
・・・・・
受け売りの技だぞ
仮面ライダースーパー1
沖一也の・・・・な
・・・・
器めが
身の程を知るがいい
変んん 身!!
どうせこれも
JUDOの創り出したイメージ・・・・
!!
ヤツ・・は・・・・
!!
ジュドオオ
光を・・・・取り戻したか
ZX キック
お おお おおおお
!! この・・・・光は・・・・
・・・・・
解ってるよ
ZX・・・・穿孔 キック
JUDOが 退いた
やはり・・・・ この技も知らないのか
ナニ?
JUDO・・・・
キサマはこの戦いの中で 一号と二号の進化を演じなかった
そしてスカイ・・・・ストロンガーの強力型までも
どういう事だ
キサマは歴代の仮面ライダーをZXボディーのプロトタイプと言ったな・・・・
ツマリ
キサマはあいつらが戦いのなかで進化した力まで持っていない
ちがうか
だから・・・・どうした
負傷・・・・復元
そして更なる進化
それが仮面ライダーとしての本質
そして人間の持つ可能性・・・・
ゼクロス(ヤツ)は・・・・
!!
・・・・バカな
これが我のイメージだと・・・・
恐怖・・・・
これが恐怖だと言うのか
漫画『仮面ライダーSPIRITS』14巻 第30話 戦士の本質 村雨良(ZX) JUDO ツクヨミ より
ゴ・・・ゴードンさん
ほっとけよ オッサン
俺達の友情はバダンとか亡霊とかすでに超越しちまってるんだよ!!
よく言った!!
じゃあテメェもいっぺん**!!
殺してやるからあとはバダンに頼むんだな!!
ん?
ガウウウ モンキーアターーック
わ・・・・と ア・・・・アマゾン!!
・・・・じゃなくて・・・ 村雨さん・・・?
くそ・・・・
まだだ どうにもうまくいかん
良は〜〜ん ムチャしすぎや
!がんがんさん
だけど・・・・先人にあれだけいわれたらな
ムラサメやる!!
お前 できる!!
恐ろしい・・・・
恐ろしいライダーの縦社会や・・・・
おいソレ早くどいてやれよ
・・・・あ
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 第46話 双頭の牙 村雨良 アマゾン(山本大介) 岡村マサヒコ がんがんじい ゴードン 他より
神さん・・・・
村雨・・・・
それに筑波さん これまでドグマを制してくれて・・・・
なあに
北陸と東北を いっぺんにってのは さすがのお前でも無理だよ
がーんがーん がんがらがんがん
ハッ この歌は・・・・
がんがーんがんがん
がんがんじいーーーー!!
洋はぁーーーー!
ひさしぶりのコンビ復活や!! 会いたかったかでえ!!
そ・・・・
そんな顔だったのか・・・・とでも 言いたそうやな
まさかコレが ホンマの顔思うとったんか?
良はん アホやろ
村雨とはうまくやってるかい?
あったり前や
ヒーローとはなんたるかの神髄を叩き込んどる所や
あいつ なんかしたか?
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』5巻 第18話 黒き赤心 村雨良 神敬介 筑波洋 沖一也 がんがんじい ゴードン より
ゼ・・・・ ゼク・・・・ロス
スマン 待たせた
チ・・・・ 別に待っちゃいねえ
!!
ったく今までどこで何やってたのよ
え・・・・ああ
月面でちょっと
月面?
話はあとあと
ダーリンを助けにダッシュよ!!
ダーリン?
変わりました・・・・よね
!
いったいどんな修羅場を越えてきたんでしょうか
チッ
そうか
帰って来はったんやんか
良はん
ほな・・・・お目付け役のワイの出番という事やな
アルベールはん
一寸法師という日本の民話を御存じか?
それによると
巨大な敵を討つには
その体内に入り戦うべしとある・・・・
ホオ・・・・
捨て身のサムライ魂だな・・・・
さよう
では・・・・参る!!
いやあーーーー!!
やっぱ高い所恐ーーーっ!!
・・・・なぜあいつにスカイライダーの相棒が務まったんだ?
さあ
漫画『仮面ライダーSPIRITS』14巻 第33話 燃える巨人 仮面ライダーZX 10分隊 がんがんじい アルベール 他より
翔一は目を落として沈んだ声で答えた。
「おれ、あかつき村事件の犯人なんです」
「あかつき村事件……」
(略)
「……本当のおれは、悪人なのかもしれません……」
「バカな……」
愕然とソファーに座りこむ。
いったん気持ちを落ち着けた氷川は冷静に答えた。
「たとえあなたが言っていることが事実だとしても、証拠がないので逮捕するわけにはいきません。それに、身柄を拘束されたらアンノウンと戦えなくなってしまう……アギトとして戦い続けるほうが有意義だ」
翔一はかぶりを振ると、手錠をかけてほしいと言わんばかりに両手を突き出した。
「津上さん……」
氷川は呆然とその手を見つめた。
だが瞳に力を込めると、右手でがっしりと翔一の手を握りしめて言った。
「この手は人を殺(あや)める手じゃない……人を守る手だ!」
翔一は自分の手に目を向ける。
氷川の言葉を信じたかった。
だが蘇った記憶がそれを許さない。
あかつき村で流れた大量の血が手にべっとりとまとわりついてるように翔一の目には映った。
そんな翔一の状態など構わずアンノウンは活動する。
気配を察知した翔一は反射的に家を飛び出しバイクに飛び乗った。
岡村直宏『仮面ライダーアギト』第四章 本文 津上翔一 氷川誠 より
ではペッペッペッさんの名前を間違えないためにはどうしたらよいか。アイデアを出しなさい
はい
そうだ!ニックネームで呼びあうのはどうでしょう?
ふむ、なるほど。それはいいかもしれないな
……、みなさんあたしのために……。ありがとうございます……
ではニックネームの最終候補は以上とする
え!?
ペッペッちゃん
ソーランちゃん
ペソちゃん
異国の人
御秘書さん
……そこまでしてくれなくていいです
おっ!!
ただひとつだけお願いがあります。魚を飼うのはやめてください
アニメ『少年アシベ GO!ゴマちゃん』会長(アシベのおじいちゃん) ペッペッペッ・ソーランアレマ 他 より
ライダー!!
なぜこんな危険な所に・・・・
アラ平気よ
ちゃんと侵入ルートは押さえてきたんだから・・・
・・・
とにかく私が敵を
撹乱している間に帰るんだ
でも・・・・
お願い!!なにか手伝わさせて!!
わかった・・・・
それなら・・・・
この男の事を頼む・・・・
一文字さん!!
まずい
あ・・・・
!・・・・どうしたの?
この傷跡 まさか・・・・
そうだ どうやら俺は
もう人間じゃねえ
何故だ・・・・
何故 俺を助けやがった・・・・
こんな体で どう生きていけってんだ・・・・
手探りしただけでも
全部 ぶっ壊しちまう
制御不能のこの腕で・・・・
!!
!? !! おい・・・・
なにんのマネだ!! やめろ!!
クソ・・・・ 見ろ・・・・
締める気なんかないのに
ギ・・・・ ギギ
この・・・・腕が・・・・
ゲホ ゲホゲホ
こんなの あの人も 同じだわ
仮面ライダーも同じ苦しみの中で戦ってきたハズよ
これまで たった一人で・・・・
お願い 一文字さん
あの人の力になって・・・・
ごめんなさい
私達のせい・・・・
一文字さんは私達を助けるために・・・・
償います・・・・
私も命を賭けて戦います・・・・
だから教えて!!
あなたは何故・・・・
何の為に戦うのかを・・・・
・・・・へっ
逃げようのねえ質問だな
そりゃあ
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』1巻 第3話 皮肉という名の肖像 仮面ライダー(本郷猛) 一文字隼人 緑川ルリ子 千恵 より
・・・・ゼクロスが
塵に・・・・!!
姉さん----・・・・
さあ・・・・
生まれ変わるのた
神の産声をあげよ・・・・ そして・・・・
大首領「JUDO」の器となれ
・・・・
!
姉さん
!!
え?
!!
これは・・・
ここにいるのは 古代インカより
これまで在りし科学者の記憶だ・・・・
我々は化学・物理学・生物学すべての自然科学より繁栄の光を造り出した・・・
しかし
その過ぎた光は 古代インカの終焉を早めてしまった・・・・
お前達が
世界に乱立させた核爆弾の様なものだ・・・・
ワシはバゴーという
ギギとガガの腕輪によって 滅びの光を封印してきた科学者の一人
この光 放っておけば すべての物質を分解し 広がり続けるぞ
光の核になっているのは あの球体の闇だ
!!
チ
ク ク
あの男なら 球体の拡大を止める事くらいできるかもしれん・・・・
その体に・・・・
供物とされた百数万の魂が宿っているのか・・・・
お前が“姉”と呼んでいた者もその一人
なにが言いたい
不思議な男だと思ってな・・・・
それは神と同様の体なのだろう
その力をもってすれば人類を支配するも
BADAN(バダン)への復讐も造作なき事
なのにお前は
人間という「弱き存在」に付いた
戦火を広げず迎撃に徹するなど
消極的選択だと思わないのか・・・・
・・・・わからん
わからんが・・・・
今は
それが自然だと思っている
自然?その体がか
ああ・・・・
確かに普通とは言えない
それに
もう「人間」ですらない
・・・・だから
だからこそ俺は
人間の領分に生き 守る為に戦うと決めた
・・・・そうか
ならば・・・・
良かった・・・・
ワシがアマゾン(あの男)に託した事は 間違いではなかった・・・・
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』3巻 第10話 友よ、おまえのためならばアマゾンライダーここにあり 村雨良 村雨しずか 長老バゴー 緑川ルリ子 暗闇大使 より
茉莉亜は小さく咳き込んだ。白いハンカチで口元を押さえ、うつむいている。
やがて顔を上げると、掠れた声で言う。
「あなたの行く手を阻むのは、すみれちゃんよ。気をつけてね」
小百合は優雅にお辞儀をする。
「ありがとうございます。せっかくのご忠告ですけど的外れです。すみれは碧翠院の火事で焼け死んでしまったんですから」
「それならすみれちゃんの思念に気をつけなさない。今でもあなたの周りにまとわりついているわ」
小百合は白いマスクの下で微笑する。
「叔母さま、私はオカルトは信じないんですよ」
「あら、私もよ」
茉莉亜の笑い声が響いた。それから深々とした息を吐いた。
「さあ、用が済んだら、さっさと帰りなさい」
「そうします。なんだか急き立てられているみたいでさみしいですね」
「それくらい我慢しなさい。あなたが久広に何をしたのか、私は知ってるのよ。それでもこれだけお話ししてあげたのだから、感謝してほしいわ」
小百合の、マスクの下の頬が青ざめる。
「どうして、そのことを……」
その問いに答える代わりに、茉莉亜の、凛とした声が部屋に響いた。
「理恵先生、お客さまはお帰りよ。お清めの塩を持ってきて頂戴」
海堂尊『輝天炎上』20章 羽化 本文 桜宮小百合 三枝茉莉亜 より
キ・・・ キキ・・・
我慢するんだ・・・・
戦いは・・・・
まだこれからだから・・・・
ごめん ビクトル・・・・
今 お前は 世界で一番
つらいかもしんねえのにな
俺 久しぶりだったから
お前にアマゾン
取られちゃった気がしてさ 年上なのにな カッコワリイや
・・・・それは
僕もさ・・・・
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』3巻 第11話 トモダチのいる世界 岡村マサヒコ ビクトル・ハーリン ラストバタリオン より
しばらくして盗聴器が反応しなくなった。バレたのかと心配していたが、どうやら小百合が臥(ふ)せっているとわかった。外出しないので、太陽電池が尽きてしまったかもしれない。真下の部屋では南雲父娘の出入りだけしか確認できなくなってしまった。せっかく兄・城崎亮という最終兵器を手にしたのに、肝心の小百合が活動を停止してしまってはどうしようもない。
というわけで、小百合が不気味に沈黙している季節の中で、私はひとり故郷の春を満喫した。こういうとき、楽天的で雑な性格に生んでくれた両親に感謝したくなる。
街角を歩いていると、スキップしたくなる。だけど桜宮の街はすっかりさびれていた。繁華街の蓮っ葉通りには人影もなく、すれ違うのは野良猫ばかり。仕方なく私は、野良猫に挨拶する。片手を上げ、みゃあ、と鳴くと、相手は身をすくめ、次の瞬間に脱兎の如く逃げ出してしまう。
海堂尊『輝天炎上』第三部 透明な声 僥倖 本文 桜宮すみれ より
スーパー1!!
・・・・え?
スーパー!!
来てくれたんだね!!
・・・・
よかった・・・・無事で
四幹部はもう倒したの?
ああ 問題ない
!
Xライダー
一也(あいつ)の声に似せてはいるが 声紋の劣化(ノイズ)は隠せなかったようだな
なにするんでしゅか!!
チビ
ボク達は ジュニア・ライダー隊なんでしゅ
スーパー1をいじめるのは許しましぇんよ!!
・・・・ え?
チビ・・・・
・・・・
チビ・・・・
見るな
ヌ・・・・
う・・・・
ああああ
姉ちゃん
大丈夫よ ハルミ・・・・ それは本物のスーパー1じゃないんだから
ん・・・・
わかってる
一也 なにをやっている
お前を想う者達が・・・・ こんなにも待っているというのに
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』4巻 第13話 高性能の罠 仮面ライダーX(神敬介) ハルミ マサコ チビ ジュニア・ライダー隊 ロボットスーパー1 より
おやっさん・・・・
風見です
ええ まだ本郷さん達と合流できてません
それより 一也のことなんですが
なに?通信(はなし)ができない?
そうなんです
俺達は普段 通信を切っていたとしても相手の状態を認識できるものなんです
だが・・・・
今の一也は・・・・
完全なブラックアウト
脳の人間(オリジナル)である部分と改造された部分が断絶された状態にあります
クソ・・・・
こんなことなら俺も行きゃあよかったかな
なぁに 向こうには敬介もいる
それに 早いとここいつを修理してやらんと 良も戦いにくいだろう
・・・・スね
しかし おやっさん
これ本当に直るんすか?
フレームは大丈夫だし 電装系はなんとかなるだろう・・・・
でもこれ・・・・
エンジン完璧逝っちゃってますよ
エンジンならスペアがある とっておきのヤツがな
え?
これは・・・・ 改造サイクロン!!
スゲェ・・・・ とってあったんすね
ああ
本郷と一文字のマシン
なんとか
無事だった部品を2個一(ニコイチ)にしたヤツだ
歴戦の疵(きず)のせいで足周りまでは再生できなかったが
エンジンはまだピンピンしてる
エンジン・・・・てことは
すまんな・・・・
お前の心臓
10号ライダーに 貸してやってくれ
と言っても 突貫となると応援を呼ばんとな・・・・
応援?
谷 源次郎
彼以外にいないだろう
え? じゃあ 俺は?
・・・・
なあにが「俺は?」・・だ
いてもたってもおれん顔
しおってからに
ヒャハーーッ!!
待ってろよ
本郷 一文字!!
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』第16話 幻視 風見志郎 城茂 滝和也 立花藤兵衛 より
うひ〜〜〜
鳴門の渦おっかね
今 ちょうど満潮で渦が一番でかい時じゃん
なぁ オヤッさん ここで何しようっての?
それよか ホラ
村雨さん
ほったらしていいのかよ
よくまだ生きてるよって感じだぜ
どうだ良
ボロ負けした感想は
実はな・・・・
志郎の奴も ツバサ一族には二度破れているんだ
! あいつが・・・・
いや〜 そん時は ひどい負けっぷりだった
だが その度に
あいつは挑んでいった
血の滲むような特訓にな
・・・・・・・
特訓?
空を飛ぶだと?
志郎・・・・お前 どうかしちまったのか
第一 怪我をしてるじゃないか!!
オヤッさん!!
少しでもいいんです
空を飛べれば・・・・
怪我は治るかもしれない
・・・・だが ツバサ一族に捕らえられた人達は
二度と帰って来ないんですよ!!
強化された体・・・・
造られた能力・・・・
その 定められた限界を超えるんだ
そいつは・・・・
死を伴うかもしれん・・・・
もしかしたら戦わずして・・・・
特訓・・・・・・・・・・か
!
懐かしいな・・・・
え・・・・?
7歳の頃か
俺は7歳になっても
自転車を補助輪なしでこげなくてな・・・・
みんなにバカにされて・・・・
悔しくてよ・・・・
バッ・・・・
バッカヤロウ!!
そんな特訓(もん)と一緒にするな!!
まったく・・・・なんて奴だ・・・・
お前が10人目だなんて先が思いやられるわい
!
・・・・スイマセン
オヤッさん
漫画『仮面ライダーSPIRITS』11巻 第18話 特訓 村雨良 風見志郎 立花藤兵衛 麺太郎 より
すると田口先生が言った。
「取材申請書類は後日提出していただけば結構です。みなさんはAiセンターの関係者ですので、一括入場を許可します」
さすがに戦車に乗って桜宮に凱旋パレードをしたセンター長だけのことはあって、太っ腹な対応だな、と感心する。
事務長から一日バス券を受け取った僕たちは、ツアー旅行客のようにぞろぞろと入場ゲートを通過する。ハコが、桧山先生をちらりと横目で見ながら、僕に言う。
「ねえ、『美しい』と『麗しい』はどっちが上かしら」
どうやらハコは、隣に佇む楚々(そそ)とした美女、シオン先生に敵愾心を燃やし始めてるようだ。
海堂尊『輝天炎上』26章 リヴァイアサン見学ツアー 本文 天馬大吉 別宮葉子 田口公平 より
おい・・・・
アマゾンのあの腕
なんだ知らないのかよ
ヌ
隊長のくせに・・・・
いっけええ
スーパー 大 切 断
そうか・・・・
インカの力を封じるにはインカの力
そうだ
目には目を 歯には歯に歯をだ!!!!!!
ガ ァ ァ ァ
!!
光が・・・・
小さく・・・・
もういい
!?
あんた・・・・
本当は
こういう事
嫌いだったんだな
ゼクロス・・・・
バゴー・・・・
アマゾン・・・・
何故 オセロット達と
戦う?
強くなりたいのか?
なりたい
俺・・・・一人
弱い・・・・ダメ
ならば『力』が必要だな・・・・
力?・・・・
そうだ・・・・
オセロット達は炎を恐れて逃げただろう・・・・
あれが力だ
『力』ーーーー・・・・
ホオ・・・・
干し肉で 手懐けたか
どうした・・・・
強くなりたかったんじゃないのか?
闘って勝ち取る力はもういらないのか・・・・
アマゾン
闘わない
トモダチなる
もっと強くなる
そんなお前を・・・・
ワシは闘う獣神へと変えてしまった・・・・
せめて今は
世界を守護する
腕輪の記憶となろう・・・・
お前を一人ぼっちにしないように・・・・
おっと・・・
帰るぞ 先輩
・・・・・
おおーーい アマゾーーン
バゴー・・・・
俺・・・・
一人・・・・ない
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』3巻 第11話 トモダチのいる世界 仮面ライダーアマゾン(山本大介) 仮面ライダーZX(村雨良) 滝和也 岡村マサヒコ ビクトル・ハーリン 長老バゴー より
こんなことになっていたなんて……
これってまずいよね
ええ、まずいなんてもんじゃないわ……
もう手遅れね!
お母さんっ!そんな!!
おっはよう〜♪
穂乃果
あ!それ新体測定の紙どこにあったの?封を開けたらどっか行っちゃって
あなた、まだ知らないの?
ん?なにが
ふぅん、身長159センチ変わんないな。それから体重……ん?んん!んんん!?
これは……なんとかしなくっちゃ!!
アニメ『ラブライブ!(二期)』第7話 なんとかしなきゃ! アバンタイトル 高坂穂乃果 高坂雪穂 高坂母 より
ヘェ〜〜そりゃ イカしたことしましたね
え?何スか 文弥さん
今日昌弥クンに 最前列のド真ん中を用意したんですって
おお〜〜 ばっちり
パパしてんじゃないスか
? 文弥さん?
何やってだ 俺は----・・・・
周りは皆親子連れ・・・・
あんな中に子供が
一人ぼっちで座らされて
どう楽しめってんだ・・・・
文弥さん 1号はいって下さい!!
クッ
俺は・・・・
父親失格だ----・・・・
親父さんに最高の舞台を用意させて----・・・・
何をやってんだ・・・・
俺は・・・・
何を・・・・
昌弥----・・
ゴメン・・・・
ガッ・・・・
ガンバレ!!
!!
負けるな!!
ライダーーー!!
そう・・・・か・・・・
俺は今・・・・・
ウ オ オ オ
中村文弥じゃない
俺は・・・・
ラァイダァァ キイック!!
仮面ライダーなんだ!
キイック
ヨシ・・・・
仮面の中に侍達がいた
彼らは「仮面ライダー」に夢を賭け
番組制作に自ら体当たりで挑んでいったのである
漫画『仮面ライダーをつくった男たち』第三話 仮面の侍軍団 中村文弥 中村昌弥 中屋敷鉄也 河原崎洋夫 スタッフ 大野幸太郎 より
四月。僕たちの学年はひとりも留年者を出さずに学部五年に進級した。これは相当の快挙だったらしく、後に僕たちの学年は、奇跡の年代と呼ばれることになる。
不思議なもので、学年によって優秀だったりどうしようもなかったりというムラがあり、ある学年ばかりが教授を輩出したりすることもあるらしい。
僕に限っていえば、留年を繰り返したせいで同級生が年々増えているから、在籍中の学年と注釈とつけなければ正確ではない。あるいは冷泉深雪の学年と言えばいいかもしれない。でも自分が在籍しながら、“冷泉の学年”などと他人行儀に表現していると、この学年さえも僕の学年でなくなってしまうかもしれないという、困ったことになりかねない。
それは困る。
碧翠院の最後の日から、医学と真剣に向き合おうと思っていたからだ。僕は、今度留年すると放校になってしまう。それだけは耐えられない。
そう考えると、ああ、僕って更生しちゃったんだなあ、とつくづく思う。
海堂尊『輝天炎上』13章 臨床の季節 本文 天馬大吉 より
んっ!でもよかったよ
?
でもあたしと同じ境遇の仲間がもうひとりいてくれて……うん!
仲間……(;¬_¬)
いま、目そらした……?
アニメ『ラブライブ!(二期)』第7話 なんとかしなきゃ! 高坂穂乃果 小泉花陽 より
加藤くんがね・・・・
それほどスカルマンのイメージが離れないのなら
それに似たイメージを探してみようってことで
昆虫図鑑を勧めてくれてね
バッタ・・・・
飛蝗か・・・・
バッタは自然の象徴とも言える
自然破壊に立ち向かうなんてどうかな
い・・・・
いいですね!!
エネルギーは・・・・
風・・・・風力エネルギーってのは?
じゃ・・・・じゃあ
ベルトの風車に機構があって それで変身するとか・・・・
いいね
先生!そろそろ締め切りが・・・・
もう少し
バッタとくれば跳躍力 落下する力でキックして敵を粉砕する!
おお・・・・
それなら予算がなくてもトランポリンで表現できる!!
スゴイ・・・・
スゴイものになりますよ・・コレは
・・・・
あら・・・・?
ス・・・・スイマセン
つい盛り上がっちゃって
じゃあコレ
すぐに各所にまわしますから!!
ありがとうございました!!
さてと
まったく子供みたいに興奮して・・・・
大丈夫なんですかね あの人で
「泣き虫プロデューサー」・・・・か
え?
人間は苦しい時せつない時そして嬉しい時に
涙を流す・・・・
でもそれは
現実の世界での話だ
しかし平山さんは
まだ生まれてもいない架空の世界に対して
それが・・・・できる
やれるよ・・・・
あの人とならやれる
漫画『仮面ライダーをつくった男たち』第一話 泣き虫プロデューサー 平山亨 加藤 石ノ森章太郎 より
え?もう行っちゃうの?
ああ
沖縄の次は東北
戦いはまだ続いてるんでな・・・・
・・・・りょ・・・・
良さん・・・・気をつけ・・・・
?
良さん がんばって!!
アララ・・・・こんな年端もいかない子を
あなた 誰ですか
・・・・・
あらーーーー可愛い
ちょ・・・・ ・・・・
初めまして一条ルミさん
資料を読んでからずっとあなたに会いたかったわ
あなたと私には共通点があり過ぎるわね
え?
まったく 男供の身勝手を 待つのも女の勝手だけどさ
マスター お久しぶり
ああ……
海堂博士ですね
初めまして 緑川ルリ子です
カール博士と欧州科学の技術の粋を集めて造った「ABSシステム(アンチバダンシンドローム)」をお持ちしました
日本をバダンの悪夢から救うために
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』3巻 第12話 荒廃 村雨良 一条ルミ 立花藤兵衛 緑川ルリ子 より
父の演じたライダーマンをブラウン管で一番最初に観たのは、小学校3年生のときのお正月特番『10号誕生!仮面ライダー大集合!!』になります。
ライダーマンは、すごく人間的なキャラクターだと思います。改造も半分くらいで口もとが見えたり、裏切り者だったり。そんな、改造人間になりきれない部分が人間くさかったりするんですが、逆にそういう部分が、ライダーマンの「魅力」なのだと思います。ときには足をひっぱったり、一方では命をかけて仲間を救ったりする。弱くても敵に立ち向かわなければならない、そのときに自分の正義が問われる。だからこそプルトン爆弾と一緒に自爆し、最後には正義を守ることができたんじゃないでしょうか。
そんな、自分に対する葛藤があるキャラクターだからこそ、V3と比較されながらもい今なお強烈にファンに愛され続けているのだと思います。
村枝賢一先生の『仮面ライダーSPIRITS』を読んだときには、父だったら「こんなにカッコよかったかな」と、照れるんじゃないかって思いました。第6話で、ヘルメットが割れて血が流れたりしてますけど、こういうのって、ライダーマンでしかできないですよね。口もとが見えるので、怒りや微笑みもダイレクトに伝わり、読んでるほうも感情が入ります。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』2巻 あとがき 私の父、ライダーマン。 女優・山口貴子 より
あの、いま休憩中ですよね?よかったらサインをいただきたいんですけど
え?あなたたちは
ああ、すみません
私たちこの前のハロウィンライブを見て感動して
ありがとう。嬉しいわ。穂乃果、どう?
うん、もちろん!あたしたちでよければ
うわぁ〜、ありがとうございます!
実はあたし園田先輩みたいなスタイルに憧れてたんです!
そんなスタイルだなんて……
あたし、ことり先輩のスラッとしたところが綺麗だなって
ぜんぜん、スラッとしてないよ
私は穂乃果先輩の!
の!?
元気なところが大好きです!!
あ、ありがとう……
んん……。やっぱりみんなそう思ってたんだね
そんなことないよ。さっきのはたまたまじゃないかな
これでよりやらねば、と思えたでしょう
人間、そんなかんたんにはできてないよ……
アニメ『ラブライブ!(二期)』第7話 なんとかしなきゃ! 高坂穂乃果 園田海未 南ことり 絢瀬絵里 生徒たち より
「…………」
堰を切ったように氷川はまくし立てた。
「あなたはどんな人間なんです?いつどこで、何をどうして変身できるようになったんですか?あなたの力の源はなんなんです?」
「なぜそんなことを聞く?」
「それは警察官として当然……いえ、たぶん……」
「たぶん何だ?」
「僕も、アギトのようになりたいのかもしれません」
(略)
「葦原さん……」
廊下の一方から声がかかった。
振り向く二人の前に佇んでいたのは沈んだ顔をした翔一だった。
「おれ、どうしたらいいかわからないんです」
思い詰めた表情で翔一が言う。
「……葦原さんがおれを裁きたいなら、裁いてください」
「何……?」
「津上さん、何を……?」
「お願いします……」
自分からやられに来るなんて……おかしなヤツとは思っていたが、正真正銘のバカだ……こいつ、本当に犯人なのか……?
涼の顔に戸惑いが浮かんだ。
涼はドアを開け、翔一と氷川を招き入れた。
岡村直宏『仮面ライダーアギト』第四章 津上翔一 氷川誠 葦原涼 より
どうぞ
私 娘のフレイアです
俺 筑波 洋
日本人です
ワイも日本人
「がんがんじい」こと「矢田勘次」や!!
見ろ 固まってるよ
まさか・・・・
コレがホンマモンの顔 思いはりました?
あいてて
あっ ゴメンなさい
いや紅茶やあらへん
さっきSPと大乱闘したときのもんですわ
じっとして
え?
あったかーーー
これでいいわ
なんですねん 今の?
おまじない・・・・・・・・です
漫画『仮面ライダーSPIRITS』2巻 第13話 約束の蒼空(前編) 筑波洋 がんがんじい(矢田勘次) フレイア より
がんがんじいは変身前の矢田勘次役も俺がやるはずだったんだけど、桂都丸さんがやることになって、でも彼を見たらがんがんじいそのまんまでしょ。自分でも都丸さんのほうがいいだろうって思ったもの。でも三枚目って演じがいがあるんだよね。役者として演技できる幅がひろいんだ。
だからがんがんじいはすごく楽しかった。でも出演が第34話からで、アッという間に終わっちゃって残念だったね。逆に鬼火司令のほうは着ぐるみじゃなくて顔出しで。人間に化けて子どもをさらったりとか、他の役者さんと違ってフリーで使えると思ったらしくてよく使われたよ。こっちは嬉しかったけどね。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』巻末特別インタビュー 河原崎洋夫 より
さて、この悪い流れをここらへんで断ち切ろうとして、僕は冷泉深雪を指さした。
「こちらが公衆衛生の実習で桜宮の死因究明制度について一緒に勉強した超絶優等生、冷泉深雪さんです」
「深雪さんという名前だと、あだ名はミユミユ、あたりかな?それにしても天馬クンてば、いつでもどこでも両手に花だね、ヒューヒュー」
白鳥は指笛を吹いた。いや、正確に描写すれば、指笛ができないものだから、両手の人差し指を口につっこんで、自分の口でひゅーひゅーと喋っただけだけど。
今時小学生でもそんなことはしないだろうに。げんなりして白鳥を見ると、田口センター長も、僕と同じような表情をしていたので、思わず笑ってしまった。
ふと隣を見ると、冷泉深雪のツイン・シニョンの髪型はか**ちんのシャーベットみたいに固まっていた。この手のラフ・ファイトはたぶん初体験だったのだろう。その戸惑った表情は新鮮で、何だかいつもより可愛く見えた。
海堂尊『輝天炎上』24章 田口センター長、登場 本文 天馬大吉 冷泉深雪 白鳥圭輔 田口公平 より
「また焼き肉を食べてましたね。臭(にお)いますよ」
翌日、アンノウン対策本部の会議に出席するために警視庁の長い廊下をすれ違いざま北條透が話しかけた。
「これが私の香水なのよ。文句ある?」
澄子が立ち止まって言い返す。
澄子に同行していた氷川と尾室は『またか』というように思わず顔を見合わせてため息をついた。
北條と澄子は仲が悪い。
過去世で二人は犬と猿だったに違いない。
(略)
「そうそう聞きましたよ。またアンノウンによる犠牲者が増えたそうですね。私も心が痛みますよ。G3システムによる多大なる期待を寄せていたんですが。どうやらでくのぼうだったようだ」
「なんですって」
澄子の目が三角になった。澄子が怒るとすぐにわかる。
本当に目が三角になるのだ。
(略)
澄子のまっすぐな視線を外し、氷川はうつむいて唇を噛んだ。
「でも、北條さんな言ったことは間違ったことは言ってません」
「馬鹿ね。正しいか間違ってるかなんてどうでもいいのよ。男はね、気に食うか気に食わないかで判断すればいいの。わかった?」
岡村直宏『仮面ライダーアギト』本文 氷川誠 小沢澄子 尾室隆弘 北條透 より
廊下がきしむ音。がらりと扉が開く音。規則的な機械音は、酸素供給ボンベの音か。
----あら……久しぶりね。
懐かしい声。でも私の姿が見えていないのが哀しい。
電波の状態が悪く、会話はとぎれとぎれにしか聞こえない。いらいらしながら耳を澄ましていると-茉莉亜叔母さまの口から思わぬ声が飛び出した。
----あなたの行く手を阻むのは、すみれちゃんよ。気をつけてね。
すみれは死んでしまったんですから、と小百合がとりあわないと、叔母さまは言う。
----それなら、すみれちゃんの想念に気をつけなさい。あなたの側にいるわ。
小百合が母屋から出てきた時には雨は上がり、雲間から薄日が差していた。小百合の後を、水たまりを避けながら、少し離れてつける。
(略)
小百合はどうして突然、茉莉亜叔母さまを訪問しようと思ったのか。一晩経って理由がわかった気がした。小百合は血族と会って、その血が指し示す方向を確認したかったのだ。それは小百合が私の存在に気づいていない証拠でもあった。
わかっていたら、小百合は茉莉亜叔母さまではなく、私に会いに来ただろう。
海堂尊『輝天炎上』第三部 透明な声 03 魔窟 本文 桜宮すみれ 桜宮小百合 三枝茉莉亜 より
今また再放送でやってるじゃないですか。衛星放送とかでね。それでうちのホームページにもよう入ってくるんですよ、「見ました」いうて。スカイライダーは、初代に近い形でのライダーなんですわ、これ。そう言う意味では一番ととのってるもんなぁ。これパワーアップするんですよね。途中から、なんか強くなるんですよね。この仮面の色がドス黒い色から鮮やかになるんですねぇ。
(略)
枝雀師匠と一緒にやってたでしょ。番組に出てる時にね、よう聞かれましたよ。「今回、怪人は何て言う怪人が出るんですか?」とかね「アブンガーって言うんですよ」言うたら「アブンガー?」いうて頭ひねりよるんですわ。「アブの怪人やで」言うと「そのまんまやがなぁ」って思いきり笑ろてはったけどね。これが強いんですわ。仮面ライダーはんが、もうちょいでやられかけた。「0・5秒の死角をつけ」なんかやったね。ライダーのパワーが戻ってくる0・5秒ある。そこをライダーキックと同じ力でね攻撃するんですわ。もう一発やられたらっていう所で戦うんですね。オカッパ法師「カッパの皿が飛ぶ」っちゅうやつですね。がんがんじいはね、カッパの皿に乗せられてどっか飛ばされるんですよ。「助けてくれぇ」いうてどっか行くんですよ。後では、自分で皿の円盤あやつりよるんけど、最後に落ちてきよんねん。ウニデーモンま出て、佐々木さんがゲストの時でね。
ぎょうさん、えぇシーンありましたなぁ。面が取れて顔が出てしもた時に、筑波洋が立ってるわけですよ。「わかった、誰にも言わないから」いうて行くんですよ。おばけやしきのところどクチユウレイかなにかやったかなぁ。
(略)
塚本さん(谷源次郎役、塚本信夫氏)ねぇ、お亡くなりになって・・・・。ほんまいい人でした。残念ですねぇ。
まず、きっとこんな仕事はけえへんやろっちゅうか、この仕事は、噺家になって一番最初のレギュラー番組だっていうのは、そりゃ誇りに思っていますよ。良いキャラクターに出させていただいたちゅうかね。今、こないして二十年も経ってんのにうれしいですよ。枝雀師匠も、昔ロボコンいうてね、あれでなんかアフレコで出てはるんですよ。おそらくもう、こんな経験はないんじゃないですか。仮面ライダーは、永遠に不滅でっせぇ。わいもまだまだ、がんがん行きまっせぇ。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』8巻 巻末特別インタビュー 桂都丸 より
!!・・・・・・
なぜ・・・・なぜ・・・・俺は
!!・・・・・
チイイイイ エレクトロファイヤーーーー!!
うう おおおおお
そうだ・・・・
良クン・・・・
戦え・・・・
博士・・・・
何よりも自分自身と
たとえ数えきれない程の犠牲者の上に成り立ち
いつか人類を滅ぼすかもしれない体だとしても・・・・
その時には・・・・
その時は
俺たちが総力をあげてZX(あいつ)を破壊する
・・・・・
そうだな
その時まではあがいて・・・・そして生きるべきだ
それが村雨しずか・・・・ 彼女の願いかもしれんのだ
え?
もし・・・・ニードルの話が真実だとすれば
しずか君は・・・・
良クンが選ばれる直前にZX改造の被験者になっている・・・・
!!
そんな
じゃあ お姉さんもあの体に・・・・
私はずっと考えていた
数ある犠牲者の中で なぜ良クンが選ばれたのかを・・・
単なる可能性か
だが・・・しかし・・・・
もし・・・・あの体(ボディ)に残留した しずか君のデータが
良クンの精神を拒絶反応から守り
JUDOの支配をも 封じているのだとしたら
海堂教授!
今度の合宿 もう一人誘ってもよろしいですか?
「良」です
私の弟----
科学的根拠はないのだが・・・・
私にはそう思えてならない
う おお
博士・・・・
博士・・・・
あれ
(略)
・・・・・・
グッ グホォ うえ・・・・うえええ・・・・
うえええええ
うわあああ
なっ なんで死なせてくれなかったんですぅっ
どうせ生きてたって人間は・・・・もう
あんな恐ろしいめにあうぐらいなら いっそ死んだ方がましだ
ダメだよ!!
!!
死んじゃ・・・
ダメだ・・・・
死んじゃダメだよ!!
僕・・・・・
ばだんなんか怖くないもん
だから・・・・
ねえ・・・・
死なないで・・・・
茂・・・・
あいつが「村雨良」という人間に戻れず
JUDOの器としても
生きられないのならば・・・・
仮面ライダーとして生きればいい
仮面ライダーZX・・・・として
漫画『仮面ライダーSPIRITS』8巻 第32話 称号 仮面ライダーZX(村雨良) 村雨しずか 仮面ライダーストロンガー(城茂) 立花藤兵衛 海堂博士 一条ルミ 本郷猛 ZXに助けられた家族と子ども より
「艦長とミナトくん。どっちが勝ったかのう」
グイと湯のみをあおって、フクベが言った。湯のみの中身は、いつのまにか、お茶から酒に変わっている。
「艦長だろうさ」
空になったフクベの湯のみに、酒をつぎながらホウメイは答えた。
「ほぅ、どうしてかね?」
「家柄、権力、資金……どっちに転んで間、艦長が勝つようにしたんだろうさ。プロスさんのことだから」
ホウメイの読みは当たっていた。
プロスペクターはユリカが……というより、ミスマル家が引き取る方がよいと考えていた。しかし、ミナトの気持ちも大事にしたい。大岡裁きという面倒な方法を取ったのだ。これなら、どっちに転んでもユリカの勝ちにすることができる。一応、皆にも理由を説明できる。
「ところで……」
ホウメイのついだ酒を飲みながら、フクベが聞いた。
「本当に、ミナトくんがあんなことを?」
「さあ」
ホウメイが悪戯っぽく笑った。
「嘘も方便……というわけかね」
「嘘じゃないさ。ただ声に出して言わなかっただけで、心の中はそうだったはずだよ」
「なるほど。それなら嘘じゃないか」
愉快そうに、フクベが目をほそめた。
「ま、今回はちょっとおせっかいだったかもしれないけどね」
ホウメイは湯のみについだ日本酒を、一気に仰いだ。
今日の酒は、格別にうまかった。
ノベライズ『機動戦艦ナデシコ ルリAからルリBへの物語』本文 ホウメイ フクベ・ジン より
純は佳代に眠っている遥を手渡すと、一礼して公道へと駆け出した。
「あ……待って!あなたは……あなたは一体……」
純の背後から佳代は声をかけた。
「せめてあなたの……あなたの名前を教えてちょうだい」
「ボクは……ボクの名は……か……」
佳代の問いかけに『門脇純』という言葉が咽喉から出かかった。
「か?」
と佳代は復唱する。
しかし純は自分の名前を飲み込まざるを得なかった。かつての恋人にはそれを告げるには、三〇年という歳月はあまりに長すぎた。
「……か……仮面……仮面ライダー。そう、ボクは仮面ライダー……だ!」
「仮面ライダー!?」
意外な言葉に佳代は目を丸くしている。しかし、その後、佳代は妙に納得したように言葉を続けた。
「……そう……あなたが仮面ライダーだったの……なら、あのバイクをあげなくちゃね。主人の造っていたあのオートバイを……」
「え?それはどうして……?だってあのバイクは形見だから、誰にも渡せないって言っていたのに……」
純はわけがわからなかった。
「……主人は、子供の頃に仮面ライダーに救けられたことがあるんだって……だから、そのお礼にライダーのための新しいオートバイを造るんだって言ってたの。私、本当にそんな“正義の味方”がこの世にいるなんて信じちゃいなかった。全部、主人の冗談だって思っていたの。でも、遥の言ってたヘビの化け物だってホントにいたんだし。今なら……今なら私にも信じることができるわ……」
----純は奇妙な因縁を感じていた。
「主人は本気で、このバイクをライダーのためにと考えていたのかはわからない……。ひょっとしたら、あの人自身が仮面ライダーになりたかっただけなのかもしれないけれど……でも……きっとこのバイク、あなたに乗ってもらった方があの人も喜ぶに違いないわ」
特撮ノベル『仮面ライダーEVE 誕生編』ACT.3 昨日はもう来ない、明日もまた 本文 門脇純 佳代 より
突然、アギトに異変が生じた。
激しく胸を掻きむしり、頭を押さえ、なにかに抵抗するように手足をやみくもに動かした。
拳を叩きつけてアスファルトの道路を割り、ヘッジホッグロードを薙ぎ払い、廃ビルの分厚い壁を蹴って粉々にした。
アギトの中で翔一の意識がアギトの意識を抑えこもうと戦っていた。
『だれの未来も奪わせない』
記憶を失っている間もその思いは意識下で息づいていた。
アンノウンとの戦闘に駆り立てたのもその思いだった。
翔一はわけもわからずにアギトに変身して戦っていたが、心の奥底には人を守るという強い思いが秘められていたのだ。
苦しみもがくアギトの姿を呆然と見つめていた真魚はしかし、偶発的に働いた力によって翔一の意識を感じ取った。
同時に、蘇った翔一の記憶が手で触れたときのように流れこんできた。
真魚は見た。哲也があかつき村で見た光景を。
そして知った。村の人たちを、父を殺した犯人がだれであるかを。
真魚の目には涙が浮かんでいた。
「もぅ……まぎらわしいよ……誤解してたあたしがバカみたいじゃない……箱いっぱい折っちゃったじゃない……五百五十六個体だよ、新記録だよ、指にマメできたよ……翔一君のバカ……アホ……マヌケ……トマトに頭ぶつけて死んじゃえ----」
岡村直宏『仮面ライダーアギト』第四章 本文 津上翔一 風谷真魚 より
涼を最後に見たのは真魚が翔一をかばった土手だった。
その後翔一への誤解が解けてからアパートを訪ねてみたが、涼はどこかに引っ越していた。
葦原さん、どこ行ったんだろう……?
わたし、嫌われちゃったかな……?
高架下のトンネルを抜けて真魚はとぼとぼ歩いていく。
そのときトンネルの闇の中には真魚の背中を見る殺意を秘めた目が光っていた。
蛇タイプのアンノウン=スネークロードだ。
アンノウンは氷川と別れた真魚のあとをつこて徐々に距離を縮めていた。
だがその歩みを男の声が止めた。
「その女に手を出すな」
呼び止められてスネークロードが振り返る。
トンネルの入り口に外の光を背にして立つ人影が見えた。
スウェットのフードを目深にかぶって顔を隠しているが、その男はまぎれもなく葦原涼だった。
涼には真魚に起きたことがわかっていた。
あかつき村事件の真犯人を知ったこと、翔一への思いに気づいたこと。
以前真魚に触れその記憶を覗き見たとき以来、涼の心はずっと真魚とつながっていた。
たとえ離れていても真魚の気持ちが涼の琴線に伝わってくる。
涼は、真魚が翔一といっしょになって幸せになることを望んだ。
そのために自分がすべきことはひとつしかない。
そう決意して何も告げずに姿を消したのだった。
涼は小指を見つめた。
約束を守れなくてすまない……。
スネークロードに鋭い眼光をむけて涼は駆け出した。
涼は人知れずアンノウンと戦い、真魚を守り続けていた。たび重なる戦いとその体は傷つき、老化し、醜く変わり果てていた。
今、もし、真魚が涼を見てもそろが涼だとはわからないかもしれなかった。
真魚さえ幸せでいてくれたらそれでいい……。
それで俺は生きていける……。
「俺が俺であるのは、真魚を守るためだっ!」
変身した涼の咆哮がトンネル内にこだました。
岡村直宏『仮面ライダーアギト』エピローグ 本文 葦原涼(仮面ライダーギルス) 風谷真魚 より
いくら人格者といえども、自分の半分くらいの年齢の小娘にそこまで言われたらブチ切れて当然だ。だがプリティ清川の人格者っぷりときたら、常識の範疇を超えていた。
穏やかな口調に微塵の乱れも見せずに言う。
「そうではない。少なくとも私にその考えを叩き込んだ先生は腰抜けではなかった」
「誰ですか、その人は?」
清川教授は僕の目をのぞきこんで、臟腑をえぐるように言った。
「碧翠院桜宮病院の桜宮巌雄院長だよ」
反射的に僕は叫ぶ。でも冷泉より年を取っている分、その叫びを心の中で押しとどめるという嗜みはある。だけど心中の罵倒は、冷泉よりも辛辣だ。
隣では冷泉が、清川教授の判断の誤りについて、そして自分の判断を考慮しない学術的姿勢について糾弾し続けている。その時、彦根先生の言葉が煌めいた。
----百人には百の信念があるように百人いれば百の真実がある。
この時にやっと、彦根先生の言葉の真意が理解できた気がした。
清川先生は、巌雄先生からひとつの言葉を受け取った。そして、その言葉をロザリオみたいに、胸に抱きしめて生きてきた。だとしたらそれもまたひとつの真実なのだ。
清川先生が凍結保存していた言葉は、僕が受け取った言葉とは正反対に思えたけど、案外、僕のロザリオを裏返してみたら、ぴったり重なるかもしれない。
それは光と闇の伝説に似ている。
光には分かちがたく闇がよりそう。だが闇は違う。闇は闇のまま、あまねく存在する。ただ、闇の存在を明らかにするには光が必要になるだけだ。
巌雄先生の言葉は闇の真理だ。光を当てても切り取れる部分はひとかけらにすぎない。だとしたらそのかけらのどちらが正しいかと言い争っても意味はない。
海堂尊『輝天炎上』14章 プリティ清川、再び 本文 天馬大吉 冷泉深雪 清川司郎 彦根新吾 より
「----仮面ライダー……本郷猛め!また一文字隼人を救けるために現れたのか!?愚かな奴め!飛んで火に入る夏の虫とはオマエのことだ!!今こそ積年の恨み晴らしてくれる!!」
そう言って、ビッグマシンは単眼(モノアイ)からメカニズムを狂わせる特殊音波を放射した。
「あの時は私の放射する特殊音波が『ショッカー』の電子頭脳(コンピューター)を狂わせて、ショッカー大要塞を爆破させてしまったがな……。だがな、ここはもう廃墟なのだ。つまりもう電子頭脳を狂わせる心配もない。誰に遠慮がいるものか!!片っ端から超音波を浴びせてやる!!」
ビッグマシンは怒濤の勢いで超音波を放射した。始めのうちはその攻撃をかわしていた1号ライダーだったが、執拗なビッグマシンの攻撃にあえなく超音波を全身に浴びてしまった。
「ああ……本郷!!だめだ……!!」
これでもう、ビッグマシンの勝利は確定である。そう悲観する2号ライダーだったが、どうしたわけか1号ライダーはその超音波をものともせずにビッグマシンに向かって行った。
ビッグマシンも驚愕している。
「バ、バカな……改造人間(サイボーグ)のオマエがどうして平気でいられるのだ?私の超音波を喰らって動けるなんて……。そんなことはありえないはずだッ!!」
大いにうろたえるビッグマシンの前に、1号ライダーは悠然と立ちはだかった。
「ビッグマシンとか言ったな……。その自慢の眼で私を良く見るんだッ!」
「な、なんだと?」
そして1号ライダーは大きく右手を振り上げた。
「----ロープアームッ!!」
右手から伸びたロープの先の鉤爪が唸りをあげて、ビッグマシンの単眼にぶちあたった。その衝撃でゴーグルは四方に砕け散り、その奥に潜む内部メカをも粉砕した。
「ギャッ!!」
ビッグマシンの悲鳴と入れ替わりに、2号ライダーは自由を取り戻した。
「チクショウ。よくも今までやってくれたな!!」
そう叫んで2号ライダーは渾身のチョップをビッグマシンの胸板に叩き込んだ。
「喰らえ!!ライダーチョップッ!!」
ビッグマシンの強固な身体に亀裂が走った。
「ギャーッ」
断末魔の叫びをあげながらビッグマシンは爆発炎上した。その影響で地下室は一転、暗闇から昼間のような明るさを取り戻した。
爆炎に照らされる1号ライダーの顔----。
それを見た2号ライダーは驚きの声をあげた。
「お、オマエは……?」
青い仮面に黄色いマフラーがなびき、剥き出しとなっている口元からは優しい笑みがこぼれている。
なんと彼は『ライダーマン』だったのである。暗闇がライダーマンを仮面ライダー1号と見誤らせていたのだ。
ならば機械を狂わせるビッグマシンの超音波攻撃を浴びても、動くことができたのは道理である。ライダーマンは他のライダーたちとは異なり、改造手術を受けていない生身の身体なのである。
「----どうしてここに?」
2号ライダーの問いにライダーマンは、
「立花さんに呼ばれたんです。日本が大変なことになりつつあるからと……」
「そうか、なるほど。立花さんが……」
「私にも協力させてください」
と、ライダーマンは白い歯を見せて微笑んだ。
特撮ノベル『仮面ライダーEVE 哀哭編』ACT.10 似ている男 仮面ライダー2号(一文字隼人) ライダーマン(結城丈二) ビッグマシン より
薄暮の中、桜宮岬から燃えさかる塔が見えていた。五階の窓から炎がちろちろと顔を出していたが、やがてどさり、どさりと音がして、三階と四階の窓から真っ赤な大蛇が顔を出し、建物にまとわりついていく。
ケルベロスの塔は、熱を加えた飴細工のように、ぐにゃりぐにゃりと崩れていく。
炎に包まれた姿は碧翠院に瓜二つだったが、その怨念の塔が崩れ落ちていく様を、田口たちは呆然と見つめていた。隣では、跪いた銀縁眼鏡の彦根がうつろな目で虚空をにらんでいる。
昂然と顔を上げた別宮葉子の隣では冷泉深雪が泣きべそをかいている。そして田口の隣には、影のように高階病院長が佇んでいる。
白光が夕空を貫いた。
ひと呼吸を置いて、大音響の爆音が轟き、夕闇に白煙が立ち上る。
Aiセンターの塊、リヴァイアサンの心臓である9テスラの高磁場誘導ニオブチタンコイルが、クエンチを起こした瞬間だった。
冷泉深雪が、身体を震わせる。
「天馬先輩は大丈夫でしょうか」
別宮葉子は冷泉深雪の肩を抱いて、言う。
「私と天馬君はは腐れ縁。ふたり一緒の時は酷い目に遭うけれど、最後は不運のカードがひっくり返る。私が無事なら天馬君も大丈夫。だって天馬君は私のラッキーペガサスだもの」
冷泉深雪は、目を見開いて別宮葉子を見た。やがて燃えさかる炎にきっぱりと視線を向けた。
「そうですよね。天馬先輩は無敵の落第王子ですものね」
冷泉深雪と別宮葉子は身を寄せ合い、燃えさかる炎をいつまでも見つめ続けていた。
海堂尊『輝天炎上』31章 炎の祝福 本文 別宮葉子 冷泉深雪 田口公平 彦根新吾 高階権太 より
シンポジウムの翌々日。
“八の月”が終わろうとしている。
Aiセンターの焼け跡を、俺は高階病院長と公用車の後部座席から眺めていた。東堂スーパーバイザーを成田まで見送った帰りに、桜宮岬に立ち寄ったのだ。リヴァイアサンを破壊され、Aiセンター存続が不可能になったため、東堂は帰米を決めた。
「マイボスには申し訳ないが、職場がなくなってしまってはねえ」と淋しそうに呟いたのが意外だった。誰が見ても当然の判断に思えたからだ。
どうやら東堂は思いのほか、Aiセンターを気に入ってくれたらしい。別れ際に、Aiセンターが復活すれば、即座に戻ってくると約束したくらいだ。
だが、その約束が果たされる日がもうこないということも、お互いわかっていた。
海堂尊『ケルベロスの肖像』27章 飛べ、綿毛 本文 田口公平 高階権太 東堂文昭 より
ふと、ためらって声を落とした。
「俺は……真魚に特別な感情を持っているんだ」
突然の告白に翔一と氷川は驚きの色を浮かべた。
「俺は真魚のためなら何でもする。鬼にでもなる。死さえ厭(いと)わない。津上、おまえはどうなんだ?真魚をどう思っている?」
「もちろん好きです」
翔一は即答した。
「葦原さんも、氷川さんも、みんな好きです」
言って翔一はにっこりと笑った。
「そういうことじゃない……」
涼は少し怒ったような口調だった。
そういうことじゃない。
「津上さん……」
氷川はうれしそうに翔一を見つめている。
「葦原さん……」
ふいに翔一が居住まいを正した。
「おれたち、これからどうやって生きていけばいいんでしょう?」
涼は真剣な眼差しで翔一に答えた。
「おまえの気持ちはわかる……俺も普通の人間でいたかった……」
「…………」
翔一がうなずく。
その言葉の重みは翔一と涼にしかわからない。
「だが俺は自分を哀れんだりはしたくない。俺が今の俺である意味を見つけたい。いや、俺が俺である意味を、必ず見つけなければならないんだ……」
自分で自分に言い聞かせてるようだった。
これまでどんな目に遭ってきたか具体的に語ったわけではない。
それでもその言葉だけで翔一と氷川には、普通の人間でなくなったことでつらい目に遭い苦しんできたことが察せられた。
涼の瞳には強い決意が宿っていた。
岡村直宏『仮面ライダーアギト』第四章 本文 津上翔一 氷川誠 葦原涼 より
じゃあ、あのバケモノが兄ちゃんだったの?
違う。怪人が死んで、お兄さんが生き返ったんだ
特撮ドラマ『仮面ライダー』第17話 リングの死闘! 倒せ!ピラザウルス 仮面ライダー2号(一文字隼人) 清少年 より
一方、本郷邸では立花藤兵衛が結城丈二との再会を喜んでいた。一文字隼人は傍らで、そんな二人を温かい眼差しで見守っている。
「ホントに懐かしゅうございます。もう何年になりましょうか」
そう言って藤兵衛は結城丈二に握手を求めた。その求めに応じて右手を差し出しかけた結城丈二だったが、左手に替えて立花藤兵衛の手を握った。機械の右手でなく、生身の左手を用いたのは彼なりの優しさであった。
「七人ライダーで岩石大首領と戦った時が最後だから、もうずいぶんになりますね。しかし、立花さんは……何らお変わりがない」
と、結城丈二は感慨深げに言った。
特撮ノベル『仮面ライダーEVE 哀哭編』ACT・11 ショッカーミュージアム 結城丈二 立花藤兵衛 一文字隼人 より
大丈夫か
木も・・・・・・・土も凍っている
まるで氷河期だ
ここは本当に四国なのか
お・・・・
おいっ
ゼクロス だまされるな
そいつも デストロンの配下
キバ一族だ!!
なに!?
さすがによく ご存知だね 裏切り者 結城丈二
!?
!?・・・・・・
う おお
ぬう
「原始タイガー」・・・・だったな
ゼクロスを甘くみない方がいい
そいつは V3キックと引き分けた男だ
答えろ 原始タイガー
チィ・・・・・
ククッ 風見志郎か・・・・
ヤツならスデに死んだ
なに・・・・・
どういうことだ!!
逃がさん
漫画『仮面ライダーSPIRITS』10巻 第12話 氷牙 仮面ライダーZX(村雨良) ライダーマン(結城丈二) 原始タイガー(暗闇大使) より
!!
・・・・・・
隊長じゃないな・・・・
キサマが動かしているのか・・・・これを!!
チィィ・・・・こんな時に
聞けよ!!
ヒ・・・・
たとえキサマが隊長でなくとも聞け!!
そして伝えろ!!
あの時 隊長はこう言った
生身の体では仮面ライダーの能力に遠く及ばない・・・・と
だが・・・・
魂くらい・・・・・
魂くらいは・・・・
そこで言葉はとぎれてしまったが
今なら解る・・・・
魂くらいは共にありたい・・・・
そう 言いたかったのだと
俺も神 敬介という男と出会った・・・・
だから
どうせ俺達もキングダークを道連れに逝く!!
え?
そうなん!?
先に逝ってくれ 滝 和也!!
フン・・・・
呪め・・・・・
死んじまった後まで臆病な男だ・・・・
あんな小さな男では科学者など務まらんがな
君は・・・・敬介を知ってる様だな
!?
・・・・・
あんたは・・・・
俺のオヤジさ
GODに殺されちまったがな
漫画『仮面ライダーSPIRITS』第14巻 第34話 魂と共に コンラッド がんがんじい 呪博士 神敬太郎 神敬介 より
そのとき渡邊さんが「ところでキミ、名前は?」と訊いてくるものだから、当時名乗っていた芸名を告げたんです。すると「実はもう主演俳優の名前を石ノ森章太郎先生が『速水』と決めているから、それに変えなさい」と。下の名前は「亮徳」さんから一字もらって、その場で「速水亮」とすることに決めたんです。
----いきなり芸名を変えることに抵抗はなかったんですか?
いや全然(笑)。強いて言うと「ちょっとカッコ良すぎるかなあ」と。いかにも若さ全開という感じだったから、何となく気恥ずかしさかったんですよね。
(略)
----現在の奥さまである美山尚子さんとも『X』がご縁になったわけですよね。
だからと言って撮影中から付き合ってたわけじゃないですよ(笑)。ほら、彼女の場合シリーズの路線変更のあおりを受けて、途中で降板する格好になっちゃったでしょう。それで「一生懸命やっていたのに、ちょっと可哀そうだな」と思い、彼女を励まそうと会っているうちに付き合い出すようになって……。ちょうど『X』が終わって1年くらい経った後に結婚することになったんです。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』14巻 巻末特別インタビュー 速水亮(仮面ライダーX・神敬介役) より
!?
・・・・これ 落下してへん?
そのようだ・・・・
早く 脱出した方がいい!!
ヌ・・・・ グ・・・ア
ぬ・・・・う
!! Xライダー!!
高っ
いいから行くぞ
!!
敬介----・・・・
そうか まだ終わってなかったな・・・・
大 変 身
マーキュリー回路が作動しない!?
さすがに・・・・
戦いが長びき すぎたか・・・・
・・・・だが 俺には まだ・・・・
親父に貰った ダイナモがある
セッタップ!!
セッタップ!!
あ・・・・あかん
Xライダー
!!
おのれ・・・・
Xライダー!!
呪博士・・・・
GODとの・・・・二度目の戦いか
・・・・・・それも悪くない
戦う事しかできない
この体だが・・・・
だからこそ
戦いの中に 思い出が渦を巻く・・・・
敬介----・・・・
決着をつけるぞ!!
ヌ・・・・ウ
目覚めろ マーキュリー!!
!! マーキュリーだと?
真空・・・・ 地獄車ああ!!
う・・ああ ああああ
・・・・・・
マーキュリー・・・・
ワシの知らん 思い出・・・・か
強く・・・・なったんだな・・・・
あの泣き虫が・・・・
おの・・・・れ・・・・二度も 仮面ライダーに・・・・倒される・・・・とは
ヒ・・・・ ヒヒ・・・・どうだ・・・・
神 啓太郎
我が子に
殺される気分は・・・・
ヒヒヒ・・・ヒ・・・
漫画『仮面ライダーSPIRITS』14巻 第35話 セットアップ 第36話 父 仮面ライダーX(神敬介) コンラッド がんがんじい 呪博士 神啓太郎 より
チ・・・・
クソッ・・・・
どっから射ってきやがったんだ!!
ガウッ ウウウウ
これで2度目だ
愚かなる魂の群れよ・・・・
覚悟を決めるがいい
備えていた ・・・・だと
うまくいったようですね
はい
ゼロ大帝も よもや無人とは思わなかったでしょうね
しかし
1億2千万ドルの囮とは・・・・
対価がガランダーなら
安いものです
漫画『仮面ライダーSPIRITS』第46話 双頭の牙 アマゾン(山本大介) 滝和也 アンリエッタ・パーキン 佐久間ケン ゼロ大帝 より
猛が日本に帰ってきたおかげでわしの夢がまたふくらんできた……世界グランプリレースの優勝!わしだってこのままレーシングクラブのおやじで一生終わりたくない
おやじさん、グランプリの優勝……俺の夢だ!だがその前に、まず悪魔の組織ショッカーの息の根をを完全にとめることだ!
愚かなり本郷猛!息の根がとまるのは貴様の方だ!
特撮ドラマ『仮面ライダー』第53話 怪人ジャガーマン 決死のオートバイ戦 本郷猛 立花藤兵衛 ジャガーマン より
岡崎 (略)それで最初に『アマゾン』の話を頂戴したときも、自分の中では「もう子供番組はいいや」っていう思いが強かった。まあ、当時は生意気盛りの若造でしたしね(笑)。
村枝 それが一転、OKとなったのは?
岡崎 最初に断ったとき、「取りあえず目だけでも通しておいてくれ」と、マネージャーが番組の企画書を置いていったんです。で、読んでみると、その内容が僕の好きな『狼少年ケン』や『ターザン』のイメージそのもの。僕の中でも役作りのインスピレーションがパッと浮かんできて、「これならやってみたい」と……。そこで決まっちゃったような感じですね。
(略)
村枝 バイクを海に投げ捨てるシーンといえば、第3話、アマゾンと立花藤兵衛の出会いを描いた重要なエピソードですよね。その藤兵衛を演じられた小林昭ニさんは、岡崎さんから見てどのような印象でしたか?
岡崎 実はうちの父が昔から洋画好きで、中でもジョン・ウェインが出演している西部劇の大ファンだったんです。小林さんといえば、ジョン・ウェインの吹き替えでおなじみでしょう。だから、そんな小林さんと共演できることが内心ものすごく嬉しくて、公私をわきまえず小林さんにサインをお願いして、父に送ってあげたこともありました。
個人的な印象としては、一見おっとりしているイメージですが、現場ではすべての責任を背負い込んでる感じでした。
村枝 当時はスタッフを含めて、小林さんが最年長でしたものね。
岡崎 (略)オーバーな言い方かもしれませんが、あの方なくしては『仮面ライダー』の映像は生まれてこなかったでしょう。まさにその屋台骨を支えていたのが小林さんでした。
村枝 ライダー好きの僕らにとっても、小林さんは伝説的な存在ですからね。(略)
それまで小林さん=立花藤兵衛といえば、厳しくも温かい目でライダーたちを叱咤激励する文字通りの「おやっさん」だったわけでしょう。それが一転して、この作品ではアマゾンに翻弄される。“コミカルなおじさん”に早変わり。アマゾンの相棒はどこまでいってもマサヒコなわけですから、そのマサヒコからも「おじさん、余計なことしないでよ」なんて言われちゃっている。そんなキャラクターの使い分けというか、小林さんならではの引き出しの多さを楽しめるのも、また『アマゾン』の魅力でしたね。
岡崎 そうですね。例のバイクを投げ捨てるシーンなんかでも「アマゾン、これ、乗る!」なんてセリフからして振り回されている感じがよく出てましたものね。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 ZKCファイナル特別対談 岡崎徹(アマゾン・山本大介役)× 村枝賢一 より
岡崎 思うに、そういうたどたどしいセリフのやりとりも『アマゾン』の面白さだったと思います。(略)あくまでも『自然が俺の友だちだ』っていうスタンスが本当のアマゾンらしさだと思うんです。
村枝 実際、初期の頃なんかは都会でいつも独り寂しそうにしていて、『早くジャングルに帰りたいなあ』って顔してるじゃないですか。そういうアマゾンのナイーブな面が、僕たちの子供心にもヒシヒシと伝わってきました。
岡崎 子供の感受性は侮れませんからね。アマゾンは強い正義のヒーローではあるんだけども、その内面は驚くほど繊細で壊れやすい。だから、見ている子供たちも「自分がアマゾンの理解者=トモダチになってあげなげればいけないんだ」「自分がアマゾンを守ってあげなげければいけないんだ」と、そういう思いをどんどん強くしていったんじゃないんでしょうか。
村枝 おっしゃる通りだと思います。しかも『アマゾン』にはマサヒコという、僕たち視聴者を媒介してくれるモニター的な登場人物がいた。「マサヒコがアマゾンのトモダチになれるんだったら自分たちだってトモダチになれるぞ」って。僕自身、そういう気持ちは間違いなくありました。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 ZKCファイナル特別対談 岡崎徹(アマゾン・山本大介役) × 村枝賢一 より
ナイトを殴り飛ばした直後、龍騎は腹を押さえてうずくまった。
瞬間的にナイトの膝が入ったのだ。
上体を起こすと同時に龍騎はナイトの顔面に頭突きを放った。
素早くかわしてナイトは龍騎の顎にカウンターのパンチを叩き込む。
(どうした、戦え、城戸!それが仮面契約者の運命なんだ。他の選択肢はあり得ない!)
攻撃力ならナイトの方が上だったが龍騎は非常識なまでに打たれ強い。
何度殴られても蹴られてめその度に起き上がっては突っ込んでくる。
蓮はそんな真司の強さを嫌悪してた。
いかにも真司らしい。真司の鈍さ、図々しさを体現してるようとしか思えない。
(なんでわからないんだ、蓮!答えは簡単なんだよ!戦いをやめればそれでいいんだ!)
そう叫びながら龍騎はナイトの腰にしがみついた。
こいつは本当に馬鹿だ、そう思いながら蓮は仮面の下で舌打ちをした。
戦いを止めるためには戦いしかない。多分、殺すしかない。誰も死ぬまで戦いをやめない。そういう連中が仮面契約者になったのだ。
もういい、こいつにはここで死んでもらおう。
ナイトは龍騎の顎を蹴り上ゲ、ウイングランサーを構えて龍騎の喉元に狙いをつけた。
次の一撃でケリがつく。
(悪く思うな。どうせおれたち契約者は最後のひとりになるまで殺し合わなければならないんだ)
だが、戦いは突然終わった。
ウイングランサーを振りかぶったナイトの体が分解を始める。
無数の黒い羽虫のような粒子がナイトの全身から沸き上がる。
(タイム・リミットか)
このままミラーワールドに居続ければ体中の細胞が分解し、無に帰することになる。
ナイトは目についた一番手近な鏡----駐車場の車のサイドミラーの中に飛び込んだ。
井上敏樹『仮面ライダー龍騎』1 本文 仮面ライダー龍騎(城戸真司) 仮面ライダーナイト(秋山蓮) より
実家がなくなり祖母が死んで二年になる。
真司は男のアパートの残骸を見つめながら祖母の言葉を思い出した。
この世には不幸が渦巻いている。世界を祭りの場にして不幸な人々を救ってやれ、お前ならきっとできる。お前の音を世界中の人々に聞かせてやれ。
インペラーの青年は真司の腕を掴みながら死んでいった。
真司の腕にはまだその痛みが残っている。
戦いを止めてやる。そう真司は決心した。
井上敏樹『仮面ライダー龍騎』 5 本文 城戸真司 祖母 より
続いてICレコーダーから、高階病院長の告白が流れる。何か言いかけた南雲忠義に、小百合は人差し指を唇に当てて、静かに、と言う。
----せっかくの田口先生の申し出なので、過去に遡ってやり直したいことをふたつ、告白させてもらいます。そのひとつはブラックペアンの因縁なのです。
高階病院長は、前教授の佐伯名誉教授が腹部に留置したペアンを取り出そうとして失敗し、カーボン製のブラックペアンを留置し直した過去を告白し、その患者が亡くなり謝罪の機会が失われてしまったことを悔いていた。カーボン製のブラックペアンは火葬時には燃えてなくなるので、その過失は蘇りませんよ、と田口が慰めている。
「腹黒ダヌキは勘がいいわね。でもさすがに過去の因業が未来の自分の首を絞めることなんて思いもしないみたいね。地獄の業火の中、燃え尽きたブラックペアンが蘇る時、ケルベロスの塔は崩れ落ちるというのに。こういうのを因果応報って言うのよ」
小百合はうっすら笑う。
海堂尊『輝天炎上』21章 陰謀 桜宮小百合 高階権太 田口公平 南雲忠義 より
その日、真司は眠れない夜を過ごした。
ショックだった。蓮も美穂も自分のために戦っていたわけではなかった。恋人と両親のために命を賭けていたのだ。それに比べて宝くじの当選を願った自分を深く恥じた。
間違っているのは自分の方ではないかと疑った。要するに自分のしているのはただのおせっかいなのではないのか。
故郷でのことが思い出された。昔から他人の悩みに首を突っ込み、おせっかいを焼きすぎて嫌われたものだ。
ふと、鍾乳洞のことが頭に浮かんだ。もしかしたら自分はまだあの迷路の中から抜け出していないのかもしれない。
おばあちゃん。
何度も祖母に語りかけた。
きっと祖母なら、なにも考えるな、お前のできることをしろと言うだろう。人々のために尽くせ、不幸な人々を救ってやれ、と。
だが、今の真司には自分にはできることがわからなかった。人のために尽くすという意味がわからない。
真司は鏡の協会で会った影のような存在を思い出した。
もし、彼が契約者バトルを仕切っている張本人ならもう一度会って話をしたい。契約者バトルの理由を、秘密を聞いてみたい。話によっては殴ってやりたい。元はと言えば、みんなあいつが悪いんじゃないのか?
真司は答えを見つけられないまま眠りに落ちた。
真司を病院に案内した翌日、恵里を見舞った蓮はテーブルの花に目をとめた。
昨日捨てた花に代わって、真っ白いユリの花が飾られている。
城戸真司という人が見舞いに来た、と優衣が教えた。
真司は花を花瓶に活けると長い間恵里の側に佇み、手を合わせて祈っていたという。
一瞬、蓮の頭に血が上った。
(奴め、よけいなことを!)
花を捨てようとして思いとどまる。
蓮には真司の心情が目に見えるようだった。
真司は恵里の回復を祈ったのだ。そうなれば、蓮は戦いをやめることができる。
蓮は花を床に叩きつけようとして花瓶に戻した。
たしかによけいなおせっかいに違いない。だが、恵里のために祈った。その祈りに嘘はない。恵里に向けられたその言葉を、誰が否定することができるだろう。
蓮はそっと恵里の頬に触れた。そして蓮もまた、恵里のために祈りはじめた。
井上敏樹『仮面ライダー龍騎』12 本文 城戸真司 秋山蓮 神崎優衣 より
そうか
ガランダーの毒を採取して血清を造るために・・・・
あの臆病なモグラがね・・・・
しかしまずアレだな
ウウ?
それがたとえ再生怪人でも「そいつがいる世界を守る」・・・・か
しかも泣くし いいやつじゃん
それならムラサメ「イイヤツ」
ムラサメの目・・・・
哀しさ知ってる目
大事な何かを失って・・・・
それを越えてきた強い目・・・・してた
・・・・そうか・・・・
・・・・そうだな
ま・・・・それでも
奴もまだまだライダーとして半人前よ
色々と鍛えてやってくるっつうか
それでもなにかあったら この俺に
ん?
いねえ?
なあ・・・・?
落ちたあっ
おい・・・・ 大丈夫か!?
タキ・・・・
魚!!
魚食うか!!
タキも早くくる!!
・・・・・
俺・・・・ナメられてんのかな・・・・
ん?
アマゾン?
あーーーームリムリ
あいつを手懐けようなんて・・・・
あいつは文明というか
そういう階層制(ヒエラルキー)みたいな価値観ないから
クッソオオオ!
なら実力で示してやろうじゃないか
また出ない
申し訳ありません
滝(カレ)にはまだスピリッツの隊長たる自覚に欠けているようでして
いいでしょう
それが彼流のやり方であれば 彼を選んだ我々が足並みを揃えるまでのこと
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 第46話 双頭の牙 アマゾン(山本大介) 滝和也 立花藤兵衛 アンリエッタ・パーキン 佐久間ケン より
!!
立花さん!!
滝!!
!!
待ちかねたぞ 旧型
俺の通信回路に話しかけてきた奴か・・・・
キサマら・・・・
何者だ?
ククク・・・・知りたいか ならば お見せしよう
変 身
な・・・・ に・・・・
まさか・・・・
お前達全員が 俺と同じ・・・・
「同じ」だと?
キサマと一緒にするな
旧型風情が・・・・
俺達の誰か一人と戦ったとしてめ・・・・
キサマに勝ち目はない
ナルホドね
!!
それがベルトを起動させる動きか・・・・
!!
キサマか・・・・
遊んでないで早く帰ってこい
そうだ
脳改造を済ませれば 迷いなどなくなる
この力を自由にできるのなら ショッカーに仕えるのも悪くない
ごめんだね・・・・
そんな不自由な自由
俺の正義は 俺に
決めさせてもらう
変 んっ・・・・ 身っ!! こうかい?
一文字!!
フン・・・・
未完成品が
旧型と一緒に処分するか
クッ・・・・ ムチャをするな!!
ムチャでもしなきゃ
倒せる相手じゃねえ
そうだろう「1号ライダー」
・・・・俺が「1号」?
そうだ 何故なら
俺が 「2号」だからさ
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』1巻 第3話 皮肉という名の肖像 仮面ライダー旧1号 仮面ライダー旧2号 第2期強化改造人間 より
小百合の計画は着々と進行している。それは私にとって望ましくない結末に突き進んでいるということだ。危惧した私は東京行きの翌日、兄を呼び出し封筒を手渡した。
「これを東城大Aiセンターの責任者に渡してほしいの」
閉じられていない封筒を開けた兄は目をみはる。
「お前たちって本当にねじくれてるな。ねじれ方が左巻きか、右巻きかが違うだけだ」
城崎に手渡した手紙の本文はただ一行しかなかった。
『八の月、東城大とケルベロスの塔を破壊する』
それはAiセンターへの愛をこめたラブレターだった。たったこれだけの文章を書き上げるために、街角で拾った古新聞の束から文字を拾い出すのに一晩もかかったのだから。
「これは会心作よ。こうして予告すれば、東城大の警戒心を喚起して小百合の邪魔になるし、ケルベロスという隠語を使えば、身内の造反と思わせられて仲間割れだって期待できるし、一年後の八月に遂行せればブラフでもなくなるわけだし、ね」
「ほんと、いい性格してるよ、お前たちは」
「いちいち“お前たち”って小百合とひとまとめにしないで。なんかムカつく」
「悪い悪い。深い意味はないのさ。でもお前と小百合を足し引きすれば、どちらかがこの世界に実在できなくなるから、あちこちに痕跡を残すのはよくないんじゃないか?」
「それって、私に冥界に帰れっていう意味?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
生まれついての八方美人の兄、城崎亮は、ごにょごにょと言う。
わかってる。気のいい兄はきっぱりと言い返されると、それ以上何も言えなくなってしまう。本当に気がかりなことは決して口にはしない。兄は昔からそんなヤツだった。そして私は、そんな兄が愛おしくてたまらなかった。
海堂尊『輝天炎上』第三部 透明な声 03 魔窟 本文 桜宮すみれ 城崎亮 より
本郷・・・・聞こえたか
ああ
「アマゾン」が・・・・
倒された・・・・
あ〜〜〜〜あ
朝市のチーズが食べたい
知ってる?オーストリアのチーズっておいしいのよ
はあ
冗談よ
ちょっとワガママを言ってみただけ
じき日本だしね
そうです
ですからもう一度 現状の確認を
解ってます!!
ったくショッカーめ・・・・
しつこいたら・・・・
あのお
あ・・・・ゴメン
間違えちゃった
ええとええと
許すまじは・・・・
・・・・そう!!
「BADAN(バダン)」・・・・よね
はい・・・・
組織の名は「SHOCKER(ショッカー)」
過去、世界征服を目論む秘密結社があった
そして----・・・・それに連なる組織は
常に人間を恐怖と絶望のへ闇へと誘い続けていたた----・・・・
そして・・・・その影には 全てを束ねる巨大組織があった
巨悪の名は----・・・・
「BADAN」
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』第6話 巡る絆 本郷猛 一文字隼人 緑川ルリ子 技術者 より
ナニィ!?
キバ一族・・・・オニビセイウチ!!
何ぃ!? ヘリが爆破された!?
まさか!? デストロン・・・・
クッ・・・・ソオ
ジャマさえ入らなければ完全に行けたのに
結城さん!!
マシンガンアーーーーム!!
ぬうううう
チイイ ダメ・・・・か
!!
来い!!
先輩!!
!!
ちぃ・・・・
・・・・・ゼクロス
なぜ来たんだ!!
山口に向かえと伝えたハズだぞ
・・・・
伝えた・・・・だと
そうか あんたがウソを言わせたのか
オイ どういう事だ!?
俺は・・・・女の哀しむ顔がキライだ
山口には必ず間に合ってみせる あんたと風見志郎を連れてな
漫画『仮面ライダーSPIRITS』10巻 第11話 突入 仮面ライダーZX(村雨良) ライダーマン(結城丈二) 技術者たち より
そう、今日はAiセンターの創設会議の当日だ。
病院のカフェテリアで僕はハコを待っていた。一緒に創設会議に参加するためだ。
僕の向かいには冷泉深雪がいて、授業が終わった後に一緒にお茶をしている。スマホをチェックしていると、少し前に田口センター長から簡素なメールが届いた。
(略)
これは提案ではなく通告だ。しかも発信者は放射線科の島津先生だ。やはり田口先生は傀儡で、黒幕は島津先生なのでは、と思えてしまう。それにしても、この傲慢なメールの印象と、極楽病棟で目にしたカルテの中の田口先生の実像は乖離(かいり)が大きすぎる。
気がつくと田口先生は、僕の前に巨大な壁として、立ちはたがっていた。
携帯画面を眺めている僕に、冷泉深雪が言う。
「さっきのメール、私も読みました。何だかどきどきしちゃって」
本日の冷泉深雪は、白いブラウスに細身のジーンズというシンプルないでたちだ。
だがその分、スタイルのよさと胸のふくらみが強調されている。
それは男心の妄想がなせる業だけど、何より自分の剣呑さに無自覚である点が、コイツの問題点だ。などとそんな他愛もないことを考えていたら、僕の中に溢れていたはずの美智を失った悲しみは、いつの間にか薄らいでいた。まったく、男ってヤツはどうしようもない生き物だ。
海堂尊『輝天炎上』23章 落第王子の当惑 本文 天馬大吉 冷泉深雪 より
高階病院長は立ちすくむ田口先生と彦根先生の肩を引き寄せ、小百合に言い放つ。
「この二人が東城大の良心、そして医療の未来です。彼らが生き残っている限り、私たちの希望が打ち砕かれることはありません」
僕のこころを、高階病院長の咆哮を貫く。
これが東城大の魂ぱくか。圧倒的不利な状況にありながら、何という傲慢な勝利宣言を高らかに謳い上げるのだろう。その不撓不屈の精神力に僕は感服していた。
海堂尊『輝天炎上』30章 よみがえる面影 本文 天馬大吉 高階権太 より
村枝 (略)でも、いまの子供が見ても、あの回は泣くと思います。何より死ぬ間際のセリフが素晴らしい。いつもモグラ獣人のことを小バカにしているマサヒコが、このときだけは「死んじゃイヤだよ」って泣くんです。それに対してモグラ獣人は「マサヒコはモグラ獣人を尊敬するかい?」って聞くんです。その拙(つたな)い言い回しがすごく名言たなと思いました。
岡崎 やっぱり先生は、作品の捉え方が僕ら凡人とは違うんですね。いま改めて聞いてみて、死ぬ間際に「尊敬するかい?」なんてセリフは普通は出てこない。たぶんシナリオを書いた人の意図としては、いくら悪いことをしてきたヤツでも正義のために働いた者に対しては敬意を表さなければならない、というこっなんでしょうね。
村枝 愚か者なんだけど勇敢なんですよ、モグラ獣人は。
岡崎 良いですよね。愚か者で勇敢って。『アマゾン』の世界でいえば、文明という知恵も力もないけど、ただ己が信じる“正義”のために何かをまっとうしようとする----その真摯な姿勢に子供たちは拍手喝采を送るんでしょう。
村枝 そういうところもナチュラルなんですよね。思想として正義や平和を語るのではなく例えば鳥を殺したヤツがいたら、アマゾンは「何故、鳥殺した?鳥悪くない」というスタンスをとる。子供には、これが一番分かりりやすいんです。
岡崎 ちゃんと子供の情操教育を教えて作られていましたよね。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 ZKCファイナル特別対談 岡崎徹(アマゾン・山本大介役)× 村枝賢一 より
ちゃんとUFOと書いた映像ファイルがある
ええ〜!?
いや、いやウソついてる。最後にフォロー入れてたやん。
こんだけ(宇宙が)広いねんから我々以外のものにいつか会えるやろみたいな
そやね
もう……、ホンマは会ってるんですけどね
アハハ……
あとでもうじきバレるから「あいつ嘘ついてた」思われたら嫌。一応最後に言うてたけどな
保険をかけてるコメント!保険!
たぶん
バラエティ『世界の何だコレ!?』 宮迫博之 岡田圭右 三上丈晴 他 より
(略)休刊決定により気になったのは『仮面ライダーSPIRITS』の終わらせ方だった。はたして大団円を迎えられるのか。広げに広げた大風呂敷は『マガジンZ』の休刊までに畳めない事は明らかであった。かつて石ノ森章太郎先生の描いた『サイボーグ009 神々との闘い』が頭をよぎった。009最終章と冠されたこの作品は、009らゼロゼロナンバーサイボーグが人類の想像主たる神を相手に戦うと究極の作品だったが、残念ながら“未完”に終わっている。と、思い悩んでいるところへ『月刊少年マガジン』が手をあげてくださり、連載が継続する事となった。そこに至るまでにはどこの雑誌が引き受けるか様々な検討がなされたという。ありがたい話である。『仮面ライダーSPIRITS』の初掲載が2001年1月号で、9年もの長期連載となった。村枝賢一さんの描いた作品の中で最も長い連載である。
石ノ森先生のライフワークが『サイボーグ009』であったように、本作も村枝さんのライフワークになりそうな印象さえ漂う。あいにく009は完結にはいたらなかったが、ファンに愛され、雑誌のみならず、出版社を変えてまでも連載が続けられた。村枝さんも雑誌変更という状況になったが、是非石ノ森になり代わって、大団円を迎えるまで描き続けて欲しい。ファンの夢は終わらない。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 あとがき 2009年、平成仮面ライダーは生誕10周年を迎えた。 早瀬マサト(石森プロ)より
(血塗れヒイラギはいつになったら花咲くことやら)
心の中で僕は呟く。僕が葉子につけた渾名を、葉子は知らない。血塗れは真っ赤な校正原稿の隠喩だ。
「とにかくこれはボツ。要求に応えてないから。いいものと売れるものは別物なの」
葉子は僕に少しだけ優しい視線を向ける。
「引用グセはやめた方がいいわ。ぴったりの引用をしても手柄にならないし、不適切なら見苦しい。大体、風俗嬢が餓死したという些細な事件記事に、トルストイなんて、大袈裟すぎる。読みたいのは、天馬君のオリジナルの言葉よ」
オリジナリティは、堅牢たるパーソナリティから生まれる。人格の輪郭が不明瞭なモラトリアム青年の僕は、葉子に痛いところを衝かれて黙り込む。
海堂尊『螺鈿迷宮』一章 血塗(ちまみ)れヒイラギ 本文 天馬大吉 別宮葉子 より
「明朝十時。桜宮病院事務室に集合よ。よろしくね、大吉クン」
葉子が、小学校の頃の呼び名で僕を呼ぶ時は、文句は言わせない、という無言の圧力をかけたい時、絶対に引かないわよ、という葉子の決意を雄弁に語っている。
「やなこった」
捨て台詞を吐いて、僕は時風新報のオフィスを後にした。果たして逃げ切れるのか。自分自身の逃走能力に疑問符をつけながらの遁走(とんそう)だった。
「後悔しても、知らないわよ」
葉子の捨て台詞が、僕の背中をおいかけてきた。
海堂尊『螺鈿迷宮』一章 血塗れヒイラギ 本文 天馬大吉 別宮葉子 より
メジャーとマイナーがある。間にマイジャーがある。
NHK Eテレ『ニッポンサブカルチャー史2』第二回 深夜テレビの伝説 泉麻人 より
村枝 ところで岡崎さんは、今でも漁に出てらっしゃるんですか?
岡崎 ええ。でも、漁というよりは釣りですけどね。
村枝 僕は、岡崎さんが俳優をやめて長崎で「漁師」をしているって聞いたとき、最初にイメージしたのは「猟師」だったんですよ。長崎と言えば「猟師」ですからね。
岡崎 なるほどね(笑)
(略)
岡崎 本来、自然と共生することが人間の基本姿勢なんですよ。現代ではなおのこと、そういう認識をみんなが持たないとダメだと思います。僕もさっき「同じ魚を釣っていると飽きる」と言いましたけど、それはたぶん、もう自分には必要でないからなんでしょう。どんなに美味しい魚だって、自分が食べられる量なんてたかが知れている。
村枝 そうですよ。「鳥、殺すのよくない」って言っていたアマゾンだって、実は鳥や魚を捕らえて食べている。しかし、それは生きるために食べるのであって、むやみに殺しているのではないということを、ちゃんと子供たちに教えていたわけです。
岡崎 そういう『アマゾン』のテーマ性みたいなものに僕も惹かれたんでしょうね。自分自身の生き方というか、ライフスタイルが見事なまでにリンクしていた。そういう意味で『アマゾン』との出会いは、僕にとって運命だったのかもしれません。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』16巻 ZKCファイナル特別対談 岡崎徹(アマゾン・山本大介役)× 村枝賢一 より
僕は結城に笑いかけた。
「当たりましたか」
結城は頬を痙攣させ”それから僕の愛車の屋根を撫でる。結城は肩をすくめる。
「ゲン担ぎです。ツイてない時には”ツイている人の持ち物に触ることにしてるんです」
百万円をむしり取った相手をツイているなんて、よく言えたものだ。
結城が目を細める。見つめる先に、セピア色のでんでん虫が聳え立っていた。
その視線の先に、“仮想敵”という言葉が脳裏を掠める。
海堂尊『螺鈿迷宮』五章 銀獅子 本文 天馬大吉 結城 より
すみれは、首を傾げて、続ける。
「ここだけは理解してもらいたいの。患者は病気にかかった人間であって、病人として扱うことではじめて病人になる。ベッドに縛りつければ悪化する。桜宮の終末期患者の平均存命期間は他施設の二倍よ。あたしは患者をこき使い、命を延ばす。これも医療のひとつの形だとあたしは考えてる」
海堂尊『螺鈿迷宮』七章 わがままなバイオレット 本文 桜宮すみれ より
(……)
蓮は仮面の下で悲しげに歪む真司の顔を見たように思った。
(じゃあ、俺は戦いを止めるために戦う)
(馬鹿げたことだ)
(わかってるさ、それぐらい。でも、おれにはそれしかできないんだ)
(城戸、お前には願いはないのか?戦いを止めることなんて言うなよ。お前自身の、お前のためだけの夢だ)
(あるさ)
(聞かせてくれ)
(おれの故郷で、みんなに出会うんだ)
ふと、真司は夜空を見上げた。
(赤く実った林檎の木の下で、お前と、恵里さんと、美穂と、優衣さん、みんなと会うんだ。偶然だって構わない。そこでみんな初めて会って知り合いになる)
(それで?)
(あとは出会ってからのお楽しみさ)
(いい夢だ)
(でもおれのは叶わなくていい。夢でいいんた)
ナイトが変身を解き、それに応えて龍騎も真司の姿に戻っていく。
(戦ってくれ、城戸)
仮面越しでは伝わらないものがある。
ミラーワールドで変身を解くのは死に近づくことを意味していた。
蓮の言葉はそれだけに重い。
(ああ、わかってる)
真司の気持ちは決まっていた。蓮が引き返せないことはわかっている。だったら戦ってやろう。それはただの戦いじゃない。秋山蓮の全存在を受け止めることだ。
蓮は真司が戦いを受けるであろうことは知っていた。どんな気持ちで戦うかを理解していた。だから友人と呼ぶ価値がある。
「変身!」
ふたりは同時に変身した。
相手のいるその場所になにか大切なものがあるように、龍騎はナイトを、ナイトは龍騎を目指して突っ込んでいた。
朝日の射す病室で、恵里はゆっくりと目を覚ました。
井上敏樹『仮面ライダー龍騎』18 本文 仮面ライダー龍騎(城戸真司) 仮面ライダーナイト(秋山蓮) 小川恵里 より
巌雄の言葉が重々しく響く。
「死者の言葉に耳を傾けないと、医者は傲慢になる」
巌雄は僕を見つめた。初めの頃と比べて、言葉が柔らかくなった。
海堂尊『螺鈿迷宮』十章 屍体の森 本文 桜宮巌雄 天馬大吉 より
「平気です。病院には死が眠っているというのが、現実なんですね」
巌雄はフン、と鼻先で笑って、腕を組む。
「少し見直した。これが医療の現実だ。誰でも死の前には平等だが死に際し誰もが平等に扱われるわけではない。だからワシは、せめて桜宮では誰でも等しく扱いたい、と思っている」
最後の言葉は、自分に言い聞かせているかのようだった。
「だがな、これしきでひびるな。医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた。クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な」
巌雄の言葉が、僕の想念と同期(シンクロ)した。巌雄の言葉は、僕が真っ直ぐに道を追い続けてていれば、いつか僕の目の前に立ち塞がるであろう未来の壁を、一足先に垣間見せてくれたのかもしれない。
巌雄は僕の瞳の底を覗き込む。
「人は誰でも知らないうちに他人を傷つけている。存在するということは、誰かを傷つける、ということと同じだ。だから、無意識の鈍感さよりは、意図された悪意の方がまだマシなのかもしれない。このことがわからないうちは、そいつはまだガキだ」
僕には唐突な巌雄の呟きの文脈が理解できず、またその言葉が孕む不可知の重さを支えることもできなかった。
海堂尊『螺鈿迷宮』十章 屍体の森 本文 桜宮巌雄 天馬大吉 より
僕は腕時計はしない。それは時間に無頓着ということではない。腕時計をしないことで却って時間には過敏になる。それは貧乏人がささやかな支出に敏感なのと似ている。腕時計をしないなんて社会人失格よ、と葉子にたしなめられたことがあるが、アポイントさえ守れば支障ないし、何より僕はモラトリアム真っ最中の落第医学生であって、社会人ではないので、葉子の指摘は気にならなかった。
腕時計は首輪だ。巻けば他人に自分の時間を縛られる。
海堂尊『螺鈿迷宮』十四章 白鳥は舞い降りた 本文 より
美智は二枚の写真を交互に見て、真剣に検討し、勢い良く片方を指さす。「こっち!」「伝染性軟属腫ね。それでいいの?実態はミズイボと同じだけど、後悔はしない?」
美智はこっくりする。決心は固いようだ。それにしても、後悔する事態って何だろう?
「本に書いてある通りにお薬だすからね。僕とみっちゃんが二人で決めたことだから、文句はいわないこと。あと、お薬を塗って症状がひどくなったら、すぐお薬中止、看護師さんに報告。これだけは守ってね」
白鳥は小指を差し出す。
「指切りげんまん、具合悪くなっても文句言わない。指切った。おーい姫宮、処方箋持ってきて」
遠くで様子を見守っていた姫宮はぴょんとはねると奥に消え、処方箋一式を持って駆け戻ってきた。投げられたボールをくわえた犬みたいだ。姫宮ならさしずめシェパード。白鳥は薬の名前を書きあげると、ひょいと姫宮に投げる。うぉん。姫宮は処方箋をくわえ、じゃなくて、小脇にはさんで、とたとたと駆け出す。
「こういうのをインフォームド・コンセントって言うのさ。患者さんとお医者さんがお互いに納得してから治療を始めるっていう、最先端医療なんだよ」
おお、と西遊記の三婆が感心してどよめく。だが僕は白鳥の言葉に納得がいかず、首をひねる。どこかが違う。絶対そんなはずはない。落第医学生の僕ですら、そう思った。これでいいならひょっとして、僕なんかでも医者になれるかも、僕は自分の考えにぎょっとする。医学生なんだから、医者になれて当たり前だろ。
海堂尊『螺鈿迷宮』十六章 白鳥皮膚科病院 本文 天馬大吉 白鳥圭輔 姫宮香織 三婆 より
頭を動かさないで
強い洗脳を受けたらしいわ
こっちは大丈夫です
・・・・・
大丈夫だよ 神さんは・・・・・
5分隊 唯一の生き残りか・・・・か
ち・・・・ また やっかい者が増えやがるぜ・・・・
あら?仲間に入れてあげるの
さすが
・・・・・
おい
!えっ
おい・・・・動いていいのか
滝さん
立て・・・・敬介
泣くな・・・・
強くなれ 敬介----・・・・
・・・・・・
・・・・・!
あれ・・・・?
俺何やってんの?
クス・・・・
漫画『仮面ライダーSPIRITS』14巻 第36話 父 神敬介 村雨良 コンラッド 10分隊 アンリエッタ・パーキン 神啓太郎 より
「ところで田口先生って誰ですか?」
すみれは押し黙る。それから、まるでムキになって日記帳を取り返し終えた少女みたいに、照れたように微笑む。初々しい表情に、僕はどきりとした。
「昔、研修の時に世話になった人。東城大でさ、まあ、ましな方かな……グズでどうしようもない人だけど」
すみれの笑顔の裏側には、僕には手の届かない膨大な時間があることに気づかされる。不意に僕は、小さな苛立ちを感じた。
海堂尊『螺鈿迷宮』十六章 白鳥皮膚科病院 本文 天馬大吉 桜宮すみれ より
「トクは立派だった。今朝、解剖させていただいたが、身体中身癌だらけだった。悪いところは全部とってしまったから痛むことはないだろう。トク、ゆっくり眠れ」
巌雄の言葉は、百万遍の読経より心に響いた。僕は瞑目した。美智が噛みつく。
「ジィさん、戯言をぬかすんじゃねえ。立派な死なんてありゃあせん。死んだら負けじゃ。トクは立派じゃねえ。負けたんじゃ。ワシは絶対負けんぞ」
巌雄は、美智を見つめる。
「大した婆さんだよ。薔薇の知らせに逆らって生き延びているのは、あんただけだ」
「大したことじゃねえ。あっちへは行きたくないから行かねえって言っただけじゃ」
「それだけ大したことなんだよ。婆さんは、桜宮最高のクソッタレさ」
巌雄はじっと美智を見つめる。
「生きるも地獄、死ぬも地獄……死ぬも極楽、生きるも極楽、どっちにしても同じこと」
巌雄の言葉に美智は答えず、棺を睨みつけて言う。
「トク、ジンジョーセーユーゼーはお前にやる。どこぞでも好きなところへ持っていけ。この根性なしめ」
海堂尊『螺鈿迷宮』十八章 煙と骨 本文 天馬大吉 高原美智 桜宮巌雄 より
「君って、結構面倒くさいヤツなんだね。黙っていればわからないことなのに。甘ったれなセリフに聞こえるけど、そればかりではなさそうだし……きっとこれまでずっと、一人ぼっちで生きてきたんだね」
白鳥の言葉が、切れ味鋭く僕の過去を断罪した。白鳥は続ける。
「要するに、天馬君には隠されミッションがある。だから客観的な視点で物を見なければならない。同時に桜宮病院とは表沙汰にはできない取引がある。それで単純な社会的正義から、この病院を一方的に弾劾する立場にもない、ということなんだね」
細部は少々不満だが概ねその通りだ。そうした時には四捨五入して、ビンゴ、と呟くことにしている。僕はうなずく。ビンゴ!
「わかりました。それなら今日から天馬君のことをコウモリ君と呼ぶことにしよう。こうして名づけてみると、我ながらとてもしっくりくるな。僕って天才かも。だけどよくわからないのは、天馬君がこの病院にそこまで肩入れする本当の理由だね」
ものすごく不愉快な気持ちにさせられながらも、その言葉には妙な説得力があり、僕は同意せざるを得ない。なかなか鋭いぞ、白鳥。
僕の中で不意に、ある夏の日の光景が甦る。
海堂尊『螺鈿迷宮』十九章 真夏の神話 本文 天馬大吉 白鳥圭輔 より
巌雄は、僕の顔を見て言う。
「いいか、医学生、医学とは、屍肉を喰らって生き永らえてきたクソッタレの学問だ。そのことを忘れてはいかん」
巌雄の眼光に射すくめられ、身体をすくませる。僕がずっと思ってきたのと寸分違わない言葉。だが、深さの格が違う。雨上がりの水たまりと、大海原の差異。僕は密かに恥じる。
海堂尊『螺鈿迷宮』ニ十三章 古豪 vs.新鋭 本文 桜宮巌雄 天馬大吉 より
すみれは膝の上に肘をつき、両手を組む。手の甲の上に小さな顔を載せて微笑む。
「誘惑されるんじゃないか、と思ってるでしょう」
ど真ん中の剛速球にどぎまぎした。この状況でその可能性を考えない男がいたら、そいつはウスノロか大嘘つきだ。
「こう見えても、昔はモテたのよ」
すみれは朗らかに笑う。きっとそうだろうなと思う。昔は、という限定詞を外しても、おそらく僕は同意しただろう。
「でも、なかなかうまくいかないの。寄ってくるのはろくでなしだし、追いかけると逃げるいくじなしはかり。あたしってば、男運は悪いの」
男には二種類しかいない。勇ましいろくでなしと腰抜けのいくじなしだ。すみれに寄ってきたのは勇気があるろくでなしで、逃げ出したのが腰抜けの方だ。
「これは誘惑じゃない。それならもっとうまくやるわ。あたしは天馬君にあたしたちの本当の姿を知ってもらいたいだけ。でないと、あたしは……」
僕の眼を覗き込む。それから視線を窓に向け、呟く。
「でも、どうでもいいと思っている相手には、こんなこと言わないから、やっぱり誘惑なのかな?天馬君て不思議。捨てられた子犬みたいに、つい頭を撫でたくなる。そうやって人の心を開かせてしまうのね。こういうタイプって、本当に始末が悪いわ」
かつて葉子はそれを、この世でひとりぼっちの赤ん坊の吸引力と呼んだ。
葉子が言ったことがある。
……天馬君は、一見優しそうだけど、自分の気持ちは他人(ひと)には見せないのね。
すみれの脳裏には他の誰かが浮かんでいて、僕と比較している。ふと、そんな気がした。僕たちは向き合いながら、他の空間の相手と会話しているのだろうか。
海堂尊『螺鈿迷宮』ニ十ニ章 天空の半月 本文 天馬大吉 桜宮すみれ 別宮葉子 より
「僕は巌雄先生に心の底から敬意を表したい。この医学情報の存在は世の中に対する楔(くさび)になる。それがわかるのは、もっとずっと先のことだろうけど」
「オートプシー・イメージング・センター(Aiセンター)、ですか」
「巌雄先生はエーアイ・センター構想と碧翠院桜宮病院の検死システムが両立しないことを見抜いてた。同じエーアイだけど、桜宮病院では真実を覆い隠すために行われていた。それに対し、エーアイ・センターの設立理念は、ガラス張りの医療だ。実現すれば桜宮病院は歴史の徒花(あだばな)として叩き潰される運命にあることを予見してたんだね、きっと。一年半前のバチスタ・スキャンダルの時、この流れを読み切って、廃院に向けて舵を切っていたとは、いやはや大した慧眼(けいがん)さ」
白鳥はため息をつく。
「失ってみて初めて、巌雄先生の言葉の真の意味がわかったよ。桜宮病院という闇が無くなって、これからの僕の仕事はずいぶんとやりやすくなった。そして……」
白鳥は言葉を切り、モニタ画像をぼんやり見つめた。僕は根強く次の言葉を待つ。あまり長い沈黙に我慢しきれなくなり、とうとう、そっと促してしまった。
「……そして?」
ぼんやりと宙を見つめていた白鳥は、僕の催促に、夢から覚めたようにはっと我に返る。
「そして同時に、とても難しくなった。なるほどね、光も闇も一ヶ所に集めようとすると気が狂う、か」
海堂尊『螺鈿迷宮』三十五章 螺鈿の闇と光の中で 本文 天馬大吉 白鳥圭輔 より
「天馬さんはご自分の強運を認識していなんだと、別宮さんは言っていました。そう、こんな風に。……だって、天馬君は中途半端だから」
結城が痙攣のように笑う。明らかに葉子の模倣(ミミック)だ。真顔に戻って、続ける。
「天馬さんのドジで、お二人の初デートが中止になった時、別宮さんは震え上がったそうです。ドライブの予定先が集中豪雨で土砂崩れを起こし、車が何台も生き埋めになった。逆算すると、土砂崩れの時そこを走っていてもおかしくなかったとか」
知らなかった。あの後僕は腫れあがった顔でフテ寝して、二日間ニュースも見なかった。
「駅のホームで壺を壊して十万円の借金を背負った時は、割りのいいバイトがダメになったそうですね。実はそのバイトは学生名義で借金をさせ上前をかっぱく悪質な詐欺バイトで、社会問題にもなりました。もし関わっていたら五百万円以上の借金を押しつけられたはず。下手したら詐欺罪にも問われます。その時は、別宮さんは天馬さんと冷戦状態で言えなかったんだとか」
結城は、尊敬のまなざしで僕を見る。
「極めつけはご両親の事故です。墓参り当日、具合が悪くなったあなたはひとり留守番をした。同じ和菓子を召し上がったのに、あなただけがお腹をこわした。その後ご両親の車は居眠り運転の高倉のトラックと正面衝突して亡くなった……。天馬さん、あなたは稀に見る強い守護星に守られているんです」
思い出した。その和菓子は葉子の家からのおすそ分けだった。そのお礼に僕は、仄暗い碧翠院の境内で葉子にアリグモの話をして、思い切り冷ややかな眼で見られてしまったのだ。両親の葬式の時、葉子がしおらしくしていたのは、僕の腹痛の原因がその和菓子だと聞かされていたからだ。今日まで思い出すこともなかった。ささやかな事実。
ようやく僕は真実を知った。葉子こそ光と影を入れ替えてくれる、僕の女神だった。
刺だらけの血塗れヒイラギが護っていたのは、時風新報桜宮支所だけではなかった。
海堂尊『螺鈿迷宮』三十五章 螺鈿の闇と光の中で 本文 天馬大吉 結城 より
インターポールか・・・・・・
これでアンリもなんとか助かる
よかった・・・・
ごめんね・・・・
ジョージが流れついた時 このヘルメットを隠したら ずーーっとヒナウの家にいてくれると思ったの・・・・
でも・・・・
行かなきゃね
ジョージの腕は・・・・
みんなを 守る腕 だもんね
漫画『仮面ライダーSPIRITS』2巻 第6話 右腕の記憶 ライダーマン(結城丈二) ヒナウ より
そう・・・・お母さんはクリームシチューが上手なの
うん
じゃあ明日にはまた作ってもらえるわ
ホント!?
元気になる?
ええ
あなたがお母さんのそばにずっといてくれたおかげね
じゃあじゃあ
かめんらいだあもスグによくなる?
?
だってね
かめんらいだあにもいたのよ
ずーーっとそばにいてくれる人
漫画『仮面ライダーSPIRITS』10巻 第9話 魂の結成 フレイア 少女 より
・・・・・
夢・・・・・?
我が夢など見るものか・・・・
ちがう
!
それは私の夢だよ
JUDO
私とお前の記憶だよ・・・・
この惑星に生物が宿る前の・・・・な
・・・・・
JUDO・・・・か
お前が呼称を持つとはな・・・・
我々に名など意味がないものだろう・・・・
フ・・・・・
必要なのだ・・・・
人間のように感知する力に乏しい者たちには
支配者を恐れ唱える呼び名がな
ク・・・・ク・・・・
どうだ・・・・
一つ戯れに
キサマも 何かの名で呼んでみるか?
・・・・そうだ
我らが降り立った「聖地」・・・・
ヤマトに造らせた神話では
キサマ 人間にこう呼ばれてたな
「ツクヨミ」・・・・と
そして我は「スサノオ」
キサマに破壊されたあれは・・・・
「アマテラス」・・・・とな
ムダだ・・・・
JUDO
・・・・ここは私が造りだした虚空の牢獄だ
ぬけ出せやせんよ
チ・・・・
黙れ!!
唱うな!!
我の幽閉と引きかえに
己の肉体を失い
頭蓋をさらした
裏切り者が
そうだ・・・・
まるでキサマの魂を受け継ぐように
人間の中からも反逆者が出ようとは・・・・
一条享
村雨しずか
ZX(ゼクロス)
そして
カメンライダー
まさか・・・・
キサマがやらせているのか
ちがう
人間の意志だ
自由と命を求める人間の・・・・な
自由・・・・?
命・・・・?
人間が
やはりキサマは 壊れてしまった様だな
・・・・・
しかし・・・・ZXへの移り身のかなわぬ今・・・・
JUDO
お前の自由も潰えた
フ・・・・いい気になるなよ
ツクヨミ・・・・
漫画『仮面ライダーSPIRITS』第3部 序章 JUDO(スサノオ) ツクヨミ より
ハァ・・・・
!
あ・・・・あの
村雨良だ・・・・・
この人が・・・・10人目の仮面ライダー・・・・
沖さんの事 聞かせてくれないか
え?
義経の言っていた
「望んでなった」という9号ライダーの話を
(略)
数年前 国際宇宙開発研究所
ヘンリー博士
宇宙開発用改造人間第1号には 僕が志願します
一也・・・・
君は孤児としてこの研究所で育てられた
そのために自分を犠牲にしようとしているのではないのか?
・・・・違います
僕が志願したのは 科学者だった両親の遺志をを継ぎたいからです
父も・・・・母も・・・・
人類の未来を
宇宙に懸けていました
スーパー1 目覚めよスーパー1
大気汚染 飢餓 資源の枯渇
エネルギーの供給を宇宙に求めた国際宇宙開発研究所はスーパー1を造り上げた
一也さんは そのプロジェクトチームの一人だったの
そうか・・・・
自ら望み・・・・
そして求められて生まれてきた・・・・か
そんな仮面ライダーもいたんだな
いや・・・・なんか嬉しそうだな・・・・って
嬉しい・・・・
そうかもな
同じ改造人間として・・・・
それほど
恵まれてる者がいる・・・・
それは我が事のようにな・・・・
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』5巻 第18話 黒き赤心 村雨良 沖一也 草波ハルミ ヘンリー博士 より
チイッ 梅花
ダメよ!!ダメダメ
同じ赤心小林拳が争うなんて・・・・
ちょっと・・・・・
そこの村雨良!!
見物してないで 早く二人を止めてよ!!
いや・・・・
「いや」・・・・?
しかし・・・・
「しかし」?
これだけ仲良く盛り上がられちゃ止めるのも無粋かなと思ってな・・・・
「仲良く」〜〜!?
やはり・・・・来ない・・・・
・・・・とすれば梅花は・・・・
な・・・・
ヒュ ウウ
師範 なにを・・・・
数珠はどうした
僧兵にとって 数珠とは
戦の中で いつ何時 首を奪われたとしても魂は赤心寺と共に在るためのものだと教えたはずだぞ
ガッ
それと・・・・キサマ
息が少々生臭い
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』第19話 矛と盾 沖一也 村雨良 草波ハルミ 義経 地獄谷五人衆ヘビンダー より
「フフフフ!見たか、天道総司!加賀美新!天は我らに味方した!私はこの場を生き延びる!そしてネイティブ軍団を再構築し、人間どもを全滅させてやる!」
送信施設で小爆発が始まり、その爆発を盾にしている根岸を追撃できないハイパーカブトとガタック。
笑いながら逃げてゆく根岸。
しかしそんな根岸の腕を掴んで止めた黒いライダーがいた。
「お、おまえは!?は、離せ!」
根岸を引き留めたのはダークカブトだった。
「天道総司、この世界ん頼んだよ。ひよりがいるこの世界を……ボクたちの世界を」
「任せろ」
ダークカブトは根岸を連れて送信施設に飛び込んだ。
「うわああああああ!?」
同時に送信施設は大爆発を起こした。
ドドーン!
激しい炎が天を焦がし、どす黒い爆煙が舞い上がった。
その炎を見ながら天道は変身を解除した。
同じく変身を解除した加賀美は力を使い果たし、その場に崩れ落ちそうになった。そんな加賀美の肩を天道が支えた。
「やったな、天道……」
「もうちょっとスマートに決めたかったんだがな……」
「よく言う……」
「加賀美……一度しか言わないからよく聞いておけ」
「なんだ?」
「同じ道を往くのはただの仲間にすぎない。別々の道を立って往けるのは」
「友達だ」
「ああ」
「それもおばあちゃんの言葉か?」
「いや、俺の言葉だ」
天道がニヤリと微笑んだ。
加賀美もニヤリと返した。
「加賀美君!」
「師匠〜!」
岬と蓮華が駆けてくる。
その後方から田所もやってくる。
「陸さんも無事だ。よくやったぞ、二人とも!」
それぞれがそれぞれのできうることを全力でやりきった。爽やかな笑顔を浮かべていた。
加賀美と天道も……。
二人は今、並び立っていた。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦!3 本文 仮面ライダーハイパーカブト(天道総司) 仮面ライダーガタック(加賀美新) 仮面ライダーダークカブト(擬態天道総司) 根岸 岬 蓮華 田所 より
「子供のころ、まだ物心ついて間もないときに、父親は俺の目の前で死んだ……」
炎が舞いあがる武家屋敷の一室、身体中を矢に貫かれた丈瑠の父親は、棒立ちの息子に向かい自分の代わりに闘え、今日からおまえがシンケンレッドだと言い残し、この世を去った。手渡された折神の意味もわかんないその息子へ、すべてを託して父は死んだ。
「でもその当時、俺はまだ死の意味がはっきりわかってなかったんだと思う。死というものがどういうことなのか、まるで理解していなかったんだ」
「……今は、どうなんですか?」
丈瑠は俯く。西村は答えが戻ってくるのをじっと待っている。しばしの間。
「あれ以来、俺はずっと孤独だった……人との繋がりを避け、壁を作り、一定の距離を保ち生きてきた……人との繋がりを持てば、それは弱さになる。自分に近づけば、それだけその人が危険に晒される。だから……それが俺の生き方だった……」
「…………」丈瑠の言葉が過去形だったことに、西村は安堵の思いだった。それはつまり、今は違うと言っているのが同意だからだ。
「だから、俺にはわからない。身近な人間が突然いなくなるなんて経験を、したことがないから……」
「その言葉を聞けて、少しほっとしましたよ……」
「…………」意味が分からないので西村を見やる丈瑠。
「あなたは強い……とてもね。そして、その強さに裏打ちされているのは深い思いやり……つまり優しさです」
「なぜ、そう言いきれるんだ?俺はただの、人付き合いの悪い殿様だ」
「口にしなくてもわかりますよ。なにせ私は精神科医ですからね。あなたにたとえ近しい人を失った経験がなかったとしても、あなたは今現在これだけ心痛めている……自らを責め、その責任を必要以上に感じて、深く苦しんでいます」
「…………」
「きっとあなたなら大丈夫……あなたなら成し遂げられる。だから、自信を持ってください……それは私が保証しましょう」
「そういう、ものなのか?」
「そういうものです。理想は高く、妥協する必要はありません……ただし、自分をあまり責めないでください……私に言えることは、それくらいですかね?」
「知らないうちに、俺はカウンセリングを受けていたようだな」そう言うと丈瑠は椅子から立ちあがる。
「お代はけっこう、ただし……」西村は言葉を切って丈瑠を見つめる。
「必ずこの世を救ってください」そう言うと西村も立ちあがり力強く、そしてまっすぐに丈瑠を見やる。
「ああ……わかった」丈瑠も力強く頷き、そう答えた。
「幸運を……」そう言うと西村は手を差し出した。
二人は固い握手をかわして、そして別れた。
大和屋暁『侍戦隊シンケンジャー』26 本文 志葉丈瑠 西村 より
「早く正式な隊員になりたい……そして組織が密かに開発しているというマスクドライダーシステムを使って……弟の仇を……!」
そう一人ごちてある加賀美のズボンのポケットから男が財布を奪って走り去った。
「アッ!」
と、なりながらもバイクのスタンドを立て、それから慌て追いかける加賀美。
「待て!」
元高校球児で足には自信のあった加賀美だが、男の足はそれより速い。
必死に追いかける加賀美と逃げる男の前方から作務衣(さむえ)を着た一人の男が歩いてくる。
道は狭く、このままでは作務衣姿の男と引ったくりの男がぶつかってしまう。
「危ない!逃げて!」
加賀美が叫ぶ。
しかし作務衣の男は堂々とまっすぐ歩いてくる。
引ったくりの男は刃物を出して作務衣の男に叫ぶ。
「どけ!」
それでも堂々と歩く作務衣の男。
引ったくりの男は威嚇のために刃物を振り回す。
作務衣の男は刃物が届かないと見切っているが如くに微動だにしない。
実際、刃物は男の首のギリギリを空振りした。
加賀美は引ったくりの男にタックルした。
ZECTで鍛えられた格闘術で男を素早くねじ伏せ、男の右手から刃物を手放させ、関節を決めた。
そして加賀美は男から財布を奪い返した。
だが男は加賀美が安堵した一瞬のスキを見逃さず、ドン!と加賀美を押し倒し、逃げていった。
「いって〜」
と、押し倒しされた際に後頭部をさすりながら立ち上がった加賀美はジッとこちらを見ている作務衣の男と視線を重ねた。
「危ないじゃないか。なぜ逃げないんだ?」
「俺は誰からの指図も受けない。俺の通る道は俺が決める」
相変わらず作務衣の男は堂々としていた。
「はあ……?」
加賀美はその返答に呆気にとられた。
「そしてもう一つ。へたにかわせば」
作務衣の男は持っていたボウルの中を見せて言った。
「せっかくの豆腐が崩れる」
加賀美はさらに呆れて言った。
「あのな、運良く助かったからいいようなものの、へたすりゃ刺されてたかもしれないんだぞ」
「運良くという言葉は俺にはない。だいいちこんななまくらは俺の命まで届かない」
男は引ったくりが落としていった刃物を下駄で踏みつけた。
「なんなんだ?おまえ」
「おばあちゃんが言っていた」
作務衣の男は神が降臨したかの如く、人差し指を手に向けてこう言い放った。
「天の道を往き、総てを司る男……」
思わずその人差し指の先を見上げる加賀美、そこには眩しい太陽が輝いていた。
「俺の名は天道総司」
光り輝く天道の姿には後光が差していた。
それが加賀美と天道の出会いだった。
米村正二『仮面ライダーカブト』選ばれし者 本文 天道総司 加賀美新 引ったくりの男 より
三途の川。イカシンケンオーはそこにいた。
コクピットの一行。顔を見合わせている。
(略)
「それでも、あの船を沈めれば……命を賭ける価値はある、か」
「せめて一撃!いいな!?」レッドは一同の顔を見返す。
「おう(はいっ)!」
イカシンケンオーは六門船をめがけて走り出す。
「はああああああああああああああああああ!」六人の雄叫びと共にイカシンケンオーは槍を振り上げる。
「行くぞっ!」
レッドの声と共にイカシンケンオーの背中のウイングへと雷が降ってくる。避雷針のようにウイングが落雷を吸収、エネルギーがチャージされ集約されたそれが槍の刃部分へっ集中する。
「槍烏賊一閃!」レッドたちは声を合わせ叫ぶ。
槍を六門船をめがけて降り下ろす。
激しい激突音と衝撃が、大きく六門船を大きく揺らし水しぶきが飛び散る。
哀れ六門船は真っ二つかと思われたが……実際はそうはならない。六門船は壊れることなくそこにあった。
「なに!?」
見れば六門船の舳先にはもうひとりのはぐれ外道、腑波十臟がいる。サイズの違いもお構いなしに彼の愛刀裏正で、イカシンケンオーの一撃を受け止めているではないか!
「十臟!」
「悪いな、シンケンジャー。だが、まだこの船を沈めさせるわけにはいかない。はあ!」
気合いと共にイカシンケンオーの槍を弾き、たたらを踏ませ後方へと下がらせた。
「フ……」
「なんて野郎だよまったく!」
「源太!まだいけるのか!?」ゴールドを見やり叫ぶ。
「さっきからとっくにやばいって!」
「殿!攻撃を!」
「へっ、あいつら道連れにできんだったら!」
「この命、惜しくはない!」
「殿様!」
「覚悟はできてる!」一同は叫んだ。
皆一様にノリノリである。敵の本拠地を叩くチャンス。命に代えても逃すわけにはいかないという空気に完全になっている。
「…………」レッドは隙間と六門船を見やる。隙間は確実に小さくなっている。
このまま闘いを続ければ、隙間は閉じ、自分たちは確実に命を落とすことになる。レッドは悩む。千載一遇のチャンスではあるが、絶体絶命のピンチでもあった。
レッドは考える。進むか?退くか?
「殿、やりましょう!」
「丈瑠!」
しかし、
「……撤退だ」レッドは悩んだ挙げ句、決断した。
イカシンケンオーは六門船を一瞥し、背を向け隙間へ向かった。
「…………」その背中を見やる十臟。
そして同様に、船の中からドウコクらが、その背中を見送っていた。
「シンケンジャー、あいつら……」今度会ったらぶっ殺す。そんなニュアンスを言葉に込めてドウコクは呟いた。
大和屋暁「侍戦隊シンケンジャー 三度目勝機」本文 シンケンレッド(志葉丈瑠)シンケンブルー(池波流ノ介)シンケンピンク(白石茉子)シンケングリーン(谷千明)シンケンイエロー(花織ことは)シンケンゴールド(梅盛源太) 腑波十臟 血祭りドウコク より
そんなどん底まで堕ちた影山を助けたのは、やはりすべてを失った矢車であった。
「影山、いい顔になったな。俺はといっしょに地獄に堕ちるか?」
「これ以上の地獄がどこにあるというのさ?」
「俺の弟になれ」
矢車はそう言ってホッパーゼクターを影山にポイと投げつけた。
「……あんただけだ、俺に振り向いてくれたのは」
影山は矢車に感謝した。
「二人で歩いてゆこう。ゴールのない暗闇の中を」
こうして影山は矢車を「兄貴」と呼ぶようになり、キックホッパーと同じく第三勢力のライダー、パンチホッパーとなったのだ。
ZECTにとってもひたすら迷惑な存在となった矢車のキックホッパーと影山のパンチホッパー……二人はいつしか『地獄の兄弟』と呼ばれるようになった。
それでもパンチホッパーとして再びライダーの力を手に入れた影山にはワームを倒したいという気持ちが芽生えもしたが、矢車はそんな影山にこう吐き捨てた。
「いいよなおまえは、正義の味方の燃えカスがあって……そんなもん、ウジ虫にでも食わせてしまえよ……ああ、生きているってむなしいよな……どうせ俺なんか……」
あくまでも光を求めない矢車の態度に影山も光を求めることをやめた。
(略)
北欧行きのタンカーが、月光を反射して波模様を作る大きな海を切り裂くように進んでいた。
夜の海原はすべての音を吸い尽くしたように静かだった。
柔らかな月光を浴びたタンカーの一角に密航者の影があった。
淡い月光さえ届かない暗闇の壁にもたれて、矢車が座り込んでいた。
矢車の腕には影山が抱かれていた。
「相棒、俺たちは永遠にいっしょだ」
しかし矢車には頬を寄せるように俯いたままの影山は瞳を閉じて動かない。
「行こう、俺たちだけの光を掴みに……」
影山は返事をしない。
「けっして輝かない闇にまみれた光を掴みに……なあ、相棒」
影山は息をしていなかった。
矢車の瞳から涙がこぼれ落ちた。
その血の涙は月光を反射してどす黒く光った。
それこそが二人が掴もうとしていた闇の光なのかもしれなかった。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦!2 本文 仮面ライダーキックホッパー(矢車想)仮面ライダーパンチホッパー(影山瞬) より
天道家の台所には料理をするひよりの姿があった。
その横では樹花がひよりを手伝っていた。
「ひよりさん、わざわざ来てくれてありがとう」
「いいんだ、これぐらい」
樹花とひより……二人は共に天道の妹だった。
だがそのことで話をしたことはない。
それでも二人は何か不思議な絆みたいなもので結ばれているような気がした。
だからお互いがお互いの存在に温かいものを感じていた。
「いいにお〜い!ねえ、ひよりさん、どんな料理ができるの?」
「ビストロ・サルで僕が出そうと思ってるメニューなんだ……まだ完成してないんだけど」
二人並んで料理を作った。
やがて食卓にはひよりのシェフデビューの料理が並んだ。
「わ〜!どれもおいしそ〜」
「どうぞ」
「いただきます」
樹花が勢いよく食べ始める。
「おいし〜!これ、お兄ちゃんの作る料理とおんなじだ」
「え?」
「優しい妹……」
「そう……ありがとう」
樹花の言葉がひよりには嬉しかった。
「おばあちゃんが言っていました。料理は人から人へ受け継がれ、その味は人と人をも結ぶって」
おばあちゃんの言う通りだった。
たしかにひよりは料理でたくさんの人とも繋がった。
目の前にいる樹花とも加賀美とも弓子とも、そして天道とも。
そしてひよりと樹花はまだ帰ってこない兄の無事をいっしょに祈った。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦! 2 本文 天道ひより 天道樹花 より
どんな状況でも彼らはこの世を守りきった。だからこそこの風景を愛おしく思える。この風景を見やることができるのが、奇跡のように感じられる。
「たしかに、そう考えて見ると感慨深いものがあるな……」
「ま、あと一秒でも三途の川から戻るのが遅かったら、そんなことも言ってられなかったんだろうけど?」
「たしかにそうかもね」
千明の言うとおり、丈瑠が三途の川から撤退を決心するのがあと一秒でも遅かったら、彼らはこの世に戻れなかった。それは事実だ。彼らが隙間から飛び出した瞬間、装置は彼らの帰還を待っていたかのように派手な音と共に爆発四散した。まさに間一髪の生還劇だった。
「で、丈ちゃん?なんであそこで戻るって決めたんだ?」
「そのことか……」丈瑠は苦笑いを浮かべる。
「…………」一同は丈瑠に注目する。
丈瑠は一同を見渡し、そしてまた風景に目を戻す。
「……なんとなく、だ」
嘘だった。
丈瑠自身、自分の命を惜しいとはまったく思っていなかった。外道衆の本拠地を叩けるなんてチャンスはそうたびたびはない。だが、結局のところ、仲間の命とチャンスを天秤にかけた途端、丈瑠は仲間の命を取ったのだ。ただそれだけの話だ。
大和屋暁『侍戦隊シンケンジャー 三度目勝機』43 志葉丈瑠 池波流ノ介 白石茉子 谷千明 花織ことは 梅盛源太 より
おい
あれ
よっと
千弘くん!!
千弘くん!!千弘くん!! 生きてたんだね!!
バッカ 俺が死ぬかよ
ワアアア
村上ぃ!!
先生
スマンかったなぁ・・・・ お前にばかり迷惑かけてなぁ・・・・
アレ アライグマ 死にたがりなおったのかよ・・・・
(略)
ええ?ネオショッカーが逃げ出した?
ああ もうちょいで全滅だったんだけどな
ス・・・スゴイ!!
じゃあ 千弘くんが!?
俺じゃねえよ
俺もちったあがんばったけどな
やったのは
仮面ライダーーよ
カメン・・・・ライダー・・・・
って 千弘くん キライじゃなかったっけ
俺はさ・・・・
本当はそんな
たいしたヤツじゃねえんだ
千弘くん・・・・
少し変わった・・・・?
漫画『仮面ライダーSPIRITS』第4話 共闘 村上千弘 少年 先生 生徒たち より
京都で 滝が待っている
行ってやってくれ
お前も「仮面ライダー」ってやつの一人なんだろ
!
・・・・・
まだ抵抗あるかい?
・・・・だよな
!
あるよなぁ
普通・・・・・
筑波君!!筑波君!!
私は・・・・ この青年を死なせたくない!!
これは・・・・
この顔は・・・・
これが俺の姿か・・・・
俺が目を覚ました時は
すでにネオショッカーの改造人間計画に巻き込まれてた後だった
そして
その科学者は
俺の姿を見て・・・・
罪悪感に押しつぶされそうになっていた
君には詫びる言葉もない
私を憎んでくれ!!
博士・・・・
見てください
この・・・・力を・・・・
セイリングジャンプ!!
そ・・・・
そんな話・・・・
ただのやせ我慢じゃないか
・・・・・・・・かもね
だけどあの時 俺は一人の科学者の涙を止めた・・・・
あれが俺にとって
仮面ライダーとしての最初の仕事だった
ば・・・・ばかな!!
俺にそんなマネができるか!!
おい・・・・
俺はな・・・・
バダンの尖兵として何人も・・・・
何百何千の人間を殺してきたんだぞ!!
この・・・・
この俺の体は・・・・
いずれ JUDO のものとなる!!
その時・・・・
俺はまた人間を殺して・・・・
そしてキサマも!!
だから
いいんじゃないか
それでも・・・・
それでも 戦っていいんだぜ
村雨良 君は・・・・
人間のために 戦っても いいんだ
漫画『仮面ライダーSPIRITS』9巻 第5話 旅立ち 筑波洋(スカイライダー) 村雨良(仮面ライダーZX) グレゴリー警部 志渡敬太郎博士 より
ヒ・・・・ヒイ・・・・
た・・・・助けて・・・・
あ・・・・
!! ノリちゃん早く!!
!!
ったく・・・・
鴨川のせせらぎが台無しだぜ
こいつら風流ってもんがわかっちゃいねえ
なあ 滝
まあな 一文字
しかし一文字 いくら変装ったって こりゃ 逆に目立っちまうんじゃねえか?
そうか? ホラ・・・・
大丈夫
ヒッ・・・・
!!
お母さん!!
おうおうおう!!
出やがったな ナメクジキノコ エイドクガー
ノリノリだろ お前
京の町を騒がす 悪党どもよ!!
このベルトが目にはいらねえか!!
目・・・・つぶってな
変身
テメエの相手はこっちだ
へ・・・・
こいつは結構 使えるぜ 結城!!
ム ウンーー
ライダアアア キイイイック
漫画『仮面ライダーSPIRITS』9巻 第6話 部隊 仮面ライダー2号(一文字隼人) 滝和也 母親 ノリちゃん より
「それはそうと源太、あの装置、あれからどうなった?」丈瑠は源太に向き話を変える。
「ああ、それがさ、難航してるらしい。設計図はあるし部品も作った本人がいるってのに、あの装置の復元は難しいらしい」
「ってどういうこと?だって設計図はあんだろ?だったら……」
「さあな、どういうわけかそのとおりに作ってもうんともすんとも言いやしない。作った本人も首傾げてやがったよ」
「そうなんや……なんか不思議な話やな」
「結局のところ、あの装置には博士の執念がこもっていたということだな」
「ちがうって、奥さんのために研究したんなら執念じゃないだろ」
「ほんまやわ。流さんムードないわぁ」
「え、いや、私はただ本当のことをだな……」
「つまり、大切な人への想いが奇跡を起こしたってことよね?」
「かもしれないな……」
おそらく装置は二度と作動しないだろう。皆が言うように大切な人に会いたいと思う心が、この世を護ろうとする人の意志が、そのときにはこもっていた。だからこそ、あの装置は奇跡を起こした。今ならそう素直に信じられる。けっして設定や整合性などを考えずに信じられる。
大和屋暁『侍戦隊シンケンジャー 三度目勝機』43 本文 志葉丈瑠 池波流之介 白石茉子 谷千明 花織ことは 梅盛源太 より
その日のビストロ・サルの客席には珍しい客が来ていた。
仮面ライダードレイクの有資格者、風間大介とその相棒ゴンであった。
「あ〜!メイクアップアーティストのお兄さんだ!」
店の手伝いで注文を取りに来た樹花が素っ頓狂な声をあげた。
「久しぶりだね。しばらく見ないうちに随分と美しくなった。たとえていうなら……その……えっと」
「百合子のよう!」
ゴンがいつものように助け船を出す。
「そうそう、それそれ……って百合子はゴンの本名だろ」
「そうだよ。あたしだって名無しのゴンべは卒業だもん」
ゴンの言うとおり、髪を下ろしたゴンは少し大人っぽくなっていた。
「じゃあ、お嬢さん、ひよりみランチを二つお願いするよ」
「かしこまりました。ひよりさん、ひよりみランチ二つ入りました〜!」
「はい!」
厨房から、ひよりが元気に返事する。
ひよりは汗を拭う間もなく、料理を続けていた。
天道はまだ来ない。
でも寂しくはなかった。
「そばにいないときはもっとそばにいるか……」
ひよりは天道が言った言葉を思い出していた。
天道はそのうち必ず来てくれる。
そして店に入るなり、我が物顔でこう言うはずだ。
「サバ味噌!」
ひよりは料理を作り続けた。
扉が開き、厨房にも爽やかな風が吹き込んできた。
それは天の道を往く者が来た合図だった。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦!3 本文 天道ひより 天道樹花 風間大介 ゴン(百合子) 天道総司 より
その日のビストロ・サルの客席には珍しい客が来ていた。
仮面ライダードレイクの有資格者、風間大介とその相棒ゴンであった。
「あ〜!メイクアップアーティストのお兄さんだ!」
店の手伝いで注文を取りに来た樹花が素っ頓狂な声をあげた。
「久しぶりだね。しばらく見ないうちに随分と美しくなった。たとえていうなら……その……えっと」
「百合子のよう!」
ゴンがいつものように助け船を出す。
「そうそう、それそれ……って百合子はゴンの本名だろ」
「そうだよ。あたしだって名無しのゴンべは卒業だもん」
ゴンの言うとおり、髪を下ろしたゴンは少し大人っぽくなっていた。
「じゃあ、お嬢さん、ひよりみランチを二つお願いするよ」
「かしこまりました。ひよりさん、ひよりみランチ二つ入りました〜!」
「はい!」
厨房から、ひよりが元気に返事する。
ひよりは汗を拭う間もなく、料理を続けていた。
天道はまだ来ない。
でも寂しくはなかった。
「そばにいないときはもっとそばにいるか……」
ひよりは天道が言った言葉を思い出していた。
天道はそのうち必ず来てくれる。
そして店に入るなり、我が物顔でこう言うはずだ。
「サバ味噌!」
ひよりは料理を作り続けた。
扉が開き、厨房にも爽やかな風が吹き込んできた。
それは天の道を往く者が来た合図だった。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦!3 本文 天道ひより 天道樹花 風間大介 ゴン(百合子) 天道総司 より
その日のビストロ・サルの客席には珍しい客が来ていた。
仮面ライダードレイクの有資格者、風間大介とその相棒ゴンであった。
「あ〜!メイクアップアーティストのお兄さんだ!」
店の手伝いで注文を取りに来た樹花が素っ頓狂な声をあげた。
「久しぶりだね。しばらく見ないうちに随分と美しくなった。たとえていうなら……その……えっと」
「百合子のよう!」
ゴンがいつものように助け船を出す。
「そうそう、それそれ……って百合子はゴンの本名だろ」
「そうだよ。あたしだって名無しのゴンべは卒業だもん」
ゴンの言うとおり、髪を下ろしたゴンは少し大人っぽくなっていた。
「じゃあ、お嬢さん、ひよりみランチを二つお願いするよ」
「かしこまりました。ひよりさん、ひよりみランチ二つ入りました〜!」
「はい!」
厨房から、ひよりが元気に返事する。
ひよりは汗を拭う間もなく、料理を続けていた。
天道はまだ来ない。
でも寂しくはなかった。
「そばにいないときはもっとそばにいるか……」
ひよりは天道が言った言葉を思い出していた。
天道はそのうち必ず来てくれる。
そして店に入るなり、我が物顔でこう言うはずだ。
「サバ味噌!」
ひよりは料理を作り続けた。
扉が開き、厨房にも爽やかな風が吹き込んできた。
それは天の道を往く者が来た合図だった。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦!3 本文 天道ひより 天道樹花 風間大介 ゴン(百合子) 天道総司 より
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