土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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実は『SPIRITS』のファンには現平成ライダーのスタッフも多い。『劇場版 仮面ライダー電王』の長石多可男監督は、熱烈ファンを自認してやまないし、田崎竜太監督もその1人である。田崎監督の最新作『仮面ライダー THE NEXT』が10月27日より劇場公開されるが、その作品中にも『SPIRITS』の影響が色濃く出ているシーンがある。それは2号ライダーが仮面越しに吐血するという場面なのだが、今巻に収録されているV3でも描写されているような、仮面の口元から血を流すライダーからの発想である。こういったシーンは今までの映像では存在しない。村枝さんの描写がなかったらそんなシーンは撮影されなかったろう。『SPIRITS』が映像にまで影響を与えだしたのだ。
漫画『仮面ライダーSPIRITS』13巻 あとがき 『永遠の仮面ライダー』早瀬マサト(石森プロ)より
穂乃果ちゃん達は野生のちんすこう探しに夢中でライブのことなんてすっかり忘れてるやろうから。にこっち達がしっかりしといてね♪
野生のちんすこうてなによ?
アニメ『ラブライブ(二期)』第5話 新しいあたし 東條希 矢澤にこ より
背を向けた宇佐見に、斑鳩が言う。
「ただ、お出かけになる前に、東城大内部の不穏な動静には充分目を光らせてください。あの方たちはしたたかで油断できない。一番与しやすそうな田口医師でさえ、雪月下殺人事件で目をみはる判断をしていますし、厚労省の火喰い鳥、白鳥技官には以前、省庁横断連絡会議設置の際に煮え湯を飲まされています。彦根先生に至っては先だって、我々の牙城・極北市監察医務院を徹底的に破壊されました。こう考えるっ東城大エーアイセンターはすさまじい潜在力を秘めた、医療界最強のディフェンス・ラインになり得る人材が集結している。このまま育てば司法の脅威となり、実に危険な兆候です。ゆめゆめ、決して舐めないように」
海堂尊『アリアドネの弾丸』23章 報道抑制 斑鳩芳正 より
お店に入っちゃったよ
なんで後つけるの?
だって怪しいだもん!まさか、ここでバイトしてるとか?
にこにこ♪に〜ん♪今日のお肉はにこでにこにこ♪2525円!!
ハマりすぎだにゃ〜!
待って!ちがうみたいよ
えっ!?
ふつうに買い物してるみたいですね
なんだ。ただの夕飯のお買い物か
でも、それだけで練習を休むでしょうか?
ラブライブ出場が決まって気合いも入ってるはずなのに……
よほど大切な人が来てるとか?
どうしても手料理を食べさせたい相手いるとか?
ま、まさか!
にこちゃんが!?
ダメです!それはアイドルしていちばんダメなパターンです!!
あっ!
なんの話?
u’sメンバー矢澤にこ!練習をすっぽかして足しげけく通うマンションとは!?
そんな!?スキャンダル!!
……
逃げた!?
なんでついてきてるのよ!
アニメ『ラブライブ!(二期)』第4話 宇宙No.1アイドル 高坂穂乃果 園田海未 南ことり 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 矢澤にこ より
家に帰ったらテレビを点けるんだ。そこにはきっとウルトラマンが映っている
特撮ドラマ『ウルトラマンガイア』第49話 天使降臨 高山我夢 より
高階病院長は首を振る。
「大学病院は独立行政法人ですから倒産はできません。ですが閉院はできるんです。このままでは診療をすればするほど赤字が膨らむばかり。勇気ある撤退を考えなければならない時が来てしまったのです」
「桜宮の医療を支えてきた東城大が撤退するとなると、影響は計りしれません。ここは三船事務長の改革案を採用して、もう少しだけ頑張ってみませんか」
言いながら、ああ、俺らしかぬ発言だな、と思う。
桜宮を長年支えてきた大学病院がなくなってしまうなど、想像もしなかった。
俺はずっと、こんな病院、いつか辞めてやるぞ、と思っていた。だが俺がやめても大学病院は存続し、たまに酒場で大学を辞めた仲間と古巣の悪口を言い合うくらいはできるだろうと思っていた。だが、そんな悪口すら言えなくなってしまうのだ。
デラシネ、根無し草という言葉が浮かぶ。
デラシネになるのは俺たち医療従事者だけではない。毎日病院に通ってくる患者もまた、デラシネになってしまう。
(略)
「何でしょうか」
俺は顔を上げた。高階病院長が口を開こうとする前に、俺は右手を挙げた。
「あ、ちょっと待ってください。」
目を閉じる。過去の出来事が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
目を開けた。深呼吸して、咳払いする。
俺を見つめる高階病院長のロマンスグレーの髪を見下ろしながら、ひと言告げた。
「その依頼、お引き受けします」
高階病院長は開きかけた口をぽかんて開けたまま、目を見開いた。
「田口先生、あなたって人は……」
そう言ったきり、高階病院長は俺を見つめ続けた。
実はこの部屋に呼び出された時から俺は、それがどれほど無茶な依頼であろうとも絶対に引き受けようと決めていた。これまで酷い目に遭わされ続けてきた、腐れ縁の上司のラスト・リクエストに対応できなくては、懐刀の名がすたる。
海堂尊『ケルベロスの肖像』最終章 東城大よ、永遠に 本文 田口公平 高階権太 より
はぁ〜、疲れるにゃ。やっぱり凛にリーダーにムリだよ
そんなことないよ。きっとだんだん慣れていくよ
そうよ。まだ初日でしょ
そんなこと言って。ふたりともリーダーになりたくないから凛に押しつけたんでしょ
え?
なに言ってるの。本当に向いてると思ったから凛を推薦したの
そうだよ。あたし穂乃果ちゃんたちが別の人を推薦しても凛ちゃんがいいって言ってたと思うよ
え〜!うそだ〜。凛なんて全然、リーダーに向いてないよ
どうして?
だって、凛…中心にいるようなタイプじゃないし……!
んっ!チョップ!
イテテテ……真姫ちゃん?
あなた、自分をそんな風に思っていたの!?
そうだよ!u’sに脇役も中心もないの!グループにいる限りみんないっしょだよ!
それはそうだけど……、でも、なんか……凛は別だよ……。ほら、全然アイドルぽくないし……
それ言ったらあたしの方がアイドルぽくないよ!
そんなことないよ。だって花陽ちんは可愛いし、女の子ぽいし……
え〜!?凛ちゃんの方が可愛いよ!!
そんなことない〜!!
ハァ、よほどうぬぼれ屋でもない限り自分より他人の方が可愛いて思ってるものでしょ
ちがうよ!凛はちがうの!!
凛……
引き受けちゃったし穂乃果ちゃんが帰ってくるまでだからリーダーでいるよ。でも…向いてるなんてことは絶対ない!
凛ちゃん!?
もしかしたらまだ昔のこと……
え?
凛ちゃん、小学校の頃ずっと男の子みたいて言われててて……スカートとか履いてゆくとからかわれたりして……。もう気にしてないのかなと思ってたけど……
そういえば私服でスカート履いてるの見たことないわね
はぁはぁはぁはぁ……んっ……
アニメ『ラブライブ(二期)』第5話 新しいあたし 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 より
「ティガの地の石造っていうのは最初5つという設定だったんですよ。だけど私が入った時は全体会議で第1・2話の決定稿が出た後だったんですが、『せっかく3(インドネシア語でティガは3という意味)という名前でやってるのに、5体って変じゃないか』って言ったのね。壊された2体分の力も彼は持ったのかな。3つの色のパターンを持つというようにも取れるよねって言ったら、松原監督が『それ、いいね』って」
小中千昭が『ティガ』の設定に関わった最初だった。
(略)
OVAの『アミテージ・ザ・サード』『魔法使いTai!』など、元来、小中は企画が出来上がった後のシリーズに参加して、いつしか中心軸となっていることが多いライターだった。
「もともとのコンセプトに関与していないのに、そこをどう解釈して、オチをつけていくか。ティガも、結局そういう役割になりましたね。『じゃあ、お仕事で』ってやってる内に、どんどんキャラクターがリアルになっていく」
(略)
「ずっと自分を悲観的な人間だと思っていたんですが、なぜかそういうところは楽観主義なんだなって気づきましたね。(略)第6話のホリイの科白『人間には知らないことがいっぱいある』というのが私のスタンスでしたから」
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
平成ウルトラマンはだんだん<人間ウルトラマン>になっていった。だがウルトラマンが喋るわけではなく、あくまで人間の側から感じ取れる以外は謎にしてある。「光の巨人」がもともと何処から来たのかは、『ティガ』の最後まで語られなかったし、地球発のウルトラマンである『ガイア』でも正義を目に見える秩序としては描いていない。その点はやはり、昭和の第二期ウルトラシリーズの際に作られた「ウルトラ兄弟」やその背景にある宇宙警備隊という前提とは明確に違う。
(略)
小中が書く作品は、ウルトラマンと戦う<人類の敵>側に関しても同じスタンスを取っている。人間の言葉を喋り、人間が理解し得る利害で侵略をしかける宇宙人という設定を持ち込まない。
「『GUTSよ宙へ』を書く時、セブンの『ウルトラ警備隊西へ』を見返したんですよ。あの話での宇宙人は、初めは地球の観測を怒って報復に来ていたのが、やがて侵略に転じたという、極めて人間的なロジックを持っている。でも自分で書く時には、相手には相手の論理があるんだけど、人間にはようわからんという風にしたかった。だから状況は不条理なんですよ。でもそれを「不条理だね」って言ってしまったら、神の視点になっちゃう。『自分より進んだ文明を許さないなんて、なんて身勝手な』というサワイ総監の科白はあくまで人間側の立場で、宇宙的視野から見ればロボットの方が正しいかもしれない」
得体の知れない機械人形ゴブニュが次々と襲ってくるという「GUTSよ宙へ」。その命令主はたどれない。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
うわ……
うそ……
ファッションショーだからセンターで歌う人にはこの衣装でって指定がきたの
ひっ!?
ウェディングドレスね!ス・テ・キ・!!
女の子の憧れて感じやね♪
これを着て…歌う…凛が……
穂乃果がいないとなるといまはあなたがリーダーでしょ
こ、これを……凛が!?あは…アハアハ…アハアハ!!
なに笑ってんのよ!?
シャーッ!!
凛がこわれたっ!?
もうっ!どうにかしなさいよ!!
アッ!野生のちんすこうが!!
どこ!?
凛ちゃん!?
んっ!んっ!鍵が!?なんでにゃ!?
なんでだとおもう?
さ、さあ……
それはいつもあなたに捕まえられてるからよ!!
うわぁ〜!!!
待ちなさい!!
アニメ『ラブライブ(二期)』第5話 新しいわたし 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 矢澤にこ 絢瀬絵里 東條希 より
「それは独立後のキャリアだ。最初は東城大学医学部佐伯学科に所属していたんだ」
東海地方にある東城大の佐伯外科は、外科の名門医局として勇名を馳せていた。世良がなぜ、地域医療再建請負人という変わり種の医師になった経緯(いきさつ)は、不明だ。
世良は遠い目で海原を見つめた。
「昔、僕の故郷に、さくらの樹を植えようとした人がいた。そして僕は、その樹の下で、花守をしていくんだと信じていた」
比喩なのだろうが、その中身はわからない。今中は世良の横顔を見つめる。
「そのさくらの樹が、花開くことはなかった。さくらを名前に冠する街なのに、皮肉なものだ。あれほど、さくらという言葉が似合わない街を、僕はしらない」
世良は黙り込む。今中は世良の横顔を見つめ続けたが、世良はその物語を、それ以上は語るつもりはなさそうだった。
海堂尊『極北ラプソディ』25章 神威島 本文 今中良夫 世良雅志 より
ドラマのなかでは、今中は山の中を走りながら、色々なことを考え、心の整理をするという設定だったため、瑛太さんは撮影開始の一週間以上も前から北海道入りし、ドラマ上、今中が走るあたりを毎日黙々と走りこみ、「走っているなかで、北海道が身体に入ってくるんです」とおっしゃっていました。
海堂尊『極北ラプソディ』解説 地域医療に立ちはだかる「雪の壁」佐野元彦 瑛太 より
いくら新しいシリーズを一から作るといっても、人間がウルトラマンを救世主として仰ぎ見ていた場所から進歩し、とめに光を掴む存在と見なすという、シリーズが踏みしてきた階段を外してしまうことを小中は潔しとしなかった。
「ウルトラマンの光が欲しいと思ったのならば、『それは自分で掴め!』というのが私の根底にあるんです。救ってもらうんじゃなくてね」
このように『ガイア』は、『ティガ』『ダイナ』よりも時代が現代に近づいているにも関わらず、主人公像に関しては、むしろ以前よりま新世代を感じさせる。
(略)
第2話冒頭で描かれる初陣において、ガイアは我夢の声で叫ぶ。
「僕がウルトラマンなんだ!」
もう小中は、ウルトラマンが心の声で喋ることに抵抗がなくなっていた。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
ずはりと切って捨てると、白鳥は続ける。
「真実は単純でね。気がついたら簡単すぎて涙が出た。でも気づかなければ永遠に気づかない。真実とは、空気のように無色透明なものなんだ」
海堂尊『アリアドネの弾丸』36章 透明な棺 本文 白鳥圭輔 より
量子力学の「平行世界概念」を、SFの作り手たちは一種の可能世界論として適用する。どんな未来もすべての可能性が並列して存在している。我々はそのひとつを生きているに過ぎない。だから我々に決められた運命なんかない。未来はひとつの可能性だけではないからだ。
(略)
いわば我夢は、平行世界がサイバースペースの枠を飛び越え、量子力学によって具現化することを何の先入観もなく生きる新世代といえる。
「我夢たちのような新しい世代の若者を産んだのは、地球の自己防衛本能だって考えです」
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
環境破壊の愚かさを自覚しない人類に対し、地下に眠る怪獣を呼び覚ます藤宮。だが怪獣に怯えた人類は地底貫通ミサイルで地下を先制攻撃する。これも破滅招来体の仕掛けた罠なのか。
自ら起こした事態にさいなまれる藤宮。
だがやがて「降臨」した根元的破滅招来体に立ち向かうため、それまで人類やウルトラマンと戦っていた地球の怪獣達が世界中で総決起する。
この<地球怪獣総決起>は、テレビの前の子どもたちを興奮させたという。
「母親の世代の方からメールを頂くんです。戦う相手としてだけじゃなくて、子どもたちが怪獣を愛してくれるシリーズになりましたね」
しかし画面で見た限りでは、世界各地に出現した地球怪獣のそれぞれが、他の個体や他の生物との「共闘」しているという意識を持っているかどうかはわからない。
「それはないんですよね。彼ら個体はね。私が思うにわかりませんけど(笑)」
彼らの姿を一つの線でつなげているのはテレビ中継である。
(略)
破滅天使ゾグの降臨で、コンピュータを含むすべての回線は使用不能になるが、なぜかテレビ回線だけは残されていた。それはウルトラマンの敗北を全世界に中継し、人々を絶望させるためだったのだ。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
村石 (略)それ以外は新人っていうか若手でいきたいなっていうことでオーディションになったんです。我夢役の吉岡毅志はね、「まったく色がついてないな」と思ったの。いかようも色がつけられる。オーディションでは全力で走らせたりしました。アクションセンスを見たかった。
(略)
村石 (略)あとはライバルのウルトラマン。アグルね。これば僕がやった『ティガ』のイーヴィル・ティガが原型でもあるんだけど。もっと遡ると、ピープロ作品『(怪傑)ライオン丸』(72〜73)の時のタイガージョーなんですね。『サイバーコップ』でもルシファーっていうライバル出したのは、その辺ってあるんですよね。
ダーティな面持ってるヒーローって、昔からそうですけど、そっちの方が引きつけるじゃないですか。なんか、もっと嘘偽りなく自分に素直に生きてるみたいなところがあって。それと、子どもの頃ってやっぱり、どっちかったら優等生よりはちょっと不良っぽいのに惹かれる。そういうキャラクターはウルトラマンの中になかったから、出して、ぶつけてみたいなって。
ただ今までの主人公のライバル役って、ルシファーもそうだけど、ハナッから<戦士>という感じでしょう。今度はそういうのとは変えたかった。
(略)
村石 ええ。高野八誠はこっちが考えていた藤宮にはピッタリだった。もう既にひとつの確立された個性が感じられましたね。ただそれがまた表に出てないなと。我夢にしてそうだけど、役柄の成長とともに成長していければと思っていた。
(略)
最終回まで撮って、我夢と藤宮はあの二人にして良かったと思いましたよ。二人で間違いなかったと。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 村石宏寛
説明してもらえるかしら?
え、え〜と……。なんでだっけ?
おぼえていないんですか。
うっ〜!?
理事長!ちがうんです、ふざけていたのではないんです!!
そうなの!ラブライブに出るためにはどうしたらいいかとおもってみんなで話し合って!
今までの枠にとらわれていては新しい何かは生み出せないと思ったのです
そうなんです!私たち本気だったんです!怒られるなんて心外です!
そうですそうです!
あっ!?とにかく怒られるのは納得できません!
わかったわ。最終予選はそれで出るということね
えっ!?
それならば今後その姿で活動することを許可するわ
あ〜……
え〜……
すみませんでした!!!!!!!!!
アニメ『ラブライブ!(二期)』第6話 ハッピーハロウィーン 高坂穂乃果 園田海未 南ことり 星空凛 小泉花陽 西木野真姫 絢瀬絵里 東條希 矢澤にこ 理事長(ことりの母)より
その時、草原の果てにタクシーが停まり、男性がふたり乗り込んだ。目を凝らすと、背広姿の男性はどこかで見たことある風貌だったが。思い出す間もなくもう片方の銀縁眼鏡の男性に意識が集中した。遠くからタクシーが近づき、俺たちの側を土埃を舞い上げて走り抜ける。車を止めようと手を挙げたが間に合わず、タクシーは俺の目の前を走り去って行った。
俺は呆然としたが、隣に佇む高階病院長の衝撃の方が俺よりはるかに大きいようだった。
「あの人が……いや、まさか」
やがて気を取り直した高階病院長は、午後の日差しに鈍く輝く海原を見つめて言う。
「昔、この地に桜の木を植えようとした人がいました。だが私は、その苗木を引っこ抜いてしてまった。あの時の自分の行為を、私はいまだに責め続けています……」
振り返り、建設中の建物を見上げる。
「時は流れ、その私が因縁の地に、まさに桜の木を植えようとしている。果たしてこれは根付くのでしょうか。いずれにしても、時の流れが私を断罪することでしょう」
高階病院長の呟きが、草原のざわめきに溶けていく。
海堂尊『アリアドネの弾丸』6章 桜宮岬の邂逅 本文 田口公平 高階権太 より
右田 (略)山田洋次さんに「人は作家になろうと思ったらその時点で作家なんだ」というお言葉がるんですけど。
切通 自分が思った時が……。
右田 思った時がそうなんだっていう。最近ちょっと凝ってるのが「行動すること在り方の違い」っていう。何かをやることによって何かに近づけるというのは、確かに実際はそうみえるんでしょうけど、その前に「自分は何なのか」っていう在り方がしっかりしてると、何があっても逃げなくなるんですよ。行動することも大事かも知れないけど、その前に、自分の在り方を。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第一章 光を継ぐもの 右田昌方 切通理作 より
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