土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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かつてわれわれは、一人一人が神だった!しかしここでは……一人しか存在を許されぬのだ!
わたしが望んだのは……種の生存、それだけだ。わかってくれ……おまえを裏切らざるをえなかった理由を。
あなたが裏切ったのはわたしではない。あなた自身だ。
映画『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』オプティマス・プライム センチネルプライム より
だからといって、手塚(治虫)先生がコンテを読めないことをあげつらうつもりはない。時代の勢い、ぼくの打算。嫌な奴だね、ということだ。
手塚先生だって、若い連中が描いたコンテはなおすし、短編アニメのコンテをきらせたら天下一品であるのだが、ストーリー・アニメのコンテは不得手でいらっしゃったというのが、ぼくの評価である。
こんなエピソードを書いたからといって、TVアニメのパイオニアである事実を貶めることにはならないし、マンガ家として天才であることを汚すことにもならない。
映像媒体というのは、とんでもなく欲深い媒体であって、片手間にできるような媒体ではないのだから……。
その証拠に、ひとりでいろいろなジャンルの作品を成功させた監督など、そんなにいない。ティム・バートンぐらいだ。(ウソ!)
理解できるという才能がなければ、コンテという不定な媒体は理解できないから、絵がかけずシナリオもかけないぼくは、それを利用して、仕事にありついたのである。
ハルキ文庫『ターンエーの癒し∀』Section 2 ぼくだって人の間でいきている より
敷島は、泥だらけになりながらも、一生懸命に操縦器をあやつる正太郎を見つめる。
「けれど、良いも悪いもリモコン次第という言葉もあります。兵器として生まれながらも正義と平和のために使い続ける少年の姿に、わたしは、希望を見出だしているのです……」
「むう……」
「そうですとも!博士、もっとよくあのふたりの姿をご覧なさい」
さらにもうひとり、太ったからだを揺すりながら、大塚が堤防上に現れた。
「大塚署長……」
「お初にお目にかかりますな、不乱拳博士」
大塚は、丁寧に一礼すると、人々と共に働いている二体の巨人を、微笑んで見つめる。
「わしゃ、うれしいんですわ。いや、本当にうれしい!」
「……なにがだ?」
不乱拳は、胡乱(うろん)なものを見る眼でじろりと大塚をにらむ。
「だって、あれでしょうが、ほれ、空想科学小説なんかだと、意志をもったロボットは、きまって人間を滅ぼしたり支配しようとするでしょう。だのに、レナーテさん、人とおなじやさしい心をもっておる。父ひとり子ひとりとはいえ、博士の教育がよかったんでしょうなぁ。どうですか、人とロボットがともに手をとりあうあの光景!うつくしい、本当にうつくしいじゃありませんか!」
「……警官のくせに、ずいぶんと単純な男だな、きみは」
「単純なぐらいでちょうどいいんですよ、博士……」
温厚な笑顔の大塚。だが、その瞳に、キラリとするどい光がはしる。
「わたしゃね、博士。職業柄、それこそ醜いものをいっぱいみてきましたよ。人の世の膿(うみ)みたいなものばかりをね。だからこそ、うつくしいものを本当の価値がわかると思っているんです。そして、出来る限りそのことを、正太郎くんに伝えてきました。そして、いま、正太郎くんは、レナーテさんに伝えようとしている。ねえ、博士。闇ばかり見ていては、すばらしい花の色を感じることはできはしませんよ。陽の光の中で、まっとうに生きる人の営みというものに目をむけてみてはいかがでしょう。明るい青空の下、ともに手を取りあう正太郎くんとレナーテさんの姿を、親として見てみたくはないですかな……」
「むう……」
「あなたっ金田博士の未来予測は、たしかに卓越したものです。現実は、その方向に動いているといっていい。ですが、あのふたりの姿を見ていたら、べつの未来も信じれそうな気がしませんか?彼らに託す未来の姿を----」
「…………」
敷島の言葉に、不乱拳は、おし黙りじっと眼下の光景を見つめる。
「過去に生きるものは、未来に生きるものに勝てんと……、そういうことか……」
しばらくたったのち、彼は、さびしそうにポツリとつぶやくのだった。
角川書店 重馬敬『鉄人28号』本文 敷島博士 大塚署長 不乱拳博士 より
水木は結婚当初からゲーテの気に入った言葉を書いて、壁にはっていました。それで私もいつしか門前の小僧のように、そのフレーズを覚えてしまいました。
「自分自身を知るのは、楽しんでいるときか、悩んでいるときだけだ。また、悩みと喜びをとおしてのみ、自分が何を求め避けねばならぬかを教えられる」
「死を考えてみても、私は泰然自若(たいぜんじじゃく)としていられる。なぜなら、われわれの存在は、絶対に滅びることのない存在であり、永遠から永遠に向かって絶えず活動していくのだと確信しているからだ」
「精神の意志の力で成功しないような場合には、好機の到来を待つほかない」
当時、若者の中には、人間はなぜ生きるのかという哲学的なことを考えすぎて、自ら命を絶ってしまう人もいましたが、そういうひ弱な人間と水木はまったくちがいました。水木の好きなゲーテの言葉、とても健康的だと思いました。
武良布枝『ゲゲゲの女房』三章 底なしの貧乏 水木の本棚 本文 より
メガトロンはしばらくわたしを見上げた。
「たしかにそうだ。信じられないのは当然だと思う、コンボイ。その手にまだ握っているのはセンチネル・プライムの武器だな。それでわたしを殺せ。なにをされてもかまわぬ。どう決断してくれてもいい。願わくば、早く決めてくれ」
わたしは手のなかの腐食液砲を見た。たしかにこの一発でメガトロンを殺せる。この戦いに永遠に決着をつけられる。
空を見た。セイバートロン星は去った。
認めたくはない。しかしメガトロンの言うとおりだった。わたしは母星の呼び声を感じていた。その呼び声は、かつて星の姿を歌っていた。われわれが種族として本来の力を発揮すれば、その姿が蘇るはずだとささやいていた。
わたしは沈黙のあとに言った。
「ちがう。わたしはおまえに似てはいない。似ているなら、おまえをあっさりと殺すだろう。ディセプティコンのあいだで弱さとみなされる態度をおまえがしめしているからだ。そんなおまえを見たら、ディセプティコンたちは失望して襲いかかり、バラバラに引き裂くだろう。自分のためにも部下たちのためにも、彼らを支配しつづけろ」
「わかった」
メガトロンはゆっくりと立ち上がった。
「わたしがセイバートロン星に帰り、星を蘇らせたら、かならず連絡する。そのときは合流し、一つの種族にもどろう。そうやって故郷をとりもどすのだ」
歩き去るメガトロンに、わたしは声をかけなかった。
わたしは平和を望んだ。
彼が真に変身(トランスフォーム)することを望んだ。
希望は持ち続ける。最後に持てるものは、希望しかないからだ。
ノベライズ『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』シカゴ 本文 コンボイ(オプティマス・ブライム) メガトロン より
さて、講談社から帰宅した水木は、少し興奮した様子で、そのときのやりとりを私に話してくれました。
「わたし、東映の渡辺亮徳です。両方得する、りょうとくです」
そう自己紹介するなり、『墓場の鬼太郎』を映画にしたいと切りだしたというのですから、さぞかし水木の目はまん丸くなったことでしょう。
武良布枝『ゲゲゲの女房』五章 水木も家族も人生一変 「鬼太郎」をテレビアニメに 本文 より
「気づかせてやったんだ」
ライルは憮然として言った。踵を鳴らし、フェルトが出て行ったのとは別方向の扉へ向かう。彼は歩きながらぽつりと漏らした。
「比較されたら、たまらんだろ……」
いつだってそうだったんだ。
双子ってことで何かと優劣つけられて。
おれは「ニールの弟」じゃなくて「ライル」なんだよ。
それが厭で、ひとりだけ寄宿舎のある学校へ入ったのに。
なのによ、いまのおれはロックオン・ストラトス。兄さんと同じコードネーム。兄さんと同じ活躍を期待されている。
だが、おれはおれだ。
誰でもない、ライル・ディランディだ。
おれは、おれのスタイルでいかせてもらう。
ノベライズ『機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン』1 天使再臨 本文 ライル・ディランディ より
また、ときおり水木は戦争時代のことも話してくれました。
「戦争に行く前に手相を調べたら、生命線が長かったので、“オレは大丈夫。死なないな”と思ったんだが、パラオに行く船の中で手を見たら、生命線が切れてしまっているんだ」
「まぁ、そんなこと、あるんですか?」
「あるんだよ。手相は変わるんだ。とぎれてしまうこともあるんだな。そのとき“オレは戦争で死ぬかもしれん”と思ったよ」
そこで水木は、家族や親戚から、山ほどもらったお守りをすべて、門司からパラオに行く船から海に捨てたといいます。こんなにたくさんの神様に頼んだら、神様同士が喧嘩をしてしまうのではないかと考えたからだそうです。
「ひとつくらいお守りを残したらよかったのに」
と、私がいうと、
「そんなことをしたら、他の神様が怒る。だからきれいさっぱり海に流すしかなかったんだ。おかげで、生き残った」
と、自慢げにいいました。
武良布枝『ゲゲゲの女房』三章 底なしの沼 生き残る、勝ち抜く 本文 水木しげる 武良布枝 より
「銀行員をやっている二十七歳にもなる男が、アシスタント志望であらわれた。銀行員なら、マンガ家よりもええといって、帰したよ」
ある日、水木がそういいました。けれど、その人は、その後、どうしてもマンガがあきらめきれないと、銀行をやめてまた上京をしたのだそう。それが『釣りキチ三平』で人気が出た矢口高雄さん。水木と少しでも関わった人が活躍していると聞くのは、うれしいことです。
武良布枝『ゲゲゲの女房』五章 水木も家族も人生一変 オレは茂鉄だ 本文 水木しげる より
やあ、代役ありがとう。
キミはママを、ボクは街を守るから。
どうやら、ここがボクの居場所らしい。
映画『アメイジングスパイダーマン2』スパイダーマン(ピーター・パーカー) より
「オレが講談社児童漫画賞というものをもらうことになったらしい……」
水木は、興奮を抑えたような口調で、ポツリとそういったのです。
もちろん、私は講談社児童漫画賞がどれほど権威のある賞なのか、くわしいことは知りませんが、大出版社の賞ですから、ひょっとしたら大変な快挙を水木が成し遂げたのではないかと直感しました。
「お父ちゃん……」
……胸が高鳴って、そのあとの言葉が出てきません。すると落ち着きを取り戻した水木が、軽く咳払いをしてから、いつもの飄々とした表情で、
「まあ、オレがそういう賞をもらうのは当然だがな」
なんていいました。でもその様子には、水木の感激が滲み出ていました。
やはりそうです。水木は、やったのです。
「ついに来るべきときが来た!」
私は心の中で、思わずそう叫びました。
武良布枝『ゲゲゲの女房』四章 来るべきときが来た! ついに「来るべきとき」が……! 本文 水木しげる 武良布枝 より
『∀』で目指したものは、こういうことだったのだ。
『∀』の劇中の人々は、みんなよく飲む、よく眠る、よく走る。そして、バカな戦いもすれば、月にも行ったし、月からも来た。
ロランは、キエルさんに憧れを感じていたし、ディアナ様を尊敬していた。そして、ソシエを愛おしくおもっていた。
そして、ソシエにはそれがわかったから、ロランをディアナ様にあげたのだ。
そのディアナ様は、ロランとソシエを十分に知っていても、最後の自分を見取ることをロランに頼んだ。託したのではない。頼んだのだ。
なぜなんだろう?
それは、永遠の疑問ではない。簡単な理由だ。ディアナの本当の初恋の相手が、きっとロランに似ていた少年だったからだろう。人間などというものは、そんなものだろうとおもう。
それは、つまらないことだろうか?
そうではないと伝えたいのが『∀』という物語なのだ。
富野由悠季『ターンエーの癒し』Section 3 ∀の時代 本文 より
きっとなめ吉状態だった時の習性だね!
だから!なめ吉だれダニ!
ほら♪なめ吉♪
似てる〜♪じゃないダニ!!
アニメ『妖怪ウォッチ』イナホとUSAピョンのロケット チビチビクミタテール1〜エンジン〜編
私にとって、この本に出会ったこと、布枝さんに出逢えたこと、そして布美枝を演じられたことは本当に大きな、大きな財産です。
沢山の方々に愛して頂いたドラマ『ゲゲゲの女房』では布美枝から、清らかで強く真っ直ぐに生きること、愛する人と手をとり合い歩むことの素晴らしさを教えてもらいました。
今でも『ゲゲゲの女房』のことを思い出すと、胸が熱くなります。
布美枝は私にとって大好きで憧れの女性です。
この作に出会えたこと、本当に感謝しています。
だんだん。
そしていつの日か、水木ご夫妻のような素晴らしい人生を歩めますように・・・
武良布枝『ゲゲゲの女房』冒頭 松下奈緒 より
「間違いなく日本製だ」とサム・ウィトウィキーは言った。前作でバンブルビーの姿を見た際のセリフである。ああ、そのとおり!トランスフォーマーのオリジンは日本にある。
世界に冠たるトランスフォーマー、その起源が日本のオモチャという事実。これは日本人はもっと誇るべきではないか。そう《ミクロマン》(一九七四年〜)と《ダイアクロン》(一九八0年〜)だ。
そもそも、《ミクロマン》は設定が絶妙だった。母星(ミクロ星)の爆発を逃れて脱出カプセルで宇宙を漂流し、やがて地球に不時着……というストーリー。スーパーマン的ともバルタン星人っぽいとも言えるが、いま思えば《トランスフォーマー》に通じるところ大ありなのでは?おまけに、同じミクロ星からの脱出組ながら環境に毒されつ根性が曲がった「アクロイヤー」という悪役種族までいて、これまた《トランスフォーマー》における善悪二元論を彷彿させる。
ハヤカワ文庫『トランスフォーマーリベンジ』あとがき……という名のよもやまばなし SF映画紹介者 丸屋九兵衛 より
水木は他のマンガ家さんの作品をほとんど読みません。自分の作品が掲載されている雑誌が送られてくると、ペラペラめくって他の作品もちらっと見るのですが、それだけでした。その作品やマンガ家の本質を見抜いてしまうようなところがあります。
そうしたある種の才能というか直感は、マンガ以外のものに対しても発揮されました。たとえば娘たちが、「仮面ライダー」なんかを見ているときに通りかかったりすると、ちょっとだけ立ち止まり、テレビを眺め、「次はこうなって、こうなって、こうなって終わりだな」といって去っていくのです。すると、水木のいうとおりになってしまうのでした。やがてテレビを見ているときに水木がとおりかかると、娘たちが先を制して「お父ちゃん、次のことはいわないで!」というようになりました。結末がわかってしまっては、つまらないからです。
(略)
そういえば、後年、水木が手塚治虫文化賞という賞をいただいたときの受賞式で、手塚さんの長男の手塚眞(まこと)さんが、
「私は子どものころ、水木さんのマンガが好きで、私が熱心に読んでいるのを見て、父はかなり気にしていたようです」
と挨拶されて、会場の笑いを誘っていましたが、お互い様といおうか、ある意味では、わが家でも同様のことが起こっていたわけで、いまでは微笑ましい思い出になっています。
武良布枝『ゲゲゲの女房』六章 名声ゆえの苦悩と孤独 ちらっと見れば、全部わかる!? 本文 水木しげる 手塚眞 より
市の職員の方は、わが家にも見えました。そして、いかに水木の妖怪が境港にぴったりなのかを、エネルギッシュに話してくれました。
(略)
「不思議だな。オレはいつの間にか、えらいもんになるらしいぞ」
話が本決まりになったとき、水木が満足げにつぶやきました。
(略)
東京暮らしが人生の半分以上を占めるようになった私にとっても、安来は遠い存在になっていたのですが、このころから、急に帰る機会が増えたのです。
まるで、私たち夫婦のご先祖様が、水木と私を山陰に呼んで下さっているような気がしました。
武良布枝『ゲゲゲの女房』七章 終わりよければ、すべてよし ご先祖さまが山陰に呼んでくれた 本文 水木しげる より
本書を読むと、さりげない文章で幸せの秘訣が明らかにされています。女房が亭主を信じること、亭主もその信頼を裏切らないこと。まったく平凡ですが、実践するのは至難の業ともいえる秘訣です。でも、水木ご夫妻は、その実践の仕方が変わっているように思えます。その信頼で幸せを招いたともいえるでしょう。これは水木先生からうかがった名言なのですが、幸せにいるには「幸福の値段を下げればよろしい」というのです。一本のバナナを食べて幸福感を味わえるなら、その幸せは100円程度で手に入る安価なものになります。これならだれでも手に入れられます。でも、100万円のダイヤの指輪がないと幸福でないという人がいたら、その人はずいぶん高い値段の幸福を必要としていることになります。そこで私はすかさず、「それじゃあ先生の幸せはどのくらいお安いですか」と訊いたところ、「わたしはね、呼吸できるだけで幸せなんですよ、わははは」と返されました。呼吸できれば、幸せ? それって、ほとんど無料じゃないですか!
武良布枝『ゲゲゲの女房』解説----もしも幸せに値段があるなら 本文 荒俣宏 水木しげる より
「いや、女の子たちは、汗水たらして得た金の価値を知っている立派な男だとおまえを思うだろう。父親を手伝ってまじめに働いてコツコツ貯金したんだなと。いつも言ってるだろう、犠牲なしに----」
「----勝利なし」
サムはあとを続けた。昔は祖父の口癖で、いまは父親の口癖だ。
「わかってる、わかってるよ。ウィトウィキー家の家訓ね」
ノベライズ・ハヤカワ文庫『トランスフォーマー』本文 サム・ウィトウィキー ロン・ウィトウィキー より
言っちゃった。亜里沙ね、来年音ノ木坂入学したら……。
ん?
ううん、なんでもない。
ハラショー……。
なに?
おでんは飲み物ではないの?
そうね、食べ物。
カレーは飲み物?
それも少しちがうわ。
でもテレビで言ってたわ。
ホント?
アニメ『ラブライブ!(一期)』第7話 エリーチカ 絢瀬絵里 絢瀬亜里沙 より
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