ボクの舟／指名制　　

＞174　：荒北くん


視覚とか聴覚、嗅覚、思考、観念、…心。その人の全てから紡ぎ出される大切な音。
（この何気ない会話の中でもじわじわと聴こえてくる彼独特の攻撃的な音。耳を澄ませるとその内に微かに聴こえる小さな好奇心の様なものを表すそれがごくわずかだが耳に入り、偶然視線がぶつかったのに内心意外に思うも慌てて黒い瞳を他所へ逸らし、胸へ叩き付ける様に拳を置いては物心付いた頃から自覚すらなく聴くことが出来る音の己なりの解釈を躊躇しながらも初めて他人にぽろりと洩らし。一歩前を歩く歩幅に追いつこうと大きく地面を踏みしめ意図的に隣へ並べば、紡ぎ出される音がより一層近くなりヘッドホンから漏れる電子音など比べ物にならず、他の人間からは決して聴くことの出来ない刺々しさと暖かさに思わず触れてみたくなってしまい後ろで手を組み理性を保つも、どうやら本心を隠して平然としていられる性格でも無く、彼に目を付けた経緯に繋がるとも言えるそもそもの魂胆をどうして伝えようかと相手の横顔を眺めるでもなく逸らすでもなく直視し。）
…喉から手が出る程欲しいの、荒北くんの音が。