名無しさん 2015-05-21 22:30:03 |
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仕方ないよ、明日頑張れば明後日は非番なんだから。
(黙々と皿を洗い続けた為か、脇に所狭しと並べられていた筈の膳も片手で数えられる程に。皿にこびり付いた油脂を擦り落としつつ、傍からの愚痴には呆れ混じりの返答を。然しそう言う相手の不満も理解出来ない訳ではなく、来る出陣への憂欝さを深い溜息で以て紛らわして。そんな思いを巡らせている間にも皿は残すところあと数枚に)
非番かぁ……どうやって過ごそっかな。
(まるで宥めすかしているかのような言葉にほんの少しだけ罰が悪くなると、誤魔化したいがために当日の過ごし方を思案するふりをして。そのうち本当に悩み始めたのか黙り込んでひたすら皿を洗っていたものの、不意に閃いたように手を止めると「あ、主と万屋行きたいかも」とにわかにやる気を取り戻して)
二言目には主あるじってさ…、本っ当好きだよね、あの人のこと。
( 今更ながらに彼の審神者好きを再認し嘆息、そういうしている間に残された皿は此れで最後。念入りに汚れを洗い落して。洗い物が片付けば備え付けのタオルで濡れた両手を拭いつつ「ちょっと顔出して戻ろっか」と声を掛けては何となしに広間へと目を遣って)
悪い?お前だって二言目には「沖田くん」じゃん。
(言い回しのニュアンスで褒められているわけではない事くらい分かり、むっとしたように刺のある言葉を返して。自分の手についた泡を洗い流してタオルで拭くと、「そうね」と応えて既に酒盛りの始まったらしい賑やかな広間へと戻り。宴の主役である遠征部隊の面々に労いの言葉をかけつつ時折酒を注いでやり)
(無意識の内に冷ややかな言葉を浴びせてしまうのは自分の悪い癖なのだろう、自覚はしているものの意識して止めることも出来ず。彼の後に続いて広間の中央に集った宴の輪へと歩を進め、愚痴を零す者から嬉々として成果を語る者まで各々が自由な言葉を紡ぐ中腰を下ろし。時たま不意に投げ掛けられる問いや意見に曖昧に頷きつつ、彼らの言葉に耳を傾けて。そうこうしている間にも時計盤の短針は10を回り、今や11を指そうとしており。それに気付けば「…もう戻った方が良いかな」と傍らの相方にぽつりと零して)
もうそんな時間か……じゃ、戻りますかね。
(ちらりと時計を見遣り時刻を確認すると腰を上げ、酔ってくだを巻く者や酒を勧めてくる者たちを上手く躱しながら出口に向かい。途中まだ誰も手をつけていない徳利とお猪口2つを拾い上げ、近くにいた者に「もらってくよー」と声をかけると廊下に出て。広間で飲んでいる者たち以外は大方床に就いたのか静まり返っている廊下を足音を立てないよう気をつけて進み)
(相手に続き広間を後にすると、しんとした廊下からそっと自室へ戻り。縁側から見える満月の所為か、夜帯だというのにその室内はぼんやりとした光に包まれていて。流石に酔い潰れることは無いだろうが、然程酒に強いとも言えない自分のこと。後々が辛いだろうと「布団、先に敷こっか。そのまま寝られるように」と今朝方内番前に畳んでいった敷布団を広げ。)
そしたら着替えちゃおうよ、酔い潰れたお前を着替えさせるなんて俺には無理。
(文机に徳利とお猪口を一旦置くと、いつも通り相手の布団の隣に自分の布団を敷いて。またしても余計な一言を付け足しつつ箪笥から寝間着にしている小袖を取り出すと、帯と共に相手に放り投げて自分も小袖に着替え始め。脱いだ洋服を畳んで隅に置き細く髪を結っていた紙紐を解いて鏡台に置けば、ようやく楽になったと言わんばかりに伸びをして)
はいはい、酔い潰れる程弱くは無い心算だけどね。
(皮肉めいた遣り取りは最早恒例、まるで呼吸をする様に切り返せば放られた小袖に着替えて。初めこそ覚束なかった着替えも今は手早く済ませられるようになり、髪結い紐を解けば鏡台の上へ。不器用ながらも丁寧に畳んだ洋服を彼に習い隅に置けば、月明かりが洩れる丸窓の傍にすとんと座り込み)
ならいいけどー?ま、大した量じゃないから大丈夫かな。
(両耳の耳飾りを外して髪紐の隣に置き徳利とお猪口を手に相手の傍らに腰を下ろすと、お猪口の片方をその手に押し付けて。二合あるかどうかといった程度の量、二人で飲めば酔い潰れる事はまずないだろうと結論付ければ、「乾杯するんだからね、先飲むなよ」と何処か楽しそうな口調で釘を刺しつつ相手のお猪口に酒を注ぎ)
分かってるってば。
(彼らしい念押しに苦笑すれば「…ほら、乾杯」と注がれた酒を零さない様にお猪口を差し出し軽く合わせ、そのままぐっと飲み干し。酒を選んだ者の感性なのか、はたまた久々に呑むからなのか、常より体の芯に沁み渡るような心地がして)
かんぱーい。
(なんだかんだ付き合ってくれる相手の優しさが心地よく、僅かに目を細めながらお猪口を合わせると一気に呷って。相手の前では特に気を張る必要もないため、「今日の内番さ、俺にしちゃ頑張ったよなー」としまりのない表情を浮かべて自賛の言葉を口にし。ふと昼間の出来事を思い出すと、さりげなく相手の手元に視線を遣り傷の状態を確認して)
そうかもね、ほんのちょっとだけ頑張ってたんじゃない?
(何かにつけて文句を垂れる割に、その癖任された仕事はきちんとこなす点については何の不満も持っていない。素直に相手を評価する言葉紡げば此方に向けられる視線手繰り、小首傾げ思案顔。数秒考え込んだ後納得したのか、「もう大丈夫だって、目立たなくなってるし」と件の掌突き出せば患部を晒して)
……お前、やっぱ池田屋はやめとけば。
(上機嫌でお猪口に酒を注いでいたものの、不意に徳利を置くと相手の手を掴んで目立たなくなった傷を指でなぞりながらぽつりと零し。そっと目を伏せると「言っとくけどこの傷は関係ないからな、明日は普通に出陣ね」と付け足し手を離して。相手を揶揄っておきながら強くないのは自分も同じなのか、飲み進めるうちに若干赤みの差してきた頬を冷ますように手で扇ぎ)
…大丈夫だよ。
(余りにも唐突な相手の戒飭に眉顰めれば否定、心配するなと言わんばかりの視線投げ掛け。続く言葉には「分かってる、でもなんでお前が決めるのさ」と声音に非難の色滲ませて。直後流石に言い過ぎたか、と反省するも謝る気は湧かずもどかしさから次々と酒を呷って)
怒んないでよ、無理強いするつもりはないって。
(もしも何かの拍子に疲弊した前の主や折れてしまった自分を見るような事があったら、不器用ながらも優しい相手が傷付かないはずがなく。不満げな相手を宥めると、「俺だって薄情者じゃないしー?付き合い長いお前がキツい思いするのは不本意なだけ」と飲むペースを速める相手の手を軽く押さえて)
やっぱり、お前には分かってるんだね。
(半ば宥める様な形で諭された事により平静を取り戻したのか、語気を落ち着けると嘆息混じりに呟いて。確かに彼の言い分は尤も、万が一にも過去の主や相手を目撃してしまえば自分でもどんな行動に出るか分からない。冷静に考え直せば目を逸らし、「分かった、今回はやめるよ。正直、ちょっと不安だから。…本当、敵わないな」と苦笑洩らせば"ありがと"と言い添えて)
……お前にとっては待つ事の方がトラウマかもしれないけど、
(自分の心細さを拭いたいがために一度は相手の申し出を受け入れた身、礼を言われれば流石に罪悪感に苛まれて口ごもり。悟られぬよう言葉を紡ぐと相手の頭にそっと手を置き、審神者が短刀たち相手にするように優しい手付きで撫でて。少しでも不安を取り除いてやりたい一心でらしくもない事をしてみたものの、後から湧き起こってきた羞恥心に堪え切れず咄嗟に「今度はちゃーんと帰ってくるから、いい子で留守番しててよね」と茶化して)
……大丈夫、もう昔のことなんだし。僕だってそんなに柔じゃないよ?
(心配からくるのであろう、どことない不安を見せる相手に今度は此方から宥める様な言葉をかけて。続いて髪に触れた掌が珍しく、瞬きを繰り返した後「やめてよ、もう子供じゃないんだから」と目逸らすもその声に非難の色は認められず。然しこうは言ったものの、一度考え出すとどうにも恋しくなるのは前の主の事。気遣う相手の前でこんな事を考えるとは、湧き上がる自己嫌悪に再度溜息をついて)
湿っぽいのやめろよ、うざい。昔の思い出話ならいくらでも付き合ってやるから、
(大丈夫だという言葉に反して零れた溜息とその思い詰めた表情に、それまで面白がって撫で続けていた手を止めると、態と素っ気ない言葉を吐きながら手を引っ込め。素直に心配だと言うのはどうにも恥ずかしく「できもしないくせに一人で抱え込むのはやめて」と冷たい言い方になってしまい、直後湧き上がる後悔に目を伏せて)
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