名無しさん 2015-05-21 22:30:03 |
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……ちょっと。
(傍らの相方はどうしているだろう、そう思い目を遣るや否や目に飛び込んで来たのは苦々しげな表情浮かべ恐らく魘されているであろう姿。其の侭放っておく程薄情にもなれず、相手の肩に手を添え二、三度揺さ振り「…大丈夫?」等と声掛けてみて)
……やすさだ?
(意識を引っ張り上げられて初めて夢が夢であったと気付き、ゆっくりと目を開けて相手に焦点を合わせると確かめるようにその名を呼んで。布団に手を突いて身体を起こすと、室内の薄暗さからおおよその時刻を察し「あー…ごめん、起こしちゃった?」と謝りながら髪を掻き上げて)
ごめんじゃないよ…まぁ、別に良いけどさ。
(心配をするなと告げられた矢先にこの有様、思い返した言葉とは裏腹に不安は募るばかりで。寝起き故に頭が回らないのであろう、という事は一切考慮しなかったのか「口大丈夫大丈夫って言うけど、……本当に大丈夫なの、お前」とさも深刻そうな声音で問えば嘆息し)
ぶっちゃけ……怖いけど、俺近侍だし。
(相手の言葉の意図は辛うじて理解できたものの、眠気には打ち勝てず欠伸混じりに応じて。普段ならば意地でも明かさないような心の内も、判断力が鈍っているせいか「…お前にださいとこ見せたくないし」とあっさり零すと、身体を起こした体勢のまま頭を垂れてうつらうつらと船を漕ぎ)
僕にって、……どうだっていいよ、そんなの。
(未だ睡魔に襲われている様子から、恐らくその言葉が本音であることを察すれば此方も本心を洩らして。一人気不味い雰囲気に苛まれると「…なんで、なんでそんなに頑張るのさ」と消え入りそうな声で呟くも強く咎める事はせず。今にも寝入りそうな相手を見ては兎に角今は寝かせてあげるべき、と判断し「…まだ時間もあるし、もう少し寝ておいてもいいんじゃない」と片手を伸ばし軽く右肩を叩いて)
そんなの、今度こそずっと一緒にいたいからに決まってんじゃん。
(弱々しい声音を案じて寝惚け眼を擦りながら顔を上げると、視線がかち合った瞬間問いかけの答えはいとも容易く口を衝いて出て。一拍置いて自分の失言に気が付き「……やっぱ今のウソ。そーね、俺二度寝するからバイバイ」と口早に言い捨てると、横になって相手に背を向け薄手の掛け布団を口元まで引き上げて。一瞬にして目は覚めてしまったものの、会話をしなくて済むよう一先ず瞼を閉じて寝たふりを決め込む事にし)
え、ちょっと。……今なんて、
(彼らしからぬ返答に我が耳を疑い、思わず問い返すも返って来たのは素気無い返答。布団を被った挙句背を向けられてはどうしようもない、とはいえ先程の言葉は偽りでないと判断すれば嬉しいやら微笑ましいやら、誰にも見られていないのを良い事に一人頬を緩め。然し今から起きていたとしても特に為すべき事もなくぼんやりと過ごすのは目に見えており、どうせ出陣する分はもう一度寝ておこうかと横になれば「まぁ、僕も一緒に居たいんだけどね」との独り言の後瞼閉じて)
……なにそれ、初耳なんですけど。
(隣の布団から規則正しい寝息が聞こえてきた頃合いに寝返りを打ってそちらを向くと、寝顔を眺めながらさも可笑しそうに笑って呟いて。自分ももう一眠りしようとは思いつつもまた夢を見るのではと思うとどうにも寝付けず、できる限り相手の方に身を寄せると伸ばした片手を相手の掛け布団の下に忍ばせて。温もりにひどく安堵すれば瞼を閉じ、そのまま朝日が昇りきるまで眠り続け)
*
…ん、今何時……?
(何時の間にか眠ってしまっていたのか、重い瞼を上げれば室内に夏特有の刺す様な日光が差し込んでいるのを見留め。掌からじんわりと伝わる体温を訝しみそっと布団を剥ぐと案の定重ねられていたのは相手の片手、言葉にして直に伝えない辺りが何とも彼らしく思わず含み笑い漏らし。しかしいつまでもそうしている訳にも行かず、ゆっくりと手を離せば「ほら、出陣だよ寝坊助清光。もう起きないと」とその侭相手を揺さ振って)
……寝坊助じゃないし、もうちょっと優しく起こせないわけ?
(揺すられる振動に目を開けたかと思えば相手の大きく愛らしい瞳を軽く睨め付け、ふてぶてしく文句を垂れつつも寝床から這い出て布団を畳み。顔を洗いに行くにも身支度だけはしておかなければ気が済まず、小袖を脱いでいつもの洋装に着替えると鏡台の前に座り込み。当たり前のように「髪結ってやるから、支度できたら言って」と相手に声をかけると、慣れた手つきで自分の髪を櫛で梳かして一つに結わえて)
仕方ないよ、こうでもしないと起きないんだから。
(乱れた布団を畳めば此方に向けられた視線を軽く往なし、先ずは洗面所へ向かおうと歩を進めようと。しかし背後より投げ掛けられた声には「…分かった。ちょっと待ってて」と常の通りならば即座に却下している所を何故だか今は拒否する気にもなれず素直に応じ。そのまま洗顔と歯磨きを済ませると、部屋に戻り小袖を脱げば袴に着替え「はい、終わったよ」と鏡台の前に座る彼に声を掛けて)
お前って不器用だしさー、戦闘中に緩くならないように俺がやってあげる。
(相手を座らせてから背後に回って膝立ちになると、少し癖のあるその髪に優しく櫛を通し。普段の揶揄うような語調ではなく純粋に世話を焼きたがっているかのような口ぶりで零しては、髪結い紐を手に取り高い位置で一つに結い上げて。手櫛で整えてから「…できた。俺主のとこ寄って行くから、お前先にご飯食べてなよ」と告げると、洗顔料やらタオルやらを用意して)
有難う、でも不器用は余計。
(言葉中に普段とは何処か違った語気を感じ取ると此方も存外あっさりと感謝の念を表し、珍しくも鏡を覗き込めば結われた髪にそっと触れて。常と比べ丁寧に束ねられている事を確認した後「…ん、それじゃあ僕は先に行ってるね」と立ち上がり、心成しか上機嫌に部屋を出ると広間へと足を進め)
*
(洗顔やら歯磨きやらを終えて審神者の部屋を訪れると、今日の出陣の概要を一通り聞いた後池田屋攻略のための部隊編成について手短かに話し合い。自室で相手と別れて四半刻ほどが経った頃、審神者の部屋を後にしようやく広間に姿を見せると慌ただしく食卓に着き朝食を摂って)
早かったね。…編成、どうなったの?
(既に殆どが空になった皿を前に、忙わしく朝食を摂る相手を一瞥すると件の池田屋攻略に出陣する面々に凡その予想を立てると直に問って。時計盤に目を遣れば出陣まで後半刻程、その間にも小鉢から箸を往復させ惣菜を口に運びつつ返答を待ち)
小夜、五虎退、厚、鯰尾、俺と、お前の代わりに骨喰。あいつに礼言っとけよ。
(黙々と食べ進めていた手を止め先ほど決まった面々を思い浮かべては、相手が一番気にしているであろう部分に触れて。夜戦であるがゆえに常とは異なる出撃時刻を思い出すと、苦々しげに「明後日の夕方出撃だけど、絶対蒸し暑いよな。最悪」と愚痴を零しつつ皿を空にしていき)
ありがと、言われなくてもそうするつもり。…そういう所、本当変わらないよな。暑いのどうのって言ってられないだろ。
(無理を言い外して貰った自分に代わり、一体誰が編入されたのか気に掛かっていた面が相手の言葉によって取り払われると彼が長年を共にした相方である事を再認し。暑いとぼやく相手を一瞥、諌めるような言葉を投げ掛ければ空になった器を前に「ご馳走さま」と手を合わせ)
…相変わらず手厳しいねお前。
(少しは身を案じてくれるだろうか、といった淡い期待は正論によって見事に断ち切られ、脱力したように手元の茶碗へと視線を落としため息混じりに呟いて。しかし直ぐに顔を上げると、わずかに瞳を輝かせて「あ、そうだ。俺の我侭一つ聞いてよ」と唐突かつ厚かましい頼みを口にし)
仕方無いよ。少しでも気を緩めたら、……ううん、やっぱり何でもない。
(お前まで引き止めたくなるから、との言葉をぐっと呑み込めば愚考を断ち切るべくふるりと首を振って。膳を片付けるべく立ち上がるも、此方に掛かる声に目を向ければ「我が侭?…別に良いよ、碌でも無い頼みじゃ無ければね」と小さく頷き)
?変な奴。
(何かを我慢しているような様子が少々気に掛かるものの、吐き出させてゆっくり話を聞く時間も無いため小さく呟くのみに留めて。自分も膳を下げようと相手に続いて席を立つも、釘を刺された途端に「あー…お前は碌でもないって言うかも」と歯切れ悪くなり)
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