僕 2015-05-14 13:16:14 |
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(てっきりフルーツとかその辺のものを言われるかと思っていたら、まさかのマシュマロに絶句する。誰だよ…そんなことこの子に教えたのは!自分が知らないだけかと思い、思わず手元のスマホで検索すると確かに出てきた。マシュマロ入り卵焼き。なかなか評判も良いらしい…。だが、今日は基本的なレシピを彼に見せるのが最大の目的。こんなのを作って本当に美味しかったりでもしたら、より一層彼のアレンジ魂に火を注ぐことになるのは明白だ。しかし、こんなに眩しい笑顔で提案されてしまうと…。なんとか良い言い訳を考えねば)え~っと…。それも美味しそうなんだけど…。ゴメンな。俺、卵焼きはあんまり甘いの苦手なんだわ(上手く言えただろうか。若干目が泳いでいる気がしないでも無いが。仕事の際には嘘八百並べ立てるのに、彼の前ではどうも上手く行かない。気を取り直して絹ごし豆腐を篭に放り込み、肉売り場へと移動しながら話題を変えた)真尋は肉じゃがの肉って豚?それとも牛?
(卵焼きにマシュマロ…どうだ!知らなかっただろう?と得意気な視線を向ければ何やらスマホを弄っている彼。あ、信用してないなと察すれば少し不服に思うも甘いのが苦手と聞けば彼がそう言うなら仕方無いと納得し「そっかぁ、それなら仕方無いね。」と手に取ろうと伸ばしかけていた手を引っ込め、諦める事にした。斬新なアイデアだと思うが彼には使えないな、とこの知識は記憶の隅に追いやった。肉売り場へ移動し問い掛けられれば親が作ってくれた物を思い出しながら答える。「僕は牛肉派かな。篤は?」住んでいる所によって肉の種類が違うと聞いた事があるのを思い出し彼はどっちなのだろうと聞き返す。)
(マシュマロはどうやら諦めてくれたらしいと安堵する。甘い卵焼きも嫌いでは無いのだが、そこからエスカレートして蜂蜜やら飴玉など投入された日には、もう自分の手には負えない。そそくさとその場から離れ、肉売り場に到着する。豚・牛どちらもありなのだが、どちらかと言えば牛派の自分としては、彼からの回答は嬉しいものだった)俺も牛派。じゃぁ、牛肉だな。(こま切れ肉と牛脂を篭に放り込む。これで調理に必要な食材は全て揃った。記憶を辿ると調味料は特に問題無さそうだ。あとは自分の飲む分のビール6缶パックを買って終了というところだ。手に抱えた篭を覗き込んで)よしっと…。取りあえず必要なものは揃ったかな。他に欲しいものがあるなら今のうちだぞ(レジ前で最終の確認を取って見る。マシュマロ以外でご勘弁願いたいところだが…)
(相手が豚肉派だったら彼の好みに合わせようと考えた、何時も篤は自分の事より僕の事を優先してくれるのが何だか申し訳ない。しかし返ってきた言葉に少し嬉しそうに表情を緩め「一緒だね、じゃあ牛に決まり。」と。何だか鮮やかでスーパーが物珍しく見ているだけで楽しいなんて思いながら少し歩くとビールを籠に入れていたのを見て本当に好きだなぁとしみじみ思う。レジにこのまま並ぶのかと思えば立ち止まり欲しい物は元々無かったのだが"今のうち"なんて言われては、何故か焦る気持ちになり何かないだろうかと考え始めハッと何か思い付いた様に彼の元を少し離れれば直ぐに戻ってき「これ、食べたい。」とシュークリームを二つ籠に入れる。自分の分と一応彼の分も。要らなければ自分が二つ食べようと。)
きっとまだまだ順番は回ってこないから、ゆっくり探しておいで(声を掛けたにも関わらず、自分の元から小走りに去って行く彼の背中を微笑ましく見送る。きっと待たせてはいけないと気を遣ってくれているのだろう。何を持って来るのか色々と想像しながらレジの順番を待つが、週末の夕方時のレジは混雑を極め、大型のカートに1週間分の食料を詰め込んだ奥様方のおかげで、列は遅々として進まない。列の先をぼんやりと眺めていると、彼が戻ってきて手に持った篭に何かを入れた。よく見るとシュークリームが2つ。恐らく彼のものと自分に持ってきてくれたのだろう。あまり普段は食べないが、実は嫌いな方では無い)俺のも持ってきてくれたの?さっき買ったカップで食後のデザートにちょうど良い。ありがとう。真尋。(彼の影響で自分も無意識に相手に礼を言うようになった。我ながら良い習慣だと思う。本当は彼に触れたかったのだが、いい歳したオッサンが若い男にベタベタ触って、奥様方に白い目で見られることを危惧しグッと堪え、無事会計を済ませ店を出る)
(お揃いで買ったカップで食後のデザート…早速二人で使う事になるなんて嬉しい…!想像するだけで頬が緩みそうだ。持って来ておいて今更だが相手が甘い物を食べている所、シュークリームを食べている所なんて見た事がないと思えば「シュークリーム、嫌いじゃなかった…?」と確認する様に見上げる。時間がかかったものの無事に会計を済ませ店を出ると「篤、僕が持つよ。」と食料品の袋に向けて手を伸ばす。今日は自分の行きたい所を連れ回して疲れさせてしまっただろう、帰ればゆっくりする暇もなく晩ご飯を自分に教えるという作業が待っている。折角の休日だったのにこんなので良かったのだろうか、家で体を休めていた方が良かったのではと今になって思う。自分とは違い日々仕事に追われている相手を気遣う事を忘れていた…不覚だ。自分が料理さえ出来れば帰ってゆっくりしてもらえるのに…自分の不甲斐なさに溜息が出そうだ。)
そういや、あんまり家に甘い物置いてないよな…(戻って来るや否や、持ってきたシュークリームを嫌いでは無かったかと尋ねられた。それはそうだ。家では甘いものを口にすることはほとんど無いのだから。だが会社では女子社員から贈られる…いや、押し付けられる『お裾分け』と言う名の余りもののチョコやらを時々口に入れているうちに、それらが嫌いでは無くなってきた。特に疲れた時などには美味しく感じられることもある。こういった物をプレゼントしたことは無かったが、彼が嫌いでは無いのなら今度美味しい店でも会社で聞いてみようと密かに思った。店を出て手提げを持っていると、こちらが口を挟む暇も無く不意に荷物を取り上げられる。再度荷物を手に取ろうとしたが止めた。会計を済ませた自分に対して、荷物を持つことで負担を軽くしてくれる彼の気持ちが分かったからだ。自分が庇護するだけの存在では無く、お互いに大切にし合える関係だと相手も思ってくれていることが、ただ嬉しかった)では、お言葉に甘えて。あとは真尋の好きな「泣ける映画」を借りるだけだな(弱みに付け込むようにニヤリと笑う)
うん。要らなかったら言って、僕が食べるから。
(大人の男の人が甘い物を食べるイメージはあまり無く、勿論家にも無い。自分からすれば苦い珈琲を好む時点であまり食べないのだろうなと予想はついた。しかし、優しい彼だから無理して食べようとするかもしれないと考えては気を遣わせない為に事前に告げておく。甘い物を沢山食べるのは苦手だがシュークリームは割と好きな方だ。周りの生地とクリームが口の中で合わさる食感と甘過ぎなさが自分の中でベストマッチなのだ。だが、食べるのが苦手でクリームが落ちてしまったり、口周りについたりと苦戦する…今日は綺麗に食べるぞと意気込む。奪い取った買物袋を奪い返されるかと思えば自分に委ねてくれたのが嬉しく「任せて!」と袋を握る手に力を込める。ニヤリと笑い告げられた言葉にぎょっとして「悲しいのは選ばないって約束したじゃん!」と反抗する。本気で嫌がればやめてくれる事は分かっているがむすっとした表情で不貞腐れる。)
(「要らなければ自分が食べる」と宣告され途端に焦り、こちらも負けずに応戦する)真尋くんがくれたものは誰にもあげません。俺のものでしょ。それ(袋に入ったキツネ色の小さな袋を覗き込む。コーヒーも良いが、一緒に紅茶を飲むのも捨てがたい。そん時は自分は上手く淹れられないから、彼にお願いするか…。スーパーから程ない距離に店はある。店内に入るとずらりと並ぶ新作と、その後ろに準新作。あとは旧作がジャンル分けで整然と並べられている。入口から順にタイトルを見るが、世情に疎い自分には新作はさっぱり分からない)真尋…。お前が選んで…(並ぶなかで見たことのあるものと言えば雪のなんとかくらいだ。それも新作では無い。自分が分かる物は奥に陳列されている作品群になってしまうので、自分で言い出したものの、久々に入るレンタル屋で所在無さげに店内をうろつく。棚を眺めると懐かしいものがいろいろと並んでおり、見るつもりも無いのについつい手に取ってしまう)
(自分の発言に対抗する様に告げられては呆気にとられる。「持って来たのは僕だけど、買ったのは篤だよ?」自分があげた事にはならないのではと不思議そうに首を傾げる。程なくして店に着けば数えられない程並べられたDVDの棚を眺める。この中から選ぶのか…いいのが見付かるだろうか、相手から離れうろうろと見渡し歩いてみるがホラー映画の棚にくればそのパッケージがその怖さを物語っていた。作り話だと分かっていてもあまり好まない。慌てて相手の元へ戻れば自分が選んでいいと選択権を任せられたが自分もあまり映画を見ない為どうしようか悩む。悲しくなく尚且つ怖くないもの…数が有り過ぎて決めかねては人気作品のコーナーに移動した。"ス○イダーマン"のパッケージを見付ければ人気なのは知っていたが見た事なかったと思えば箱を手に取り中身を取り出して片手に持つ。もう一つ密かに好きで何度も見た物だが"トイス○ーリー"をの中身も手に取り相手の元へ戻り「これもこれは?」とDVDを相手へ見せる様にして差し出す。)
(ふらふらと店内をさまよう中で、漸く彼が声を掛けてくれたことに安堵した。慣れないことをするものでは無いと、やはりここでも反省する。優柔不断な自分のために持ってきてくれたDVDを見る。う~ん…。悩ましい。アクション系のアメコミ映画と大人も十分に楽しめるDisn○y映画。数秒迷って、手に取ったのはト○イストーリーだった。最初に見たのはいつだったろうか。懐かしさも相まってそちらを取った)こっち…。今度誘う時は、ちゃんと下調べしてきます。ハイ。(随分前に作ったきりの会員カードを財布から取り出し会計を済ませる。返却を忘れるずぼらな自分のために、もちろん期限は1週間だ。これで全ての外出予定を全てこなした。後は家で夕飯を作るだけ。この時間には随分陽も暮れ、繁華街を離れたこの道は人通りもほとんど無かったため、夕焼けに紛れ彼の手を手に取りながら自宅への歩みを進める)腹減ったな。真尋はお腹空いてない?帰ったら、すぐにメシにしような(普段は陽が落ち切ってからの帰宅がほとんどなので、夕焼けを見ながら一緒に帰宅することの幸せを噛みしめた)
(/お、お気になさらず…!此方も全く全然気付かずに読んでおりましたので…!)
(自分の好みより相手の好きそうな大人な映画の方が良かっただろうか、少し子供っぽかったかな、と相手がどちらかを選ぼうとしている間に頭を過ぎった。が、相手がトイス○ーリーを手に取れば自分もどちらかといえばそっちが見たかったので嬉しそうな雰囲気を纏う。下見してくるなんて言う相手に「女の人とのデートじゃないんだから、そんなに気を遣わなくていいよ。」と首を左右に振る。自分はした事がないけれど、女性とのデートとなれば店の下見やデートのプラン等完璧に考えてリードしなくてはいけないと何処かで知った。しかし対等な立場でありたいと思う自分はそんな物を求めない、一緒に悩んだり意見を出し合って決めていく方が遥かに楽しいと思うのだ。会計をしてくれている間、出口付近で待つ。相手が此方へ向かってくれば自然な足取りで隣を歩き、店を出ればもう日が暮れかかっている…一日があっという間に感じられ、もっと続けばいいのになんて考えてしまう。不意に自然な手付きで手を握られては少し驚くも人も通っていないしいいか、と考えては軽く握り返し「誰か来たら離すからね。」と照れ隠しに告げる。楽しさで空腹なんて感じていなかったが言われてみれば確かに少しお腹空いた。不器用な自分に教えるというのは凄く面倒な事だと自覚していて、そっと寄り添う様にしては控えめに見上げ「篤、面倒だと思うけどお願いね。」と告げる。彼がお腹を空かせているなら早く美味しく作らなくてはと少し気持ちが焦る。)
(街中で触れることはめったに無いため振りほどかれるかと思ったが、彼からも指を絡めてくれたことがとても嬉しかった。人通りがあれば手を離すと言われたが、猫1匹通らないこの様子だと、彼の手を取ったまま無事に家に着くことが出来そうだ。今日1日色々と歩き回ったが、普段の仕事とは異なり疲れは一切感じない。むしろ今日と言う日がずっと続けば良いと思うくらいに。久々のデートということで気負うところもあったが、何よりも2人で同じ時間を過ごすことに意味があったのだ。こうやってずっと手を取りながら一緒に歩いて行ければと、繋いだ手に彼の温もりを感じながら思う。自宅までもうすぐというところで突然自分を見上げ、夕飯の用意のことを「面倒だけど」と告げられる。しかも上目使いで「お願い」なんて続けられると、途端に庇護欲スイッチが入ってしまう。緊張した面持ちの彼を少しでもリラックスさせるために)真尋が手伝ってくれるんだろ。一緒に作るんだから絶対に美味しくなるに決まってる。な?(自分の気持ちが伝わるように、握った手に少し力を込めた)
(男女の仲なら街中で手を繋ぐ事も腕を組む事も造作もない事なのに、やっぱり男同士というのは周りの目が気になり不便だなと実感する。しかし、別にやましい事でもないし胸を張って彼を好きだと言える、いっその事堂々としていてもいいかもしれないなんて考える。誰一人と人気のない様子に張っていた気が緩むとさり気なくトン、と肩と肩が触れ合う程寄り添い「誰も通らないね。僕たちに気を遣ってくれてるのかな。」と小さく笑う。明日へと近づく時間が惜しい、時間を止めてずっと休日のままならいいのに。あ、僕だけ早送りして篤と同じ歳まで近付ければいいのに。有り得ないと分かっていながらも考えてしまう。普段の自信は何処へやら…急に不安になった自分の発言に返してくれた優しい言葉と手に込められた力に少し気持ちが落ち着いてきた。相手がそういうならきっと大丈夫と思えば「よーし、最高傑作作るぞ!」と意気込む。)
(声を掛けると彼の表情が和らぎ、最高傑作を作ってくれると言うではないか)頼りにしてますよ。真尋くん(寄り添うように歩いていると、あっという間に自宅の前まで辿り着いた。まだもう少しこの時間を楽しみたい気持ちもあるが、そうも言っていられない。名残惜しそうに彼の手を離し、財布から出したカードキーでセキュリティーを解除する。エレベーターに乗り込み、自分たちの部屋までのボタンを押せば、1分掛らないうちに2人の部屋のあるフロアに着いた。扉を開け、彼に先に入るように促す)お疲れ様。少し休んでからにする?(部屋に上がり、ビールとシュークリームを冷蔵庫に仕舞いながら声を掛ける)あと、汚れたら大変だから、先に着替えておいで。(これからどんなことが起こるか分からない…。とても似合っていたブルーのシャツが汚れて、彼が悲しい顔をしないようにと先手を打った。自分はと…。面倒臭いからこのままで良いか…)
(頼りになるのは自分ではなく相手なのだが"頼りにしている"との言葉が嬉しく「任せといて!」と明るい表情を向ける。何時もは一人で歩く道も彼となら凄く短く感じ、あっという間に家に自宅の前まで来てしまった。離された手が名残惜しくチラと見て彼がセキュリティを解除してくれるのを待つ。エレベーターに乗り込んでは行きに肩を引き寄せられた事を思い出して一人気恥ずかしくなる。自分達の階に着けば降りる。扉を開けて先に入る様に促してくれる相手に「ありがとう。」と告げ玄関に入り靴を脱ぐ。丁寧に揃えて端に寄せて置き直せば「そうだね、ちょっと休憩しよう。」と頷く。リビングまで来ればやはり家が一番ほっとすると小さく息を吐くと着替えてくるよう言われる。服が汚れるだろうと思っての事だと察しては素直に頷き「わかった。」と着替えに行く。適当なTシャツに着替え、ついでにエプロンも持って戻ってきた。何時も料理をしている時は付けているのだけど、彼に料理している姿を見せた事がない為エプロンを付けている所も勿論見られた事がない。ソファの背凭れにエプロンを掛けては彼の元へ向かい「ねぇ、篤。」と何時も通り声を掛ければ唐突に彼の腕をぐっと引いて前屈みになった所で唇に口付けて。)
(彼が着替えている間に、黙々と片付けと料理の準備を進める。まずは、昼間一緒に買った食器類。自分が買った食器と2人で選んだカップセットを、すぐに使えるようにとシンクで洗う。グリーンとオレンジの優しい色合いを見ていると今日1日の出来事を色々と思い出し、このカップを使う度見る度に今みたいに幸せな気持ちになれるのなら、これからも機会を見つけて2人で使う物を買いに行きたいと思う。つい調子に乗って無駄な物まで買ってしまいそうだが、その時はしっかり者の彼が止めてくれるだろう。食器を洗い終えた後、ダイニングテーブルの上に、夕飯に使用する食材を並べる。さて…。何から作るか…。肉じゃがを作っている間に、味噌汁の出汁を取って。そうだ、煮干しと鰹節も用意しとかなきゃ。段取りを考えていると家庭科の調理実習のようになってきた。1人でバタバタと準備をしていると自分を呼ぶ声が聞こえ、振り向くとソファに見たことの無いエプロンが掛けられている)エプロンなんか持ってたんだ。似合いそ…(ここで言葉が遮られる。一瞬の出来事で、一体何が起こったのか分からなかったが、気付けば自分はキスをされていた。実際はほんの数秒だったかもしれないが時間が止まったように感じられた。彼から口付られることなど今までほとんど無かったため、徐々に鼓動が早くなるのが分かる。しばらくすると唇が離れ)ビックリした…。でも、すんげー嬉しい…(瞳を覗き込むように微笑み、彼の後頭部に手を添え自分に引き寄せるようにして、今度はこちらから唇を重ねる)
(一瞬だけ重ねた唇を離せば照れるといった様子もなく「街で色んな人が篤の事見てたから…もやもやしてた。」と彼から視線を逸らしてぼやく様に告げる。ずっと気になっていた…すれ違う女性の殆どが彼に視線を奪われていたのを。隣を歩いていたから良く分かった。気にしないように心掛けても一度気になってしまえばもうダメだった。所謂"嫉妬""独占欲"と言うやつだ。自分からキスする事はあまりないが、嫌いという訳ではなく単に恥ずかしいだけ。しかし今回は恥ずかしいなんて事は関係なく、このもやもやとした気持ちをどうすれば解消出来るのか考えた結果の行動であった。微笑み"嬉しい"と聞けば心のもやもやは一気になくなった。これで満足とエプロンをしに行こうと考えたが、不意に後頭部に手を添えられ、何だろうと見上げれば引き寄せられ今度は彼から口付けられた。自分の事しか考えていなかった為、思ってもみなかった行動に思わず目を見開くもほんのり頬を染め愛しげに見詰めては目を閉じ受け入れる。)
(完全に不意を突かれた…。あまりの衝撃に思考が完全に停止する。状況を把握する前に彼の唇が離れ、次に聞こえたのが自分に対する独占欲とも取れる言葉。それはこっちの台詞だと喉元まで出そうになる。今日だってそうだ。カフェ、電車の中、雑貨屋のどこでだって、周囲から彼を見る視線が気になって仕方ないし、彼自身が目を向けるすべての物が自分の嫉妬の対象だと言っても過言では無い。それなのに彼からそんなことをされてしまっては、触れたくなる衝動を抑えられなくなる。込み上げた愛しさを堪えられなくなり、こちらからキスをする。うっすらと目を開けると紅く染まった頬と、長い睫が伏せられた瞼が目に映った。重ねた唇を離し抱きしめる)ゴメン…。もうちょっとこのままでも良い?すこしだけ真尋を充電させて…。(首筋に顔を埋めしばらくそのままの姿勢を保つと、触れたかったのは自分の方だと実感させられた。漸く満足し、しばらく後に彼を解放して)よし。充電完了。晩飯の準備に掛かるか!(先程までの悩みを振り切るかのように、シャツの袖をまくって下拵えに取り掛かった)
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