We're making our time. 非募集

(テーブルに置かれたメニュー表を彼に見やすいように広げる)どれにする？(日替わりランチと他にも幾つか。今日はロコモコのプレートが日替わりらしい。ランチセットだけでは無く、単品でフォーやビビンバなどもある。店の外観からも窺えるように、多国籍創作料理が売りなのだろう。どうりで女の子に人気がある訳だ。ランチでこれだけメニューが充実しているとなると、ディナータイムも期待できそうなので、是非今度彼を誘ってみよう。メニューの中にカレーがあることを見つけ、それに決めた)よし。グリーンカレー。(子供っぽいと言われそうであまり公言しないが、実は大人になっても、カレーと名の付くものに目が無い。その辺の食堂で出てくるジャガイモがごろごろしているカレーも、ナンと一緒に食べる本格的なインドカレーも等しく愛している)真尋は決まった？

(彼が広げてくれたメニュー表に目を通す。様々なメニューがあり普段食べない様な物が多く悩んでしまう。自分が悩んでいるうちに彼はもう決めたようで「篤、決めるの早い。」と顔を上げて告げるも再び視線落とし「えー…どれにしよう、悩むなぁ。」と顎に片手を当て端から端までメニューを眺めた後、日替わりランチのロコモコに決めた。「僕はロコモコにしようかな。」大きく写真も載せてあり日替わりランチになっている程だしこの店のお勧めなのだろうというのが決め手だ。選んでしまえばもうその口になってしまい、空腹感も気になり始めた。顔を上げてチラリと店内を見れば混んではいないものの女性が多く見受けられる。「女の人、多いね。」と何気なく告げる。)

そうなんだよ…(店内を見回すとくまなく若い女性客で席が埋められている。男2人で来ているのが余程珍しいのか、チラチラとこちらにも視線を感じるが…。はいはい。お嬢様方はうちの可愛い真尋くんが気になるのでしょうが、残念ながら彼は俺のものなんで、出来たら他を当たってくんないかな。下らない独占欲が首をもたげるが、ここは大人の余裕でやり過ごす。片手を挙げ、店員さんを呼び止める)すいません。えーっと…。グリーンカレーと、日替わりランチ。あとは…モルツとアイスティー1つずつ。以上でお願いします(休みの昼酒くらい許されるだろうと、ビールを一つ。彼が朝飲みそびれたアイスティーを頼んだ)

(ふーん、女性に人気のお店なんだ…とインテリア等を見ていれば"あの人、格好いい！"という女性の声が聞こえた。現在二階には自分達しか男はおらず反射的に声が聞こえた方に視線を遣ると数人の女性。…きっと篤の事だ…。自分に向けてだろうかという考えは一切ない。少し心がもやっとするも、彼の容姿に目を奪われる事も理解出来なくはない。自分もそうだったから。おじさんだけどこんなに格好良くてオシャレで…性格もいいんだぞ、いいでしょ！と自慢したい気持ちになりながら、でもそんな彼は僕のものなんだから！と勝ち誇った様な優越感を抱く。ふと彼の様子を伺うも女性の声は聞こえていない様で密かに安堵する。店員さんを呼び止め注文をしてくれる相手の声を聞いているとビールとアイスティーが追加されていた。昼間っから飲むのかと少し呆れるも、アイスティーは自分の分だと分かればふと今朝の事を思い出す。そう言えば今日は珈琲を飲んだんだった。だからだろうか、と察しては店員さんが居なくなったのを見計らって「篤、ありがとう。」と微笑む。)

いいえ。どういたしまして(彼の屈託のない優しい笑顔につられ、こちらも笑顔で応える。自分だけに向けられた笑顔に、ついドキっとしてしまう。毎日見ているはずなのに、いつまでたっても慣れることが出来ない。きっと自分のいないところでは、友人や他の者にも向けられ居るだろうことは容易く想像出来るが、今だけはこの笑顔は自分だけのものなのだ。しばらくすると注文の品がテーブルに届けられた。自分にはグリーンカレーとビール。彼にはランチプレートとアイスティー。ボリュームはそんなに無いものの、盛り付けはとても鮮やかで、見た目に食欲をそそる)では、頂きますか(ビアグラスを手に取り、彼の手元にあるアイスティの入ったグラスに軽くぶつけると、チンという澄んだ音が鳴った。喉を潤すように一口飲むと、苦みと清涼感が喉に広がる。続いてスプーンを手に取り、カレーを頬張った)うん。美味い。(ココナツミルクの甘さと香辛料のバランスがとても良い。少し硬めのご飯も自分の好みだ。そうなってくると、相手のものも気になる)そっちはどう？

(笑顔が返ってくれば先程の嫉妬に似た胸のもやっと感はなくなるも、やはり外に出れば彼は女性の視線の的になる…何時もはそれ程まで抱いていない独占欲が湧いてくる。自分は恋人関係は相手が初めてなのに対し、彼は自分と出会うまでにある程度そういう経験をしてきている筈…それにすら少し妬いてしまう。彼と出会ってからヤキモチや独占欲といった感情を良く感じる様になった。いつの間にか考え込んでしまっていたが、注文の品が届いた事で我に返る。目の前に置かれた写真通りの盛り付けに目を輝かせる。食欲を唆るいい匂いもする。相手がグラスに軽くぶつけるのを嬉しそうに見て「うん、頂きます。」と軽く手を合わせる。フォークとナイフを持ち丁寧に一口分切り取り口に運ぶ。広がる肉汁とソースの味に表情が綻ぶ。味わう様にゆっくりと咀嚼し飲みこめば「こっちも美味しい。…食べてみる？」と此方の味を尋ねてくる相手に手を止めて見つめる。)

(相手の反応をうかがうように尋ねると、口に運んだ途端「美味しい」という言葉が漏れた)良かった…(自分が誘った店で、彼から不評を買っては申し訳なくなるので、喜んで貰えたのなら嬉しくなる。そう思っていると、思いがけない言葉を掛けられた。家では普通にお互いの食事をシェアしているが、外でこういうことを聞かれると、柄にも無く照れてしまう。さらっと言えてしまうのは。若さのせいなのか、彼の性格故なのか…。つい悪戯心が働いて)じゃぁ、一口くれる？(目を瞑り、彼から差し入れてくれるのを待つように、口を開けてみた)

自分の好みに合わせてくれているのだろうか、彼が連れて来てくれる店は何時も美味しい。一口食べてみるかという自分の問いに、口を開けて待つ姿を見て「え!?」と思わず声が出てしまう程驚いた。徐々に頬が熱くなるのを感じる。自分の告げた意味はお皿ごと交換してお互いのを食べ合う…といったもので、まさかの反応に戸惑う。少し悩んだが辺りを見渡せば皆話に花を咲かせている様で此方を見ていそうな人は居ない。「仕方ないなぁ…」溜息混じりに小声でそう呟けばチラチラと周りをもう一度確認してから、一口大に切ったロコモコを掬い落とさない様に片手を受け皿の様にして「あーん。」と無意識に小さく告げながら相手の口元に運ぶ。

(いつもの「ばかじゃない」なんて言葉が返ってくるかと身構えていたが、なんのリアクションもない。スルーされているのかとがっかりしながら薄目で様子を見るとそうではなかった。頬を赤らめ、周りの様子を窺いながら自分の食べていた一片を切り分け、こちらに差し出してくれた。しかも「あーん」なんて可愛いＳＥ付きに、思わず眩暈がしそうになる。あまりに嬉しくて、差し出されたフォークにかぶりつく）うん。うまい。(味わうようにゆっくりと噛みしめ呟く）じゃぁ、こっちもどうぞ(ご飯とカレーを合わせてスプーンに掬い取り、彼の口に差し込む。こんなことをするのは、一体いつ振りだろうか。甘酸っぱい想いが胸に広がる。バカップル？上等。あいにくと、女性達も今では食事と雑談に夢中で、こちらにはもう関心は無いようだ）また一緒に来ような(青空の下、食事を終わらせ外に出る)いよいよ、今日の本番ですよ。真尋くん。(駅に着いて、2人分の切符を買い、もう1枚の切符を彼に手渡す。古書街と雑貨屋のならぶ通りはそんなに離れていないので、乗継は必要ないだろう。目的の駅に着き彼に尋ねる)どっちから行く？

(久しぶりのデートで浮かれている自分がいる、その所為で何時ものツンケンした言葉も出ずつい甘やかしてしまう。口の中へ入れてやれば"美味い"との言葉に小さく微笑む。お返しと告げる相手を見れば自分がした様にスプーンを此方に差し出してきた、するよりもされる方が余程恥ずかしい。良くやってとばかりに催促してきたな、と呆れた様な変に感心する様な気になる。素直に口を開けるのを躊躇していると口の中に入れられ驚き「ひょっと！」と口元を抑える。人前でこんな事をするなんて男女でも周りの目が気になるのに…もう、何するんだ…と眉を寄せながら仕方なく咀嚼すると美味しく表情明らめ「美味しい…。」と思わず呟く。また来よう、そう告げられれば「次はこんな事しないからね！」と忠告しておく。再び外に出ては室内に居たからか凄く眩しく感じ目を細める。手渡された切符を見て今日はリードしてもらってばっかりだと少し申し訳なくなる。目的の駅に付けばテンションが上がる。「まずは、雑貨屋さんから！行くよ、篤！」と待ちに待った時が来たとばかりに相手の腕を掴んでは引っ張りながら早歩きで雑貨屋さんへと向かう。)

(少々調子に乗り過ぎたようだ。「もうしない」と言われてしまい苦笑が零れる。あんなに美味しいシチュエーションを逃す手は無い。彼が酔った時を見計らって、おねだりしてみるか…。良からぬ思いが頭を過ったが、顔には出さずにやり過ごす。電車に乗り、いよいよ今日のメインイベントがやって来た。駅に着いた途端、彼の顔が一瞬普段より明るくなったように感じた。その顔が見れただけでも大収穫だ。今日はデート。彼に喜んでもらえることが自分にとっては最大の目的。いつもあの家に一人残して置くのが、どれだけ心苦しいか。叶うならば、四六時中一緒に居たいのが本音なのだ。そうなったらそうなったで、クールな彼に嫌がられるかもしれないが…。だから今日は彼にとことんまで付き合うことに決めている。ちょっとした手荷物だって持たせないつもりだ。そんなことを考えていると急に手を引かれ)ちょっ、真尋！そんなに急がなくても大丈夫じゃない？(彼につき従い、口では「はいはい」と言いながらちっとも嫌では無いのは、相手が彼だからなのだろう)

(週末だからだろう、何時もより多い人混みをすり抜ける様に相手の腕を掴んで進んで行く。途中聞こえた声に振り返り歩く速度を落とし「おじさん、もう疲れたの？」なんてからかい混じりに生意気な問い掛けをする。そんな事を言いながらも相手を疲れさせない様にと早歩きはやめる。目的の雑貨屋さんが見えてくれば其方に足を向ける。店内に入ればちょうどいいくらいの空調が付けられており涼しい。色々見て回ってもいいがまずは目的の物を優先にしようと、天井にぶら下げられているプレートを見て「あっちだ。」と欲しい物が売られているコーナーへ移動する。未だに腕は握ったままで。)

(普段の彼からはあまり想像出来ないくらい、はしゃいだ声で自分をリードしてくれる。人だかりの中、手を引かれ目的地へと向かう。余程楽しみだったのだろう。そんな姿が見られるなんて思っても居なかったので、こちらもつい嬉しくなってしまう。途中で「疲れたの？」なんて声を掛けられてしまったのは誤算だったが…。だってしょうがないじゃないか！酒飲んで煙草を吸うおっさんは、君のようには人ごみの中を走れないんだよ)うっせぇ(悪態をつきながら、ペースを落としてくれた彼に人知れず感謝する。やっぱ、煙草やめよっかなぁ…。あんなに人前で触れられるのを気にしていた彼が、自分の手を引いて来てくれたところ、ピタリと足が止まった。どうやら目的地についたらしい。深呼吸を一つして、急ぎ足で乱れた呼吸を整える)ここ？真尋が来たかった店って(欲しいものを最後まで教えてくれなかったので、彼が何を買うのかは非常に気になるところだ)

(入り口からプレートを見上げて店中へと入って行く。ちょうどプレートの下辺りまで来れば視線は目線の高さへと戻し何かを探す様に見渡せば「あった。」と数歩移動する。移動する最中掴んだままにしていた彼の腕を解放すると「これ、欲しかったんだ。」とマグカップがずらりと並んだ棚を指差す。何の変哲もないマグカップだが自分が欲しかったのは単品ではない。以前たまたまドラマを見ていた時カップルが色違いのを使っていたのを見て欲しくなったのだ。普段物欲はそれ程なく買うのは本くらいだが、ドラマの中のカップルが羨ましく思え密かな憧れだった。「…お揃いの、欲しくて…。」と少し照れくさげに伏せ目がちに告げては相手はどんな反応をしているだろうとチラリと視線を遣る。)

(目的の店は生活雑貨を置いた店だった。清潔感のある店内で、彼が足を止めた場所は食器が並んだコーナーだ。ここでやっと掴まれたままだった腕を解放される。少々寂しく思いながらも、彼の見つめる先に視線を向けると、ずらりと並ぶマグカップ)欲しかったのってこれ？(そういや家で使っているカップは、もともと自分が使っていたものと彼が持参したものとで、大きさも形も全く違うものだった。さして不便は感じていなかったので、そのまま使っていたのだが…「お揃いの」と言われ、ハッと気づき顔に熱を感じる。なんだそれ？！可愛い過ぎんだろ！！もし、この場に自分と彼だけしか居なかったなら、間違いなく抱き締めて居ただろう。あと、上目づかいでこちらを見るのは止めて下さい。おじさん、棚ごと買い取ってしまいそうなので。努めて平静を装い)どんなのが欲しいの？

(日頃使っている物で十分なのだが、一つくらい恋人らしい物があってもいいだろうと男の癖に相手の事となると恥ずかしながら乙女思考になってしまう。自分が選んで相手にプレゼントしても良かったのだが、やはり一緒に選ぶといった工程も楽しみの一つだと考えた上の選択で。反応を窺う様に見た相手の顔はほんのり赤い様に見えた。そんな反応されると此方も一層恥ずかしくなる。思わずふいっと顔を逸らしてしまったが、喜んでくれているのだと分かり嬉しくなる。どんなのと言われてもお揃いなら何でも良く、具体的な想像はしていなかった為に手前の真っ白なマグカップを手に取り眺めた後首を傾げては「何を優先にする？使い勝手とか大きさとかデザインとか…。」と相手の意見を聞いて見ようと自分より少し目線の高い相手の目を見つめて。)

(そういや、お揃いのものなんてうちには無かったな。強いてあげるならスリッパくらいか。あれもお揃いというより、幾つか同じものを買ってそれぞれ使っているというのだから、敢えて二人して揃えた訳では全くない。こうやって2人で選びに来ようということは、余程思い入れがあるのだろう。どんなものが良いかと聞かれ考え込んでしまう。自分はコーヒー専門だ。そうなると、なるべく保温力が高くてたっぷり入るものを好んでしまう。形でいうと、飲み口が分厚くて深めのカップだ。しかし彼が紅茶を飲むのなら、それでは聊か情緒に欠ける。薄手のカップにソーサーが付いているものの方が良いだろう。今までカップについてなんて考えたことは無かったが、改めて聞かれると悩んでしまう…)真尋はどんなのが良いの？(少し身を屈め彼と同じ視線に立ち、一緒に数あるカップ達を眺める)

(深く考えず単にお揃いが欲しいと言ったが、普段飲む物が別々である事に気付けば使いやすいカップの形は異なるのではと思い、…お揃いは難しいかな…と少し気分が沈んでしまう。しかし、自分は使いやすさより一緒の物が欲しい気持ちが大きく相手が使い勝手のいい物に自分が合わせればいいかと思い立てば「僕はどんなのでもいい。篤が選んでいいよ。」と視線を同じ高さにしてくれている相手に向けて小さく微笑む。相手任せにしてしまってる様に思われるだろうか、と少し不安になりながら自分も一応軽く選ぶ様に並べられたカップ一つ一つに視線を移していく。色々な色や形がありライトに照らされて輝いていて見ているだけで楽しいと視線を動かして。)

(せっかくここまで彼が連れて来てくれたのだから、何としても二人で気に入ったものを見つけたい。しかし…。こうやって選ぶとなると難航を極めた。何の気無しに使っていた食器だが、目的を持って選ぶとなると話は別だ。こんなにも真剣にカップを選んだことなどあっただろうか…。いや、無かった。用途とデザインを兼ね備えたもの…。どれも良さそうに見えて、どこか足りない気がする。そんな中、シンプルなカップが並ぶその奥に、他の物とは異なるカップを発見した。釉薬をたっぷり乗せて柔らかい乳白色の地に、飲み口に鮮やかなグリーンの縁取りが施されている。手に取って店内の照明に透かしてみると、その色合いがより映えた。ソーサーも付いているし、自分としては申し分ない)これ…。どうかな？(手に持ったそれを、彼に手渡した)

(あれこれと手に持ち真剣な目付きで眺める。彼も自分も納得のいく様なのがあればいいんだけど…と見ていくもどうもこれといった物が見付からない。手に持っていた物を棚に返したと同時に相手に声を掛けられ其方を見ると手渡された物に視線を落とす。シンプル且つオシャレな形と色使い、思わず見惚れてしまう程綺麗だ…流石オシャレで大人な彼、センスがいい物を見付けるなと感心する。一目で気に入れば「いいね、これ。凄く綺麗。」と嬉しそうに相手を見上げる。お揃いの物がやっと手に入ると瞳を爛々とさせて再びカップに目を落とすとカップ越しに見えた棚に色違いがある事に気付いた。緑も素敵だがオレンジもまた綺麗だ…「ねぇ篤、オレンジもある。どうしよう、色違いにする？」とオレンジ色の方も手に取り相手に見せる様にする。)